2015年07月02日



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北緯33度線に絡みつくように勢力を拡大する IS 。そしてギリシャの周辺で起きるかもしれないこと



ISの現在の領土形成状況と周辺国のリスク度MAP
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Daily Mail






 


本題と全然関係ないですが、インドで大規模な範囲で「魚の雨」が降ったことが報じられていました。

6月末にインド・アーンドラ・プラデーシュ州クリシュナで空から降ってきた大量の魚



これがまた結構大きな魚であることに驚きますが、さすがはインド人で、降ってきた魚は「すべて市場で売り出された」そうです。今年は、4月にも、タイですさまじい量の魚が空から降ってきましたが、こちらの場合は市場には並ばなかったようです。

2015年4月のタイの魚の雨
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nairaland


こういう現象をファフロツキーズというらしいですが、不思議に感じるのは、インドの場合もタイの場合も、どちらも1種類の魚だけが降ってきているように見えることです。

とはいえ、不思議でも何でも現実に降ってきたものは納得するしかないという感じですかね。

そんなわけで、いろいろと降り続ける世界です。




ギリシャの「位置」

ギリシャ情勢が何となく緊迫しているような、していないような感じですが、ロイターの記事などを読むと、現地の緊迫した様子が伝わってきます。


ギリシャ国民に高まる「ドラクマ回帰」の機運
ロイター 2015.06.25

ギリシャの首都アテネにある昔ながらのカフェで、ミュージシャンのステリオス・マラガキスさん(55)は、大詰めを迎えている自国債務危機の解決策について、通貨ユーロを捨てることだと語った。

「ドラクマに戻るべきだ。ドラクマしかギリシャを救う道はない」と、グラスから酒を飲みながら話した。



> グラスから酒を飲みながら話した。

本当に緊迫しているのかどうか怪しい部分もありますが、まあ、楽しく生きて、あまり働かなくて、お酒をたくさん飲むギリシャ人気質・・・と、ギリシャに長く滞在した人などの多くは、そのように言いますので、ギリシャの多くの人が上のような気質であるのかもしれませんが、統計上はギリシャ人って結構働いているんですよ。

世界の労働時間 国別ランキング・推移(2012年)
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GLOBAL NOTE


日本人より働いている時間が長いです。

ちなみに、調査した国で最も労働時間が短いのは 41位のオランダで、1381時間と、1位のアラブ首長国連邦の半分以下でありました。

しかし、ギリシャがこの統計通りで、よく働いている人たちだとして、それでも、ギリシャに行った人は「あまり働かないギリシャの人々」の様子を目の当たりにしているということは、働いている人と、あまり働かない人との差がすごいのですかね。

まあ、いずれにしても、そのギリシャは、未来はどうなるかはわからないにしても、今はいろいろと厳しい状況にはあるようです。

それで思うのは、仮にですけれど、デフォルトや他の状況などで、ギリシャの国家運営に一時的であれ支障が出た場合、たとえば「国境警備」だとかを含めて、機能しない瞬間が出た場合など、冒頭の IS の勢力地図で

「ギリシャの位置」

というものを再確認しますと、ギリシャは、イスラム社会とヨーロッパ諸国を結ぶ「門」のような位置にあることがわかります。

そして、この図を見ますと、IS の勢力はまったく衰えていないことも知らされます。

冒頭の地図を文字で起こしますと、

ISISが領土を有する領域 シリア、イラク

同盟を形成して拡大 アフガニスタン、パキスタン、イラン、トルコ、サウジアラビア、イエメン、エジプト、リビア、アルジェリア、モロッコ、チュニジア、マリ

などとなっています。

また、トルコ、イラン、エジプト、サウジアラビア、イエメン、アフガニスタン、パキスタンなどで IS の攻撃が差し迫っているとされている場所があり、ヨーロッパでも、イギリス、イタリア、スペイン、フランスなどに IS の攻撃が差し迫っているとされている場所があるようです。

ギリシャが、アフリカからの難民の最大の受け口になっていることは、昨年の、

「死の海」と化している地中海に大量死の時代を思いながら…
 2014年09月16日

という記事で書いたことがあります。

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▲ 2014年8月23日のギリシャ defence net より。


こういうことに対応・管理するのが、各国の沿岸警備隊や、それに準ずる軍や警察だと思われるのですが、「国が破綻した直後」に、それらが機能するのかどうか。

もし、短い間でも、それらが機能しなくなった場合、ギリシャに怒濤のごとく難民が押し寄せると共に、「難民じゃない人たちもいろいろと混じって入国してくる可能性」はありそうです。

