2015年07月10日



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モンゴルの面積の海氷が「一瞬で消滅してすぐに戻った」奇妙な現象や「熱波の中の寒波現象」の渦中の地球は大干ばつ期に入りつつあるかもしれないこと




6月下旬の海で何が起きた?

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デンマーク気象研究所というものがありまして、ここには、世界の海氷面積がほぼリアルタイムで表示されているページがあります。

先日、そのグラフに奇妙な記録が残されていたのです。

海氷面積が「2〜3日間で瞬間的に 150万平方キロメートル程度の海氷が消えた」ということが起きたと見るしかないような記録です。

このデータを初めて見た時のことは、

北半球の海で何が?:6月の末に瞬間的に急減した北半球の海氷面積
 地球の記録 2015.07.02

という記事に記録を残してありますが、下のように、6月の終わりに、海氷面積が「急落」しているのがおわかりかと思います。瞬間的に消滅しているようにさえ見えます。

2015年1月1日から7月1日までの世界の海氷面積
sea-ice-strange.gif
Dmi


まあしかし、「氷が消える」ことに関しては、 2012年のグリーンランドで起きたことについて書きました過去記事、

メルトダウンの序章?:「たった4日間でほぼすべて溶けて消えた」グリーンランドの氷床
 2012年07月26日

にありますように、「グリーンランドのほぼ全土の氷床が、たった4日間でほぼすべて溶けてしまった」というような現象も過去にはありましたし、

「ま、一瞬で膨大な面積の氷が溶けるというのもアリなんだろうなあ」

と納得していました。

下がその時のグリーンランドの氷の様子です。
白い部分が氷床です。これが4日のうちに消え去ります。

グリーンランドの2012年7月8日と7月12日の氷床
Greenland-meltdown3.jpg
・NASA


そんなわけで、「氷が突然消えることは現象としてたまにある」と思っていたので、特に気にしていなかったのですが、しかし、デンマーク気象研究所のそのデータを初めて見てから 10日ほど経った今日、ふたたび見て、私は、

「ぜんぶ戻っているがな!」

と驚いたのでした。

下のはそのグラフを拡大したもので、ちょっとわかりにくいかもしれないですが、ガッと減った海氷が、「すぐに元の面積に戻っている」のです。

sea-ice-modoshi.gif


「減るだけならともかく、100万平方キロメートル単位の面積がすぐに戻るってのは変では?」

と私は呟きました。

減って「戻った」面積は 150万平方キロメートルくらいあるように見えます。

この面積は、大ざっぱにいえば、日本列島の全面積(約 37万8000平方キロメートル)の4倍ほどに相当するもので、決して小さな現象とは言えません。

あるいは、国家面積 156万平方キロメートルのモンゴル全土に相当します。

モンゴルと周辺国の面積の比較
mongol-map.gif
Google Map


最近は自然現象に何か起きても、さほど驚くことはないのですが、この「海氷突然消失事象」は何が起きていたのか気になります。

先ほども書きましたが、「減るだけ」なら理解できなくもないのですけれど、100万平方キロメートル単位のものが「すぐに戻っている」というのがわかりません。

何が起きていたのですかねえ。

これが気象現象によるものなのかどうかもよくわからないですが、この現在の世界の「気象」。

これもまた何だか混沌としているのです。




「夏のカオス」を予感させるような世界の混沌とした気象

これに関しては、最近の気象に関しての報道を並べるだけでも、その混沌ぶりが何となくわかる気がします。

最近の世界の気象に関しての基本的なラインとしては「猛暑」というものが挙げられます。


欧州、北米…世界中で熱波 ドイツでは40度超え最高更新
産経ニュース 2015.07.10

欧州や北米を中心に、世界各地が熱波に見舞われている。ドイツでは40度を超え、パリやジュネーブでも軒並み歴史的な高温を記録。アメリカ西部は山火事のリスクが高まっている。国連専門機関の世界気象機関(WMO)は「熱波の傾向は今後も続く」と予測、健康被害を防ぐため各国に警戒を強化するよう呼び掛けた。

ドイツ南部キッツィンゲンで5日、気温が40・3度に達し、1881年に同国で観測開始以降、最高を記録した。パリでは1日、7月の気温としては1947年以降最も高い39・7度に。ジュネーブでも、観測史上最高の同じく39・7度を記録した。

