2015年08月12日



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風邪の中で考える「病気と人間と子どもと医療の未来」・・・今、乳幼児の4人に1人がアレルギーのために卵を食べていない



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biotechin.asia






 



風邪は自分自身が必要のために引き入れているのだから

毎年決まったように 8月7日が私の誕生日なのですが(毎年違ったらこわいわ)、その翌日あたりから風邪を引いて今にいたります。

これが引き始めは、過去数十年で最強クラスの「喉の痛み」で始まりまして、最初は水を飲むのもやっとのほどでした。

「ああ、こういう喉の痛みは子どもの時以来だなあ」

と、感慨深く思いながら、前回の記事「地球を作り替えるために「悪に感謝する」こと。そして…」を思い出し、

「この痛みにも感謝しなきゃならんのかねえ。難儀じゃのう」

と呟く日々でした。

ただ、最近は「風邪を引く」ということの意味の中に、「穏やかに治す楽しみ」というものも加わりまして、どうせ、ここまで症状の激しい風邪(口惜しいことに熱は大した出ませんでしたが)は、そうそうケロッと治るものでもないでしょうし、どのようにしようかと考えるのはなかなか楽しくはあります。

それに加えて、何だかいろいろやることも多く、なかなか思うようにならないうちに、あっという間に1日が終わります。

「風邪がはやっているのかなあ」と調べてみても、子どもの病気では、手足口病など大流行しているものもあるようですが、普通の風邪が特に、はやっているようなものもないようですが、ただ、何よりも、風邪も含めて、ウイルスというのは、ウイルスが人間に侵入するのではなく、

「人間のほうがウイルスを体に取り入れている」

というものである限り、風邪は必然で引いているというか、「自分から積極的に引いている」という生きるための作業であることは言えるかもしれません。

この「人間のほうがウイルスを体に取り入れている」については、過去記事の、

21世紀のパンデミック: ウイルスが人を選ぶのか? 人がウイルスを選ぶのか?
 2013年04月08日

の中で、フレッド・ホイル博士の著作『 生命(DNA)は宇宙を流れる』から抜粋したことがあります。

下はその一部です。


フレッド・ホイル著『 DNA は宇宙を流れる』 進化のメカニズム より

われわれが「ウイルスは宇宙から来た」と言うと、決まって、「地球外からやってきたウイルスが、どうして地球の宿主を知っているのか?」と反論される。

ウイルスが増殖するには宿主となる生きた細胞が必要不可欠だが、インフルエンザ・ウイルスをはじめとする一部のウイルスは、特定の動物の特定の細胞や器官にしか感染しないという、きわめて気難しいところがあるからだ。

したがって、彼らが言っているのは、「地球外からきたウイルスが、地球で見つけるべき生物、あるいはその細胞を知っているのは、なぜか?」ということなのだ。

この問いに対しても、われわれは答えを用意している。ウイルスが宿主を選ぶという彼らの前提が間違っているのだ。

われわれは、宿主のほうがウイルスを選んでいるのだと考えている。

地球にはじめて落ちてくるウイルスが、あらかじめどんな宿主に遭遇するか知るよしもないことは当然だ。けれども、宿主たるわれわれは、もともと宇宙からやってきたバクテリアから進化した存在であり、このような事態に備えた機構を持っているはずなのだ。それが免疫機構なのだとわれわれは考えている。

これは、ウイルスについての従来の見方を、根本からくつがえす考え方だ。



ということで、ウイルスに関しても「人間が主体」ということで、たとえば、風邪、あるいは「熱」は体を治している(参考過去記事)ということを最近知るに至り、「病気の症状は本来は、体を回復させている良い現象」であることがわかったわけです。

こういう面から考えますと、人間が(意識レベルではないですけれど)自分でウイルスを取り込むということには、それほど違和感がない気もします。

私も、何らかの「必然」で風邪を引いたわけで、そのあたりの必然の源を考えたりしています。

そういえば、風邪関係で検索していたら、医療系の情報サイトに下のような記事が出ていました。
アメリカでも、風邪に対しての抗生物質の処方が増加しているようです。


風邪に無駄な抗生物質を処方? 減らそうと努力しても年々増加 より
Medエッジ 2015.08.11

研究グループは、2005年から2012年の間に、急性呼吸器感染症と診断を受けた人のうち細菌の感染率が低く、主にウイルスを原因とする症状の軽い人を対象として、どのような薬が処方されていたのか傾向を調査した。

