2015年09月29日



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赤い月と赤い惑星が出会った9月28日: NASA が行った火星に関しての重大会見から改めて思う「宇宙探査の無駄」



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5年ぶりの事前アナウンス会見らをした NASA の「事情」

「赤い月+スーパームーン」が世界の半分くらいの地域で観測された 9月28日の夜、 NASA は「赤い惑星」とも呼ばれる火星に関しての「重大会見」を開くことをアナウンスしていました。

事前に記者会見の内容をアナウンスするのは比較的珍しいことで、「それだけ特別なものですよ」というようなニュアンスを漂わせていたのですが、その結果は、


火星に流れる水が存在する可能性がある


という、予想通り「空気のような」内容の会見でした。

本当に何の衝撃もない発表内容で、報道もそれほど大きな扱いではないのは、誰にとっても予想をはるかに下回るインパクトだったからかもしれません。

私などは、むしろ、「衝撃的なほど陳腐」であることに衝撃を受けた部分はあります。

しかし、逆に、


「なんでこんなものを『特別記者会見』的なイベントにしなければならなかったのだろう」


と、ふと思いました。

何だか焦りにも似た不思議な感覚を受けました。

それで、少し報道を探したりしていましたら、9月21日のニューヨーク・タイムズの下の記事を見つけました。


nasa-budget-01.gif

▲ 2015年09月21日の米国ニューヨーク・タイムズより。



「ああ、この問題も多少関係あるのかもしれない」


と思いましたので、このニューヨーク・タイムズの記事を最初にご紹介しておきたいと思います。
意見記事です。


Starving NASA’s Budget
NY Times 2015.09.21


予算不足にあえぐ NASA


当紙の 9月8日の論説「予算の戦いは NASA に害を与える」は、アメリカの政府予算の不確実性が NASA のプロジェクトのコストを増大させ、それが与えるマイナスの影響がいかに深く大きなものかを述べたものだ。

1990年代の半ば以来、NASA はアメリカ議会からの予算の検討に関して、強い圧力を受け続けている。

その結果、NASA のプロジェクトの資金調達に関して、日々の不確実性をもたらし、ミッションの目標を超えた長期的な不確実性をもたらしている。

そして、それは、NASA の職員たちに対して、徒労を増大させ、職員たちの士気の喪失にもつながっている。

NASA は、単に宇宙ミッションを作り出す工場ではない。

アメリカの非軍事部門と、非医療研究のための中枢部なのだ。

NASA の飛行計画や宇宙研究プログラムの数々は、例えば、宇宙ベースの研究をおこなう際には事実上、アメリカの国内すべての科学技術専門家たちと連携する。

NASA と契約する独立した科学団体は、それらの団体が研究できる範囲の技術を持っており、そして、プロジェクト管理や資金調達などを NASA に依存している。

現在のように、常に短期的な予算編成の目標を達成するために NASA が常に予算不足にあえいでいる状態は、長い目で見れば、アメリカ経済にとって良くはない。それは、私たちアメリカの科学技術研究をリードするコードを破壊されてしまっている状態だといえる。

NASA がおこなっていることをおこなえるのは NASA だけであり、代替え機関は存在しないのだ。だからこそ、NASA は長く、アメリカの誇りであり続けるのだ。





ここまでです。

NASA の予算不足は長い歴史がありますが、しかし、予算不足とはいっても、アメリカの宇宙開発の年間予算は、日本などとは比較になりません。

NASA の政府予算は以前より減ってはいますが、それでも現在でも、ざっと2兆円ほどあります。

ただ、以前と比べますと、かなり予算が減ってきているのは確かなようです。


NASA の予算の推移

NASA-Budget-Federal.gif
Budget of NASA



NASA が設立した 1958年と、アポロ計画の際に最も予算が多かった 1966年とも、そして、昨年の予算を比較しますと、次のようになります。

金額はすべて現行のドルの価値に換算されたものです。


1958年
7億3200万円( 878億円 / 政府予算における割合は 0.1%)

1966年
435億ドル( 5兆2264億円 / 政府予算における割合は 4.41%)

2014年

176億ドル( 2兆1176億円 / 政府予算における割合は 0.5%)




ところで、NASA は 2010年にも、今回と同じような「事前アナウンスした大々的な発表」をおこなっています。

その時は「まったく新しい生命」に関しての発表でした。

覚えていらっしゃるでしょうか。


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2010年の NASA の前例「まったく新しい生命の発見」のその末

これは、2010年の記事、


地球上で見つかった「炭素ベースではない」まったく新しい生命: NASA による発表が行われる予定
 2010年12月03日


で、宇宙専門メディア「デイリーギャラクシー」の記事をご紹介したものです。

その冒頭は以下のようなものでした。



「驚異の発見: NASA が新たに発見された「 DNA ベースではない生命形態」の発表をおこなう」 より
Daily Galaxy 2010.12.02


NASA が本日驚くべき発表をする予定だ。

米国カリフォルニアにある湖、モノ・レイクの有毒性のヒ素水の中から、現在の地球上に住んでいるあらゆる生物とは、いかなる生物学的素材を共有しない新しい生物形態を発見したのだ。

これは、この天の川銀河、そして、それを越えたすべての宇宙の生物の概念を変えるものだ。

今、私たちにとっての宇宙は「突然」変わった。

既知の、そして未知を含む何兆にも及ぶであろう宇宙の星の数々にいるかもしれない、あらゆる生物の形態が私たちの前に広がろうとしている。

12月2日におこなわれる科学会議で、 NASA の科学者フェリサ・ウォルフ‐シモン氏は、こんにち我々が知っているものとはまったく違う形態のバクテリアを発見したことを発表する。このバクテリアは、リンではなく、ヒ素を使う。




というように、

> 今、私たちにとっての宇宙は「突然」変わった。

などという、とんでもなく大きな発表のような響きがあります。

私たちにとっても、何だか「この世の概念が変わる」ような期待感がありました。

そして、その NASA の発表は予定通りに行われました。


ところが、その2年後・・・。


2012年7月の In Deep には下のタイトルの記事が踊りました。


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▲ 2012年07月10日の記事「NASA が 2010年に大々的に発表した「新しい生命」は「普通の地球の生物」であることが判明」より。



発表から2年後の 2012年、アメリカの科学誌サインエンスなどに、スイス連邦工科大学チューリヒ校と、米国プリンストン大学のそれぞれの研究チームが、


あれは単なる普通の生物


だとする論文を発表して、NASA の見解が完全に否定されてしまったのです。

その時に翻訳した記事の冒頭部分をご紹介します。



Biznes Portal
2012.07.09

NASA の科学者たちの地球上での生命についての発見は完全に間違っていた

欧米のふたりの科学者が、米航空宇宙局(NASA)の研究チームが発表した仮説を否定する論文を米国の科学誌に発表した。

NASA の研究チームは、ヒ素を生存に利用する細菌を米国のモノ湖で発見し、これが地球外生命の探索に影響すると 2012年12月に発表したが、今回これを全面的に否定する複数の論文が発表され、NASA の発見した生命は新しい形態の生命ではなかったことがわかった。

発表は、スイス連邦工科大学チューリヒ校と、米国のプリンストン大学のそれぞれの研究チームにより発表された。




> NASA の発見した生命は新しい形態の生命ではなかったことがわかった


ということになり、結局、あの会見の興奮は「なかったもの」のような存在となってしまいました。


その細菌は GFAJ-1 と名づけられたもので、これが新しいタイプの生命であることが否定された経緯などは、GFAJ-1 - Wikipedia などにも書かれています。

この 2010年の時のことに関してはともかく、今回の「火星」についてのアナウンスをした「背景」に関して、以前の記事から思い当たる部分があるのです。

たとえば、現在、「火星探査」そのものが、予算的に非常に厳しい立場に置かれている可能性があるのです。





火星と手を切りたがっているアメリカ政府

2012年2月に、


米国政府が NASA 火星計画の予算を停止。米国の火星ミッションが事実上終了へ
 2012年02月29日


という記事を書きました。

今はそれから3年経っていますので、現状はよくわからないですが、2012年の時点で、アメリカ政府は「火星探査を継続する意志はない」ことを表明していたようです。

これは当時の AP 通信に書かれていたもので、2012年2月の時点で、


・ホワイトハウスは 2016年と2018年に予定されていた NASA の火星計画への予算計上を中止。
・2012年の無人探査機キュリオシティの打ち上げは行われる。
・太陽系探査の優先順位を「火星から木星の衛星エウロパ」に変更。
・火星への有人飛行計画は、白紙(多分消滅)。
・欧州宇宙機関等は、中国とロシアに火星計画を持ちかけている。



ということになったことが記事に書かれています。

どうして、こういうことになってしまったかというと、いろいろな意味はあるのでょうけれど、


「 NASA の火星ミッションが誰にも魅力的に映らなくなっている」


という部分はあると思います。

特に、科学者たちではなく、私たちのような一般人から見て、魅力的に見えない。

アポロ計画のように、アメリカ人、あるいは世界中のみんなに支持されて、喜ばれたようなものとは違い、「無人探査機が淡々と砂と石の上を移動するだけ」(にしか見えない)ような火星探査は、一般の人々にはさほど支持されていないように思えます。

火星に化石の痕跡などを探して記事にしている、アメリカの The Oldest Human Skull というブログの 2012年2月28日の記事には、下のように書かれていました。



ホワイトハウスのメッセージ: 「バイバイ火星。もはやこれまで」より

火星探査に対しての予算削減の理由は経済的な理由だけによるものではない。

簡単にいうと、NASA は火星での生命の発見に事実上失敗しているが、それが最大の原因だ。

科学者たちは長い間、火星で実際の生命を発見することのないまま、議論上だけで「生命が存在する可能性」を延々と語ってきた。

そして、多大な資金が火星探査に費やされてきた。

それなのに、今でもなお、NASA は「火星探査のミッションは火星の生命を探すためではない」とアナウンスし続けている。

そして、科学者たちと NASA は公共の資金から搾り取れるだけ絞り取ってきた。




今回、NASA が「水」についての発表をしたのは、「流れる水の存在 → 生命が存在する可能性」ということを「人々に連想してもらおう」としたのかもしれないですが、水じゃ、もうダメなんですよ。水では。

たとえば、1970年代の探査機バイキングの時から、


火星では、季節ごとに緑の空間が出現したり消えたりしている


ことが、定点撮影の写真で確認されています。

下の写真は火星探査機オポチュニティが撮影したものですが、このようなものです。


mar-green-02.jpg


この緑に植物的な意味合いがある可能性(特に、菌類と藻類からなる地衣類という生命)について、フレッド・ホイル博士が述べていたことなどを含めて、以前、


NASA の火星無人探査計画が無駄な理由
 2012年08月12日


という記事を書いたこことがありましたが、そこに 無人火星探査機バイキングが行った「ラベル放出実験」などのいくつかの「火星の生命の探査実験」のことを書きました。

そして、それらを含めて、 NASA の火星を含めた宇宙探査の歴史を振り返ると、


「 NASA は、本気で火星で微生物を発見しようとはもはや思っていない」


と思えて仕方なくなったのです。





パンスペルミア説から見れば、火星には100%生命は存在する

この見出しの通り、パンスペルミア説のように、宇宙の中を生命の種子が満遍なく行き渡っているならば、どういう形の生命かは別としても、火星に生命が「いない理由がない」わけです。

火星には薄いながら大気が存在し、いや、地球の苛酷な環境に生きている「極限環境微生物」と呼ばれる生命たちを見れば、大気さえも必要ない生物など、数多くいます。


[参考記事] 無酸素状態の湖の中で発見された「スーパー」バクテリア


あるいは、地球には、「極限乾燥耐性生物」という、「カラカラに乾いても死なない」生物などもたくさんいます。


この世に存在する生命というのはすごいのです。


どんな環境の場所でも、たとえ水も酸素のない場所でも生命は生きられる、あるいは、生きられる生命がいる、のが生命の世界の真実であって、そこから考えると、超高熱の惑星などを除けば、生命はそこで生きることができるメカニズムを持っています。


多分、NASA の科学者たちは、その生命の持つ「強靱さと多様性」を信じていない。


そして、多分「宇宙は全体として生命に満ちている」ことを信じていない。


その観点からは、どんなに予算をつぎ込んでも、どんなに高度な観測機器があったとしても、その探査はひたすら無駄であると思います。

水があるとかないとかが問題ではなく、生命存在の根本を見つめない限り、つまり、自分たちも今、おびただしい生命に囲まれて生きている、という感覚を宇宙にも当てはめないと始まらないような気がします。

これは NASA だけではなく、宇宙探査に関わるすべてに当てはまることだとは思いますが。

そして、そういう観点から見ますと、宇宙探査という行為そのものが終焉の方向に向かってもいいのではないかとも思うことがあります。


外に宇宙を見ている限り、宇宙の本当の姿は見えないような気がします。





  

2015年03月23日



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昨日の記事、

宇宙の創造…ひも理論…432Hz…528Hz…ライアー…:数々のシンクロの中で、この世の存在は「音そのもの」であるかもしれないことに確信を持てそうな春の夜(1)
 2015年03月22日

では「次は 432 Hz の音についての記事を書きます」というように書いたのですが、今朝、いくつかニュースを見ていましたら、上の「パラレル・ユニヴァース」というような言葉が入っている報道を見ました。

