2015年09月11日



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中東とイスラエルの「赤い朝」の光景も含めて、何となく漂う「終末感」を感じて過ごす安息年の9月11日



赤く染まった9月8日のパレスチナ・ガザ地区
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Said Shoaib






 

赤く染まった9月8日のシリアのダマスカス

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Refugees Welcome


シュミータ終了1週間前の「中東の赤い1日」

9月に入ってからくらいでしょうか、個人的な問題なんですけれど、自然災害にしても市場の動きなどにしても、何となく「終末感が漂っているように見えてしまう」というようなことになっていまして、まあ、自分で、テトラッド(4回続く皆既月食)とか、シュミータ(ユダヤの安息年)だの書いているうちに、「心境的に自分が巻き込まれる」という一種の自爆的な部分もあります。

そんな中、数日前、

中東の広範囲で大気が真っ赤になる

という冒頭の写真のような現象が起きました。

国としては、シリア、レバノン、イスラエルなどです。

原因は「砂嵐」なんですが、普通の状態のものではなく、たとえば、イスラエルのエルサレムでは、9月8日の大気汚染レベルが「通常の 173倍」に達し、場所によっては、過去 75年で最悪の空気汚染となったという、かなりの非常事態でもあったようです。

この砂嵐で、9月9日までに、中東各地で少なくとも 12名が亡くなり、数多くの人たちが病院に搬送されているということになっているようです。

まあ・・・赤い大気・・・というのは、感覚的に「黙示録的」というようなニュアンスにも感じられて、それが、最近いくつか記事にしていたイスラエルや中東などで起きたというあたりにも思うところがあります。

中東では、たまに砂嵐は起きますけれど、こんなに赤いのは珍しいです。

ところで、この「」については、今までずいぶんと記事にしてきたように思います。

[参考記事]
2012年の「赤」の意味: DNA を持たずに増殖する「赤い雨から採取された細胞」とつながる人間の赤血球
赤の意味: 再び現れた赤い海と赤い雨



大気が赤くなる原因は、多くは、今回の中東のような砂嵐や黄砂など、砂や土による場合が多いです。

今年4月に内モンゴルで起きた「黒い雨が降り、大気が赤く染まった」なんていう現象も、おそらくは、雨に砂や土が混じって起きたものだと思います。


2015年4月15日の内モンゴル・アルシャン市

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▲ 過去記事「赤くなっていく地球: 世界各地で吹き荒れる砂塵嵐がもたらす小さな終末感覚」より。ニュースソース: news.syd.com.cn





911と「カタストロフ」

今日は「 9月11日」なんですが、

「前に、9月11日に何かが赤くなっていたよなあ」

と思い出しましていたところ、

赤く染まるユーラシア大陸最大の川と、カリフォルニアの周囲 100キロに漂う「 9月11日の腐臭」
 2012年09月12日

という記事を思い出しまして、タイトルのように、9月11日には、何かが赤くなったのではなく、カリフォルニの広範囲で「腐臭」が漂ったという出来事があったのでした。

赤くなったのほうは、その数日前の、中国の長江でした。

原因は「不明」でした。


2012年9月7日に真っ赤に変色した中国の長江

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abc news


ちなみに、「 911のカリフォルニアの腐臭」事件は、以下のようなものでした。


地震の予兆?カリフォルニアの異臭騒ぎ、原因は…
AFP 2012.09.12

米カリフォルニア州で、卵の腐ったような臭いが約240キロメートルに及ぶ広い範囲で確認され、専門家による調査の結果、付近の湖で死んだ魚や藻類が原因であることが判明した。

強烈な刺激臭を当局に通報した人は200人に上り、同州で長く発生が懸念されている巨大地震の予兆となる何らかの地熱現象ではないか、との憶測がインターネット上を駆け巡った。



というもので、ソルトン湖(北緯33度線上)というカリフォルニア州の湖の悪臭が原因だということで落ち着いたようなんですが、AFP の報道にありますように、

> 卵の腐ったような臭いが約240キロメートルに及ぶ広い範囲で

という「 240キロメートル」にわたって匂いが撒き散らされるというのは、あり得るのかなあとおもったのです。

240キロメートルといえば、東京から静岡までの距離を超えるものです。


関東周辺と200キロメートルの範囲
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たとえば、「関東全域に同じ匂いが満ち渡る」というような現象などがあり得るかなあと、やや疑問に思った次第です。

