【科学技術と未来】 の記事一覧
2011年09月09日
(訳者注) 何だか、昔見た映画が次々と現実に。昨日の「米国エネルギー省直属の研究所が作り出した「微生物ロボット」」は「ミクロの決死圏」を思わせるものでしたが、今日は未来の食糧を描いた1973年のSF映画「ソイレント・グリーン」のような話です。この映画は、最後の台詞が「ソイレント・グリーンの原料は人間だ!」で有名。食糧難への対処として人間で食糧を作ることを思いついた米国政府の選択の話でした。
こちらを見ると、ソイレントグリーンの舞台設定は 2022年のようですが、それより早い2011年、人間の DNA から作られた食糧が登場いたしました。
ゼリーなどにに使われるゼラチンです。
イギリスのテレグラフが大きく報じています。
ちなみに、今回の記事の冒頭にある「世界初の人工の肉の生産が6ヶ月以内に始まる」というニュースは、日本語記事がなく、英語の記事ですが、
にあります。
その記事にある図によると、人工肉というのは、この図のようなもののようで、ブタの幹細胞から食肉を作るということのようです。
この生産が実際に開始される時が近いかもしれないというニュースですが、今回のものはさらに進んで上の図の豚と馬の部分が「ヒト」になるというもののようです。
ちなみに、私は今回のテレグラフの記事を読むまで全然考えてもいなかったですが、そもそも、お菓子に使われるゼラチンは基本的に動物由来なのです。
Wikipedia の「ゼラチン」は、こう始まります。
ゼラチンは、動物の皮膚や骨、腱などの結合組織の主成分であるコラーゲンに熱を加え、抽出したもの。
コーヒーゼリーやマンゴープリンを食べるということは、実は「動物を食べている」ということだったんですね。本当に一度も考えたことがないことでした。それを知っただけでも、今回の報道に出会えてよかったです。
記事の中の「ヒトの遺伝子を組み換えして」という部分に何となく引っかかりましたが、しかし、そもそも今、私たちが食べているゼラチンでも、遺伝子組み替えのウシやブタ由来のものを使っているものもたくさんあるもののようです。
そんなわけで、ゼラチンがヒトの DNA で代用されることは倫理や感覚の問題を別にすれば、それほど猟奇的な感じはしないですが、このあたりは人それぞれ考えも違うとは思います(海外では否定的な感じの感情が出ている記事が多いです)。
では、テレグラフからの記事です。
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タグ:ソイレントグリーン
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科学技術と未来
2011年09月08日
(訳者注) さきほど、「米国エネルギー省直属の研究所が作り出した「微生物ロボット」」という、とても先進的な科学だけれども使いようによってはいろいろな良くない用途も考えられるのかも、というような技術のご紹介をしたのですが、同じ科学技術関連として、前から少し気になっていた「人体への科学技術」のほうも記しておこうと思いました。
これは、米国のノースウェスタン大学で開発された「人間の皮膚の上にアプリケーションを埋め込む」という最新医学技術です。
そのプレスリリースにある写真がこれです。
額にあるのはいわゆるバーコード形式にも見える電子回路。
というわけで、これを見て何となく聖書「ヨハネの黙示録」の獣の刻印のくだりを思い出してしまったという話であります。
ヨハネの黙示録 13章 16-18節
すべての者にその右手か額に刻印を押させた。
この刻印のある者でなければ、物を買うことも売ることもできないようになった。
この刻印とはあの獣の名、あるいはその名の数字である。
賢い人は獣の数字にどのような意味があるかを考えるがよい。
数字は人間を指している。そして、数字は666である。
もちろん、今回のこの技術は基本的には大変に有用な先端技術です。
なお、昨年、このような記事も書いたことがあります。
・マウスの胚と卵子に固体識別バーコードを埋め込むことに成功 (2010年12月01日)
科学者たちはバーコードが大好きですが、良い使い方を模索されますように。
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科学技術と未来
2011年08月24日
