- すべての「星」が音を作りだしているかもしれない。そして、太陽も常に歌を歌っている。しかしその周波数は 528ヘルツ? それとも?
- 天の川銀河の中心で何かが起きている?:銀河中心部で観測史上最大の爆発現象が観測される
- 太陽系の宇宙線量が異常に増加している : 仮にオリオンが 2020年代に有人火星ミッションをおこなった場合「 300日」で宇宙飛行士たちの身体は被爆の限界値に達する
- 「地球上の生命の素になる有機分子」がチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星から検出されていた!
- 宇宙探査の意義と意味:地球の周囲も月も火星も金星もその他諸々の太陽系は「地球の宇宙産業廃棄物」だらけ
- 彗星の正体の判明はどうなる?:彗星に着陸した探査機ロゼッタの着陸機フィラエが電力不足により稼働できなくなる可能性
- 人類は本当に「ヴァン・アレン帯を通過して月に行ったことがあるのだろうか?」という疑問を各地で噴出させている NASA の次世代宇宙船オリオンのミッション
- 流星と小惑星の饗宴:10月 7日に「空も大祝日」かのごとく 173 個の火球が地球上空でクロス。あるいは、最近「地球に直径 100m の新しい月ができた」ことについて
- 最近の火星では何かが起きている:火星の環境が激変しているかもしれない証拠になり得るかも知れないさまざまなこと
- 賑やかになってきた天体 : 劇的に増えてきた地球近くを通過していく小惑星や火球群
【宇宙の中の地球】 の記事一覧
2015年03月25日
▲ 2015年3月23日の英国ヨーク大学のニュースリリース Have researchers discovered the sound of the stars? より。
スーパームーンと皆既日食が同日に起きた直後に
今から1週間前に、
・スーパームーンと皆既日食が重なった後に続いて「4連続する皆既月食の3回目」の日がユダヤ教の過越祭と共にじきにやって来る
2015年03月18日
という記事を書きました。
そこでは、昨年 2014年の「ユダヤ教の重要な祭日と皆既月食が重なった」珍しい時期に、どのようなことが起きていたかを振り返りました。
そして、昨年と同じような状況下(皆既月食とユダヤ教の祭事の関係性において)で、「ドイツ旅客機墜落で150人全員死亡」(ロイター 2015.03.25)というような事故が起きてしまいました。
これが単なる偶然だという考えも十分に妥当だと思います。
とはいっても、現実には、上の図のような昨年の流れを思い出してしまうと、いろいろと考えてしまうところはあります。
上の記事の締めでは、
この 3月20日の前後1週間くらいは、いろいろと混沌とする可能性もあるかもしれませんね。
そして、連続する4回の皆既月食の4回目となる 2015年9月28日までは、本当に混沌とした、あるいは「あまり明るくない時代」が続く可能性を否定できません。
などというように書いてしまいましたが、ここに書きました、
> 「あまり明るくない時代」が続く可能性
ということも、やや頭をかすめてしまいます。
なお、昨年 2014年の4月15日(皆既月食と過越というユダヤ教の祭の日が重なった日)から始まった「皆既月食とユダヤ教祭事のシンクロ」が終わるのは、今年の 9月28日です。
この「4回続く皆既月食とユダヤ教の重要祭事とのシンクロ」については、
・赤い月と黒い太陽: 2014年から 2015年まで「4回連続する皆既月食」がすべてユダヤ教の重要宗教祭事の日とシンクロ。そして、過去の同じ現象の時に「イスラエルの建国」があった
2014年04月06日
という、ちょうど1年ほど前の記事をご参考にしていただければと思います。
そんなわけで、やや不穏な雰囲気を引きずったままですが、今回は、最近のひとつのテーマにもなっている「音」に関係することです。
星は歌う。太陽も歌う
少し前の記事の、
・数々のシンクロの中で、この世の存在は「音そのもの」であるかもしれないことに確信を持てそうな春の夜
2015年03月22日
で、『ウォーター・サウンド・イメージ』という本を見る機会があったことにより、音(周波数)の重要性について思うところがあり、そのことを書いて以来、どういうものか、毎日のように、「音」と関係する報道を目にします。
今回の英国ヨーク大学の「星が音を作り出しているかしもしれない」というのは、実際には、観測されたものではなく、他の実験の中でのデータからそういう推測をしているものなんですが、それでも、
星の周囲にプラズマを持つ星なら、そのすべてが「歌っている」可能性がある
というのは、なかなか夢のある科学的成果ではないでしょうか。
何しろ、星は無数にあるわけで、それらの多くが歌っている、すなわち、周波数としての「音」を発生しているのなら、宇宙は「音だらけ」ということになります。
もっとも、宇宙空間が真空である限り、その音や周波数が外へ伝わっていくわけではないですが、ただ・・・。
これは「真空」というものの考え方とも関係あるかもしれません。
紀元前からある言葉として、たとえば、真空 - Wikipedia には、
アリストテレスは「自然は真空を嫌う」(真空嫌悪)と述べ、空間は必ず何らかの物質が充満しているとして、真空の存在を認めなかった。
というものがあり、当時から、「真空ある派 vs 真空ない派」の論争は、 2300年くらい前からあるわけで、この考え方は、ずっと後の千数百年後の 16世紀になっても、たとえば、ジョルダーノ・ブルーノなどに受け継がれていて、ジョルダーノ・ブルーノ - Wikipedia には、
ブルーノはアリストテレス以来、伝統的に信じられてきた「自然は真空を嫌う」ことを信じていたため、宇宙にある無数の太陽系の間はエーテルによって満たされていると考えていた。・ジョルダーノ・ブルーノ( 1548 - 1600年)
altritaliani
とありまして、この「エーテル」というものが理解できれば、あるいは、宇宙間でも音、あるいは周波数の伝播はあり得るのかもしれないと思ったり。
ちなみに、この「エーテル」という言葉は化学や物理学でも使われますが、この場合は神学用語としての「エーテル」です。
エーテル (神学)
エーテルとは、古代ギリシャにおける輝く空気の上層を表す言葉であり、アリストテレスによって四大元素説を拡張して天体を構成する第五元素として提唱された。
中世のキリスト教的宇宙観においても、天界を構成する物質とされた。
ここに出て来る「四大元素」というのは、
・火
・空気(風)
・水
・土
だそうで、ここに「天体を構成する五番目の元素」として、エーテルが唱えられたのだそうです。
17世紀のデカルトなども、
アリストテレスの世界像を根底から打破しようとしたデカルトは、やはり真空の存在を認めておらず、物質の粒子の間をうめるものとして「微細な物質」を想定し、その動きもしくは働きによって光が伝達されるとした。
としていたようです。
デカルトは、エーテルは天上の物質ではなく、世界のあらゆるところに存在する、としていたようで、つまり、これは、
「全宇宙のすべては連綿と物質が連なっている」
という発想でしょうかね。
まあ、私も漠然とこの考えに近いものを持っていたいとは思いますが(それは世間が許さない)。
これらの「宇宙のあらゆるところに存在する物質」という概念に関しては、たとえば、デカルトのいう「微細な物質」のような「新しい発見」がない限り、現在の科学での概念に入るのは難しいことのようには思います。
太陽が出す音の周波数は?
ちなみに、「太陽が歌う」(音を発する)ことに関しては、かなり以前から知られているようです。
アメリカのスタンフォード大学に「ソーラーセンター」という研究所があります。そこに、下のように「歌う太陽」というページがあり、そこで「太陽の出す音」を聴くこともできます。
・スタンフォード大学 ソーラーセンター
もちろん、前記しましたように、宇宙空間は「真空」ですので、太陽が出している音を直接聴いたり、記録したりすることはできません。
これは NASA の太陽観測衛星 SOHO に取り付けられたマイケルソン・ドップラー・イメージャー( MDI )という装置で太陽の表面の音の圧力波を記録し、それをスタンフォード大学の天文学者たちが追跡して、振動を現したものです。
その音はこちらにあります。このような音を太陽はいつも発しているようです。
ちなみに、この音を聴いていて、ふと、
「これが 528 Hz とか 432 Hz とかだと面白いのに」
とは思っていました。
ソルフェジオの概念で、 528 Hz は DNA を修復するなどと言われ、 432 Hz は「宇宙の音」などと言われると同時に、シュタイナーが「人間の内耳に最も良い(楽器の)調律をするための基本音にするべき」とした音で、こちらの記事で書かせていただいたシュタイナーが造った楽器「ライアー」も、調弦は 432Hz でおこないます。
このライアーは、シュタイナーが障がいを持つ子どもたちのために造ったとされています。
A=432Hzで調弦したライアーにより演奏されるアヴェ・マリア
ちなみに、あの日以来、私はこのライアーで演奏された曲を BGM として毎日数時間聴いています。
微妙に話が逸れました。
それで、上の太陽の音ですが、ミキサーで 528Hz など、いくつかの周波数と太陽の音を重ね合わせてみましたが、太陽の音は 528Hz や 432Hz ではありませんでした。
では、何ヘルツかというと、私は調べる器具を持たないですので、わからないのです。
音楽などされている方で、そういう器具がある方なら調べられるかもしれません。
何もかも周波数を発している
ところで、『ウォーター・サウンド・イメージ』のあとがきで、訳者の増川いずみさんは、周波数について様々なことを書かれていますが、以下のような表現があります。
花がそばにあると気持ちいいのも、花の発する周波数を浴びているからです。例えば50経るとではシンプルな優しい花の形となりますが、それはまさに神経をチューニングする音叉と同じヘルツ。低い周波数の花を置くと、神経がゆったりとして安らぐのです。
あるいは、別の部分には、
文字は形、つまり《形霊》ですから、そのため体に文字を直接書いたり文字を体の上に置いたりすることで調子がよくなることがあります。それは文字が出す周波数の力であり、それを見たり感じたりできる方が始めたことかもしれません。
というような部分などもあります。
実際、『ウォーター・サウンド・イメージ』には、音楽の振動から「文字」のようなものが浮き上がる写真なども数多くあります。
下のはちょっとうまく撮れていないのですが、イメージとしては、このようなものです。
日本の古代文字や、あるいは、アラビア文字などの「流体感」は、文字もまた音の振動から出現したかもしれないことを強く思わせるものでもあります。
私たちの周囲からは(もちろん、家電やパソコンや携帯なども含めて)様々なものから音や周波数が出ていて、それは大なり小なり、私たちに良い影響も悪い影響も影響を与えていると思われますが、星や太陽など「宇宙そのもの」からも音が発せられているようです。
ただ、その「宇宙の周波数」が私たちに影響を与えているのかどうかは今の科学ではわかりません。
さきほども書きましたが、音は真空を伝わらないからです。
というようなこともありますが、ここからヨーク大学のニュースリリースの翻訳です。
Have researchers discovered the sound of the stars?
York University News 2015.03.23
研究者たちは星の音を発見した?
ヨーク大学の科学者たちを含む研究チームによる偶然の発見は、星たちが音を作り出しているかもしれないという実験的証拠を提供している。
この研究は、運動中の流体の研究 − 現在では「流体力学」として知られる − は、多くの場合は新たな発見がなされてはいない。しかし、超高強度レーザーとプラズマターゲットとの相互作用を調べる中、チームは、予想外の何かを観測した。
ヨーク大学物理学科ヨーク・プラズマ研究所のジョン・バズリー( John Pasley )博士を含む研究チームは、レーザー照射の1兆分の1秒後にあることに気づいた。
それは、プラズマが高濃度の領域から低密度停滞領域へと急速に流入したことに気づいたのだ。それは、まるで交通渋滞のようなものを作り出した。
プラズマは高密度領域と低密度領域との間の界面に溜まり、連続した圧力バルスを生成した。
パルスとは「音波」だ。
しかし、その音は、極めて高い周波数を発生させていた。
コウモリやイルカが苦しむほどの高い周波数を!
