最速であと5年ほどで十数年続く小氷期に突入する可能性

▲ 2015年07月17日の Astronomy Now より。
猛暑なのに何だか涼しく過ごせている今年の夏
私は暑さに弱く、夏が来るたびに「暑い暑い」と大騒ぎしているのが常なのですが、今年はちょっとちがって、騒いでいません。
気温だけ見てみれば、確かに、私の住む地域の周辺でもかなりの高温となっているようです。

・Yahoo! 天気
しかし・・・たとえば、例年の私なら、もう梅雨の最中あたりからエアコン・フル稼働というような生活をしていたのですが、今年は、少なくとも自分でエアコンをつけた日は、まだゼロです。
眠る時に、うちの奥さんがあまりにも暑いというので、エアコンをつけたことはありますが、少なくとも自主的にエアコンをつけたいと思った日はまだありません。
7月に入ってから、気温が高い日も「妙に風が涼しい」ことには気づいていました。なので、常に風を通していれば、今年の夏は割と楽勝かも、とは思いまして、ドアや窓、ベランダなどを全壊にして(壊してどうする)、全開にして過ごしていますが、今なお風は涼しいです。
夏に入ってからも、雨の日以外は、朝ほぼ毎日1時間ほど歩いていますが、朝は格別に涼しいです。
奥さんからは「あんなに暑がりだったのに、体質変わったんじゃない?」と言われますが、何がどうであるとしても、夏を暑くなく過ごせるというのは、非常に快適で、嬉しい限りであります。
今日も今、午後2時頃にこれを書いていますが、快適です。
そういえば、3ヶ月ほど前の、
・基本的に「すべての薬」は人間に良くないという理由の理論的なメカニズムがわかったのです
2015年04月02日
という記事で、薬と現代の医療が「健康にとても悪い」ことを知って以来、基本的に薬を飲むのをやめて、さらに、それ以来、1度も病院には行っていないのですが、同時に、いくつかの簡単な健康法で、かなりの変化がありました。血圧なんて薬も何も使わず 40くらい下がりました( 160 → 120 )。
ちなみに、私は「健康で長生きするのがいい」とはまったく思っていません。
なぜ、人は心身共に健康であるべきなのかというと、
「世の中がどんな状態でも、自立していなければならない」
ということだと思っています。
たとえば、誰かが「私が世界を変えてやる」と思っていても、認知症になってしまってはどうにもなりません。
世界の大変動の時などに「オレは最後の最後までやり抜くぞ!」という人が、
「でも、高血圧の薬と血糖値の薬がないとちょっと困ります」
というのでは、もう自立も変革もクソもありません。
世界のシステムが壊れた時に、「人工透析の中で」世界の再建を叫んでも、何だか変です。
健康になるという意味はそういうことで、何かの時に、薬や介護が必要ではいけないということだと感じます。
これからの世の中で必要なことは、ひたすら「自立」だと思います。
そして、身体も自我も意志もしっかりと「自立」している中で、生きるだけ生きて、
「自立している中で他の誰にも世話をかけずにポックリと死ぬ」
ことが健康になる目的です。
自分たちが生きている世界を最後まで「心と体で認識したままで死ぬ」と。
というわけで、これらのことは、また少しあとに書かせていただこうと思いますが、先日、
・太陽が割れてきた・・・。その研究を読みながら、太陽を含めた「自然の存在の役割」を考える
2015年07月13日
という記事でもちょっとふれましたが、最近、イギリスの王立天文学会で「地球は 2030年頃を頂点としたミニ氷河期に入る」という発表がなされたことは、日本語の記事でも報じられていることもあり、ご存じかと思われます。
これは、日本や西欧の報道を見ていると、イギリス人科学者の主導の研究のようにしか見えないのですが、実は、研究の重要な物理的バターンの実証を果たしたのは、ロシア人物理学者でした。
そして、イギリス人科学者もロシア人物理学者もどちらも女性でした。
比較的最近の記事、
・オランダの女性たちが発見した奇跡のエネルギー生成 : 生きた植物と生きた微生物と水のコラボレーションが生み出した驚異の発電法 - Plant-MFC
2015年07月04日
他、いろいろとそうなんですが、最近は女性の研究発表の重要性が著しいものがありまして、私は、「その研究の主導が女性によってなされたかどうか」ということを重視する傾向にあります。
まあ、今回の研究は、女性だどうだということを別にしても重要なものです。
おそらく、今までの「寒冷化」説の中で、もっとも科学的で、もっとも実証的なものです。
小氷期の到来が、もはや疑う余地がない段階にまで来ていることを感じます。
ちなみに、地球が「温暖化」に向かうなら、作物栽培や食料供給には良い面が多いですが、「寒冷化」は、その逆となり、過酷な地球環境が考えられます。
食料は不足する、病気も増える、経済も多分冷え込むなどで、「生きることが楽ではない世界」ということも考えられないではありません。
もし、近いうちにミニ氷河期に入るのであるなら、先ほど書きました、「自立した生き方」というのは、ますます重要になってくるように思います。
この数年唱えられ続けていたミニ氷河期突入説
イギリス王立天文学会での、英国ノーザンブリアン大学のヴァレンティナ・ジャルコヴァ教授( Prof Valentina Zharkova )によるミニ氷河期突入の発表については、7月22日の日経ビジネスでも特集されていましたので、短く抜粋しておきます。
ヴァレンティナ・ジャルコヴァ教授

