▲ イングランドのノース・タインサイドという場所での皆既日食。2015年09月28日の英国デイリーメールより。
地球の半分くらいで「赤い月」が見られた夜(あるいは朝)
先日の、
・テトラッドの4回目の「赤い月」は、33年ぶりの「スーパームーンと皆既月食が重なる日」だった。そして、その直前のイスラム教の「犠牲祭」の日に起きた大巡礼の悲劇
2015年09月25日
という記事でふれましたが、テトラッド(4回連続する皆既月食)の4回目の月食は、月が通常よりも大きく明るく見える「スーパームーン」と重なったのですが、見えるとされていた地域の多くで、その月が見られた天候となったようです。
冒頭のデイリーメールの見出しは、スーパームーンと血の月(皆既月食では月が血のように赤くなるため)を組み合わせた Super Blood Moon (スーパー・ブラッド・ムーン)という造語を使っていました。
上の写真では、月自体は赤というより黄色っぽいですが、空の周囲が「月に赤く染められている」という光景が見られます。
そのデイリーメールの記事では、世界各地の皆既月食の様子を多数紹介していましたが、各地の皆既月食の写真を一気に集めた記事というものは見たことがなかったので、それなりに興味深かったです。
いくつかご紹介したいと思います。
なお、完全な皆既月食が見られたのは、大体、下の地域です。
文字にしますと、
・アメリカとカナダの東側の半分くらいのエリア
・中米と南米のほぼ全域
・西アフリカから中央アフリカのエリア
・ヨーロッパのいくつかの地域
などです。
逆に「この皆既月食とまったく無縁だった地域」は、
・日本、韓国、台湾などの東アジアの大半
・東南アジア全域
・太平洋の島々
・中国西部の大半
・ロシア西部の大半
などで、これらの国や地域は、もしかすると不吉を意味するかもしれない赤い月とは無縁でいられたわけで、これらの国々は、これからも安泰といえそうです(そんな単純なことなのかよ)。
[参考記事]月食を司る不滅の魔神 ラーフ
なお、地図からは、オーストラリアも皆既月食は見えないと思っていましたが、デイリーメールでは、シドニーで撮影された月食の様子が紹介されていましたので、オーストラリアでは見られたようです。
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以下、いくつかの9月28日の皆既月食の様子です。
2015年9月28日の皆既月食
アメリカ・ネバダ州ラスベガス
ベラルーシのミル
メキシコのシウダー・フアレス
アメリカ・カンサス州ストロングシティ
オーストラリア・シドニー
このオーストラリア・シドニーの写真で、月の左下にあるビルは、投資銀行 JP モルガン」のビルのようです。
投資銀行と血の月は何だかよく似合います。
また、デイリーメールは英国のメディアですが、英国では、「完全な皆既月食」が始まった時刻は、午前の 3.11 だったそう。
さて、ところで、デイリーメール記事では「 33年ぶりに血の月とスーパームーンが同時に発生」ということが書かれてありますが、今年と同じく皆既月食とスーパームーンが重なった、その 33年前というのはどんな年だったのかに興味が湧いてきました
33年前は、西暦 1982年です。
1982年と今年に共通点はあるのか
皆既月食とスーパームーンが重なった年だからといって、そこから何かの連想やシンクロニシティを考える、なんてこと自体がオカルトですが、最近は「いろいろな相似性やシンクロニシティ」を否定しきれないものもあるような気もしますので、ちょっと 1982年のことについて調べてみました。
特に印象深いものだけを 1982 - Wikipedia (英語版)から抜粋しています。
1982年1月
1月11日から1月17日
アメリカで異常低温。多くの都市で過去数十年で最低の気温を記録。
1月30日
初めてのパソコン向けのウイルスであるエルク・クローナー( Elk Cloner )が登場。アップル社の Apple II にのみ感染。
エルク・クローナーに感染したパソコン(アップルII)
・6 Computer Viruses That Changed The World