兆ヘルツにも近い周波数で音が作り出されたことはまったくの予想外の出来事ではあったが、それだけではなく、このような物質で、さまざまな哺乳類の動物が聴くことができる周波数の 600万倍も高い、最高レベルに近い周波数を作り出すという予期せぬことに遭遇したのだ。
バズリー博士は、「自然の中でこのようなことが起きる条件を持つ数少ない場所のひとつが、星の表面ではないでしょうか」と述べた。
「新しい素材が蓄積され続けている星では、実験室で観測されたものと同じような音が生成される可能性がとても強いと思われます」
「そうですね・・・星たちは歌っているのかもしれません。しかし、音は真空中を伝わっていくことはないですので、私たちは誰一人、星たちの歌を聴くことはできないのです」
音波を観測するために使用されるこの技術は、流体がどの地点を移動しているかを、1兆分の1秒より正確なポイントで測定することができる。
実験のために、音響波を生成するための数値モデルを開発したプラズマ物理学グループのアレックス・ロビンソン( Alex Robinson )博士は、「音の信号の発生源を突き止めるのは、最初は大変でした。しかし、実験で観測された波長シフトからの比較で結果を得ることができました」と言う。
「私たちは流体の流れから音を発生させる新しい方法を発見したのです」
類似した音の発生の状況は、星の周囲を回っているプラズマでも起きる可能性があるのだ。
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宇宙の中の地球
2015年01月07日
▲ 2015年1月6日のデイリーメールより。
この数年、銀河系の中心部で観測されるいろいろなこと
今回は私たちの銀河系の中心でX線フレアと呼ばれる爆発現象、しかも観測された中では最も巨大なX線フレアが起きたことを NASA が発表したことを、英国デイリーメールの記事からご紹介したいと思います。
その現象について科学者たちが困惑しているという内容ですが、そもそもが、私たちの「天の川銀河」というものについては、実際にはほとんどわかってはいないというのが現状です。
何しろ、「銀河系全体の形状」について、下のようなものであるとわかったのが、ほんの4年ほど前のことなんです。
・New York Times
上の写真は、
・銀河系の中心で巨大なことが進行していることに天文学者たちが気づき始めた
2010年11月11日
という記事で、2010年11月10日のニューヨーク・タイムズに掲載されていた報道をご紹介したものですが、その記事の最初は以下のようなものです。
銀河系の中心部で何か巨大なことが進行している。
天文学者たちはそれが何であるのかわからないと言う。
NASA フェルミガンマ線宇宙望遠鏡からのデータを調査している科学者チームは、2010年11月9日に、銀河系の中心部から噴出している2つのエネルギーの泡を発見したと発表した。
11月10日にリリースされた学術雑誌アストロフィジカルジャーナルによると、NASA の調査チームは記者会見を行い、 この泡が、銀河系の両サイドから各方向に 25,000光年の距離で広がっており、これは超新星 100,000個分にも相当するものだと語ったと記した。
「これは非常に巨大だ」と、今回の現象を発見したハーバード・スミソニアン天体物理学センターの研究チームのダグフィンク・ベイナー氏は言った。
どこからその泡が来ているのかはわかっていない。
というもので、私たちの銀河系というのは、その中心部から想像もできないほどの強大なエネルギーを噴出しているということが最近になって少しずつわかり始めています。
なお、上の写真は、天の川銀河を「横」(横というのは便宜上です)から見たものですが、今回の記事にも登場します NASA のX線観測衛星チャンドラの観測データから構成した「上」から見た天の川銀河の全景を 2009年に NASA が発表していまして、それは下のようなものです。
銀河の中心から私たちの太陽までの距離は約 26,000光年から 35,000光年です。
X線観測衛星チャンドラのデータから構成した天の川銀河
それで、この天の川銀河の中心付近に「いて座A*」という「存在」があるのです。
・Wikipedia
超巨大なX線フレアはこの「銀河の中心」で発生した現象であるわけですが、この「いて座A*」というものが何なのかは、どうもよくわかっていないようなのです。
今回ご紹介するデイリーメールの記事では、「超特大ブラックホール」というようにされていますが、いて座A*- Wikipedia を見てみますと、
いて座A*は、我々銀河系の中心にある明るくコンパクトな天文電波源。より広い範囲に広がるいて座Aの一部分であり、仮説によると多くの渦巻銀河や楕円銀河の中心にあるとされる超大質量ブラックホールが、いて座A*にもあるとされる。
と、そこに特大ブラックホールがあることに関しては、「あくまで仮説」であることを記しており、さらに、
結局見ているものはブラックホール自体ではなく、いて座A*の近くにブラックホールが存在するという仮定でのみ観測されるものである。
とあり、あくまでも「ここがエネルギー源ではあるが、それが何かはわかっていない」と、理解して構わないようです。
何かはわからないながらも、「渦」である銀河系の「天体の中心」の意味は大きなものであるはずです。
たとえば、太陽系も「渦」であり、その中心は太陽ですが、「太陽なんか大した意味がない」と考える人は、悪魔的な存在以外ではいないと思います。太陽は私たち人間にとっても何よりも大きな存在です。
太陽系の渦の中心の「太陽」はあまりにも存在としての意味が大きい。
このことは宇宙の他の「渦」にも当てはまることだと思われます。
そして、宇宙の存在は、そのほとんどが「渦」と「円」に支配されています。
「法」に支配され、「奇跡」が具現化しているこの宇宙
下の図は、過去記事の、
・NASA の星間境界観測機が初めて「太陽系外の物質の成分」を検知
2012年02月01日
に載せたもので、2012年1月に、 NASA の探査機ケプラーが新たに特定した 26個の「他の太陽系」です。
ケプラーが特定した26個の「他の太陽系」の形
・Astrobiology Magazine
大きさや惑星の数に違いがあるだけで、基本的にすべてがまったく同じタイプの形をしているといっていいかと思います。宇宙の形式がいかにグリグリの「法」によって支配されているかがわかります。
「法」
これがすべてを貫いています。
そして、たとえば、太陽系の中心にある「太陽」。
この完ぺき性は、過去記事の、
・私たちの太陽が「宇宙の中で最も完全な球体」であったことが判明してショックを受ける科学者たち
2012年08月18日
でご紹介したことがありますが、科学者たちの計測によって、
太陽は、この世にあるものの中で最も完ぺきな球状をしているものだった。
ことがわかったのです。
そして、さらに驚くのは、太陽系で最も大きなものが太陽だとすれば、「最も小さなもののひとつ」といえる「電子」も「完全な球体」だったのです。
・電子は「宇宙に存在するものの中でもっとも丸い存在」だった : 英国の研究者たちの10年間に渡る執念の研究が突き止めた「宇宙の奇蹟」
2011年05月27日
という記事で、そのことを書いたことがあります。
上の原子の中で回っている、この世で最も小さなもののうちのひとつである電子も太陽と同様に、「最も完ぺきな丸を持つ形状」だったのです。
これらのことに「奇跡」を感じないでしょうか。
もちろん、様々なことについて、奇跡を感じるか感じないかは人それぞれではあるのですけれど、宇宙の存在とこの現実の世の中について、上のような事実を知ることは、私たちが、
宇宙を貫く「法」の中に生きていて
そして、
そこには多くの「奇跡」を見ることができる
こととつながっているように思うのです。
「法」と「奇跡」のふたつが、この宇宙存在の基本だと私は考えていて、それはすべてを貫くものなのだと思っています。
話が逸れたかもしれないですが、天の川銀河の中心に何が「存在」していて、「何をおこなおうとしている」のかはわかりません。しかし、今後の宇宙に変化があるとしても、その「法」の中で進行していくはずです。
そして、天の川銀河ほど巨大な存在の中心、マヤ族が「フナブ・クー」と呼び、そこには「巨大な意志が存在している」と考えたような場所には確かに何か「巨大な存在」があるのかもしれません。
それは物理的な意味でのエネルギー源の意味もあるでしょうし、「精神的な意味でのエネルギー源」という意味も含まれる可能性もあるとも思います。
そして、この数年、次々と観測される銀河中心での変化は、銀河すべてを巻き込んだ巨大な変化の予兆でもあるのかもしれません。
なお、私たちの近隣銀河の「うお座極環状銀河 NGC660 」は、2012年に、
銀河の中心部が爆発的崩壊を起こした
ことが観測されています。
これについては、
・[重要] 私たちの銀河系の近隣銀河の中心が突然の爆発的崩壊! この事態に困惑する天文学者たち
2013年01月09日
という記事に書いていますが、最近、他にも銀河の形状が変化する事象が相次いでいて、広い範囲で何かが同時に進行しているのかもしれません。
ここからデイリーメールの記事です。
記事には、天文学者たちがフレアの原因として考える「2つの説」が記されていますが、どちらでもないように思います。
What is happening at the heart of our galaxy? Largest X-ray flare ever detected explodes from supermassive black hole at the centre of the Milky Way - and scientists are baffled by it
Daily Mail 2015.01.05
私たちの銀河の中心部で何が起きているのか? 天の川銀河中央付近にある超巨大ブラックホールから過去最大のX線の爆発が観測され、科学者たちは困惑している
天文学者たちは、天の川銀河の中心にある、太陽の 450万倍の質量を持つ超大質量ブラックホールから、過去に検出されたどの爆発よりも規模の大きなX線フレア(爆発現象)を観測した。
NASA のX線観測人工衛星チャンドラによって検出されたこの出来事は、私たちの銀河系がどのように働いているのかについての疑問を提示する。
この超巨大ブラックホールは、「いて座A*」あるいは、略号の「 Sgr A* 」と呼ばれており、このブラックホールは私たちの太陽の 450万倍の質量を持つと推定されている。
この銀河系の中心部に存在する超大質量ブラックホールの周辺には、「 G2 」と呼ばれる公転するガス(星雲)が存在するが、天文家たちは、この G2星雲の動きを観測している時に、大爆発という予想外の発見をした。
今回の研究のリーダーである米国マサチューセッツ州にあるアマースト大学のダリル・ハガード( Daryl Haggard )教授は、
「自然現象はしばしば私たちを驚かせます。そして、今回、私たちが目撃したものは、何か非常に興奮を呼ぶものなのです」
と言う。
2013年9月14日に、ハガード教授と研究チームは、「いて座A*」から、通常での静謐な状態の 400倍もの強さのX線フレアを検出した。この「超特大フレア( megaflare )」は、それまで最も明るかった 2012年に観測されたフレアより3倍も明るかった。
その後、2014年10月20日にも、チャンドラ衛星は、通常よりも 200倍明るい別の巨大なX線フレアを観測した。
天文学者たちは、2014年の春、G2星雲がブラックホールから最も近かった時で、その距離は 240億キロメートルあったと考えている。チャンドラは、2013年9月にもフレアを観測しているが、その際には G2星雲はブラックホールまで、その何百倍も近い場所にあった。なので、フレアと G2星雲との関係はあまりないように考えられる。
研究者たちは、「いて座A*」からこのような激しいフレアが発生した原因について、2つの説を持っている。
第1の説は、小惑星が超巨大ブラックホールに接近しすぎて、ブラックホールの重力によって引き裂かれたという説だ。
このように破壊された場合、その破片はブラックホールの中に永遠に消滅していく前に極端な高温となり、X線を放出する。
この説が正しい場合、天文学者たちは「いて座A*」によって引き裂かれた中で最大のX線の放出をおこなった小惑星を目撃したという証拠となる。
第2の説は、「いて座A*」に向かって流れるガスの中の磁力線が、固く密封され、絡まったことにより起きたとするものだ。これらの磁力線は、時折、自分自身を再構成し、明るいX線の爆発を作り出すことができる。
これと同じタイプの磁気フレアは、私たちの太陽でも見られる。「いて座A*」のフレアは同じようなパターンを持っていた。
しかし、この現象の原因は今でも根本は理解されていない。
今回の論文の共同執筆者でもある、ドイツのマックス・プランク天文学研究所のガブリエル・ポンティ( Gabriele Ponti )博士は以下のように述べる。
「このような珍しくて極端な現象は、ブラックホールへと流れて落ちていく物質の観測により、私たちの銀河系で実際に起きている最も奇妙な現象の物理学的な理解への良い機会となると思います」。
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宇宙の中の地球
2014年12月08日
太陽活動の低下によって太陽系内の宇宙線量がかつてないほど増大している
先日のスペースウェザーに、米国ニューハンプシャー大学の研究者たちが発表した論文の概要が記事となっていました。
その論文は、
「太陽系内の宇宙線量が増えている中、月や火星などへの有人宇宙ミッションは可能なのか」
という内容のものです。
先日、 NASA のオリオンという新型の宇宙船の試験飛行が成功しました。
・オリオンのイメージ図。Wikipedia より。
オリオンは、将来的に火星への「有人」ミッションのために計画が進められているものです。
新型宇宙船オリオン打ち上げ成功 米、有人火星探査照準
朝日新聞 2014.12.06
米航空宇宙局(NASA)は5日午前7時すぎ、2030年代の火星有人探査を目指して開発中の新型宇宙船「オリオン」の無人試験機を、フロリダ州のケネディ宇宙センターに隣接する空軍基地から初めて打ち上げた。地球をほぼ2周して約4時間半後に太平洋に着水した。
とあり、「乗り物」のほうは順調に計画が進んでいるようなのですが、
しかし、乗り物は大丈夫でも、「有人飛行ミッション」となりますと、中の人間のほうが無事でなければどうにもならないわけですが、ニューハンプシャー大学の研究者たちの研究では、現在の、つまり 2014年の宇宙線の状況での宇宙線からの被曝量を計算した結果、
30歳の男性の宇宙空間滞在の限界日数は 700日
と計算されました。
ここでの「限界」というのは宇宙線からの放射線被爆で生命維持に重大な影響が出るまで、という意味での限界のことです。
1960年代などでは、「滞在可能日数が 1100日」もあったのですが、現在そのようになっている理由は「太陽系での宇宙線量が増えている」ことにあるそうです。
宇宙線が増えている理由は、太陽活動がかつてない弱さを見せていることと関係します。
まずは、そのスペースウェザーの記事をご紹介します。
GROWING PERIL FOR ASTRONAUTS?
Spaceweather 2014.12.06
宇宙飛行士に危険なほど(宇宙線が)増えている?
12月5日、 NASA のオリオンの試験飛行が無事に成功した。しかし、同じ日に発刊された科学誌スペース・ウェザー( Space Weather )は、将来の深宇宙探査にとっての危険因子が成長していることを指摘している。
それは「宇宙線」だ。
この記事は、ニューハンプシャー大学のネイサン・シュワドロン( Nathan Schwadron )氏と研究チームによって書かれたもので、記事のタイトルは、
「悪化し続ける銀河宇宙線環境は、深宇宙への有人飛行探査を妨げる要因となるのだろうか?」
というものだ。
NASA の月周回無人衛星ルナー・リコネサンス・オービター( Lunar Reconnaissance Orbiter )に搭載されている宇宙線望遠鏡から送信されたデータを使用した結果、シュワドロン氏たちは、増加し続ける宇宙線の流れは、長期間にわたる宇宙ミッション(たとえば、月や火星など)のショーストッパーになるもの「ではない」と結論付けた。
銀河宇宙線は、宇宙ミッションの期間を制限し、宇宙飛行士に悪い影響を与える重要な要素だ。
下のグラフは、その論文にあるもので、30歳の宇宙飛行士が放射線の被曝量の限界に達する前に、宇宙空間で過ごすことのできる可能滞在日数を示している。
このブロットによれば、2014年に、1平方センチメートルあたり 10グラムのアルミニウムのシールドで保護された中で、30歳の男性の場合、被曝量の限界に達するまで、深宇宙で 700日過ごすことができることを示している。
しかし、1990年代初めでは、同じ年齢の男性宇宙飛行士は、深宇宙で 1000日過ごせていた可能性をも示している。
何が起きているのか?
