- 宇宙塵自身が生命であることに言及した 100年前のノーベル賞学者の実験
- 生命の種子: 分析により隕石の原子の地球起源が否定される
- 微生物による地球環境支配の姿: 海洋地殻深部より炭素を変換するバクテリアが発見される
- 大気圏の生き物(参考記事:1980年代のチャンドラ博士によるシミュレーション実験等)
- [生命の驚異的新発見] 1億年の冬眠サイクルをもつとされるバクテリアがスヴァールバル島沖合の海底で発見される。
- [彗星が地球に生命の素材を持ってきた]米国ローレンス・リバモア国立研究所でも地球の生命が宇宙から来たアミノ酸だという研究発表
- フレッド・ホイルさんの霊に捧げる:インドに降った赤い雨の中の細胞が 121度の温度の下で繁殖し、銀河にある光と同じ光線スペクトルを発した
- 宇宙空間で553日生きのびた細菌の研究が英国オープン大学から発表される
- 酸素なしで生きる多細胞生物の発見
- 国立天文台が地球上の生命の素材となるアミノ酸が宇宙から飛来した証拠を発見
【パンスペルミア】 の記事一覧
2011年05月07日
宇宙塵自身が生命であることの発見
宇宙塵(うちゅうじん)というのは、宇宙空間全体に漂っている物質の正体で、Wikipedia から説明を書き写しますと、こうなります。
宇宙塵は、星間物質の一種で、宇宙空間に分布する固体の微粒子のことである。(中略)
その密度は極めて低く、実体としては、1立方mの空間に塵の一粒があるかどうかという、地上の実験室ではとても到達しきれないほどの超高度真空状態である。しかし、宇宙はあまりにも広大なため、これほどの希薄な密度でさえ、何光年、何十光年とわたれば十分な質量を持った天体となる。
つまり、宇宙空間全体を組織しているのがこの宇宙塵だといえるのだと思うのですが、 英国のカーディフ大学の天文物理学研究部門では、1970年代からこの宇宙塵についての観測とデータ検証が行われてきました。
研究主任は、昨日も取り上げた天文学者のフレッド・ホイル博士で、ホイル博士は当時すでにイギリス王立協会で、元素合成の理論の発展に貢献したことでロイヤルメダルを受賞していた英国科学界きっての天文科学者でしたが、この1980年代の「発見」によって、むしろ、ノーベル賞などの栄光から離れていくことになります。
その「発見」とは、チャンドラ・ウィクラマシンゲ博士らと共に、
・宇宙塵そのものがバクテリアである
ことをデータから突き止めてしまったのでした。
この研究は 英国のカーディフ大学では執拗に行われ、また、ハレー彗星などの組成も執拗に分析され続けました。宇宙空間には一定方向から常に赤外線が放射され続けており、宇宙空間にある物質の「透過などのスペクトル」というものを分析すること(赤外線を物質に通した時に出る成分の分布グラフで物の性質がわかる)で、かなり遠方のものであっても組成の推測をすることは可能となっています。
▲ これは1986年のハレー彗星の際のスペクトル分析データ。ハレー彗星がばらまいた物質と一致した成分は、地球の大腸菌でした。彗星全般かどうかはともかく、少なくとも、ハレー彗星に関しては、「大腸菌とほぼ同じもの」をばらまきながら宇宙空間を進んでいるということになります。
物理学者アレニウスが100年前におこなった実験
このあたりの西洋の観測科学というのは、かなり早くから進んでいて、実は一世紀くらい前にはその「宇宙空間を生命のようなものが飛んでいるかもしれない」という最初の発見が、スウェーデンの物理学者のアレニウスという人によってなされています。アレニウスという人は、1903年に「電気解離の理論」というもので、ノーベル化学賞を受賞しています。この「電気解離の理論」の意味は私にはわからないですが、彼はパンスペルミア説の最初の提唱者のうちのひとりのようです。
「エピソードで知るノーベル賞の世界」というページにこのように書かれてあります。
アレニウスは、化学の分野のみならず、あらゆる科学にも通じていた。彼が貢献しなかった科学の分野はほとんどなかったとも言われているのだ。
彼は、宇宙空間を漂っている「生命の種子」を想定し、これが太古に地球上に降り注いだ可能性もあり、地球上の生命の発生にもつながったのではないか、とする「パンスペルミア説」(汎宇宙胚種説)なども提唱。
