2015年08月29日



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認知症大国・日本の彼岸(2) : 認知症の介護離職の増加による「ビジネスの崩壊」が描き出す未来。そして、地球全体が老い始めている



関係記事:認知症大国・日本の彼岸(1) : 高齢者人口が若者人口の5倍に達する10年後は、減少した若者人口200万人を認知症人口がそっくり埋める構図に


womenomics-1.jpg

▲ 2015年08月27日のアルジャジーラ Japan's Womenomics より。

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今日、中東カタールのアルジャジーラの経済欄を見ていましたら、上のような見出しのニュースがありました。

「ウィメノミクス」は、おそらく、アベノミクスとかけた造語なんだろうなあと思っていましたら、調べてみると、そういう英語も、あるいは、カタカナになった日本語もあることを知りました。

VIVA! ウーマノミクス というページによりますと、「 Women (女性たち)+ Economics (経済)」の造語で、「女性の力で経済を元気にする」というような意味があるようです。

言葉の意味はともかく、アルジャジーラが何をそんなに大きく特集しているのかと思いまして、日本の報道を見ていましたら、「女性活躍推進法」という法律が成立していたのですね。

記事には、

日本の労働力人口の減少が想定される中で、経済成長を続けるには女性の社会進出が不可欠だ。

ともあるのですけれど、女性の社会進出については詳しくないですので、わからないですが、そういうこと以前に、「認知症の増加で、日本のビジネスモデルが重大な影響を受けている」ということについて、少し書いてみたいと思います。

結構、大変なことになっているようです。

そういえぱ、それとは違い話ですが、今日、日本人の「健康寿命」が、世界で1番になったというニュースがありました。





「健康寿命」の数字が教えてくれること


日本人の「健康寿命」、男女とも世界でトップ
読売新聞 2015.08.29

日本は男女ともに「健康寿命」が世界で最も長いという調査結果を、米ワシントン大などの国際チームが27日付の英医学誌「ランセット」に発表した。

健康寿命は、病気などで日常生活が制限されることなく、自立的に生活できる期間。世界保健機関(WHO)が健康の指標として提唱。日本もその延伸を健康目標の柱に掲げている。



というもので、2013年の日本の健康寿命は男性 71.11 歳女性 75.56 歳で、男女ともに世界のトップだったそうです。

順位は、下のようになっています。
聞き慣れない「アンドラ」というのは、スペインとフランスの間にある人口8万人ほどの小さな国です。

女性〈1〉日本〈2〉アンドラ〈3〉シンガポール〈4〉フランス〈5〉キプロス

男性〈1〉日本〈2〉シンガポール〈3〉アンドラ〈4〉アイスランド〈5〉イスラエル

ということで、日本は男女ともに1位です。

何ともめでたいことのようにも見えますが、しかし、これを、純粋な数字として眺めてみますと、実は、ここに、これからの「深刻な日本の現実」が現れていることがおわかりでしょうか。

この「健康寿命」というのは、「人の手を借りずに自立して生活できている」ことを示すわけですが、ということは、「日本人の平均寿命」から、この「日本人の健康寿命の平均」を引いた年数は、「自立していない年数の平均」を表すということになると思われます。

日本の現在の寿命は、

女性 86.83歳(世界1位)
男性 80.50歳(世界3位)


となっていて、こちらも世界のトップクラスですが、この寿命から健康寿命を引きますと、

女性の寿命 86.83歳 - 健康寿命 75.56歳=11.27年
男性の寿命 80.50歳 - 健康寿命 71.11歳= 9.39年


となります。

この

女性 11.27年
男性 9.39年


は、平たくいえば、「自立していない」年数の平均ということになり、今の日本人は、これほどの年月を「誰かの世話を受けて生きている」ことになり、多くの人たちが、

女性で平均約 11年間、男性で平均約 9年間、介護が必要な状態となっている

ことがわかります。

どんな人にとっても、10年間というのは決して短い年数ではないと思いますが、今は、子どもの数も少ないですので、今後、つまり、少し先の未来では、このあたりが重くのしかかってくるように感じます。

私も子どもは1人ですが、そのような状態で、介護生活、それも 10年などという介護生活になった場合、ひとりしか面倒を見る人がいない場合は、子どもが仕事をやめて介護をする、などの事例が多く、今、それが日本の社会に重くのしかかっているようです。





