2012年07月14日



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五億年前の遺伝子を復活させた NASA の科学者による「リアル・ジュラシックパーク」実験への賛否



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▲ 古代の遺伝子を現代の遺伝子に混合させて「進化」させるという試みを生物学史上初めておこなった NASA の宇宙生物学者のベトゥール・ガージャール(Betül Kaçar )博士。女性です。博士が手にしているのがその大腸菌。






 

うちの子が小学生としてはじめての夏休みが近くなりました。7月中は子どもといろいろと行く予定になっているのですが、8月には奥さんと子どもは2週間ほど私の実家の北海道へ帰省することになっています。

で、私は・・・帰省しないのですが(笑)、実家にしてみれば「孫の帰省」こそがイベントであるようです。

どこの家でも、あるいは昔からそうでしたけど、この「孫バカ」というものにはスゴイものがあって、いつの時代でも「孫には無償で与える」という部分はあるようです。

「どうしてそんなに孫がかわいいのか」に関しては、私自身が孫を持つ可能性は年齢からもあり得ませんので、わからないまま死んでいくのでしょうけれど。

そういえば、「パンスペルミア説」を取り上げる時に、いつも名前を出させていただくフレッド・ホイル博士は、性格が非常に気むずかしいことで有名だったようで、インタビューなどでも、特に科学の素人には非常に不親切な人だったそうですが、インタビュアーや取材者たちの中では、フレッド・ホイル博士とスムーズに対談するための「ある秘訣」が知られていたそうです。

それは、

「ホイル卿の機嫌を良くするには孫の話から入れ」

だったそうです。

フレッド・ホイル博士は 2001年に 86歳で亡くなりましたが、博士には4人の孫がいて、特にその中の末孫であったニコラ・ホイルという女の子の話なら「いつまでも笑顔で続けた」ようです。

強固に現代宇宙論を批判し、パンスペルミア説の研究に生涯を捧げた英国科学界の最大の科学者であり、また、現代のジョルダーノ・ブルーノそのものでもあった異端児であるホイル博士も、家では相当な「孫バカのおじいちゃん」だったようです。


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▲晩年の頃のフレッド・ホイル博士。


そのあたりに関しては、ホイル博士が1987年の著作『進化の数学』の中に次のようなくだりを書いているあたりにも垣間見られるような気がします。


孫を持つ身になると、直接の子供では両親の遺伝子の混合は起きていないように思えてならない。混合は、孫の代になってようやく起きる。それだから、孫と祖父母との関係は、直接の親子関係とかくも違ったものになるのだろう。

遺伝子の立場から見れば、男の女の直接的な結びつきでは、何とも達成されていないのだ。その次の世代、すなわち孫が生まれるまでは・・・。


『進化の数学』(1987年)より。


上の文章はまったく科学とは関係ないです(笑)。

これは結局、「孫ってのはなんてかわいいんだろう。この存在こそ私の遺伝子の現れなんだな。自分の子どもなんかとは比較にならないほど最高にヨイね」という気分を現したくだりだと思います。ホイル博士ほどの人を、このようにしてしまう「孫」というのは何なんでしょうかね。


上のフレッド・ホイル博士の写真を見て、孫と書いていたら、クッキーか何かの CM を思い出しました。

調べてみると、クッキーではなくて、ヴェルタース・オリジナルというドイツのキャンディーの模様。森永製菓のサイトに CM がありました。

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この CM のこの場面のナレーションは、「それはこの子もまた特別な存在だからです」というものです。


さて、ずいぶんと話が逸れましたが(本当だな)、上でフレッド・ホイル博士の名前が出て来ましたが、今回は、「進化」というものに関しての研究についての話でもあります。



太古の DNA への介入を始めた人類科学


記事のタイトルに「ジュラシックバーク」とありますが、考えれば、スティーブン・スピルバーグ監督の映画ジュラシックバークも公開されてから 20年近く経っていることに気づきます。

ジュラシックバークの内容は、その根幹をきわめて簡単に現すと、

 > 本物の恐竜がいるテーマパークを作る

という話です。

では、その「本物の恐竜をどのように作るのか」ということに関しては、Wikipedia の説明をそのまま掲載します。


琥珀に閉じ込められた蚊の腹部の血液から恐竜の DNA を採取し、これを解析・復元した上で欠損部位を現生のカエルの DNA で補完し、さらにこれを現生爬虫類(ワニ)の未受精卵に注入することで恐竜を再生する。



ということです。

これに関しては、映画の中でも「子どもたちのためへの説明映画」という形で、わかりやすく説明しているシーンがあります。


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▲ 映画内の映画に登場するアニメで、DNA の移植と再生について説明する「ミスター DNA」というキャラクター。この映画で説明を受けた後、テーマパーク「ジュラシックパーク」では、実際の受胎作業の光景なども見物できるということになっています。


現在、 NASA の科学者がおこなっているのは、このような「大型生物の再生」に関してではないですが、「古代の遺伝子を現代の生物の遺伝子に組み込む」という意味では、似た話にも思えます。


また、上のジュラシック・パークについての Wikipedia の説明には、続けてこのような記述があります。


琥珀中ではなく、剥製や永久凍土中に保存されている絶滅生物のDNAから情報を復元することは2009年現在の技術でも可能であると考えられており、絶滅生物のクローニングを目指す研究が行われている。マンモスなどはこの対象として良く取り上げられる。



とあります。

これは、今年2012年になり、何度も報道されていて、ひとつは「日本とロシアの共同研究によるマンモスの再生」の報道で、もうひとつは「韓国とロシアと共同研究によるマンモスの再生」です。

それぞれ、今も日本語のニュースが残っていますので、ご参照下さい。



日本のほうは、日本側の主軸区となるのは近畿大学の研究チームです。また、上の韓国のほうのニュースでは、2006年に胚性幹細胞(ES細胞)研究で論文を捏造したとして報道された黄禹錫(ファン・ウソク)元ソウル大教授が主軸です。

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▲ ロシアの研究機関とマンモス再生の共同研究について調印する韓国のファン・ウソク元ソウル大教授(左)。テレグラフより。


というわけで、どうも人は「古代の生物の再生」にえらく興味があるようです。


私自身は、実はこれらのすべての行為に、かなり否定的で、その理由は、

「絶滅したものは絶滅する理由があったから絶滅した」

のであり、再生に何の意味があるのかよくわからないということがあります。
絶滅もまた「摂理」だと考えます。


とはいっても、実際に DNA レベルで生物に介入できるようになった生物科学では、これらと類似した様々な研究と実験が繰り返されるとは思います。もちろん、もしかしたらこれらの研究は、実際に世の中の役に立つことなのかもしれないし、それはわかりません。


というわけで、大型生物の再生とは違うながらも、 DNA に介入して、「生物の進化を眺める」という、科学史上初めての試みが米国の大学内にある NASA 研究所で進められています。


実験進化

なお、翻訳記事には「実験進化」という言葉が出て来ます。初めて目にしたのですが、調べると「人為的に進化を引き起こす研究」のことだそうです。

つまり、「人間の手による進化」ということのようです。
進化といえるのかどうかは微妙ですが。






 


Real Life Jurassic Park: Scientists Resurrect And Place 500-Million-Year-Old Gene In Modern Organism
Nano Patents and Innovations 2012.07.11

