【太陽2】 の記事一覧
2014年11月07日
ベルギー・ブリュッセルの10万人の暴動の現場 / 10月6日
・Daily Mail
また地球側に大きな黒点群がやって来る
先月 10月 28日頃まで地球方面に向いていた歴史的な巨大群 2192 については、
・歴史的な巨大黒点群 2192 の示した「行動」は「太陽はまだ地球を守ってくれている」ということなのか、それとも「太陽の異常性の増大を示唆しているだけ」なのか
2014年11月03日
という記事に書きましたように、結果として、6回のXクラスのフレアと 26回のMクラスのフレアを地球方面に向けて発生させました。そして、上の記事に書きましたように、これだけの数のXフレアとMフレアが頻発していたにも関わらず、
「1度もCME(コロナ質量放出)を発生させなかった」
ということにおいて、かなり希な太陽フレアが連続していたことを書きました。
通常でしたら、Mクラス以上のフレアは、その多くがCME、つまり「磁気の雲」を壮絶なスピードと量で宇宙空間に放出するのです。それらが地球を直撃した場合、通信や人工衛星などを含めて様々な影響が出る場合があります。
ところが、通常なら巨大フレアと共に発生するCMEが今回はなかった。
それも 30回も連続でなかったのです。
それだけの回数のMクラス以上のフレアの発生があるにも関わらず「CMEが0回」というのは、太陽観測史上でもとても珍しいことなのではないかと思います。
どうして、そのようなことが起きたかというと、 NOAA (アメリカ海洋大気庁)の言葉を借りれば、
「その理由は誰にもわからない」( No one knows why )
というほかないようです。
しかし、それらの黒点群も「地球に面していない時」には、黒点群は活発にフレアと同時にCMEを放っていることが、たとえば、今、地球に面してきている黒点群 2205 の活動でもわかります。
黒点群 2205 は、昨日、黒点番号がつけられたもので、それまでは、下のような表現で紹介されていました。
▲ 2014年11月3日の Spaceweather より。
地球方面から見て太陽の裏側で盛んにフレアを起こしている「何か」がやってくるという記事でしたが、 11月 6日になって、それが比較的大きな黒点群であることが確認されました。
下の赤い丸で囲んだものが、その黒点群 2205 です。
・Spaceweather
そして、この黒点群は、地球の方向に面して回り込んで来るのとほぼ同時のタイミングで、(まるで祝砲のように)下のようにMクラスの太陽フレアと巨大CMEを発生させたのでした。
・SOHO
上の中のモヤッとした雲のようなものがCMEです。
しかし、これもまた「地球にはダイレクトに向いていない場所」でのCMEでしたので、このCMEの影響を地球が受けることはないはずです。
ただ、地球は大丈夫ですが、上の図でもおわかりかと思いますが、スペースウェザーによりますと、「金星はCMEに覆われた模様」とのことで、現在の金星は磁気嵐で大変なことになっているかと思われます。
そして、やはり、スペースウェザーによりますと、この黒点群 2205 は「ガンマ・ベータ・デルタ構造( beta-gamma-delta )の磁場」というものを持つ黒点だそうです。
先日まで地球を向いていた巨大黒点群 2192 も同じくガンマ・ベータ・デルタ構造を持つ黒点群でした。ガンマ・ベータ・デルタの意味は私は理解していないですが、この構造の磁場を持つ黒点は大きなフレアを発生させやすいとされています。
実際、先日までの黒点群 2192 も 30回を越えるMクラス以上の太陽フレアを発生させていたわけで、今、地球の方面に回り込んできた黒点群 2205 も、さらに成長した場合、2192 と同じように、比較的大きなフレアを発生させる可能性がありそうです。
今回の黒点群 2205 は小さく見えますが、先日の巨大黒点群 2192 も、地球に面して回ってきた 10月 20日頃は「地球程度の大きさ」だったのです。
▲ 2014年10月20日の記事「超巨大黒点群が地球に向いてくる」より。
それがたった2日後の 10月 22日には「木星を超えるような大きさ」にまで成長したのですから、「黒点群があっという間に巨大化する」という光景をも私たちは目撃したことになります。
そんなわけで、前回の黒点群は数多くの巨大フレアを地球方面に放出しながら、CMEは1度も伴わないという「離れ業」をなしとげたことにより、地球は磁気の影響をほとんど受けなかったのですが、
「今回の黒点はどうなのかなあ」
ということに興味があります。
くどいようですが、前回の黒点群のように「まったくCMEを伴わない巨大フレアが数十回も続く」というのは奇妙なことなのです。その奇妙なことが今回も続くのか、あるいは違うのか。
巨大フレアのCMEの直撃をまともに受けた場合、規模によっては何らかの影響はあるものです。
その影響は、磁気による電波や通信などの障害といった直接的なもの以外にも多岐にわたっていますが、たとえば、「人間の興奮」も太陽活動に連動しています。
世界的な「荒れた状況」は回避できるのか
人間の興奮も太陽活動に連動している、などと書くと、はじめて読まれる方は何のことだかおわかりにならないかもしれないですが、このことは、過去記事の、
・太陽と暴動。そして、太陽と戦争
2014年03月04日
など、 In Deep ではわりと以前より多く取り上げるテーマのひとつで、ロシアのアレクサンドル・チジェフスキー博士(1897 - 1964)の言葉をお借りしますと、
「大衆の興奮も太陽の周期に従っている」
という研究結果が多くあるのです。
嶋中雄二さんの著作『太陽活動と景気』から抜粋します。
『太陽活動と景気』 第6章より
チジェフスキーによれば、太陽の影響力は、個体から集団、群生に至る生物系のすべての組織レベルに及んでいるとされた。
そして彼は、動物の血液、リンパ液、原形質等のコロイド電気変化が、太陽活動の変化やバクテリアの成長と平行関係にあることを突きとめた。
こうして、チジェフスキーは、地球上のあらゆる生物の発達は、太陽宇宙因子の直接的影響下に進んだものであり、人類もその例外ではないと考えた。彼は、戦争や革命など人間の不穏状態に関する徴候、あるいは「大衆の興奮も太陽の周期に従っている」とした。
下のグラフは、1740年から 1920年までの「太陽活動」と「社会の暴動や騒乱や紛争」の相関関係を表したチジェフスキー博士の研究論文にあるグラフの一部です。
・Cycles Research Institute
このグラフは、
黒点が増えると社会暴動や軍事紛争が増える。
という非常に単純な事実を示唆しています。
そして、まあ、何と今のリアルタイムの時代は、暴動、紛争のタネが尽きないものかとも思います。
・イスラム国の勢力や支持団体の拡大
・中間選挙後のアメリカの政治バランスの崩壊
・東アジアの不穏
・荒れ始めている欧州
・わりと泥沼化している香港のデモ
など、他にも、いろいろとあるでしょうけれど、ヨーロッパの「爆発」が冒頭のようにデンマークから始まったのは意外でした。下の写真もブリュッセルの様子です。
・Daily Mail
日本では NHK が報道していました。
ベルギー新政権に反発 10万人がデモ
NHK 2014.11.07
ベルギーで、先月発足した新政権が示している財政緊縮策に反対する10万人規模のデモが行われ、一部が暴徒化して警官隊と衝突するなど混乱が拡大しました。
