
▲ 2015年08月16日の中国 shanghaiist より。
中国で相次ぐさまざまな混沌
先日 8月12日に発生した中国・天津での大爆発は、爆発の規模自体もとても大きなものだったのですが、しかし、この爆発が「経済にかなりのダメージを与える」ということは、事故の直後には想定しませんでした。
この爆発のあった場所は、世界第4位の貿易量を誇る「天津港」だったということで、その巨大な港が、現在、完全に機能が停止しているのです。
中国天津港、大爆発で機能停止 日本企業、物流停滞の恐れ
Blogos 2015.08.15
日本貿易振興機構(ジェトロ)は14日、中国天津市の港湾部で12日起きた大規模爆発の影響で「天津港全体の機能がほぼ止まっている」と明らかにした。天津港は中国の主要港の一つで、日本など各国企業の物流が滞る恐れがあるほか、中国経済に悪影響が出ることが懸念される。
事故をめぐっては、消火活動の問題点が指摘されているほか、住宅地の近くに危険な化学物質の倉庫設置を許可した当局への批判が高まっており、習近平指導部は危機感を募らせている。
この天津という都市は、北京、天津、河北省を合わせた総人口1億人を超える大首都構想の中核拠点だそうで、また、この天津港というのも、浙江省寧波、上海、シンガポールに次ぐ世界4位の巨大貿易港だそうで、それに加えて、爆発のあった場所には「自由貿易試験区」というものがあり、港湾施設の整備が進んでいたらしく、今回のダメージは予想以上のもののようです。
そして、「 このまま天津港が使えなければ、東南アジアや欧州向け輸出が完全に止まる 」(日本経済新聞)とされているそうで、中国だけの問題ではなく、日本を含めて、かなり広範囲な影響となるようです。
通常の爆発でしたら、中国式人海戦術的な復旧作業で、比較的早く港も再開させられるのでしょうけれど、「猛毒の化学物質」が流出していることが確認された状況では、なかなか元通りになるには時間がかかりそうです。
それで、この天津の爆発事故がどういう原因によるものなのか、あるいは、実際の被害者の数も、おそらくわからないままに進みそうですが、何だかこの数日間の中国はひたすら荒れているのですね。
天津の爆発があった同じ日には、中国遼寧省で工業用タンクが爆発しました。
8月12日 遼寧省 鞍山 工業用タンクが爆発

▲ 2015年08月13日の即時新聞より。
そして、青島市でも。
8月16日 山東省 青島市 黄島 ゴム倉庫で火災

▲ 2015年08月17日の news.southcn.com より。
これは爆発ではなく、火災なんですが、報道によると、隣に「液化石油ガス( LPG )の補給所」があるらしいんですね。
それで、ここまでは火災や爆発なんですが、自然災害も大規模なのが、天津の事故と同じ日の前後に起きているのです。天津港での爆発と同じ 8月12日には、陝西省で 64人が行方不明となる大規模な地滑り。
8月12日 陝西省 商洛 地滑り