本当の「ジュラシックパーク」: 5億年前の遺伝子を現代の生物に移植して復活させようとする科学者たち


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ハリウッドの映画の制作プロジェクトの期間に比べると、このたび始まったプロジェクトの期間は非常に長いものとなるようだ。

その期間は「5億年」。

しかし、これは映画を作るプロジェクトではなく、米国ジョージア工科大学の NASA センターで実際に進められている。

ジョージア工科大学の研究者たちは、「古生物の実験進化」( paleo -experimental evolution )と呼ばれるプロセスを使用し、バクテリアから5億年前の遺伝子を抽出し、それを現代の大腸菌に着生(移植)した。

このバクテリアは、成長を続けており、今では 1,000以上の世代を経ている。そして、科学者たちは活動中の進化を観察し続けている。


ジョージア工科大学にある「 NASA リボソームの起源と進化の研究センター」( NASA Center for Ribosomal Origins and Evolution )」の宇宙生物学者であるベトゥール・ガージャール(Betül Kaçar )博士は、以下のように語る。

「私たちは、生命の分子のテープを巻き戻して、『リプレイ』できる時に非常に近いところまで来ています」。

「生命が、かつての進化と同じ軌跡を繰り返すかどうかということ。あるいは、生命がかつての進化とは異なった経路に沿って適応していくのかどうかを、現代の生物(大腸菌)に着生させた古代の遺伝子の進化から私たちは学んでいます」。


2008年に、ガージャール博士のアドバイザーである生物学者エリック・ゴーシェ博士( Eric Gaucher )が、大腸菌の中の EF-Tu (細菌細胞で最も豊富に見られる蛋白質)内に配列させる古代の遺伝子配列を決定した。


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EF は、バクテリアで最も多いタンパク質のひとつだ。そして、 EF はすべての既知の細胞内で見つかっている。


これらの試みは、現代の大腸菌の遺伝子のかわりに、正しい染色体命令と位置に古代の遺伝子を置くという難しい作業だが、ガージャール博士はそれを成し遂げた。そして、「古代の生物」を再度進化させようとしている。

現代の遺伝子と古代の遺伝子の両方から成るこの幻想的なバクテリアは、生き残ることには成功したが、しかし、当初、その成長率は通常より遅かった。

エリック・ゴーシェ博士は、「最初変化を加えられた生物は、現代の大腸菌ほど健康ではなかった、あるいは、あまりフィットしていなかったかもしれません。しかし、日が経つうちに、突然変異が積み重なり、変化を加えられた生物は次第に適応してきました」と言う。

そして、成長率も上がっていった。

最初の 50世代のあと、科学者たちはこのバクテリアがどのように適応していったかを確定するために、ゲノム配列を確かめた。

その結果、変化を加えられたものは、ほとんど現代の生物のレベルにまで適応しただけではなく、それらのうちのいくつかは現代のものより健康になった。

そして調べると、 EF - Tu 遺伝子が突然変異を蓄積させているわけではないことに気づいた。バクテリアの中で、古代の EF - Tu と相互作用する現代のタンパク質が突然変異をしたのだ。

要するに、古代の遺伝子は、その最新の形と類似しているようになるために突然変異したのではなく、バクテリアは新しい進化の経路で適応するとわかった。

これらの結果は、最新の NASA 国際宇宙生物会議で発表された。


ガージャール博士は、

「このプロセスの中で、私たちが分子生物学において長いあいだ疑問に思っていたいくつかの質問に答えられることになると思います。生物の歴史というものが、進化によりひとつの進化の結末しか持っていないのか、あるいは、進化が複数の解決方法を持つのかを知りたいのです」

と述べた。




  

2012年07月05日



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最近、世界中で「子どもだけを襲う未知のウイルス」が爆発的な流行の兆しを見せていて、なんとなく気になるので、そのことを書こうと思っていたんですが、書いていると、また、前振りが長くなってしまいましたので、その記事は別として今日アップしようと思います。

その「謎のウイルス」の記事は、昨日書き上げるつもりだったんですが、昨日の日記、「「絶望の粒子」の発表に委ねられる In Deep と私の人生の存亡」を書いた後、なんとなく散歩に行って、そのまま電車に乗って、所沢で何となく降りて、所沢でダラダラと過ごして、焼き鳥屋でお酒を飲んだりしているうちに一日が終わってしまいました。

昨日、毎日新聞に出ていたんですが、今、私の住んでいる埼玉というのは「昼夜間人口比率」というものが全国最低なんだそうです。






 



昼夜間人口比率:全国最低 90年以来5回連続で
毎日jp 2012.07.04

10年に実施された国勢調査で、県内の夜間人口100人当たりの昼間人口の割合を示す「昼夜間人口比率」が88・6と、全国最低だったことが県の分析で分かった。全国最低は、90年の国勢調査以来5回連続で、都内の職場や学校へ通う「埼玉都民」という性格が続いている。



昼夜間人口比率ってなんだ?」と読むと、つまり「東京都内などに仕事に行っている人が多いので、昼はあまり人がいない」ということのようです。

その比率が世界一(世界かよ)。
いや、日本一。

この比率、「働き盛りの年齢の男性や女性」に限定すると、もっと大きな数値になるはずです。つまり、埼玉県の日中は「二十代から五十代くらいの労働年齢の男女が少ない」ということだと思います。

そのせいかどうか、午後4時過ぎくらいだと、所沢の町は学生さんのような若い人の姿がとても多く、女子高生などは、どこで着替えているのか、制服ではなく私服で闊歩しています。

そういう中に私などを含めた「社会の落ちこぼれ的な中年男性たち」がダラーッと徘徊したり、ゲーセンのメダルコーナーで苛立ったりしている光景を目にします。


というわけで、またどうでもいい話から始まりましたが、帰ってみると、CERN のニュースは確かに大きく報道されているのですが、その見出しを見て、「またか」と、思いました。



ヒッグスに関しては「永遠にこの繰り返し」でもいいのかも


ヒッグスに関しての報道は見られた方も多いと思いますが、これらの見出しが並びます。

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「発見か?」
「〜とみられる」

という文字が続きます。

英語だと下のような「99パーセント、ヒッグスに違いない」などが並びます。

99percent.jpg


実は一昨年からずっとこの繰り返しなんですが、なんとなく不思議な感じがしませんか?

つまり、普通の、他のいろいろな科学の発見で、「〜と見られる」とか「発見か?」とか「ほぼ間違いないと思われる」というような暫定段階での研究成果がこんなに大きく報道されることがあるでしょうか。

普通だと、科学的発見というのは、

「確定」

ということになって、大発表になるはずだと思うのです。

報道では、


CERNは統一見解で、暫定的な結果としながらも「新粒子を観測したことは画期的で、その意味は非常に重要だ」と強調。年内にもヒッグス粒子かどうか確定するとの見通しを示した。



とあり、「暫定的」と自ら述べて、さらに、「年内にも確定」と、確定していないことを宣言しています。


それがどうして、こんなに大きく報道されるのか。

その理由はいくつかあると思いますが、ひとつは報道側が、この「新しい神の登場」の重大性をあまり意識していないということもあるかもしれませんが、それよりも「何らかの強力なプッシュ」はあるのだと思います。

プッシュというか、「報道してほしい」と。

どうしてか?