痛みがなく方法も異常に簡単な虫歯の革命的な治療法は「歯の自発的な再生を促す」治療法
ジョン・コルトレーンという米国のサックス吹きがいて、私が生まれた頃に亡くなってしまった故人ですが、高校の頃からコルトレーンが大好きで、パンクや変な音楽ばかり聴いて疲れた時には、コルトレーンのアルバムをよく聴いていたものでした。今でもそうです。
コルトレーンは虫歯が多かったことで有名ですが、「虫歯が多い」ということは、すなわち「虫歯ができてもあまり治療に行かなかった」ということでもあり、とにかく彼は歯医者が大嫌いだったようです。
コルトレーンは後年、フリージャズというジャンルに転向し、「アセンション」という輪廻転生をテーマにしているかのようなタイトルの極めて前衛的なアルバムを発表しますが、この前衛性も虫歯の痛みから発生したと言われています(本当かよ)。
まあ、それはともかく、なんでこんな関係のない話から書き始めたかといいますと・・・私も子どもの頃から歯医者が自分の世の中で最も大嫌いなもののひとつだったからです。
小学生の頃、歯医者に行くたびに、
わたし 「先生! こんな苦しい思いをするくらいなら歯を全部抜いて下さい」
歯医者 「小学生にそんなことできねえよ」
わたし 「先生! ぼくは一生入れ歯でいいです」
歯医者 「だから、できねえっていってるだろ! ほら、すぐ終わるから。はい」
わたし 「いてててててててててててててててててて!」
というのが歯医者というところでした。
昨年もしばらく歯医者に行っていました。最近の歯医者はジェントルな態度で、あまり痛くないし、設備もきれいなものです・・・・が、それでも、イヤなものはイヤだ、ということに変わりありません。
▲ 19世紀頃の歯科治療。「もうこんなのイヤだ」と嘆くこの患者の姿は、この後も 200年くらい続きます。
さて、そんな中(どんな中だ)、英国の名門、リーズ大学で「歯に穴を開けずに治療する方法」が発見されたという報道が。
しかも、その方法が「冗談のように」簡単なのです。
その方法は、
> 小さな虫歯ができたら歯の表面にペプチドの液体を塗るだけ
「やだ、ウソ」というギャルたちの声が聞こえてきそうですが、本当なんです。臨床で実証された上での発表です。そして、さらに「革命的」なことには、これは「治療」ではなく、「歯が自分で再生する手助けをする」ことで、歯の内部からの再生治療ということなのだそうです。
さて・・・。
いずれにしても、今回の記事を読んで、「ああ・・・これから生きる人たちはいいなあ・・・」と素直に思いました。
やっと、物理的に歯を削ったり、穴を開けての治療と人類はおさらばできるようです。
私たちのような地獄の歯科治療を経験しないで生きていける可能性が高いのです。
(発見が48年遅いっつーの!)
歯の治療の資料としては、歯の歴史博物館というページにわかりやすくまとめられています。「B.C.5000年頃パピロニアの王家の図書館でみつかった粘土板にむし歯の原因が“歯の虫”であるとの記述があります。」から始まる人類と歯科治療の「地獄の歴史」があります。
虫歯の本当の原因も実はわかっているのに、対策はまだ進んでいない
ちなみに、上の紀元前 5000年前の「歯の虫」という概念はほぼ当たっており、今では、虫歯の根本的な原因が、ミュータンス菌だとわかっています。なので、実はこれまでずっと言われてきたような「丁寧な歯磨き」は、虫歯の根本的な予防とは関係ないこともわかっています。もちろん歯垢が虫歯の大きな原因であることに変わりはなく、エチケットの面を含めても歯磨き自体はいいことでしょうが、それだけで虫歯をなくすことはできないということです。
こちらのページにありますように、「ミュータンス菌の感染を予防することが、これからの虫歯予防になる」というのが真実で、今後少しずつその方向になっていくと思います。
以前、 In Deep でご紹介したことがありますが、現在、ドイツで「抗生物質に代わる物質」が開発されています。すでに物質自体は特定されていて、それが「ミュータンス菌にもある程度の効果がある」ことが確認されています。
記事は、
・抗生物質に代わる物質がドイツの機関で特定される(ペプチド)
2011年06月09日
です。
今回リーズ大学で開発された治療法にも「ペプチド」が登場しますが、今後の医療でこの「ペプチド」というものはかなり重要となるもののようです。