ベルギーでは先月、ミシェル首相による新しい連立政権が発足し、年金の受給年齢の引き上げや公共サービスに関する予算の削減をはじめとした財政緊縮策を打ち出しています。
これに対して、労働組合が、労働者の生活を圧迫するなどとして反発し、6日、首都ブリュッセルの中心部で10万人規模のデモが行われました。
デモの大部分は平穏に行われていましたが、参加者の一部が警官隊に対して発煙筒を投げたり車に火を放ったりして暴徒化し、警官隊が放水車や催涙ガスで応酬するなど混乱が拡大しました。
ベルギーのようにヨーロッパ各国では、信用不安以降の景気回復が遅れるなかで、緊縮策を続けることなどへの国民の反発が強まっています。
とのことで、
> ヨーロッパ各国で、国民の反発が強まっています。
と言われていたり、何となく沈静化していたのかと思っていた香港の民主化デモは、1ヶ月を過ぎた今でも、特に夜間を中心に、いまだにわりと激しく続いていたり。
▲ 2014年11月6日の Epoch Times より。
イスラム国も、世界各国のイスラム過激派がイスラム国支持を表明する中、11月5日の THP に、
・オバマ大統領のシリア戦略が破綻 イスラム国とアルカイダ系組織が手を組み北西部を侵攻、事態は複雑化
THP 2014.11.05
というタイトルの記事があったり、「爆発の予感」をひめた出来事が多い気がします。
もう……すでに「爆発」しているのかもしれないですが、それでも一応、「世界は一触即発」という感じのする今、太陽活動がとても気になります。
そういえば、フランスでは、原子力発電所の上空に「所属不明の謎の小型無人機」の飛来が相次いでいるという何となく不安げなニュースもありました。
フランスの原発上空に謎の無人機、相次いで飛来
ウォールストリート・ジャーナル 2014.11.04
フランスの原子力発電所の上空で謎の小型無人機による違法飛行が相次いでいる。それを受け、同国の安全保障当局が調査を進めている。
ある政府関係者はAP通信に、当局は10月1日以降、6カ所の原発上空で無人機の飛行を約15回確認したと述べた。(略)フランスの総発電量に占める原子力発電の比率は3分の2強と、世界で最も高い。
あくまで感覚的なことですが、何かこう、「どこかの一点に向かって」何かが進行している……という雰囲気を感じたりします。
今年、黒点が多かった期間は、おおむね2月から6月中旬までに集中していました。
その時期には、
・タイの政治的動乱の始まり
・ウクライナ騒乱の始まり
・中国のテロの連続の始まり
・マレーシア機の消失
・台湾で学生による国会の占拠
・韓国のフェリー転覆事故
・ボコ・ハラムによるナイジェリア生徒拉致事件
・ベトナムと中国の南沙諸島を巡る衝突
・タイで軍事クーデター
・イスラム国の台頭
などがありました。
それらの多くは今にいたるまで影響が残るか、あるいは、事態そのものが進行中だったりします。
2014年は前半に多くの「暴力のたね」が蒔き続けられたということになり、それらの発芽はもう始まっているのかもしれないですけど、総決算的な「爆発的成長」がいつやって来るともわからない。
紛争の話ではないですけれど、日本の先行きもいろいろと。
日銀が追加の金融緩和を発表した 10月 31日、米国のサイト「ゼロヘッジ」には下のタイトルの記事が掲載されました。
・Zero Hedge
モルヒネはガンなどの末期患者や、戦場なら助かる見込みのあまりない負傷兵に対して、死亡するまでの苦痛を軽減するものです。依存性が強いために通常の治療薬として使うものではなく、「すぐ先の死が決まっている人のために使われる」ものです。
記事の筆者は、日本をこの「末期の患者」に例えて表現しています。
経済には詳しくないので、何がどうなのかの判断材料を持ちませんが、さほど先が長くないと思われる自分のことはともかく、日本の子どもたちや若い人たちは、これからどんな「近い未来」を経験していくことになるのかな、とは思います。
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太陽2
2014年06月20日
チジェフスキーは、地球上のあらゆる生物の発達は、太陽宇宙因子の直接的影響下に進んだものであり、人類もその例外ではないと考えた。彼は、戦争や革命など人間の不穏状態に関する徴候、あるいは「大衆の興奮も太陽の周期に従っている」とした。(嶋中雄二『太陽活動と景気』より)
最近で最も太陽フレアの活動が活発だった6月15日の2つの太陽黒点群
▲ Spaceweather より。
先日、
・太陽はサイクル24最後の巨大活動に入るのか
2014年06月14日
という記事を書かせていただいたのですが、上の写真はその翌日、 フランスのアマチュア天文家が地球から撮影した太陽表面の様子です。黒点のサイズの比較のために地球の大きさを表示しています。
上にはふたつの太陽黒点群が収められていますが、下の赤い丸で囲んだそれぞれの黒点群2087と2092とに対応しています。
それにしても、地球からアマチュア天文家の人たちが撮影する太陽の写真というのは、 NASA の太陽観測衛星などが撮影する太陽の映像などよりも、なぜか迫力を感じます。
混沌としたエネルギーの渦というのか動きというのか、そういうものが妙にリアルに感じられます。
ところで、冒頭にリンクしました先日の太陽の記事に書きましたように、6月18日頃まで、太陽活動が非常に活発で、6月 10日から 6月 11日には、「 24時間内に3回連続でXフレアを放出した」ということもありました。
▲ 上の記事より。オリジナルの写真は NASA ニュースより。
最近はかなり激しい太陽活動が続いていたことは、「感覚的」にはわかるのですが、「実際のところは本当に太陽活動は強かったのかどうか」ということを調べてみるために、ここ2年間ほどの毎日の黒点数から見てみました。
今年2月頃から強い活動が続いていたことが NOAA のデータで明らかに
下の表は、2012年 12月 29日から 2014年 6月 17日までの、「毎日の黒点数」です。つまり、約2年6ヶ月分ほどの毎日の黒点の推移です。これは NICT (独立行政法人 情報通信研究機構)のウェブサイトにあるものですが、数値はアメリカ海洋大気庁( NOAA )の集計によるものです。
特に、黒点の多い日を拡大しました。
▲ NICT NOAA Sunspot Number より。
色分けに関しては、
・ 40 個以下は青
・ 40 - 80 個は緑
・ 80 - 120 個は黄色
・ 120 個以上は赤
となっています。
つまり、「赤」の時が最も黒点の多い状態の日であることを示しています。
この色分けだけで見ると、わりと一目瞭然で、2013年の 10月頃から少しずつ「赤」の時、すなわち、「太陽活動が強く」なってきたことがわかり、特に、今年2月以降は、多くの日で「真っ赤な状態が続いていた」ということもわかります。
やはり、今年の2月から最近までは、実際に太陽活動は強かったようです。
前回の記事の時には黒点数が「 276個」にまで急激に増えたことを記事にしていますが、上の表にある通り、これは、2014年 4月 18日の「 296個」、2013年 11月 17日の「 282個」に続いて3番目くらいにあたるものでした。
・・・と図を作成した後になって、2月の終わりに「 279個」という日があったのを発見してしまい、4番目ということになることに今気づきました(苦笑)。いずれにしても、6月の中旬頃まで、ここ2年半の中でも特に黒点の多い時期だったということでご容赦願いたいと思います。
社会は黒点数に連動したか?