1982年頃といえば、ようやく、一般の人々にパソコンが普及し始めたかどうかという頃で、それと共にウイルスも登場していたようです。
私は、たまに、ウイルスや不正プログラムのことを書いたりすることがありますが、コンピュータやスマートフォンなどのウイルスや不正プログラムの、とんでもない増殖と高能力化は、このまま進めば、「この世のシステムを破壊する可能性さえ持っている」と考えていまして、その「芽」が 33年前に始まっていたとことを知ったのは感慨深いです。
ちなみに、このコンピュータ・ウイルスがどのように増加しているたかというと、下は日本の例ですけれど、1990年に 14件の報告だったものが、2004年には、5万 2151件にというものすごいカーブを描いています。
ウイルスの検出報告の推移
・IPA
上のグラフは 2004年までですが、その後はさらに激しい上昇を見せていて、たとえば、昨年 2014年の報告によりますと、日本のウイルスと不正プログラムの検出報告数は 46万 3653件と、15年前の1万倍ほどになっています。
1982年2月
2月2日
シリアで「ハマー虐殺」が始まる。
シリアという国は、今の世の中でも大きな問題を振りまいている感じがありますが、33年前のシリアでも以下のような虐殺事件があったようです。
ハマー虐殺
ハマー虐殺は1982年2月にハーフィズ・アル=アサド大統領の命令によりシリア軍がハマーの街で実行した焦土作戦の結果として起こった。
はじめ西側諸国に外交筋から伝えられた数字は、1,000人が殺害された、というものだった。その後の推計にはばらつきがあり、最も少ない10,000人以上のシリア市民が殺されたという報道から、20,000人、40,000人まで数字の開きがある。
この「ハーフィズ・アル=アサド大統領」というのは、現在のシリアの大統領(バッシャール・アル=アサド大統領)のお父さんで、下の写真の左側の方です。
現在のシリアの真実を私は知りませんけれど、まあ・・・何というか、アサド親子は、共にわりと似たような・・・特に「人の命」に対しての行動をしているのかもしれないなあと思ったり。
今年のシリアの問題も、そうそう簡単に収束するものなのかどうかわからないですが、33年前のシリアの問題も長引きました。
この他、1982年2月は、日本で、
2月8日 - ホテルニュージャパン火災発生で 33人死亡。
2月9日 - 日本航空350便墜落事故、24人死亡(逆噴射事故)。
という、大きな事故が連日で起きた時でした。
1982年3月
1982年3月には、わりと珍しいと思われる天体の現象が起きていました。
3月10日
9つの惑星が太陽の同じ側に一直線に並ぶ配置となる(朔望)。
昔のことですので、写真やイラスト等の資料はないだろうと思っていたのですが、中国政府が 1982年に、このことを記念した「切手」を発行していました。
その切手に使われたイラストが下のもののようです。
1982年に中国で発行された記念切手
・tamps-plus
「 3月10日」と「 5月16」日という日にちが書かれてありますので、その期間中、この配置だったということなのでしょうか。
こういう現象が、たびたび起きるものなのか私はわからないですが、わりと珍しいからこそ、記念切手になったのかもしれないですね。
わりと粋なことをする昔の中国。
3月29日
メキシコのエルチチョン山が大噴火。火砕流が発生した他、エアロゾルで世界の平均気温が 0.3℃程低下。死者 2000人以上(1万7000人が犠牲になったとされる資料もあり)。
1982年4月
4月2日
アルゼンチン軍がイギリスと領有権を争っていたフォークランド諸島を占領したことを発端としてフォークランド紛争(戦争)が勃発。
1982年5月
5月28日
ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世がイギリスを訪問。カトリック教会とイングランド国教会が450年ぶりに和解。
1982年6月
6月6日
イスラエルがレバノンに侵攻する(レバノン戦争)。当時のイスラエルの国防相は、後の首相シャロン。
1982年7月
7月6日
