2015年09月20日



2015年10月7日に In Deep は http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。




もしかすると完全に目覚めたのかもしれない「環太平洋火山帯」:続く南米の異変、サンアンドレアス断層の映画、そして連動する地震



断層帯で巨大な陥没が発生し、非常事態が宣言されたペルー・アンカシュ県の村

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▲ 2015年09月16日のペルー El Comercio より。




災害映画のCMから呼び起こされた記憶

少し前、テレビで、おそらくはアメリカの災害映画らしきものの CM が流れていました。

例によっての CG の激しい災害シーンがてんこ盛りっぽい映画でしたが、その光景から、「地震モノ」として分類される映画のようでした。

地震モノの大御所としては、1974年に、チャールストン・ヘストンが主演した『大地震』という映画がありますが、ハリウッドで大規模な地震モノが作られるのは久しぶりではないでしょうか。

その CM で主演を努めていると思しき人物から、私は何か強い郷愁を感じました。

そして、数秒見た後、私は、


「・・・これ、ロックじゃないか」


と呟いていました。


ロック・・・。


もう 10年以上見ていないのですが、私は以前、アメリカのプロレス団体 WWF (現 WWE )が大好きで、毎週、日本で放映のある月曜日の午後には、番組の始まる 10分前から正座をして瞑想した後に番組を見る(本当に)というほど好きでした。

その WWF の 1998年頃から 2001年頃まで、この団体のトップの人気を掴んでいたのが、ザ・ロック(本名はドウェイン・ジョンソン)という、つまり私が見た CM で主演をしている人物でした。

ロックは、1999年に、それまで最も人気のあるトップスターだった、ストーンコールド・スティーブ・オースティンというレスラーが怪我の治療のため1年の休養をとっている間に、あっという間にトップ・レスラーとなって、頂点を極めています。

プロレスそのものというより、とにかく自分の人格設定に関する演技とマイク・パフォーマンスがうまかった人でした。


1999年頃のロック
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wikia



当時のロックの人気は異常なほどで、観客席には、よく「ロックをアメリカ大統領に」というようなものが掲げられていたほどで、そんな彼が、プロレスラーを基本的にやめた後に、俳優になったことは知っていました。

しかし、アメリカの芸能史を見れば、プロレスラーから俳優になった人たちは、プロレスラーとしてどれだけ人気があったとしても、どうもB級とかキワモノとか(ハルク・ホーガンのように)、そっち方面にいきやすいものですが、日本のテレビでも CM が流れるほどの映画なら、面白いかどうかはともかく、ロックは大作の主演になるほどの俳優になっていたようです。

興味を持ったので調べてみると、ロックの主演しているこの映画の邦題は『カリフォルニア・ダウン』というもので、ハリウッドの映画情報を載せる DEADLINE によると、制作費は 120億円ほどということで、それなりの大作のようです。

そして、Wikipedia を見てみますと、と、意外なことがわかります。


『カリフォルニア・ダウン』(原題:San Andreas)は2015年にアメリカ合衆国で公開される予定のパニック映画である。


ここで、英語の原題は、「サンアンドレアス断層」であることがわかります。

このサンアンドレアス断層は、これまで何度もブログに出てきた言葉でもあります。


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サンアンドレアス断層の315年前の超巨大地震

この「サンアンドレアス断層」は、これまで In Deep で数多く出てきたキーワードのひとつですが、アメリカで懸念、あるいは想定されている自然災害の中で最大級のものとしては、


・イエローストーンの噴火
・サンアンドレアス断層の地震



が双璧となっているほどのものです。

このサンアンドレアス断層は、位置としては大ざっぱですが、下の赤いラインのところにあり、南北に 1300キロメートルに伸びています。日本の本州の長さが約 1500キロメートルですので、それと匹敵するほどの巨大な断層です。


サンアンドレアス断層

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ロック主演の『カリフォルニア・ダウン』という映画は、このサンアンドレアス断層で大地震が起きる、ということを描いたもののようです。

ちなみに、このサンアンドレアス断層で、今以前で最後の地震が起きたのは、今から 315年前の西暦 1700年のことでした。

それは推定マグニチュード9にも達する超巨大地震だったとされています。

しかも、崩壊した断層の幅は「 1100キロメートル」にわたっていたとされていて、つまり、「日本の本州全域が震源」のような状態になっていたとも考えられそうです。

当時はまだアメリカ合衆国はなく、アメリカ側の記録は存在しませんが、その 1700年に、日本の東北に大きな津波が押し寄せていたことを、日本の古文書をもとに調べた国立研究開発法人「産業技術総合研究所」が、 2003年11月21日に、