実は、宇宙線が激化しているのだ。
銀河宇宙線は、高エネルギー光子と素粒子の混合物のようなもので、超新星爆発のような暴力的な出来事によって、光速近くまで加速されている。
宇宙飛行士たちは、太陽の作用によって部分的に宇宙線から保護されている。
太陽の磁場と太陽風が結合すると、浸透性のある「シールド」が作られるため、太陽系外からのエネルギー粒子を避ける作用を持つ。
シュワドロン氏のチームの論文は、現在、問題が存在していることを指摘する。
「太陽と太陽風は、現在、非常に低い密度と弱い磁場強度であり、このような弱い状態は宇宙時代には観察されたことがなく、前例のない状態だ。非常に弱い太陽活動の結果として、我々は現在、宇宙時代に観測されたものとしては最大の宇宙線の流れを観測している」
宇宙線の太陽活動による遮断作用は、11年周期の太陽活動最大期には強くなり、太陽活動最少期には弱くなる。現在は太陽活動の最大期なので、本来ならば宇宙飛行士が飛行するのに最も適した時期であるはずだが、そうなってはいない。
なぜなら、2011年から2014年までのサイクル24の太陽活動最大期は歴史的な太陽活動の弱さとなっており、そのため、太陽系に侵入する宇宙線の量が異常な数値となっているのだ。
この状況に対して、一部の研究者たちは、この太陽の挙動が、太陽が長期的な太陽活動極小期への変化を特徴づけるものなのではないかと疑っている。
仮に、太陽活動と太陽磁場がさらに弱くなった場合、宇宙飛行士が地球から遠く離れた宇宙空間へ行くことのできる日数は減り、宇宙ミッションの状況はさらに悪化するだろう。
ここまでです。
翻訳中に「長期間にわたる宇宙ミッションのショーストッパーになるもの「ではない」」とした部分があるのですが、ショーストッパー( show stopper )の大体の意味はわかるのですが、それでは、どう訳しても、
「宇宙線はミッションの妨げにはならない」
というようなニュアンスになってしまいまして、上でもそのような感じとなっているのですが、シュワドロン教授は、「宇宙線はミッションの妨げになる」という主張を持つ人です。
それはともかく、NASA はオリオンの「有人飛行」をいつ頃行おうとしているかというと、12月6日の CNN の「宇宙船「オリオン」、初の無人試験飛行に成功」によれば、
今回の試験飛行で、オリオンは、1972年に月に到達したアポロ17号以来、有人飛行向けに設計された宇宙船としては、地球から最も遠い場所に到達した。2021年にオリオンで初の有人宇宙飛行を目指すNASAは、試験飛行の成功に自信を強めた。
ということで、
> 2021年にオリオンで初の有人宇宙飛行を目指すNASA
ということを踏まえて、上の記事に出てきたグラフをもう1度別の観点から見てみます。
2020年代は太陽活動の最少期に当たるため、予測では、最大のシールドを使った場合でも、300日以上、宇宙空間にいた場合は、宇宙飛行士たちは被爆による被害を免れない(「致命的」と表現されていますので、生死に関わるという意味かとも思います)という予測となっています。
それでは、もし火星に行くとした場合、その有人火星ミッションにはどの程度の時間がかかるのか。
つまり、「どのくらいの期間、宇宙飛行士たちは宇宙線に曝露され続けるのか」ということなんですが、これに関しては、とてもわかりやすい答えが、JAXA などが子ども向けに開設している「宇宙科学研究キッズサイト」の
「人が乗ったロケットは宇宙のどの辺まで行ったことがあるんですか?」
という質問に対しての答えにこうあります。
答え
月です。地球から月までは約38万キロメートル。月面に人類最初の一歩をしるしたアームス卜ロング船長たちをのせた「アポロ11号」では、月に着くまで、約102時間(4日と6 時間)かかりました。
人類が次に目指しているのは、火星です。NASA(アメリ力航空宇宙局)は2025年ごろを目指して有人火星探査を計画しています。
しかし、火星まではもっとも接近したときでも、約5500万キロメートルもはなれています。月の140倍以上です。現在の技術では、もっとも燃料を使わない方法で飛行すると、約250日(8ヵ月)かかります。1年くらい火星で調査を行うと、地球を出発してからもどってくるまで3年近くもかかってしまいます。
とありまして、
> 地球を出発してからもどってくるまで3年近くもかかってしまいます。
もう何をどうしても「無理」という気もするのですが……。
それに加えて、過去何度となく取り上げていることではありますけれど、過去記事、
・現実化する「太陽活動の休止」 : 現在の太陽活動は「過去1万年で最も急速な減衰」を見せている
2014年01月18日
などにありますように、現在、ただでさえ弱い太陽活動は、さらに加速度的にその活動が弱くなっていくという予測が多く出されています。
・BBC
この太陽活動が、地球の寒冷期と関係するかもしれないことは、先日の、
・元 NASA の気候学者が「地球はすでに今後30年以上続く寒冷期、あるいはミニ氷河期に突入した」と断定
2014年12月04日
でふれたばかりですが、これが「宇宙計画」とも関係してくるかもしれないという話でもあります。
上にあります BBC の「太陽は眠りについてしまったのだろうか?」という記事では、英国の科学者が「現在の太陽はマウンダー極小期に向かった時のステップと似ているように感じます」と語ったことが記され、続いて、マイク・ロックウッド( Mike Lockwood )という科学者の考えが以下のように記されます。
現在の太陽活動の減少の速度は過去1万年で最も急速だという。そして、「今後 40年以内にマウンダー極小期と同じ状況となる可能性は 20パーセント程度の確率だ」と語る。
また、ロックウッド氏は、太陽活動の減少はジェット気流の動きに影響を与えると考えているという。これは長期間に渡って寒い冬が訪れる可能性を示唆している。特に、ヨーロッパ北部は暖かな大気が遮断されるため、数十年にわたって非常に寒く凍結した冬になる可能性がある。
これが、今年のはじめ頃の 2014年1月17日の記事で、そして今、実際に、寒冷化の兆しのような状況が各地で見られるわけですが、今回は寒冷化のことは置いておいて、問題は、
「今後、さらに太陽活動が弱くなる」
という可能性を指摘する科学者たちが多くなっているということです。
太陽系の外から太陽系の中に飛び込んでくる宇宙線は、太陽磁場によって、太陽系への侵入を少なくしている面があります。
現在の太陽活動がさらに弱くなっていった場合、太陽系内の宇宙線量はさらに増えることになり、宇宙飛行士たちの宇宙滞在可能期間はさらに短くなっていくということになります。
数日で到着する月ならともかく、上にありますように、火星のミッションは、「行ってすぐ帰ってきても 500日間も宇宙線の曝露を受ける」ことになり、有人火星計画というのは、ほとんど絶望的に無理なミッションなのではないでしょうかね。
火星へ向かう途中で宇宙飛行士たち全員の被爆限度量が限界に達してしまいます。
そもそも、火星より 140倍近い距離にある「月に行く」ということに関してだけでも、世の中ではいろいろな意見の対立が存在するわけです。
過去記事、
・人類は本当に「ヴァン・アレン帯を通過して月に行ったことがあるのだろうか?」という疑問を各地で噴出させている NASA の次世代宇宙船オリオンのミッション
2014年10月31日
でも書きましたが、宇宙空間に行くということは、磁場で保護されている地球表面とはまったく違う環境に行くことになり、宇宙線だけではなく、太陽からも太陽風と呼ばれる電子と陽子の嵐が、秒速数百キロメートルなどという速さで飛び交っています。
それでも、宇宙船内にいる限りは、シールドもありましょうが、「月面着陸」ともなると、大気のない月面などは、「立っているだけで即死するレベルの放射線が存在する」という意見もあります。(なので、月面に立ったアポロの乗員たちが着用していた宇宙服は現在でも開発不可能なくらい高度な技術が使われたシールドだったのだと思います)
どうも、この「有人宇宙計画」というものには、すべてにおいて「無理感」が感じられるのですが、そのあたりの実際のところはどうなんでしょうかね。
オリオン計画が『カプリコン1』化するのは勘弁してほしい
この「火星ミッションは宇宙線量から考えて無理」という意見は、以前から報道で目にしていました。
今年10月に書きました、
・人類は宇宙へは行けないし、異星人たちも地球には来られないことを悟る中、人々から「神の存在が消えていっている」ことも知る
2014年10月29日
の中に、以下の記事をご紹介したことがあります。
・Daily Mail
あれ? 今読み直しましたら、この記事で紹介されているのは、今回のスペースウェザーに出てくるニューハンプシャー大学のネイサン・シュワドロン教授その人でした。
どうやら、論文発表前に語っていたということになるようです。
上のデイリーメールでの教授の発言の内容は、
・現在、太陽活動が減少しており、宇宙放射線量が増えている。
・今後さらに太陽活動が減少した場合、その場合での放射線の推定値から計算すると、30歳の男性の宇宙飛行士を想定した場合、約 320 日で放射線量が生命に危険が及ぶレベルに達する計算となる。
・この計算から、火星に到着する前に身体が破壊される可能性がきわめて高い。
というもので、主張としては、やはり「人類は火星には行けない」となっているようです。
国際宇宙ステーション(ISS)などは、ヴァン・アレン放射線帯という、放射線帯の内側にあるわけで、地球の磁場の保護下にある場所にありますが、それでも、JAXA の放射線被ばく管理というページには、
> ISS滞在中の1日当たりの被ばく線量は、地上での約半年分に相当することになります。
とあるように、かなりの被爆を受けているのですが、ヴァン・アレン帯の外の深宇宙にいくと、こんなものでは済まないはずで、しかも「それが2年くらい続く」わけです。
そのことに関しては、当然、 NASA は知っているはずです。
そして、これは時間をかけて研究すれば解決するという問題ではないと思われます。
NASA が宇宙線の宇宙飛行士への影響を考えていないということはないでしょうし、そして今後、太陽活動が低下して、宇宙線がさらに増加していくであろうことも予測しているはずです。
しかも、太陽活動の極小期である 2020年頃から有人試験飛行をおこなうとしているわけですが、上のような「無理な条件」が重なっていくことを考えていると、 NASA は本気で火星に人類を送り込む気があるのだろうか・・・と、さすがに考えてしまいます。
それとも、それこそ私が中学2年の時に映画館で観た『カプリコン1』そのままの世界になってしまうのか。下の太字は私によるものです。
カプリコン・1 - Wikipedia
人類初の有人火星探査宇宙船カプリコン1号が打ち上げられる事になった。しかし、その打ち上げ数分前、乗組員たちは突如として船内から連れ出され、砂漠の真ん中にある無人となった古い基地へと連れて行かれた。
そこで、本計画の責任者から、カプリコン・1の生命維持システムが故障したため有人飛行が不可能になった事を告げられ、政治的な問題で計画が中止出来ないので、火星に行ったという事実の捏造を行う事を命じられた。
人々と科学を裏切る結果になる事を嫌った飛行士達は最初は拒否したが、家族の安全を人質に取られ、やむなく承服した。こうして、火星往復の間や火星探査の様子などを、この基地で収録するという大芝居が始まった。
▲ 米国映画『カプリコン1』(1977年)より。砂漠に立てられたスタジオで、「人類初の火星着陸」を演じさせられている乗組員たち。
ちなみに、『カプリコン1』は、普通に面白い映画です。
中学2年の私でも楽しめたのですから、対象年齢も広いと思います。
こんなことにはなってほしくないですけれど、かといって、「生命維持不可」というようなミッションを無理矢理おこなうというのも人道的なことではない気もしますし。
宇宙線は悪いだけではないことも確かですが
しかし、ここまで「宇宙線は人体に良くない」という部分ばかり書いてきたような気もしますけれど、思い出すと、「宇宙帰りの種や植物が驚異的な成長をした」とか、そういうこともありました。
過去記事、
・私たち人類も他のあらゆる生命たちも「宇宙線にコントロールされている可能性」を感じて
2012年06月13日
では、
宇宙帰りのサクラ異変…なぜか発芽・急成長
読売新聞 2011年02月21日
地上350キロメートルの国際宇宙ステーション(ISS)で2008年11月から8か月半、保管した桜の種を、地上へ持ち帰って植えたところ、発芽しないはずの種が芽を出すなど、異変が相次いでいることがわかった。
原因は不明だが、無重力で放射線の強い宇宙環境で、遺伝子の突然変異や、細胞が活性化したなどの見方もある。
というニュースと、
宇宙アサガオ、異常早咲き
京都新聞 2012年06月13日
宇宙空間を旅した種子から育った、京都産業大付属高の「宇宙アサガオ」が、通常は夏至以降とされる開花時期より大幅に早く、10日に咲き始めたことが、12日に分かった。
帰還2世代目は異常に多くの花をつけたことが確認されており、開花したのは3世代目にあたるアサガオ。同高は、宇宙放射線の影響を裏付ける事象だとみて、さらに研究を進める。
というニュースをご紹介したことがあります。
記事では全文抜粋していますので、ご興味のある方はお読み下されば幸いです。
そういう過去の出来事などの「生命力と直結した何か」を思いますと、それが宇宙線の影響なのか、他の何かの影響なのかはわからないないですが、宇宙空間には人体に有害な放射線が大量に存在していると同時に、
宇宙空間には生命力の強化と関係する何かの作用が存在する
ということは否定できない気もします。
しかし、それはそれとしても、このことと、人間の身体が放射線から受けるダメージは別のことであって、オリオンの有人飛行を始めると計画されているという 2020年頃には、
「宇宙滞在日数 300日程度で被爆の限界値に達する」
ということがはっきりとしはじめている中、今後この計画はどうなっていくのですかね。
ちなみに、宇宙空間の宇宙線量がいくら増えても、地表に達する宇宙線は、地球の磁場の保護などがあり、それほど変化するわけではないと思います。ただし、これに関しても、地球の磁極の移動などで「磁場の保護がなくなった場合」は、宇宙空間と同じように、私たち地表の人類も銀河宇宙線に直接曝露されるようなことになるのかもしれません。
ただ、先日書きました、
・新たに発見された「地球を保護する見えないシールド」は私たち地球の生命の新しい保護システムなのだろうか、と磁極の逆転が迫る中で考えてみる
2014年12月01日
にあるように、最近、「見えないシールド」が地球上空で見つかったりしていまして、案外、地球はいろいろなシステムのもとに守られているものなのかもしれないなあ、という考え方も最近はあります。
いずれにしましても、今回のシュワドロン教授の研究は、わりと長らく曖昧に考え続けてきた「人類は深宇宙には行けない」という概念について、それはかなり現実に近いということを知らせてくれるものでした。
そして、その原因が太陽活動の影響が大きいということは、太陽は「人類が深宇宙に行くことを望んでいない」のかもしれません。
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宇宙の中の地球
2014年11月20日
▲ 2014年11月19日のロイターより。
休眠までのフィラエの戦い
個人的にはとても嬉しいニュースですが、昨日、ロイターで上の報道を見ました。
現在は太陽電池のバッテリー切れにより、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の上で休眠状態の着陸機フィラエですが、休眠までの 50時間ほどのあいだに大きな仕事を成し遂げ、その後に眠りについたようなのです。
今回は、上のロイターの記事をご紹介したいと思います。
この記事で私が読んでいて嬉しかったのは、彗星探査機ロゼッタのミッションについて、
今回のミッションの大きな目的のひとつが、炭素系化合物を発見すること
だと明記されていたことと、
どのように生命が進化したかという謎を解明するためのものでもあった。
と記されていたことでした。
これまでロゼッタに関して多くの報道記事を読みましたが、着陸に成功したとか、休眠についたとか、そういう事実関係に関しての報道は多くても、「このミッションの最大の目的」に触れているものをあまり目にしませんでした。
しかし、今回の記事で、今回の探査の目的が、「彗星が生命を運搬しているかもしれないという説に対しての検証でもあった」という可能性を含んでいることを理解しました。
ロゼッタが打ち上げられたのは 10年前の 2004年。
2001年に亡くなったパンスペルミア説の主要な提唱者のひとりだったフレッド・ホイル博士の没後3年目にして、多分はホイル博士が生きていれば望んだであろう探査を欧州宇宙機関( ESA )は今から10年も前に淡々とおこなってくれていたのでした。
日本の JAXA や欧州の ESA は、アメリカの NASA に比べれば規模も予算も格段に小さいですが、かつてはともかく、最近での宇宙ミッションの「意義」は、 NASA のおこなっていることの数倍大きいと私は思います。
・内閣府
上のように、ESA の予算は NASA の3分の1以下、日本の JAXA に至っては、NASA の 10分の 1程度の予算です。
それでも、ESA は今回のように、着陸など失敗した部分も大きかったにも関わらず、
「彗星から地球の生命の構成要素を検出する」
という、地球の生命の起源の根本に迫る可能性のあるミッションを今から 10年前から計画して、部分的に成功させています。また、この「生命の起源を探る」分野では、やはり十分とはいえない予算ながらも、日本の国立天文台が、2010年に、
「地球上の生命の素材となるアミノ酸が宇宙から飛来したとする説を裏付ける有力な証拠を発見」
という、やはり地球の生命の起源に関しての画期的な発見をしています。
このことについては、過去記事、
・「生命発祥の要因は宇宙からの彗星によるもの」という学説が確定しつつある中でも「幻想の自由」の苦悩からは逃げられない
2013年09月18日
の後ろのほうに、当時の新聞記事を記していますが、その読売新聞の記事の冒頭は、
生命の起源、宇宙から飛来か…国立天文台など
読売新聞 2010.04.06
国立天文台などの国際研究チームは、地球上の生命の素材となるアミノ酸が宇宙から飛来したとする説を裏付ける有力な証拠を発見したと発表した。
というものでした。
日本やヨーロッパの宇宙ミッションに携わる人々は「派手な喧伝やポーズのための宇宙計画」ではなく、本気で地球の生命の起源を解き明かそうとしている様子が見て取れるのです。
しかるに、それらと比べてはるかに膨大な予算を使うことのできる NASA が何がしかの人類科学の発展に貢献したことがあったかどうかときたら!