ちなみに、このような「根本的に虫歯が消滅する」という治療法は、世の歯科医の方々には存続の脅威に感じるかもしれませんが、「それは逆」で、むしろ歯医者さんの役割は大きくなると思います。なぜなら、自然再生するためには、初期の虫歯の最初期である必要があるほうが好ましいはずで、そのような小さな虫歯の発見と、そこへの治療液体の塗布は素人にできるものではないはずです。なので、これらの治療法が流通しようと歯医者さんは絶対に必要です。
あるいは、ペプチドを使った「虫歯の完全な予防」というものが仮に登場したとしても、定期的な歯科医による医療ケアは必要です。
単に「今までのようにドリルで穴を開けたり詰め物をする」という治療法が変化するだけで、歯科医による虫歯の予防と治療が存在することに変わりありません。
私たち患者サイドからみると「痛くもないし、すぐ終わる」というメリットがありますので、むしろ、ますます世のお医者さんと歯医者さんにはがんばっていただきたいです。むしろ新しい技術で人を痛みから助けるヒーローですよ、今後の歯医者さんは。
(ほめるだけほめますので、今後の治療は痛くしないでください)
何しろ、人類や地球の大変換が起きるというようなことが言われている昨今ですが、「感染症への抜本的対策」と「虫歯の予防と歯の治療の根本的革命」は、人類史の相当大きな進歩の一部分といえるのではないかと思います。前者は「抗生物質からの脱却」、後者は「虫歯の根本的予防と治療」と関係あるはずです。
まあ・・・サバイバルをするにしても、みずがめ座の時代を生きるにしても、次の世界がどうなるにしても、人間は人間なわけで、つまり「虫歯」ひとつで生活は台無しになるはず。どれだけ時代が進んでも、虫歯の痛みには誰も耐えられないと思います。
それでは、記事はここからです。
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科学技術と未来
2011年08月12日
「原子単位での生命コントロール」により人工のタンパク質を生産して生き続ける線虫
このニュースは・・・まあ、いつかは必ずあるとは思っていましたが、実際に目にするとわりとショックですね。神か宇宙かは知らないけれど、最初にそれら創造主的な存在がおこなったことと「似たこと」を人間が達成してしまったという出来事ともいえ、それは、
米国の科学者が、今までの地球上のものとは違った新しいアミノ酸の配列で作った遺伝子で「生き物を作った」
というニュースです。
Caenorhabditis elegans という線虫から「この世にいなかった」新しい線虫を作り出したということなんですが、最大のポイントはこの線虫が「地球中にはないアミノ酸配列」を持っているということのようです。そして、「人工のタンパク質を自ら生産」します。
地球上の生命は 20種類のアミノ酸の配列からできているのですが、この線虫の遺伝子には「21番目のアミノ酸」が存在します。こういう遺伝子配列を持つ生物は、地球には今のところこの生物だけとなるはずです。
そういうのを作っちゃった・・・のですね。
DNA の構造と配列(つまり宇宙の生命のはじまり)を学習した人類が、新しい生命構造の誕生へと動き出してしまったという・・・。なんつーか、ああ・・・神様、ごめんなさいとでもいうのか、「ここまで来ましたよ」と誇るべきなのか。
なんとも難しい出来事です。
ちなみに、地球上の生命は 20種類のアミノ酸の配列からできているということなのですが、その「たった20種類のアミノ酸の独自の配列の確率」ということに関しては、拙い記事ですが、昔書いたクレアなひとときの
の2つの記事にある確率をお暇な時にでもお読みいただけると幸いです。
結局、この世(宇宙)に生命が誕生するためには「偶然」では無理なことはほぼ明らかで、「人為的な作業」が必ず必要となるように私は思っています。
今回も生まれた線虫の中には「新しい宇宙」があって・・・まあ、その宇宙では、この科学者たちが神様なんでしょうかね。
記事は暴動の渦中にあるイギリスの BBC より。
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科学技術と未来
2011年06月09日
ドイツ最大の科学医学研究機関のひとつ「フラウンホーファー協会」から、「抗生物質の代替となるもの」が発見されたという発表がありました。