最近、この「パラレル・ワールド」という言葉や会話とよく出会います。

そういうシンクロがある時には素直に従ったほうがいいと思いまして、こちらを記事にすることにしました。

そして、もうひとつ気になったのは、この実験が、

ブラックホールの生成実験

ということなんですね。

それほど理解していないながらも、ちょっと気にもなりましたので、ご紹介したいと思います。




ジュネーブに極小ブラックホールが出現するか

スイスにある CERN (欧州原子核研究機構)で稼働している、世界最大規模の科学装置ともいえそうな、大型ハドロン衝突型加速器( LHC )というものがあります。

これは「陽子をものすごいスピードで衝突させて、高エネルギー宇宙を再現する」という大がかりなもので、その目的は、コトバンクによりますと、


主な狙いはヒッグス粒子や超対称粒子の発見。最近のブレーン宇宙の理論から、4次元時空を超える隠れた次元探しや微小ブラックホールの探究にも期待がかかるようになった。


とありまして、私は知らなかったのですが、最近の物理学の世界では、

4次元時空を超える次元探し

などがおこなわれているのですね。

「しかし、ブラックホールの生成って何か問題になっていたような気がする」

と、大型ハドロン衝突型加速器 - Wikipedia を読んでみますと、


余剰次元理論からの計算によれば、極小ブラックホールが生成される可能性があり、危険であるという理由から、フランス高等裁判所及び、欧州裁判所に実験の中止を求める訴訟が起こされている。

(略)

しかし、たとえ理論が正しかったとしても、LHC程度のエネルギーでは極小ブラックホールは生じない可能性が高い。



ということで、また仮にブラックホールが生成されても、瞬時に蒸発してしまうとのこと。

いずれにしても、今回は、その「極小ブラックホール」を科学者たちが作ろうとしている報道です。
先に報道の翻訳を載せます。



Scientists at Large Hadron Collider hope to make contact with PARALLEL UNIVERSE in days
Express 2015.03.20

大型ハドロン衝突型加速器の科学者たちは、いずれ「パラレル・ユニヴァース」とコンタクトすることを願っている

lhc-fond.jpg
CERN


CERN (欧州原子核研究機構)の大型ハドロン衝突型加速器( LHC )で驚異的な実験を行っている科学者たちは、パラレル・ユニヴァース(平行宇宙)へのコンタクトの希望を持っている。

スイス・ジュネーブの CERN にある驚くほど複雑な「原子衝突器」 LHC は、これまでにない高エネルギーでの素粒子反応を起こすために、陽子ビームを加速しての正面衝突実験を行っている。

その目的は、様々な検出と、そして「極小ブラックホール」を生成することだ。

この実験が成功したなら、完全に新しい宇宙が明らかにされ、物理学の書だけではなく、哲学書も書き換えられることになる。

実験が成功した場合、私たち自身の宇宙の重力が、パラレル・ユニヴァースへ「流出する」可能性さえあると LHC の科学者たちは言う。

LHC の高エネルギー粒子加速実験は、当初、批判的な立場の人たちから非難されていた。彼らは、実験によってブラックホールが生成され、私たちの宇宙が消滅してしまう可能性を挙げていた。しかし、そのようなことは起きておらず、ジュネーブは現在も無傷で残っている。

実際、LHC の実験は成功している。科学者たちは、宇宙のビルディング・ブロックであり「神の粒子」とも呼ばれるヒッグス粒子の存在を証明した。

そして、今は、いまだに検出されていない「暗黒物質(ダーク・マター)」の検出に進もうとしている。暗黒物質は、宇宙の大部分を占めると考えられている、私たちには認識できないとされる物質だ。

しかし、来週行われる実験は、内容がやや異なるものだ。

実験チームのひとり、ミール・ファイザイ( Mir Faizal )氏は以下のように語った。

「これはちょうど、たくさんの紙が平行に積まれているようなものです。それらには、[幅と長さ]という2次元オブジェクトが[高さ]という3次元の中に存在している。そして、パラレル・ユニヴァースは、さらに高い次元(余剰次元)に存在しているという可能性があるのです」

「私たちは、重力が余剰次元に流出することを予測しています。そしてもし、それが起きた場合、極小ブラックホールが LHC で作られるでしょう」

「通常、人びとが多次元を考える場合、量子力学の多世界解釈(エヴェレットの多世界解釈)を考えます。これは、どこにでもその可能性があるというものです。しかし、この多世界解釈は実験できるものではないので、科学というよりは、むしろ哲学です」

「それらは、私たちが述べるパラレル・ユニヴァースではありません。私たちが述べるパラレル・ユニヴァースは、余剰次元に現実として存在する宇宙のことです」

「これは、LHC での極小ブラックホールの検出によって、私たちの宇宙の重力が、余剰次元の宇宙へと流れていく可能性についてテストするものなのです」

「私たちは、極小ブラックホールの検出の期待が持てるエネルギーを計算しました。それは[重力の虹](gravity's rainbow)という新しい科学理論による計算です」

「もし、この算出されたエネルギーで、私たちが極小ブラックホールを検出した場合、その後、[重力の虹]理論と余剰次元理論が正しいことを知ることになるでしょう」

LHC の発射エネルギーは、テラ電子ボルト( TeV )を計測している。テラボルトは、1,000,000,000,000ボルト、あるいは、100京(けい)電子ボルトなどレベルのエネルギーだ。

今まで LHCは、5.3 テラ電子ボルトより低いエネルギーレベルで、極小ブラックホールを探索してきたが、最近の研究では、これではエネルギーが低すぎることがわかった。

その研究では、少なくとも、6つの次元で 9.5テラ電子ボルト、10の次元で 11.9テラ電子ボルトのエネルギーレベルで、極小ブラックホールが形成されると予測されている。





というようなものです。

ちなみに、この記事には、「ヒッグス粒子の証明」とありますが、「確定」という意味では、まだなされていないです。ヒッグス粒子 - Wikipedia で、ヒッグス粒子関連の時間軸を見ますと、以下のようになっています。


・2011年12月、実験データの中に、ヒッグス粒子の存在を示唆するデータがあることを見つけ、ヒッグス粒子は 「垣間見えた」と発表した。これは「発見」の発表ではない

・2012年7月4日、「新たな粒子を発見した」と発表された。だが、この「新しい粒子」が、捜し求めていたヒッグス粒子であるのかそうではないのか、ということについては確定的には表現されず

・2013年3月14日にCERNは、新たな粒子はヒッグス粒子である事を強く示唆していると発表



というように、現在まで「垣間見られた」か「示唆している」で何年も止まったままです。

しかし、このヒッグス粒子問題は今回は関係ありません。





異次元との接触と異次元への脱出

今回の実験のは量子力学での概念での多次元宇宙との接触ということではなく、

「リアルな別次元宇宙」

を見つけ出し、

「その別次元の宇宙とリアルに接触する」

というところまでを目指しているらしいのですが、ちょうど、最近、少しずつですが、読んでいるミチオ・カクさんの『パラレルワールド―11次元の宇宙から超空間へ』には、「今の次元の宇宙から、他の事件の宇宙へ脱出する方法」について述べている部分があります。

これは、何らかの理由で、私たちが私たちの宇宙から脱出しなければならなくなった際に、他の次元の宇宙へ「逃げる」ことのできる可能性があるかどうかを述べていて、そこには全部で 11 のステップが「可能性」として書かれていますが、その中のひとつに、

「ブラックホールをつくる」

という項目があり、

「巨大な粒子加速器を建設する」

という項目があるのでした。

その 11のステップは、下のようになっています。
それぞれの見出しの後に膨大な説明がつくのですが、ここでは見出しだけを。

他の次元への宇宙への脱出方法

ステップ1 万物理論を打ち立て検証する
ステップ2 自然に存在するワームホールやホワイトホールを見つける
ステップ3 ブラックホールに探査機を送り込む
ステップ4 ゆっくりとブラックホールを作る
ステップ5 ベビーユニバースを作る
ステップ6 巨大な粒子加速器を建造する
ステップ7 爆縮機構を生み出す
ステップ8 ワープドライブ・マシンを作る
ステップ9 スクイズド状態による負のエネルギーを利用する
ステップ10 量子論的な遷移を待つ


11番目は「それらがダメだった場合」というものですので、ここでは除いています。

聞いたこともない科学用語がいくつかありますが、特に「爆縮機構」と「スクイズド状態」がわかりませんので、調べてみますと、

爆縮は、「全周囲からの圧力で押しつぶされる破壊現象のこと」
スクイズド状態は、「量子力学の基本原理とされる真空のゆらぎが人工的に制御された状態」


だそうです。

上の中で、「ブラックホールを作る」とか「巨大な粒子加速器を建造する」というところは、今回の実験の内容と重なります。

なお、この本は 2006年に発行されたもので、まだ、大型ハドロン衝突型加速器が稼働していない頃です(稼働は 2008年から)が、建設はされていたので、文中にも出てきます。

その部分を抜粋します。


『パラレルワールド』 第12章より

われわれの宇宙は一枚の膜で、わずか1ミリメートル離れた超空間に別の平行宇宙が浮かんでいるかもしれない。

もしそうなら、大型ハドロン型加速器で今後数年以内にその平行宇宙が発見される可能性がある。われわれは、タイプT文明に進歩を遂げる前に、この隣り合った宇宙の性質を探るテクノロジーを手に入れているのではなかろうか。

となれば、平行宇宙と接触するというのもそれほどとんでもない考えではない気もする。



2006年から「数年以内」に、多次元宇宙と接触するということは行われていないわけですけれど、それにしても、ブラックホールが実際に生成されたら、何がどうなるのでしょうかね。


全然関係ないんですが、ふと、「ブラックホール」という言葉から、この数年の「あまりにもキレイな壁面を描くシンクホール」を思い出したりしてしまいました。

2010年6月1日 グアテマラシティのシンクホール
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2010年7月19日 グアテマラシティのシンクホール
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中南米の「地殻変動ライン」


2014年のシベリアのクレーターのなめらかな壁面
hole1b.jpg
ロシア国防省が報告したという「シベリアの穴と地球の磁場反転の関係」。そして「未知の大気物質」の存在

上の記事の、英語のニュースサイトの引用には、以下のような部分があります。


これらの3つの穴の相互の関係から推測すると、このそれぞれの穴が、「確定できない / あるいは未知の《大気》」によって作られたと結論づけることができる。

これらの「確定できない / あるいは未知の《大気》」を「活性化させたトリガー」について、報告書では、6月にコペンハーゲンでの会議で、欧州宇宙機関( ESA )が、前例のない磁気の揺らぎがシベリア領域に渡って発生していることを観測したことについてふれられている。

今回のロシア国防省の報告書は、最近のシベリアの穴から排出された「謎の」大気物質が、「大惨事が発生する何らかの早期の警告の状態である」ことを否定することはできないと結論づけている。



とあり、まあ、今回の記事の内容とは関係ないのですけど、「未知の大気」とか、「前例のない磁気のゆらぎ」とか、地球自身でもいろいろなことが起きている可能性もあるかもしれず、そして、このシベリアのクレーターなどは、どう考えても自然現象として不自然な感じもあります。

グアテマラのシンクホールの「キレイな円」も何となく奇妙に思い続けているものでもあります。

地球のほうにもいろいろな「未知の力」が存在しているんでしょうね。

そして、空間とか宇宙のほうにも、地球に「不思議に見える現象」を発生させるような様々な「未知の何か」がありそうな。もしかすると、その原因の一部は、ブラックホールみたいな得体の知れないものが宇宙からきたりするものなのかもしれないですし。

今回の大型ハドロン型加速器の「ブラックホール生成実験」も、何か予想外のことなどが起きる可能性などもあるのですかね。



  

2015年03月13日



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イギリス産婦人科学会は妊娠10週までのエコー検査を行わないガイドラインを策定中、アメリカ食品医薬品局は、必要のない超音波検査を「推奨しない」と勧告






 

超音波で「胎内の赤ちゃんの記念画像」を欲しがる人々が多い中

最近は子どもや赤ちゃんに関しての記事をたまに書きますが、

胎内で200種類以上の汚染物質に包まれながら成長して生まれてくる赤ちゃんたちのサバイバル…
 2015年02月01日

という記事で書きました内容など、現代生活の中では、生まれてからというよりも、むしろ「生まれる以前」から、子どもたちは様々な外部の要因と戦いながら生まれてきます。

そして、中には問題を抱えて生まれてくる赤ちゃんたちもいて、あるいは、喘息やアレルギーの子どもたちの率も増え続けています。

ここ十数年の子どもたちに起きている様々な問題が「もしかすると、生まれる以前のお母さんの胎内にいる時から始まっているかもしれない」というような感覚は、最近は多少は持っていますが、そんな中、イギリスのデイリーメールに下のようなニュースがありました。

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▲ 2015年3月12日の英国デイリーメールより。


今回、この記事をご紹介しようと思っていますが、先に概要を書きますと、イギリスの産婦人科学会や、アメリカ食品医薬品局( FDA )などが相次いで以下のような主張をしているという内容です。


胎児への超音波(エコー)での画像取得の安全性について、イギリス産婦人科学会では、妊娠10週以前の妊婦へのエコー検査を見直す動きを見せており、アメリカ食品医薬品局も、胎児が最も脆弱である妊娠初期に過剰な超音波診断、あるいは、3Dや4Dの高負担の超音波スキャンはお薦めすることができないとしている。



アメリカ食品医薬品局が発表したのは昨年 12月ですが、そのページが下です。

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▲ アメリカ食品医薬品局ウェブサイト Avoid Fetal "Keepsake" Images, Heartbeat Monitors より。

上の見出しの英語に「ドップラー」という単語はなく、「 Heartbeat Monitors (心拍モニター)」となっていますが、本文にこれがドップラー心音計(あるいは、ドップラー胎児超音波心音モニター)というものだと書かれてありましたので、そうしました。

ところで、「ドップラー心音計」とは一体何なのか?