……まあ、こんなことで興奮している場合ではないのですので、ロイターの記事をご紹介します。
今回のフィラエの探査は、彗星の表面しか調査できていない可能性があり、内部を調査できない限り、いろいろと不完全なことは否めませんが、しかし、フィラエが今後再起動する可能性も残っています。いつか、フィラエが、あるいは似た何かのミッションが、彗星の「生命」の報告をもたらしてくれることを期待しています。
ホイル博士に報告と合掌まで。
・Scientific American
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Comet team detects organic molecules, basis of life on Earth
Reuter 2014.11.19
彗星チームが地球上の生命の基盤となる有機分子を検出
ヨーロッパの彗星着陸機フィラエは、自身バッテリーが切れるまでの駆動時間に、彗星から炭素元素を含む有機分子を嗅ぎ取ったとドイツの科学者たちは述べた。
この炭素元素を含む有機分子は地球の生命の基盤となっているものだ。
科学者たちは、そこにタンパク質を構成する複雑な化合物が含まれていたかどうかについては明らかにしていない。今回のミッションの大きな目的のひとつが、炭素系化合物を発見することだ。
そして、それらの発見を通して、究極的には、地球の生命は彗星たちによってもたらされたことを突き止めることにある。
フィラエは、探査機ロゼッタに搭載されて、10年の歳月をかけて地球から 67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星への着陸に成功した。このミッションは、どのように惑星が形成され、あるいは、どのように生命が進化したかという謎を解明するためのものでもあった。
11月15日、フィラエは自身のバッテリーが尽きるまでの 57時間のあいだ、データを送信し続けた。その後、バッテリー切れによりミッションは終了した。
彗星は太陽系の形成の時代にまで遡るタイムカプセルのように古代の有機分子を保ってきた。
フィラエに搭載されている COSAC ガス分析器は、大気を「嗅ぐ」ことができ、そして、彗星に着陸後のフィラエは最初に有機分子を検出したと、ドイツ航空宇宙センター( DLR )は述べる。
フィラエは着陸後、彗星の表面に穴を掘り、有機分子を獲得したが、しかし、フィラエがその試料を COSAC に送ることができたかどうかは明らかになっていない。
また、着陸船には MUPUS という熱と密度を測定する検査機器が搭載されており、これによると、彗星の表面は以前から考えられたように軟らかいものではないことがわかった。
熱センサーは彗星の表面から 40センチの深さにまで打ち込まれて計測されることになっていたが、ハンマーの設定を最強にしていたのにもかかわらず、これは実現しなかった。
ドイツ航空宇宙センターでは、表面から 10センチから20センチ下に厚い塵の層が存在していると起算し、その層が氷のように硬い物質だったと考えられる。
ドイツ航空宇宙センターで MUPUS 分析チームを率いるティルマン・スポーン( Tilman Spohn )氏は、「これは驚きです。私たちは彗星の地面が、このように硬いものだとは考えてもいませんでした」と言う。
スポーン氏は、彗星が太陽に近づくにつれて、ふたたびフィラエの太陽電池が充填されていった場合、再度、 MUPUS による熱と密度の分析を再開させられることを願っていると述べた。
(訳者注)ここまでです。
昨日の記事で、
「最近は何かこう気持ちがすっきりと晴れる時が少ない」
というようなことを書きましたが、やや鬱っぽい感じも漂う中で多少涙もろくなっているのか、今回のロイターの記事を書きながら、フレッド・ホイル博士の著作の内容を思い出していると、何だか泣けてきて、「泣きながら翻訳する」(苦笑)という珍しい経験となりました。
それはともかく、今回のフィラエは「彗星の形質」についても従来の考え方を覆す発見をしています。
たとえば、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の表面は、
・彗星の表面と少なくともその数十センチ下は非常に硬い物質
であることを示唆しました。
これまでは、彗星表面は軟らかく、それが太陽などの熱でボロボロと剥がれていくのが「彗星の尾」というような感じの考え方だったのですが、それが覆され、彗星は「強固な外壁を持つ」ことがわかりました。
そして、内部からガスを常に噴出していることをロゼッタが観測しています。
この2点だけでも、
・彗星が撒き散らしているものは外側のものではなく、内部から噴出しているもの
であることがわかります。
それがわかっただけでもロゼッタとフィラエの成し遂げたことは大きなことだと思います。
今回、フィラエが検出したのは、単なる炭素元素を含む有機分子ですが、フレッド・ホイル博士は基本的には、有機分子だけではなく、
・バクテリア
・ウイルス
が共に彗星によって共に宇宙にばらまかれているとしていました。
そして、大事なことは、ウイルスが「地球の生命の進化に関わっている」と強く主張していた点です。
フレッド・ホイル博士の著作『生命(DNA)は宇宙を流れる』から抜粋します。
『生命(DNA) は宇宙を流れる』 第4章「進化のメカニズム」より
動物、植物からバクテリアまで、およそ生きた細胞でウイルス感染から免れることのできるものはない。
さらに、同じ種に属する個体どうしでさえ、そんな遺伝子の組み換えが起きるのは、かなりショッキングな事態であるのに、ウイルスの中には、トリからサル、サルからヒトなど、異なった動物種への感染を繰り返すものがある。
このような感染のパターンを持つウイルスは、種の障壁を超えて遺伝子を運んでしまう。われわれが、地球の生命を進化させたのはウイルスなのだと考えるのは、ウイルスのこんな性質に着目するからだ。
生物が進化するには、遺伝子が変化する必要がある。
もともときわめて安定している遺伝子が、コピー・ミスによる突然変異を起こしたおかげで優れた形質を獲得すると考えるのは、かなり無理がある。
けれども、ウイルスなら、宿主がそれまでもっていなかったまったく新しい遺伝子を導入することができ、生物の基本的な構造を一新させることもできるのだ。ウイルス感染による遺伝子の移動は、まさに理想的な進化の原動力となりうるのだ。
ウイルスの本質は、もっぱら他の生物に感染して、これを病気にさせたり、死に至らしめることにあるように考えられている。
けれどもそれは、ウイルスが病気の原因となる微生物の一種として発見され、研究されてきたことに由来する偏見である。
ウイルス感染の影響は、細胞破壊だけではない。細胞を壊すかわりに、細胞の代謝や機能を変えたりする場合もあるのだ。
実際、大腸菌に感染するバクテリオファージというウイルスは、感染してそのまま増殖サイクルに入り、菌を殺してしまう場合もあるが、増殖を止めて DNA を大腸菌の染色体に組み込んでしまい、以後、大腸菌の遺伝子と共に、何世代にもわたって安定的に存在し続ける場合(溶原化)もある。
溶原化したファージの中には、大腸菌の形質を変えてしまうものもある。
ここまでです。
私たちはウイルスは単に病気を起こすだけの存在として見がちですが、それは「病気を起こす対象」として研究が進んだためであり、その他の役割について分かりだしたのは、最近のことです。
上のホイル博士の文章にもあるように、希に、ウイルスやバクテリオファージは、対象の生物に入り込んだ後に「 DNA を大腸菌の染色体に組み込んでしまう」というようなことをおこない、その生物の遺伝子を書き換えてしまうこともあるようなのです。
そのようなことを前提として、地球の生命の進化は、
「環境への適応によるものではなく」
「生物の遺伝子そのものがウイルスによって書き換えられる」
ということだとホイル博士らの研究では結論付けられています。
このような種の変化の場合、その生命は、まさに「突然変異的」に遺伝子が変化するのだと思われますが、多分、過去の人類もそのような突然の遺伝子変化を経験して現在に至っているのだと考えますと、これから先にもそれは起きるはずです。
人類の進化が起きるとしても、環境適応の進化ではあまりにもゆっくりとしすぎて、進化する前に地球環境崩壊や、あるいは小氷河期の突入などで、人類文明が終焉してしまう可能性さえあります。
しかし、遺伝子レベルでの「突然」の、そして根本的な人類の変化(進化)が起きるのならば、人間はこの後の厳しいかもしれない未来をも生き抜いていけるのかもしれません。
いずれにしても、今回のフィラエの「休眠前の戦い」に敬意を表し、フィラエがふたたび眠りから目覚めて稼働を始めることを祈っています。
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宇宙の中の地球
2014年11月17日
2013年7月にジンバブエに3体落下した所属不明の物体
▲ 2013年7月22日のジンバブエのメディア Bulawayo24 より。
彗星に定住するフィラエのこれからを考えていると
最近は、太陽や彗星などの宇宙関係の記事が多かったんですが、探査機ロゼッタがチュ…………チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に子機を着陸させることに成功しました。
しかし、着陸させるにはさせたんですが、予定していた着陸地点から跳ねてしまって、太陽の光があまり届かない場所に着地してしまい、「休眠状態」となったことを先日の記事「彗星の正体の判明はどうなる?」で書きました。
眠れる彗星上のフィラエ(名称の由来は、ナイル川のフィラエ島という島の名前だとか)は、現在は下のようなまま眠りについているようです。
・ESA
この写真は、フィラエが休眠前に自身に搭載されているカメラで自画撮りしたもので、この後しばらくして、フィラエは眠りにつきます。
……と、ふと思ったのですが、仮にこの後、フィラエが眠りから目覚めることがなかった場合、
「ずっとこのチュ何とか彗星の上に居続ける?」
と思ったのです。
地球の人類の探査機を表面にくっつけたまま秒速 30キロメートルで宇宙空間を突き進む彗星……。
ちなみに、フィラエの投下以降の探査機ロゼッタのミッション予定を Wikipedia で見てみますと、
2014年11月12日:彗星への着陸機フィラエの投下および着陸。
2014年11月-2015年12月:太陽を周回する彗星の活動状況を観測。
2015年12月31日:ミッション終了予定。
となっていて、「フィラエを回収」という項目はミッションにはないようですので、眠っていようが起きていようが、フィラエは彗星に置きっ放しということになるようです。
しかし、ふと「これまで、人類は、太陽系の様々な惑星にどれだけいろいろなものを放置させてきているんだろう」と思いまして、宇宙探査機の一覧 - Wikipedia を見てみますと、1966年に旧ソ連の「ベネラ3号」という無人着陸機が、ミッション自体は金星に衝突して交信が途絶したために失敗ということになるのですが、「地球以外の惑星に衝突した初の宇宙探査機」となりまして、それ以来、どれだけの惑星に衝突したり、着陸したりしてきたことか。
初めて地球以外の惑星に接触(衝突)したソ連のベネラ3号
・NASA SSDC Master Catalog Search
なお、惑星ではなく、「天体との初の接触」であるならば、ベネラ3号より7年前に、やはり、ソ連が「ルナ2号」という月面無人探査機の着陸(というか月面に衝突)に成功しています。
初めて月に接触(衝突)したソ連のルナ2号の着陸艇
・Luna 2
このルナ2号が「月の表面に到達した最初の宇宙船」ということになるのですが、その衝突の破壊の規模にもよりますが、機体の破片や部品は今でも月面に散らばっているのかもしれません。
月着陸に関係するミッションは歴史も古く、数も非常に多いのですが、月へのミッションのうち、
月面に衝突した機体の破片や、探査機そのものが月面にいまだに残されていると考えられるミッション
を月の探査の歴史 - 月探査機より抜粋してみました。
なお、アポロ計画は含めていません。
有人月着陸計画については、先日の記事、
・人類は本当に「ヴァン・アレン帯を通過して月に行ったことがあるのだろうか?」という疑問を各地で噴出させている NASA の次世代宇宙船オリオンのミッション
2014年10月31日
を書いているうちに、どうも「有人宇宙旅行」というものへの疑念というのか、モヤモヤしたものが心の中に広がっていますので、アポロ計画については除外します。
月探査のうち、実際に月面に着陸するミッションの種類としては、
・インパクター(その天体の成分などを分析するために衝突させる)
・ランダー(着陸して天体を探査する)
・サンプルリターン(着陸した天体の試料を採取して地球に持ち帰る)
があります。
ここに抜粋したものは、ミッションが成功しようが、失敗に終わろうが、「月面に機体そのものか、あるいは衝突などで破壊したのなら、その断片などが残っている可能性のあるミッション」だけを抜粋しています。
月に人工物を残したままの可能性のあるミッション一覧
ルナ2号 ソ連 1959年9月14日
インパクター 成功 月に初衝突。
レインジャー4号 NASA 1962年4月26日
インパクター 失敗 月の裏側に衝突。データは地上に送られなかった。
レインジャー6号 NASA 1964年2月2日
インパクター 部分的成功 衝突したが、電力の問題により写真は地上に送られなかった。
レインジャー7号 NASA 1964年7月31日
インパクター 成功 衝突まで画像を地上へ送信。
レインジャー8号 NASA 1965年2月20日
インパクター 成功 衝突まで写真を地上に送信。
ここまで抜粋して、あとの数も大変なものがあることに気づきまして、ここからは羅列とさせていただきます。
・レインジャー9号 NASA 1965年3月24日 インパクター
・ルナ5号 ソ連 1965年5月12日 ランダー 月に激突
・ルナ7号 ソ連 1965年10月7日 ランダー 月に激突
・ルナ8号 ソ連 1965年12月6日 ランダー 月に激突
・ルナ9号 ソ連 1966年2月3日 ランダー 世界初の月への軟着陸
・サーベイヤー1号 NASA 1966年6月2日 ランダー アメリカ発の軟着陸
・サーベイヤー2号 NASA 1966年9月23日 ランダー 月に衝突
・ルナ13号 ソ連 1966年12月24日 ランダー 成功
・サーベイヤー3号 NASA 1967年4月20日 ランダー 成功
・サーベイヤー4号 NASA 1967年7月17日 ランダー 月に衝突
・サーベイヤー5号 NASA 1967年9月11日 ランダー 成功
・サーベイヤー6号 NASA 1967年11月10日 ランダー 成功
・サーベイヤー7号 NASA 1968年1月10日 ランダー 成功
・ルナ15号 ソ連 1969年7月21日 サンプルリターン 月に衝突
・ルナ17号 ソ連 1970年11月17日 ランダー 成功
・ルノホート1号 ソ連 1970年11月17日 ローバー 成功 10 km走破
・ルナ18号 ソ連 1971年9月11日 ランダー/サンプルリターン 月に激突
・ルナ21号 ソ連 1973年1月15日 ランダー 成功
・ルノホート2号 ソ連 1973年1月15日 ローバー 成功
・ルナ23号 ソ連 1974年11月6日 サンプルリターン 着陸時に損傷
・ルナ・プロスペクター NASA 1998年1月 オービター(水の存在を確かめるため極に意図的に月に衝突させる)
・MIP インド宇宙研究機関 2008年11月14日 インパクター 成功
・エルクロス NASA 2009年10月9日 インパクター 成功
・嫦娥3号 中国航天局 2013年12月2日 ローバー 成功
ソ連とアメリカが、それぞれ初めて月に着陸を成功させた無人探査機は以下のような形状のもののようです。
このように形が残っている着陸機や走行機が、昨年の中国の月探査機「嫦娥3号」を含めて、そして、仮にアポロの着陸機があるなら、それも含めると十数台のこういうようなものが月面に放置されていると思われます。
他にも、月に衝突して破壊された機体も多いようで、地球の宇宙計画はいろいろな置き土産を広範囲にばらまいているようです。
それにしても、上のような探査計画すべてを合わせると、一体どれだけの費用が使われたのだろうと思うと共に、「これらの探査から人類は何を得たのだろう」とも少し思います。
果たして、これらの、特に月探査の成果とは一体何だったのか。
月の探査を何度も何度も繰り返したことが、数十年後の今の私たちの生活に何か役に立っているのかなあ……とは思います。これに関しては「いろいろな考えや想像」も湧いてきますが、しかし、その話は今回はいいです。
そういえば、11月16日のロシアの声の「宇宙の謎の前に人類はまだ無力」というタイトルの記事は「宇宙には3つの謎がある」という奇妙な記事なんですが、最初のふたつの謎は記事をお読みいただくとして、この記事に下のような奇妙な記述がありました。
「宇宙の謎の前に人類はまだ無力」より
3つ目の謎は、月の表面に送られたロシアの探査機だ。このロシアの探査機は、すでに25年にわたって活動を続けている。探査機のバッテリーの寿命は6ヶ月のはずだった。探査機は反応しなくなったが、その後、再び稼働のシグナルを発信し、未だに月の表面を移動し続けている。誰が、そして何のためにバッテリーを交換したのだろうか?