彼は、そうした生命種子は、「太陽風を受けて、秒速100Kmの速度で宇宙を旅してきた」とまで計算していたのだ。
この 100年前にスウェーデンの科学者が想定した概念は、1970年代頃から続々とデータ上で実証されていきます。
ところが、地上の科学の世界には以下の3つの概念が強固に定着しており、これらの「宇宙空間から地球などに生命のようなものが飛来している」ということは、データ的に確証がとれていると考えられるにも関わらず、基本的に科学界で無視されてきました。
地上に定着していたその3つの見識とは、
・生命は地球の原始スープの中で無機物から生まれた
・ダーウィンの進化論
そして、
・宇宙はビッグバンで誕生した
の3本です(サザエさん風)。
ビッグバンについては、このブログでも過去に何度か記事(ビッグバン理論では説明できない古い巨大な銀河が多数発見されるなど)を紹介しましたが、ビッグバンのほうはについては今回はふれません。
上のスウェーデンのアレニウスが1世紀前に行ったバクテリアに対しての実験については、やはりフレッド・ホイル博士の「DNA は宇宙を流れる」という著作でふれられていますので、抜粋しておきます。
この「DNA は宇宙を流れる」という本は、ホイル博士最晩年の著作で、前回紹介した「生命はどこからきたか」と比べると、科学的な立証部分が少なく、わりと平易なエッセイ本のような内容なのですが、理論的な部分とは別に
・宇宙塵が宇宙を作っている
ことと、そして、
・その宇宙塵は生命(バクテリア)である
ということが繰り返し書かれています。
そこからの部分的な抜粋です。
結構長くなりますので、要点を先に書いておきます。
・バクテリアは宇宙空間で想定されるあらゆる苛酷な条件を生き延びた
・宇宙空間の極端な低温はむしろバクテリアの胞子の保存には適した空間
・生体物質が無酸素状態の中で分解されてできるグラファイトは生命をX線や紫外線から完全に保護する
などです。
3つめのグラファイトの問題は、著作にそう書かれているわけではないですが、「宇宙空間で生命が死ねば死ぬほど(グラファイトが生成されて)他の生命が助かる」ということになると思います。
生命( DNA )は宇宙を流れる
著者/フレッド・ホイル
翻訳/小沢元彦
バクテリアは星間空間で生きてゆけるか より
1世紀あまり昔に、スウェーデンの物理化学者スヴァンテ・アレニウスは、バクテリアの胞子のような微小な粒子なら、光の圧力を受けて宇宙空間を旅することが可能であると計算した。もちろん、この仮説には、バクテリアが宇宙空間の苛酷なコンディションに耐えられることが前提とされる。
この前提に問題がないことを示すために、アレニウスは、バクテリアの胞子が信じがたいほど強靱であることを強調した。彼は、ロンドンのジェンナー研究所で、バクテリアの胞子をマイナス252度の液体水素の中で 20時間保存しても発芽能力を失わないことが証明されたこと、および、マイナス200度の液体空気の中で微生物の繁殖能力をそこなうことなく6ヶ月のあいだ保存できることを実験的に証明したことを根拠に、バクテリアの胞子が星間空間なみの低温にも耐えられると言った。
さらにアレニウスは、生物を消耗させる生化学的なプロセスは、低温では非常にゆっくりとしか進行しないことを挙げ、宇宙空間の極端な低温は、バクテリアの胞子にとって最も効果的な保存法として作用するだろうと言った。そうであるなら、常温下の活動状態にある場合にはとても不可能な、長い、長い旅を終えた種子が、新しい環境のもとでふたたび繁殖し始めると考えても、おかしくはない。
彼の仮説に対しては、バクテリアがいかに丈夫であったとしても、宇宙空間のX線や紫外線には耐えられないだろう」という批判がなされるのが常である。
アレニウスは宇宙空間にX線が存在することは知らなかったが、太陽光線に含まれる紫外線が生物の細胞にダメージを与える可能性については気付いていた。彼は、この点につき、楽観説をとったが、そこがオパーリンらの猛攻撃を受けた。
確かに、X線や紫外線は、生物の遺伝子を破壊する。しかし、ある種のバクテリアにはX線に対する高い耐性があることが知られている。マイクロコッカス・ラディオフィリオという単球菌の仲間のバクテリアに強力なX線を照射する実験を行ったところ、その DNA 分子は1万以上の微小な断片になってしまった。ところが、そのバクテリアは、このすさまじい破壊から回復し、蘇生してきたのである。