知りませんでしたので、ちょっと調べてみますと、こちらに、

妊娠9~12週以降のお母さんのお腹にいる赤ちゃんの心音などが聞ける聴診器心音計

とありました。

そして、これも「超音波」を胎児に当てる器具ということになるようです。

エコーも、このドップラー心音計にしても、このような超音波を使う医療器具について、アメリカ食品医薬品局が上のページで問題としているのは、以下のことのようです。


超音波はわずかに組織を加熱する可能性を持ち、場合によっては、それにより、いくつかの組織に対して非常に小さな気泡(キャビテーションと呼ばれる)を生成する懸念がある。しかし、組織の加熱と気泡の生成が胎児に与える長期的な影響はわかっていない。


ということで、胎児の組織がわずかに加熱されることで、組織に気泡が作られる可能性があることが最近わかってきたということのようですが、ただ、それが胎児に何らかの影響を与えるのかどうかはわかっていません。

ただし、すでに現時点で、アメリカ食品医薬品局は

「使用しないことを推奨する」

としています。

ところで、この「エコー」なんですが、今はいろいろとあるようで、デイリーメールの記事には、3D とか 4D という言葉が出てきます。

今は平面の 2D だけではなく、3D とか 4D とかのエコーがあるようです。
しかし、3D (立体)まではわかるとして 4D とは?

これについては、クリムフ夫津子マタニティクリニック臨床胎児医学研究所という診療所のサイトに「2D, 3D, 4Dって何?」という記述があります。


2D, 3D, 4Dって何?

技術開発により最近では三次元超音波(3D)や四次元超音波(4D)などといった機能を搭載している機器も普及してきました。

簡単に言うと、普通に赤ちゃんの断面を見ている超音波法は二次元(2D)法です。これに対して3Dというのは、羊水中に浮かぶ赤ちゃんの表面をリアルに表現するものです。4Dはこの立体表現に時間軸をプラスして「動く立体画像の赤ちゃん」をリアルに表現するものです。

これらの3D, 4D超音波法というのはお母さんに「まだ見ぬ赤ちゃん」を見てもらう絶好の機会を与えてくれ、精神的に安定したマタニティライフを送っていただくことに貢献しています。

(略)

付け加えておきたいのは、3D/4D超音波がないと診断ができないのではなく、ほとんどの胎児診断は2D超音波で可能なのです。



ということで、

> ほとんどの胎児診断は2D超音波で可能なのです。

とありまして、どうやら 3D や 4D という立体写真は、医学的な見地からの必要性の大きさからというより、デイリーメールの記事の見出しにも、アメリカ食品医薬品局サイトのタイトルにもある、

「記念に」

という言葉が出てくるように、「お腹の赤ちゃんの姿を記念に残しておきたい」という目的を持つ親御さんたちが比較的多いことに起因しているようにも感じます。

あるいは、現実として、今の世の中は、病気や障害を持って生まれてくる赤ちゃんの比率が昔と比べて劇的に増加していますので、お母さんの気持ちとして、「病気がないかどうか確かめたい」という心境があることはしても理解できます。

上の、クリムフ夫津子マタニティクリニック臨床胎児医学研究所のページにも、


少子化の現在、お母さん、お父さんは赤ちゃんが健康であるかとても心配されています。数十人にひとりはなんらかの病気があるといわれています。


という記述があります。

これは、WHO の報告にある「現在は、出生児の4-5%が何らかの生まれつきの疾病をもつ」( 出生前診断 - Wikipedia )という数も、この「数十人にひとりはなんらかの病気がある」という率と大体一致します。

いずれにしても、

・記念のため
・心配を解消するため


という理由などによって、頻繁におこなわれる超音波での画像スキャンについて、「それを避けることを強くお勧めします」と、アメリカ食品医薬品局は述べているということになります。

デイリーメールでは、英国の医学博士の見解として、「妊娠 10週以前の妊婦は避けるべき」としていますが、アメリカ食品医薬品局に関しては、妊娠の経過週についての言及はありません。

ちなみに、私の子どもが生まれた病院は、東京の西荻窪で現在残っている産婦人科の中では最も古くからある病院で、外観も内観も簡単に書くとボロボロの、しかし、昭和を彷彿とさせる風情のある病院で、最新機器などはほとんど見かけませんでした。

(……と思って、久しぶりにその病院の様子でも見てみようと検索してみましたら、新築されてキレイになっていました)

そんな古典的な病院でもエコーは何ヶ月かに1回かは撮影していたと記憶していますが、エコー(超音波検査)って、いつ頃から普及したのですかね。




エコー検査の歴史

現在の日本の産婦人科医で、3D や 4D はともかくとして、エコー検査そのものがないという病院は多分ないと思うのですが、いつ頃から普及したものなのかを調べていましたら、川崎医療福祉学会誌に「超音波診断を含む妊婦健診の導入と普及要因」という研究論文がありました。

そこにある歴史を箇条書きにしますと、




日本における胎児の超音波検査の歴史

・1960年代までは妊婦検診は一般診察、外診、聴診、骨盤計測などで、当時は医師も助産婦も妊婦に対しての検診項目は同じようなものだった。また、定期検診も特にはなかった。

(私が生まれたのは 1963年でしたので、このあたりです)

・1965年に「母子保健法」が制定され、医師の定期的な妊婦検診が奨励された。

・1968年に超音波ドップラー法を応用した分娩監視装置の普及が進み、1,000台以上が市販される。

・1970年代になり、早期妊娠診断に超音波診断が有効であるとされ、この頃から普及が始まる。

・1980年代になって、胎児の詳細な形態診断や臓器の診断のための超音波検査機の開発が進む。

・1990年代になり、3D 超音波診断が臨床の現場に登場する。





という感じのようです。

超音波応用機器の市場の拡大は下のグラフのようになるようで、太い線が現在まで続く系統の超音波機器だと思いますが、このような大きな伸びを見せてきました。数百億円規模の市場ですから、小さくはないです。

1969年から2001年までの超音波検査機器の市場規模の拡大
echo-market.gif

まあ……このグラフを何かと関連させたくはないですが(エコー検査そのものには、大事な面があるとは思いますので)、最近の記事に載せたグラフで年代などと比較的連動しているものをふと思い浮かべてしまいます。

日本における低出生体重児の1970年から2000年までの推移
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▲ 2015年01月30日の記事「「そのうち日本から子どもが消えちゃうんじゃないか」と思わせる日本をめぐる統計グラフ…」より。元グラフは赤ちゃん通信より。


日本におけるおける先天異常発生頻度の1974年から2004年までの推移
dna-anomaly-5.gif

▲ 2015年02月01日の記事「胎内で200種類以上の汚染物質に包まれながら成長して生まれてくる赤ちゃんたちのサバイバル…」より。グラフはニコチル調査より。


うーん……まあ、いろいろと考える部分もないではないですが、ちなみに、最初のほうにも書いていますけれど、イギリスの産婦人科学会は、「妊娠初期の超音波検査と医療的な根拠のない過度な超音波使用は避けるべき」と言っているわけで、エコー検査そのものを否定しているわけではありません(ただ、アメリカ食品医薬品局は基本的にすべての妊婦に「非推奨」としています)。

しかし、たとえば、エコーで赤ちゃんの病気や異常が実際に見つかるケースは多いと思われ、また、お母さんにしても、今のこの時代に、お腹の中の赤ちゃんの様子を少しでも詳細に知りたいと思うのは、ある程度は当然だと思います。ですので、なかなか難しい問題ですよね。

自分のお腹の中の状態をまったく知らないまま、すべての妊娠期間を過ごすというのも、今の時代ではやや勇気がいることだと思います。

結局、イギリスの産婦人科学会の言うように「妊娠初期には(できるなら)控える」ことや、あるいは、例えば、超音波ドップラー心音計などを個人で「医療上の根拠のないまま何度も使う」というようなことは慎んだほうがいいということなのかもしれません。

ただ、日本ではこの理論は通用しないと思いますが。

ところで、関係ないんですが、昨日の朝日新聞に、

島から子どもが消える 「その日が来てしまったんじゃ」
 朝日新聞 2015.03.12

というタイトルの記事がありまして、内容は、高齢化が進む広島県福山市の走島(はしりじま)という小さな島で、今月、島に一つずつあった小・中学校と幼稚園が閉じて、島から「子どもがいなくなる」ことが記されたものでした。

このような光景そのものは、今では日本のあらゆる地方で見られていると思うのですが、この記事の最後の文章が「まるで未来の日本で誰かが呟く言葉のようだ」と感じてしまいました。

それは、島の公民館の副館長の高橋松美さんという方が述べた以下の言葉です。


「ずっと前から『このままじゃ子どもがいなくなる。何とかしよう』と思っていたのに、その日が来てしまったんじゃ。でも、もう遅い」


何だかこの方の言葉がとても切なく響いてしまいました。

これが未来の日本という国の単位で、

> でも、もう遅い。

となるような日が来ないといいのですけれど……。

そんなわけで、脱線しながら来てしまいまして、何だかわからくなってきましたが、デイリーメールの記事をご紹介いたします。

なお、この記事にある「危険性」には現時点では医学的なエビデンスはなく、この意見は英国でも米国でも「統一した見解ではない」ということは書いておきたいと思います。




Souvenir scans 'should be banned for first ten weeks of pregnancy': Ultrasound used to capture photos could expose foetus to unknown risks
Daily Mail 2015.03.12


記念のための胎内スキャンは「妊娠初期10週は禁止されるべき」。超音波での画像撮影は胎児が未知のリスクに晒される可能性がある


お腹の赤ちゃんの記念のスキャンは妊娠の初期 10週以内で行われるべきではないと医師たちは言う。

今はこれから両親になる人々が、記念のために妊娠のあらゆる時期的段階において胎児の画像を超音波で撮影し、それらを記念として部屋に飾ったりする人々も多い。

そのような中で、英国産婦人科学会は、医学的な理由がない場合の妊娠初期の妊婦に対してのエコー検査はおこなわない方向でのルール作りを進めている。

胎児の画像撮影には高周波数の超音波を使用するが、これによって、胎児が未知のリスクにさらされる可能性があることが新たな科学レビューで述べられているのだ。

現時点で、超音波が胎児に有害であるというエビデンス(医学的証拠)はない。
しかし、レビューは「予防原則は適用されるべきだ」だと述べる。

レビューの主筆の英国インペリアル・カレッジ・ロンドンの胎児医学者であり産婦人科医のクリストフ・リーズ( Christoph Lees )博士は、特にそれは妊娠 10週以内では顕著に見えたと語っている。

本来なら、エコー検査は、臨床医によって潜在的な問題を識別された場合に使用されるものであったが、クリニックの数が増え、今では妊娠6週目から画像提供をおこなう場合もある。

リーズ博士はこのように述べる。

「胚の期間での超音波検査は、いくつかの重要な筋書きから、胚に対してのリスクを持つ可能性があるのです。もっとも、現在、超音波診断の安全性に対しての問題があるという根拠はありません」

「しかし、現実として、超音波画像診断が、ますます明白な医療的な目的ではないことでも使用されるようになっており、胎児が胚という脆弱な妊娠初期の時期におこなわれる超音波の長期的な悪影響を認識する必要があると考えます」

アメリカ食品医薬品局( FDA )は、昨年 12月、妊娠のどの段階であっても、必要のない超音波検査をするべきではないという勧告を出した。

リーズ博士は、有害性の可能性とひとつとして、超音波によってわずかに発生する過熱効果をあげる。博士は、記念の胎児の画像がほしい場合、妊娠 20週以降にしたほうが良いと述べている。

また、同時に、超音波を使用するドップラー心音計も、妊娠初期 10週以前に使うことは全くお勧めできないと博士は言う。

さらに、3D 、 4D の超音波エコーに関しては、特に4D 超音波は、リアルタイムで、スキャン時間が長く、また、通常より高い電力放出を伴うことにも言及している。



  

2015年01月05日



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▲ 2014年12月26日のロシア 3dnews より。






 


連鎖する世界の大噴火

今年の最初の日に書きました、

全宇宙を崩壊させたテュポンの封印が解かれる日:トンガの海底火山フンガ・ハーパイと、イタリアのエトナ島の大噴火で終えた2014年
 2015年01月01日

という記事で、トンガの海底火山「フンガ・トンガ=フンガ・ハーパイ」と、イタリアのエトナ火山が年末に大噴火を起こしたことを書きました。

そして、2015年に入り、すぐの 1月3日に、インドネシアのシナブン山が、近年最大クラスの噴火を起こし、現在の警戒レベルが最高の「コードレッド」となっています。

sinabung-01.jpg
The Watchers


sinabung-02.jpg
Twitter


下のほうの写真で、地面のほうにある煙は火砕流が発生していることを示していると思います。

何かこう、わりと人々が携帯で写真撮ったりして、のんびりと眺めているんですけど、火砕流は時に、かなりの距離をものすごいスピードで進みますから、ちょっと危うい感じがしないでもないですね。

年末から年始は、大規模な噴火が相次いでいます。

なお、トンガの海底火山フンガ・トンガ=フンガ・ハーパイの噴火ですけど、昨年の3月にも噴火を起こしていたようで、その時の動画を見つけました。音は本当の音声ではないです。