・Research Gate
オリジナルは長い記事で、下はその冒頭部分の抜粋です。
地球は2030年からミニ氷河期に入るのか?
日経ビジネス 2015.07.22
2030年頃から地球はミニ氷河期に突入する――。
英ウェールズで7月9日に開かれた王立天文学会で英国の研究者が驚くべき発表をした。今後15年ほどで太陽の活動が60%も減衰するというのだ。英テレグラフ紙を含めたメディアは「ミニ氷河期に突入」というタイトルで記事を打った。
研究発表をしたのは英ノーザンブリアン大学のヴァレンティナ・ジャルコヴァ教授。太陽の内部にある磁場の変化によってミニ氷河期が訪れる可能性を示唆した。
同教授によれば、太陽内に2つの異なる磁気波があることを発見。2波は周波数が異なるが、両波ともに11年周期で変化するという。ジャルコヴァ教授は両波を基に太陽活動の動きを探る新しいモデルを確立した。精度は97%だという。
このような、
地球は 2030年代をピークとする数十年続く寒冷期に入る
という説に関しては、2011年に、 NASA マーシャル宇宙飛行センターのデイビッド・ハザウェイ博士という太陽物理学者が Earthfiles とのインタビューで語ったことを、
・あらかじめ予測されていた小氷河期の到来
2011年11月07日
という記事で、何度かにわけて記したことがあります。
デイビッド・ハザウェイ博士

・NASA
しかし、ハザウェイ博士は、太陽活動の低下による地球寒冷化になるという予測はあるにしても、「確定的なことは何もない」としていて、こちらのページでは、
[記者からの質問] もし、太陽活動がサイクル25から極小期に入るとすると、気候は氷河期に戻ってしまうのでしょうか?
[返答] その質問に対しては、「太陽が気候にどのくらい影響するものなのか」ということがはっきりとしていなければ答えられないのです。
[記者からの質問] 太陽は太陽系の中で唯一、熱を与えているものなので、地球の気候にも大きな影響を及ぼすのではないのでしょうか?
[返答] 仮にそうだとしても、その割合を誰も知りません。現在わかっていることは、地球が受ける太陽のエネルギーの変化というのは、少なくとも、光度、温度については、1パーセントの10分の1程度しか受けていないということがあります。
現在では、雲の生成が宇宙線と関係している可能性が出てきており、「雲の存在」は地球の気候に大きく関係します。太陽からの紫外線などのエネルギーがどれだけ変化しても、雲などの影響のほうが地球の天候に大きな影響を与える可能性があるということです。
としていて、太陽活動が縮小した場合でも、その影響は「不明」だとして、「ミニ氷河期が来るかどうかはわからない」と述べていました。
上のハザウェイ博士の、
> 少なくとも、光度、温度については、1パーセントの10分の1程度しか受けていない
というのは、観測的な事実でもあります。
表面的な数値だけを見れば、太陽の日射量の変動が気候変動に与える影響は「たった 0.1 パーセント」ということで、太陽活動の地球の環境変動への影響はとても小さいと言えます。
下は、東京大学宇宙線研究所の宮原ひろ子さんが 2008年に書かれた「中世の温暖期と近世の小氷期における太陽活動と気候変動 - 樹木年輪中の炭素同位体の分析から」という論文からです。