どうして暫定結果を世界的報道としなければならないのか。


ここからは否定的な意味で書くのではなく、こういうことはすべての科学の研究には必要なことなんですが、「予算の確保」なんです。 CERN は世界で最も大きな予算を編成している科学組織で、年間予算は大体 800億円〜1000億円くらいです。

下の収支は10年くらい前のものですが、以後も大体同じような予算です。スイスフランで書かれてありますが、非常に大ざっぱにというと、この数字に「億円」をつければ、桁としての大体の目安となると思います。

cern-bud.jpg


これを見ると予算のほとんどが「加盟国からの分担金」でまかなわれていることがわかると思います。つまり、単独運営をしている組織ではないのです。

コトバンクの CERN には以下のようにあります。


この分野の実験的研究には巨大な粒子加速器が不可欠であるが,加速器の建設には莫大な費用がかかるので,アメリカとソ連以外の国は単独ではこの負担に耐えられない。



この「加速器」とある中の、LHC というものには2兆円などの莫大な予算がかかっています。

上に「ソ連」とあるのは、CERN が創設された 1950年代はロシアは旧ソ連だったからですが、上にあるように、この CERN というのは、各国から予算を集めて運営している組織です。

しかも、それでも赤字を計上したりしていて、とにかく、お金のかかる実験をしているのですが、いずれにしても、「成果を出し続けていかなければならないという宿命」を負っています。

1000億円といえば、南太平洋あたりの小国の GDP にも匹敵する金額で、決して小さいとは言えない額です。

特に資金を出している主体がヨーロッパの国々です。
それで、「今年は何の成果もありませんでした」というわけにはいかない。
現在のヨーロッパの経済的問題は書くまでもないと思います。

場合によってはユーロ崩壊などとも言われている中で、どこかの国の誰かが、

「CERN へ金出すのをやめればいいんじゃないか?」

と言ってそれを実行したら、他の国も追随してしまうわけで、そうすると CERN は機能しなくなってしまうのです。さすがに、今の経済状態の中で、科学研究に単独で 1000億円を出せる国はあまりないはずです。

なので、それを避けるために、 CERN は成果を発表し続けなければならない。
次々とノーベル賞クラスの発見をしなければならない。

そういうあたりが、暫定的な発表に繋がっているのだと思います。
正直、心情はよくわかります。



新しい「神」を数百年以上求めて続けてきた科学界


ヒッグスは「神の粒子」とか呼ばれていますが、この「神」とは何かお考えになったことがあるでしょうか。

一般的には、「神」とは宗教などでの「神様」のことを言うと思うのですが、そんな大それた冠をつけている。


名前は忘れてしまいましたが、 ALS で車椅子に乗っている米国かどこかの科学者の博士が、「神がなくても宇宙は説明できる」と言っていたことがありましたが、これが科学者の夢だと思います。

新しい神様。


それが科学者たちにとっての「夢のヒッグス粒子」です。


仮にそれが見つかれば、この世の中は自分たちの「計算通りの世の中」であることが証明されるわけで、計算が適用できない宇宙は存在しない。

見た目がどうであろうと、

「それは計算ではこのようになります」

と言える世界。


太陽黒点が顔みたいに見えても、

「それは計算ではこうなります」と。


宇宙の銀河の形がどれだけ美しくても、

「それは計算ではこうなります」と。


人間の感情とか、見た目とか、考えとか、夢とか、形而上とか、宗教とか、芸術とか、恋愛とか、美的感覚とか、味覚とか、そういうものもすべてが、

「計算ではこうなりますから」

と言える世の中。



そのための「神様」がヒッグス粒子なのだと思います。

そして、その発見は、計算のできる科学者だけが「神の使者になれる瞬間」だということにもなるのかもしれません。なので、科学者(の一部)は本当にその発見を望んでいるでしょうし、あるいは、「望んでいない」という科学者もいると思います。

しかし、上にも書きましたけど、私は別に批判的ではないのですよ。
私は実は CERN は存続してほしいのです。


その理由はただひとつで、CERN がクラウド実験というプロジェクトをおこなってるからです。

過去記事の、

「宇宙線が雲を作るメカニズム」の一部を欧州原子核研究機構 CERN が解明
 In Deep 2011年08月26日

にあるように、宇宙線の働きの根本に対しての検証を莫大な予算でおこなえる組織は、現在は CERN だけだと思うのです。

このクラウド(CLOUD)実験というのは、「雲はどうしてできるのか」というための実験で、そんな実験に考えられない予算をつぎ込んでいるというのは、ばかばかしいと思う方のほうが多いと思います。

それでも、私はこの実験ではじめて「宇宙線が雲を作り出している」ことを知り、そして、もしかすると宇宙線の働きはさらに大きなものであることがわかるかもしれない。

わかってどうなる、という話もありますが。


いずれにしても、 CERN は今後も、「ほぼ間違いない」ということで、発表を続けていくと思いますが、それでいいのだと思います。

欧州連合が崩壊して予算が機能しなくなる日まで。





  

2012年06月10日



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私たちは、人類が産業革命から進んできた「文明の最期」を看取る歴史の証人となり得るのか。あるいはそれを回避できるのか。






 


いきなり余談ですが、先々月くらいに携帯電話の表示がおかしくなったんですね。3年以上使っていて、前から表示がおかしくなることはあったんですが、今回は復旧せずに画面に何も映らない。

状態としては液晶のバックライト切れと似ていますが、携帯電話の液晶の仕組みをよく知らないので、とにかく「何か微かに画面に映っているけど基本的に何も表示されない」と。

でも、電話としては使えるので、そのまま使っていたんです。
変更も修理も面倒ですし。

で、画面が見えないのでメールは打てないわけで、メールをやめたんですね。

私の加入している携帯はなんとメールは標準オプションじゃないんですよ。
プラス300円でメールサービスが使える。

で、あとは音声通話なんですけど、携帯の音声通話なんて子どもの関係の用事などで奥さんからかかってくるくらいですので、携帯は部屋に置いておけばいい。つまり、今の私の携帯の状況は「画面がうつらない着信専用の音声端末」ということになっています。

しかし、携帯メールから解放されたのは本当に楽で、私はもともと携帯のボタンを押してメールを打つのが苦手でしたので、もう携帯メールを受け取らなくてもいいし書かなくてもいいんだ、と思うと非常に解放された気分になりました。


こんな感じで次第に情報伝達の手段が少なくなっている私ですが、今の私にとっても「最大であり、そして最後の情報伝達手段」であるのがインターネットです。ツイッターもフェイスブックも何もアカウントを持たない私ですが、携帯メールがなくなった今、メール伝達はインターネットだけですので、それなりに大事。

しかし、その「インターネット・インフラ」はもはや未来永劫に続く盤石な基盤とは言えない可能性が強くなっています。今回は、そのインターネットの自滅、あるいは、インターネットが「文明を滅ぼす導管となり得るかも知れない」ということと関係する話です。

ご存じの方も多いと思いますが、フレームというコンピュータウイルスの登場によって、今、世界が騒然としています。



拡大を続ける「インフラ自爆装置」

これまで In Deep でも、コンピュータウイルスのことを取り上げたことはありました。リンクは記事下に貼っておきますが、スタクスネット(正式名: W32/Stuxnet)などの名前がつけられている強力な「インフラ破壊ウイルス」などが次々と登場している中で、最近、「フレーム」と名付けられたウイルスが登場しました。