経済構造をも直撃しつつある認知症の増加の副作用

2013年の NHK のクローズアップ現代によれば、介護を理由に仕事を辞める人は、年間 10万人だそうで、これは、認知症の人が増えている現状では、今後も増えていくと思われます。

その放送から少し抜粋しますと、「すでに始まっている」新たな日本の姿が見えます。


どうする介護離職〜職場を襲う“大介護時代”〜
NHK クローズアップ現代 2013.10.24

介護を理由に会社を辞める、いわゆる介護離職をする人は、年間10万人。
今後、ますます増えると見られています。

介護の担い手は、40〜50代。
会社にとって、まさに働き盛り。

かつてない事態への危機感から、企業向けの介護セミナーには、人事担当者が殺到しています。

介護に取り組む団体の代表者たちまで、国に対策を取るよう求めています。

介護者を支援する団体 樋口恵子さん
「40代、50代ですから、次の再就職はほとんどできない。
これは本当に、日本経済の根幹を揺るがしかねない。」



そして、東京の大手総合商社「丸紅」が、40代〜50代の社員の実態調査をしましたところ、2013年の時点で、

・すでに介護をしている社員は 11%
・2016年の時点になると、8割以上が介護に直面する可能性があると答えた


という結果になったとあります。

ひとつの会社の 40代から 50代の「8割」が介護に直面するという状態になるのが「 2016年には」とあるのでした。

kaigo-2016.jpg


上のリンクには、放送内容すべてが記されていますので、興味のある方はお読みいただければと思います。

もちろん、これはこの会社だけの問題ではなく、日本の多くの会社の 40〜 50代にいえる問題であると同時に、今だけの問題ではなく、

これから未来にまで、拡大しながら続く問題でもある

ということがいえそうな気がします。

要するに、増えていくことは想定できても、「突然、認知症の人々が減り始める」という図式を想定することは今の時点ではできません。

もっとも、前回の記事、

認知症や精神的苦痛の混沌から未来の地球を救うための「量子力学的な発想の転換」の必要性を「認識や意識の存在する場所」から考えてみる
 2015年08月28日

では、この現状を逆転させる方法はないかと考えたりしていたわけですけれど、急に物事が「神がかって動く」というものでもなさそうですし、この介護問題は予想以上に、「日本の破壊」と関係していることがわかります。

最も働き盛りの人たちが働くことができない。

そして、特に、介護離職に関しての厳しいデータが、2014年に、明治安田生命福祉研究所が行った調査でわかります。

全文は、

「仕事と介護の両立と介護離職」に関する調査

にありますが、

・ 介護専念者の5割以上が、介護開始から1年以内に離職している
・ 女性の介護専念者の3割近くが、親が介護認定を受けていない段階で離職
・ 介護転職をした場合、平均年収が男性で4割、女性で5割下がった


など、特に一人っ子の場合、「自分以外に親の面倒を見られる人はいない」ということで、介護の開始から早い段階で、仕事を辞めざるを得なくなるようです。

ところで、この「認知症患者の急増のペース」ですが、調べるほどに、予想以上に事態が拡大していることがわかってきます。その状況を少し書かせていただきます。




想定をはるかに肥えた激増ぶりを見せている認知症患者

少し前の、

認知症大国・日本の彼岸(1) : 高齢者人口が若者人口の5倍に達する10年後は、減少した若者人口200万人を認知症人口がそっくり埋める構図に
 2015年08月14日

という記事に、今年、厚生労働省が発表した「 10年後」の 2025年の認知症患者の予想数に関するニュースを載せました。


認知症患者は2025年に700万人を突破。65歳以上の5人に1人
認知症ねっと 2015.01.09

厚生労働省は7日、全国で認知症を患う人の数が2025年には700万人を超えるとの推計値を発表した。65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症に罹患する計算となる。