「25年前の月の探査機?」と、計算してみると、25年前は 1989年頃で、その頃はドイツではベルリンの壁が崩壊していたりして、そろそろソ連崩壊(1991年)への道を辿り始めている頃で、もはやソ連に宇宙計画などなかったのではないかと思って見てみますと、ソ連の無人月探査計画は「ルナ計画」と呼ばれていて、このルナ計画の最後の月探査計画は、 Wikipedia によりますと、
> 1976年8月にルナ24号が月の土壌を地球に送り届け、これをもってルナ計画は終了した。
とあり、38年前にはソ連の月探査計画は終わっていたことになります。
さらに、このルナ24号は「月の土壌を地球に送り届け」とありますので、地球に戻ってきているようですのでロシアの声の記事の内容には該当しません。
また、ロシアの声の記事には、「未だに月の表面を移動し続けている」という表現がありますが、月面を走行させたソ連の探査機は、月の上を10キロメートル走行したローバー「ルノホート1号」となると思いますので、ロシアの声はこのことを言っているのかなあ……。
ルノホート1号 - Wikipedia
ルノホート1号は、ロシア語で「月面を歩く者」という意味を持つ、ルノホート計画の一環としてソビエト連邦により史上初めて月に送られた2機の無人ローバーのうちの1機である。ルナ17号によって月に運ばれた。ルノホートは、史上初めて他の天体の上に到着した遠隔操作可能なロボットである。
とありますが、「ルノホート1号が今でも動いている」というようなニュースは、自分で探した分には見当たりませんでした。
ロシアの声の奇妙な記述は一体何を指しているのですかね。
ただ、このルノホート1号に関して、 NASA の 2010年 6月のニュースで、下のような記事を見つけました。この写真の昔のSF映画に出てきそうな、あるいは未来のベビーカーみたいな乗り物が、無人走行機ルノホート1号です。
▲ 2010年6月3日の NASA サイエンスニュース Old Moon Rover Beams Surprising Laser Flashes to Earth より。
これは、40年経った今でもルノホート1号がレーザー光線を発している……という意味ではなく、「反射光」のことなのですが、
> 驚いたことに、月面上のどの部位よりも高い反射率を測定した。
というほど激しく月の上で反射光を発し続けているようです。
まあしかし、いずれにしても、ミッションが終わったこれらの探査機たちは、科学的な過去の資料としての意味は大きくても、その多くは廃棄物ではあります。
回収できるものではないし、これらの月探査機も、あるいは火星のローバーたちにしても、その星で朽ちるまで放置されているということになりそう。
でも、最近の探査機は頑丈に出来ていて、下手すると数千年単位で残るものもありそうです。
そんなわけで、チュ……(がんばれ)チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の上の無人着陸機フィラエの「これからの人生」を考えているうちに、いろいろと変な展開となってしまいました。
ところで、冒頭のニュースもそうですが、この宇宙からのゴミというのか、場合によっては正体不明の落下物は地球の上でも非常に多く見られます。
地球へ落ち続ける宇宙ゴミ
2011年12月にはアフリカのナミビアで奇妙なものが空から落ちてきたというニュースを記事でご紹介したことがあります。
2011年にナミビアに落下した物体
そして、2012年の 2月には、ブラジルで同じような形のものが落下してきました。
そのことについては、
・ブラジルで謎の物体が爆発音と共に落下
2012年02月27日
という記事でご紹介させていただいたことがあります。
このような形状をした落下物は、多くが、人工衛星などに搭載されている「複合外装圧力容器」 (COPV)いうものだと思われています。COPV の形状は様々ですが、下のような丸い形のものが落下すると、上のナミビアのような物体になるのかもしれません。
・NASA
COPV の落下例は多く、普通は落下すると下のような感じとなることが多いようです。
このような例が、COPV だけではなく、世界では非常に頻繁に起きています。
不思議なことに、宇宙からの落下物での負傷などの報道を聞かないですが、今回は過去に実際にあった「宇宙からの落下物」の写真を英国ガーディアンや Oobject などの記事からご紹介します。
基本的に場所と写真だけとなりますが、本当によく落ちています。
南アフリカ ケープタウン 2000年
米国ユタ州 2004年
米国テキサス州 2003年
フランス領ギアナに落下した宇宙ロケットの破片
サウジアラビアに落下したCOPVっぽい物体
まあ、キリがないんですが、どうしてこういう落下物が気になるかといいますと、今、地球の周りには宇宙ゴミが下のように、無数なようにも見えるほど地球の周囲を飛び回っているのです。
・Guardian
欧州宇宙機関によればその数は1万2000個とのこと。人工衛星などの、日々の生活に重要なもののための宇宙ゴミも多いとはいえ、よくぞここまで増やしたものだと思います。
地球とか太陽系とかの「重力」が何かおかしなことになった場合、上の写真のような浮遊物体たちが「雨あられと降ってくる」……なんてことはないですよねえ。
今でも降ってはいるわけですけれど。
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宇宙の中の地球
2014年11月14日
史上初の彗星への着陸を果たした欧州宇宙機関の探査機ロゼッタの子機が着陸したチュラメシンコ・グラメサテ彗星・・・・・ああ何か違う、と資料を見てみると、ああ惜しい。
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星でした。
ところで、この難しい名前の彗星、「漢字だけの中国語ではどう書くんだろう」と思い、香港のメディアを見てみますと「楚留莫夫 格拉希門克 彗星」と書くようです。こちらも覚えるのに苦労している中国人が多いと見ました。
▲ 2014年11月14日の香港メディア apple.nextmedia.com より。
この記事のタイトルの「探査機が停電に陥る可能性」については後のほうで書きますとして、この「彗星への着陸」という(多分)記念すべき出来事に際して、これまでの In Deep の「彗星との関わり」をしみじみと思い出します。
見たり観測する対象としての彗星ではなく、「地球に生命をもたらした天体としての彗星」として、何度も書かせていただいたことがあります。
それにしても、上の香港の報道の写真のキャプションにある「生命の起源の謎の解明へ」というようなものを見ますと、結局は「彗星と地球の生命の関係」は、現代宇宙学の「隠れスタンダード」になっているのだなあと改めて思います。
彗星の意味を改めて振り返る
このブログの初期からのメインテーマのひとつに、
地球の生命は彗星が運んできた。
という説に対しての理論的な追求というものがありました。
しかし、長らく、その証明法は地球上からの観測と分析によるものでしかなかったのですが、この数年の間に状況は変わってきました。
2010年 11月4日には、NASA の探査機ディープインパクトが、ハートレー第2彗星( 103P/Hartley 2 )の中心核から約 700 キロメートルまで近づき、史上初めて「彗星の中心核の正確な写真」を撮影することに成功しました。
・Spaceweather
このハートレー第2彗星は、地上から観測すると、下のように青く光って見えます。
・GITZO
この青い光の「核」はさきほどのような不思議な形をしたものだったのでした。
彗星が実際にはどのようなものなのかということに関しては、核の形状も、その組成も含めて、長い間、正確なところはわからないままでした。
しかし、科学者たちの推測としての「何か無機的な氷のかたまり」というような考え方が長く主流で、たとえば、彼らが彗星を「汚れた雪だるま」という呼び方をしていたこともそれをあらわしていると思います。
どうしてそのように呼ばれるかという理由は、国立天文台の彗星とはどのような天体かに下のようにあります。
彗星の主成分は水(氷)で、表面に砂がついた「汚れた雪だるま」にたとえられます。太陽に近づくと、その熱で彗星本体(核)の表面が少しずつとけて崩壊します。
しかし、これはあまり正しい表現ではないことが、今回、チュ何とか彗星(省略すな)に着陸した欧州宇宙機関( ESA )の探査機ロゼッタの過去の観測でわかってきていました。
下は、2005年、つまり今から9年前の ESA のサイトの記事です。
▲ 2005年10月12日の欧州宇宙機関ウェブサイトより。
ロゼッタは 2004年に打ち上げられましたが、上の記事では、2005年にロゼッタが、テンペル第1彗星という彗星から放出された「ダスト(塵)と水の質量の比率」の計測について記されています。
その観測結果は、ダストの比率が氷より多いことを示し、「汚れた雪だるま」というより「凍った泥の玉」というほうが適していることを示していました。
ちなみに、英国カーディフ大学の研究チームのハレー彗星の観測と分析により、「彗星のダストの成分は、大腸菌と近い性質」だと判明しています。
▲ チャンドラ・ウィクラマシンゲ博士らのチームによる 1986年のハレー彗星の際のスペクトル分析データ。2011年05月07日の記事「宇宙塵自身が生命であることに言及した 100年前のノーベル賞学者の実験」より。
しかし、このことは書くと長くなりますので、上にリンクした記事をご参考いただければ幸いです。
その5年後、さきほどご紹介しましたように、NASA は、彗星の「核」に撮影に成功します。科学者たちは、その時に初めて彗星の核の詳細な画像を目にしたのでした。
過去記事の、
・NASAの探査機ディープインパクトがハートレー彗星の中心核の近影に成功
2010年11月05日
には、NASA の担当者たちの会見の内容を以下のように記しています。
彗星は、ダンベル形をしており、端側には起伏が多く、中央部分は滑らかになっていることに注目した。起伏の多い部分は、地球での間欠泉などが噴射している特定の地形などと似ているような感じだ。
比較的滑らかな表面の彗星の中央部は、広い地形の上に何かほこりのような細かい物質が集まり、それで覆われているかのように見える。
研究者たちは、彗星が活発な活動を継続し続けていることに驚きを表明した。彗星は、夜側の面でさえガスが激しく噴出しており、氷が太陽の熱から彗星を保護する役割を持っていた。
上の説明からわかるのは、彗星は「激しい活動を続ける天体」であり、「動的」で「生命的」である天体であるということです。そこが小惑星との決定的な違いです。
地球の生命は彗星が運んできた
この「地球の生命は彗星が運んできた」という説は今はそれほど特別な説ではなく、ここ数年で数多くの研究論文などが出されていまして、たとえば、米国エネルギー省が所有するローレンス・リバモア国立研究所の科学者たちは、2010年に「原始の地球に衝突した彗星がアミノ酸を生産した可能性」についての論文を発表しました。
このことは、
・[彗星が地球に生命の素材を持ってきた]米国ローレンス・リバモア国立研究所でも地球の生命が宇宙から来たアミノ酸だという研究発表
2010年09月16日
という記事に、デイリーギャラクシーの記事を翻訳していますので、ご参考いただければ幸いです。
この記事には、パンスペルミア説(地球の生命は宇宙に由来するという考え方)研究の第一人者だったフレッド・ホイル博士(2001年に死去)と共に 1980年代から彗星と生命の研究を続けた人物で、現在は英国カーディフ大学の教授であり、アストロバイオロジーセンターの所長であるチャンドラ・ウィクラマシンゲ博士の以下の言葉が掲載されています。
「彗星に関しての驚くべき発見が続いているが、これらは、パンスペルミア説に対しての議論を補強している。我々は、それがどのようにして起きるのかというメカニズムも解明しつつある。土、有機分子、水 、の生命に必要な要素がすべてそこにある。数多くある彗星たちは確実に地球の生命に関与している」
2013年9月には、英国シェフィールド大学の研究チームが、「上空 25キロメートルの成層圏に気球を上げ、生物の存在の有無を確かめる」という実験をしました。上空 25キロという高さは、地上から上昇される生物の存在を考えがたい高さとなります。
この実験の報道については、
・パンスペルミア説を証明できる実験が数十年ぶりにおこなわれ、成層圏で宇宙から地球への「侵入者」が捕獲される
2013年09月23日
という記事を書きました。
その実験では上空 25キロメートルの成層圏で、下の写真の珪藻(ケイソウ)という単細胞生物などを回収しました。
この上空25キロメートルというのは、火山噴火でも、そこまで気流を浮上させるのは無理な高さで、シェフィールド大学の分子生物学者のミルトン・ウェインライト教授は、
「このような大きさの粒子が地球から成層圏まで運ばれることが可能なメカニズムは地球には存在しないため、この生物学的存在は宇宙由来であると結論付けることができます。私たちの結論は、生命が絶えず宇宙から地球に到達しているということです」
としています。
この時は上空 25キロメートルの実験ですが、実は 1960年代にはアメリカで、そして 1970年代には旧ソ連で、「さらに高い上空において微生物を回収」しているのです。
下の図が示しますように、地球の大気構造は下から上へは上がりにくいということを考えますと、上層大気で「生きたバクテリア」が回収されるという理由は、当時の科学的定説(宇宙から地球に生命などは来ていない)では説明が難しいところです。
・過去記事より。
アメリカは高度 40キロメートルの上空で回収実験を行い、ソ連は高度 50キロメートルの上空で回収実験を行っていますが、そのうちのアメリカ NASA の実験について記されているフレッド・ホイル博士の著『生命(DNA)は宇宙からやってきた』から抜粋します。
『生命(DNA)は宇宙からやってきた』 第2章「地球大気へ侵入する彗星の物質たち」より
1960年代には、アメリカの科学者たちが高度 40キロメートルまで気球を飛ばして、成層圏にバクテリアがいるかどうか調査した。その結果、ごく普通のテクニックで培養できる生きたバクテリアが回収され、実験者を当惑させた。
さらに問題だったのは、バクテリアの密度分布だった。成層圏の中でも高めのところでは、1立方メートルあたり平均 0.1個のバクテリアがいて、低めのところでは 0.01しかいないという結果になったのだ。
高度が高いほど多くのバクテリアがいるという結果は、バクテリアが地上から吹き上げられたと考える人々が期待していたのとは正反対の傾向だった。不思議な結果に、研究資金を出していたNASAはこれを打ち切ってしまった。
これは、要するに、
・高度が高くなればなるほど(宇宙に近くなればなるほど)バクテリアが多く回収された
上に、
・それらは生きていた
ということを示し、今思えば、その時代の科学的概念を覆すような実験結果だったのにも関わらず、
> 不思議な結果に、研究資金を出していたNASAはこれを打ち切ってしまった。
のでした。
当時の NASA が、科学的な新しい発見よりも、「当時確立されつつあった既成観念(生命は地球の原始の海で偶然発生した)」を優先していたことがわかります。
この NASA の態度は今でも続いているように思います。
ただ、これに関しては陰謀論で語られることも多いですが、まあ、それもあるのかもしれないですけれど、私自身は、陰謀というより「保身」という面を強く感じます。 NASA に在籍している多くが科学者という「職業」を持つ人たちであり、学会的常識に逆らう結果は出したくないはずです。
まあしかし、その話はいいとして、上記した英国シェフィールド大学の高層大気圏での生物回収実験の少し前、米国カリフォルニア大学バークレー校の化学者たちが、「生命の分子などの構造は、宇宙の星間での氷の塵の中で形成された後、地球へともたらされたかもしれない」という観測結果を発表し、