そして、最近知ったのですけれど、このあたりの海域には、このフンガ・ハーパイのような海底火山が 36 もあるのだとか。

ひとつの噴火だけで上の状態ですからね。

複数、あるいは全部噴火したらどんな状態になるのか。

海底火山の噴火が増えると、どうしても海水温は局地的で、なおかつ一時的であっても上がると思われるのですけれど、最近、

北半球の雪で覆われた面積が観測史上最高を記録。なのに、気温と海水表面温度は観測史上で最も高いという異常な矛盾…
 2014年12月06日

などの記事で書いていますように、ただでさえ、現在は世界中の海水温度が上昇しているというのに、海底火山の噴火も相次いだ場合、さらに海水温度が上昇していくようなことも考えられないわけでもなさそうで、そうなった場合は、世界の天候はさらに荒れることになるような気もします。

西之島などを含めて、最近は海底の地質的な変化がはっきりとわかる形で現れることも多く、今年あたりは、もっと大きな「大陸の浮上」なんかも起きても不思議ではなさそうです。

それでは、ここから「終末」と関係する本題です。




ロシアで始まる「すべての生物種の生体バンク」構築計画

よく「世界の終末に備えた種子貯蔵庫」( 2011年10月14日の Wired )というような呼ばれ方をされることが多い、地球上の種子を冷凍保存している巨大施設である「スヴァールバル世界種子貯蔵庫」というものがあります。

これは、

スヴァールバル世界種子貯蔵庫 - Wikipedia

スヴァールバル世界種子貯蔵庫は、ノルウェー領スヴァールバル諸島最大の島であるスピッツベルゲン島に位置する種子銀行である。

2008年2月26日、ビル・ゲイツ主導のもと、地球上の種子を冷凍保存する世界最大の施設がスピッツベルゲン島の中心地・ロングイェールビーン近郊にて操業開始した。

施設は、今後さまざまに予想される大規模で深刻な気候変動や自然災害、(植物の)病気の蔓延、核戦争等に備えて農作物種の絶滅を防ぐとともに、世界各地での地域的絶滅があった際には栽培再開の機会を提供することを目的としている。

という施設で、最大 300万種の種子の保存が可能な地下貯蔵庫を持ちます。

スヴァールバル諸島が選ばれたのは「寒い場所だから」で、

地下貯蔵庫の温度はマイナス18〜20°Cに保たれ、万が一、冷却装置が故障した場合にも永久凍土層によってマイナス4 °Cを維持できる環境に置かれている。

というものです。

場所は、ノルウェー北部の海域にあるスヴァールバル諸島の下の星印の位置にあります。

svalbard-map.gif


内部は下のような感じで、現在は、50万種以上の植物の種子が収められているそうです。

svalbard-1.jpg
Glamox Svalbard Global Seed Vault

このスヴァールバル世界種子貯蔵庫は「植物だけの種子バンク」ということになりますが、これに対して、ロシアのモスクワ大学は、冒頭にありますように、

地球の数百万種の生体組織バンクを構築する計画を今年 2015年から開始する

ということが、ロシアの各メディアで伝えられていました。

植物から哺乳類まで、入手可能な限りの生物種のマテリアルバンクを作る試みということなのだと思います。報道では、絶滅危惧種をはじめとして、その目標数が「 430万種」と書かれています。

どのような保存形態となるのかはわからないですが、下のようなイメージもありましたので、このような感じの保存になるのかもしれません。

bio-bank.jpg
REGNEWS


スヴァールバルでの植物の種子保存に低温環境が必要なのと同様に、他の生物マテリアルも「細胞などが生きたままの状態」で保存するのであれば、かなりの低温を必要とするはずです。

通常は電気で保冷しても、「停電などにより電気が使えない状態になっても保存できる場所」というのが必要だと思われますが、極寒の場所なら豊富なロシアだからこその計画かもしれません。

そして、このプロジェクトにつけられた名称が「ノアの方舟」なんですね。

アメリカ主導のスヴァールバルの種子貯蔵庫も「終末の日に備えたプロジェクト」だと言われることが多い中、ロシアの計画も自ら「ノアの方舟」とつけるあたり、終末準備プロジェクトの香りがします。

ところで、「ノアの方舟」とはどんなお話だったのか、念のために記しておきます。ノアの方舟 - Wikipedia には、

・シュメルの洪水神話における記述
・ギルガメシュ叙事詩における記述
・旧約聖書『創世記』における記述


が記されていますが、ここでは旧約聖書のものを載せます。

旧約聖書『創世記』による「ノアの方舟」の記述の概要

神は地上に増えた人々が悪を行っているのを見て、これを洪水で滅ぼすと「神と共に歩んだ正しい人」であったノア(当時500〜600歳)に告げ、ノアに箱舟の建設を命じた。

箱舟はゴフェルの木でつくられ、三階建てで内部に小部屋が多く設けられていた。箱舟の内と外は木のタールで塗られた。ノアは箱舟を完成させると、妻と、三人の息子とそれぞれの妻、そしてすべての動物のつがいを箱舟に乗せた。

洪水は40日40夜続き、地上に生きていたものを滅ぼしつくした。水は150日の間、地上で勢いを失わなかった。その後、箱舟はアララト山の上にとまった。

この中に、

> 地上に生きていたものを滅ぼしつくした。

とありますように、やはり「全滅の神話」のわけです。

(ところで、40日間、動物たちのエサをどのように調達?)

まあ、細かいところはともかく、ノアの方舟の時には、実際の動物の雄雌を連れていかなければなりませんでしたが、モスクワ大学の「ノアの方舟」は、助けたい生物に用意するものは、ひとつの種の生物に対して小さな試験管2本で済むのですから、便利になったものです。


ところで、実は最近の生物科学関係のニュースの中では、こロシアの「生物種保存計画」よりもさらに驚いた「終末的な報道」がありました。

それは、「人工の精子」と「人工の卵子」の作成に成功したというニュースでした。




人の手で作り出された精子と卵子

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▲ 2014年12月24日のガーディアンより。


これは、ケンブリッジ大学の研究者たちが、ヒトの胚性幹細胞を培養し、成人の皮膚細胞を使用することで、「人工的に作られた精子」と、初期段階ながらも「人工的に作られた卵子」を作り出すことに成功したというものです。

ここに出てくる「胚性幹細胞」というのは、いわゆる ES細胞と呼ばれるものです。

こういう「何とか細胞」の報道は最近よく目にするのですが、私がほとんど理解していないのと同時に、「そこまで人体の細部まで人の手が入り込むってのもどうなのかね」と思う部分もないではないということで、「何とか細胞」という名前のつくニュースは一切見てきませんでした。

何とか細胞でノーベル賞を受賞された方の報道も一切目にしませんでしたし、久保さんだったか何だったか女性のニュースも、ウェブでは見出しも見ないし、テレビのニュースなら、その報道が出た途端に消していました。

ということで、これまでは興味がなかったのですが、

「人工の精子と卵子を作り始めた(しかも人間の)」

というところまで来たとなると、話も違ってきます。

ES 細胞の説明で最もわかりやすかったものとなると、やはり少年少女向けサイトで、「生物史から、自然の摂理を読み解く」というサイトの、ES細胞って何?(基礎編)に説明があります。

ES細胞は人体を形づくるあらゆる細胞にへと変ぼうすることのできるおおもとの細胞であるとともに、変ぼうする前の状態のまま自らをいくらでも分裂させて増やすことができる特性を持っています。

そのようなES細胞を手に入れることができるようになったということは同時に、ES細胞を上手に誘導してやれば目的とする必要な細胞、組織、器官を意図的に作り出し、さまざまな治療に生かせる可能性が大いに広がったということを意味します。

おぼろげでしか理解できないですが、要するに、

様々な状態に変貌して増殖することのできる ES細胞を使って、人間の体内の組織や臓器などを新たに作り、「細胞レベル」で医療に応用する。

という試みのようです。

この「大義名分」がどうもアレなんですよ。
上でいえば、「さまざまな治療に生かせる可能性」の部分。

これは、今回の「人工の精子と人工の卵子」についても、「不妊治療への応用」という大義名分が述べられています。また、これは確かに不妊に悩む方々には朗報であることも事実だと思います。

しかし、この研究がさらに進めば、

親がいなくとも、人間を作ることができてしまう。

ということが現実となるわけで、男女が子どもを作り出す、という構図は不要となってしまうばかりか、まず、

人を増やすために男性は完全に不要になる

ことは確定するわけですが、同時に、

施設が進化すれば、母体そのものも不要になる

という可能性もありそうです。

そりゃまあ、実際そんなようなことを試みた場合、倫理的にいろいろと問題を指摘されるのでしょうけれど、「発表しないで研究を続ける分には誰もわからない」ということがあります。

このガーディアンの記事の内容に対しての反響はコメント数の多さでも理解できます。

comment-648.gif

12月24日の記事で、今日 1月5日までに 648件と、かなりの数です。

それぞれの内容や賛否の比率まではわからないですけれど、どうにも、生体科学は「ある線を越えつつある」というような感じもしないでもないです。

そんなわけで、植物や生物の生体バンクの構築が進められる一方で、「人工物だけによる人間の誕生」に近づきつつあるという方向に科学は向かっているようです。

これを「科学の進歩」と感じるか、「終末感漂う時代」と感じるかは人それぞれなのでしょう。

それでは、ここから、ロシアの生物バンクのニュースの翻訳です。
記事そのものは短いものです。




ru-bio-bank.gif
3dnews.ru 2014.12.26

モスクワ大学が 10億ルーブルをかけ「ノアの方舟」を創造する


モスクワ国立大学に世界初の生体材料貯蔵庫(バイオマテリアル・バンク)が作られる計画が、サドヴニチイ学長によって明らかにされた。

このプロジェクトは「ノアの方舟」と命名された。

学長によれば、長期的な保管の後でも再生できる形での細胞材料の低温保存をおこない、さらに、蓄積した材料の分析のための最新のコンピュータ・ブラットフォームの設置もおこなわれるという。

この特別なコンピュータ・システムは、ロシアの他の研究拠点と、また、海外の生体バンクともネットワークを持つ予定だ。世界には、今のところ、このような形式での生体材料の統一した低温貯蔵システムは存在しない。

費用は 10億ルーブル(約 20億円)で、2018年の稼働を目指す。

完成したバイオバンクには、世界中の絶滅危惧種と共に、全世界の 430万種類の生物種の生体材料が貯蔵される予定だ。




  

2014年09月26日



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▲ 2014年9月25日の Bidnessetc より。ユニックス系というのは、現在の「 Mac 」の OS のすべてを含みます。






 


突然 Mac に押し寄せた「大災害」

私はパソコンとしては、 Mac も Windows もどちらも使っていますが、遊んだり、気楽な用途の場合は Windows ですが、この In Deep を書いたりすることも含めて、きちんとした作業をする時には Mac を使っています。

今日、「記事にしよう」と昨日から思っていたテーマで記事を更新しようとしていたときに、ふと、ある記事を目にして、その Mac (を含む UNIX 系というシステム)に「史上最悪のバグ」が発見されたことを知りまして、アメリカ国土安全保障省から、注意喚起が出ていることを知りました。

冒頭の記事に出てくる「ハートブリード」というのは、過去記事の、

インターネット史上最悪で、かつ破局的なセキュリティ危機が発覚。個人情報からカード番号、バスワードまですべて流出する可能性が内在する欠陥の存在が明らかに
 2014年04月12日

などでご紹介したこともある「インターネット史上最悪のバグ」と呼ばれたものですけれど、今回の Mac などに影響を及ぼすセキュリティバグは、

「それよりも多くの被害をもたらす恐れがある」

と書かれてあっては、さすがに気になり、対策はわからないものの、

OS X を含む UNIX 系 OS に史上最悪級の脆弱性が発見される。そして、ご自身の OS が脆弱性の影響を受けるかどうかをターミナルで確かめる方法
 
などという記事を書いていました。

この話は Mac を含むユニックスといわれる基本ソフトに関係するもので、一般の Windows ユーザーには関係のない話ですので、多くの方には興味のある話ではないでしょうけれど、企業などではかなり深刻な影響がある場合もありそうですので、簡単に記しておきたいと思います。

何しろ、ご存じのように、最近の「企業からの情報の漏洩の多さ」はものすごいものですが、今回のものは、それに加えて、「そのマシンを乗っ取ってしまうことができる」ものだそうです。

しかも、非常に簡単に。

下は AFP の記事からの一部抜粋です。

「Mac OS」などに致命的脆弱性、数百万台に影響の恐れ
 AFP 2014.09.26

米政府とIT専門家らは25日、米アップルの「Mac OS」を含む一部の基本ソフト(OS)の脆弱性によって、広範囲かつ深刻なサイバー攻撃が発生する恐れがあると注意を呼び掛けた。

アメリカ国土安全保障省コンピューター緊急対応チーム(CERT)によると、Linux やMac OSなどの「Unix ベースのOS」が、この不具合によって影響を受ける恐れがある。

CERTは、ハッカーがこれを悪用すると、コンピューターが乗っ取られる可能性があると指摘している。

米セキュリティー企業ブロミウム・ラボのラフル・カシャップ氏は、この脆弱性が、今年に全世界のコンピューター数百万台に影響を与えた暗号化ソフトウエア「OpenSSL」の欠陥「ハートブリード(Heartbleed)」よりも多くの被害をもたらす恐れがあると指摘。