抗生物質に関しては、昨年、 NDM-1 という超強力な抗生物質への耐性を持つ細菌が発見されていたりと、実は「抗生物質は存続の崖っぷち」にあったと言えそうな感じでしたが、ついに新しいものが出たのかもしれません。「新しい」といっても、今回の物質は要するにアミノ酸のようなので、「その働きが発見された」という感じなのかもしれません。
NDM-1 については「抗生物質に耐性をもつ新しい「超」細菌がインドから拡大していることを科学者が発見」 (地球の記録 2010.08.11)という記事に、昨年のロイターの記事の翻訳があります。
また、今回この記事をご紹介したのは、記事の中の、
「2010年には抗生物質の多くに耐性を持つ結核に 50万人が感染し、その3分の1が死亡した」
というくだりにショックを受けたこともあります。
抗生物質に代わる薬剤の登場は、世界中が待ち望んでいたもののように思います。
医学に詳しくないので、内容的には今回の発表に関しては理解が難しいのですが、アミノ酸に含まれる「短鎖ペプチド」というもののいくつかが、細菌やカビなど様々な病原体に対抗することがわかったということらしいいです。この発表がただちに新しい治療に結びつくものなのかどうかは私にはわからないですが、お詳しい方などのお役に立てばと思います。
ところで、今回発表のあったフラウンホーファー協会というのは、私は知らなかったのですが、ドイツで非常に有名な研究機関のようです。Wikipedia によると、
フラウンホーファー協会は、ドイツ全土に56の研究所を持つ研究機関。各研究所は科学の様々な応用を研究テーマとしている(マックス・プランク研究所は基礎研究中心である点が異なる)。12,500人以上の科学者と技術者を抱え、年間研究予算は約12億ユーロである。
とのこと。
先日の「数百万年前に地球上で人類を拡散させたのは女性」に出てきたマックス・プランク研究所もそうですが、ドイツすごいですね(適当な賞賛)。
翻訳は、そのフラウンホーファー協会のプレスリリースからです。
ちなみに、文中の雰囲気からだと、この研究が進むと、「虫歯も消える」かも。
人類の宿敵の筆頭のひとつでもある虫歯が。
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タグ:MRSA フラウンホーファー協会
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科学技術と未来
2011年02月28日
翻訳記事ではないですが、個人的に大変に興奮するニュースのひとつがありましたので、いろいろと長くなりそうですが、その周辺について書かせていただきます。
米国の投稿サイトを見ていましたら、Full Color Night Vision Developed by Japanese Researchers (日本人研究者によってフルカラーの暗視装置が開発される)という英語記事がありました。
「なんだろう」と読み進めていて、最後まで読み終えたところにソースリンクが書かれてあり、それは日本語のページなのでした。
というわけで、こちらのページです。
暗視カラー撮像技術を開発
独立行政法人 産業技術総合研究所 2011年02月08日
--
これは一言で書くと、「暗闇中にある被写体のカラー動画像の撮像に成功」というもので、リンク先の記事をお読みになっていただくのがいいかと思いますが、冒頭部はこうあります。
この技術は、独自に開発した高感度赤外線撮像技術と高速画像処理技術を用いることによって、暗闇でも被写体のカラー動画像をリアルタイムで撮像することができる技術である。この技術を応用することによって、視認性の高いセキュリティーカメラを提供することが可能となり、より安全な社会の実現に貢献するものと期待される。
防犯上などの目的で作られたということが書かれてありますが、その開発の目的や用途は私にはどうでもよく、では、なぜこのニュースにそんなに興奮したかというと、もう 2008年くらいから連綿と個人的に続いている「2つのこと」が交差した場所にある報道だからです。
その2つのこととは、
・日本人科学者による発見(あるいは発明)
そして、
・「見る」という行為の真実
の2つです。
これだけ書くとわかりにくいと思いますので、書いてみたいと思います。
どちらも、人間の進化やあるいは「真実の人間の体内器官の役割」を求めることと関係しています。
人間自身の体内の「見る」行為の進化の可能性は?