・中世の温暖期と近世の小氷期における太陽活動と気候変動
あるいは、「太陽活動が低下すると、曇りの日が多くなる」という事実もあります。
これは、
・太陽活動が低下する
↓
・地球への宇宙線の到達量が増える
↓
・宇宙線が増えると雲が増える
という「宇宙線」が関係した流れとなっていて、曇りの日や雨の日が増えますと、気温は低くなりやすい気もしますので、そのあたりもどう関係あるのか、など、太陽活動と地球の気象との関係はいろいろあります。
宇宙線量の変化と地球の「雲」量の変化の相関関係

・Climate Change Controversies
上の図にしては、過去記事、
・「宇宙線が雲を作るメカニズム」の一部を欧州原子核研究機構 CERN が解明
2011年08月26日
などをご参照くだされば幸いです。
さて、今回、アメリカの Astronomy Now (今日の天文学)という科学メディアに、「モスクワ国立大学ニュースリリース」の内容と共に、今回の研究の主要メンバーであるモスクワ国立大学の物理学者であるヘレン・ポポワ博士( Dr. Helen Popova )についても紹介されていました。
このヘレン・ポポワ博士はお美しい方ですが、今回のためにおこなった業績は、その美貌をさえ忘れさせてしまうほど、きわめて重要なものです。
ヘレン・ポポワ博士

・Astronomy Now
彼女は、今よりずっと以前に、現在の太陽サイクルであるサイクル 24の「黒点数の予測」を、太陽の電磁波の観測から数学的解析で導かれる結果により、
将来の黒点数を予測し、その通りになった
のです。
さらに、サイクル24の黒点数の正確な予測に成功したヘレン・ポポワ博士は、今の次の太陽サイクルである「サイクル25」のパターン解析に着手したのでした。
前回と同じ手法での精度が正しければ、「ほぼ正確に次のサイクルの黒点数を予測できる」ことになります。
それによって、ポポワ博士は、
「次の約 30年間ほどの間の黒点数が、マウンダー極小期と同じ程度の黒点数になる」
という結果を導いたのでした。
その精度、つまり、ミニ氷河期が訪れる確率は 97% としています。
モスクワ国立大学ニュースリリースの内容を紹介した今回の報道は、難しい内容ですが、西側で報道された内容よりは、さらにそのメカニズムを詳しく説明していて、「ミニ氷河期は近い」ことを感じさせるものです。
Diminishing solar activity may bring new Ice Age by 2030
Astronomy Now 2015.07.17
太陽活動の低下が 2030 年までに新たな氷河期をもたらす可能性がある