これに関しては、最初に報道の方をご紹介しておきます。
「ロシアの声」の記事からです。

ロシアにはコンピュータ・セキュリティ専門のカペルスキー社があり、創業者カペルスキー氏の言葉が書かれてあります。カペルスキー氏は、イスラエルで行われた講演の場で、「世界が終末を迎える前にサイバー感染の連鎖を阻止しなければならない」とまで言っています。


しかし、今回、フレームのことを取り上げたのは、その脅威というより、「どうして私たち人類の生活が、コンピュータウイルスごときに脅かされるようになってしまったのか」ということをもう一度考えてみたいと思ったからです。

縄文時代にも、あるいは、アウストラロピテクスの時代にもなかった脅威が、どうして「進化した果ての人類の世界」に登場したのか。

私たちの文明の方向性は、果てして正しかったのだろうか・・・というようなことを、スタクスネットや、フレームの実態を知ると、考えざるを得ません。
では、今回は最初に記事を載せておきます。

ここからです。






 


カスペルスキー氏:サイバー感染の拡大が世界を脅かしている
ロシアの声 2012.06.07

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▲ イスラエルで「フレーム」についての講演をおこなった情報セキュリティー会社「カスペルスキー」の創設者エヴゲーニー・カスペルスキー氏


ロシアの情報セキュリティー会社「カスペルスキー」の創設者エヴゲーニー・カスペルスキー氏は、人類を脅かしている大規模なサイバー感染に対して脅威を感じていることを認め、世界が終末を迎える前にサイバー感染の拡大を阻止するよう各国に呼びかけた。

イランやイスラエル、レバノンなど中東の政府機関や研究機関などの約600台のコンピュータで新種の強力なコンピューターウイルス「フレーム」が発見された。

「フレーム」は、情報だけでなく、感染したパソコンの操作画面や音声通話の録音内容、キーボードの入力履歴などを盗み出し、外部に送信することができる。

カスペルスキー氏は 6月6日にイスラエルのテルアビブ大学で演説し、

「これはゲームの始まりにすぎない。そして、これが私たちが知っている世界の終焉となることが恐ろしい」

と語った。

カスペルスキー氏は、多くの国が、さらに危険な作用を持つフレームと同様のウイルスを作成できる状態にあると述べ、ウイルスの作成費は1億ドルと試算した。そして、サイバー兵器の感染が拡大し、世界中のコンピュータに入り込む恐れがあると述べた。

カスペルスキー氏は、可能性のあるサイバー感染の影響として、全面的なインターネットのブラックアウト(インターネットの停止)と重要なインフラ施設への攻撃の2つのシナリオを描いた。

カスペルスキー氏は、「残念ながら世界にはまだこのような攻撃から完全に身を守る手段がない」と述べ、サイバー脅威に対して防御するには、 Windows や Linux などの有名な OS (コンピューター用オペレーティングシステム)の使用を止めることだと語った。

カスペルスキー氏は、唯一の解決策は国際協力であり、各国の政府はこれについて互いに話し合いを開始しなければならないと呼びかけた。





ここまでですが、ここから蛇足的な文章を少し書かせていただきます。


文明の進展の中の「減少する脅威」と「増える脅威」

人間がはじめて生活の中に「灯り」を用い始めたのがいつ頃なのか正確なところはわかっていないと思いますが、火を利用することによって、「夜でも周囲を明るくする方法」を獲得した人類たちは、それは嬉しかったと思います。

まあ、「人類の歴史」というもの自体の実相が最近はわからなくなっている感もあるとはいえ、現在語られている人類の歴史では、たとえば、数百万年前などは人類の存在というのは、自然界の中で弱い存在だったと言われています。

今は人間が他の動物を食べたりしていますが、その頃は食べられるのは人間のほうであって、他の動物が来ることができない洞窟でジッと夜を過ごしていた・・・というように言われています。

それが真実かどうかはともかく、今の人類も何の道具もないままに野生動物が数多く棲む山やジャングルの中に放り出されれば、夜は洞窟などの中でジッと隠れて過ごすしかないと思います。

道具がない人間は(今のところは)確かにあまり強い存在とはいえません。

しかし、たとえば、「火」を得た人類。
火は灯りだけではなく、威嚇にも使えたし、調理にも使えた。

そして、次に人類は「単独の道具としての灯り」、つまり照明を作り出すようになっていきます。


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▲ 映画『2001年宇宙の旅』(スタンリー・キューブリック監督)では、人類の歴史が「武器を獲得したところ」から始まっていますが、それ以上に「火」を獲得した時から始まったかもしれません。他のすべての動物に扱うことのできない「火」を扱うことができた瞬間から人間は多分「傲慢になった」と私は思っています。


灯りを日常的に使うようになり、人間の住む世の中は夜でもそんなに真っ暗ではなくなってきた。

その流れは今に至るまで続いていて、日本など多くの国では、むしろ「明るすぎる夜」となっていたりするわけですけれど、いずれにしても、「電気」とか「インフラ」とかは現時点までほぼ一直線に進み続けてきました。そして、次第に何もかも「電気」に依存する「人類の一大電気文明」が始まることになります。


しかし、たとえば、100万年と現在と違う点。
あるいは、江戸時代と現在とは違う点があります。

江戸の夜の街にも灯りはあったでしょうが、それは「コンピュータ制御ではなかった」という点です。100万年前も同じだったと思います。

記録の上では、江戸時代にも、あるいはアウストラロピテクスの時代にもウインドウズ7も Mac OS X も存在せず、ノートパソコンも、社内LAN も Wi-Fi も存在していなかったはずです(あったらごめんなさい)。

インフラがコンピュータ制御でなかった時代は、確かに今より不便なこともあったでしょうけれど、しかし、怖れなくてよかったこともたくさんあります。

それは、たとえば、

・コンピュータウイルス
・超巨大な太陽フレア
・EMP (電磁パルス)攻撃


などです。

そういうものを怖れないで生活して大丈夫でした。




▲ 人類は「文明を蝕むほどの巨大な太陽フレア」そのものは何度も経験していますけれど、「電気の時代」になってからは、まだ「1859年のキャリントンの嵐」と、1989年のカナダのケベックの変電所を全滅させたフレアくらいしか経験していません。



超強力な宇宙線にも何の影響も受けずに生活していた 775年の時代


少し違う話ですが、最近のニュースで面白いものがあります。

日本語でも報道されていましたので、ご存じの方も多いと思われますが、

775年、地球に大量の宇宙線 屋久杉から解明
 日本経済新聞 2012年06月04日

というニュースです。

下のような内容のニュースでした。


名古屋大学の増田公明准教授らは、775年に宇宙から大量の宇宙線が地球に降り注いだことを、屋久杉の年輪の分析から突き止めた。宇宙線の量は太陽の活動や超新星爆発などの影響を受けるが、これまで知られている現象では説明がつかないほど急増していた。当時、地球を取り巻く環境が大きく変わった可能性がある。

宇宙線が地球に降り注ぐと、その影響で大気中の放射性炭素が増えて木の中にたまる。研究チームは樹齢1900年の屋久杉の年輪を調べた。奈良時代の775年の放射性炭素の量が1年で12%と増え、通常の太陽活動の影響と考えられる増加量の20倍だった。



要するに、西暦775年には、地球に、あるいは少なくとも調査した屋久杉のある、この日本には「通常の20倍以上の尋常ではない量の宇宙線」が降り注いでいた、というものです。


このニュースの何が面白いのかというと、それは、大量の宇宙線が注いだという現象のほうではなく、「その時、人類も人類の文明も多分ほとんど影響を受けなかったと思われるから」です


このニュースは海外でもかなり大きく報道されました。
何となくショッキングなニュースに見えるからです。

通常の20倍もの宇宙線が注いだら、人間もどうにかなっちゃうんじゃないの?