「彗星は、複雑な分子の温床となりうる。そして、彗星は地球に衝突した際に、これらの分子、あるいは「生命の種」を地球にばらまいている可能性がある」
と発表しました。
カリフォルニア大学の科学者たちが「星間雲で形成され得る可能性がある物質」としたものは以下の通りです。
・Daily Galaxy
それぞれ文字に起こしますと、
メチルトリアセチレン
アセトアミド
シアノアレン
プロペナール
プロパナール
シクロプロペノン
メチルシアノジアセチレン
ケテンイミン
シアノメチレン
となり、何がどういう作用の物質だかわからないですが、これらはアミノ酸を作り出すために必要なものらしいです。
これらを含めた様々な「生命の部品」を彗星が運んでいるという学説が、最近では亜流ではなく、主流となってきているのが現実ですが、教科書が書き換えられるところにまでは至ってはいません。
それには「明確な証拠」が必要です。
今回のロゼッタのミッションはその可能性を「多少は」帯びたものだと思います。「多少は」と書いたのは、「彗星の内部深くまでは調べられないため」です。
彗星にバクテリアなどが生きた状態で存在するとすれば、凍結した上に温度変化の少ない彗星の内部でなければ無理です。基本的に微生物は、絶対零度(マイナス 273℃)などの超低温になっても死にませんし、むしろ長く保存されます。
これは、たとえば、精子の保存を考えるとわかりやすいと思います。これは動物の精子の保存についでてすが、高知大学農学部のサイトの、
細胞や組織を−196℃の液体窒素の温度に冷却すると、(略)生存させたまま半永久的に保存することができます。
というように、大型生物は無理でしょうが、気温が低い中では微生物なら事実上永久に保存されます。
幸い宇宙空間はそのような気温(マイナス 270℃)の場所で、「小さな生命の保存場所としては最適」の空間ですが、太陽などの近くを通る時には、彗星の表面温度が激しく変化しますので、彗星の表面は生命の居場所としては適しません。
そんなこともあり、表面だけの調査は、パンスペルミア説の証明にとってはそんなに意味があるわけではないというのが正直なところですが……それでも、探査機ロゼッタをチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に向かわせたミッションに、彗星と生命の関係の調査が含まれることは確かだとは思います。
もっとも、昨日の、
・探査機ロゼッタがチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星から受信した「謎の信号」をめぐり展開する様々な説
2014年11月12日
の中でご紹介した Examiner の記事のように「彗星から発信されている信号とエイリアンの存在に関しての陰謀論」的な話もあるわけですが、そういうことについては私には何ともわかりません。
ただ、彗星というのは、一般的に秒速30キロメートルという途方もないスピードで飛行しているわけで、30キロメートルを1秒間で進んでいるような小さな物体の表面で高等生物がどうのこうのしようとするのは難しいかなとも思います。
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は直径が最長部分で4キロメートルしかなく、そのように小さな天体ですので、重力は「地球の10万分の1」しかなく、ロゼッタの子機もそんなところによく着陸などできたなあと思いますが、日本のはやぶさが 2005年に着陸した小惑星イトカワはさらに小さな天体だったわけですし、できるものなのだなあと。
しかしミッションがうまくいかない懸念が発生
さきほど、パソコンに「ちゅ」と打ち込めば、「チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星」と変換される単語登録をしまして、順調に彗星の名前も書くことができていますが、こういう便利な機能を使えば使うほど、「本質的にはいつまでも覚えない」ということもわかってはいます。
さて、いずれにしても、無事、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に子機を着陸させたロゼッタですが、最初のほうの香港の記事にありますように、太陽電池の充電がうまくいかず、探査に影響が出る可能性が出ています。
ロゼッタは、フィラエという名前の子機を着陸させたのですが、フィラエの着陸の際、機体がバウンドしてしまって、そのため、機体は崖状になったクレーターの縁に着陸してしまいました。
予定していた着陸点と、現在の位置としては下のような状況になっていると考えられています。
・Earthfiles
この位置は陰に入る時間が多いため、現状、太陽電池で十分に発電できていないということのようです。 ESA によりますと、本来、このロゼッタの子機フィラエは、毎日6〜7時間の太陽光を必要とするらしいのですが、現在の位置では日に1時間半程度の太陽光しか受けられないのだそう。
フィラエのオペレーション責任者のコーエン・ゲウルツ( Koen Geurts )博士は、会見で、
「現在、私たちはこれが近い将来のミッションにどのように影響するのかを計算しているところです。今のところ私からは多くを語ることはできませんが、ただ、残念ながら、これは私たちの期待していた状況ではありません」
と語っています。
フィラエがチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星からデータを送信できなければ、彗星の表面の詳細な分析データは得られない可能性もあります。
この彗星の成分に関しては、過去記事にも書きましたように、匂いなどでも多少想像つく部分がありますが、その詳細がわかれば、彗星という存在に対しての考えが変わる転換点になる可能性もあると思うのですけれど、多少、微妙な状況となってきているようです。
それとも、人類という存在は、「自然摂理の真実」を知らずに生きていたほうがいいと考える「見えざる力」が、フィラエにかかったりしたのかもしれませんけれど。
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宇宙の中の地球
2014年10月31日
新型宇宙船オリオンのミッションの説明から湧き出る疑念
今年の 12月に NASA は、オリオンという有人宇宙ミッション用の宇宙船のテスト発射をおこないます。テスト飛行は「無人」でおこなわれます。
下のような形のものです。
・SORAE
このことについては、すでに日本でも報道されています。
アポロ似の次世代宇宙船「オリオン」公開 NASA、12月に初飛行
産経ニュース 2014.09.12
12月に初の無人飛行に挑む米航空宇宙局(NASA)の次世代宇宙船「オリオン」の試験機が11日、米フロリダ州のケネディ宇宙センターで報道関係者に公開された。
オリオンは2020年代以降に火星や小惑星への有人飛行実現を目指しNASAが開発中の4人乗り宇宙船。12月4日に予定する試験飛行では飛行士を乗せずにデルタ4ロケットで打ち上げ、地球を2周し太平洋に帰還する計画。
NASA は 10月初旬に、このオリオンについての説明動画を YouTube にアップしました。
しかし、これを見ているうちに、私もそうなんですが、多くの人が、
「?」
と思うような説明がクライマックス的に取り上げられていることに気づきます。
それは、下のような説明と共に語られる部分です。
ヴァン・アレン帯とありますが、NASA のこのビデオに登場する人は、「ヴァン・アレン帯がいかに危険なエリアで、そこを2度(行く時に通過して、戻ってくる時も通過するという意味)も通過することが今回の飛行の中でどれだけ重大なことか」ということを熱弁します。
この NASA のビデオは YouTube の、
・Orion: Trial By Fire
にあり、3分ほどのものですが、その中からその「ヴァン・アレン帯についての説明」の部分をピックアップします。字幕をつけたかったのですが、時間的に余裕がなく、英語のままですが、内容は上記しましたように、
「放射線の多い危険なヴァン・アレン帯を通過することがいかに重大か」
ということについて語っているもので、音楽も含めての「盛り上がり方」をご覧頂きたいと思いました。音楽もオリジナルのままで手は一切加えていません。
この NASA の方がかなり熱く「ヴァン・アレン帯の通過ミッション」を語っているということがおわかりかと思います。
この熱弁ぶりを見ますと、今回の無人テスト飛行の重要なミッションのひとつに、「危険なヴァン・アレン帯による宇宙船の機器へのダメージの度合いを確かめる」というものがあると考えても不自然ではない気がします。
それはそれでいいのですが……何となく違和感を感じていました。
そして、その違和感は、このビデオのコメント欄のトップにあるコメント(つまり、最も評価の高いコメント)を書いた人の持つ違和感と同じものでした。
このビデオを見た後、私は、これまで月へのすべての有人飛行が果たして本当にあったのだろうか、と本気で疑ってしまった。
ここにあるようなテクノロジーが、1950年代や 1960年代にあったとは私にはどうしても信じられない。そして、1969年の月面着陸時の時にも。
この NASA のビデオは、宇宙船にヴァン・アレン帯を通過させて地球に戻ってくることが非常に重大で深刻なミッションであることを語っているが、1960年代にこのような高度な技術やコンピュータが存在していたわけがない。
「なるほど……」と私もちょっと同調しそうになりました。
しかし、この意見に完全に同調してしまいますと、
「これまでヴァン・アレン帯をこえて宇宙に行った人類はいない」
という類の話を肯定してしてしまうようなことになってしまい、つまり「月にさえ誰も行っていない」というような、極端な陰謀論者扱いをされかねませんので、まあ、一応は「そう思わざるを得ない部分もないではないというように思わないでもないという部分も少しある」という程度にしておきたいです(ああ、まどろっこしい)。
個々の説明をしておきますと、ヴァン・アレン帯というのは、 Wikipedia から抜粋しますと、
ヴァン・アレン帯とは地球の磁場にとらえられた、陽子、電子からなる放射線帯。
です。
・オリジナル図版はWikipedia
さらに Wikipedia には「ヴァン・アレン帯と宇宙飛行」という項目があり、
過去には、宇宙船でヴァン・アレン帯を通過すると人体に悪影響があり、危険だとされていたが、今では通過時間がわずかであり、宇宙船、宇宙服による遮蔽や防護が可能なことから、ほとんど問題はないと言われている。
とあります。
ここにあるように、すでに現在の宇宙科学技術では、
> ほとんど問題はないと言われている。
というにも関わらず、上の NASA のビデオでは、
ヴァン・アレン帯を通過させて地球に戻ってくることは非常に重大なミッションである。
というように見てとれるのです。
要するに感じたことというのは、すでに過去に確立して、今ではなんともないテクノロジーならこんなに力説しないのでは? という単純な疑問なのです。
そして、もうひとつの気になる理由としては、アポロ計画陰謀論でも、この「ヴァン・アレン帯」について論争のネタとなっていたことがあるということもあります。
ヴァン・アレン帯「通過不可能」論は本当に過去の仮説なのか
「アポロ計画陰謀論」については今ではそのことを知らない人の方が少ないと思いますが、アポロ計画陰謀論 - Wikipedia の中に数多く羅列されている「捏造派の主張」と「それに対する反論」のリストの一覧の中に以下があります。
捏造派の主張
月へ往復する際、ヴァン・アレン帯(1958年発見)と呼ばれる放射線帯を通過する必要があるが、1960年代の技術でそれを防げたのか。
それに対する反論
ヴァン・アレン帯の成分は陽子と電子である。かつては確かに放射線が宇宙飛行士へ障害を及ぼすのではないかと思われた時期があったが、その通過時間が短いことや、宇宙船および宇宙服でほとんどが遮断できるため、大きな問題とはならない。
ということで、現在では、この「ヴァン・アレン帯通過不可能論」は 1960年代に立てられた仮説であり、実際には人体にも機器にも影響はないというのが現在の説の主流となっています。
そんな 50年も前に確立していた技術に関して、2014年の現在、 「何と、オリオンはヴァン・アレン帯を2度も通過して地球に帰還するのです」と、さきほどのように力説している。
今回のオリオンは「無人テスト飛行」ですので、NASA のビデオでそのテクノロジーを喧伝しているのは、人間への影響ではなく、「機材への影響」だと思われます。
ヴァン・アレン帯の成分は陽子と電子だそうですが、これらはいわゆる「放射線」のわけですが、それらは生物への影響はともかく、機器にどんな影響を与えるのかというと、放射線 - Wikipedia によりますと、
放射線は生物だけでなくコンピューターにとっても有害であり、コンピューターは放射線を浴びることによってソフトウェアがエラーを起こしたり、半導体としての機能が失われたりする。人工衛星は宇宙空間で被爆することを前提として高い放射線耐性のあるシステムで作られている。
ということですが、ヴァン・アレン帯は二重構造(時に三重構造)となっていて、その構造をもう少し詳しく書きますと、下のようになるようです。
二重構造のうちの内側の帯(上で赤く示された部分)は赤道上高度 2,000〜 5,000キロメートルに位置して、外側の帯は 10,000〜 20,000キロメートルに位置する帯(上でグレーで示された部分)となります。
長期滞在クルーが搭乗している ISS (国際宇宙ステーション)は、地球から 350〜 400 キロメートルの高度を軌道周回しているので、ヴァン・アレン帯よりはるかに低い場所を飛行しているため、ヴァン・アレン帯の影響は受けないようです(それでも搭乗員たちは相当量の放射線を浴びています)。
NASA のオリオンは、「放射線の海」ともいえそうなヴァン・アレン帯の中を突っ切っていくわけですが、しかし、今から 46年前にはアポロ8号が3人の宇宙飛行士を乗せて、つまり有人飛行で、「人類初めての月周回飛行」をおこなって地球に帰還しています。
アポロ8号が撮影した「月面から見た地球」
月へ行くには、ヴァン・アレン帯を突き抜けていくしかないわけですが、アポロ8号 - Wikipedia によりますと、
アポロ8号の乗組員たちは、ヴァン・アレン帯を通過した初めての人類となった。
科学者たちはヴァン・アレン帯を宇宙船が最高速で急速に通過すると、胸部撮影のレントゲン写真で浴びるのと同程度の 1ミリグレイ程度のX線を被曝するのではないかと予想していた (人間が1年間で浴びる放射線は、平均で2から3ミリグレイ)。計画終了までに彼らが浴びた放射線量は、平均して1.6ミリグレイであった。
と、放射線を浴びつつも、機体にも人体にも致命的なダメージはなかったようです。
そのように、50年近くも前に「大した問題はなかった」ことが確認されているヴァン・アレン帯通過のミッションを、それから随分と科学技術も進んだ今となって、その重要性を力説している。
それが不思議だな、と思ったのです。
人類が月に行ったかどうかということに関しては、アポロ 15号の撮影した月面の光景と、日本の月周回衛星「かぐや」が撮影した月面の写真の同じ場所での地形の一致が確認されていることなどから、すべてのアポロかどうかはともかくとして、「月に行った」ということは間違いない……と私は思っているのですが……。
アポロ15号が月面着陸した場所から撮影した写真(1971年7月)
月周回衛星「かぐや」が撮影した月面(2008年7月)
・Univers Today
このように、確認が取れてはいるのですが……しかし。
宇宙探検は夢やロマン以上にはならない?