今回のことは、特に「見る」ということと関係しています。
これまで、松果体などのことについて書いたことがありましたが、今、私たちは「見る」という行為について、非常に狭い範囲で考えている面はあります。その狭い範囲とは、すなわち「目で(だけ)見る」と考えていることです。
目から光を受けて、それを受容体で受けて脳が認識することで、光と色を「感じる」のが見るという行為とされていますが、これだと、人間は「真っ暗な中では見えない」という宿命と共に生きていくことになります。
しかし、「本当の本来の人間の体の仕組」はそうなのだろうかという疑問です。
あとでリンクいたしますが、光を松果体で見ているメキシコの魚の存在などがある一方で、そして、あらゆる地球上の生き物には「横のつながり的な組織的系統」がある。つまり、「生き物は基本的に似ている」と。
この「生き物は基本的に似ている」ということに関しては、ハエの眼球の動きの働きと哺乳類の眼球の働きを比較した研究データがどこかにあるのですが、ネットではなく自分の持っている本ですので、見つかれば掲載いたします。今は曖昧な記憶だけです。
いずれにしても、そういうことがあり、松果体で光を見ている生命はメキシコの魚だけではないはずです。多くの地上の大型生物は視覚(目で見る)に頼って生きていますが、特に、人間に関しては「いくつかの機能を使っていないだけではないか」という話が、中世の学問やオカルトから延々と続いているようです。
それらの難しい話は関係なく、今、ここに、産業技術総合研究所は「闇夜でクリアに見える技術」を開発しており、少なくとも技術ではできている。ということは、「宇宙の物理の仕組み自体は本来は暗黒でも見える可能性がある」ということなのではないか、などと思った次第です。
▲ 真っ暗の中で撮影した写真。「真っ暗闇でハイチーズ」とかもできそう(そんなための技術じゃないやい)。
この「光のない場所にあるものが普通に見える(撮影できる)」概念や具体的な仕組のようなもので、人体の構造の中に隠された機能がどこかにあれば、人間はいわゆる「光」だけに頼らなくて「見て」生きていくことができる。
もちろん、かなり遠い未来の話にしても、姿形は同じままで「新しい人間」というものは、遠い未来には存在「していてほしい」し、それには松果体や脳下垂体、あるいは今は軽んじられている脾臓や盲腸といったすべての器官までもが完全に機能する人間が存在してほしいと考えています。
というわけで、上の「2つのこと」をひとつずつご説明させていてただきます。
日本人科学者たちが見つけていること
私は 2008年の11月くらいに突然、自分で変化を感じて(基本的には何も変わっていない気もするんですが)、その頃から感銘を受けるニュースの種類というものに変化が生じました。
その上で、この3年の間ほどの間で私がもっとも衝撃を受けた三大ニュースというのが、すべて「日本人による発見と発明」でした。それは次の3つです。それぞれニュースサイトや当事サイトなどのリンク先を貼っていますので、ご存じのないニュースがありましたらぜひお読みください。
2008年-2010年の個人的三大ニュース(順不同)
・生命の起源が宇宙から飛来したことを裏付ける根拠を観測
国立天文台(日英豪米の共同研究グループ) 2010年04月06日発表
・古代銀河ヒミコの発見
大内正己(米国カーネギー研究所) 2009年5月10日発表
・植物や藻類の中で葉緑素が緑色になる反応のしくみを解明
栗栖源嗣(大阪大学・蛋白質研究所と名古屋大学・生命農学研究科などの共同研究) 2010年04月18日発表
並べてみると何だか地味な三大ニュースですが(苦笑)、国立天文台の観測結果は、「地球の生命すべてが宇宙から来た物質で構成されている」ことをほぼ証明し、大内正己さんのヒミコは宇宙のビッグバンの事実上の否定に繋がりかねないもので、大阪大学の葉緑素の研究発表は、「太陽の光を失った時に生命が生きる方法」を裸子植物(マツやソテツなど)が教えてくれていることを示します。
▲ 古代銀河ヒミコ。129億光年のところにあるこの巨大な天体はビッグバン理論では説明がほぼできません。他にも、同じようなビッグバン理論では説明のつかない巨大な古代銀河がたくさん発見されています。ビッグバンという言葉も最近では科学者の間ではあまり使われなくなってきた感があります。そのうち自然消滅すると思われます。
国立天文台の「生命の起源」に関しては、「そうも考えられる」ということではなく、地球の生命が宇宙から来たという「以外」には考えられない観測結果となっていて、地球の生命が宇宙から来たことは断定できると思います。
下の文章は報道記事からの抜粋ですが、「断定できる根拠」はこの部分
