▲ 2015年04月20日の YA LIBNAN より。
先日、中国の内モンゴルにあるアルシャン市というところで、「赤い日」が出現したということがありました。
▲ 2015年04月16日の news.syd より。
アルシャン市の場所
・Googla Map
新華社のニュースでは以下のような出来事でした。
中国・内モンゴル 不気味に赤く染まった空、泥雨も伴う
新華ニュース 2015.04.16
4月15日午後2時ごろ、内モンゴル阿爾山(アルシャン)市の空が、不気味に赤く染まり、黒い物質を含む小雨が降った。
2時40分、赤く染まっていた空は次第に解消され、2時50分には普通の空の色に戻った。
というもので、
・突然、空が真っ赤になった
・その後、「泥の雨」が降ってきた
という自然現象だったようです。
今回は、いままでもふれたことがありますが、ひれらの「赤い現象」について書かせていただこうと思います。
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世界の至るところに出現する「赤い日」
普通、「赤い大気」というのは、砂嵐、中国なら黄砂や公害などが原因でもたらされることが多いです。
特に今年の中国は、史上最悪の黄砂に見舞われたりしていますので、そういうものかと思いましたが、それとは関係なく、雨(しかも泥を含んだ雨)の前に空が赤くなったという現象そのものはとても珍しいと思います。
ちなみに、単なる黄砂でも、度が過ぎると、黄色を越えて「赤」になります。
下は、4月中旬に史上最悪レベルの黄砂に見舞われた北京市の様子です。
2015年4月16日の北京
・visionunion
北京に限ったことではないかもしれないですが、中国では、黄砂や公害を含めて、いろいろと大変なようで、3月28日の産経ニュースの記事には以下のようにありました。
黄砂に覆われ「最悪」超える 北京の大気汚染
産経ニュース 2015.03.28
中国北京市は28日、北部から飛来した黄砂に覆われ、天気予報サイトによると、北京市の大気汚染指数は軒並み500となり、6段階で最悪の「深刻な汚染」(指数301以上)を大幅に上回った。
北京市は大気汚染警報を発令し、住民に屋外での活動を控えて、窓を閉めるよう呼び掛けた。
記事に、
> 住民に屋外での活動を控えて、窓を閉めるよう呼び掛けた。
とあり、これは何となく問題のない呼びかけのようにきこえますが、中国の清華大学の調査によれば、室内にいても、汚染からは逃げられないばかりか、
「屋外より室内のほうが PM2.5 の影響が著しい」
ことがわかったのです。
中国・北京市 室内でのPM2.5の吸入量は室外の4倍
新華ニュース 2015.04.23
清華大学の調査研究報告書によると、PM2.5(微小粒子状物質)の室外における汚染に比べて、室内での汚染は人体に対する影響が更に著しく、室内ではPM2.5を吸い込む量が8割を占める。
2カ月半の期間内で、調査研究チームは北京市のボランティア407人の累計11万時間の室内PM2.5のデータを得た。範囲は、北京市の13の区と県の7703地点におよぶ。
つまり、「屋内にいた方が、汚染の影響を大きく受ける」と。
これなら、むしろ「 PM2.5 濃度がひどい時には、外に出た方がマシ」という、何だか、どう対処すればいいのだかわからないことになりそうで、「どうすりゃいいんじゃ」という北京の人たちの声も聞こえてそうですが、確かに PM2.5 は「微小粒子状物質」という名前の通り、屋内にいた程度で遮断できるようなものではないかもしれません。
逃げ場なしという感じとなっているようです。
数年前は珍しかった「赤い朝」が今ではありふれた現象に
ところで、私が今回の内モンゴルの「赤い日」に注目したのは、つい先日、オーストラリアのシドニーで、とんでもない量の雹(ひょう)が降ったという出来事がありまして、そのことと関係しています。
・秋のオーストラリアで過去最大級の雹の嵐
2015年04月27日
シドニーの 2015年4月25日の光景
そして、このシドニーでは、今から6年ほど前に、やはり「赤い朝」が報道されたことがあるのです。今回の内モンゴルの風景を見て、その時のことを思い出したのでした。
このことは、
・オーストラリアに出現した「地球最期の日」
2009年09月23日
という記事でご紹介したことがあります。
シドニーの 2009年9月23日の朝
・Dust Storm produces a deep red sky in Australia
この時は、いろいろなメディアが「アルマゲドン」とか「終末の夜明け」とか、そのような表現で、この出来事を報じていました。