17世紀から 18世紀の初めに世界を凍結させた「小氷期」と呼ばれる時期と同様の厳寒の世界が 2030年から 2040年にやってくると予測されている。
これらの結論は、モスクワ国立大学核物理研究所の物理学者ヘレン・ポポワ博士らを含む国際的な科学者のグループによって、ウェールズのランディドノーで開催された国立天文学会議において、ノーサンブリア大学のヴァレンティナ・ジャルコヴァ教授によって発表された。
太陽は、独自の磁場と、時間的に変化する振幅と空間構成を有することが知られている。
それは、太陽からの電磁放射の変化による太陽大気の変化の結果による強力な磁場の形成と崩壊や、太陽からプラズマの流れの強弱、太陽表面の黒点数などだ。
そして、太陽表面の黒点数の変化の研究によれば、それは 11年毎に変化する周期性を持つ構造を有しており、それはまた、炭素 14、ベリリウム 10 他の同位体分析などの地球環境への影響をも有する。
太陽活動はいくつかのサイクルを持つが、それらは各サイクルで異なる期間、および特性を持ち、たとえば 11年サイクルや 90年サイクルなどが知られている。
11年周期の太陽サイクルでは、11年ごとに太陽表面の黒点数が減少する。
過去 90年の黒点の変化を見ると、11年サイクルの黒点の数が周期的に減少していることがわかっており、50%から 25%減っている。
17世紀には、およそ 1645年から1700年頃まで続いた「マウンダー極小期」と呼ばれる太陽活動の長期にわたる減少期間があった。通常なら、40000個から 50000個は出現する黒点が、このマウンダー極小期には 40 から 50 個しか出現しなかった。
太陽放射の最大値と最小値は、黒点の数の最大値と最小値と、ほぼ一致することを示す(黒点が少ない時は、太陽放射が少ない)。
研究者たちは、太陽活動のサイクル 21からサイクル 23までの3つのサイクルの完全な磁力記録から、すべての背景磁場を分析した。研究者たちは、データの分散の 40%をカバーする分析の新しい方法を開発した。これは、主な太陽の磁気波がペアで生成されていることを明らかにするのに役立った。
主成分のペアは、太陽の双極子場の変動の原因であり、11年の太陽活動中に、太陽の極から極へと、その極性が変化する。
電磁波は、太陽の北半球から反対へと移動する、あるいは、南半球から反対へ移動し、その際、サイクル数と共に波の増加の間の位相の変化を有する。それぞれの波は、半球で互いに相互作用する。
科学者たちは、この分析式を導くために管理し、これらの2つの波の進化を説明し、太陽活動の本来の代理の変化と関係した要約曲線から、太陽黒点の数を算出した。
そして、この式を用いて、科学者たちは観測から派生した主成分と比較して、サイクル 24の磁気活動を予測し、それは 97%の精度を示した。
サイクル 24の磁気活動からの黒点数の算出の成功に触発され、研究者たちは、次の2つのサイクル「サイクル 25」(次の太陽サイクル)と「 26」の磁気の波を予測したところ、この2つの太陽活動サイクルでは、黒点が生産される数が低い可能性であることがわかった。
これは、2030年から 2040年頃の太陽活動が 17世紀のマウンダー極小期と同様になることを示している。マウンダー極小期には、本来なら 4万から 5万の太陽黒点が出現するところに 50個から 70個しか黒点が出現しなかった磁気だが、2030年頃は、この時と同様な急激な太陽活動の減少につながると予測される。
1677年に凍結したテムズ川

太陽活動の新たな減少は、太陽放射照度の低下につながる。これは、地球の顕著な冷却と非常に厳しい冬と冷夏をもたらした「小氷期」と呼ばれる状態と一致することを示す。
太陽磁気活動の進化の独特な物理数学的モデルを開発し、太陽活動全体としての最小値の出現パターンを得るために、それに物理的解釈を与えたモスクワ国立大学のヘレン・ポポワ博士は言う。
「マウンダー極小期の時代には、テムズ川やドナウ川が凍結し、モスクワ川が半年ごとに氷で覆い尽くされました。この時同様の太陽黒点の減少が観察される場合、これは地球の大気の同様の冷却につながる可能性を指摘することができます」

・ヘレン・ポポワ博士。
気候への太陽活動の影響について既存の理論に該当する場合、ヘレン・ポポワ博士によると、この太陽黒点最小値は、マウンダー極小期の際に発生したものと同様の重大な地球の冷却につながるという。
この冷却現象は、次の 5年〜 15年以内に発生する可能性がある。
ポポワ博士は述べる。
「私たちの時代の将来の最大の気温の低下は、次の3つの太陽サイクル( 25、26、27)に訪れることを示し、それはこれからの約 30年間です。それらの期間の気温は、マウンダー極小期ほど低くはならない可能性もあります。しかし、私たちは、それを真剣に検討しなければなりません。私たちは、ロシアの気象学者たちとコンタクトをとり続けるつもりです」