また、グラファイト状の物質からなる厚さ1万分の数ミリメートルの、きわめて薄い外殻をバクテリアのまわりにつければ、紫外線による破壊から内部を完全に保護することができる。そして、生体物質が無酸素状態の中で分解されると、最終的にはグラファイトになることは、よく知られている。いくつかのバクテリアが塊になって宇宙を漂うなら、内側のバクテリアは、ほぼ完全に保護されるだろうし、バクテリアの胞子が暗黒星雲の中にある場合や、彗星や隕石の中に埋もれた状態でいるなら、生命の危険はさらに軽減される。
われわれの実験でも、バクテリアは、0気圧にも、1平方センチメートルあたり 10トンの圧力にも耐えた。極低温にも、600度までの瞬間的な加熱にも耐えた。
銀河を旅するのに、バクテリアほど適した形態はない。
いや、バクテリアの数々の驚異的な性質は、宇宙を旅するために発達したような気さえしてこないだろうか?
ここまでです。
この最後のホイル博士の問いかけ、「バクテリアの数々の驚異的な性質は、宇宙を旅するために発達したような気さえしてこないだろうか?」に関しては、その問いかけ通りだと思います。
つまり、
・バクテリアはもともと宇宙空間を旅するものとして生まれた
のだと私は思います。
そして、何度かふれましたが、「どうしてそうなのか、そして、どうしてそういうものが宇宙に存在するのか」は永遠にわからないことだと思います。単に過去の実験結果がそれを示しているということで、理念も理想も何もない現実の話です。
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パンスペルミア
2011年03月02日
地球の生命は宇宙に起源があることが普通に報じられるようになった時代への感慨
(訳者注) もともとこのブログを始めた理由のひとつは、「地球の生命の起源はすべて宇宙からのものだ」ということについて私は知りたく、それに関連するニュースをクリップする目的でした。そのうち、自分でも英語を少し理解するようになったりして、このブログも昨年まではそれに関するニュース(パンスペルミア説、左型のアミノ酸、地球にいる極限環境微生物などに関するニュース)の紹介が多かったと思います。
しかし、途中から自分の考えは完全に固まって、もうそれ(生命の宇宙起源)以外の考えはなくなり、つまり、自分の中では「完結した」ものとなりました。なので、それに関するニュースはもはや驚くものではなくなってしまい、あまりご紹介しなくなりました。
地球の生命はその構成単位であるアミノ酸から、あるいは DNA を持つ生命に至るまで、過去にはすべて宇宙から来たもので、そして「今も」来ていることを私は確信しています。というか、他の可能性はもはやあまりないように思います。
この半年ほどでその関連で書いた記事をいくつかリンクしてみます。
古いものから日付順です。
パンスペルミアと極限環境微生物関連の過去記事
・フレッド・ホイル博士の霊に捧げる:インドに降った赤い雨の中の細胞が 121度の温度の下で繁殖し、銀河にある光と同じ光線スペクトルを発した (2010年09月07日)
・米国ローレンス・リバモア国立研究所でも地球の生命が宇宙から来たアミノ酸だという研究発表 (2010年09月16日)
・1億年の冬眠サイクルをもつとされるバクテリアがスヴァールバル島沖合の海底で発見される (2010年09月21日)
・大気圏の生き物(参考記事:1980年代のチャンドラ博士によるシミュレーション実験等) (2010年10月05日)
・地球のすべての生命は地球外のゾンビたちかもしれない: 死骸の遺伝情報が新しい命を導く (2010年11月12日)
・微生物による地球環境支配の姿: 海洋地殻深部より炭素を変換するバクテリアが発見される (2010年11月22日)
・地球上で見つかった「炭素ベースではない」まったく新しい生命 (2010年12月03日)