抗生物質を処方された人の割合を調べたところ、結果として2005年67.5%から2012年において69.2%となっており増えていた。マクロライド系の抗生物質の処方は特に増えており36.8%から47.0%となっていた。

マクロライド系抗生物質は、副作用も少なく幅広い細菌に使用できることから使用が広まっているが、最近では子どもへ多く処方され過ぎることに心配の声も上がっている。



これは、文中の

> 主にウイルスを原因とする症状の軽い人を対象として

とあるのが肝で、抗生物質はウイルスには効きません。
それなのに出しているという不毛性の話です。

抗生物質は細菌を相手にしているものですので、ウイルスでの風邪に抗生物質を投与しても意味がない・・・だけならいいのですが、意味がないだけではなく害があります。ウイルスを相手にできない抗生物質が体内に入った場合、「人間がもともと持つ細菌や微生物を殺していく」ということになってしまうようなのですね。

どのように考えても、風邪に抗生物質は無駄なのですが、しかし、たとえば、日本でも、医者もそうかもしれないですが、「親が、風邪の子どもに抗生物質を欲しがる」例が多いようです。


にしむら小児科「乳幼児の抗生物質投与について」より

当院の外来にも様々な患者さんが来ます。
熱が出たから抗生物質を下さい、というお母さんもいます。

こちらは戸惑います。なぜ? 抗生物質など飲んでも良いことは一つもないのに?

だけど、お母さんの意思は固く、抗生物質を出さないと、他の病院に行ってもらいに行く始末です。

いかなるカゼも自然治癒するのです。

カゼ⇒自然治癒 は普通の経過ですね。

しかし カゼ⇒抗生物質⇒治癒 としたらどうでしょう?

誰でも抗生物質を飲んだから治った、、と思いますよね。

これは“関連性の錯誤”という心理的エラーです.カゼを引いたときにいつでも抗生物質を飲んでいると、心理的エラーを繰り返すことになり,カゼが自然に治るというのを信じられなくなるのです。



このお医者さんは、抗生物質というより、子どもに対しての風邪薬全般を否定されていますが、それでも、親は欲しがる傾向にあるようです。




子どもや赤ちゃんへの医療が未来に落とす影

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philanews.com


日本でも、かなりの割合で、風邪に対して抗生物質が処方されるのが現実ですが、少し調べてみますと、最近では、先ほどのように、小児科のお医者さんなどで「風邪に抗生物質の投与はダメです」と述べている方々は多いです。

さきほどの、にしむら小児科のサイトでは、「乳幼児への抗生物質投与がいかに有害なものか」を、大変長く丁寧に説明してくれていますが、その最も大きな理由は、

人の体は、もともとが細菌によって守られている

ということです。

抗生物質は、その人体にもともとある細菌を攻撃してしまうのです。

この小児科のお医者さんの文章が気に入って、他のページも見てみますと、下のような記述に辿りつきました。


食物アレルギーが増えたわけ

食物アレルギーが増えています。昨年末に大規模な調査を行ったのですが、なんと1歳のお子さんの4名に1人は卵を制限しています。その他の牛乳や小麦、大豆などを制限している子どももたくさんいました。中にはアレルギーの原因になるものは一切食べてないという子も。

もちろん、親御さんの判断でアレルギーが怖いから食べさせていないわけです。

この状況はあまりにもおかしいですね。なぜこうなってしまったか、できるだけわかりやすく解説します。



これが書かれたのは最近のことのようで、つまり、昨年というのは 2014年のことだと思うのですが、

「1歳のお子さんの4名に1人は卵を制限」・・・?

4人に1人の子どもがアレルギーで卵を制限されている?
小麦、大豆などのアレルギーの赤ちゃんがたくさん?

