- 世界中で報道された「火星のフラッシュ」で飛び交う議論。しかし、「妖精の登場」には冷たかったこの世の中
- 太陽系の状態も何かおかしい中、土星ではオーロラが踊り出し、911には月面で観測史上最大の爆発が発生していた
- NASA は1970年代に「21世紀の初頭に地球は氷河期に入る」と科学的決定を下した。その根拠は「二酸化炭素とエアロゾルは共に地球の気温を激しく低下させる」という発見から
- 地球の磁気圏が崩壊を始めた : 英国の科学者たちが地球の大規模な磁場の衰退と、それに伴う磁気圏の崩壊と気候の大きな変動を警告
- 「元旦に発見された小惑星はその翌日に地球を直撃した」 : そんな始まりを告げた 2014年
- 世界中で空から光が落ちてくる中で「観測史上最大の宇宙の爆発」とガンマ線バーストが確認される
- 宇宙観測史上で最大クラスの巨大さを持つ地球近傍小惑星が相次いで「突然」発見される
- 「6本の光の尾を放つ小惑星」と地球に近づく直径 20キロの超巨大小惑星
- 米国モンタナで人々が「空が落ちてきた」と口にした日、宇宙では彗星アイソンが崩壊を始めているという懸念が台頭
- 地球の上空はふたたび狂乱状態に:2日間で数十の天体が地球上空で交差、そして爆発
【宇宙の中の地球】 の記事一覧
2014年04月09日
これまで無視されていたのに、やけに大きく報道される火星の光
最近、下のようなタイトルのニュースが各国の比較的大きなメディアで相次いで報道されました。
▲ 2014年4月8日の米国 Epoch Times Artificial Light on Mars? Alien Beacon? より。
▲ 2014年4月9日のロシアのイタル・タス通信より。
上の報道写真ではよくわからないですが、下のような感じのものが写っていたという内容です。
このことに少しふれたいと思ったのは、この「火星の光」そのものに興味があるというより、最近書きました、
・ミスター・スノーデンが示唆する米英政府機関の「 UFO での大衆マインドコントロール作戦」
2014年03月19日
という記事や、
・この世界の正体 : 世界銀行元上級職員カレン・ヒューズさんが語る「地球のお金と宗教をコントロールする"人類ではない種族"」
2014年04月03日
などを記している時に、「今年は UFO やエイリアンという言葉が今まで以上に、メディアに多く登場するのだろうなあ」と感じたということもあります。
今回の火星の光も、それほど巨大な光というわけでもなく、しかも、火星の光は今までも何度かありました。今までならこの程度のことなら、上のふたつのメディアで取り上げていたかどうか微妙な気がします。
とりあえず、上のエポック・タイムズの記事をご紹介します。
NASA の写真:火星に人工的な光? エイリアンの信号?
火星の表面を走査しているローバー・キュリオシティが、人工的な光がフラッシュしているかのように見える写真を撮影した。
先週撮影されたこの写真は、世界中の UFO 愛好家たちの間で話題となっている。
天文学サイトのある管理人は、これは「宇宙線」だという。地球上では大気によってブロックされている空間の素粒子が、このような場所ではカメラに干渉することがあると述べる。
国際宇宙ステーションの宇宙飛行士ドン・ペティット( Don Pettit )は、彼自身のブログ上で、宇宙線からの点滅を見ることについて以下のように記している。
「宇宙ではそこには存在しないものを見ます。私の目の前で、光り輝きながら踊る妖精のようにフラッシュする微妙な光が見えるようになるのです。それは通常の仕事の中では見落としがちですが、眠くなり、まぶたが垂れてきた時など、そこで光を点滅させる妖精が眼窩で踊り出すのです」
NASA は、まだこのフラッシュについての声明を発表していない。
ここまでですが、この記事に出てくる「光り輝きながら踊る妖精」という素敵な発言をしている、国際宇宙ステーションの宇宙飛行士ドン・ペティットさんは、過去記事、
・宇宙空間に「強烈な匂い」が漂っていることを知った日: 「それは焼けたステーキと金属の匂い」と語る NASA の宇宙飛行士たち
2012年07月24日
にもご登場された方です。
▲ 宇宙の匂いについて語るドン・ペティット飛行士。
宇宙空間には「強烈な匂い」が漂っていて、その匂いのすごさは機材や宇宙服にも染みつくほどのものだそう。その匂いは宇宙飛行士たち全員が「一度嗅いだら忘れられない」と言うほどのもので、そして、「悪臭系」なんですね。
宇宙飛行士たちの口から出て来る言葉としては下のようなものがあります。
アジア料理の香辛料
ガソリン
汗をかいた足の匂い
体臭
マニキュア取りの薬剤
シチュー
ステーキ
チキン料理
金属
これらが混じったようなものだそうで、宇宙空間というのは「匂いのほうでも」想像を絶する場所みたいです。