北米西海岸で西暦1700年に発生した巨大地震の規模を日本の古文書から推定


という文書として発表して、1700年の大地震が明らかになったのです。

先日 9月17日に発生したチリの大地震(マグニチュード 8.3)では、遠く離れた日本に数十センチの津波が押し寄せましたが、この 1700年の時に、日本に押し寄せた津波のレベルはそんなものではありませんでした。



記録から推定される西暦1700年の津波の高さ

・岩手県 宮古市  3メートル
・岩手県 津軽石市 6メートル以上
・岩手県 大槌市  5メートル
・山形県 新庄市  4メートル
・和歌山 県田辺市 3メートル


(産業技術総合研究所の資料より)



と、本州の太平洋側の全域で数メートル以上の津波に見舞われたことがわかったのです。


遠く離れた日本で、それほどの津波に見舞われたのですから、震源地のアメリカの海岸が、当時どのような状態になったのかを想像することは難しいですが、ハリウッド映画になっているということは、アメリカではそれなりに意識されている問題なのかもしれません。

映画はともかく、サンアンドレアス断層も、先日のチリの地震が起きた場所も、共に「環太平洋火山帯」という領域にあるのですが、この環太平洋火山帯は、昨年あたりからとても活動が活溌です。

そして、今年は、特に「南米」を中心に、どうもいろいろと起きています。

環太平洋火山帯は、下のピンクの領域を言います。


環太平洋火山帯(リング・オブ・ファイヤー)

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南米で「目覚めた」かもしれない大地

冒頭に載せました写真は、ペルーのアンカシュ県というところで、大地に亀裂が入り、ペルーの報道によりますと、次々と家や教会、学校、そして農地などを飲み込んでいて、いくつかの地域に非常事態宣言が発令されたとのことです。

下は、テレビでのニュース報道からの抜粋です。


ペルーのアンカシュで多数の家屋、教会、学校を飲み込んだ巨大な地割れ




このペルーでの大規模な陥没は 9月13日までに起きたもので、イキケという場所が震源だったチリの地震は 9月17日。このふたつに関係はないにしても、どちらもありふれた現象とはいえないものですので、日が近いことは、やや気になります。


2つの出来事の位置関係

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この南米ですが、今年はそれ以前にも、南米の「太平洋側の全域」でいろいろなことが起きていました。

今年8月には、「エクアドルの富士山」と言われているコトパクシ山が大噴火して、非常事態宣言が発令された後に、ホンジュラスでは、今回のペルーでの出来事と似た「地盤崩壊で次々と家が飲み込まれる」ということが起きています。


2015年7月〜8月 ホンジュラスの首都テグシガルパ近くの丘が崩壊

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▲ 地球の記録「南米の地殻変動ラインでさらに起きる異変:「エクアドルの富士山」が大噴火し、ホンジュラスで地殻崩壊で住宅が次々となぎ倒される」より。



そして、8月の初めには、メキシコのオアハカに「長い亀裂」が発生します。


2015年8月のメキシコの亀裂

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▲ 地球の記録「南米から北米への地殻変動ライン上で… : メキシコのオアハカに巨大な亀裂が出現」より。


これらの位置関係は下のようになります。

Tegucigalpa-oahaka-cotopaxi.gif


さらに、その少し前には、


南米の「地球の要所」に出現し続ける異変から日本を含む太平洋火山帯の活動の行く末を考える
 2015年05月10日


という記事に、4月からの1ヶ月間で南米で起きたことを下のようにリストアップしたことがあります。


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文字にしますと、


04月14日 ブラジルのリオデジャネイロで 52トンの魚が川に浮かぶ
04月21日 コロンビアのマグダレーナで魚の大量死
04月22日 チリのカルブコ山が 43年ぶりに大噴火
04月25日 ボリビアのチチカカ湖周辺で多数の鳥と動物が死亡しているのが見つかる
04月24日 チリのトーレスデルパイネ国立公園で 400匹の動物が死亡
05月05日 ペルーのソコスバンバで大規模な亀裂が発生
05月08日 ニカラグアのテリカ山で爆発と地震が発生
05月08日 チリのペナス湾の海岸に 20頭のクジラが打ち上げられる



となります。

リオデジャネイロの魚の大量死以外は、すべて太平洋側、つまり、異変は環太平洋火山帯で起きていることがわかります。


なんだか、こういう流れを見ていますと、これはもう確かに(少なくとも南米では)「いろいろと起き始めている」と言って構わないのではないかという気がします。


そして、同じ環太平洋火山帯のアリューシャン列島では、昨年以降、火山噴火が激しくなっていることを、


環太平洋火山帯の目覚め? : アリューシャン列島とアラスカで続く群発地震から2年前に発表された「地球の磁場の反転と巨大火山活動が関係する」という論文を思い出す
 2013年03月08日