ということで、その頃の、

カリフォルニアの異臭は「アメリカのメッカ」から放たれたものか、あるいは違うのか
 2012年09月13日


という記事に、その腐臭の原因は本当は何だったのかを考えたものを書きました。まあ、わかんないのですけど、ソルトン湖が原因ではないようには思っています。

ちなみに、腐臭とは関係ないですが、ソルトン湖の近くには「メッカ」という町があります。カリフォルニアにもメッカがあるのでした。

「メッカへようこそ」
mecca-welcome.jpg
americantowns.com


・・・と、上の記事を読み直していましたら、すっかり忘れていましたが、3年前の今日とほぼ同じ日に、私の実家のある町が洪水になっていたことが書かれていて、そのことを思い出しました。


岩見沢で観測史上最大の降水 7900人に避難勧告
北海道新聞 2012.09.12

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道内は前線の停滞が続いた影響で、11日夜から12日未明にかけて空知、上川地方を中心に断続的に大雨に見舞われた。札幌管区気象台によると、このうち岩見沢市は午前10時までの24時間降水量が116ミリと9月の観測史上最大を記録した。

考えてみれば、この 2012年頃から今年にかけて、 In Deep では、洪水の記事をどのくらい書いたかわからないほど書いていた気がします。

それほど、「観測史上最大の」というような豪雨が増え始めていたのです。

今回の関東と東北の豪雨と洪水も、何もかも記録を更新していたようですけれど、この何年間を見ていると、もはや、「一過性の異常現象」などではなく、「そういうことが普通の時代のフェーズ」に私たちは完全に入っているようにも思います。

このような「地球の変化」が、何を原因として起きているのか「根本的な部分」の要因はわかっていないと思われますが、デヴィッド・キースという人の著作『西暦535年の大噴火―人類滅亡の危機をどう切り抜けたか』は以下のようにしめられています。


「西暦535年の大噴火」より

太陽黒点活動、流星や彗星の衝突、地球軌道の定期的な小変化、そして地球の回転軸のわずかな変化。こういったことはいずれも、気象と人類史を一変させる力を持っている。

だが、以上のうちのどの要素が今後の人類の運命を決定するかは、実際に起こってみなければわからない。



過去の歴史を書き上げたこの本も、

> 実際に起こってみなければわからない。

と、この著作をしめている分、予測とか予言のようなものに頼るよりも、「起きている現実への対応が大事」だと改めて思います。

ところで、この『西暦535年の大噴火』という著作の英語の原題は Catastrophe (カタストロフ)です。

これは、大惨事、破局、大激変などを示す言葉で・・・タロットカードでいえば、「塔」みたいなニュアンスを持つように思います。

十代の頃、タロットカードをたまに人にしていた時、ふざけてやっていたにしても、「塔」が出た時は緊張したものでした。カードの「塔」の意味は下のようなものです。


塔 (タロット) - Wikipedia

正位置の意味
崩壊、災害、悲劇、悲惨、惨事、惨劇 …

逆位置の意味
緊迫、突然のアクシデント、誤解、不幸、天変地異 …

正位置・逆位置のいずれにおいてもネガティブな意味合いを持つ唯一のカードである。



塔とカタストロフは似ています。

タロットそのものは、「占いの結果を自分で導き出せる」ことを理解して以来、完全に興味を失い、また、人を占うということは基本的にいいことではないと翻然と思い、その後は基本的に、さわったこともないですし、私は今でも、いかなる占いにも興味がありません(信じないといっているのではなく、興味がないのです)。

そういえば、今朝、メディアの記事でこの「カタストロフ」という文字が見出しにある記事を見たのでした。

それは最近の、

2015年9月という「終末」の月(1): ユダヤ教のラビは「9月に救世主が再来する」と語り…
 2015年08月30日

というあたりの記事から、なんだか連続してご紹介することになっている、イスラエルの黙示録的報道メディアのブレーキング・イスラエル・ニュースの今日のトップ記事に、下のように、「カタストロフ」という言葉がはいっていたのでした。

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▲ 2015年09月10日の Breaking Israel News より。


わりと最近、

世界の終わりに向かって本当に必要なもの:プレッパーズの方法だけでは持続的なサバイバルは成し得ないという確信
 2015年08月27日

という記事で、「プレッパー」という人たちをご紹介したことがあります。

プレッパー

非常事態に備え、食糧や自衛のための武器・弾薬などを過度に備蓄している人のこと。「備える(prepare)」から生まれた言葉で、2012年現在では米国に最も多く存在し全米で300〜400万人にのぼるとみられている。