アミノ酸は互いに鏡像の関係にあり、L型(左型)とD型(右型)に分類されている。地球上の生命を構成するたんぱく質はアミノ酸から構成されているが、ほとんどが左型になっており、生命の起源と関わりがあるのではないかと考えられてきた。
に由来します。
ここでは「ほとんどが左型になっており」と書かれていますが、実質的には全部です。理由はわからないのですが、地球の人類や他の生命も、ことごとく「左型のアミノ酸」というもので構成されているらしいのです(自然に発生させれば右と左は均等にできる)。そのあたりの観測との一致に関しては、いろいろと難しい記述も続くのですが、衝撃的な報道記事でした。
このことに関しても、今後、私たちの共通の認識として、生命は宇宙からやって来たという認識にスムーズに移項していくと思います。
科学は最終的には人間を裏切らないと私は信じたいですが、その希望を見出すニュースの多くを、私は日本人研究者による「一見地味な」研究に見ることができるのです。
他にもいろいろとあります。
上に書いたメキシコの魚の松果体の働きを発見したのも日本人でした。
・Blind Fish Sees With the Pineal Gland(英語)
ヨシザワ マサト(米国メリーランド大学) 2008年7月
▲ そのメキシコの魚。目は退化して持たない。
下は以前書いた記事からの抜粋です。
(参考記事) ペアである自分(2)より。
これは、彼ら眼を持たない魚が、視覚で光を見ているわけではないけれど、彼らが見ているものは決して夢や想像だけではなく、「光」という現実を見ていることを示します。
▲ 人間の松果体の位置。
松果体というのは二つの大脳の間あたりに位置する器官ですが、医学的な意味では、メラトニンというホルモンを作り出すことに関与していること以外の役割はほとんど不明です。ただ、思想ベースでは古くから語られてきたようで、Wikipedia にこうあります(抜粋)。
デカルトはこの世界には物質と精神という根本的に異なる二つの実体があるとし、その両者が松果体を通じて相互作用するとした。デカルトは松果体の研究に時間を費やし、そこを「魂のありか」と呼んだ。
松果体は眠っている器官であり、目覚めるとテレパシーが使えるようになると信じる人もいる。ニューエイジ運動の初期の指導者であるアリス・ベイリーのような作家は、精神的な世界観において「松果体の目」を重要な要素としている。
このメキシコの魚たちも、目は使っていないとはいえ、実際には松果体で「光」を見ているということになり、「やはり光は重要なんだ、光だ、光だ」と幼き我々は叫ぶわけですが(誰だよ)、しかし、そこに立ちはだかったのが、上の3番目のニュースの大阪大学の栗栖教授たちの研究「植物や藻類の中で葉緑素が緑色になる反応のしくみを解明」なんです。
裸子植物、つまり、マツやスギやソテツたちの仲間。
あれらは光も要らないのです。
ついに、「光を否定した生命」が出てきた。
論文は下のようなものです。
これは論文そのものではなく、プレスリリースから。
ダイズを暗いところで芽生えさせると緑にならないで黄色い"もやし"になってしまいます。これはダイズなどの植物では、緑色のもとになる葉緑素を作るための最終段階ではたらく酵素が光を使ってはたらくためです。これに対して、クロマツやドイツトウヒなどの裸子植物の芽生えは暗いところでも葉緑素を作り緑色になることができます。また、多くの藻類やラン藻、光合成細菌も暗所でも緑になる能力をもっています。
「お前たちは光もなしで光合成をやっちゃうのかよ・・・」と私は驚き、興奮しました。
うちには観葉植物としてのソテツもあるのですが、そのソテツと向かい合って、酒を飲んだりしたものでした(キチガ・・)。
ちなみに、ソテツはソテツ(生きた化石)によりますと、
> ソテツの化石は古生代のペルム紀初期の約2億8000万年前にさかのぼることができます。
と、非常に歴史のある生命のひとつです。
3億年の地球の歴史の中にはかなり苛酷な時代もあったと思われます。
低温、高温、そして超巨大火山の噴火などでの日照不足や、大洪水、大干ばつ、いろいろとあったでしょうが、ソテツは生き残っています。
滅んでいった恐竜や、あらゆる小型生物、大型生物そして、やはり生き残れなかった大多数の植物を横目に生き残り、今では観葉植物店で売っていたり、あるいは、たとえば私の部屋にあったりします。
今もこれを書きながら、「ソテツよ・・・お前のことを書いている」と話かけたりしていますが(キ・・・まあいいや)、人類あたりと比べると大変な歴史を持つ生命のひとつであることは確かです。
▲ ソテツ。うちのはデカいです。
「先人の知恵」というような言葉がありますが、マツやソテツが生き残ることができた方法を体得すれば、他の生命も追随できる可能性はあると考えます。