そうなると、何となく物騒にはなるかもしれないですね。

あと、 IS の勢力拡大で気になりますのは、事実上、IS の領土の一部があるイラクとシリアは、どちらも北緯33度線を有する国で、線を引きますと、

IS は 33度線に絡みつくように勢力を拡大しているように見える

ということです。

33-is.jpg


この「 33度線」という概念は、

フリーメイソンと高知に導かれて Google Earth 上で北緯 33度の旅をする
 2012年08月29日

という記事以来、たびたび取り上げることがありますが、北緯33度線上には(正確ではないですが)ケネディ大統領が暗殺されたダラス(米国)、アラブの春が始まったトリポリ(リビア)があったり、いろいろなことが起き続けているバクダッド(イラク)やダマスカス(シリア)があり、インドのカシミールや日本の長崎があったり、イスラエルのガリラヤ湖があったりする場所です。

近現代史で血なまぐさい事件や歴史が繰り返されているといえなくもない場所が、ズラリと並んでいるのが 33度線ともいえます。

33度線について取り上げた記事の一覧は、こちらのリンクにあります。




ヨーロッパ対……

それにしても、冒頭の地図の色分けを改めて見ますと、「ヨーロッパ vs 他の何らかの勢力」という図式が見えてくるようです。

最近は予言のたぐいから離れていましたが、思い出せば、


イスラム教徒はヨーロッパでまだ生き残っている人々にたいして化学兵器で戦争を仕掛ける。ヨーロッパはイスラム教徒によって支配される。


なんていうブルガリアの預言者ババ・バンガ( Baba Vanga / 1911年-1996年)のフレーズがあったり、自称宇宙人からのコンタクトを受けていると主張するビリー・マイヤーのエノック予言というものにも、


イスラムの狂信者が決起してヨーロッパの国々を戦争で蹂躙し、それによって一切が激しく揺り動かされるであろう。

西側ではすべてが破壊され、英国は打ち破られて、最も悲惨な状況に投げ込まれるであろう。イスラム狂信主義者とイスラム戦士は、長い年月にわたってその権力を維持するであろう。



というようなものもありました(ヤスの備忘録より)。

「戦争」というのも大変といえば大変ですが、たとえば、中村天風さんなどは、戦争であっても「恐いものなどではない」と何度も言っています。

恐いと思うから恐いと。

まあ確かに、どんなことでも最初から無条件に「恐い」と思うよりも、たとえば、イエス・キリストが道端の犬の死体を見て、「なんて美しい歯だろう」と述べたように、ネガティブ面からではないほうで考えるのもいいかもしれないですね。

この「恐いと思うから恐い」ということに関しては、私も努力中ですが、「自分の中から、恐怖の対象となるものをどんどんそぎ落としていく」という生活態度を少しでも獲得したいなあとは日々思っています。

最終的に「自分の死も恐くない」というようになれば、実は世の中がどうなっても、ネガティブなことはあまりなくなると思うのですよ。

死を恐怖しないということは、「自分は存在していない」という概念を獲得することに他ならないことですので、大変に難しいことでもあり、死ぬまでにそれが間に合うかどうか微妙ではあります。

それでも、「私たちは日本人なのだから」できないことではないと思っています。

少し前の、

日本式ファイト・クラブ:この世こそ極楽であることに感謝し、激動でも素晴らしい時代を死ぬまで生きる
 2015年06月29日

の最後に、『逝きし世の面影』の中にある、1850年代に、日本で教鞭を取ったオランダ人のカッテンディーケという海軍軍人が述べた、

日本人の死を恐れないことは別格である。
現世からあの世に移ることは、ごく平気に考えているようだ。


というのは、ほんの百数十年前の日本人の姿です。
できないわけがないです。

「自分が変われば世界が変わる」と言っていた野口晴哉さんの言葉を今一度思い出したいところです。

話が逸れましたが、そういえば、33度線といえば、最近、印象的な写真を見ました。




ガザに出現した「地獄の黙示録」

パレスチナ自治区のガザは、 33度線と近接している場所なんですが、先日、反イスラエルの活動家たち 20人がスウェーデンの船でガザの封鎖を突破しようと海を進んだところを、イスラエル海軍のヘリコプターに阻止されました。

その時の写真が下の光景でした。

活動家の船を阻止するイスラエル海軍のヘリ
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Daily Mail

これを見た誰もが、

「地獄の黙示録やん」

と呟くところではないでしょうか。

映画『地獄の黙示録』の DVD パッケージ
apocalypse-now-dvd.jpg


1979年の映画『地獄の黙示録』は、1899年に発表された小説『闇の奥』をベースにして作られた映画で、ベトナム戦争の戦場をカオス的に描いたものです。

私は若い頃、落ち込んだ時や心が重い時によくビデオで観ていた映画です。

戦場でサーフィンがしたいがためにナパーム弾での村の焼き払いを要求する中佐、ワーグナーの「ワルキューレの騎行」をヘリコプターから大音量で流しながらの村への攻撃、戦場でのプレイガールによるショー・・・あまりにも混沌とした内容に、なぜか、むしろ観た後に心がすっきりとするのでした。

上のガザの光景は、これからの(地球を貫く) 33度線の様相が「地獄の黙示録」的光景となっていくことを示唆しているような気もしたりしなかったり。

そして、そこに関連した未来も否定的になるわけがないとも思います。