現象そのものは、砂によって引き起こされたものだとされましたが、「日常空間が真っ赤に染まる」ということは、オーストラリアでも、あるいは他の場所でも珍しい現象だったからこそ大きく報道されていたのだと思います。
「赤い日」が実際的に終末的なのかどうかは何ともいえないのですが、イメージとしては、確かにそういう響きを持つ力はあります。
そして、その、かつては珍しいことだった「赤い風景」が世界各地で出現しているということに何となく思うところがあったのかもしれません。
これら「赤い日」の原因には不思議な点はなく、そのほとんどが、砂塵嵐(ダストストーム)によるものです。
しかし、冒頭に載せましたように、この砂塵嵐のあまりの多発ぶりに、「なぜ、突然のように最近は砂嵐が増えたのか」ということに関して、専門家たちが困惑しているということのようです。
この春の「赤い光景」の報道を少しご紹介します。
アラビア全域の砂塵嵐の多発
▲ 2015年04月02日の Slate より。
このアラビア半島などでは、この春、たびたび激しい砂嵐が起きています。
ドバイなど観光地も航空便やインフラに被害を受けていて、その被害はたかが砂嵐ではあっても、その影響は、それなりに大きなものであるようです。
インドでの砂塵嵐と悪天候の多発
▲ 2015年04月18日の India TV News より。
インドも極端に荒れた天候が続いているようで、上のウッタル・プラデーシュ州では、その他にも何度も何度も、砂嵐や竜巻などで犠牲者が出ています。
▲ 2015年04月04日の kannadaprabha より。
他にも、様々なところで、ダストストームが頻発しているわけですが、どうしてこんなに増えているのかは、冒頭の記事によれば「わからない」ということになります。もちろん、推測はいろいろとあるのですが、確定的なことは誰にもわかっていません。
ダストストームが増えたからどうしたという具体的な理由があるわけではないですけれど、何というか、こう、「終末的な光景」という言葉のニュアンスと連動する部分を感じる部分はないでもないです。
どうも世界の光景がアポカリプス・ナウ
ちなみに、先日ほどの内モンゴルの「赤い昼」について、英国デイリーメールは、「アルマゲドン」という言葉を使った見出しの記事としていました。
・Daily Mail
ふと思うのは、何だかここ最近「終末的な感じ」の光景をずいぶんよく見ていることです。
先日の、
・50年ぶりに噴火した南米チリの火山の終末的な光景や、ロシアで発生した「大地の津波」ともいえる水平地崩れを見て思ういろいろ
2015年04月24日
という記事でご紹介したチリのカルブコ山の噴火の凄さ。
噴火するカルブコ山
・Argentina Independent
あるいは、ロシアの「大地の津波」。
・YouTube
ちなみに、チリのカルブコ山の噴火では、噴煙の中に「人のような姿」が浮かび上がったことが話題になったりしていますが、こういう偶然もまたいろいろと。
カルブコ山の噴煙に示された現象
・YouTube
そして、4月27日現在の報道では、3300人が亡くなっている上に、まだ被害の全貌そのものが明らかになっていないというネパール大地震の惨事。
ネパール大地震で倒壊した仏教寺院
・The Star
何というか、いろいろと感じるものがありまして、今日あたりは何となく、シュンとした気持ちでおりまして、あまり軽快に記事を書いているという感じでもないです。
「赤の連続」の行く末は?
赤といえば、今は、
・赤い月と黒い太陽: 2014年から 2015年まで「4回連続する皆既月食」がすべてユダヤ教の重要宗教祭事の日とシンクロ…
2014年04月06日
の、「4回連続する赤い月(皆既月食)」の渦中です。
今月の最初の頃に書きました、
・満開の桜の中の赤い月の日はラーフの怒りと共に太陽でも大爆発
2015年04月05日
という記事では、2012年頃から「海や川が赤くなる」という現象が続いていたことにふれました。
その中でも、2012年9月にユーラシア大陸最長の川である長江が赤く染まるという出来事はかなり不思議なことだったと今になって認識します。
赤く染まった長江
▲ 2012年09月12日の記事「赤く染まるユーラシア大陸最大の川と、カリフォルニアの周囲100キロに漂う9月11日の腐臭」より。
そして、川や海、月や夜空(オーロラなど)が赤くなることが連続していた中で、私は上の記事で以下のように書いていました。
水…… 夜空…… と来て、次は何が赤くなると考えるといいのでしょうかね。
そして、今、冒頭の砂塵嵐のように、世界各地で、「生活空間そのものが赤くなる」ということが起きているのだなあと思います。
世界がどんどん真っ赤になっていくってのは、どのように理解すればよいものなんでしょうかね。
もちろん、イメージとしてですけれど、いい傾向なのか、悪い傾向なのか。