どうしてこんなに植物のことにこだわっているかというと、「人間が植物を目指すことは理想的なことかもしれない」という考えを知ってからのことです。
「原植物」を目指す人類
昔、ブログに西洋オカルトの中心的思想のひとつである「薔薇十字」の修行をしている方がコメントを書かれていたことがあり、その人が書いていたコメントを転載させていただきたいと思います。
私は中世のオカルトの知識がゼロですので、私自身が理解しているかというと、それはわからないですが、概念として興味深く、今でも好きなもののひとつです。
ここから転載です。
改行だけさせていただいています。
部屋とウイルスと私 コメント欄より。
--
シュタイナーが言う体内における光合成の件、これは明らかにオカルトに聞こえますが、薔薇十字の伝統に生きる者は本気でこれを実践します。狂気の沙汰と言われようと、呼吸による身体内の炭素の把握はぼくらの最重要の関心事です。
これは呼吸の行とよばれます。
ぼくら薔薇十字の徒は人間の本来のバランスを取り戻そうとします。呼吸の行というのは人間である自分と植物との共生の問題です。人間は生きているだけで大気中に二酸化炭素をばら撒きます。そして「どれだけ二酸化炭素を排出しないか」という冗談みたいなことが、ぼくら薔薇十字の修行者にとっては真面目な課題です。
古神道の大国隆正という人の『本学挙要』という本の中に人と稲が逆さに並べて描かれている図があります。これはフトマニの区象といって、人間は逆さまになった植物であり、互いに共生しているという旨を説明するものです。西洋でも東洋でも霊学ではこれは一般的な認識です。
薔薇十字でもおなじです。
植物というのは、体内に緑色の血が流れ、太陽に向かって真っすぐに成長する地上の存在としてはピュアなあり方のお手本みたいなものです。
ゲーテには「原植物」という理想的な植物の概念があります。つまりあれが人間として目指すべき理想であり、最高の元型です。鉱物の中にも例えば水晶のように炭素が純化された存在として理想的な存在たちが居ます。植物や鉱物というのは本来の意味において頭上の天体運動の鏡像みたいなものです。薔薇十字の理想は、赤い血の情熱を保ちつつ植物のように上へと向かうことです。そして太陽に向かうことです。これが重要な点です。
天体のなかで西洋神秘学でロゴス(言語)と呼ばれるものの象徴が「太陽」です。
でも現在の宇宙で頭上に輝く太陽が人間にとっての「言語」の象徴に過ぎないとすれば、物理的に把握されるただの象徴である太陽より、植物のほうが先に創造されるというのは自然ですよね?
その前に「言語」は既に存在している、というより、むしろこの宇宙の原初には「言語」が先にあったのですから。それ自体は植物の誕生よりずっと昔だというわけです。「言語」という表現がいけませんね。ロゴスとは「秩序」のことです。
人間によって認識される物理的な宇宙が誕生したのは、つい最近のことです。
それを観察する科学が人間中心であるのは当然といえば、当然かも知れません。ロジックによって把握する対象として宇宙が存在を開始したのは、ロジックを駆使するようになった人間の大脳の誕生と密接に関わりがあります。人間はそれ以前に存在していた "見えない" ロジックの宇宙を "見える" ロジックとして観察することが出来るようになりました。
これは物理的な脳が誕生したおかげです。人間のロジックは宇宙のそれの模倣に過ぎませんが、でもこの模倣を可能にする大脳という精密な器官を作り上げるために、宇宙はとてつもない長い時間と労力を費やして来ました。だからある意味、科学的な認識手法というのはこの宇宙の最大の成果であると言えます。
それ以前の宇宙は、光があっても太陽がないようなものでした。内的な光で認識されただけです。
しかし実際、太陽が出現し、またこれによって眼という器官が形成され、そして脳が作り出されました。人類がこの能力をどう利用したかは別として、人間における理知的な行為を可能にする完成された脳神経系は、どう見積もっても神の最高傑作であるに違いありません。
そして人間に与えられたこの認識力の限り、ロゴスの象徴である太陽のなかに根源的な神性を知ることこそ、霊的な伝統のいずれの系譜においても追求されてきた共通の課題でした。
気の遠くなるような昔から過去の賢人たちはそのために気の遠くなるような努力によってその道を準備して来ました。宗教とは、そのようなものの大成です。
太陽へと向かう植物のようにしかも自由への衝動を内に担いながら上へと成長しようとする、地上では類をみない神聖な存在として人間存在が語られ、そしてその正しい道が古今東西どの流派に限るとなく実践されて来ました、、、、、と、このようなことを信じる、信じないは別として、いずれにせよこれが宇宙と人間の歴史に対する薔薇十字の伝統の解釈です。
転載ここまで。
まあ、難しいことに関してはともかく、私は「人間はいずれにしても進化するのだろう」とは思っています。