ウェブサーバーやマッキントッシュ・コンピューター、リナックス系OSを搭載したウェブカメラなどのネット機器など、数百万台の端末に及ぶ可能性があると、AFPの取材に対し語っている。

ここにある「マッキントッシュ・コンピューター」というのは、いわゆる Mac のことです。

このような報道などを読みながら、

「ついに Mac もか……」

と、しみじみ思いましたが、これまで、このブログでも、

アメリカ国土安全保障省と日本のセキュリティ機関が同時に出した深刻な PC のセキュリティ警告
 2013年01月13日

などを含めて、たまにインターネットのセキュリティ上のことにふれたりしたこともありますけれど、上のハートブリードのことはともかく、これまでは、基本的に、マルウエアと呼ばれる悪質なソフトのターゲットは、ほとんど Windows だったわけで、Mac ユーザーは私も含めて、セキュリティに無頓着な面があります。

しかし、今回は「史上最悪」というバグに見舞われてしまいました。

すぐに修正アップデータなどが出るのでしょうけれど、「加害者側の動きが常に一歩リードしている」のがこの世界です。



日本だけで1年に数十億円規模で悪質ソフトによりインターネットパンキングから不正送金されている

ところで、今年、最もインターネットで「巨大な脅威」となっていたものに「ゲームオーバーゼウス」( GameOver Zeus )というものがあります。

これは、簡単に書きますと、

インターネットバンキングのお金を狙うことに特化した悪質ソフト

で、自分のパソコン( Windows )がこれに感染すると、自分のキーボード入力を攻撃者が盗み取ったり、特定のサイトの表示内容を改ざんしたりすることで、「インターネットバンキングでの不正送金を可能とするもの」です。

つまり、「他人が勝手に自分の口座から他の口座にお金を振り込むことができる」のです。

2014年 6月 8日のマイナビニュースの記事によれば、この「ゲームオーバーゼウス」による日本の 2014年の被害金額は、5月9日の時点で 14億 1,700万円に上っています。

2014年 6月 3日の日経コンピュータの「脅威の「ゲームオーバー・ゼウス」、10カ国以上が連携して追い詰める」という記事によりますと、

ゲームオーバー・ゼウスは、世界中で50万台から100万台のコンピュータに感染し、その約25%は米国に存在するという。米連邦捜査局(FBI)では、10億ドル以上の損害が発生しているとみている。

とあり、これは、米国連邦捜査局( FBI )や欧州刑事警察機構(ユーロポール)、日本の警察庁など、国際的な連携で摘発にも乗り出しているほどのものです。

警視庁にはこの「ゲームオーバーゼウス」の特設ページが儲けられています。

goz-police.jpg

▲警視庁「国際的なボットネットのテイクダウン作戦」のトップページ。


何しろ、この「ゲームオーバーゼウス」の被害状況は、

・アメリカ 25%
・日本 20%


となっていて、日本へのターゲット傾向が鮮明になっています。

下の図は、上の日本の警視庁のページにあるもので、あまり読みやすくはないですが、この中にもそのことが書かれてあります。

japan-20p.jpg


とにかく、次から次へと、こういうものが出てくる

そして、上の数字を見てもおわかりのように、実際に被害はどんどん大きくなり続けています。

さらには、現在のスマートフォンの爆発的普及。

このスマートフォンに対しての悪質なソフトの増え方はどのようになっているかと言いますと……。


2012年7月から2013年10月までの Android のマルウェアの数の推移

2013-2014-malware.gif
EE Times Japan

ここでは Android の表ですが、他のスマートフォン用の OS も、傾向としては似たようなものなのかもしれないですし、いずれにしても感じるのは、

「悪い人(攻撃側)は良い人(守る側)より常にやや先にいる」

という法則がありまして、そのため、セキュリティ問題は減るどころか、ますます増える一方だというのが現実のようでもあります。

ロシアのユージン・カスペルスキーという人が代表のセキュリティ会社傘下のカスペルスキー研究所の専門家が、昨年、下のようなことを言っていたことが記事になったことがあります。

2014年にインターネットは消滅する
ロシアの声 2013.12.15

カスペルスキー研究所の専門家の意見では、来年、現在の姿のインターネットは消滅する。

専門家アレクサンドル・ガスチョフ氏によれば、法律レベルの禁止、電子マネー「ビットコイン」をめぐる不安定な状況、ハッカー集団の攻撃の過激化など、一連の好ましからざる外的要因により、ワールド・ワイド・ウェブは「死亡」する。

それに代わって、各国のナショナル・インターネットが多数乱立するようになる。外国の情報リソースへのアクセスが相当程度制限されるようになる。


そして、最近、プーチン大統領が「緊急時にロシアがインターネットから離脱する」という計画を持っていることが明らかになっています。

russia-unplug-internet.gif

▲ 2014年9月19日の英国ガーディアンより。


これは、ロシアでネットに接続できなくなる、という意味ではなく、いわゆる「ワールド・ワイド・ウェブ( WWW )」という意味での、「世界的な通信網からロシアのネットを切り離す」というような意味です。

プーチン大統領の想定している「緊急時」とか「非常事態」が具体的にどんなものなのかはわからないですが、国内の騒乱や軍事行動などを指しているというようなことが VOR の記事に書かれています。

それにしても、今年になって、

「史上最悪の」という冠

がついたセキュリティバグ(脆弱性)がこれで2つ目。

そして、アメリカ国土安全保障省のコンピューター緊急対応チームから出された緊急の注意喚起に至っては、何度になることか。

コンピュータ、あるいはポータブル端末の世界は何だか進化しているように見える一方で、実は「終わりに向かって加速している」という側面はあるのかもしれません。

これが自然の流れとしての「単なる自滅」なのか、そこに誰か、あるいは何らかの「意図」があるのかどうかはわかりません。



  

2014年02月28日



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▲ 2014年2月27日の英国 Guardian Yahoo webcam images from millions of users intercepted by GCHQ より。







公開されたイギリス政府通信本部の極秘書類の表紙
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▲ これについての日本語報道は、米国 NBCニュースの内容を伝えた CNET Japan の記事にあります。また、公開されたオリジナル書類は、全 50ページで、The Art of Deception: Training for a New Generation of Online Covert Operations(欺瞞の芸術:オンライン秘密工作の新世代のためのトレーニング)にあります。





英国政府の180万人に対する盗撮の発覚が教えてくれる「いろいろとやっておきたいこと」

冒頭に貼りました英国のガーディアンで見たニュースを見て、いろいろと考えましたので、今回はそのことを書かせていただこうと思っています。また、「それ」を行っていたのは、ガーディアンによりますと、やはり冒頭に貼りました書類を作成した英国の機関です。

その内容は、その後、日本の AFP でも報じられました。
冒頭部分を抜粋させていただきます。


英米、ヤフー利用者のウェブカメラ映像を傍受 英紙報道
AFP 2014.02.28

英紙ガーディアンは27日、英政府通信本部(GCHQ)と米国家安全保障局(NSA)が、米IT大手ヤフーの180万人以上のユーザーが利用したウェブカメラの映像を傍受し保存していたと報じた。

この情報は、NSAの情報収集活動を暴露して米当局に訴追された中央情報局(CIA)の元職員エドワード・スノーデン容疑者から提供されたもの。「オプティック・ナーブ(Optic Nerve、視神経の意)」という暗号名の活動により、ウェブカメラを使ったチャットの静止画がどのように収集されていたかが明らかにされていた。その対象者は、犯罪の容疑者だけに限定されていなかったという。




というニュースで、このガーディアンの報道に対しての読者たちの反応の激しさは、コメント数でわかります。出来事が英国、つまり自分の国でのことであるということもあるのでしょうが、掲載後、すぐにコメントは数千に達しました。

上の報道にあります「オプティック・ナーブ」作戦の極秘書類も掲載されていて、下のようなものです。

ragout-001.gif

▲ ガーディアンより。


しかし、これは、多分かなり多くの人々が「予測していた出来事」なのではないかとも思います。予測というのはイギリス政府というほうではなく、「パソコンの内蔵カメラが本格的に何かに利用される」ということについてです。





どんなものにでも「カメラと通信機能」がついている時代に

今の時代は、Windows マシンだとか Mac だとかは関係なく、家庭用のノートパソコンの多くに Web カメラが搭載されていて( Mac はノートタイプは全部)、タブレット、スマートフォンには、むしろ搭載されていないものを探すほうが難しいほど普及しています。

大抵は、ノートパソコンの場合は、モニターの上あたりについています。

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この内蔵カメラの厄介な点は、「カメラの機能そのものを止めることは OS、機種を問わず、とても難しい」のです。

そして、最近では下みたいなニュースもありました。

mac-cam.jpg

▲ 2013年12月21日の日本経済新聞より。


これは Mac だとか Windows だとか、あるいは Android だとか、そういう問題ではなく、すべてのパソコン、そして、すべてのタブレットに言える問題であると思われます。

何しろ、すでに、実際にガーディアンの報道のように、「 180万人の人々の Webカメラに写った人たちの映像を第三者が入手する」ということに成功している事実があり、そして、それが始まったのが今から6年前の 2008年です。

技術の進歩が飛躍的なこの世界。
今はどこまで「その技術」が進んでいるのか想像もできません。


さて、技術的なことはともかく、この「内蔵カメラの機能を停止する」には、簡単な方法があるのです。特に、ふだんまったく内蔵カメラをお使いになっていないのでしたら、その機能を止めることで特に不便が出るわけでもないと思います。

その方法とは・・・これも昨年の日経 BP からの記事をご紹介します。
記事というより、ほんの一言です。

web-camera-02.jpg

▲ 2013年6月21日の日経パソコンより。


そうなんですよ(笑)。

カメラのレンズを塞いでしまうのです。

上にはテープと書いてありますが、あまりにも見た目が悪くなりますので、パソコンと同じ系統の色の小さな丸いシールとか、デザイン的に気に入ったシールなどで貼れば、そんなに気になるものではないです。

私自身は、Webカメラ自体ほとんど使いませんが、使う時には外部に接続するタイプのものを使っていて、内蔵のものは機能を止めています。

上の日経パソコンの記事に、「セキュリティ企業がソフトウエアの脆弱性を悪用されると警告」とありますが、悪用の方法も進んでいて、今ではウイルスソフトなどではどうにもならない手段もあります。

昨年の記事、

アメリカ国土安全保障省と日本のセキュリティ機関が同時に出した深刻な PC のセキュリティ警告
 2013年01月13日

などに記したことがありますが、通常のパソコンの使用状況では防ぐことが難しい攻撃というものがどんどん増えているのが現状で、さらにタブレットやスマートフォンに関しては、もしかすると、野放し的な雰囲気もありそうな感じがあります。

また、今年 4月 9日に Windows XP のマイクロソフト社からの正式なサポートが終わります。

現在でも Windows XP ユーザーは多く、この 4月 9日以降、特に企業などで使われている場合、何が起きるのかということは「 XP マゲドン」というような言葉で表現したいような部分もあります。

Windows XP のサポート終了に関しては、マイクロソフトの「 Windows XP と Office 2003 のサポート終了の大事なお知らせ」というページをご覧下さい。



今回のガーディアンの報道は、そのような「悪用とも言える方法」を、国家機関が正々堂々とおこなっていたということで、やはりショックを受けた人が多かったようです。


ちなみに、トップに貼りましたイギリス政府のGCHQ (政府通信本部)の書類には、下のような「インターネットで彼らがおこなうこと」が並べられています。

そして、今回の報道を見ると、それは実行されているのだと思います。

gchq-01.gif

▲ GCHQ の「合同脅威研究情報班」( Joint Threat Research Intelligence Group/略称:JTRIG )のプレゼンテーション書類より。日本語はこちらで入れています。


ちなみに、この GCHQ という組織は 政府通信本部 - Wikipedia によりますと、


政府通信本部(GCHQ)とは、イギリスの情報共同体において、偵察衛星や電子機器を用いた国内外の情報収集・暗号解読業務を担当する諜報機関である。



とのこと。


今回の報道で色めき立った人たちが多いのは、パソコンでウェブカメラを使ってチャットなどをしている人たちの中には、「他人に見られてはいけないような行為をカメラの前でしていること」が実に多いということが、 GCHQ の書類でわかったらしいということもあるようです。

AFP の記事には下のような文面がありました。


英国ガーディアン紙はさらに、収集されたデータは、NSAとの間で日常的に行っている情報共有の一環としてNSA側のアナリストも閲覧でき、中には性的な映像も非常に多く含まれていたと伝えている。

ある文書には、「驚くべき数の人々が、自分の体の性的な部位を相手に見せるためにウェブカメラでの会話を使っているとみられる」と記されていた。




とあり、「そんなものまで政府に見られていたのかよ」という人たちの憤りなのか焦りなのかわかりませんが、それがニュースへのコメントの多さにもつながっているのかもしれません。

私はインターネット上での動画でのチャットをしたことがないので、その楽しさはわからないですが、その全世界でのユーザー数はかなりのものになるようです。それらが「すべて見られていたら・・・」と考えると、私たちが住んでいるこの世界というのはなかなかすごいものだと思わざるを得ないです。


アメリカとイギリスのこれらに関連した報道としては、上の AFP の記事の下に次のような項目が並べられています。

afp-2014-02.gif


このようなことが、「通常の報道」にまでになっている感じもあります。

基本的に、このようなことに完全に関わりを持たないためには、ネットワークに依存したライフスタイルをすべて投げ出すしかないわけですが、それは「携帯もスマホもテレビもパソコンもATMも捨て去る」というようなことになり、そんなことが現実的なわけもなく、せいぜい、自分たちの行える範囲で何かしておくというのも、仮に無駄なことだとしても、精神衛生的にはいいことのようにも思います。