インドやパキスタンでも熱波が発生、インドでは2千人以上の死者が出た。5月末には中東やロシアでも例年以上の高温を記録した。



というように、報道を見ると、何だか「どこもかしこも暑い」ようなイメージなんですが、そういう中で、たとえば、上の報道で

> アメリカ西部は(熱波で)山火事のリスクが高まっている。

と言われた後に下のような報道と出会いますと、こちらはこちらで「均衡を欠いている」感じがします。


カリフォルニアの7月の雪

hanford-snow.gif

▲ 2015年07月09日のアメリカ・ハンフォード気象局ツイッターより。


カリフォルニア州のヨセミテ国立公園で7月9日に「7月の雪」が降りました。

下のように結構積もったようで、車が渋滞しているように見えるのは、季節外れの雪のためだと思われます。

yosemite-snow.jpg
KGET News


上記報道のように、ドイツでは観測史上最高記録を更新する中、お隣のオランダでは・・・。


ドイツで40度なのに、オランダでは「霜」の予測

frost-july.gif

▲ 2015年07月09日のオランダ msn より。


このニュースの冒頭をご紹介しますと、以下のようになります。


霜が降りる可能性

7月10日のオランダ東部の気温は、日中は最高 28度まで上がり、晴れた週末が期待されるが、夜は一転して気温が下がる見込みだ。

オランダ東部の各地で、7月としては珍しい 5度から 10度程度の例外的な低い気温となり、「寒い夜」となると思われる。

これらの地域の一部では、7月としては大変に珍しいことだが、霜が降りる可能性がある。



オランダといえば、植物での発電について書きました先日の記事、

オランダの女性たちが発見した奇跡のエネルギー生成 : 生きた植物と生きた微生物と水のコラボレーションが生み出した驚異の発電法 - Plant-MFC
 2015年07月04日

に登場する企業「プラント-e ( Plant-e )社」がありますが、何だか「変な気候」となっているようです。

そして、先ほどの産経ニュースで、

> ロシアでも例年以上の高温を記録した

とあったロシアですが、まあ、ロシアは広いですから、いろいろな地域でいろいろなことになるのは当然かもしれないですが、それでもやはり珍しい「7月に雪」ということになっているのです。

ロシア・ボルクタで7月の雪

Vorkuta-july-snow.gif

▲ 2015年07月05日の bigmir.net より。


ボルクタというのは、ヴォルクタ - Wikipedia によりますと、かつて、「ヴォルクタ強制収容所」があったという歴史を持つ場所であるようですが、今は夏の雪という珍しい光景を提供してくれています。




100年、1000年単位の大干ばつサイクルは存在するのか

アジアもなかなかのもので、「平年並みの気象現象」の場所のほうが少ないですが、日本は、九州の大雨はすさまじいことになっていますが、全体としては穏やかな感じがします。

これは関東の話ですが、今のところは「涼しくて過ごしやすい7月」が続いています。いつもなら、関東の7月は、そろそろ暑さに弱い私は、湿気と暑さでげんなりする日々が多いのですが、今年はそれを感じた日がほとんどありません。

まあしかし、今だけかもしれないですしね。
東アジアは他の国は荒れています。

台湾は6月から記録的な猛暑が続いていて、各地で平均気温が観測史上最高を記録しています。


記録的な猛暑の台湾


台湾・大武、6月の平均気温29.7度で観測史上最高 台東は気象記録の宝庫
フォーカス台湾 2015.07.03

東部・台東県大武の今年6月の平均気温が29.7度に達し、同地で1987年に観測を開始して以来、過去最高を記録したことが中央気象局の調べで分かった。


しかし、台湾の北にある中国の上海は「 145年ぶりの低温」に見舞われています。

7月の上海で145年ぶりに最低平均気温記録が更新される
 地球の記録 2015年07月08日

に書きました、チャイナ・デイリーの報道からです。

記録的な「寒さ」となっている上海


China Daily

上海で過去145年間で最低の平均気温が記録されている

7月6日の上海は、最高気温が 15.9度までしか上がらなかった。これは、1876年 7月2日に記録された 15.9度以来の低いもので、過去 145年間で最も低い最高気温となった。過去の同じ日の平均気温は 18.9度だ。


気温が急落すると、株価が急落するのかどうかわからないですが、上海の気温が下がるのに合わせるように、上海証券取引所のチャートは下向きに崩壊していったのは印象的ではあります。

さらに、上海の北は、朝鮮半島があります。

こちらでは危機的な「干ばつ」に見舞われています。

韓国北部と中部で記録的な干ばつ


韓国で干ばつ深刻 一部地域では観測史上最低の降水量
Yonhap News 20015.06.16

朝鮮半島の中部と北部が雨不足に苦しんでいる。韓国の首都圏を含む中部地方の場合、梅雨入りが遅かった上に空梅雨が予想されており、農業への影響も懸念される。専門家らは気候変動を原因に挙げる。朝鮮半島の大干ばつ周期説も飛び出している。

◇江原道の一部で過去最悪の雨不足

韓国気象庁によると、中部地方のソウル、京畿道の年初から今月14日までの降水量は161.5ミリと、平年の55%程度となっている。

北部・江原道の嶺東地域は141.9ミリと平年の39%にとどまる。さらに同道の束草は139.8ミリ、江陵は144.0ミリで、気象観測が始まった1973年以降で降水量が最も少ない。

ソウル大地球環境科学部のホ・チャンフェ教授は、2012年を含む近年の雨不足の原因はまだ明らかでないとしながらも、「地球温暖化により気候が変わる過程で、不安定になっているとみられる」と話す。