そして、前記事では、
「黒点数の増加というのは、人間の興奮度や暴力行為の増加と比例する」
という、ロシアのアレクサンドル・チジェフスキー博士らが見出したデータのことにもふれたりしていました。
▲ ロシアのアレクサンドル・チジェフスキー博士の 1922年の論文にある「太陽黒点数と戦争や社会暴動の変化」のグラフより。
この「人間と太陽活動の関係」については、過去記事、
・太陽と暴動。そして、太陽と戦争
2014年03月04日
に、日本やロシアを含めて、過去に世界中の科学者たちによっておこなわれた「太陽活動と人間生理の相関関係についての研究」について書いていますので、ご参考いただれば幸いです。
さて・・・過去に「太陽活動と人間の身体や精神活動、あるいは社会活動に関係がある」という多くの研究結果があるということは、気になるのは、
今回の、特別に太陽黒点が多い期間が続いた時に社会ではどんなことがあったのか
ということです。
そのことにはどうしても興味が湧きます。
なぜなら、特別に黒点が多かったこの 2014年の2月からの時期が、もし「単なる穏やかで何もなかった日々」だったのなら、チジェフスキー博士たちや、日本の偉大な血液学者の高田蒔教授たちの研究は単なる偶然で、現実の社会には太陽は何の影響も与えないということになってしまうからです。
それで、「黒点が特に多い期間に起きた出来事」がどのようなものだったのかを、まあ、 2014年 - Wikipedia から調べたものに、いくつかの印象的な報道を付け足した程度のものですけれど、調べてみました。
まずは、今年、最もまとまった期間に長く太陽黒点が多い状態が続いたのは、
・ 2月1日 から 4月6日までの間
でした。
この期間は、下のようにほぼ真っ赤の状態、つまり、連日、大変黒点が多かったという時期に当たります。
2月1日から 4月6日前後までの間に起きた社会的事件
2月2日 - タイ下院総選挙で、最大野党民主党が選挙をボイコット。
2月21日 - ウクライナで続いていた反政府デモにより77人の死者が出ていた問題について、ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ・ウクライナ大統領と野党3党の代表者が合意文書に署名し、同大統領の政敵だったユーリヤ・ティモシェンコ元首相の釈放を可能にする法改正案を可決。翌日、デモ隊が大統領府を封鎖、議会は同大統領を解任。多数の市民を殺害した容疑で、ヤヌコーヴィチ元大統領と側近を指名手配(2014年ウクライナ騒乱)。
3月1日 - 中国の雲南省昆明市の昆明駅前で無差別殺傷事件発生。少なくとも29人が死亡、140人以上が負傷。
3月8日 - マレーシア航空の旅客機370便(乗客乗員239人)がタイ湾のトーチュー島付近で消息を絶つ。
3月18日 - ロシアのプーチン大統領がクリミア自治共和国の編入を表明。(2014年クリミア危機)
3月18日 - 中国と台湾の間に結ばれたサービス貿易協定に反対する学生が台湾国会である立法院を占拠。
3月26日 - 北朝鮮、中距離弾道ミサイル「ノドン」2発を日本海に向け発射。
というようなことがありました。
簡単に書けば、
・タイの政治的動乱の始まり
・ウクライナ騒乱の始まり
・中国のテロの連続の始まり
・マレーシア機の消失
・台湾で学生による国会の選挙
というようことが起きていたのがこの時期でした。
まあ、そこそこ大きいといえば大きな出来事ですが、さらに進めます。
4月7日から、いったん太陽黒点の数は減ります。そして、その後、4月 15日から黒点数は急激に増え始め、 4月 22日までの間、太陽黒点は非常に多い状態が続きました。
4月15日から 4月22日前後までの間に起きた社会的事件
4月16日 - 韓国の珍島沖で、仁川港から済州島へ向け航行していた旅客船「セウォル号」が沈没、死傷者を出す海難事故が発生。(2014年韓国フェリー転覆事故)
4月14日 - ナイジェリア生徒拉致事件。2014年4月の14日から15日にかけて、ボルノ州の中学校からイスラム武装勢力「ボコ・ハラム」によって、女子生徒が大量に拉致された。
韓国のフェリー沈没と、ナイジェリアの女子生徒の数百人の拉致事件などが起きています。
どちらもそれぞれの国で、「過去最大級の事故や誘拐事件」でした。
そして、その後は 4月 23日から黒点の少ない状態が比較的長い期間続きます。
次に黒点が「急増」したのは、5月 8日から 5月 21日の間でした。
5月8日から 5月21日前後までの間に起きた社会的事件
5月14日 - ベトナムで、南沙諸島での石油採掘を巡り同国と衝突している中華人民共和国に反対するデモにより死者発生。
5月20日 - タイ王国陸軍、同国全土に戒厳令発令。
5月22日 - タイ軍がクーデターを宣言。憲法を停止。
ベトナムと中国の問題が発生し、タイがクーデターにより軍事政権となった時がこの時でした。
その後、半月近く、太陽黒点の少ない状態が続き、次に突然急上昇を始めたのは、6月 6日から 6月 14日頃にかけてでした。前回の太陽の記事を書いた頃です。
狂気の軍事集団ISISの登場
ところで、この時期に起きたことで、最も印象深く、そして現在も世界はそれで揺れているといえることが下の一連の事件です。
▲ インターナショナル・ビジネス・タイムズ「イラクで治安悪化、過激派組織ISISとは? アルカイダより勢力を強化」より。
この ISIS (日本語では「イラク・シリア・イスラム国」と表記されていますすが、英語の表記は、Islamic State in Iraq and the Levant で、ISIL という表記が近いと思われます。日本語の直訳では、「イラク・レバント・イスラム国」)が、対立する兵士「1700人を処刑した」と発表したのが 6月14日でした。
イラク、ISISとの戦闘激化 ネットには「処刑」写真
朝日新聞デジタル 2014.06.17
イラク北部で勢力を広げるアルカイダ系武装組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」は14日、政府軍兵士を処刑したとする数十枚の写真をネット上に公開。
ISISは同じ宗派であるイスラム教スンニ派の兵士は解放する一方、対立するシーア派を「1700人処刑した」と主張している。
この ISIS というものについては、上のインターナショナル・ビジネス・タイムズの記事に比較的わかりやすく書かれています。
朝日新聞には「アルカイダ系」とありますが、アルカイダと ISIS は今年2月に分裂していて、そして、 ISIS はアルカイダなどとは比較にもならない「残虐性」と「異常性」を持っているとしか思えない行動の数々を実行、そして発表しています。