話がそれましたが、記事では、天文学ブログの人の「宇宙線がカメラに干渉したのだろう」とする意見が書かれていますが、まあ、それはそれでいいとして、しかしそれなら、もっと光が写っている火星の写真、あるいは月の写真がたくさんあってもいいようには思います。
私が知る限りですが「火星の表面に白い光が写っていた写真」は数枚くらいだと思います。
過去の火星のフラッシュのいくつか
▲ 火星探査機オポチュニティが撮影した光のようなもの。2013年3月25日の地球の記録より。
▲ 2013年4月11日の地球の記録より。
▲ NASA ローバー・オポチュニティのギャラリー Sol 123 より。
いずれも、 NASA は特に説明してくれてはいませんので、宇宙線がカメラに干渉しているものかもしれないですし、あるいは、エポック・タイムズのタイトルのように「エイリアンの信号」なのかもしれないですし、それは私にはわかりません。
イタルタス通信の火星写真の地表のほうが気になる
それより、「火星」となると、たとえば、過去記事「自分の視覚に素直な気持ちで火星を見てみる」などにありますように、私は火星の上で「何となく気になるところ」を見つけた場合は「拡大して見てみる」というのが習慣のようになっています。
今回、トップに貼りましたうちのロシアのイタルタス通信の表紙の写真を見ているうちに、「このあたりが気になる・・・」という部分がいくつもあり、拡大したりしていました。
2、3点だけ載せてみます。
あくまで書いておきますが、どれも「岩か砂か、あるいは影」ですので、「それ以外の何かである」というようなことは思わずにいてくださると幸いです。
下は今回の光が写った場所のカラー画像です。
この写真には光のほうは写っていません。
下の四角で囲んだあたりを拡大すると、いろいろな形のものがあることが気になります。
特に黒いものの横に転がっているものなどは下のような形をしていて、何か、いろいろなものを想起させます。
あと、上の丸いところをさらに拡大すると、随所にパイプというか、排気筒というか、そういう感じの「規則正しく穴の開いた岩」がたくさんあります。
各所に同じように並んだ穴が見受けられます。
最近は火星にそれほど楽しそうなものがあるとも思えない部分もありますけれど、それでも、たとえば、過去記事の、
・NASA の火星無人探査計画が無駄な理由: 1976年にバイキングがおこなった火星地表の質量分析から 36年経って進化しない観念
2012年08月12日
の中で書きましたように、火星にはバクテリア以上の、地衣類(菌類と藻類からなる共生生物)などの高等な菌類や植物までは存在しているとは確信しています。
妖精はエイリアンより人気がない現状
上でドン・ペティット飛行士が「妖精」という言葉を使っていましたけれど、最近、「妖精」の写真も話題となっています。
英国で5番目の学生数を誇るマンチェスター・メトロポリタン大学の教授であり、同大学のアート、デザインの研究をおこなうマンチェスター研究所( MIRIAD )の所長が、「妖精が実在する証拠となる写真を撮影した」としたことが多くのメディアで報道されていました。
▲ 2014年4月2日の Manchester Evening News Professor says he has photographic proof fairies are real より。
▲ その拡大写真。
しかし、この「妖精の報道」に対してのスタンスは、オカルトファンなども冷静で、
「蚊、ブヨ、カゲロウのどれか」
という結論で報道は収束しつつあります(さびしい)。
エイリアンとなると、俄然、議論が盛んになりますが、妖精となると、あまり議論にならないというのが現在の世の中ということなのかもしれません。
私などは「妖精、いいな」と思いますけどね。
ちなみに、写真を撮影したマンチェスター・メトロポリタン大学の教授は、ジョン・ハイアット( John Hyatt )という人なんですけれど、30年くらい前までは、 Three Johns というパンクバンドの方で少しだけ有名だった人です。
▲ パンクバンド Three Johns の頃。中央がジョン・ハイアット教授。
▲ 現在のハイアット教授。30年経ってもそんなに変わっていないですね。
妖精の真実のほうはともかくとして、このハイアット教授の年齢の取り方の良さは顔そのものにあらわれている気がしますね。穏やかな顔です。
こういう人なら妖精に会えても不思議ではないのかもしれないですね。
私も変なのが飛んでいるのは見ますけど、妖精とは縁がなさそう。
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宇宙の中の地球
2014年03月08日