今回のテレグラフの記事をご紹介したのは、その内容そのものというより、テレグラフのような、いわゆる高級紙とされるメディアで、これに関する口調がすでに「地球の生命は宇宙から来たのかもしれない」という口調ではなく、「来た」と断定口調となっていることです。予想以上に速やかな考え方の移項が見られるように思って、嬉しい気持ちもあります。
これに関連することとして、まあ・・・あまりいい考え方の方向ではなかったと今では思うのですが、以前、ブログでこのことに関して、「確率の面」から書いたことがありました。参考資料とはならないとは思いますが、記事の下に記しておきます。
当時はとにかく、「宇宙は生命から来た」ことを自分でいろいろな面から確認したくて必死だったんですね。
何しろ、私が「宇宙は生命から来た」という考えを持ってからまだ1年も経っていないのです。
私にとってはつい最近の知見なのです。
偶然見つけた、チャンドラ・ウィクラマシンゲ博士の記事を読んで、1度読んだ瞬間に「ああ、これはすべてその通りだ」と体の芯から感動し、それまでの数十年間の考え方は瞬間的に消えました。私はなんでも(人生でも考え方でも趣味さえも)行き当たりばったりですので、人生の興味のほとんどが偶然の出会いだけでここまで来ました。
なお、今回の記事でもっとも注目したいこのニュースの筆者の言葉は「地球に衝突した隕石は、存在していた生命を一掃したのではなく、むしろ地球で生命の存在が開始されたきっかけを作った」という部分です。つまり、最近も小惑星の衝突の予測などの推測ニュースも相次いでいますが、それは「隕石も小惑星も、生命を滅ぼすことに主軸があるのではなく、新しい生命の開始に関係があるという可能性」について書いているように感じます。
仮に人類は消えてしまっても、さらに新しい生命の開始がそれ(隕石など)によって始まるという可能性は私も考えます。大体、何も起きなくても人の寿命なんて70何年とかそんなものですし、それなら、新しい生命のために心の準備をするのも悪くないのかなあとか。
まあ、新しい生命といっても、バクテリアとかの微生物の可能性は高そうですが。
▲ 35億年前の岩石から見つかった古代生物の化石。
それでは、ここから記事です
短いのですけどね。
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パンスペルミア
2010年11月22日
海洋地殻深部より「炭素を変換するバクテリアが発見された」という報道をご紹介したいと思います。
訳してみると思ったよりも長く、内容もやや難しい感じで、もしかしたら読むのが面倒なものになってしまった気もしたので、ものすごく簡単に要約しておきす。内容自体は個人的にもとても関心があるものですので、要約だけでもお読みいただければと思います。
話の大筋としては海洋地殻という地球の地下で微生物が発見されたというものです。
海洋地殻とは、海底の下にある岩盤のことで(下の図の1の部分)で、
今回の場所はアトランティスマシフという海嶺近くの海底の下です。
地殻に関しては、そこを掘っていくような地質学的な調査は今までも行われていたのですが、「生物学的に」調査されることはなかったのだそうです。最大の理由は、「温度が100度も200度もあって、酸素がまったくないようなそんなところに生物などいないだろう」という考え方が主流だったからのようです。
で、調査してみたら、微生物が大量にいたと。
そして、どうもこれらは「窒素や炭素を分解する遺伝子を持っているらしい」と。
要するに、大気成分の変換を行っているらしい。
その何が重要なのかというと、「地殻」というのは地球全域にわたっているわけで、もし、この「大気の保管と変換」をおこなっているバクテリアが地球全体にいるのなら、地球の環境の形成に非常に大きな影響を今でも与えているのではないかと。
ここで、記事には書いていない、訳者の私個人の言葉で言わせていただけば、「地球環境は今も昔も微生物に牛耳られている」という想いを今回の発見でさらに強くしました。
地殻は何キロという比較的深い場所にあるので、地球の表面が災害で滅びようが、氷河期になったり、スノーボールアースになったりしても、地上ほどには影響は受けないと思います。なので、地球表面の生き物が一掃されても、次の生命の萌芽まで脈々と調整していくのではないですかね。このバクテリアたちは。
ちなみに、ここのバクテリアの寿命はわからないですが、以前、記事にした今年の夏に海中で発見されたバクテリアの寿命は「最低でも1億年」と推測されています。