そういえば、「ネットワークに依存したライフスタイルを投げ出す」といえば、北朝鮮がそれに近いものがあるかもしれません。





北朝鮮の夜

最近 NASA が撮影した「北朝鮮の夜景」の衛星画像を見て、そう思いました。下の写真です。

nasa-nk-001.gif


これは地図でいえば、下の範囲を撮影していて、北朝鮮のほぼ全土が「真っ暗」であることを示しています。

nasa-map-01.gif


お隣の韓国や中国が明るい夜景やネオンで光っているのに対して、北朝鮮は首都の平壌でさえ、ほぼ真っ暗のようです。電力事情もいろいろとあるのでしょうが、東アジアの人が住んでいる地域でここまで「暗い夜」を送っている国や地域は少ないように思います。


そういえば、日本も 311の後には長く節電が続いたことを思い出しました。

気づけば、今はまた煌々とした明るい夜に戻っていますけれど・・・まあ、どちらがいい状態なのかは価値観次第ということなのでしょうかね。正直、最近はコトの善し悪しの判断が以前よりつきません。



  

2013年12月20日



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今日、下の記事を目にしたのですね。

lobotomy.jpg

ウォールストリート・ジャーナルより。


上の記事そのものは大変長いもので、記事の内容そのものにはここではふれないですが、この「ロボトミー手術」。

今はその言葉も使われることもほとんどなく、場合によってはご存じのない方もあると思われますが、1940年代から、うつ病や精神的な疾患の患者などにおこなわれていた「脳の外科手術」で、その方法は上のウォールストリート・ジャーナルから抜粋しますと、下のような手術法です。


方法

標準的なロボトミーでは、外科医が額から頭蓋骨に2つの穴を開け、そこに回転する器具、もしくは、へらのような形のメスを挿入し、額の裏にある前頭葉前部と脳のそれ以外の部分とを切断した。




というものですが、非常に簡単に書くと、下の赤い丸のところに器具を差し込んで、脳の前頭葉を他の部分から切断してしまう手術です。

lobe-01.gif


こんな一種の乱暴ともいえる方法は、当然、夥しい死者や、廃人を生み出したわけで、1970年代頃には完全に消え去りました。




さて・・・話は変わりますが、最近は日本人もよくノーベル賞などを受賞して、その時期には大きな話題になります。

以前に、

疑似と近似が積み重なっただけの「絶対」への信奉が義務づけられるリアル社会のウソくささに耐えきれなくなって疲れちゃいました
 2013年10月30日

という記事の中でも書いたことがありますが、私たちのような一般人は、受賞したその内容を特に知るわけでもなく、「ノーベル賞だ。バンザーイ」というような雰囲気に包まれることが多く、またそういうふうにしないといけないような雰囲気も報道などからにじみ出たりします。

下の方をご存じでしょうか。
エガス・モニスという医学者です。

egas1.gif


上のように、1949年にノーベル生理学・医学賞を受賞した人ですが、 Wikipedia から抜粋すると、この方の「受賞理由」がわかります。


エガス・モニスは、ポルトガルの政治家、医者(神経科医)である。

ロボトミーという名前で良く知られる精神外科手術、前頭葉切断手術を精神疾患を根本的に治療する目的で考案した。これが功績として認められ、1949年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。




そうなんですよ。このロボトミーというとても人間が人間に対しておこなったとは思えないことを考案した人は、その業績でノーベル賞を受賞しているのです。

つまり、ロボトミーは当時の「医学的な偉業」なのでした。

もちろん、ここでは、誰がいいとか悪いとかを書きたいわけではないです。ただ、こういう過去の例を忘れないでいたいとは思います。どれだけ科学界やマスメディアが称賛・絶賛しても、あるいはそれがノーベル賞を受賞するような偉大な業績でも、私たち一般人は、それを冷静に「観察」しているべきだと思っています。

ちなみに、私がこの「ロボトミー」という響きに比較的感情的になるのは、時代と生きている国が違えば、私もそういう候補になっていた可能性があったからです。






単なる神経症や PTSD もロボトミーの対象だった

私は不安神経症であり、 20代の始めに、一般的には PTSD とか心的外傷後ストレス障害とかいわれる、つまり強いトラウマが原因でのパニック障害になり、それは今でもある程度続いています。

ロボトミーというと、何だか相当重い精神的な疾患にだけ行われていたように感じるかもしれないですが、そういうわけではなかったようです。

上のウォールストリート・ジャーナルの『ロボトミー手術を受けた兵士の戦後』を読むと、今なら心療内科の範囲に相当するような些細な病状でもそれを受けていたことが明らかになっています。

記事では、当時のアメリカで、第二次大戦による PTSD と考えられる患者数がどれだけ多かったかということ、そして、彼らのその治療にも「ロボトミー」が使われていたことが書かれていました。

抜粋します。


1955年の米国学術研究会議の調査によると、戦時中に精神的、神経内科的な障害で軍の病院に入院した現役兵士は120万人もいたという。これに対して戦傷で入院した兵士は68万人だった。

1940年代の終わりと1950年代初めには、ベトナム戦争後に台頭し始めた病名「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」という診断が存在しなかった。当時使われていたのは「砲弾ショック」とか「戦闘神経症」という病名だった。しかし、かつて復員軍人援護局の精神科医をしていたバレンスタイン氏は、ロボトミーを受けた患者たちの多くが、今であればPTSDと診断されたかもしれないと話す。




とあります。

この記述にある、第二次大戦で、

戦闘などでの肉体的な負傷で入院した軍人は 68万人

だったのに対して、

戦時中に精神的・神経内科的な障害で入院した兵士が 120万人

だったという「肉体よりも精神をやられて入院した人のほうが多かった」という数の比較に、「戦争」というものを思ったりもしますが、それはともかく、今なら心療内科などでの抗不安剤などの処方により、場合によってはそれだけで良くなる可能性のある病気の人たちが、次々と「前頭葉」へのリンクを切断されるという手術を受けていたようなのです。


そして、多くは、ロボトミーを受ける以前とは「違う人間」となってしまいます。


それについては、ウォールストリート・ジャーナルの記事に、


そうした手術は退役軍人たちを自分たちの面倒も見られない成長し過ぎた子供同然にしてしまうことが多かった。引きつけ、記憶喪失、運動技能の喪失などに苦しむ人も多く、命を落とす人もいた。



とあります。


私が神経症やパニック障害になった時には、すでに効果のある薬があったわけで、ほんの 30年ほどの違いで、一方では、脳の経路の切断という手術により、事実上その人の人生は終わってしまった場合があったといってもいいのかもしれません。

とはいえ、現在の精神・神経疾患に対しての薬での治療にも多くの問題があることも確かです。私自身もそれは経験しています。



それにしても、この「ロボトミー」という言葉はロボットを連想させるあたりにも、日本語にすると恐怖感はありますが、実際には「葉の切除手術」という英語をカタカナにしただけのものだそうです。

下は脳のイラストですが、前頭葉などのように多くの部位に「葉」という言葉がついていることがおわかりかと思います。

brain.gif

この「葉」を英語でローブ( lobe )といい、切除はエクトミー( ectomy )といいます。その「葉切除手術」という意味のロベクトミーという言葉から来ているようです。




時代が戻らないとは誰にも言えないと思い続けた 1980年代から現在までの私たち

今から 40年ほど前に『カッコーの巣の上で』というジャック・ニコルソン主演のアメリカ映画がありました。内容は Wikipedia にありますが、そこには、


精神異常を装って刑務所での強制労働を逃れた男が、患者の人間性までを統制しようとする病院から自由を勝ちとろうと試みるという物語である。


とあります。

しかし、結局そのマクマーフィーという主人公は、


戻ってきたマクマーフィーは病院が行った治療(ロボトミー)によって、もはや言葉もしゃべれず、正常な思考もできない廃人のような姿になっていた。


という結末の映画でした。



そういえば、英国のお笑い集団モンティ・パイソンの元メンバーでもあったテリー・ギリアム監督の1985年の映画『未来世紀ブラジル』のラストシーンも主人公がロボトミーを受けたことを彷彿とさせるシーンで終わっています。

brazil-ending-01.jpg

▲ 映画『未来世紀ブラジル』のラストシーンより。映画のテーマは、監督本人によると「ぶざまなほど統制された人間社会の狂気と、手段を選ばずそこから逃げ出したいという欲求」だそう。


こういう施術が正当化されれば、上の映画のストーリーで主人公が実質的に社会システムから排除されたように、「不要な人物を社会から排除する」ということはできるわけで。

そういう時代が来ないといいですね。



  

2013年07月05日



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ネオニコチノイド系殺虫剤がミツバチの遺伝子活動に変化を与えることが判明

bee-canada.jpg

▲ 先月、カナダのオンタリオの養蜂場で同国として最悪のミツバチの大量死が発生しました。その数 3700万匹。崩壊した(ハチが消えた)巣の数は 600 。msn living より。






 


ミツバチのささやきは地域的には消滅している


最近、米国やカナダにおいて、再びミツバチの大量死の報道を多く見かけます。ミツバチだけではないので、もはや蜂群崩壊症候群( CCD )という言葉だけではなく、大量死とか、あるいは「大量絶滅」という表現も見受けられます。


今回のタイトルにつけた「英国の子どもの5人に1人は生まれてから一度も野生のミツバチを見たことがない」というのは、今年4月に米国 msn が報道した下の記事から拝借したものです。

uk-bee-kids.jpg


この概要も短くご紹介しておきます。


A shocking number of British kids have never seen a bee
msn (米国) 2013.04.15

ミツバチを一度も見たことのない英国の子どもの衝撃的な数

長期間にわたり、私たちはミツバチの個体数の減少についての話を聞いてきた。その原因が、病気か天候か寄生虫か殺虫剤かはともかく、結果として、英国で行われた新たな調査は「ハチに刺された」かのように痛みを伴うものだった。英国の10歳未満の子どもの5人に1人は野生のミツバチを生まれてから一度も見たことがないことがわかったのだ。





主要原因に近づきつつある CCD の研究

この「ミツバチの大量死」については上の記事にも「その原因が、病気か天候か寄生虫か殺虫剤かはともかく」とありますが、諸説あるのですけれど、最近では、ネオニコチノイド系と分類される農薬が要因のひとつであることについては、かなり重要と見なされています。

2012年に欧米で数多くの実験によって、ネオニコチノイド系の成分により CCD が発生することが確認され、そして、2013年には日本人研究者による実験で「蜂群が最終的に消滅することが確認されました。

下は蜂群崩壊症候群 - Wikipedia からの抜粋です。


2013年には金沢大学教授山田敏郎の研究でネオニコチノイド系農薬によって蜂群が最終的に消滅することが確認された。実験では高濃度から低濃度(100倍に希釈)までの農薬を餌に混ぜてセイヨウミツバチ1万匹8群に投与したところ、濃度にかかわらず成蜂数が急激に減少し群は最終的に絶滅した。

従来の有機リン系農薬の場合は、時間経過とともに蜂は回復するとしたうえで、ネオニコチノイド系農薬は「農薬というより農毒に近い」もので、「このまま使い続け、ミツバチがいなくなれば農業だけでなく生態系に大きな影響を与える」と警告した。



とのことです。

下は山田敏郎教授がおこなった実験の様子の写真です。

bee-kanazawa.jpg

▲ 2013年6月18日の東京新聞オンライン版「ミツバチの群れ 農薬で消滅 ネオニコチノイド系 金沢大確認」より。


このような実際的な実験では証明されるにも近い形となってきているのですが、さらに最近になって、ネオニコチノイド系農薬が、「ミツバチの遺伝子を変化させてしまう」ことが判明したことが、7月2日のアメリカの科学サイト PHYS.ORG に掲載されていました。

今回はその記事をご紹介します。

その前に、最近起きたアメリカでのハチの大量死についても簡単にふれておきたいと思います。




アメリカ・オレゴン州で6月に発生したハチの大量死

アメリカで発生したハチの大量死はオレゴン州で起きたもので、ミツバチではなく、「マルハナバチ」というもので、下の記事の写真にあるような黒いハチです。

bee-oregon.jpg

Oregon Live より。


上で禁止された殺虫剤は、ノミなどの駆除に使用するジノテフランというネオニコチノイド系の殺虫剤とのことです。

この大量死は農地ではなく、都市部の街の中で起きたことのようで、街中にこのマルハナバチが地面や道路に大量に散らばっていたようです。

Bumblebees-0621.jpg

▲ 地元(オレゴン州ウィルソンヴィル)の人が撮影した死んだマルハナバチが地面に散らばる様子。6月21日。Earth Files より。


これも、6月15日に近くの農園で農薬を散布して、すぐにハチの大量死が始まり、因果関係がハッキリしているもののようです。


ちなみに、2013年12月よりネオニコチノイド系農薬3種はEU全域で使用が原則禁止となるとのこと。

ただ、以前からいろいろな生き物の大量死のことを書くこともありましたけれど、近年の大量死はミツバチに限ったことではなく、ミツバチ以外の大量死が人間に重要ではないかというのも、それはそうは言えない面もあるはずで、この問題の範囲は大きいような気もします。