実際、東京都が 2014年におこなった、アレルギー疾患のある子供に関する調査をしました〜3歳児全都調査と保育施設等を対象とした施設調査〜には、

> 3歳までに何らかのアレルギーの症状が有り、かつ診断されている児は約4割であった

という記述があり、非常に高いアレルギー率となっているのですが、これは、さきほどの小児科のお医者さんが、「なぜこうなってしまったか、できるだけわかりやすく解説します」と書いてありますように、実は文字通りの話とは少し違うようです。

花粉症の人などが行う RAST 検査というアレルゲンを調べる検査があるそうなのですが、大人はともかく、赤ちゃんで「検査で高い反応が出る」ことは特別なことではないそうなのです。

それでも、親は、赤ちゃんのアレルギーを気にしているわけですから、検査した結果、高い数値などが出た場合、医師から「では、その食べ物を制限していきましょう」と言われれば、そういう「〇〇を食べさせない」という育て方をすることになる。

ところが、このやり方は、どうやら「その子に一生に及ぶ間違いを歩ませてしまう」可能性があるのかもしれないのです。

RAST検査
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にしむら小児科


いずれにしても、このように RAST 検査が赤ちゃんに広がった結果が先ほどの現状、つまり、

「4人に1人の乳幼児が卵を食べない。あるいは、多くが小麦と大豆を食べない」

という異常事態につながっているようです。

しかし、上の文書を書いたにしむら小児科の医師によれば、赤ちゃんの時からの食事制限は間違った方法で、赤ちゃんの時だからこそ、赤ちゃんには「少量ずつ食べさせて慣れさせること」こそが大事だと述べています。

しかし、現実は下のようなことになっていると医師は書きます。

まれに、子どもをアレルギーにしたくないからと、原因となりそうな食物を多種類除去している保護者がいます。

しかし、それは逆にアレルギーを作っているようなものです。免疫システムは生後6ヶ月から2歳くらいまでがもっとも活発に活動します。この時期に不要な除去をすることは,赤ちゃんの生涯にまで影響してしまうかもしれません。

> それは逆にアレルギーを作っているようなものです

というようなことになり、一番大事な免疫システムの構築段階の赤ちゃんの時代に「その免疫の構築ができなくなってしまう」ということにつながる可能性があるようです。

赤ちゃんの食物アレルギーを防ぐもっとも確実な方法は、結局は「食べさせる」ということだそうです。

文書のシメは、

保護者は不安感からアレルギー検査を求める、医師の方もリスクを避けるために除去食を勧める。しかし、本当に考えてあげなければいけないのは、子どもの未来です。健全な成長と発達のために、何をしなければいけないのか、良く考える必要がありますね。

さて、そろそろ結論です。食物アレルギーが増えたのは、多くの人がRAST検査を希望し、除去しなさいという指導が普通になってしまったからです。“子どものため”と熱心にアクションすることは、かえって子どもを苦しめることも多いのですが、食物アレルギーはその典型例です。

となっていました。

最近の小学生などで、重度の食物アレルギーがものすごく増えている原因もそのあたりにあるのかもしれないですね。赤ちゃんの時に行った「除去食」で、正常な免疫システムが作られなかった、という部分はあるかもしれません。

先の文章は、全体として、かなり専門的で長いですが、小さなお子さんをお持ちで、アレルギーが気になる方は読まれるとよろしいかと思います。こちらがリンクです。

もちろん、子どものアレルギーに関しても、いろいろな医学的なさまざまな考えがあると思いますが、いかにも西洋医学的な「不要なものは除去すればいい」という発想は、あまりいいとは感じません。


ああ・・・気づくと・・・これは、自分の風邪のことを、ちょっと余談として書こうとしたら、えらい長さになってしまいました。


それにしても、乳幼児の4人に1人がタマゴを食べていないというのも、何だか大変ですが、「小麦と大豆を制限している」って子どもたちも、やっぱり、それらは慣れさせていかないと、世の中で生きていけないですよ。

医療は、もちろん、良い面もたくさんあるでしょうけれど、先ほどの「子どもへの抗生物質投与」にしても、RAST検査の反応で、赤ちゃんの時から食事制限を始めることで免疫力の構築に問題を発生させ、一生をアレルギーで過ごすことになるかもしれないことをしてしまっている、ということもそうですが、こういうことが起きている根源は、悪意というより、

人間の本質的な強さを信じていない医療

という根源から、

人間の自己治癒力より「薬」と「検査」の方が優れている

という現代医療が「何を神様としているか」ということの問題でもありそうです。

主軸は薬ではなく人間(人間自身が自己治療マシン)であり、ヒポクラテスの言うように、「人間の自己治癒力を高めるのが医療」という方向がやはり正しいと確信します。

ちなみに、風邪薬以外でも、精神系の薬に関しても、厚生労働省の医師への調査では、「小学校入学前でも精神薬を処方する」と答えた医師が「全体の3割ほどもいる」というような統計もあります。