状況によっては隣人をも敵とみなす強固に自立したライフスタイルの実践者であり、暴動や経済崩壊、核戦争、世界の終わりなどを想定している。


今日のブレーキング・イスラエル・ニュースの記事は、元イスラエル国防軍人だった人物が、

「イスラエル人は、終末への準備が足りないので、するべきだ」

という主張をしているものです。

最近のプレッパーとかイスラエルとかユダヤとかのつながりもありそうですので、その記事を翻訳してご紹介したいと思います。

なお、このブレーキング・イスラエル・ニュースのすべての記事には、冒頭に、旧約聖書のフレーズが書かれていまして、この記事には、旧約聖書の『箴言』の下のフレーズが記述されていました。


旧約聖書『箴言』 6章 6-8節

怠け者よ、蟻のところに行って見よ。その道を見て、知恵を得よ。
蟻には首領もなく、指揮官も支配者もないが
夏の間にパンを備え、刈り入れ時に食糧を集める。



アリには指揮者も支配者もいるような気もするのですが……。

旧約聖書には、このような「自然摂理から言って、どうも釈然としない部分」が、ときにありまして、

ヘビとウロボロスとケツァルコアトルと月と太陽をめぐる旧約聖書『創世記』への疑問のようなもの
 2012年04月08日

では、「ヘビ」に関する旧約聖書の記述と、「月と太陽の大きさ」に関しての疑問を書いています。

まあ、それはともかくとして、今回の記事をご紹介します。

物質的プレッパーを目指している方などには、ご参考になる部分もあるかと思います。



Israeli Prepper Movement Looks to Bible to Ready for Catastrophe
Breaking Israel News 2015.09.10


イスラエルのプレッパー運動は、カタストロフに備え、聖書を見つめる


イスラエルでの差し迫った戦争の予言、イランからの脅威、そして、世界的な経済不安、あるいは、シュミータ(ユダヤの安息日)の終わりが数日後に迫り、現在のテトラッド(4回続く皆既月食)の最終的な「血の月」の日までも間近となっており、私たちイスラエル人には、緊急時のために準備することの重要性が増している。

しかし、ユダヤ人のプレッピング(準備すること)の専門家、ジョシュ・ワンダ氏によれば、平均的なイスラエル人たちは、終末的な出来事のための完全な準備ができていないようだという。

ワンダ氏は、イスラエル国防軍で、そして、その後にもテロを経験して以来、あらゆる緊急事態のために準備することの重要性を実感したという。

彼は、「特に、都市に住んでいる場合は、あらゆる不測の事態のために準備することが重要だと考えています」と言う。

ワンダ氏は、ユダヤ人の人々たちが準備するための教えや方法を開発している。

「プレッパーが基本的に理解しなければならないことのひとつは、一人だけで準備することは不可能だということです。すべての人が、人との結びつきや、グループを持つ必要があります」

「そのグループは、所属する人々が持っている様々な技術に応じて構築されます。たとえば、救急医療の技術を持つ人、コミュニケーションの方法を確立できる人、食料と水の貯蔵ができる人、セキュリティに通じている人、のように」

「この考え方は、コミュニティに基づくユダヤ式の生活を理解しているユダヤ人にはよく知られています」

ワンダ氏は、このこれらについて詳しく説明する。

「ユダヤ教とプレッピングとの関係は非常に強いものです。たとえば、マッツォ(ユダヤの酵母の入らないクラッカー状のパン)は、究極的なプレッパーの食品であると私は確信しています」

現在、世界で最もプレッパーが拡大しているのはアメリカで、世界のプレッパー・ムーブメントのほとんどがアメリカに集中している。その数は数百万人ともいわれ、歴史も長い。

しかし、イスラエルでは、プレッパー・ムーブメントはまったくといっていいほどない。ワンダ氏は、イスラエルの人たちが、このように準備不足であることの理由を示唆する。

第一には、住居スペースの問題がある。イスラエルの人々は、一般的なアメリカ人たちに比べて、はるかに狭い場所に住んでいるので、物資を保管することが困難であるという物理的な事情があるという。

第二に、ワンダ氏は、イスラエル人たちが持つ「すべてがうまく行く」(ヘブライ語で yiyeh b’seder )という態度は、準備することと正反対だと言う。

そして第三の理由として、ワンダ氏は、アメリカの人々の特殊な感情に言及する。それは、アメリカの歴史は、市民たちの政府への懐疑の歴史であるという精神性についてのことだ。