▲ 2014年3月6日の欧州宇宙機関 ハッブルサイトより。
小惑星が突然崩壊して群団化していく
最近、宇宙関係のニュースで最も話題となっているもののひとつが上のニュースで、「何も理由が見当たらないのに、小惑星が突然 10個の断片に分かれた」というようなことが起きたのだそう。
私などは「そんなことはよくあるんじゃないの?」などと思っていたのですが、そういうものではないらしく、上の報道に出てくる、今回の報告をおこなった、ドイツのマックスプランク研究所・太陽系研究所のジェシカ・アガルワル( Jessica Agarwal )博士によれば、
「これは本当に奇妙な観測光景です。かつて、誰もこのようなことを見たことがないのです」
ということですので、大変珍しいことが起きたということのようです。
もちろん、理由も原因もわかっていません。
詳しくは下のように「崩壊」していったのだそう。
小惑星の名前は、C/2013 R3 と名付けられています。
この残骸は、200万トンの重さがあり、そのまま流星化するとのこと。
これを見て思うことがありました。
昨日の、
・太陽も天体も何かおかしい
2014年03月07日
という記事で、最近の小惑星の活発な地球への接近のことなども記しました。
そして、小惑星が写真のように崩壊して、「それぞれの断片が、そこからコースが変更してしまう」ということになるのなら、計算上で地球から遠いコースを通過する予定の小惑星でも、「崩壊して、突然コースが変わる」という可能性を初めて知りました。
もし、それが巨大な小惑星だった場合は、例えば、雨あられと降ってくる可能性さえありそうな感じで、まさに 38億年前などの「天体の重爆撃」時代を彷彿とさせるものがあります。
後期重爆撃期の想像図
▲ ナショナル・ジオグラフィック「太陽系 激動の過去」より。
そんなわけで、最近は太陽系の惑星や宇宙空間も動きが激しくなっています。
最近の宇宙関係の報道をいくつかご紹介したいと思います。
土星の「六角形の輪」の実際の色彩の驚異と「踊るオーロラ」の存在
▲ 2013年12月4日の Space.com より。
土星の両方の頂点(北極と南極の部分)に、巨大な六角形で渦巻く嵐のような自然現象が存在していることはかなり以前から知られていました。
これは、過去記事の、
・木星・土星などに続いて「金星の極点」でも確認される奇妙な巨大渦巻き
2013年03月26日
でご紹介したこともあります。
そこで下のような写真を載せました。
▲ こちらは土星の「極点」で渦を起こしている部分をハイライトした画像。
▲ 大きさを表したもの。
最近、 NASA の土星探査衛星カッシーニが、新しい映像を撮影したのですが、それが上の Space.com の見出しにありますように、「驚異的」な様相を見せていました。
下が動く姿です。
土星の頂点で渦巻く巨大な六角形の嵐
こういうものが土星の両極に渦巻いているということなども含めて、最近は「太陽系の惑星に関しての今までの概念が次々と覆されている」というような部分もあります。
土星ではオーロラも踊っている
さらに、 NASA は 2月11日に、土星の表面で「オーロラが渦を巻く」様子を撮影した映像を公開しました。
NASA は、動画のタイトルに「土星のオーロラ・ダンス」とつけました。
▲ 2014年2月11日の NASA NASA Spacecraft Get a 360-Degree View of Saturn's Auroras より。
下が動画の一部です。
土星の「踊るように回る」オーロラ
土星に関しては、さらに「驚くべき光景」が撮影されています。
土星の「輪」が消える時
土星の輪というものは誰でも一応は知っているものですが、その大きさや厚さなどについてはよくわからないような感じで、私も知りませんでした。
国立科学博物館サイトの「宇宙の質問箱 - 土星編」には、土星の輪について、以下のようにあります。
土星の輪はひじょうに大きく、A環の外側の半径は13万7600kmと土星本体の2.25倍もあり
とのことです。地球の直径が約 12700キロメートルですので、土星の輪は直径だと地球が10個以上入りそうな巨大な大きさに広がっているわけですが、問題はその「厚さ」。
同じ「宇宙の質問箱 - 土星編」から抜粋させていだきますと、
輪の厚さはひじょうに薄く、1km以下だと思われます。じっさい、ボイジャー探査機によれば、輪の厚さは数十mでした。
というものなのだそうです。
要するに、地球の何倍もあるような巨大な直径に対して、厚さはたった数十メートルというものなのだそうで、これ自体が何とも奇跡な感じもしますが、その土星の輪が見せた「まさに奇跡の光景」をやはり、カッシーニが捕らえたのです。
▲ 2014年3月2日の io9 より。