認知症高齢者の数は2012年の時点で全国に約462万人と推計されており、約10年で1.5倍にも増える見通しだ。



この記事では、2012年の実際の数と。今年の厚生労働省の予想数として、

・2012年の時点での認知症患者が 462万人
・2025年の時点の認知症患者予想数が 700万人


となっているわけですが、

「数年前は、こんなに認知症が増えるとは誰も予測していなかった」

ことが、昔の調査と推定値を見るとわかります。

下のグラフは 2008年に、厚生労働省がまとめた、認知症患者数の推移です。

2008年に厚生労働省が予測した認知症患者数の推移
fig_nc_n201.gif
メンタルナビ


この時の予測では、

・予測 2010年 251万人
・予測 2015年 302万人


となるものでしたが、現実には、

・実際 2012年 462万人

と、2012年の認知症患者の数は 2008年時点の予測をはるかに上回る数となっています。

そして、圧巻は 2025年の予測の差で、

・2008年の予測 → 2025年 386万人
・2015年の予測 → 2025年 700万人


というように、ほんの7年前の予測の倍の予測値となっているのです。

つまり、それだけ、「予想以上の激しい増加ぶりを見せている」ということになるのだと思います。

ちょっと極端かもしれないですが、7年間の「誤差」を今後にも当てはめるとすると、10年後の 2025年の認知症患者の数は、1000万人を越えていても不思議ではないように思います。

そして、20年後の 2035年(私などが完全な高齢者になる頃)には、高齢者の2人に1人くらいが認知症になっているというようなことも考えられなくもないです。

認知症が劇的に増えている理由は、以前よく書いていましたが、

「多くの日本人が日常的に薬を飲み過ぎている」

ことがひとつの原因であることは最近確信を持っています。

日本は世界で最も降圧剤を処方している国ですが、降圧剤のように、毎日飲む「細胞への影響が強いもの」や、他にも、睡眠薬や抗不安剤、コレステロールの薬、血糖値の薬、抗うつ剤といった毎日飲むようなものが、脳の機能低下と関係していることは、影響の大小はあるでしょうけれど、間違いなく関係しているように思います。

この日本人の「薬好き」の傾向が改善するには、健康保険制度が破綻するくらいしかないでしょうし、まだまだ認知症の増加は続くと思われます。

それでも、日本は長寿国ですし、寿命はまだ延びるかもしれないことを考えると、さきほどの「寿命から健康寿命を引いた年数=自立していない時」は、さらに長くなるのかもしれません。

未曾有の状態です。

こんな時代が、わりとちょっと先にまで来ている。





老いてきている地球

まあ、もっとも、これは日本だけの問題ということではなく、WHO は、2050年には、全世界の認知症が「1億人」を突破すると発表しています。


世界の認知症患者数,2050年には1億人を突破 - WHO の報告書
MT Pro 2012.4.12

現在,約3,560万人いる世界の認知症患者数は2030年には6,570万人と倍増、2050年には1億1,540万人と3倍に増加−世界保健機関(WHO)が4月11日に発表した報告書の中でこのような試算を示している。

WHOは認知症の介護や医療にかかるコストは年間6,040億USドル(72兆円)と莫大で,今後も罹患率の伸びをしのぐ勢いで増加するだろうとしている。



下は WHO が発表した「全世界の 60歳以上の人口」の推移です。

who-age-60.gif


この 50年間で倍増、過去 100年だと、10倍近く高齢者が増加していることがわかります。

高齢化は、地球全体の問題となっているのかもしれません。

「地球が老化している」という表現をしても差し支えない惑星になってきていることがわかります。

思えば、これも昨日の記事に書きました、アメリカの科学者ロバート・ランザ教授が言った、

「空間と時間を物理的なものとして処理することによって、科学は世界を理解するための完全に間違った出発点を拾い上げてしまいました」

と似た概念なのかもしれないですが、私たちは、人間の一種の永遠性よりも、「物理的な年齢」というものだけに着目して、「長寿は無条件に素晴らしい」と、そのことに縛られて長く過ごしてきました。

もちろん、長生きを願うことは間違いではないと思います。

しかし、

「私たちは何のために長生きをするのか」

ということを今ひとつ考えてこなかったような感じもするのです。


「肉体を持って生きる」とは何なのか。


頭では、私なども、人間の永遠性を理解していても、もっと感覚的というか、現実的にそのことを深く理解しないと、「長生き合戦」だけが続いていく。

いずれにしても、現実として、日本はすでに「かつて見たことのない状態」に突入していることは言えるようで、様々な破壊が起きているようです。

自分も含めて、誰でも将来は認知症になるかもしれないですが、認識がしっかりしている間に、どのように日々を生きるか、そして、「生きることとか存在とは何なのか」を考えることが、自分の精神を保つ上でも大事なことなのかもしれないと思います。

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