先日の記事の、
・人類は宇宙へは行けないし、異星人たちも地球には来られないことを悟る中、人々から「神の存在が消えていっている」ことも知る
2014年10月29日
で書きましたが、ヴァン・アレン帯よりはるかに低い高度で宇宙活動をしている国際宇宙ステーションの搭乗員たちでさえ、JAXA によりますと、
> 乗務員の1日の被ばく線量は地球上での約6ヶ月分に相当する。
わけで、ヴァン・アレン帯を無事に通過したとしても、その先に拡がるのは、国際宇宙ステーションが受けているよりはるかに強力な宇宙放射線が飛び交う宇宙空間です。
宇宙船の中にいるだけでも、相当な放射線を浴びることは避けようがないと思われます。
まして、「月面に降り立ち、調査をおこなう」というのは、そんな中を、つまり、ほとんどストレートにも近い宇宙放射線の中を宇宙服だけで船外活動を行う……ということが、どれだけ人体にダメージを与えることなのか。
今回のことを調べていた時に、そこに書かれてあることが正しいのかどうかはわからないですが、ゼンマイ仕掛けの祈祷師という記事に下のような記述がありました。
太陽風は秒速350km〜700km、で、密度は1立方センチあたり数個から数十個の電子陽子でできています。
つまり、ベータ線感知のガイガーカウンターを、月面や地球の磁気圏外に置くと、CPM(1分間のカウント数)は、数億から数百億になります。
そして、単なる放射性物質由来の電子よりも、高エネルギーを持つ太陽から排出された電子なわけで(中略)
毎時、毎分かどうかさえ、もう関係ない数値です。
そんな環境下をクリアできる装備など、昔はもちろん、今でさえありません。
そんな太陽風(フレア)が頻繁に吹き荒れる太陽活動の極大期に、アポロはぺらぺらのアルミの舟でヴァンアレン帯を抜け、磁気圏外であるために太陽風はもちろん、その放射線にさらされつづけた月面の地面の上で、ゴルフボールをスライスさせて喜んでいたわけです。
よくはわからないですけれど、月の表面は「人間が即死するレベルの放射線が飛び交う場所」という意見もあるようです。
しかし、確かに冷静に考えれば、月面の放射線量を想像してみますと、
「月面で船外活動しなさい」
というのは、普通に考えれば、
「宇宙放射線で死になさい」
と言っているのと等しいものなのかもしれないなあ……と思いつつも、それでも、アポロはちゃんと月に行って戻ってきている。
うーん……。このあたりが考えの限界ですね。
あるいはこう考えて自分を落ち着かせる。
「これはきっと夢やロマンの世界なんだ」
そして、
「現実的に考えていけない世界なんだ」
と。
いずれにしましても、先日の記事「人類は宇宙へは行けないし…」では、火星までの放射線量によって人間は火星まで到達することも難しいという最近の研究結果について書いたりしました。
けれども、アポロ計画から 50年ほど経った 2014年の現在もなお、「月よりも近い場所での無人飛行テスト」がおこなわれているという事実は、宇宙に対しての夢やロマンは想像以上に小さなものなのかもしれないです。
ところで、上に記したアポロ8号についての Wikipeida には以下のような不思議な記述があります。
作家のアーサー・C・クラークは著書「2001年宇宙の旅」の2000年版の序文の中で、アポロ8号の飛行士たちが彼に対し「自分たちはずっと巨大なモノリスの発見を無線で伝えようとしていたのだが、理性のほうがまさったのだ」と語ったと述べている。
何が真実で何が真実でないのやら、いろいろとわからないですが、次元やら空間やらが違った世界で起きていることなのかもしれないと観念してみたり。
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宇宙の中の地球
2014年10月09日
最近のユダヤ教やイスラム教の宗教の重要な祝日や祭事が、皆既月食の発生の周辺で起きていることを、前回の記事などで書いていましたが、そのような地球の大地上のイベントの中、「地球の上空」も大騒ぎになっていることを知りました。
それは「地球上空を交差する火球の数」です。
下は、10月 7日の火球観測ネットワークによって観測された火球の数です。
▲ 2014年10月7日の Spaceweather より。
この 173 個という数は、地球の上空で観測される火球の数としては非常に、あるいは、現在の天文学的な状況を考えると「異常に多い」です。
ふつうの場合は、まあ、いろいろですけれど、たとえば、その前日の 10月 6日は下のような感じでした。こういう日が普通で、しかし、このたった1日後には大狂乱状態となるのですから、宇宙はわかりません。
・Spaceweather
この数年、私は、この火球ネットワークに関しては毎日見ていまして、感覚的にはこの「 173個」というのは、1日の数としてはマックスに近い状態だと思います。
上に「異常に多い」と「異常」をつけましたけれど、これは今の時期とも関係します。
つまり、今は地球で観測される流星群が基本的にはない時期だからです。一般的には、地球で火球が多く観測されるのは、「流星群が観測される時」で、そういう時には 100を越えるような火球が観測されます。
たとえば、最も最近で、比較的多く流星を観測できたペルセウス流星群が最大となった 8月 13日の流星の観測数は下のようになっています。
ペルセウス流星群が観測されていた8月13日に記録された火球の数
・Spaceweather
流星群の場合の火球は、母体の方向から同じような軌道を描いて地球上空を通過していきますので、軌道も秩序だっていて、大変美しい軌道を見せてくれますが、この 8月 13日に記録した 163個という火球のうちの 99個はペルセウス流星群によるものでした。
それでも、この時には、ペルセウス流星群とは関係のない「独立した火球」が 61個と、全体として活発だったことがわかります。
この「独立した火球」という書き方は、天文用語として正しいのかどうかわからないのですが、 要するに、「流星群などに属さない、それぞれバラバラの発生源を持つ火球」というような意味で、そう記しています。
冒頭の 10月 7日の火球は、そのうちのほとんどが「独立した火球」ということになるようです。
つまり、「バラバラの発生源から、いっせいに時を同じくして地球めがけて流星がやってきた日」とも言えます。
正確には、173個の火球のうち、169個が「独立した火球」(残る4つのうち、2つが、おうし座南流星群、2つがおうし座北流星群というもののようです)。
そして、その数 169個という数自体が、今年のこれまでの最大級の火球を記録したペルセウス流星群の際の観測数を越えているあたりに「異常な数」という言葉を使った所以です。
それにしても、あらためて、冒頭の流星たちの軌道などを見てみますと、発生源のバラバラな流星たちがこうも見事に地球の上空をかすめて去って行く。
これが「あくまで偶然」であろうと、天体の動きが、常に何らかの「地球上の意味」を示唆してしようと、それはどちらでも構わないのです。いずれだとしても、やはりこんなことに関しても、太陽系全体から見る地球の大きさ(小ささという意味)から見れば、これは奇跡は奇跡のように思えるわけで。
小惑星も賑やかに
火球も上のように派手になっていますが、地球に近い場所を通過していく小惑星(地球近傍小惑星)も、10月に入ってからはとても多く、また「 2014年になってから発見されたものがとても多い」のが特徴です。
下は、10月 1日から、その後の接近が判明している地球近傍小惑星の表です。
・Spaceweather
表で Miss Distance と書かれている欄が「地球へ最も接近すると予測される距離」ですが、ここでは「 LD 」という単位が使われます。 LD は、「地球と月の距離」を意味しまして、 1 LD は、大ざっぱにいえば、約 38万キロメートル程度ということになります。
ですので、上の表の最初にある「 0.3 LD 」というのは、非常に地球に近く接近しそうなイメージを与えますけれど、0.3 LD は 地球から約 11万キロメートルほどもある距離で、このくらいではどれだけ軌道計算に誤差があったとしても、地球に到達する可能性はほとんどゼロです(ただし、何らかの物理的作用で、軌道を変えられない限り)。
そして、この距離の数値が「 0.01 より下」という距離が表示された場合は、あるいは地球に衝突するコースをとっている可能性があります。
たとえば、今年 2014年 1月 1日に発見され、翌日の 1月 2日に地球に衝突した小惑星の軌道は、以下のように表示されていました。
▲ 2014年1月4日の記事「元旦に発見された小惑星はその翌日に地球を直撃した : そんな始まりを告げた 2014年」より。
この小惑星は、幸いなことに直径3メートル程度の非常に小さなものでしたので、地球の大気圏を通過した後、大西洋上空で燃え尽きました。
まあ、そんなわけで、10月に入ってから、今、「地球の上空」がとても賑やかになっているということをここまで書きました。
ところで、この小惑星ですが、最近、
小惑星のひとつが地球の周囲を周回する「新たな月」のような軌道を持った
ことがわかりました。
天文学的には、私たちの地球は、現在、
・ひとつの安定した衛星(月)
と
・3つの準衛星
を持っていますが、ここに新たに非常に安定した準衛星が加わったことがわかったということです。
地球の「複数の月」にまたひとりが加わった
この「地球の複数の月」については、いくつかの過去記事があります。
どちらも古い記事ですが、
・「地球は隠された月を持つ」というマサチューセッツ工科大学の発表
2011年12月23日
・地球の「隠された複数の月」の実態がスーパーコンピュータでのシミュレーションにより解明される
2012年04月02日
などです。
これらの準衛星は、非常に小さな天体のため「ミニ・ムーン」などと呼ばれていますが、その軌道は地球に対して固定しているものではなく、その特徴は、
・地球の小さな月(ミニ・ムーン)の数はひとつではない。
・ひとつの月が一定期間、地球の周囲を旋回する。
・そして、その後はその月は太陽の軌道に移動して「太陽の衛星」となる。
というもので、つまり、「いくつものミニ・ムーンが地球の軌道と太陽の軌道上を交代で周回している」というようなことです。
いわば、地球と太陽で衛星のバトンタッチをしているというイメージです。
これに関して、ハワイ大学の研究チームが、スーパーコンピュータを使って計算したその軌道は非常に複雑なもので、下のようなものです。
・Daily Mail
今回ご紹介する「新たな月」は、少なくとも現時点では、地球の周囲だけを回る安定した軌道を持っています。これは、地球が獲得した小惑星と見なされています。
下が 2014 OL339 と名付けられている、その小惑星の現在の軌道です。
地球を周回するように安定した軌道を持つことがわかります。
動きとしては、たとえば、下のようなイメージです。
お月様のように地球に寄り添った形で動くわけではないですが、安定した地球との関係を持つ軌道となっているようです。
この「新しい衛星」について報じた THP の記事をご紹介します。
Earth Has A New Moon, And Its Name Is 2014 OL339
THP 2014.10.06
地球が得た新しい月の名称は 2014 OL339
私たちの地球の持つ「月」は、たったひとつだけだ。
しかし、専門的な観点からは、地球は 1969年から、より多くの月を持っていることがわかっている。
そして、今、新たにもうひとつの月が地球に加わった。それは、地球の準衛星として認識できる安定した軌道を持ち、地球を周回する小惑星だ。
公式には、地球はひとつの衛星(いわゆる、月)だけを持っていることになっているが、しかし、現在の天文学者たちは、私の地球の上空がかつて示されていた以上に複雑であることを認識している。
地球は、その軌道に入ってくる小惑星を定期的に「獲得」し、時には、短い期間に4つ以上の新しい月の軌道を持つことさえある。
そして、研究者たちは多くの小さな小惑星が、それは私たちの目で観測できないけれど、実は永久に地球の月としての軌道を持つものもあると考えている。
今回新たに発見された、「月となった小惑星」、それは 2014 OL339 と名付けられた小惑星もそのような小惑星のひとつだ。
2014年 7月 29日に発見されたこの小惑星は、直径が約 100メートルある。これまでは太陽を不安定に周回する軌道を持っていたが、現在は地球に対して非常に安定した軌道を持っている。
地球の重力が直接小惑星にあたえる重力の影響は強力なのだ。
この天体の軌道の過去については、数千年の地球と軌道を共有していたことが予測できるが、これからの軌道の変化に関してを予測することは困難だ。しかし、この小惑星 2014 OL339 は、過去において、地球に対しての軌道がより安定していたと考えられる。
地球は他に3つの準衛星を持っている。
それぞれの名前は、2004 GU9、2006 FV35、そして、2013 LX28 という。
ここまでです。
最近の派手な天体の様子も含めて、実際の地球周辺の天空の様子は、これまで考えられてきた以上に複雑な様相を呈しているようです。もしかすると、地球も実は、まるで土星のように、観測では見えないようなとても小さな月を何百、何千と持っている可能性さえあります。
しかし、たとえば、そういう「小さな月たち」が、地球の重力、あるいは磁場に変化が起きるようなことがあった場合に、どのような挙動で地球に関わるのか、ということも考えたりします。
それは火の球が注ぎ降るような災害と関係するのか、あるいは単に美しい空の天体ショーを見せてくれるというだけなのか、それはわからないです。
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宇宙の中の地球
2014年05月25日
それなりに苦労してデザインを変えたのですが、自分で読んでいて違和感があったので、結局元に戻しました(笑)。こういう徒労が私には多いです。
ところで、最近、火星の無人探査機キュリオシティの撮影した火星の映像の中に「十字架」のようなものが写っていることを YouTube にアップした人が話題となっています。
▲ YouTube NASA CURIOSITY ROVER PIC REAL CROSS ON MARS より。
写真の実物は NASA のライブラリーの写真番号 0563ML2278000000E1_DXXX にあります。かなり広範囲を写した写真ですが、下の丸の部分のあたりを丁寧に見ると、どなたでもご覧になれるかと思います。
火星に十字架があっても構わないでしょうし、あるいは、「十字架みたいな形の岩」というものもあっても不思議でもないですので、これはこれでそういう話題があったということだけなのですが、このブログを読まれている方にはご存じの方もいらっしゃるかもしれないですが、実は私は結構な「火星写真ウォッチャー」なんです。
「太陽写真の閲覧」と同じほどの趣味の領域にもなっているんですが、記事であまりにも火星の写真を多く出すと、何だかそっちに偏ってしまうのもイヤですので、多分、今年2月の、
・そこではいろいろと動いている:火星探査機の周辺での「出現したり消滅する岩」の話題とその歴史のこと
2014年02月25日
という記事以来、火星についてはふれていないと思います。
上の記事は確かに私個人には興味深いもので、原因で何であれ、
・火星上で動いている存在がある
という可能性を強く示すキュリオシティの写真をご紹介したものでした。
ただ、この「火星の表面でものが動く」という理由なんですけれど、最近の報道で、「どうも、これが原因では?」というようなことが出てきてはいるのですね。
何がオポチュニティを清掃したのか?