20世紀で最も長い月食(本影の持続時間 236分、完全月食時間 106分)が発生。
この年も月食絡みの記録があった年なんですね。
7月23日
長崎大水害。長崎、熊本、山口で合わせて、死者行方不明者 326名。
33年前にも日本で未曾有の大洪水が発生していたようです。
その時の雨の降り方は、
長崎大水害
長崎市の北に位置する西彼杵郡長与町では23日午後8時までの1時間に187mmの雨量を観測。これは日本における時間雨量の歴代最高記録となっている。
また西彼杵郡外海町では23日午後8時までの2時間に286mmの雨量を観測し、こちらも歴代最高記録となっている。
というものでした。
私は、1時間 100ミリ前後の雨でしたら経験したことがありますが、それ以上となる 1時間 187mm というのは想像できないです。
1982年8月
8月12日
メキシコ政府が対外債務を支払えないと声明。ラテンアメリカ全体への債務危機を誘発。
これも何だか今の南米全体の状態と似ているような・・・。
ちなみに、この1982年8月は、最初の CD が、ドイツで一般に公開され、その後、日本のソニーが、世界初の CD プレイヤーを発売するという「デジタル音楽革命」の年でもありました。
1982年9月
9月16日-18日
レバノンの民兵組織によるパレスチナ難民の大量虐殺事件「サブラー・シャティーラ事件」が発生。
サブラー・シャティーラ事件 - Wikipedia
サブラー・シャティーラ事件とは、1982年9月16日から18日の間に行われた、レバノンの親イスラエル政党などで構成される民兵組織「レバノン軍団」によるパレスチナ難民の大量虐殺事件である。
9月16日午後6時、イスラエル国防軍の部隊がレバノンのサブラーとシャティーラにあったパレスチナ難民キャンプへ向けて照明弾を発射、これを合図としてレバノン軍団の民兵たちが一斉にキャンプに突入、虐殺を開始した。
虐殺は2日間に及び、犠牲者数は762人から3500人と言われている。
1982年12月
12月4日
中国が憲法を改正し、現行憲法となる「中華人民共和国憲法」(1982年憲法)が制定される。
ちなみに、中国の憲法の第一条は以下のようなものです。
中華人民共和国憲法 第1条
1. 中華人民共和国は、労働者階級の指導する労農同盟を基礎とした人民民主主義独裁の社会主義国家である。
2. 社会主義制度は、中華人民共和国の基本となる制度である。いかなる組織又は個人も、社会主義制度を破壊することは、これを禁止する。
ということになっていて、今でも「社会謝儀国家」であることが大前提となっている憲法なのでした。
そして、この 1982年を締めくくるニュースとしましては、
12月26日
アメリカ「タイム」誌の「今年の人(マン・オブ・ザ・イヤー)」が初めて人ではなく、コンピュータに与えられる。
という「コンピュータが人にとって代わった」という、示唆的なニュースがありました。
下がその時のタイムの表紙です。
・Time
なんだかこう、この表紙のイラストは、「地球のその後の 30年間の主要国の人たちの様子」がここに描かれているような予言的なものさえ感じます。
というか、間違いなく「私自身の姿」でもあるわけで・・・。
今はこのパソコンとスマートフォンが交代してきていますけれど、「機械に支配されている」という時代は一貫として続いています。
いろいろと羅列してしまいましたが、33年前の西暦 1982年で印象的だったのは、
・コンピュータが人を支配し始めた年
・コンピュータの不正プログラムの元年
・シリアでの紛争や虐殺
・イスラエルがレバノンからアラブ勢力を排斥
・20世紀で最も長い時間の月食
などでしょうか。
ここに何らかの示唆があるのかというと、別にないのでしょうけれど、しかし、もしかすると「何かの示唆があるかもしれない」ということも言えなくはないのかもしれません。
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・テトラッドの4回目の「赤い月」は、33年ぶりの「スーパームーンと皆既月食が重なる日」だった。そして、その直前のイスラム教の「犠牲祭」の日に起きた大巡礼の悲劇