最近では、イラクで虐殺を繰り返していて、数日前には、道路で車から「無差別に一般の人々の車や人を銃を撃ちまくる」といった「狂気の動画」もアップされていたりします。音楽を流しながら、一般市民を次々と撃ち殺していくという、あまりにもひどい状況の動画で、私でも気分が悪くなったほどですのでリンクはしないですが、次第にこのような動画も「宣伝的」に、さらに今後アップされていくような気がします。
いずれにしても、 ISIS は希にみる「狂気的な軍事集団」に間違いないです。
そして資金力もあるという・・・なんというか、こう・・・「アルマゲドンを引き連れてくる雰囲気を漂わせている軍団」と思わざるを得ない面さえあります。
全然関係ないですが、先日、
「午年午月午日午刻に伊勢神宮外宮で月次祭−神宮の杜の上空で太陽に輪」
伊勢志摩経済新聞 2014.06.16
2014年6月16日正午12時は、皇紀2674(平成26)年旧暦の5月19日12時で、午(うま)年午月午日午刻。ちょうどその時間に「月次祭」が行われていた伊勢神宮外宮上空で、太陽の周りに虹の輪ができたように見える自然現象「暈(かさ、ハロ)」が観測された。
というニュースがありました。
「午(うま)が4つ」といえば・・・過去記事「光の十字架に関する2つの話」など、いくつかの記事に出てくる「ヨハネの黙示録」に出てくる4人の騎士が「4頭の馬」に乗ってやってくることなどを思い出します。
・1人目 白い馬(支配を得る)
・2人目 赤い馬(地上の人間に戦争を起こさせる役目)
・3人目 黒い馬(地上に飢饉をもたらす役目)
・4人目 青白い馬(疫病や野獣をもちいて、地上の人間を死に至らしめる役目)
4人目の騎士は、「ハーデス」という名のギリシア神話の死者の国の神様を連れてくるのだそう。この神様は、ゼウス、ポセイドンに次ぐ実力を持つ「もうひとりの実力者」ということで、まさにアナザーゴッド・ハーデス・・・。
ちよっと話が混乱しましたが、いずれにしても、ISISの登場はとにかく、アルマゲドン的であるというようなイメージはあります。
他には、以下のようなことがありました。
6月6日から 6月14日前後までの間に起きた社会的事件
6月8日 - パキスタン・カラチのジンナー国際空港をタリバンが襲撃、タリバン戦闘員10人を含む29人が死亡。
6月15日 - ケニアで、W杯観戦会場などが襲撃。50人死亡(読売新聞)。
というようなことが起きています。
これらが太陽黒点と連動しているかどうかをデータだけで見たところでどうなるものでもないですが、この数年でもあまり見られなかったような「暴力」、「紛争」、「革命」、「暴動」、「大量死」が、世界の各地で起きていることは確かのようです。
いつまで太陽活動が高い状態が続くのかはわかりませんが、結果としてみれば、この数ヶ月は、高い黒点活動の中で、「暴力的な世界」が出現してしまっていたという事実があったようです。
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太陽2
2014年03月07日
▲ 2014年3月6日の Spaceweather より。
日本の冬も終わらない
先日の、
・ NASA は1970年代に「21世紀の初頭に地球は氷河期に入る」と科学的決定を下した。その根拠は「二酸化炭素とエアロゾルは共に地球の気温を激しく低下させる」という発見から
2014年03月05日
という記事の冒頭あたりで、私は、
昨日などは久しぶりに薄着で外を歩きましたが、風はやや冷たいものの、太陽の光は「ああ、春だなあ」と思えるものでした。
などと書いていて、昨日( 3月6日) も、また薄着で外出したのですね。
そして外に出た瞬間、
「これのどこが春じゃねん!」
という、もう、どこの方言にも当たりそうもない言葉を発していました。
寒いのです。
天気予報を見ますと、現在の日本は、過去 20年で最も寒い3月上旬ということになっているようです。
▲ 2014年3月6日の ANN ニュースチャンネルより。
上のグラフでは、「昨年は過去 20年で最も暖かい3月上旬だった」ということもわかります。
3月に入っても寒いのはアメリカも同じで、西海岸など一部を除けば、南部を含めて、観測史上で最も寒い3月となっているようです。
▲ 2014年3月6日の AccuWeather より。
地球の記録の記事には、3月3日、ワシントン D.C. で 141年ぶりに低温記録が更新されたという報道など、アメリカの寒波をご紹介しています。
▲ 2014年3月4日の米国 WTOP BWI breaks 141-year-old record low temperature より。
最近は、ロシアとアメリカの確執とか対立(の・ようなもの)が報道されることが多いですけれど、「気温戦争」では、寒さではアメリカの勝ちのようです。いや、暖かいほうが勝ちなのですかね。そうなると、ロシアの勝ちとなります。
3月5日のモスクワ周辺の気温
▲ 2014年3月4日の ロシア HTB より。本当にどうでもいいことですが、モスクワのロシア語表記は「木馬(Mockba)」と覚えると覚えやすいです。
上の天気予報によると、この日のモスクワは日中、最高気温 7℃まで上がる予想だとのことで、最低気温ですがマイナス 15℃のワシントン周辺と比べると、随分と差があるようです。
暖かいロシア・・・。
ソチも随分と暖かかったようですしね。
寒かった場所が暖かくなり、暖かかった場所が寒くなる・・・というほど極端ではないにしても、気候分布の「移動」が起きているのかもしれないことは感じます。
アメリカとイギリスとカナダの「ナイアガラの滝」戦争
これも本題ではないのですが、前回の記事でふれた、「ナイアガラの滝が再び凍った」ことなのですけれど、在米の方から「ナイアガラの滝は凍っていないと報道されている」とお知らせいただきまして、報道を見てみると、結構な騒動になっているようです。
たとえば、 Google のニュース検索で「ナイアガラ 凍結」を英語で検索しますと、下のような報道が数多く出てきます。
▲ Google ニュース検索より。
これは、どういうことだったかと調べてみましたら、最初に報道したのは、カナダの CTV というメディアだったのですが、その報道を英国のデイリーメールが取り上げました。世界中に多くの読者を持つデイリーメールに掲載されたことで、一気に世界中に広まったということらしいです。
そして、「ナイアガラが凍った」ということを耳にしたアメリカの人々がそれを見にナイアガラの滝にたくさん訪れたということになったようです。
そして・・・・・・。
▲ 2014年3月5日の WGRZ より。当たり前ですが、吹き出しはこちらで入れています。