という記事で書いたことがありますが、何より、環太平洋火山帯に国の全域が入っている日本自体の火山活動が、どんどんと激しくなっていることは、個別に事例を挙げる必要もないかと思われます。


上にリンクした記事では、そのタイトルを「環太平洋火山帯の目覚め?」としていますが、どうやら、やはり目覚めてきていると言わざるを得ないのかも知れません。


アメリカ大陸のほうにしても、環太平洋火山帯に沿うようにいろいろなことが起きているのですけれど、ちょうど、サンアンドレアス断層があるあたりでは、一昨年、下のようなことが起きていました。


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▲ 過去記事「「リュウグウノツカイ」と「サンアンドレアス断層」と「カリフォルニア沖でのメタンの噴出」が一本のライン上につながった時に一体何が起きるのだろう」より。





環太平洋火山帯では同規模の地震が連動しやすい

この環太平洋火山帯の活動が活発化しているからといって、「では何が起きる?」という具体的なことについては、それは分かることではありません。

ただ、先日、チリでの大地震と、その少し前の東京湾の地震( 9月12日)の報道などを見ていまして、ふと、あることを思い出したのです。

それは、最近だけのことかもしれないですが、


環太平洋地震帯では、同じ規模の地震が連動しやすい


ということです。

何だか地図ばかりが出てきて恐縮ですが、たとえば、下は 2013年の 1月から 2月の2週間ほどの間に環太平洋火山帯で発生した比較的大きな地震の連動を記したものです。


2013年1月-2月
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▲ 2013年2月18日の過去記事「極寒のカザフスタンで2月に咲いた日本の桜の報道を見て思う、新しい地球の時代」より。



翌年 2014年3月にも「 24時間の間に、環太平洋火山帯でマグニチュード 2.5以上の地震が頻発した」ということがありました(日本では起きませんでした)。


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だからといって、いつでもそういうわけでもないですし、こういうことについては、正確な予知や予測ができるものではないですが、これだけ環太平洋火山帯が、全体として地震や火山を含めて活溌な地殻活動をしている中では、環太平洋火山帯のエリア内では「なにが起きても不思議ではない」といえる状況なのかもしれません。

アメリカやイギリスのプレッパーみたくなる必要はないでしょうけれど(参考記事)このようなご時世(と、2015年9月という時期)では、最低限の何らかは準備してもいいのかもしれません。






災害に強い日本人

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shimoda-yamatokan.co.jp


それにしても、日本にしても、チリの人たちにしても、自然災害が多い地域の人たちは、災害に強い人類として、この地球上で生きているとつくづく思います。

先日のチリの地震にしても、マグニチュード 8.3の震源の浅い地震なら、その揺れはすさまじいものだったと思いますが、地震直後のチリの人たちの映像を見ると、比較的落ち着いていました。

2011年の東日本大震災の時に、当時、私は東京の西荻窪に住んでいました。揺れの後、近所の駐車場に多くの人たちが集まっていましたが、やはりみんな冷静で、すでに笑っている人もいたほどでした。

しかし、私の家の近くに住んでいた外国から来た白人女性は、道路の真ん中で、頭を抱えてしゃがみ込み叫び続けていました。

多分、地震のない国からやってきたのだと思います。

何しろ震災直後は、数分おきに強い余震が来ていましたから、その度に叫んで、泣きまくっていました。近所の人々が、その女性に「余震だから大丈夫。ヨ・シ〜ンね」と英語風のアクセントで語っていましたが、通じるわけもなさそうで、体をブルブルと震わせながら、耳を押さえてしゃがみこんだままでした。

その後しばらくして、女性は旦那さんと共に引越ていきましたが、故郷に帰ったのかもしれません。余震がほぼ治まったのは相当あとの話ですし、あの状態では、そのまま日本に住むことは無理だったと思います。


地震は誰でも恐いと考える方も多いでしょうけれど、実は日本人は自分たちが思っているほど、地震を恐がってはいないはずです。歴史的な大地震を繰り返して体験しているチリの人たちもそうだと思います。


日本とチリが違うのは、日本は、地震に加えて台風の災害もある国だということです。


「台風が来ると何だかワクワクする」


と子どもの時などは思っていましたが、日本人に流れている血は、地震も台風も、「災害」という括りだけではなく、自然の中で起き得る現象として共有して生きてきたのだとさえ感じます。

なので、日本人である私たちは、まだ発生していない自然災害を必要以上に恐がる必要はないし、「あらかじめ持つ恐怖」は不要なもののように思います。


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