記事はこれです。
・ 1億年の冬眠サイクルをもつとされるバクテリアがスヴァールバル島沖合の海底で発見される (2010年09月21日)
ちなみに、下の記事では火星にメタンが存在する理由を「地中に微生物がいるからでは」というレポートの内容も報告していますが、大気の存在が確認されている太陽系の惑星は全部同じではと思っています。
つまり、太陽系の惑星のほとんど全部に微生物はいるのでは、ということです。
大きな生物(いわゆる人間とか宇宙人とか)は、星の環境に対して無力なので、いてもいなくてもあまり関係ないですが、微生物は星にとって重要で、どこの星でも同じ活動を行っているのではないでしょうか。
微生物は強いですしね。
ひとつの惑星の微生物を全滅させるには、分子レベルで星まるごと砕くしかありません。
なお、 In Deep でこれまでご紹介させていただいた「極限環境微生物」関係の記事には以下のようなものがあります。
・地球の極限環境で生きる生命から太陽系の生命の存在を考える天文学会 (2010年10月01日)
・宇宙空間で553日生きのびた細菌の研究が英国オープン大学から発表される (2010年08月26日)
・アルゼンチンで見つかった「極限環境微生物」から地球と宇宙の生命の由来を探る試みが始まる (2010年08月13日)
長くなってしまいましたが、ここから記事です。
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パンスペルミア
2010年10月05日
(訳者注) 今回のメトロの記事の報道だと、まるでこの、地球の大気圏にある宇宙からの有機体が存在の探査が「初めて行われる」というようなニュアンスでの記事になってしまっており、フレッド・ホイル博士ラブだった私としては、何とも情けないやら悲しいでやら、残念で涙さえ出てまいります。
これらの試みは1980年以前より繰り返し英国の大学などの主導で行われ続けてきており、フレッド・ホイル博士やチャンドラ・ウィクラマシンゲ博士たちの実験の繰り返しで、その頃すでに地球の成層圏とその上の空間にも有機物(大腸菌と似た微生物)の存在が認められています。
でもまあ、冷静に考えれば、1980年代にはニュースになどならなかったこのことが、こうやってメトロなどで大々的に報じられているのですから、やっばり世の中はそれでよかったんだ !! ←立ち直りが早い。多分、今回は探索も公ですし、相当な数の地球外生命(微生物)が発見されると思います。
ここからが翻訳記事です。
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パンスペルミア
2010年09月21日
Arctic Bacteria With 100-Million-Year Hibernation Cycle Discovered
Daily Galaxy 2010.09.21
1億年の冬眠サイクルをもつ北極のバクテリアが発見される
北極海の海底で、最高1億年の冬眠期間を持つバクテリアが発見された。これは、現在の地球上の既知の生物の中でもっとも長い生命サイクルを持つものとなるかもしれない。
英国ニューカッスル大学の地球科学研究グループのケーシー・ヒュバート氏と彼のチームは、ノルウェーのスヴァールバル島の沖合の海底の堆積物のサンプルから、生物学的活性を研究している。
ヒューバート氏の理論は、上昇する海流が細胞たちのいくつかを深い場所にある彼らの生態的地位にふさわしい場所から北極海の冷たい海水の中に運んだ。そのため、細胞たちは冬眠状態に入ったとするものだ。堆積物は彼らが発芽(成長)できる温度になるまで彼らを沈める。
その生物学的サイクルは、1億年に達するという。
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パンスペルミア
2010年09月16日
(訳者注) ローレンス・リバモア国立研究所「でも」としたのは、今年4月、日本の国立天文台でも同じ内容の観測結果が発表されていたためです。「生命の素材 宇宙から?…国立天文台など、アミノ酸の偏り作る光観測)」(読売新聞 2010年04月07日)などをご参照下さい。