現実は「完全に」凍ったのではなく、「ほぼ」だったようです。
それにしても、「あんたらは凍ったほうが嬉しいのかい」と思わずにはいられない楽天的なアメリカ人観光客たちですが、この楽天ぶりに、同時に「氷河期に生きていく者同士」としての勇気をもらいました。
いずれにしましても、日本もアメリカも寒いです。
さて、ここで変な間を開けますと、「寒いのはオレの財布も同じだよ」というオヤジギャグをつぶやく人々が出てくる危険性もありますので、間髪入れずに本題に入ります。
突然発見された小惑星が地球周辺を3個通過した日
▲ 2014年3月6日のロシアの声より。
「なんとなく」という話ではあるのですが、天体方面の、つまり隕石とか小惑星とかのほうが、2月あたりからまた騒がしいのです。
冒頭に載せましたロシアの声にありますが、
3月6日未明、昨年のチェリャビンスク隕石にほぼ等しい大きさの、30m級の小惑星が、立て続けに2つ、地球近傍を通過した。
ということで、内容的にはやや異なる部分もありますが、 3つの小惑星が突然発見されて、地球と月の間を通過していきました。トップに貼りました中の赤で囲んだものです。拡大しますと、この3つ。
表の見方は下のようになります。
距離や大きさの数値にはすべて「約」がつきます。
小惑星の名前/地球最接近の日時/地球からの距離/大きさ
小惑星2014DX11 / 3月5日 / 35万キロ / 31メートル
小惑星2014EF / 3月6日 / 15万キロ / 7メートル
小惑星2014EC / 3月6日 / 7万7千キロ / 10メートル
小惑星2014DX11 / 3月5日 / 35万キロ / 31メートル
小惑星2014EF / 3月6日 / 15万キロ / 7メートル
小惑星2014EC / 3月6日 / 7万7千キロ / 10メートル
となります。
地球から月への距離は、約 38万キロメートルです。
どれも比較的小さなもので、仮にコースを外れて地球に飛び込んで来たとしても、元旦の時と同じく、空中で爆発消滅したと思います。・・・ただ、一番上の 31メートルのものだと・・・まあ、ちょっとアレかもしれないですが。
これは過去記事、
・「元旦に発見された小惑星はその翌日に地球を直撃した」 : そんな始まりを告げた 2014年
2014年01月04日
の中で、「地球に衝突した小惑星」の表を載せていますが、小惑星と地球の距離が下のように「0.001 LD」(上空 39キロメートル)などの単位だと、ほぼ衝突コースということになります。
この時には、この 2014AA という小惑星は、下の位置で空中爆発しました。
▲ 上記の記事より。
地球に近づく小惑星の多くは「通過の直前」まで発見されない
いずれしにても、この「元旦に発見された小惑星」は小さなものでしたので、被害はありませんでしたが、今年 2014年の地球というものをいろいろと想像させるものではありました。
今回の3つの小惑星で改めて思うのは小惑星の名前で、すべて「2014」とついていることにお気づきになられるかと思います。この数字は「発見された年」で、これらの小惑星は、すべて通過直前に発見されたものです。
さらに、中央の 2014EF という小惑星は、多分、「通過後に発見された」ものだと思われます。なぜなら、前日までの地球近傍天体の表には掲載されていなかったからです。
ですので、
・今年の元旦に発見されたようなコースを取る小惑星で
・巨大なものが
・地球大気圏に衝突前に発見できない
という可能性は常にあるということは事実のようには思います。
ですので、上のロシアの声のような「地球は小惑星の危機のただ中にいる」というようなタイトルも、やや書き方は大げさでも、可能性は常に存在していることは否定のしようがないです。
そして、これはあくまで私個人の考えでしかないのですが、一昨年の、
・良い時代と悪い時代(1): 500年ほど続いた「穏やかだけれど傲慢な時代」は終わろうとしているのかも
2012年10月06日
から一貫して書いています「天体のリスクの時代」、つまり「悪い時代」は、すでに昨年あたりから始まっていると考えています。
この世のリスクには、戦争もあれば、火山の噴火、天候の激変、氷河期突入、天体の爆撃、または、パンデミックなどもあります。そして、それらに準ずる社会不安や食糧危機などがあるでしょうが、それらがどのような順番で来るかはともかく、歴史上ではどれも起きてきたことで、今年は(あるいは今年から)、それは顕著になっていくようには思っています。
すでに気候なんかは顕著ですし。
寒さも暑さもどちらも世界的なレベルで通常と違う状態が進めば、あるいは、天候の異変が続けば、食糧生産などにも影響も出てくるとも思います。
ちなみに、それとは関係ないことですが、先日の関東の大雪では、東京も含めて、流通が完全に復活するまでには1週間以上かかりました。卵や納豆など一部の商品がなかなか入らないというようなことが続いた場所が多かったです。ジャストインタイム・システムという無駄を作らないための現在の商品の商品管理システムは、結構脆いです。
隕石の目撃例も異常に多い2014年
何だか話が少し逸れてしまいましたが、そして、今年、隕石と火球の目撃例がとても多いのです。
これは、1月に書きました、
・アメリカの広大な範囲で目撃された爆発光。そして、地球近傍小惑星の発見数の驚異的な増加
2014年01月31日
という記事では、アメリカの巨大な隕石か小惑星と思われる火球の目撃について書きましたが、その後も各地で非常に多くの報道と目撃例が続いています。
今回そのことを続けて書くにはここまで長くなりましたので、明日以降にでも書きたいと思います。
太陽の異常もひしひしと
あと、タイトルに「太陽がおかしい」という文字を入れていますが、これは科学的などうのこうのというようなことではなく、見た目と、そして感覚的なことなんですよね。
科学というか数値の面でも奇妙に思うところもあります。
奇妙というより「異常」な気がしています。
私自身は、先日の、
・太陽と暴動。そして、太陽と戦争
2014年03月04日
という記事に書きましたように、社会の行方は、太陽の活動の影響を大きく受けるものだと思っています。そして、太陽活動最大期の今年は大きな影響を受けるものだと考えています。
それは天候や戦争やパンデミックなど全体のことだけではなく、たとえば、人間ひとりひとりの精神・メンタルに影響すれば、犯罪を含む「人間行動の異常」が世界的に広がってしまうかもしれないというような感覚も含まれます。
その「主」である太陽が異常なままなら、その「従」である私たち人間とその社会生活が正常を保てるとも思えないのです・・・。