子どもへの精神薬投与に関する医師へのアンケート
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子どもの薬物療法


大人でさえ大きな副作用と強烈な依存性に陥る精神薬を幼稚園の子どもにも出すと平気で答える人たち・・・。

このような現実とかもありますが、これを避けることができるのは、基本的には親の考えと行動だけです。

参考記事:ブラック・フラミンゴが現れた地球。そして、数百万人の「ベンゾジアゼピン依存症」が作られている日本(私も危なかったのです)

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子どもが薬をいやがる事実を考えてみると

思えば、私は幼児の頃から小児ぜんそくでしたが、薬は嫌いでした。

うちの子どもも、ほとんど飲んだことはないとはいえ、薬が嫌いで、ほぼまったく受けつけないので、諦めたことがありました。

今思えば、こういう「赤ちゃんや子どもが病院の薬をいやがる」というのは、実はとても自然な反応かもしれないということもわかります。苦いとかそういう以前に(というか、最近の子ども用の薬というのは苦くないものが多いはずです)、

「それは体に入れたくない」

という人間的な本能の反応なのかもしれないですね。

たとえば、下みたいな記事があります。

子どもが飲み薬を嫌がる 約6割の親が経験 散剤で最も多く 日本調剤まとめ
ミクス online 2015.07.27

日本調剤はこのほど、乳幼児を持つ親の約6割が、子どもが飲み薬を嫌がったり、飲まなかったりした経験があるとの意識調査結果を公表した。薬を嫌がる子どもは年齢が上がるほど多い傾向で、3歳以上で嫌がったケースは7割近くとなった。嫌がった薬で最も多いのが散剤(84%)、次いでシロップ(38%)だった。

> 薬を嫌がる子どもは年齢が上がるほど多い傾向

とあり、自我の確立と共に本格的に薬をいやがるようになっていく。

・・・ですが、多くの日本人が、かつての私のように大人になったら薬漬けになりますが。

まあ、まだ5歳くらいまでの子どもたちは、社会的教育を受けていないので、「病院という権威」などないですし、「人間として必要な本能だけで生きている」のだとすると、子どもが薬をいやがるというのは、とても重要なことかもしれないです。

それが、大人になるにつれて、平気で薬を大量に飲むようになるのは、社会で生きていく上で、「病院は権威である」とたたき込まれて、

「病院にいけば病気は治る」という幻想

を植えつけられてしまうからかもしれません。

最近の記事もそうですけど、「病気は自分で治すもの」だという、これが幻想でも構わないですが、この意識を持つこと持たないことでは、人生に対しての見方が本当に違いますよ。

子どもと本能といえば、安保徹さんの『著作』の中に、

なぜ、子どもはピーマンが嫌いなのか」

ということが書かれてある部分がありました。

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ピーマン


安保徹『人が病気になるたった2つの原因』より

子供がピーマンや人参のようなクセのある野菜を苦手にするのは、解毒作用を司るミトコンドリア系がまだ未熟なために、クセのある野菜に含まれるポリフェノールを上手に処理できないからです。

無理やり好き嫌いを改めさせようとしても、子供が嫌がるのは、わがままだからではなく、本能的な反応とともにミトコンドリア系が整っていくので、放っておいても自然にクセのあるものも食べられるようになる。このことがわかっていれば、お母さんのストレスも軽減するでしょう。



ということで、この下りから考えると、好きで食べているのであれば問題はないでしょうが、小さな子に、嫌がっているのを無理やりピーマンなどを食べさせることは、むしろ健康にも良くなさそうです。

私自身、小さな頃は野菜なんか全然食べなかったですが、成長するにつれて、嫌いものはひとつもないというふうになりましたので、放っておけば問題ないと私も思っています。

あるいは、かつて、知り合いでいた過度な偏食の人たちは、むしろ小さな時に無理やり食べさせられていたようなことが多かったそうで、何事も自然がいいとは思います。

うわあ、何だか余談のままここまで来てしまいました。

まあしかし、風邪を引いている時くらい、余談で突っ走るのもいいかなと。

次回あたりから普通の更新に戻ることができると思います。