・noeliatours.es
見たこともない経験したこともない社会が10年後に現れる
先日、初対面の男性と用事でお会いしていた時、大体、私と同じくらいの年齢のその人も割と長くパニック障害で、薬を飲み続けているとおっしゃっていました。
それで私は、
「精神系の薬はどんなものであれ、長く連用していると、物忘れなんかが結構キツくなる可能性がありますよ」
と言うと、その方は、「いやあ、最近、物忘れがちょっと冗談にならないほどのことがあるんですよ。関係あるのかなあ」とおっしゃっていました。
物忘れに効果のある方法に関しては、手近なところで、
・人体を神と同等と見る西洋医学の理想的な未来。そして、抗コリン剤の氾濫でおそらく認知症が増え続ける今後のための「認知症と物忘れの治し方」
2015年04月03日
という記事の後ろのほうの「物忘れがひどくなった時に」というセクションで、
眠る前に、寝室をエッセンシャルオイル(精油)を噴霧させて、香りが充満した部屋で眠る
という方法をご紹介したことがありました。
これは、当時、うちの奥さんが、わりと冗談にならないような物忘れをすることが続いていて(手帳に書いてあるのに、仕事の待ち合わせがあることそのものを忘れたり)、私もやや心配になり、偶然ついていたテレビ番組で知った、この方法を試してみたのです。
それで、1ヶ月目くらいから、彼女の物忘れが少なくとも「冗談で済む」程度のものまで改善しまして、効果のある実感がありました。
この治療法の原理は、脳の海馬と「匂い」の関係にあると考えられますが、実は、脳の海馬は、「匂いにだけ反応するのです。海馬と扁桃体は音には反応しないで匂いに反応するという記事には、
においと記憶には密接な関係があり、五感の中で嗅覚だけが海馬や扁桃体と直結しているそうだ。においが記憶力を高める鍵になるということか。
とありますが、「においが記憶力を高める」というのは確かだと今は思います。
就寝前のエッセンシャルオイルを始めて1年半くらいか、それ以上経つと思いますが、今後もずっと続けようと思っています。
とまあ、このことをその時に会った方に言うと、興味深そうにしていました。
まあ、私も若い時からずいぶんと薬を飲みましたが、同じような人が多いと思われる今の世の中は 40代、50代くらいでも「記憶に関して危うくなっている」という人たちが結構いるような気がします。
理由は、下は、ひとつの例ですが、「薬を飲む人がこの 20年ほどで急増した」ことが、大なり小なり関係していることは間違いないと思われます。
抗うつ剤市場規模の推移
・サイエンスジャーナル 治験薬年報 ai Report 2011
上の抗うつ剤の例では 10年ちょっとで、下手すれば 10倍に迫る増え方です。
しかも、他の精神系の薬や、あるいは、あらゆるジャンルの薬の消費もほとんどがうなぎ登りで、アメリカの調査でも、こちらの記事に、アメリカの大規模調査の報道を載せていますが、
認知症およびアルツハイマー病の発症と、抗コリン作用薬の使用状況の関係を調べたところ、抗コリン作用薬を長期間にわたって多く使用するほど認知症のリスクが増していた。
というように、薬と認知症の関係が次第にはっきりとしてきています。
抗コリン作用薬というのは、市販のかぜ薬から、痛み止め、多くの精神薬、あるいは湿布や目薬など、ほとんどの西洋薬が含まれます。
特に、毎日継続して飲むようなものが良くないようです。
私も過去、ものすごくたくさん薬を飲む生活をしていたので、リスク要因を十分に持っているわけですが、私個人のことはともかくとして、日本人全体の、様々な薬の消費が下げ止まらない中、この先、私たちは、
未曾有の認知症大国の中で生きていく
ことは避けられないと思います。
厚生労働省の予測では、10年後( 2025 年)の日本の認知症高齢者の数は「 700万人」とされていますが、それはこれまでの増加を元にした推計で、日本の薬の消費の過去 10年くらいの「激増」ぶりを見ていると、認知症の高齢者の人々の数は上振れすると思います。
つまり、10年後の日本の認知症の高齢者の数は 800万人以上になっていても不思議ではないと考えます。
10年後は、私の子どもが成人を迎える年ですが、なかなかエキサイトな時代に突入する中で大人になっていくということのようです。
そんなわけで、終始一貫したテーマはないかもしれないですが、認知症と高齢化を突き進む日本のいくつかの報道やデータを見ながら、日本の未来を想像したいと思います。
北海道出身の私が考え込んでしまったデータ
ところで、先日、いろいろとグラフなどを見ていましたら、北海道出身の私には、少し興味深いデータを見つけました。
下は「人口1万人あたりのうつ病の患者数の県別の順位」を色で示したものです。赤くなればなるほど、うつ病の患者数が多く、青くなればなるほど、少ないことを示します。