と、私も思いました。

その頃、「地球や日本の人類は滅亡していた」でしょうか。
年表で主な出来事を見てみましょう。





775年

・佐伯今毛人らを遣唐使に任ずる(日本)。

776年

・陸奥国、胆沢の蝦夷と戦う(日本)。
・唐の張参が『五経文字』を著す(中国)。
・ヤシュ・パサフが祭壇Qに16代にわたる王の肖像を刻む(マヤ)。

777年

・高麗殿継らを遣渤海使に任ずる(日本)。
・佐伯今毛人らを遣唐使に派遣(日本)。






要するに・・・激しい宇宙線が地球に降り注いだ後も、淡々と歴史は進んでいて、特に「大量死が起きた」という記録もなければ、とんでもない天変地異が起きたという記録も残っていません。

まあ、もちろん細かいところまではわかるはずもないですが、しかし、「宇宙で何が起きても地球の人類は滅亡するような影響を受けなかった時代」だということは言えるのかも知れません。


ここが今と大きく違います。


今は、仮に何らかの・・・たとえば、超巨大な太陽フレアによる電磁パルスでも、775年と同じ強烈な宇宙線(この場合は二次宇宙線というもので、中性子やガンマ線などのことをいうようです)でも、それを受けた場合に社会が大きなダメージを受ける可能性がある時代となってしまった、ということになるのかもしれません。


正直言って、最近、私は、産業革命以降の今までの数百年の文明の進んだ方向というのは「間違っていたわけではないけれども、大きく修正しなければならない面は大きい」ように思います。

太陽からの電磁パルスは、それが何百年後かはわからなくても、いつかは来ます。
その時に今と同じ発電システム、コンピュータシステムなら社会は止まります。

あるいは、地震も津波も必ず来ます。
地震が来ない日が来るとすれば、それは地球が宇宙から消えた時だけです。


昨年から続く日本の発電のゴタゴタの例を見てもわかりますが、今のすべてのインフラシステムは「未来永劫に続けることができるものではないかもしれない」という気はします。

時間をかけて変えていけばいいのかもしれないですが、しかし、その前に「巨大な経済崩壊の懸念」というものが立ちはだかります。

現在のすべてのインフラは、たとえば基本の制御システムを変更するだけでも巨額の資金がかかるもので、「仮に」、あくまで「仮に」ですが、経済が崩壊した場合は、「インフラの自滅を待つだけの状態」ということにはならないのだろうか、という考えもあります。


とはいっても、私たちはもはや数百万年前の生活に戻るというわけにもいかないわけで、しかも・・・まあ、これはオカルトですが、人類というのは「滅びることを許されない」宿命を負っていると思います。

いったんスタートした人類の歴史はとにかく進むしかないというのが、どうも聖書などを含めたこの世にある多くの「指南書」みたいなものの意味の根幹のようです。


そんなわけで、最終的に話が大きく逸れましたが、今回の問題は「フレーム」というウイルスのみが問題なのではなく、最大の問題は、カペルスキーさんの言っているように、「今ではどこの国でも同じようなものを作ることができる技術と能力を持っている」ということです。

カペルスキーさんは、ウイルス作成費用を1億ドル(80億円)と試算しましたが、これは、国防予算から考えると、まるで「屁のような小さな予算」です。

戦争はお金がかかるのです。

たとえば、日本の持つイージス艦などは1隻で 1200億円もかかっているようで、戦闘機だって、一機100億円とかになっているのです。


arm-01.png

兵器価格総覧より。


しかし、イージス艦を使っても、戦闘機を使ってもできないことがあります。

それは「地球の文明を終わらせること」。

しかし、フレームのようなタイプのウイルスにはそれができる可能性があるのです。

たった 80億円程度の予算で「他の国を全滅させられる」と知れば、研究しない軍部がこの世にあるでしょうか?

「全滅」というのは、つまり、「ターゲットの国を電気もコンピュータもインターネットもない世界にする」というだけの話です。

それで電気も水もガスも食糧配給も情報伝達もすべて止まる。
そうなると、今の時代の多くの人々は生きていけない。

いわゆる大量破壊兵器とは違いますが、最終的には同じような、あるいはそれ以上の「効果」をあげる。

今の世の中、特に先進国はインフラが人の命を牛耳っているのです。
そして、私たち日本はそういうシステムを持つ国です。

そういう意味では、私たちは縄文時代よりも、少しだけ後退した文明の部分も同時に持ち合わせている時代に生きている可能性もあるのかもしれません。

もちろん、縄文時代にはツイッターもスマホやミニノートもなかったはずですので(あったらごめんなさい)、情報伝達では昔の方が不便でしたでしょうが、今と昔、どちらが人間の生活として危ういか、というのを比べることは難しそうです。


長くなってしまって申し訳ないです。
今回はここまでにしておきます。



  

2012年04月23日



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研究の将来の可能性として、農薬が完全に不要な農作を「ただ作物を触るだけ」によって達成できる可能性も


(訳者注) In Deep では、たまに最新医療技術の話題などを取り上げることがありますが、現在の最先端の医学研究では、人間の防御力の元となるものが、ほとんど人間の体自身の中にあることが明らかとなってきています。

たとえば、過去記事の、

「すべてのガンに効果のあるワクチン」が開発されたという英国での報道
(2012年04月10日)

抗生物質に代わる物質がドイツの機関で特定される
(2011年06月09日)

などは、上の「すべてのガンに効果のあるワクチン」は「 MUC 1 」という、もともとすべての人間の内臓の表面に付着しているもので、下の「抗生物質に代わる物質」は「ペプチド」というもので、これはアミノ酸の連なった、要するに、どこにでもあるタンパク質のようなものです。

このペプチドは、「できた後の虫歯に対抗できる」ことも、イギリスの大学の研究でわかっています。人間が自分が持つ治癒力だけで虫歯を治していく(歯を再生させていく)という驚異的な治療法ですが、その方法は、なんと、ペプチドから作られた物質を歯に塗るだけ。相当先とはいえ、将来的にはこの治療法が広がれば、「虫歯がこの世から消える」ということになるはずです。

虫歯治療の革命: 歯の自発的な再生を手助けする虫歯の治療法が英国で開発される
(2011年08月24日)


つまり、少なくとも人間は、自分自身に対しての治癒力は人間自身が持っていることが、最近、きわめて明らかになってきた感があるのですが、今回の「植物の防衛力」の研究発表も大変に大きなニュースだと思います。