過去記事で何度か取り上げたことがあり、最近では「地獄の業火に包まれ続けたウクライナと「プロビデンスの目」を結びつけるもの」という記事でもふれた 18世紀の『薔薇十字の秘密のシンボル』には下のようなイラストがあります。
このイラストの正確な解釈はわかりませんが、「太陽の中に神様がいるっぽい」雰囲気のようにも見えます。
あるいは逆に、「神様っぽい存在から太陽のコロナが出ている」(つまり、太陽は神様そのもの)というようにも見てとれます。
そういう存在である太陽が正常に戻るのかどうかということも気になるところです。
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太陽2
2014年01月18日
▲ 2014年1月17日の英国 BBC より。
現実的になりはじめた「太陽活動の休止」。あるいはミニ氷河期への突入
昨日の、
・「真実の太陽の時代」がやってくる(3):宇宙という大きな支配者と、そして人類という大きな支配者
2014年01月17日
では、人間が地磁気から受けている影響や生体磁場などのことについて少し書かせていただきました。
地球の地磁気の変化にはいろいろなことが影響していると思いますけれど、その中で「太陽活動」がとても大きな影響を地球に与えていることは言うまでもないことかとも思います。
そして、その太陽活動の「異常」については数年くらい前からかなりの数の記事でふれ続けていましたけれど、ここ2年ほどは、「異常に弱い太陽活動」のことを記すことが多くありました。代表的なものとして下のような記事があります。
・太陽活動が「過去200年で最も弱い」ことが確定しつつある中で太陽活動は復活するか
2013年10月21日
・国立天文台が「太陽の磁場異変の進行」を確認し、その状態が過去の「小氷河期」と類似していることを発表
2013年02月05日
・「太陽の休止」の現実化: 2013年に最大を迎えると予測されていた太陽活動のピークがすでに終わった可能性を NOAA が示唆
2012年11月06日
それでも、 NASA など宇宙観測機関も、あるいは太陽物理学者なども、「いつかは太陽活動が大きくなる」と思い続けて、はや数年。
どうも、やはり太陽活動は大きくなる気配を見せることはなく、ここにきて、上の英国 BBC の記事のように、「太陽は活動を休止に突入しているのではないか」というような考えに包まれる空気が漂ってきています。
下は、過去記事に載せたグラフにさらに手を加えたもので、ゴチャゴチャといろいろなことを書いてしまっていますが、要するに、「現在の太陽活動はこの 200年間くらいの中でも非常に弱い」ということを示したものです。
▲ 太陽活動周期開始後58ヶ月の黒点総数の偏差。オリジナルはドイツの科学系サイトの News und Termine より。
トップに貼ったBBC の記事は動画でのニュースで、文字報道ではないのですが、そのビデオの概要を記しておきます。
Has the Sun gone to sleep?
BBC 2014.01.17
太陽は眠りについてしまったのだろうか?
科学者たちは太陽が「小康状態の段階」にあると述べる。
これは太陽が眠りに落ちたことを意味する。そして、同時に科学者たちは困惑している。
歴史的に見れば、太陽活動の「通常ではない休止状態は」厳しい冬の出現と一致している。
英国オックスフォードシャーの科学研究所ラザフォード・アップルトン・ラボラトリー( RAL )の宇宙物理学主任リチャード・ハリソン( Richard Harrison )は以下のように語る。
「この黒点数の急速な減少の速度は 17世紀に太陽から黒点が消えた時と似ています。その期間はマウンダー極小期といって、何十年もの間、太陽の黒点数がほぼゼロの時代が続きました。その時に、北半球は極めて厳しい冬を経験したミニ氷河期といわれる劇的な時代になりました」。
「ヨーロッパの北部では、あらゆる川や運河が凍結し、英国のテムズ川さえその例に漏れなかったのです。バルト海も凍結しました。そして、北ヨーロッパ全域に不作と飢饉が広がりました」。
ダーウィンのモロッフ宇宙科学研究所( Moloff Space Science Laboratory )のルーシー・グリーン( Lucy Green )は、
「太陽はマウンダー極小期に向かった時のステップと似ているように感じます」
と言う。
マイク・ロックウッド( Mike Lockwood )教授は、現在の太陽活動の減少の速度は過去1万年で最も急速だという。そして、「今後 40年以内にマウンダー極小期と同じ状況となる可能性は 20パーセント程度の確率だ」と語る。
また、ロックウッド教授は、太陽活動の減少はジェット気流の動きに影響を与えると考えているという。これは長期間に渡って寒い冬が訪れる可能性を示唆している。特に、ヨーロッパ北部は暖かな大気が遮断されるため、数十年にわたって非常に寒く凍結した冬になる可能性がある。
現在、私たちは太陽活動周期のピークにいる。
しかし、その太陽活動は不気味なほど静かなままだ。
というような概要です。
マウンダー極小期というのは、 Wikipedia から抜粋しますと、
マウンダー極小期とはおおよそ1645年から1715年の太陽黒点数が著しく減少した期間の名称で、太陽天文学の研究者で黒点現象の消失について過去の記録を研究したエドワード・マウンダーの名前に因む。
マウンダー極小期中の30年間に、観測された黒点数は、たった約50を数えるだけであった。通常であれば4万〜5万個程度が観測によって数えられるであろう期間である。
というものです。
▲ 赤で囲んだ部分がマウンダー極小期。
マウンダー極小期の「ミニ氷河期」などという響きは、年がら年中異常に寒い雰囲気を感じてしまう方もあるかと思いますが、マウンダー極小期のあいだは、平均気温から見てそんなに寒かったのかというと、下のグラフの通り、「異常なほど低いということではなかった」こともまた事実です。
中央イングランドの 1660年から 2013年までの平均気温の推移
▲ 過去記事より。
上の BBC の記事に出てくるマイク・ロックウッド教授という方は、今後 40年以内にマウンダー極小期と同じような状態になる確率が 20パーセントほどあるというような、かなり曖昧な表現をしていますが、同時に、
> 現在の太陽活動の減少の速度は過去1万年で最も急速
とも言っていて、現在の太陽活動の異常さは、この数年間や数十年間という単位のものとは違う可能性があることを示唆しています。
ちなみに、「1万年」というあたりのスパンは、現代の人類にとって、過去に遡れば、比較的大きめの変化を見せた時でもあります。下のグラフは、 1万 5000年ほど前から現在に至るまでのヨーロッパと北米の平均気温の変化ですが、1万年くらい前に現在の平均気温に近づいたことがわかります。