その理由かもしれないこととして、「火星上では想像できないほどの突風や強風が吹いているかもしれない」ということなんです。
下の報道は、4月21日のアメリカの宇宙専門の科学ニュースメディアのニュースです。
▲ 2014年4月21日の Space.com より。
タイトルの意味がわかりにくく感じるかもしれないですが、前提として、
火星探査機は、砂嵐がたびたび発生する火星上ではすぐに砂まみれになる
ということがあります。
たとえば下の写真は、左が 2005年 8月に火星探査機オポチュニティを上から撮影した写真で、右は9年後の 2014年 1月のオポチュニティの写真です。
火星では(多分)清掃してくれる人がいないので、「どんどん機体が汚れていく」ということを前提に次の写真をご覧くださると上の「驚異の」という言葉がおわかりになるかもしれません。
上の写真でおわかりのように、最近のオポチュニティはずっと下のような感じだったんです。
茶色のは砂嵐などでのチリがこびりついたものです。
ところが!
今年1月の写真では上のような状態だったオポチュニティが、4月に送信されてきた写真では下のようにピッカピカ・・・とまではいかないまでも、かなり綺麗になっていたのでした。
並べると下のような感じで、並べた写真は Space.com にも掲載されていました。
さて、「何がオポチュニティを清掃したのか?」ということに興味が湧くわけですが、これは、 NASA によりますと、
「突風によるもの」
という明確な答えが出ています。
「なーんだ」と思われるかもしれないですが、私たちはここで、重大な事実をふたつほど考え直してみる必要があると思われます。
まず、「今までの9年間の中でこんな出来事はなかった」ということです。
そもそも、9年間も積もり、そして完全にこびりついていたであろう砂のダストを一瞬にして吹き飛ばす突風というのは、ちょっと想像を絶するものがあります。
まあ、もちろん NASA の言うように風によるものではない可能性もあるかもしれないですが、ここでは突風、あるいはそのような現象が原因として話を進めたいと思います。
まずは上に書きましたように、
・今までの9年間の中でこんな出来事(こんな突風)はなかった
ということと、そして、次は、
・そんな強風が大気の薄い場所で起きる可能性があるのか
ということです。
もっとも、下については、日本惑星科学会誌の「火星環境の模擬室内実験」という書類に、火星の大気構成から考えて計算したものとして、
火星表面で砂粒子の跳躍が起こる時, 地表付近でも50m/s 程度の高速度の風が吹いている。
とあります。
この秒速50メートルの風というのは、風速と感覚と被害というサイトによりますと、
50m/s たいていの木造家屋が倒れる。樹木は根こそぎになる
という激しい風だそうで、なるほど、これならオポチュニティを清掃できるだけの突風にもなりうるかもしれません。あるいは、上のほうに載せた過去記事の「何もないところに翌日、岩があった」という現象も、突風で飛ばされてきたと考えれば合点もいきそうです。
ただ、これとは関係ないことですけど、上の風速と感覚と被害のページには、
35m/s 自動車や列車の客車が倒れることがある
40m/s 小石が飛ぶ。
とあり、秒速 50メートルの風というのは、火星探査機自体、あるいはその部品をも破壊しかねないほどの風であることもわかります。というか、本当にそんな突風が吹くことがあるなら、(現在の)火星の地表は常に石が飛び交っているような場所であるというようなことになってしまうのでしょうかね。
ところで、なのに、オポチュニティの周囲の「小石」は残っているんですよね。
このあたりちょっと疑問はあるんですが、今回の主題はそちらではないです。
ここ2年ほどの「火星の大規模な異常現象」と、今回のことなどとも関係しているかもしれないという気もするのです。
最近の火星では何かが起きている
2012年に、火星で、「 240キロメートルの高さで何かが噴出している」ということが報じられました。
・火星の「超」異常現象: 地表から数百キロ上空まで吹き上がる現象は何か
2012年03月26日
この「地上から240キロメートル外に向かって煙のようなものが噴き出す」ということが、どれだけ異常な現象かというと、たとえば、地球の火山で考えてみますと、近年の地球で起きた噴火の規模としては最大級の火山噴火だったフィリピンのピナツボ火山の 1991年の噴火の火山灰の高さが約 34キロメートルでした。
さらに、昨年は、
・火星に何が起きた?: 太陽系の激変が続く中で「火星の大気から検出されなくなったメタン」
2012年11月04日
という記事で、火星上で「何かが起こり」以前は検出されていたメタンが検出されなくなったという内容の報道をご紹介しました。
また、以前までは「砂丘」だった場所が、今年3月に送信されてきた画像では、「岩肌を見せた場所」と変貌していることがデイリーギャラクシーで報じられていました。
下がその写真です。
▲ 2014年5月6日の Daily Galaxy より。
どうも、火星ではここ2年くらいで、大きな環境の変化が起き続けているというようなことに見えます。
まあ、火星といえば、
・片道のみの有人火星飛行計画に現在までに7万8000人の応募があったことが判明
2013年05月10日
でご紹介した、オランダの非営利団体が火星への有人計画「マーズワン」を募集したところ、何万も応募があった(最終的には 20万人の応募があり、現在、その中から1058人の候補者が選ばれています)というようなこともありましたが・・・火星まで行き着くテクノロジーのほうはあるかもしれないですが、むこうで人間は大丈夫なのかなあという感じもしないでもないです。
他にも、最近は、土星でも水星でも木星などでも、ほとんどの太陽系の惑星で何らかの正体のわからない現象が観測され続けています。
土星のスーパーストーム
天王星の謎の爆発現象
▲ 過去記事「太陽系が荒れている: 土星と天王星でスーパーストーム」より。
そして、私たちのいる地球も紛れもない太陽系の惑星のひとつです。
太陽系の惑星全体に連動しているこれらの異変を地球も受ける可能性はますます高くなっていると思われます。
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宇宙の中の地球
2014年05月08日
▲ 2014年5月3日の Space.com Bus-Size Asteroid Buzzes Earth, Comes Closer Than the Moon より。
2014年に新発見された地球近傍小惑星の数
最近、「また、地球近傍小惑星(地球の近くを通過していく小惑星)が増えてきている」ということは思っていました。
上の報道は、5月3日のもので、記事には結構、派手なタイトルがついていますが、この 2014 HL 129 と名付けられた小惑星は、最近の地球近傍小惑星の中では地球から近いところを通過していくとはいえ、それでも、最も地球に近づく時で約 30万キロメートルで、サイズも約 10メートルと非常に小さな小惑星でもあり、ほとんど危険はないと思い、特に書くことはありませんでした。
しかし、上の記事の数日後、今度はさらに近い場所を通っていく小惑星が発見されていたりしまして、何より最近の地球近傍小惑星の数をお知りいただきたく、下の表を作成いたしました。
▲ 2014年5月7日の Spaceweather より、今わかっている分の、1ヶ月先までの地球近くを通過する小惑星。今年になって発見されているものが多く、また、小さな小惑星は多くが「直前」に発見されるので、結局は、この数は飛躍的に増えると思います。
上の中で、5月 3日の小惑星 2014 HL 129 が冒頭の Space.com で報道されていたものてす。
そして、その下の 5月 7日(日本時間では 5月 8日)に、地球と月の間を通過していく 2014 JR24 という小惑星は、地球から約 11万キロメートルの位置を通過していきます。これは最近の中では最も近い距離を通過するものだと思います。
とはいう、大きさは6メートルと非常に小さなものですので、たとえば、このようなサイズの小惑星が何らかの問題で地球の大気圏に突入しても、爆発して消えてしまうのが普通ですので、特に問題はないのですが、やはり上の「数」です。
そして、「 2014年になってから発見された小惑星」、あるいは、
・直前か、通過後に発見された小惑星
がどれだけ多いことか。
そして、最近は、比較的、地球に近いところを通過していく小惑星が多く発見されています。
カナダで見つかった「直径8キロメートルのクレーター」
昨日、カナダのアルバータ大学から、古代の小惑星の衝突で作られたクレーターが新しく発見されたことがニュースリリースとして発表されていました。
▲ 2014年5月7日のアルバータ大学 ニュースリリース Ancient crater points to massive meteorite strike より。
これは、カナダのアルバータ州というところで見つかったもので、大体ですけれど、報道から類推すると、下のあたりで見つかったもののようです。
▲ オリジナルの地図は、トラベルコちゃん - 海外特集より。
これは、
・5000 万年前から 7000 万年前のものと推定
・クレーターの直径は約8キロメートル
・衝突時の推定される爆発の威力は、現在の地球の最も強力な核爆弾の 200倍以上
というものなのですが、ここで、さらに以下のような記述があります。
「クレーターの大きさから衝突した小惑星の大きさを推定すると、直径 300メートルから 500メートルだったと考えられる。」
そうなんです。
8キロメートルという巨大なクレーターを形成するには、300メートルくらいの小惑星であれば十分のようなのです。
そして、その爆発力は、
・最も強力な核爆弾の 200倍以上
とのこと。
現在の最も強力な核爆弾が何かよくわからないですが、歴史上ということでは、旧ソ連の開発した「ツァーリ・ボンバ」という水素爆弾などが有名かと思います。
ツァーリ・ボンバ - Wikipedia によりますと、
ツァーリ・ボンバ(「爆弾の皇帝」の意)は、ソビエト連邦が開発した人類史上最大の水素爆弾の通称である。
単一兵器としての威力は人類史上最大であり、TNT換算で49500キロトン、これは広島型原子爆弾「リトルボーイ」の3300倍。
という、とんでもない威力の兵器ですが、アルバータ大学の研究者がこれを想定して言っていたということではないでしょうが、仮に、広島型原爆を想定していたとしても、「広島型原爆の 200倍」のエネルギーが、300メートルの小惑星の衝突でもたらされるということを今回のニュースで知ったのでありました。
▲ 核開発都市サロフの原爆博物館にあるツァーリ・ボンバの原寸大模型。
そして、まあですね・・・。
たとえば、さきほど載せました地球近傍小惑星の表ですけれど。
表の下のほうを見ますと、「直径 1.1キロメートル」などというものが実際にあるといえば、あるわけではあります。
もちろん、上の表の4つの小惑星は地球からはるか遠くを通っていくもので、地球に接近する可能性はほぼ完全にゼロです。
たとえば、直径が 1.4キロメートルもある 2002 JC という小惑星が通過する距離は、地球から約 1800万キロメートルという遠方で、たとえば、他からの力(浮遊惑星のようなものの衝突だとか)で軌道などを変えられない限りは、遠くを通過していくだけですので、現在の心配ということではないです。
・・・・・が、結局、こういうサイズの小惑星が実際に存在して、そして、「まだ見つかっていないものが数多くある」ということです。
火星の軌道の外に大挙して存在している彗星と小惑星の存在
過去記事の、
・太陽系内の「彗星と小惑星の数と配置の状況」に心底驚いた今日は小惑星 DA14 が最接近する日
2013年02月15日
という記事に NASA のジェット推進研究所が公開している「太陽系の中の彗星と小惑星の軌道図」をご紹介したことがありました。
その時は 2013年 1月 1日の時点の軌道図でしたが、現在は、2014年 1月 1日のものが載せられています。ほとんど違いはないですが、新しいほうです。
▲ NASA のジェット推進研究所 Inner Solar System Orbit Diagrams より、2014年1月1日の太陽系の中の彗星と小惑星の軌道図。
上の図は、
・黄色のドット(点)が小惑星
・矢印が彗星
・矢印が彗星
ということになります。
拡大しますと、
ということになるわけで、この数!
これらの彗星や小惑星の個々がどういう法則のもとで、あるいはどのような軌道で動いているのかはわからないですが、「長い時間の周期の軌道」を持つ小惑星、つまり、何万年、何十万年、何百万年といった軌道を持つようなものがあれば、
・直前に突然観測される
という可能性もあるとは思います。
上のほうに貼りました地球近傍小惑星の表で、直前に発見されている多くの小惑星のように突然出現しても、私たちにはなす術はないです。
いずれにしても、小惑星も、また火球の目撃も増えていますので、「そういうこともいつかはある」程度には気に留めておいてもいいのかもしれません。
そういえば、一昨日( 5月 6日)、「みずがめ座エータ流星群」というハレー彗星が母体だと考えられている流星群が最もよく観測されていたそうです。
それも加わっているせいか、地球の上空で交差する「火球」の数も活発です。
下は 5月 7日の地球上空を通過した火球で、全部で 20の火球が観測されています。
▲ 2014年5月7日の Spaceweather より。
ラインは軌道で、色の違いは火球の速度の違いをあらわします。
しかし、実は上の中で「みずがめ座エータ流星群の火球は8個だけ」なのです。他の 12個の火球は、流星群などに属さない、それぞれ独立した火球で、どうも火球の方も増えているようです。
地上も賑やかですが、空もとても賑やかです。
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宇宙の中の地球