米国のライス大学の生物学者ふたりが研究発表したもので、上のタイトル通りに「植物は人間に触られることにより強くなる」という事実と、そのメカニズムを証明したのです。

写真を先にご紹介しておきます。

下の写真はシロイヌナズナという植物で、いわゆるペンペン草と呼ばれるどこにでもある雑草のひとつで、どこにでもあるものだけに、植物の研究にはよく使われるものなのだそうです。

plant-01.jpg

「右」が一日数回さわって育てたシロイヌナズナで、「左」がさわらずに放置して育てたもの。

これだけ見ると、「さわっていないほうがよく育っているじゃないか」と思われるかと思います。

そうなんです。
確かにさわらないものは成長が早く、茎も細く伸びていきます。

ところが、左の背丈の高いほう、つまり、さわられていないほうは「弱い」のです。

右の毎日触れられて成長した方の植物のほうは、こちらは茎が太く短く、そして「遅く」成長していくことにより基本的に自身の構造自体を強く成長していくと同時に、触られるごとに内部で「ジャスモン酸エステル」という植物のホルモンを多く分泌するのですが、この植物ホルモンの作用で、この植物は「どんどん強く」なります。

このジャスモン酸エステルは、植物の葉を食べる生物の胃の機能を弱め、また、真菌(カビ)などの対しての抵抗力を高めるメカニズムを持つのです。


つまり、上の写真の「右の毎日触られた植物」は、見た目だけの問題ではなく、外部からの攻撃に対して強いのです。菌や昆虫に大きな強い抵抗力を持ちます。「虫も喰わないやつ」という言い方がありますが、そういう植物として成長していきます。

そのジャスモン酸エステルの生産システムを「起動」させるのが、人間がさわることなんです。

また、上の写真を見ると、植物の外観としても、右の背丈の低い植物のほうが安定性よく育っていることがわかります。

いずれにしても、これは感覚的な話ではなく、「植物は人間に触られることにより強くなる」ことと、そのメカニズムが「証明された」ということであり、この意味は大きいです。

なぜかというと、今後、たとえば、植物の生産の現場を含めて、あるいは、経済的な混乱や他の国との貿易の不都合などの中では、日本の農業にはあらゆる意味で厳しい状況が予想されます。

ずいぶん前に、

日本から肥料が消える日
(2010年12月02日)

という記事を書いたことがありますが、一般的には「窒素、リン酸、カリウム」で肥料は作られますが、この中の「リン酸」というものが日本では採取できず、日本はほぼ 100パーセントすべて輸入に頼っています。そして、その輸出国の最大国は中国で、中国では関税をどんどんと引き上げており、現状はわからないですが、記事を書いた頃に入手した 2008年までのリン酸の価格は下のようになっていました。




これ以上、リン酸の価格が上がっていくと、トマト一個3000円とか、白菜一個20000円とか、そういう冗談のようなことが、冗談ではなくなる可能性は常にあります。現状の肥料はリン酸なしでは作ることができません。

まあしかし、この肥料の問題は別の話ですが、それと同時に「農薬」の問題や、米国モンサント社などに代表される遺伝子操作での作物の問題があります。

それに害があるとかないとかを別にしても、経済的な問題や、あるいは鎖国的なことが起きていくと(私自身は遠い将来であっても日本は再度、鎖国に向かうと考えています)、農作自体が成り立たなくなる可能性はあるように思うのです。

そこに出てきた「植物は人間がさわるだけで防衛力がアップするという科学的事実」というのはとんでもなく素晴らしい発見ではないかと思ってご紹介することにしました。

冗談ではなく、たとえば、自給自足などをしていかなければならない毎日だとして、農作の日課のうちのひとつが「ことあるごとに作物にさわること」だったりするという未来もありうるのかもしれません。


私も植物が好きでいろいろと育てているのですが、この「さわると植物は変化する」ということは感覚的という以上にずっと感じていました。どういうことかというと、

・頻繁に触れている植物は成長が遅いが、美しく強く育つ

ということです。

そして、逆のこともまた言えました。

逆のこととは、つまり放置していくと弱っていくということも見てきたのですが、それらは「感覚的な問題なのだろう」と自分では思っていました。

しかし、科学的根拠があったのです。


いずれにしても、今回の研究結果を読んで決めたことがあります。
それは、

「明日から全部の植物を一日に一度はさわろう」

ということでした。

植物を育てている方は試してみてはいかがでしょうか。
きっと、カビや葉を食べる虫(毛虫、ナメクジ、アブラムシなど)に強くなると思います。

いずれにしても、農薬から解放される方法の「第一歩」が「人間がさわる」という単純なことで、ある程度達成できるとしたらかなり素晴らしいことだと思うのですけれど。


それでは、ここから記事です。



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2012年04月10日



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自分のガンと戦う物質は「自分の体内にもともとある物質」だった


(訳者注) 現在、イギリスで販売部数第1位の新聞は、デイリー・テレグラフという新聞で、これは一応「高級紙」という分類にあたり、内容においてはそれなりの信憑性もあるとは言えるかもしれません。今回の記事はそのテレグラフ紙のオンライン版に掲載されていたものです。


その見出しはなんと「すべてのガンに作用するワクチン」。


見出しを見て、私など「ほんまかいな」と、やはり思うわけです。


読んで見ると、このワクチンで使っている主要な物質は、いわゆる化学薬品とかではなく、「もともと人間の体の中にあるもの」のようなんです。



それは MUC1 というもので、何のことだか全然わからなかったので少し調べてみました。Weblio のがん用語辞書にはこのように書かれてあります。



muc-1

特定の上皮細胞(臓器や腺を始めとする身体各部の表面を覆っている細胞)と母乳の生成に関与する乳房細胞に認められる物質。乳房、卵巣、肺、および前立腺に発生する腫瘍においても認められる。



要するに、ものすごく簡単にいうと、私たちの体の中に普通にある「身体各部の表面を覆っている細胞」のことのようです。


つまり、生まれてからずっと私たちの体のなかにある細胞。その MUC1 から「ガン細胞を探して破壊する」という作用のあるワクチンが開発されたという記事です。


これを読みまして、「ああ、ガンもかあ」と思いました。


昨年、「人間自らの力で歯を再生させる虫歯治療」が英国のリーズ大学で開発されたことを記事にしたことがあります。



 2011年08月24日


英国のリーズ大学で開発されたその方法は、「小さな虫歯ができたら歯の表面にペプチドの液体を塗るだけ」というものでした。


また、このペプチドは虫歯の原因であることがわかっている「ミュータンス連鎖球菌」の成長を確実に止めるという作用があることがわかり、ドイツの研究所では、「抗生物質のかわりの物質がもうすぐ開発される」という発表も昨年されました。


これも「ペプチド」でした。



 2011年06月09日


この「ペプチド」というのは要するにアミノ酸がつながってできたもので、人間の体の中にも、常にあるものだと思います。



どうやら、非常に多くの病気に対して、


人間は、自分の体内だけで細菌や症状に対抗できる、あるいは再生や治癒をできる能力を本来は持っている


ということが次第に明らかになってきました。



それを発見し続けているのは科学の力ですが、しかし、私たち一般人も「人間の体内には明らかに自己治癒能力がある」と「思ってみる」ということは大事なことのようにも思います。


ひとつの考え方が変われば、他の変わるような気がしたりもしますので。


拡大解釈していけば、もしかすると、人間はエネルギー(カロリーやビタミンなどの意味でのエネルギー)も自らの体内で産出できる能力があることがそのうち発見されるのかもれません。



最近の医学の発展を見ていて、19世紀にセルビアで有名だった予言者のミタール・タラビッチの言葉が思い出されます。


タラビッチは 1800年代の終わりに以下のような言葉を残しています。




世界中で奇妙な伝染病が蔓延する。だれもその治療法は分からない。人々は考えるに考えるが、正しい治療法を見つけることはできない。だが、治療のカギとなるものは人間自身の中や周辺にあるのである。