ネオニコチノイドが昆虫全般の神経系に影響するという説が正しければ、大量死しているのはミツバチだけではないはずで、膨大な種類の昆虫が減少しているように思います。しかし、「効果的な害虫駆除」を強く望んだのも私たち(人間)であって、そこが難しい部分なのかもしれません。


ともあれ、私たちが食べている食物の3分の1は、ミツバチの受粉と関係しているものだそうですので、人間は確かに「ミツバチに生かされてきた」という側面はかなりありそうです。

都市伝説となっている「地球からミツバチが消え去ったら、人間は4年も生きてはいけない」というアメリカの映画『ハプニング』の中でアインシュタインの言葉だとして出てくる架空の言葉は、それは架空の言葉であっても、多分、それに近いニュアンスは事実であるようにも感じます。

では、ここから農薬とミツバチの遺伝子についての記事です。





Insecticide causes changes in honeybee genes, research finds
PHYS.ORG 2013.07.02


殺虫剤はミツバチの遺伝子に変化を引き起こすことが研究により発見された


英国ノッティンガム大学の学者たちによる新しい研究で、ネオニコチノイド系殺虫剤への曝露がミツバチの遺伝子に変化を引き起こすことが示された。

科学誌 PLOS ONE に掲載された研究では、欧州委員会が最近決定した3種類のネオニコチノイドの使用を禁止する決定を支持するものとなった。

私たちが食べている食物の3分の1に関係にミツバチの受粉は関係しているが、そのミツバチの個体数の減少と殺虫剤との関係の証拠が高まってきているが、今回の研究は、ミツバチの遺伝子の変化とネオニコチノイド、イミダクロプリドとの関係について調べた初めての包括的な研究となる。

この研究は生命機能研究科のラインハルト・ストーゲル博士が率いたもので、実際の草原の現実的な環境の中で実施された。そして、非常に低いレベルの曝露(ほんの少しの量のネオニコチノイドにあたる)でも、ミツバチの遺伝子の活動に影響をおよぼした。

研究者は、ミツバチの幼虫の細胞は成虫より激しく活動しており、それが殺虫剤に対して、毒素を分解に関与する遺伝子の活性を増加させていることを確認した。細胞を動かすためのエネルギーの調節に関与する遺伝子も影響を受けていた。

このような変化は昆虫の寿命を減少させることが、ショウジョウバエなどの研究で広く知られている。成虫になる割合が小さくなる。

英国生協コーペラティブ・グループ( The Co-operative )の開発マネージャー、クリス・シェアーロック氏は以下のように語る。

「この研究は非常に重大なものといえます。これは、殺虫剤の曝露によってミツバチの遺伝子活動に影響を受けることを明確に示したものですが、今でも英国ではどこでも普通にこの殺虫剤を使っています」。

2013年12月よりネオニコチノイド系農薬3種はEU全域で使用禁止となる。





  

2012年11月25日



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それと、久々に火星の地表の拡大写真など。


nasa-team.jpg

▲ 「火星での大発見」についての会見準備を進める NASA のキュリオシティ・チーム。嬉しそうです。Daily Galaxy より。
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最近すっかり忘れていたキュリオシティのこと

・・・火星無人探査機キュリオシティ。

このブログでも何度か取り上げことがあります。

NASA の火星無人探査計画が無駄な理由: 1976年にバイキングがおこなった火星地表の質量分析から 36年経って進化しない観念
 2012年08月12日

キュリオシティへの無関心を貫けない夏の夜
 2012年08月19日

などです。

上の記事などでは NASA の火星探査への姿勢には(機器の話よりも、科学者としての資質として)いろいろと問題があるような気もしないでもない・・・というようなことを書いたりもしていたのですが、キュリオシティの火星到着の成功の時の下の NASA のスタッフの人たちの喜びようを見て、「ま、いいか」と思いました。




▲ キュリオシティの火星着陸に成功した時の NASA のコントロールセンター。キュリオシティの悲劇より。


考えてみれば、魚屋さんは魚を売って生活している。
大工さんは建物を作って生活している。

その流れで考えれば、上の人たちは「火星に何か飛ばして生活している」という人たちなわけで、その仕事を淡々とおこなっているだけのことであるのだなあという気もしたのでした。

そして、NASA のキュリオシティ・チームは、ついに大きな会見ができるところにまで来たようです。先日、NASA が火星に関して「非常に示唆深い」会見を匂わせました。



キュリオシティが見つけたものは火星探査計画の継続につながるか?

それは簡単にいえぱ、キュリオシティが火星で生命か有機物、あるいはそれに準じたものを発見したと思われる NASA スタッフの発言でした。

11月20日に、NASA の無人探査機キュリオシティの火星土壌分析結果から「極めて重大な発見があった可能性がある」ということが非公式に発表されたのです。

「非公式」というのは、慎重に発表するというような意味で、12月3日から開催されるアメリカ地球物理学連合の会議後に記者会見をおこなうそうです。

WIRED でニュースを訳したものがありましたので、以下に抜粋しておきます。


火星の土に有機物か:「歴史的な分析結果」発表へ
WIRED 2012.11.22

curiocity-12.jpeg

火星探査機「キュリオシティ」の主任研究員が、火星で採取された土から驚くべき分析結果が得られたが、詳細については12月に発表すると述べた。内容をめぐって憶測が飛び交っている。

第一報をもたらしたのは、キュリオシティの主任研究員を務めるカリフォルニア工科大学の地質学者ジョン・グロツィンガーだ。同氏によると、先ごろキュリオシティが採取し、探査機搭載のサンプル分析装置( SAM )にかけた火星の土から、これまでにない驚くべき分析結果が得られたという。

「このデータは歴史に残るだろう」と、グロツィンガー氏は、ナショナル・パブリック・ラジオで述べた。

詳細については12月3日から7日に開催される米国地球物理学連合(American Geophysical Union:AGU)の学会で記者会見を行うと述べた。非常に影響力のある結果なので、研究チームはチェックを重ねているとのことだ。



などの内容です。
詳しくは、リンクからお読み下さい。

NASA の重大発表」というと思い出すのが、2010年の「地球で発見された想像を絶する形態の生命」という発表でした。

そのあたりはこのブログでも当時紹介していて、2010年12月の「地球上で見つかった「炭素ベースではない」まったく新しい生命: NASA による発表が行われる予定」という記事でその内容を取り上げました。

その際、 NASA は「ヒ素で構成される DNA をベースとしないまったく新しい地球の生命形態を発見した」というものでした。

これに関しては、一応、「地球のほぼすべての生命とはどのようなものか」の説明を上の記事から抜粋しておきます。


地球上で見つかった「炭素ベースではない」まったく新しい生命: NASA による発表が行われる予定より。
--

NASA の科学者が、現在、我々が知っているものとはまったく違う形態のバクテリアを発見したことを発表する。このバクテリアは、リンではなく、ヒ素を使う。

地球上のすべての生命は、6つの構成要素からなっている。
それは、炭素、水素、窒素、酸素、リン、硫黄だ。

小さなアメーバから、大きなクジラまで、地球上で生命といわれるものはすべてこの構成要素を共有している。

しかし、今回発見されたバクテリアはそれが完全に違うと考えられるという。



というものでした。

私たち素人には何がスゴイのやらよくわからなかったのですが、しかし、とにかく「何だかスゴイようだ」と。

ところが、今年 2012年7月。

NASA が 2010年に大々的に発表した「新しい生命」は「普通の地球の生物」であることが判明
2012年07月10日

ということに。

それは下のような報道でした。


NASA の研究チームは、ヒ素を生存に利用する細菌を米国のモノ湖で発見し、これが地球外生命の探索に影響すると 2012年12月に発表したが、今回これを全面的に否定する複数の論文が発表され、NASA の発見した生命は新しい形態の生命ではなかったことがわかった。



「ぎゃふん」。

上の記事の中に私は「成果が求められ続ける現代科学界の迷走」というセクションを記しましたが、ご存じのように、特に予算の大きな宇宙開発や宇宙観測計画では、「成果」が常に求められ続けます。

たとえば、何かの巨大宇宙プロジェクトの代表者が、

「このプロジェクトには5年で3兆円の予算をかけましたが、成果はゼロでありました」


と述べることは許されないはずです。

上のプロジェクトはいい加減ですが、トータルとして見れば、非常に多くの予算がかかる宇宙計画というのは存在していて、それは通常だと「どこかの国家」が支払います。 NASA ならアメリカ。CERN や ESA (欧州宇宙機関)や ESO (欧州南天天文台)などはヨーロッパを含めて多くの国から予算を計上します。

国家予算を使う以上は、「今年も何も見つかりませんでした!」では許されないという部分があるはずです。


まして今の時代。

予算編成に対しての目の厳しさは、米国もヨーロッパ各国も同じだと思います。「金のかかる宇宙計画などはどんどんやめたい」と思っている首脳部もいないとも限りません。

そういうこともあり、宇宙計画のスタッフたちは一生懸命だと思います。

なので、今では私はそちら方面から見ていて、かなり同情的でもあり、上でご紹介した WIERD の記事にある「火星の歴史的発見」の発表が大々的に世界中で報じられることを期待しています。

なーに、内容なんてどうでもいいんですよ
1度大きく報じられれば。

たとえば、今年の夏、「ヒッグス粒子 存在確実か」と大々的に報じられたことがありしまた。

ヒッグス粒子とは、美香の乳歯だか神の粒子だか呼ばれている仮定上の物質で、ビッグバン理論の足支えとなるものです。今年の4月に CERN (ヨーロッパ合同原子核研究機構)がその粒子を発見したと、それはそれは大騒ぎでした。

下は当時のニュース検索です。



それから半年。
先日、下のような報道が流れていました。


ヒッグス粒子の可能性より強まる 東京大などが発表
共同通信 2012.11.14

質に重さを与え、質量の起源とされる「ヒッグス粒子」を欧州合同原子核研究所(CERN、スイス)で探索している東京大などの国際実験チームが14日、「7月に発見した新粒子がヒッグス粒子である可能性がより強まった」と発表した。



半年前とほぼ同じ表現、つまり「可能性が高まった」という言い方が続いています。

私はこのヒッグス粒子に例を見るような、「ゴリ押しでビッグバン理論を進めて、人類のさらなる奴隷的精神を決定づけようとする態度」に当時とてもイヤな気分になり、この頃から、(一部の)科学者というものを比較的嫌悪するようになりました。


とはいえ、この「事情」というものも上に書いたことと同様だと感じて、翌日までにむしろ私は同情的になりました。

この翌日、私は、

科学者たちの「神」の意味
 2012年07月05日

という記事を書いて、そこに下の CERN の予算を載せました。



▲ 10年ほど前のものですが、CERN の予算の概要です。予算のほとんどは「加盟国からの分担金」でまかなわれています。つまり、様々な「国」が拠出しています。


恒久的に 800億円から 1000億円の年間予算がかかり、毎年 50億円以上の赤字を出している CERN は、世界で最も「何もなかった」では済まされない機関だということです。若者の失業率が 50パーセントにも迫る欧州の国々もお金を出しているのです。

「なんでもいいから何か発表しなければならない」。

その意識はかなり強いと思います。




願わくば、いつまでも「ほぼ確実」と発表し続けてほしいけれど


ところで、上に書いた「ビッグバン理論と人類の奴隷的精神が関係するかのような書き方」に違和感があるかと思いますが、明らかに関係があります。

このことは何度も書いていることなので今回はあまりふれないですが、


・この世の存在には限りがある(ビッグバン理論以後の宇宙観)





・この世はすべて永遠とその輪廻で構成されている(古来の通常の宇宙観)


という宇宙観では、長い間、人がどちらかの価値観の下で生きていると「必ず」それぞれの影響が人間の精神活動に出ると私は思っています。


もし仮に本当にヒッグス粒子というものが確定されたのなら、「それこそがドゥームスデイ(終末の日)だと」思っています。

まあ、それでも構いませんけれど。
私にとって、今の世界がまた少し遠のくだけの話です。


さて、なんだか重い話になってしまいましたが、今回の最後は少し楽しい話題として、「興味深い最近の火星の写真」のいくつかを載せておきます。
続きを読む



  

2012年09月08日



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今回のテーマは「中国でフェイク(偽物)の化石が博物館などで数多く展示されているというレベルにまで広がっている」というニュースをご紹介しようと思いますが、その前に最近書いていて、なかなかアップできない「火山のこと」が報道ベースでも少し出てきていますので、少し書かせていただきたいと思います。






 



富士山、クラカタウ火山、そして地球の人類史を牛耳る火山噴火


最近、プライベートでも「富士山」にかかわるいろいろなことが多いなあと思っていました。
1週間ほど前に書いた、

大出血のような太陽フレアと真っ赤な富士山上空を眺めながら「物質は永遠」という法則を子ども科学本で知った日
 In Deep 2012年09月03日

という長いタイトルの記事(本文も長いです)では、その前日に夜の富士山の上空が真っ赤だった光景を見たというようなことを書いたのですが、その翌日くらいに、買い物に行く途中にその方向の空を見ると、「フェニックスのような鳥と十字架が並んだような形」みたいな雲が出ていて、「ほお」と眺めていました。

最近は携帯を持たないことが多く、写真も撮れませんでしたが、ネットで見てみると、「フェニックスの形の雲」というのはよく見られるもののようで、下のは、Deluxe moonというブログにあったもので、彩雲と一緒できれいでしたのでお借りしたものです。

phoenix.jpg

私の見たのは、この鳥の顔のほうに、別の雲が十字架の形をして見えていた感じでした。
それは富士山の上あたりに位置していました。

富士山に関しては、昨年、

「鎖国」と「富士山大噴火」を生み出した前回マウンダー極小期
 In Deep 2011年11月09日

という記事を書いたことがありましたが、数日前、茨城県つくば市にある防災科学技術研究所が「富士山に、現在きわめて大きな圧力がかかっていることを確認した」という報道が日経新聞に載っていました。