ワンダ氏は、「アメリカのプレッパーの多くの人たちは、自分たちの政府や軍隊を信じていないことに対して、イスラエルの人たちは、自分たちの政府と軍隊に非常に依存しています」

ワンダ氏は、「聖書の中にはプレッパーズの例が溢れています」と述べる。

たとえば、社会の完全な崩壊のために方舟を用意したノア(旧約聖書『創世記』6-9章)や、エサウへの戦争のために準備したヤコブ(旧約聖書『創世記』25章〜36章)などだ。

旧約聖書『出エジプト記』16章には、神が作ったとされるマナという食べ物が出てくる。

マナのお陰で、イスラエルの民は 40年間、砂漠で生きのびることができたのだ。

あるいは、私たちユダヤ人は、毎週の安息日(サバス)には、継続的に電気を使用することなく生活するが、これも生きるための練習の準備といえる。

仮庵の祭り(ユダヤの祭)には、私たちユダヤ人は、家の外で1週間過ごすが、これも「準備」といえる。

「そのように、本質的にユダヤ人はプレッパーズであるといえるのですが、イスラエルの人々は、聖書の律法の部分を内在化していないのです」とワンダ氏は言う。

「ユダヤ人は、世界で最も準備をする人々でなければなりません。歴史を考えると、残念ながら、私たちイスラエル人の準備は少ないと言わざるを得ません」

やがて来るかもしれない「何か」のために、より多くの準備をしたい人たちには、まだ、予防策をとる十分な時間がある。

ワンダ氏は以下のように語る。

「現実のプレッパーたちは、将来何が起きるのかについての正確な予見を持つことはできません、私たちは予言者ではありません。ですので、来たるべき何かのために、多くの準備をする必要があるのです」

「より広いジャンルに対応できるように準備していれば、より多くの出来事に対応することができます。その中でも、準備するもので最も重要なのは、食糧、きれいな水、ガスマスク、通信手段、医療用具、などです」

最初に保存するものは、ボトル入り飲料水だ。
水は一日一人あたり4リットルと計算する。

そして、缶詰や、他の長い消費期限を持つ食品、たとえば、瓶詰めのピーナッツバターやハチミツのようなものでもいい。

また、ワンダ氏は、アマチュア無線のライセンスを取得することを勧める。一般的に、携帯電話サービスやインターネット網がクラッシュした場合でも、アマチュア無線がつながらなくなることはないからだ。

糖尿病などの慢性疾患を持つ人々は、備蓄用の薬を持つ必要があるが、持病のあるないに関わらず、誰もが基本的な応急処置のスキルを持っていたほうがいい。

ワンダ氏はまた、資格のある人は、ライセンスされた銃を持つことを勧めている。それは、「絶望的した人々の略奪」に備えるためだ。

「プレッパーにはあらゆる人々がいます。その中には無神論者もいるのです。あるいは、銃の所持に反対のものもいれば、銃のプロもいます」

そして、ワンダは以下のように私たちに言った。

「自分の命を守ることを政府に依存する必要はありません。私たちは自らで自らの命を救うための行動を起こすことができるのです」





(訳者注)ここまでです。

そういえば、アメリカで、人たちから離れて暮らしているといえば、

文明生活を拒絶する自給自足のアーミッシュたちが米国で増え続けている
 2010年09月16日

という記事でご紹介した、電気や自動車を含む近代生活を拒否して生き続けるアメリカの「アーミッシュ」という人たちを思い出します。

アーミッシュの人々

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Donald Reese Photography


この人たちは、アメリカに住むキリスト教一派の人々で、電気、電話などは一切使わず、基本的に自給自足で生きている人たちで、

・唯一の交通手段は馬車
・怒ってはいけない
・喧嘩をしてはいけない
・読書をしてはいけない
・賛美歌以外の音楽はきいてはいけない
・義務教育以上の高等教育を受けてはいけない
・化粧をしてはいけない
・派手な服を着てはいけない
・離婚してはいけない


などの規律の中で生きています。

こういう生活がおもしろいかどうかはわからないですけれど、この生活なら、金融だのテクノロジーなどが破綻しても、それほど影響は受けなそうです。

そして今現在が、「時は来たれり」の時代なのかどうか、まだ判然としませんが、そこはかとなく漂う終末感を払拭したいところではあります。