人口1万人あたりのうつ病の患者数の県別の順位
・都道府県別統計とランキングで見る県民性
北海道がダントツで真っ赤です。
正確には、人口1万人あたりのうつ病患者数(小数点以下は省きました)が、
1位 北海道 138人
となり、2位が鳥取県、3位が島根県となっています。
その逆に、もっともうつ病患者数が少ないのが岡山県で、人口1万人あたりのうつ病患者数は 41人。
北海道は、岡山県の3倍以上のうつ病患者率を有しているということになります。
どんな病気にしても、同じ国の中で「3倍」の差があるというのはすごいです。
北海道のうつ病患者の割合は、人口の約 1.38%だというところから単純に計算すると、たとえば、札幌の人口は 191万人ほどですが、札幌だけで2万6千人ほどのうつ病患者がいるということになってしまいます。
うーん、なぜ、北海道に多いのか。
北海道出身の私にも、ここまで他と差がある理由が想像できません。
「日照や雪の多さと関係あるのでは」という意見もあるそうですが、しかし、上の地図の分布を見ていますと、同じような気候の青森は特に多くはないし、うつ病の多い地域は全国バラバラに広がっていて、気候や日照が関係あるとは思えません。
そして、
「うつ病だけではなく、精神疾患全般ではどうなんだろう?」
と、厚生労働省の統計を見てみますと・・・こちらもなんですね。
これは、精神疾患での入院患者の数ですが、精神疾患に関しても、北海道は何もかも上位で、特に精神科の病院の数は全国第1位なのです。
全部の県を載せるのはサイズ的に難しいですので、上位の県だけですが、下のグラフがそれを示しています。
精神科の入院形態別患者数
・厚生労働省 平成20年度 入院形態別患者数
「うーん」と私は唸りました。
北海道は、好きな部分もそうでもない部分もそれぞれありますが、うつ病とか精神疾患がこんなに高いレベルで広がっているとは考えたことがなかったです。
あと、北海道って、何だか空気も良くて、何かこう、みんな肺とかもきれいな感じがするじゃないですか。そこに下みたいな統計もあります。赤ければ赤いほど、高い死亡率を示します。
人口10万人あたりの肺ガン死亡率の県別統計:男性(2012年)
・都道府県別統計とランキングで見る県民性
ここでは、1位こそ青森県(人口 10万人あたり 29人)ですが、北海道は第2位で、以下、鳥取、和歌山、大阪と続きます。
最も少ない長野県は 18人ですので、かなりの差があります。
理由については、時事通信などによれば、
塩分の多い食事、喫煙率の高さなどが関係している可能性があるという。
とのことですが、塩分はよくわからないにしても、喫煙率は、確かに北海道は日本で1位で、国民生活基礎調査(2014年)によれば、喫煙率の県別上位は、
1位 北海道 27.7%
2位 青森県 25.9%
3位 福島県 25.0%
となっていますけれど、しかし、タバコと肺ガンの関係は怪しいですからねえ。
なんといっても、この数十年、「喫煙率が下がれば下がるほど、肺ガンの死者は増えている」という現実があります。
1950年代からの喫煙率と肺ガン死亡者数の推移
・喫煙率と肺がん死亡数
これは、タバコが良いとか悪いとかを表していることではないですが、肺ガンとタバコは「無関係」ということを示しているように見えてしまうのですが、どうなんですかね。
まあしかし、肺ガンの話はいいとして、うつ病や、精神疾患で入院している人の数が北海道に極めて多いという理由は、今ひとつ、その原因となりそうなものを想像しにくいです。
そもそも、冒頭のような図を見つけたのは、「認知症が多い県はどこなんだろう」と、ふと思って調べていましたら、このようなことになってしまった次第です。
そして、冒頭に書きましたように、「薬の服用と認知症の関係は強い」ということを考えてみますと、現時点で、うつ病にしても精神疾患にしても、あるいは他の様々な病気も含めて、そういう人々が多い地域は、将来の認知症の増加とも関係してしまうはずです。
東京都健康長寿医療センター研究所の 2012年の資料に「2035年におけるわが国の都道府県別認知症高齢者数」という予測値の分布図が出ていましたが、これもやはり北海道が高いのですね。
2035年の都道府県別の認知症の高齢者の予測値
・認知症の総合アセスメント
東京が一番となっていますが、実数の予測ですので、人口が多い東京が一番になるのは自然で、しかし、東京の4割ほどの人口(約 547万人)の北海道の認知症率が高いというのは目立っています。
まあ・・・北海道の話が長引いてしまいましたが、たとえば、「 10 年」なんてのはあっという間だったりするものですけれど、今から 10年後の 2025年には「壮絶な人口構成」が現れるという予測が出ているのです。
圧倒的な人口構造の日本の未来
10年後の 2025年の日本の認知症の高齢者の数については以下のように予測されています。