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報道は下のリンクにあります。

震災で富士山マグマに圧力 研究チーム「警戒を」
 日本経済新聞 2012.09.06

直近の富士山噴火である 1707年の宝永噴火の時よりも大きな圧力がかかっているのだそうです。

これは極めて大ざっぱにいえば、「いつ噴火しても基本的にはおかしくない」ということでもあります。もちろんそれは長いスパンでの「いつ」の話ですけれど。


そして、ちょうど、最近、「火山噴火と地球の人類史」というようなことを In Deep の記事として、書いては止まり書いては止まり、という感じで進めていた時でした。

最近、インドネシアのクラカタウ火山という巨大火山の活動レベルが上がっています。このクラカタウというのは、最近 2000年間くらいの「人間の文明史」に影響を与えたと考えられています。

インドネシア当局は数日前に、クラカタウに対しての警戒レベルを上位に上げました。

そして、クラカタウを含めて、いろいろ調べているうちに「巨大な火山噴火は、地球全体を変化させていく可能性」ということがあると知るにいたります。

たとえば、7万年前に人類は滅亡寸前までになったということが、最近のミトコンドリア DNA の解析でわかってきたということが数年前の報道でありました。下のリンクに当時の USA トゥディ などで報道された内容が要約されています。

人類は7万年前に絶滅寸前、全世界でわずか2000人
 GIGAZIN 2008年04月25日

この原因は気候変動ではないかとする考えが一般的ですが、しかし、その「気候変動の原因の源」は、インドネシアのトバ火山によるものではないかという見方が多く、下のような形で人類は7万年に「ほぼ全滅した」と見られています。


8万年〜12万年前にいったん東アフリカを出て世界に拡散し、数百万人まで増えた人類は、7万3千年前のインドネシアのトバ火山の大噴火による地球全体の寒冷化のもとでほぼ絶滅。かろうじて東アフリカにもどった1万人あるいは1000人程度の現世人類が、6万年前に再び世界に拡散し始め、現在の70億人になった。

石 弘之 著『歴史を変えた火山噴火―自然災害の環境史』のレビューより。




そして、今、活動をはじめたインドネシアのクラカタウ火山の噴火は、たとえば、Wikipedia には以下のような記述があります。


535年の大噴火
インドネシアの文明に歴史的な断絶を引き起こし、世界各地に異常気象をもたらした。(中略)日本においても天候不順による飢饉の発生についての言及が見られ、同時期に朝鮮半島からの渡来人の流入、馬具の発達、中国から流入した仏教の興隆などが起きており、古代日本の国家形成に与えた影響は小さくはないとする見方もある

1883年の大噴火
成層圏にまで達した噴煙の影響で、北半球全体の平均気温が0.5〜0.8℃降下し、その後数年にわたって異様な色の夕焼けが観測された。



このように、巨大な火山噴火はとにかく、「世界全部に影響する」。

地震がどちらかというと局所的な災害として終始するのに対して、火山は「空と気温を支配する」ので、世界中のあらゆる文明に影響するようです。

ところで、上の Wikipedia には「テキサス州立大学の天文学の教授が画家エドヴァルド・ムンクの代表作“叫び”は、この夕焼けがヒントになっていると主張した」という記述があります。

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▲ 『叫び』。


ムンクは、この絵を描くキッカケとなった「光景」のことを日記に残しています。一般的には「ムンクの幻覚」という言い方がされています。しかし、日記を読むと、実際にこの光景を見ていたことがわかります。




「私は2人の友人と歩道を歩いていた。太陽は沈みかけていた。突然、空が血の赤色に変わった。私は立ち止まり、酷い疲れを感じて柵に寄り掛かった。それは炎の舌と血とが青黒いフィヨルドと町並みに被さるようであった。友人は歩き続けたが、私はそこに立ち尽くしたまま不安に震え、戦っていた。そして私は、自然を貫く果てしない叫びを聴いた」

叫び (エドヴァルド・ムンク)の、ムンクの日記より。





ちなみに、幻聴や幻覚の経験のない場合はわからないことだと思いますが、自分や他人の経験も含めていえば、実際には幻聴や幻覚は、ムンクの叫びのように「曖昧な風景」として現れることはあまりないと思います。それらは LSD などの幻覚剤の作用などと混同しているのだと思いますが、薬剤と関係のない精神的な幻聴、幻覚は「ほぼリアルなもの」が現れるのが普通です(だからこそ恐ろしい)。

上の日記を読む限り、ムンクはいわゆる現在でいうパニック障害を伴う強度の神経症だったと思います(多分、間違いないです)。効果的な薬剤のなかった当時は、発作が起きた時には上の日記の「友人は歩き続けたが、私はそこに立ち尽くしたまま」というような状態となりやすかったと思います。


いずれにしても、このようなキッカケとなったかもしれない、インドネシアのクラカタウ火山を含め、世界中の火山が「 Ready 」の状態になっているようです。

そういうことを踏まえて、「火山と人類の関係」について書いていますので、今日とりあげた部分と重複してしまう部分があるかもしれないですが、そのうちアップいたします。

さて、ちょっと余談のつもりで書いたのですが、長くなってしまいました。

ここから今日の本題です。



あまりにも増えてしまった中国の「ねつ造化石」


これは、中国の科学界のトップにあたる中国科学院の科学者たちが、「中国にはあまりにも偽物の化石が多い」ということを語ったという報道です。

「科学の世界」には様々な贋作やねつ造、模倣といった出来事は数多くあるのですが、それらの中には怒りを込めたような報道スタイルや、当事者たちの憤慨の言葉などが含まれていることが多いのですが、今回の中国科学院の李淳さんという科学者の言葉からは、そういう「怒り」とかではなく、なんなく「切なさ」を感じまして、それで、ご紹介しようと思いました。

そして、李博士は、

「中国の博物館に展示されている海洋古生物の標本の 80パーセント以上が、何らかの手を加えられたものか、あるいは、人為的に加工されたもの」

と見積もっているそうで、そこまでの数となると、「博物館なのに本物のほうが少ない」という、極めて深刻な事態のはずです。だからこそ、かなり問題になりそうな李博士のこの発言も、中国の古生物学者である彼にとっても危機感がある話なのだと思います。

この李博士という人は、 2009年に米国の権威ある科学専門誌『米国科学アカデミー紀要』に掲載された「新種のチータの化石の発見」という論文で使われたチータの化石を「偽物」と見破り、科学アカデミー紀要は、今年、この論文の内容を撤回しました。

上の「新種のチータの化石の発見」が2009年に発表された際の報道は今でも残っていますので、下に抜粋しておきます。


チーターの起源は中国か、世界最古の化石発見―甘粛省
レコードチャイナ 2009.01.02

2008年12月31日、有史以前に生存していた新種のチーターの化石が、中国北西部の甘粛省で発見されたことが分かった。

これまで世界最古のチーターの化石は、北米で発見されたものとされてきた。しかし、今回の発見によって、チーターの起源は北米ではなく、中国とする説が有力になった。

上海科学技術博物館の研究員が発見したのは、ほぼ完全な頭蓋骨の化石。大きさも形状も現存するチーターの頭蓋骨に似ているが、歯に極めて原始的な特徴がみられることから、新種と判断され「Acinonyx kurteni」と命名された。この研究報告は、先月下旬に発行された「米国科学アカデミー紀要」(PNAS)に掲載されている。



ここにある「ほぼ完全な頭蓋骨の化石」が偽物だと見破ったのが李博士と同僚でした。

それがどのようなものだったのかは後で判明してして、それは こちらにありますが、


・採掘場所も地層年代も違うところから掘り出したもの
・頬骨は肋骨で作られていた
・門歯と主張されていたものは、チーター以外の食肉類の小臼歯を組み合わせて作られたもの
・頭蓋の後頭部はプラスチック製


というものだったようです。

私自身は昔から「フェイクが何もかも悪い」とは思わない人ですが、たとえば、日本にも昔から河童のミイラとか、いろいろな不思議な怪物の化石などがあって(仮に本物があるとしても)ほとんどはフェイクでしたでしょうけれど、でも、それらが子どもの頃の私たちをどれだけ楽しませてくれたことか。

「ああ、こんなのもいる!」

と、そのたぐいの本(40年くらい前は子ども用の怪獣本、オカルト本が数多くありました)を読んでワクワクしたものでした。「この世にはなんかいる」と。


fossil-japan.jpg

▲ 人魚のミイラとして日本に伝わるもののひとつ。人魚のミイラより。


まあ、実際には「この世にはなんかいる」としても、その頃思っていたものとは違う「なんか」ではあるのかもしれないですが、でも・・・「この世にはなんかいる」という感覚はとても大切だと思います。

話は逸れましたが、しかし、今回のねつ造の話は違う話で、むしろ「夢のない方向」の話です。

そして今の中国のように、あまりにもビジネス(中国は化石ビジネスが一大産業)のためだけに、業者たちがムチャクチャやっているという状況は、これ以上進むと、「博物館の化石は全部フェイク」みたいなことになりかねないもので、そうなると何より困るのが中国の科学者そのもので、それだけに、李博士も今回の発言に踏み切ったのだと思います。

では、ここから本文です。
中国のチャイナデイリーの英語版からです。






 


Counterfeit fossils undermine research projects
China Daly (中国) 2012.09.06


偽物の化石が考古学の研究プロジェクトを蝕んでいる


贋作された「ニセの化石」が、科学者と、そして博物館までをも欺き続けていると、古生物学者の専門家たちは警鐘を鳴らしている。

これは、中国起源とされるチータに関しての論文の発表後に論争となり、それを発表した学者がその論文を撤回したことに始まる。

中国科学院の傘下の「古脊髄動物・古人類研究所( Institute of Vertebrate Paleontology and Paleoanthropology )」にの科学者、李淳( Li Chun )博士によると、現在、中国にはニセの化石が広範囲に蔓延しており、本当の古生物研究への深刻な脅威となっているという。

李博士は以下のように述べる。

「私は、多くの古生物学者たちが模造化石の犠牲になっていると確信しています。現在の中国の博物館に展示されている海洋古生物の標本の 80パーセント以上が、何らかの手を加えられたものか、あるいは、人為的に加工されたものであると推定されるのです」。

そして、博士は、「これらの偽物は、専門的な知識と訓練を受けた古生物学者でなくては、その真偽を見破ることは不可能です」と言う。

李博士は、今年8月、中国の科学者ホアン・ジー(Huang Ji)氏と、デンマークの研究者パー・クリスチャンセン(Per Christiansen)氏の二名による共同研究によって 2009年に発表された「チータの新しい種」に関する論文が「偽りである」と見破った人物だ。

その懸念に関しての証拠として重要だったのは、中国甘粛省で発掘された 250万年前の化石化した頭部だった。

ジー氏とクリスチャンセン氏が 2009年に国際的な科学専門誌『米国科学アカデミー紀要』に発表した論文「後期鮮新世の原始チータ、およびチータ系統の進化」には、中国で発掘されたこの「新しい種」のチータが、それまでに発見された種の中で最も古いものであると述べ、それまでの定説だった北米がこの種の動物の最初の起源だったという学説をひっくり返した。

その論文の根拠となった 250万年前のその頭部の化石の真偽についての論争が、長い間、複数の科学者たちの間で続いていた。

そして、今年 8月21日に米国科学アカデミー紀要はこの内容を撤回した。


その論文を手がけた上海科学技術館のホアン・ジー氏は以下のように述べる。

「この数年、私はこの論争問題に関しての研究を続けていました。その結果、論文には欠陥が存在することがわかったのです。問題を直視する必要があると感じ、私は論文を撤回しました」。

ホワン氏は、大型のネコ科の起源について強い関心があったという。


しかし、李博士は、「私は彼らが故意にねつ造された化石を使ったとは考えていません。彼の専門分野は現代の生物で、それは古生物の学問とはまったく違います」と言う。

李博士と同じ「古脊髄動物 古人類研究所」所属のデン・タオ博士は「その化石を見た瞬間に『偽物だ』と気づきました」と言う。

「頭の側面図は、ほお骨が明らかに異様に高く、また異常に頑健であることを示しており、それに加えて偽物の骨が人為的につなぎ合わせられた境界線が存在しました。背中の部分はオリジナルのものではありません。その表面も通常のものではありませんでした」と続けた。

青海チベット高原北東辺縁部リンキシャ( Linxia )盆地で、新生代後期の哺乳類を専門として発掘していた時に、デン博士は異なる偽物の化石を発掘している。

「おそらく、化石の商業的価値を上げることにより、中国の化石の販売店とディーラーたちの利益を高めるために偽物の化石を作っているのだと思います。実際、私は、何百もの『完全な化石』が、実は多くの骨が継ぎ合わされていたものであることを見てきています」と、デン博士は言う。

李博士は、最初に模造化石を見た時のことを思い出すという。

それは李博士がまだ学生の時だった。

「古生物学のことを何も知らなかった私は、現代の生物にとても興味を持っていた頃でした。その頃、北京で、不器用に圧縮された偽物の化石を見ました。しかし、その頃の私はそれが偽物であるとわからず、とても重要な化石を見つけたと興奮したものでした」。