なお今回の発表は、先日書いたチャンドラ・ウィクラマシンゲ博士などの研究チームの新しい研究発表を受けてという感じが強いです。それを訳した「[特報]インドに降った赤い雨の中の細胞が 121度の温度の下で繁殖し、銀河にある光と同じ光線スペクトルを発した」もご覧いただくと幸いでございます。
ただし、今回のリバモア国立研究所の発表では「単純な分子が衝突などの外的要因によりアミノ酸を作り出した」としているのに対して、国立天文台の観測では、太陽系の周辺にもともとアミノ酸が確認されている(つまり、もともと宇宙に有機物は存在しているという観測結果)という点は違います。
また、ウィクラマシンゲ博士も、もともと彗星内部に生命(あるいはアミノ酸)が存在しているとしていると思います。
ちなみに、 今回のローレンス・リバモア国立研究所は、もともとは、1952年にアメリカの核兵器の研究開発を目的として設立された機関です。
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パンスペルミア
2010年09月07日
(訳者注) 今回の記事は、マサチューセッツ工科大学で発行されている科学レビューサイトのブログ記事ですが、前提となる「雨」のことなどがあまり詳しく書かれていないので、記事を読むためには、米国の科学者たちの間で議論になっている「2001年にインドに降った赤い雨とは何か?」について知る必要があると思いますので、インドの雨についての記事をリンクしておきます。
・2001年、インドの”赤い雨”から地球外生命体を発見か(X51.ORG 2006年03月13日)
それと、パンスペルミア仮説という学説(地球の生命はすべて宇宙から降ってきたという仮説)の現代の最大の支持者であったフレッド・ホイル博士の ウィキペディアよりパンスペルミア仮説の部分を抜粋しておきます。ホイル博士は、元素合成の理論の発展に大きな貢献をした、世界でもっとも著名な天体物理学者のひとりです。
・フレッド・ホイル - ウィキペディアより。
ホイルは晩年、生命の起源を自然主義的に説明する化学進化の理論を頑強に批判した。チャンドラ・ウィクラマシンゲと共にホイルは、生命は宇宙で進化し、胚種 (panspermia) によって宇宙全体に広がったというパンスペルミア仮説(胚種広布説)を唱えた。また地球上での生命の進化は彗星によってウイルスが絶えず流入することによって起こると主張した。
どうでもいいですが、今回の記事は何だか嬉しくて、涙を流しながら翻訳しておりました、英国カーディフ大学のチャンドラ・ウィクラマンシゲ博士とインドのコーチン科学技術大学の物理学者、ゴフレイ・ルイス教授の執念の賜といってもいいかもしれません。
私はパンスペルミア説がグリグリに好きなんですが、今でも証拠がどんどんと積み上がっていたのですね。
嬉しい限りです。
もちろん、これで科学や天文学の何かが変わるわけではないでしょう。
何しろ、(いつでも)科学的根拠は完ぺきであるにも関わらず、もう30年間、科学界から無視され続けている学説なのですから。でも、学会の問題ではなく、広く認知されることで、一般の人々の理解に変化があれば嬉しいなと思います。
ここからが今回の記事です。
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パンスペルミア
2010年08月26日
Microbes taken from Devon village survive in space for 553 days
英国オープン大学ウェブサイト 2010.08.24
宇宙空間で553日生きのびた細菌
・BBCニュースより、細菌が採取された英国ビア村。
惑星宇宙科学調査研究所 ( PSSRI ) のチャールズ・コッケル教授は、英国の海沿いの村で採取された細菌の研究について言及した。
「極限環境ではないように見えるかもしれない英国デボンの漁村ビア村だが、その崖の表面は乾燥しており、太陽輻射がある。また、塩と淡水域に常にさらされているという非常に生態環境条件が厳しい場所で、その環境に適合した極限環境微生物が生きている」と、教授は言う。
その地域の岩をスペースシャトル「アトランティス」に乗せ、宇宙へと運び、国際宇宙ステーションの外側の宇宙空間に配置した。