確かに「治療のカギとなるものは人間自身の中」にあるのかもしれません。

しかも、まだまだたくさん。



ところで、この MUC1 でのガン治療は、日本でも以前から行われていることを今回調べていて知りました。


免疫療法 - 進行膵がんのMUC1療法」という山口大学の腫瘍外科学教授の岡 正明さんの論文がありました。これが2006年のものですので、かなり以前から日本でも研究は進んでいるもののひとつのようです。


ここからテレグラフの記事の翻訳です。




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2012年01月06日



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最近の引っ越しの日々の中で精神的・肉体的に疲れ果てていましたが、まあ、ほんの少し一段落がつきました。そのあたりのいろいろはここに書くと長くなるので、もう少し体調が復活しましたら、日記としてクレアにでも書こうと思っています。


今回は、ペンタゴンが「時間を止める装置」を開発したという文字としては衝撃的なものですが、読むと、いわゆる「タイムマシン」的なものとは違うもののようです。

とはいえ、その仕組みは難しくて、訳していても、さっばりわからないです。

何となく把握することとしては、「光を操作することで時間のギャップを生み出し、その連続により、起きていることを見えなくする」というもののような感じがします。

この装置での光の操作で出現する「時間のギャップ」、あるいは「時間の空白」の時間は何千億分の1秒という非常に短いものですが、多分、それを連続的に発生させて、結果的に「時間を止める」ということを実現させているのではないかというような感じがしますが、やっばりよくわかんないです。


ちなみに、今回のものはアメリカ国防総省の支援を受けた研究であり、れっきとした「軍用目的」での開発ですが、カモフラージュの歴史は軍用から始まり、民間にも広がっています。

camo_300.JPG

▲ 迷彩服は今も使用される軍用カモフラージュ。上の写真には4名くらいの軍人がいますが、パッと見る分には存在がよくわかりません。



toumei-mant.jpeg

▲ こちらは本記事にも出ますが、「透明マント」。2010年に東京の日本科学未来館で開催されたイベント『ドラえもんの科学みらい展』でのもの。これも光の科学による透明化(光学迷彩)です。写真のとおり、完全な透明ではないですが、ある程度実現されています。


しかし、思えば、たとえば、医療、放送、通信、インターネット、自動車、飛行機・・・。軍用の開発や進歩から始まった後に民間へと広がり、そのうち現代の生活の中で必須となっていったものの多さに改めて驚きます。戦争の意味って何なのだろう・・・。


今回のペンタゴンの発明も、一歩進めば、「時間の操作そのもの」というような概念さえもでてくるわけで、タイムマシン的な概念を含めて、どのようなものになっていくかの興味はあります。


さらに、ここにおいて、「光と時間」というものの関係性を思います。

すなわち、タイムトラベルというのは、今まで私は「時間旅行」だと思っていましたが、実際には「光の(概念の中の)旅行だ」ということのようです。時間を操作するのではなく、「高度な光の操作」がタイムトラベルそのものなのかもしれないと思ったりしました。このあたり、私は物理に疎いのでうまく説明できないのですけれど。



ふと思いだすジョン・タイターという人

そういえば、ジョン・タイターという人のことを思い出しました。

未来から現代にタイムマシンでやってきたと書き込んでいたと自称していた人物で、そのこと自体はともかく、参考までに Wikipedia に出ている「タイムマシンおよびタイムトラベルについて」から、ジョン・タイターのタイムトラベルの方法を書いておきます。


1. タイムマシンに目的の年月日時刻の座標を入力し、始動させる。
2. 重力場が形成され、搭乗者の身体を包む。搭乗者はエレベーターの上昇中のような感覚が継続する。
3. 装置が加速するにつれて周囲の光が屈曲し、一定まで達すると紫外線が爆発的に放射されるためサングラスが必須になる。
4. その後、周囲が次第に暗くなっていき、完全に真っ暗になる。
5. 景色が元に戻り、タイムトラベルが完了する。



とのこと。

上の中の「装置が加速するにつれて周囲の光が屈曲し、一定まで達すると紫外線が爆発的に放射される」の「紫外線」を「緑の光」に置きかえれば、今回のペンタゴンの実験装置とイメージ的には似ています。

ここから記事です。



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2011年11月24日



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space-oyako.jpg

▲ 今回の主人公の親子。下に書いてある英語は「これが宇宙に行ったんだよ」。
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(訳者注) 昨日の記事を読み直していて、「なんかちょっと妙にアツくなっちゃったな」と反省しまして、その話題は小休止。

ふだんあんまり腹立たないほうなんですが、昨年も一度だけ海外の報道を読んでいて、同じようにカーッときたことがあって、それ以来ですかね。

その時は「クレアなひととき」でしたが、「ネイチャーに載る21億年前の多細胞生物の化石の論文の翻訳と、聞こえてくる科学者たちのため息 (2010年07月01日)」という記事に書いてあるネイチャーの記事を読んだ時に、今回と同じような憤りに駆られたことを思い出します。

普通に考えれば怒るようなこっちゃないのに、なぜか怒ってしまったと。
今回のホーキング博士のもそうですね。

私はふだん怒らないんですけどね。
ものすごい昔ですが、女の子に包丁で刺されそうになったことがありますが、そういう時でも怒らない人ですから。「ああ、刺さんなくてお互いよかったね」と。自分に対してイライラすることはあっても、他人に怒ることは特に最近はあまりないんですが、たまにこのように「奇妙な導火線」(笑)に火をつけられるみたいです。

恋の導火線だといいのに(それじゃオチない)。

というわけで、ちょっとホーキングさんから離れて・・・というより、実はとても感動的な動画を見てしまって、ちゃんとご紹介したくなったのです。


誰だってポケットマネーで宇宙を目指せる

内容自体は、昨年話題になった「予算7万円弱で高度35000mから地球を撮影」という気象観測用の気球を使って作った自作の観測機器で宇宙から地球を撮影した英国人の話題がありましたが、あれと同じものです。



▲ 2010年03月にロバートさんという人が自作の撮影機器で撮影した地球、総費用6万9千円。NASA から問い合わせが来たほどのクオリティの写真を撮影することに成功しました。



しかし、今回ご紹介するのは、同じことを、もっと手近におこなった人のお話です。
風船にビデオカメラをくくりつけて、宇宙に飛ばし、落下してきたカメラを回収するという方法ですが、これをわりと普通の風船でやったという話です。

YouTube で偶然見つけたんですが、見ているうちに何だかよくわからないですが、ちょっと感動して泣けてしまいました。

動画そのものを貼ってしまえば済むかもしれないですが、あまり親切ではないですので、写真でご紹介します。

その中から10秒くらいだけ動画を最初に貼っておきます。

今回の親子が飛ばした宇宙船で宇宙から撮影した地球です。





それでは、『ルーク親子のホリデー宇宙観測』。
写真整理の都合上、キャブションに数字をつけています。



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2011年10月14日



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指数関数的に自己複製する「無機物」を目指す科学の意味


先週から体調が何となく悪く、風邪「のようなもの」だと思って過ごしていましたが、全然良くならないので一昨日くらいに病院に行くと、やはり、「風邪のようなもの」みたいです。最近はいろんなウイルスなどがあるようで、「本当に風邪なのかどうなのかよくわからない」というものも多いです。