上の記事には、

一方、気候変動だけでは歴史的に繰り返される雨不足を説明できないとの意見がある。このため朝鮮半島が124年周期の大干ばつ期に入ったという説も関心を集めている。

という記述があり、初めて知りましたが、朝鮮半島では 124年ほどのサイクルで繰り返す「大干ばつ期」の時が歴史上があったという説があるようです。

同じ朝鮮半島の北朝鮮でも大変な干ばつが続いていることが先月から報じられています。

北朝鮮で100年で最も激しい干ばつ


北朝鮮、過去100年で最悪の干ばつ報道 国連、飢餓を懸念
CNN 2015.06.27

nk-drought-2015.jpg国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のザイド国連人権高等弁務官は、北朝鮮が非常に深刻な飢餓に直面しつつあるとして国際社会に対し支援を呼び掛けた。

弁務官は集中的な救援努力が今後数週間もしくは数カ月内に起きなければ、大規模な飢餓が発生すると警告した。

北朝鮮の国営メディアは通常、住民に明るい展望を説く報道姿勢に終始しているが、ここに来て過去100年で最悪規模とする干ばつ被害などについて伝えている。韓国の国民大学校の北朝鮮問題専門の教授は「今後悪しき事態が発生する可能性を内外に伝えるシグナル」と分析。「外国に援助を求める可能性がある」とみている。



先ほどの韓国の報道で、韓国の科学者の話として、「朝鮮半島の 124年サイクルでの大干ばつ期」という概念があることを書きましたが、今の世界の感じを見ると、もしかすると、そういうものはあるのかもしれないと、ふと思います。

そして、それは朝鮮半島だとか、そういう狭い範囲のものではなく、もう少し広い範囲であるのかもしれない・・・とも。

というのも、猛暑報道が各地でなされていますが、猛暑が続くことと干ばつが関係しないということはなさそうです。6月から猛暑が続くタイでは、過去 60年で最も激烈な干ばつに襲われています。

これについては、

タイで過去60年で最も激しい干ばつが進行中
 地球の記録 2015年07月10日

に報道をご紹介していますが、タイの貯水率がかなり深刻なレベルになっていて、このままの状態が続くと、「貯水池のいくつかが完全に干上がる」ということも懸念できるほどのものとなっています。

タイの4大ダムの7月初旬の貯水率
10thai-dam-2015.jpg
NOW26

その後の報道では、貯水率はさらに減り続けていて、上で貯水率 12.1パーセントになっているダムは、現在、貯水率が 7パーセントにまで落ちたと報じられています。

タイの気象局などによれば、雨が少ない状態は8月まで続く見込みで、上の4つの貯水池のうちの3つくらいは、それまでに枯渇しそうな感じにも見えます。

猛暑の被害があったインドやパキスタンは、これからのモンスーンがきちんとやってくれば、干ばつは解消する見込みでしょうが、そのあたりは時期になってみないとわかりません。

韓国や北朝鮮の「過去 100年で最も激しい」というものや、タイの「過去 60年で最も激しい干ばつ」という、歴史的に見ても大きな単位でのものとなっていることが特徴的ですが、現在、「熱波」が伝えられているヨーロッパ各地、ロシア、アメリカの一部なども、今後の天候次第では、干ばつから逃れられない可能性もあります。

アメリカのカリフォルニア州の干ばつなどは、昨年12月の時点ですが、「過去 1200年間で最も激しい干ばつ」であることが報告されています。

カリフォルニアの干ばつは過去1200年で最悪であることがアメリカ地球物理学連合の調査で判明
 地球の記録 2014年12月18日

アメリカの干ばつは、カリフォルニアを中心とした西部は相変わらず厳しい状態です。

us-drought-2015.gif
アメリカ農務省 Drought Monitor

アメリカでは、干ばつの程度を、

レベル1 異常な乾燥
レベル2 穏やかな干ばつ
レベル3 厳しい干ばつ
レベル4 極めて厳しい干ばつ
レベル5 例外的な大干ばつ


とわけていて、上の図を見ますと、アメリカの多くの地域では、干ばつ状況は改善してきていることがわかりますが、カリフォルニアは「例外的な干ばつ」のままです。

最近は「干ばつ」のことを忘れていましたが、思えば、世界が変化しようとしている時に、気象だけが穏やかというのは考えにくいことで、荒れた気象の中でも「干ばつ」という巨大なものも広い範囲で少しずつ広がっていたりするのでしょうかね。

最近は、農業と植物の重要性について考えることや書くことが多かったですが、考えてみれば、「農業を基本にして生きていく生活」を「完全」にするには、様々な気象に対応できる生活を考え出さなければならないことにも気づきます。

どんな時代にも不作や飢饉がありましたが、いつまでも「自然が荒れれば飢饉は当たり前」というような考え方のままでは、いつまでも不作や飢饉に怯えなければならない。

そのあたりの知見が見出されないと、「地球は人間の味方」という最大の理念を見失いかねません。

自然を利用しながら、干ばつや悪天候に対処する方法ってあるのでしょうかね・・・。

あるはずです。

そのうち誰かが何かの智恵を見出すはずです。

あるいは、その知見の発現のために自然が荒れているのなら「異常気象も自然良能」ということになるのでしょうか。