それがどういう方向性かというのはわかりません。
ただ、上で3つあげた日本人による研究と発表というものが、それぞれひとつずつダイレクトに「人類の進化と関係している」ように思えたのでした。
進化といえば、ヤスの備忘録のヤスさんが訳されて配布しているウェブボットの最新刊のクリフ・ハイのエッセイは感動的なものでした。
そこにはこう書かれてあります。
私は「アセンション」ということがあるとすれば、なにものにも影響されない魂の自由を獲得することだと思う。それは、欲望にもイデオロギーにもドグマにも影響されない魂の真の自由のことである。
そして、最後にこうあります。
インドの著名な修行者、J・クリシュナムルティ師は「あなたがどうすれば魂が自由になるのか私に答えを求めるのは間違っている。あなたは私の言っていることをまったく聞いていない」と言っていた。まさにその通りなのだ。
と。
この最後の「どうすれば魂が自由になるのか私に答えを求めるのは間違っている」の意味は、クリフ・ハイがどういう意味で引用したかはわからないですが、私自身はこれを読んで、彼とは違う意味なのかもしれないですが、「ああ、そうなんだよなあ」と思いました。
すなわち、「自分のことを人にきくのは間違っている」、そして、「最終的には自分と自分だけの問題」だと感じました。
今、「ペアである自分」は書いていないですが、このことを言いたい部分もあるのだと思います。
つまり、「自分のことは自分に問いて、そして自分で答える」ということです。
これに関して「偉い人が言うことは聞いてもいいのでは?」ということを感じる方もいらっしゃるかと思いますが、それも違うように思います。どうしてかというと、「偉い」という絶対基準がこの世には存在しないからです。人の価値観が多様化していろいろとありますから、「偉い」と思う基準も人によってバラバラだからです。
なので、キリストでもお釈迦様でも聖徳太子でも、どんな偉そうな人が出てきて「こうしなさい」と言っても、単なる世間話として聞けばいいのだと思います。
「聞く耳を持たない」という日本語がありますが、大事なことに思います。なぜなら、自分と自分なら「思うだけでいい」ので、聞く必要はないからです。
長くなってしまいましたが、光と人間の生命の問題は、何年後か、あるいは何千年後か、何百億年後にはきっと解決しているのだと信じたいです。
タグ:松果体
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科学技術と未来
2010年10月02日
(訳者注) 微生物を使って太陽光をエネルギーに直接変換する方法は基盤が揃ってしまえば、あとは基本的にフリーエネルギーですし、個人的にいつかは始まると思っていたのですけど、「日本で始まるといいなあ」と考えていたりしましたが、今回、日本は関係ないですね。ドイツ、フィンランド、英国、米国、デンマーク、イタリア、チェコの7ヶ国合同ブロジェクトでした。残念。
DirectFuel Project: Sunlight + Engineered Cyanobacteria + CO2 = Hydrocarbon Fuels
Nano Patents and Innovations 2010.10.01
ダイレクト燃料プロジェクト:太陽光+エンジニアード・シアノバクテリア+二酸化炭素=炭化水素燃料
ドイツのアルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルクは、EUの資金による新しい FP7 (第7次研究・技術開発のための枠組み計画)での共同のプロジェクトである「エンジニアリングされたシアノバクテリアによる太陽エネルギーの揮発性の炭化水素燃料への生物学的直接転換」(略称:DirectFuel/直接燃料)計画に参加する。
主任研究員は、生物学部・遺伝子学科の教授ウルフガング・ヘス氏で、プロジェクトは10月1日から始められる。プロジェクトは、フィンランドのトゥルク大学との間で調整して行われ、4年間で最大 3,729,519ユーロ(約 4億 2000万円)の資金が用意される。
プロジェクトは7ヶ国とのパートナーシップを組んでおり、参加国はドイツ、フィンランド、英国、米国、デンマーク、イタリア、チェコ共和国となっている。
直接燃料 ( DirectFuel ) プロジェクトは、太陽光とCO2の直接転換するための光生物学的な方法を用いて、そのエネルギーを、たとえばプロパンのように、すぐに動力やインフラで使うことができる輸送燃料へ進歩させるためにシステム生物学と合成生物学の知識と方法を結合する。
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