認知症患者は2025年に700万人を突破。65歳以上の5人に1人
認知症ねっと 2015.01.09
厚生労働省は7日、全国で認知症を患う人の数が2025年には700万人を超えるとの推計値を発表した。65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症に罹患する計算となる。
認知症高齢者の数は2012年の時点で全国に約462万人と推計されており、約10年で1.5倍にも増える見通しだ。
となっていて、厚生労働省などの予測値では、今後の日本の人口構造がどのようになっていくかということに対して、日本の人口は、 2013年に 1億 2730万人だったのが、2025年には、1億 1662万人になるとしています。
今より 1000万人くらい減るということでいいのですかね。
そして、14歳以下の若者の数は、2025年には、今より 200万人くらい減っているということのようなんです。もちろん、出生率がさらに下がれば、さらに減ると思いますが、まあ、そういうことになりそうであると。
その間に、認知症の高齢者の数は、200万以上増えると予測されていますから、
若者が減った部分を認知症の高齢者が人口比として埋める構図
が浮き彫りになります。
これはですね、肯定的に考えれば、お年寄りがたくさんいる社会ということで、とてもいいことなのかもしれないですが、そういう方面の肯定的というよりは、もう
社会の破壊へと向かう人口比
が 2025年、今からたった 10年後には出現することになるようです。
そして、2050年(という年まで辿りつくかどうかは別として)という頃になると、全体の日本の人口は、今より 4000万人減少して、65歳以上の人口(予測 3460万人)が、14歳以下の人口(予測 791万人)の5倍近くに達する<
ということになります。
この「若者と高齢者の人口比」の過去 65年に関しては、厚生労働省のグラフを見ていると、切ない気分になる部分があります。
どんどんどんどん若い人たちは減り続け、どんどんどんどん高齢者人口は増え続ける。
しかも、10年後には、その高齢者の5人に1人が認知症です。
戦後のたった70年くらいでこうなっちゃったんですよね。
何がこんなことにさせたかの理由は様々でしょうが、高齢者問題は仕方ない面もあるとはいえ、認知症がこんなに増えるほうに関しては「自然ではない」ということはいえます。
日本でこんなにも認知症が増えた理由に関しては、ある程度言えるのは、
・薬
・慢性的な運動不足を含む「気」と血流の滞り
・松果体の石灰化
などが関係しているのは間違いないと思います。
これらに共通するのは「文明化によって生じたもの」という点です。
人々は歩かなくなり、動かなくなり、病気は薬で症状だけ取り去り、多大な化学物質は松果体を石灰化させて、土とふれる機会が減り、ストレスは溜まり続ける。
ガンも認知症も文明病だと思います。
この世から今の文明が消えれば、大半は消失するタイプの病気だと思うのです。
そして、やはり先ほど書きましたけれど、薬の消費が下げ止まる気配はない・・・という現状を考えますと、これから認知症がさらに増えるのは確実だと考えられそうです。
さらに、分子標的薬など(免疫の親である白血球のマクロファージをやっつけてしまうような)新しい薬が次々と発売されていますので、細胞へのダメージは今後も増加すると思います。
ですので、認知症の高齢者の方の増え方もさらに上放れし、あるいは「指数関数的」に増えていく可能性もあるのではないでしょうか。
なお、松果体とアルツハイマー病の関係は、
・多くの人類の松果体が破壊されようとしている現在に考える「多次元宇宙空間を理解する将来のために松果体を守るべき」時代
2015年02月22日
・ソルフェジオ周波数 528Hz に石灰化した松果体を正常に戻す可能性がある?
2015年02月07日
などに書いたことがあります。
また、今回のような記事を読まれましても「暗い気持ちになってはいけない」ということに関しましても、「幸せな記憶とうつ病の関係」に関しての米国マサチューセッツ工科大学の研究について、
・「肯定的記憶」の役割 : ノーベル賞受賞学者・利根川進 MIT 教授が発表した「幸せな記憶を呼び起こすことがうつ病を好転させる」こと
2015年06月30日
に記したことがあります。
日本にもたらされた、もうじきやってくる「壊滅的な人口構成」も、逆に見れば、「創造のための破壊」という未来の地球への最終段階ともとらえられる面もあるかもしれません。
そして、この状態を作りだした元凶が、戦後から始まった現代文明であることは間違いないと確信できる中で、それでも、今のこの文明を存続させる意義はあるのかどうかという、ひとりひとりの「考え」を促すことにもつながることではないかとも思うのです。