▲ 2015年08月12日の kazinform より。
さらに、天津の爆発の翌日 8月13日には、香港に近い東莞市で、高層ビルのすぐ隣に巨大なシンクホール(陥没穴)が発生して、数千人が避難するという出来事がありました。
これは動画がありまして、かなり大規模な穴が、わりと一瞬に作られる様子がわかります。
8月13日 広東省 東莞市 シンクホール
このシンクホールについては、地球の記録の「混乱に陥る夏の中国:天津の爆発、陝西省の地滑りに続いて、香港近くの都市部で大規模シンクホール」という記事に、写真などを載せています。
いくら広い国とはいえ、8月12日からの数日間の中国は、何だか荒れ過ぎな感じが漂います。
自然災害のほうはともかく、「中国と周辺国の経済活動の波乱」の原因のひとつとなってしまうかもしれない天津の爆発などを見ますと、あまり関係ないことですが、少し前の、
・サイバー黙示録:激化するアメリカと中国の「完全なる戦争」の中で
2015年08月05日
という、中国とアメリカが現在さかんにサイバー攻撃を相互に行っていることなども思い出したりします。
そして、冒頭の中国の報道のように、天津の爆発の原因や死者数などについて、様々なうわさが流れる中で、中国当局は、いくつかのサイトを強制的に閉鎖する、という行動に出ています。
冒頭の記事を簡単にご紹介しておきます。
China suspends or closes 50 websites for 'spreading rumors' about Tianjin blasts
shanghaiist 2015.08.16
中国政府は、天津での爆発について「うわさを広めた」として、50のウェブサイトを停止、あるいは閉鎖した
中国の検閲当局は、天津での大規模な爆発に見舞われた後、「危険な誤報」を流すウェブを浄化しようと努力している。
その仕事の印象的な効果として、当局はすでに、悪質なネット犯罪者たちに対しての処罰を発表している。
8月15日遅く、中国のサイバースペース管理局( CAC )は、未確認の情報を公開し、デマを広め、パニックを引き起こしたとして、50 のウェブサイトを非難する声明を出したことを新華社が報じた。
これらのウェブサイトの中には「天津の爆発で、少なくとも 1,000名が死亡した」という内容の記事も含まれていた。
また、「天津のショッピングモールでは略奪が発生した」というものや、「天津の政治家のトップに変化があった」などと記されていた。
CAC は、これらのデマが、社会に悪い影響を与えると述べ、その中の 18 のサイトのライセンスを失効させ、サイトを閉鎖した。他の 32 のサイトは表示を停止した。
また、報道によれば、「爆発で 1,300 名が死亡した」とする内容を BBS に書き込んだとして、男性のインターネットユーザーが当局に逮捕され、5日間の刑務所行きを命じられたことを報じている。
また、今週初めに広がった「爆発での化学汚染物質が北京に向かっている」といううわさを中国検閲当局は封じ込め、それは、海(おそらく韓国)に向かうだろうと述べた。
中国検閲当局は、ウェイボー(中国版ツイッター)上での投稿の削除も行い続けている。
最も削除されている投稿は、現場で消火に当たった消防士の言葉として、水に反応する有毒な化学物質があることについてだ。これは雑誌のインタビューからの引用で、削除されるまでに約1万回リツイートされた。
汚染物質の正体についての憶測投稿も、順次削除されている。
ここまでです。
このように、中国当局もいろいろこちらの方でも奮闘しているようです。
株価のほうでも奮闘していますし、いろいろと奮闘しなければならないことは多いようです。
2014年から2015年という大量死の時代に
しかし、中国を含めて、この現在の 2015 年という年が、これまでのサイクル的な繰り返しを見れば、いろいろ波乱の要素は多いと予測されるということはあります。
・世界に溢れる「未来への否定的な態度」から肯定的姿勢を学べるか。ギリシャのデフォルト、中国市場の崩壊、戦争の足音、小惑星衝突…
2015年06月28日
という記事に、下の図を載せました。
20世紀以降のテトラッドで起こった主な出来事

これは、現在の私たちは「テトラッド」という4回続く皆既月食( 2014年4月15日から 2015年9月28日まで)の最中にいるのですが、20世紀に入ってから2回あったテトラッドの年には、イスラエル国家が認められ、そして、中国という国家が誕生しました。
あるいは、朝鮮戦争もベトナム戦争もこれらの時に激戦を迎えました。
このテトラッドに関しましては、
・赤い月と黒い太陽: 2014年から 2015年まで「4回連続する皆既月食」がすべてユダヤ教の重要宗教祭事の日とシンクロ。そして、過去の同じ現象の時に「イスラエルの建国」があった
2014年04月06日
という記事以来、たびたび、このことにふれてきましたが、20世紀以降のテトラッドの時期は、全体として、
人類の大量死の時代だった。
ということがいえまして、そして、おそらく、この1年4ヶ月くらいの間の現在のテトラッドの時代もまた、激しい大量死の時代だったといえそうな気がします。
激しい事故も多い時期でした。
・韓国セウォウル号の沈没(293名死亡 / 2014年4月16日)
・マレーシア機370便の失踪(239名行方不明 / 2014年3月8日)
・北朝鮮・平壌でマンション崩壊(約500名死亡 / 2014年5月13日 / 記事)
・マレーシア機が墜落される(298名死亡 / 2014年7月17日)
・台湾の復興航空機が墜落(48名死亡 / 2014年7月23日)
・台湾・高尾での大爆発(23名死亡 / 2014年7月25日 / 記事)
・エアアジア8501便の失踪(162名死亡 / 2014年12月28日)
北朝鮮のマンション倒壊事故を伝える中国紙