▲ 過去記事より。
もっと大きなスパンでは、過去 42万年分の気温の推移というものもあります。
▲ 米国エネルギー省「二酸化炭素情報分析センター」 ( CDIAC )の南極氷床データから分析した過去 42万年の間の気温変化。
しかし、すでに地球は荒れていて
ところで、上のほうに示したマウンダー極小期の際の平均気温が、現在と比べて、それほど低くなかったという事実を見ると、「極小期といっても、大したことないじゃん」と思われる方もいらっしゃるかもしれないですが、「平均は平均」であって、「ある数日間の異常」というものはそれほど反映しません。
たとえば、極端な例えですけれど、
「1週間、50度の夏があって」
「1週間、マイナス30度の冬があって」
というような異常気象下でも、平均気温として見てみると意外と普通だったりすることはあるものです。なので、「平均」という統計は、実際にはその年の雰囲気を反映しているというわけでもなさそうです。
実際にはその 50度やマイナス 30度の中での被害や死傷者というものが突出したりするわけですけれど、すべて「平均」という言葉の中に埋もれていくこともあります。
そして今後がどうなるかはわからなくても、現在の個別の状況を見ますと、平均はともかく、「均衡を欠いている」というような気温状況が目立ちます。
アメリカの寒波は何度か触れましたし、日本の一般メディアでも報道されていました。
▲ これは川です。米国ペンシルバニア州のハリスバーグという町の橋から、凍結したサスケハナ川を見ている女性。2014年1月11日の Daily Mail より。
しかし、同じアメリカでも、大雪どころか、少しの雨も降らず、史上最悪の干ばつに見舞われているカリフォルニアでは「干ばつによる非常事態宣言」が発令されています。
▲ 2014年1月18日の米国のロサンゼルス・タイムズより。
カリフォルニア州の知事は、「干ばつの統計の記録が残っている過去 100年間のうちで最もひどい干ばつだ」と述べています。
ノルウェーでは、急速な気温の低下で海水ごと魚が凍ったり、湖でヘラジカが凍ったりしています。
▲ 地球の記録「かつてない寒波に見舞われるノルウェーで魚の大群やヘラジカが海の中で瞬間冷凍状態に」より。
先日の、
・米国との気温の差は 100度 : 気温 50度を越える中で 10万匹の焼けたコウモリが空から落ちてくる異常な熱波の中のオーストラリア
2014年01月10日
でご紹介した異常な熱波に覆われるオーストラリアでは、おぞましいことか、テニスの全豪オープンが強行開催されていたそうで、さすがに 1月 16日あたりに中断したようですが、「ボトルも溶ける暑さ」などの見出しのニュースもありました。
酷暑の全豪オープン、失神や嘔吐する選手も
AFP 2014.01.15
▲ BBC より。
オーストラリア・メルボルンで開催中の全豪オープンテニスでは 14日、記録的な猛暑の中で試合が行われた結果、選手が失神や嘔吐に苦しんだり、ボールボーイが倒れるなどの事態となった。
気温が摂氏 42.2度に達し、ラバーのコートに置いたボトルが溶けるまでになったこの日は、プレーするには過酷な環境となり、中には試合が続行されたことに憤りをあらわにする選手もいた。
というようなことになっていたようです。
いろいろなことが、「今までと同じやり方では難しい」ということになっていきそうな気がします。
北半球の私たちは、とりあえずしばらくは(普通の)冬の寒さと向き合うだけですが、もし、今回書いたような「かつてのマウンダー極小期」と同じような状態、あるいは、それ異常の太陽の異変が起きた場合、厳しい冬は何十年(場合によっては、数千年)続くということにもなるかもしれないですので、まだこの先しばらく生きていく予定のある方にとっては、寒い日常に慣れておくことも必要かもしれません。
これから先もずっと、今と同じように灯油や電気が永遠に安定供給され続けるのかどうかなどもわからないことでもあります。
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太陽2
2013年10月21日
1755年の「サイクル1」からのすべての太陽活動を見て、改めてわかる現在の太陽活動の弱さ
資料の羅列的な記事となりそうなのですが、10月の頭に、
・数百年来の弱い太陽活動の中で突然起きた「太陽の大爆発」の余韻と共に NASA のサイトも NOAA のサイトもシャットダウンした朝
2013年10月02日
という記事で、現在の太陽活動が「この 100年間で最も弱い」ということが報道されていることについて記したことがあります。
▲ トムソンロイター財団より。
しかし、その後、様々な人によりデータのグラフ化などがされて、それがインターネット上にアップされるようになり、正確には「100年」というより、「現在の太陽活動であるサイクル24は、これまでの 190年のあいだで最も弱い太陽活動のようだ」ということがわかりつつあります。
下のグラフは、 NoTricksZone というサイトにあったものに、出来うる限りの解説的な注釈をつけたものです。
もともとが、わかりやすいグラフではないのですが、注釈をつけても、何だかむしろわかりにくさが倍増している感じで、時間をかけたわりには申し訳ない感じもいたしますが、簡単にご説明します。
グラフの下に並んでいる「1から24の数字」は、1755年に太陽黒点の観測が開始されてからナンバリングされている太陽活動周期(サイクル1から24)の番号です。太陽活動周期(太陽活動サイクル)というのは、NICT (情報通信研究機構)の説明をお借りしますと、
太陽活動はほぼ11年の周期で変動しており、その周期的な変動をサイクルとして1755年から数えている。
第24太陽活動サイクルは2008年1月から開始したと考えられている。
というものです。
もちろん、この番号は、人間が太陽の観測を始めた時からのものというだけで、太陽そのものの歴史とは何の関係もありません。
人間の観測以前から太陽は延々とこの太陽活動を繰り返してきたはずで、その中には太陽活動の強い(黒点が多い時)と、弱い時(黒点が少ない時)があり、それは地球の天候や、その他の様々な社会現象に影響してきたことは、過去記事に繰り返し書かせていただいています。
さて、上のグラフに話を戻しますと、「太陽活動開始後 58ヶ月目までの黒点数」を比較したもので、太陽活動が大きくなっていくまでの黒点の累積数の差を示したものです。