私の場合は、喉がやられて、あとは「とにかくダルい」。まあ、訳のわからない体調の悪化は昔から慣れているので、それ自体はどうでもいいんですが、相変わらずニュースも多く、ここで一度止まると、貯まるだけ貯まって、そのまま対処できなくなりそうですので、できる範囲でご紹介しますね。

体がこんな状態で頭がボーッとしていますので、あまり適切なご説明をつけられないかもしれないですが、ご了承下さい。


今日は、「実際の DNA を使って、自己複製(自己再生や自己増殖と同じような意味)できる人工物質の作製に成功した」という報道です。

私はこの見出しをわりと驚きとしてとらえていたのですが、ちょっと調べてみると、それほどの驚きを伴うものではないということのようです。

つまり、「DNA そのものを使ってのバイオテクノロジー研究は今では普通のこと」のようなのです。

たとえば、こちらは、東京工業大学の「DNAを利用して微細で複雑なシステムを安く大量に作る」というページですが、こうあります。

セルフアセンブリ(自己集合)を利用した微小なシステムの研究には、DNAを使うことが多い。(中略)

すでに、DNAを使ったアクチュエータやピンセット、論理演算回路、メモリーなどが研究室で試作されている。



とあります。

細かい用語はわからないですが、少なくともテクノロジーの現場で DNA が使われているということがわかります、しかも、上のリリースは、2008年03月のものですので、今ではもっと進んでいるのかもしれません。

さらに、2011年に出版された『DNAロボット 生命のしかけで創る分子機械』にはこんな下りがあります。


「DNAを用いた実験を行うには、まず必要な並び方・長さと塩基の並び方を持つDNAを合成する必要がある。といっても、近年では、DNAを合成するサービスを提供する会社が数多く存在している。塩基の数が数十から百数十個のDNAは、1万円弱で手に入れることができる」



DNAって1万円くらいで買ったりできるもののようで・・・(なんか苦笑)。


ということで、DNA を使って様々なものを作り出すということは今ではわりと普通のことのようです。

なので、今回ご紹介する「自己複製する人工合成物」というものも、それほど唐突なものではないのかもしれないですが、 In Deep で過去にご紹介したいくつかの科学記事などと照らし合わせると、果たして、この方向はどういう方向に進んでいるものなのか・・・と考えたりいたします。

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上の技術を合わせれば、「ブレードランナー」に出てくるようなレプリカントが作れちゃうのでは。

raychel.jpg

▲映画『ブレードランナー』(1982年)に出てくるレプリカントのレイチェル。この物語のレプリカントには「自分が人間ではなくレプリカントであることを知らない」人たちもいます。それほど精巧にできている。

それではここから記事です。




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2011年10月10日



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(訳者中) タイトルには「太陽がなくても」と書きましたが、正確に書きますと「太陽が当たっていなくとも」ということです。つまり、夜でも発電可能な太陽発電施設ということになりです。

solar_al1-420x0.jpg

上の写真でもおわかりかと思いますが、185ヘクタール(185万平方メートル)の土地に数千枚のパネルが建設されているかなりの巨大施設ですが、この「新しい太陽光発電所」であるヘマソラール発電所がスペインのセビリアで稼働開始したことが、英国デイリーメールで大きく取り上げられていましたので、ご紹介します。

これは数百億円の費用が必要な極めて大規模なプロジェクトで、以前、私なども夢想していた「個人によるフリーエネルギー」というものとはほど遠いものではあることは事実で、以前の私ならあまり気にかけなかったですが、今では感想も違います。

それは、3.11の震災以来続いている、日本や世界での原発を巡るゴタゴタという事実があるかかもしれません。

私は原発については何の知識もないので、それについて書いたこともないし、今後も書くこともないでしょうが、真実がどうであっても、「いろいろな意見の人たちの間などでトラブルや精神的なもめ事が続いている」ことは事実であり、どちらが正しいということではなく、「トラブルの原因となっているもの」を冷静に見ることは悪いことではないと思っています。

文明の進歩の重要な点として「否定や反対だけではなく、代替アイディアがなければ、文明は止まるだけに陥ってしまう」ということがあるように思います。「電気など不要だ」という極論なら仕方ないにしても、人類の文明は今は電力と共に進んでいることは否めず、生活から医療まで、電気が消えれば多くが消えます。


そんな中で、今回の「24時間で稼働させられる太陽光発電システム」のニュースがあったわけで、応用次第では、ここまで莫大な予算がなくても、なんとかなったりする可能性はあるのではないかと。小さな街や集落ずつくらいの単位でのエネルギーくらいなら、この「太陽光を溜める」という発想の元で、わりとフリーエネルギーに「近い」ものは得られる可能性はあるのかなとも思います。

まあ、なんだかんだいっても、人間と太陽という関係はあらゆる面から最も重要な関係のような気もします。


ちなみに、これまで In Deep でふれた「発電とエネルギー関係の記事」は以下のようなものがあります。



それでは、ここから本記事です。



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2011年09月09日



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(訳者注) 何だか、昔見た映画が次々と現実に。昨日の「米国エネルギー省直属の研究所が作り出した「微生物ロボット」」は「ミクロの決死圏」を思わせるものでしたが、今日は未来の食糧を描いた1973年のSF映画「ソイレント・グリーン」のような話です。この映画は、最後の台詞が「ソイレント・グリーンの原料は人間だ!」で有名。食糧難への対処として人間で食糧を作ることを思いついた米国政府の選択の話でした。

こちらを見ると、ソイレントグリーンの舞台設定は 2022年のようですが、それより早い2011年、人間の DNA から作られた食糧が登場いたしました。
ゼリーなどにに使われるゼラチンです。

イギリスのテレグラフが大きく報じています。

ちなみに、今回の記事の冒頭にある「世界初の人工の肉の生産が6ヶ月以内に始まる」というニュースは、日本語記事がなく、英語の記事ですが、

First artificial burger to cost £250,000 (最初の人工肉のハンバーガーのコストは3千万円)

にあります。
その記事にある図によると、人工肉というのは、この図のようなもののようで、ブタの幹細胞から食肉を作るということのようです。

meat-1.jpg

この生産が実際に開始される時が近いかもしれないというニュースですが、今回のものはさらに進んで上の図の豚と馬の部分が「ヒト」になるというもののようです。


ちなみに、私は今回のテレグラフの記事を読むまで全然考えてもいなかったですが、そもそも、お菓子に使われるゼラチンは基本的に動物由来なのです。

Wikipedia の「ゼラチン」は、こう始まります。


ゼラチンは、動物の皮膚や骨、腱などの結合組織の主成分であるコラーゲンに熱を加え、抽出したもの。



コーヒーゼリーやマンゴープリンを食べるということは、実は「動物を食べている」ということだったんですね。本当に一度も考えたことがないことでした。それを知っただけでも、今回の報道に出会えてよかったです。


記事の中の「ヒトの遺伝子を組み換えして」という部分に何となく引っかかりましたが、しかし、そもそも今、私たちが食べているゼラチンでも、遺伝子組み替えのウシやブタ由来のものを使っているものもたくさんあるもののようです。

そんなわけで、ゼラチンがヒトの DNA で代用されることは倫理や感覚の問題を別にすれば、それほど猟奇的な感じはしないですが、このあたりは人それぞれ考えも違うとは思います(海外では否定的な感じの感情が出ている記事が多いです)。

では、テレグラフからの記事です。



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