この岩は、スペースシャトル「ディスカバリー」に乗って2009年の後半に地球に戻るまで、1年半の間、宇宙空間に残された。
そして、宇宙から地球に戻ってきたこの岩から、シアノバクテリアの一種であるグロエオカプサ ( Gloeocapsa ) が生きた状態で分離されたのだ。
この生物が示すものは、極限環境での生命に関しての新しい洞察であり、また、宇宙探査に対しての考察、たとえば、酸素の生産や岩の生成過程などについての新しい洞察となるものかもしれない。
ニュースの続きと、コッケル教授のビデオは、英国BBCのウェブサイトで紹介されている。
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パンスペルミア
2010年04月20日
酸素なしで生きる多細胞の動物を発見
朝日新聞 2010年04月13日
ギリシャ・クレタ島に近い地中海の海底の堆積物から、 酸素なしで生きる動物が見つかった。一部の細菌など単細胞生物が、酸素なしで生きることは 知られているが、多細胞の動物は初めて。イタリアとデンマークの研究チームが英オンライン 生物誌BMCバイオロジーに発表した。
チームが調査した堆積物は、塩分濃度が特に高い水がたまったところの下にあり、普通の海水との接触がなく酸素が全く含まれない。だが、この10年間で3回調査した結果、軟らかい体を硬い殻のようなもので包む1ミリ以下の小動物(胴甲動物)3種類が生きていることがわかった。 これらは、堆積物の中で一生を過ごしており、酸素なしでも生活のためにエネルギーを得る機能を進化させているらしい。
英テレグラフ紙は今回の発見について「(酸素がない)地球以外の惑星に、生命が 存在する可能性を調べるのに役立つかもしれない」との専門家の見方を紹介している。
代謝:起源の古い酸素生成経路
nature asia-pacific 2010年03月
オランダの排水路の淡水性堆積物から分離された微生物で、亜硝酸および硝酸の還元に伴う嫌気的メタン酸化で酸素を生成するという、今まで知られていなかった経路が発見された。この反応を行う細菌の全ゲノムが組み立てられ、好気的メタン酸化の遺伝子が含まれることが明らかになった。
この細菌は、一酸化窒素2分子を窒素と酸素に変換することによって亜硝酸を還元し、脱窒中間体として知られる亜酸化窒素を迂回している。
この発見は、環境中の窒素およびメタン循環に関係するとともに、太古の地球に窒素酸化物が存在していたことから、酸素発生型光合成の出現以前に微生物が利用できる酸素供給があった可能性を提起している。
タグ:酸素
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パンスペルミア
2010年04月07日
生命の起源、宇宙から飛来か…国立天文台など
読売新聞 2010年04月06日
国立天文台などの国際研究チームは6日、地球上の生命の素材となるアミノ酸が宇宙から飛来したとする説を裏付ける有力な証拠を発見したと発表した。
アミノ酸には「右型」と「左型」があるが、人類を含む地球の生物は左型のアミノ酸でできている。しかし、通常の化学反応では左右ほぼ等量ずつできるため、なぜ地球の生物にアミノ酸の偏りがあるのかは大きな謎となっていた。
研究チームは、南アフリカにある近赤外線望遠鏡を使って、地球から1500光年離れたオリオン大星雲の中心部を観測。アミノ酸をどちらか一方に偏らせてしまう「円偏光(えんへんこう)」という特殊な光が、太陽系の400倍という広大な範囲を照らしていることを初めて突き止めた。
この領域には、右型のアミノ酸を壊して地球のように左型ばかりにする円偏光と、右型ばかりにする円偏光の2種類があることも分かった。アミノ酸は地球上で落雷などによって作られたとする説もあるが、これでは両方の型が作られる可能性がある。
国立天文台の福江翼研究員は、「太陽系はごく初期に円偏光に照らされた結果、左型のアミノ酸ばかりが残り、隕石(いんせき)に付着して地球に飛来したのではないか」と話している。
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パンスペルミア