見てみますと、 1755年からの約 250年の間で、最も太陽黒点が少なかったのが、第7太陽周期(サイクル7)であることがわかります。グラフでは紫の丸で数字を囲んでいるところです。
サイクル7は西暦 1823年から 1833年までのサイクルなのですが、この時期を調べてみますと、ダルトン極小期というという太陽活動が弱かったときの期間と重なります。
ダルトン極小期を Wikipedia から引用します。
ダルトン極小期
ダルトン極小期は、1790年から1830年まで続いた、太陽活動が低かった期間である。
この期間に気温が平均よりも低かった正確な原因は分かっていない。
最近の論文では、火山活動の上昇が気温の低下傾向の大きな原因の1つとなったと主張されている。
1816年の夏のない年は、ダルトン極小期の間に起こり、この年の気温低下の主原因は、インドネシアのタンボラ山の大爆発であった。
とのこと。
いずれにしても、上のグラフであらわされていることは、現在の太陽活動であるサイクル24は、「ダルトン極小期以来の太陽活動の弱さ」だということになるようです。
約200年ぶりの太陽活動の弱さということになりますが、一方で、上のグラフの中で、太陽活動開始後の58ヶ月目に最も太陽黒点数の累積数が多かったのは、「第19太陽周期(サイクル19)」です。
これは 1954年から 1964年の間の太陽過活動ですので、年齢が 50代以上の方は、この時期にすでにこの世にいたということにもなります。
私は 1963年に生まれていますので、最も太陽活動が強かった第19太陽周期に生まれたということになりそうです。
この「第19太陽周期」がどのような感じだったかというのは、 Wikipedia に性目栂あります。
第19太陽周期
第19太陽周期は、1954年4月から1964年10月まで10.5年続いた。太陽黒点の最大数は201.3個で、最小数は9.6個だった。合計約227日間にわたり黒点が現れなかった。
1958年2月11日には、大規模な赤色のオーロラがヨーロッパに現れ、北緯40度までのアメリカ合衆国の都市からも見ることができた。この磁気嵐は、北米で通信障害を引き越した。1960年11月13日及び1961年10月1日には、ニューヨークでもオーロラが見られた。
というものだったそうです。
「合計約 227日間にわたり黒点が現れなかった」とあり、何だか太陽活動が弱い感じの表記に見えるかも知れないですが、現在のサイクル24では、黒点の出なかった日はさらに少なく、Spaceweatherによりますと、現在までで 486日あります。
まあ、どうにもまとなりがない展開となってしまっていますが、とにかく、現在の太陽活動は歴史的な弱さだということは(今のところは)言えるようです。「今のところは」というのは、 NASA の科学者の中には、これかに太陽活動が大きくなると言っている人もいます。
これについては、過去記事の、
・太陽活動の最大期と予測されていた時期に消えていく太陽黒点
2013年09月10日
に、NASA のディーン・ペスネルという太陽物理学者の「今後、太陽活動のピークが再び来るのではないか」という話を載せています。
なお、現在(10月21日)、太陽に久しぶりに「大きな黒点群」が現れています。
下の赤丸で囲んだ 黒点群 1877です。
これは、アメリカ海洋大気庁( NOAA )の宇宙天気予報官によれば、複雑な磁気構造を持っているために、Mクラス以上の大きな太陽フレアを発生させる可能性があるとのことです。
本当にずいぶんと長い間、地球に向けての大きな太陽フレアはの発生はないのですが、今回はどうですかね。
このまま太陽は 200年間の中で最も弱い活動のままサイクル24の最大期を終えていくのか、あるいは、 NASA のディーン・ペスネル博士の言うように、「これから大きな活動が再びやってくる」のかどうか。
すでに2013年の後半になっていますし、その結論はそろそろ出る頃のように思います。
そして、仮に 200年ぶりの太陽活動の弱さが確定した時には、その頃の地球が経験した寒冷期のような状態となることもないとはいえないですし、何よりも太陽活動の低下は、気温や気象だけではなく、人間の様々な方面に影響を与えることも、ほぼデータにより確定していると言っていいかと思います。
これについては過去に何度かふれていますが、今年の7月に書きました、
・「真実の太陽の時代」がやってくる(1):私たち人類は何もかも太陽活動に牛耳られている
2013年07月11日
を読まれていただくと幸いに思います。
▲ フレッド・ホイル博士とチャンドラ・ウィクラマシンゲ博士が、1990年にネイチャー誌に発表した「太陽黒点数サイクルとインフルエンザの流行」のグラフ。
ここまで太陽のことについて少し書きました。
2匹目のドジョウ・・・ならぬ
そういえば、余談ですが、先日の、
・古代の地球の神の概念は全世界でひとつだった?
2013年10月18日
に、カリフォルニアで発見された体長5メートル以上のリュウグウノツカイの写真を載せました。
この同じアメリカの西海岸で2匹目が上がったようです。
▲ ロサンゼルス・タイムズより。
ロイターが日本語でも報道していますが、写真がなかったですので、ロサンゼルスタイムスの記事をご紹介しました。文章はロイターから抜粋させていただきます。
米西海岸の浅瀬に再び巨大深海魚、今度は体長4m
ロイター 2013.10.21
めったに人目に触れない深海魚リュウグウノツカイの死がいが米カリフォルニア州の浅瀬で相次いで見つかり、専門家らを驚かせている。
今月13日に同州カタリナ島沖で体長約5.5メートルのリュウグウノツカイの死がいが見つかったばかりだが、18日にはサンディエゴ郡オーシャンサイドの砂浜に4.3メートルの死がいが打ち上げられた。
リュウグウノツカイは最大17メートルに成長するが、深海に生息するため人の目に触れるのは珍しく、その生態については未知の部分が多い。研究者らによると、浅瀬で相次いで発見されるのは極めて珍しいという。
カリフォルニア大学サンタバーバラ校の生物学者ミルトン・ラブ氏は「これまで地球上のどこかであったかもしれないが、めったにないことは確かだ」とした上で、2例とも人間の活動が関係しているとの見方は否定。リュウグウノツカイは泳ぎが達者ではないため強い潮流で岸近くに運ばれ、大きな波に打ちつけられて死亡したとの見方を示している。
日本では結構打ち上げられますが、アメリカでは珍しいようです。
これで、さらに次々打ち上げられると、地震というより、パキスタンのように、「アメリカの近くに新大陸が浮かび上がる」というような夢想がふと浮かんだりする秋の夜。
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