他にも挙げればキリがないでしょうけれど、いろいろな大きな事故がありました。
セウォウル号や、マレーシア機の2つの事故のように、結局、その原因などの真相はわからないままのものも多かった気がします。
マレーシア機に関しては、闇の組織「黒い手」なんてのが話題になり、記事にしたこともありました。
・闇の組織「黒い手」:マレーシア機MH370便の失踪前に警告を出していたベトナム人女優と、エアアジア8501便の「事故」を事前に警告した中国人の正体
2014年12月30日
そういえば、この騒動の発端は、それこそ「中国語」だったことを思い出します。「マレーシア機の次は、エアアジア機が危ない」という書き込みが BBS になされ、その2週間後、実際に、乗員乗客 162名を乗せたエアアジア機が消息を絶つという出来事があったのでした。
2014年12月15日の中国のBBS

・tianya.cn
その他、
・イスラエル軍のガザへの侵攻
・ウクライナ騒乱
・シリア、イラク他、各地での内戦
・ IS (イスラム国)の樹立
・タイの軍事クーデター
なども、この1年4ヶ月の間に起きたことです。
この「騒乱のテトラッド」も、あと1ヶ月と少しで期間が終わります。
そして、経済だの金融だの、あるいは火山だ地震だ、気象だ、というようなことに関しても、その「9月」というのは荒れそうな感じはあります。
ただでさえ、いろいろと厳しい中国、韓国、そして日本などの金融・経済状況に加えて、今回の天津港の爆発で、一部の物流が途絶える可能性が出てきたりと、この秋に大きな変化があるかもしれないことは、普通に考えても想像できます。
あるいは、「予言」などということを取り出せば、
・ブルガリア政府が国家機密を解除し公開された「ババ・バンガの2015年の予言」の内容と公開の背景
2014年11月24日
という記事の中に、ブルガリアの預言者ババ・バンガが以下のように語ったことが記されています。抜粋です。
ババ・バンガの2015年の予言
バンガによれば、2015年は、世界的なカタストロフを巻き起こす出来事がある。しかし、それは地球のすべての人類文明を脅かすものではないという。
バンガは現在の世界の2つの終焉について語る。
ひとつは、最後の氷河期以前の区切りだ。
もうひとつの時代の終焉は、2015年の中盤にやってくるという。
それがどのような悲劇なのかは謎のままだが、多くの犠牲者が出る。
また、バンガは、2015年に世界は深刻な経済危機に陥るだろうとしている。これは2つの大国間の緊張の原因となる。世界的な利害関係での紛争と、人が作り出した戦争に起因される大きな地球の変化がある。
このことが地球規模での破壊につながり、世界地図は書き換えられるだろう。
というような 2015年も4ヶ月と少し。
そんな波乱含みの展開となりながら進むのか、それとも、わりとすんなり穏やかに次の年へと進むのか。
それはわからないですが、9月という月は緊張感が出そうです。
しかし、どんな激しい状況になっていく可能性があるにしても、最近の記事にありますように、なるべく否定的に考えないというのは、これからの複雑な未来を「自立」して生きていくには大切なことだと思います。
アメリカ先住民のホピ族には、「生き残るための11の智恵」というものがあり、その中には以下のようなものがあります。
このようにすれば、厳しい時でも生きのびることができるということのようです。
Hopi Survival Guide
ホピの生き残るための智恵からの抜粋
「質素に生きなさい。物質文明に溺れてしまってはならない」
「自給自足しなさい」
「優先すべきものを見直して、慎重に選択しなさい」
「心で思うことは、そのことを実行することと同じだと思いなさい」
「命を尊重し、環境を神聖なものとする態度を持ちなさい」
それに加えまして、賢人たちの言う、
「否定的な感情を持つことを避けること」
ということなどを考えながら、最近の中国の一連の出来事や、世界の現状と未来を見つめてみたいと思います。