これは要するに、土星の輪に対して完全な水平状態で撮影することに成功した時に、厚さ数十メートルしかない土星の輪は「ほぼ消えたような状態になった」というものです。
上の io9 には NASA の作成した動画もありますが、写真で示しますと、下のような感じです。
土星の輪が「消える」まで
土星なんてのは、ふだんあまり気にかけることのない惑星だったりもするんですけれど、考えれば不思議な惑星だと思います。
ただ、昔から土星って、なぜだか「悪役」なんですけどね。
今から2年ほど前のものとなりますが、
・日食の前に知っておきたい現在の太陽系の構図。そして神話のラーフとケトゥ。あるいは、ニビル
2012年05月18日
という記事で、アジア神話の月食を司る不滅の魔神ラーフのことを書いているのですが、その記事の中では、インド神話では、ラーフ、ケートゥ、土星の3つが凶星とされていることにふれています。
また、映画時代初期の映画監督のジョルジョ・メリエスというフランス人が、1912年に撮影した『極地征服』というメルヘン調の映画では、土星「だけ」が、悪い顔で登場します。
▲ 『極地征服』(1912年)より。悪い顔をして笑っているのが土星。
何かここまでの話題がほとんどが土星だけで費やされてしまいました。
あと、最近では「月で観測史上最大の爆発が発生した」という報道もありました。
911に発生した「月面の大爆発」
▲ 2014年2月24日の PHYS.ORG Astronomers spot record-breaking lunar impact より。
これは起きたのは昨年のことなのですが、発表は最近になってから行なわれました。
地球からでも肉眼で見えるほどの大爆発だったそうで、隕石などの衝突のものだとされているようですが、興味深いのは、この「大爆発」が 2013年 9月 11日に発生しているということでした。
その前年の 2012年 9月 11日には、米国カリフォルニアの周囲 100キロに「腐臭が漂う」という出来事が起きたことなどを紹介したことがありました。
▲ 過去記事「赤く染まるユーラシア大陸最大の川と、カリフォルニアの周囲 100キロに漂う9月11日の腐臭」より。
もう少し他の惑星のことなどもご紹介したかったのですが、最近の太陽系の惑星の出来事について1度でご紹介するというのは無理でした。少しずつ報道や記事などをご紹介できたらと思います。
いろいろなことが起きていますけれど、地球も太陽系の惑星のひとつではあるわけで、他の惑星で起きている異常は、じきに地球でも共有するものなのかもしれません。
月面の大爆発なんてのは、結構近い場所での話で、今回の最初に書きました「崩壊した小惑星」と重ねて考えるてみると、それなりに私たちは緊張した状態の中にいる可能性もあります。
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宇宙の中の地球
2014年03月05日
NASA のS・I・ラスール博士が 1971年にサイエンスに発表した論文の概要
・二酸化炭素の増大は地表の気温は上げるが、「大気の気温の上昇を妨げる」
・エアロゾルはその二酸化炭素による「大気の気温の低下を増強」する
・この状態が世界中で起きれば「氷河期」になり得る
1971年7月9日の米国ワシントン・ポストより
▲ 過去の報道メディアの内容を保存・公開している ProQuest Archiver より。
上の新聞の記事の内容
世界は今から先のわずか 50年、あるいは60年後には悲惨な新しい氷河期に入るかもしれない、と世界トップクラスの大気科学の専門家は述べる。アメリカ航空宇宙局(NASA)の科学者でもある米国コロンビア大学のS・I・ラスール博士がその人だ。
終わらないアメリカの冬
日本の寒さは少し落ち着いた感じもあり、先行きはわからないですけれど、一応春に向かっているというようなことでよろしいかと思います。昨日などは久しぶりに薄着で外を歩きましたが、風はやや冷たいものの、太陽の光は「ああ、春だなあ」と思えるものでした。
しかし、アメリカは違います。
下の写真は、「再び凍結したナイアガラの滝」について報道する昨日の米国 CTV ニュースです。
▲ 2014年3月4日の CTV Niagara Falls freezes again as spring seems far away より。
ナイアガラの滝は今年の1月の始めにも凍結して、その際にも、
・爆発的に増えている地球付近を通過する小惑星。そして、スロースリップが発生し続ける太平洋
2014年01月12日
という記事でご紹介したことがあります。
今回の場合は「凍結したナイアガラの滝のライトアップ」などもしているようで、夜になると、下のような光景が見られるようです。
▲ 2014年3月4日の英国 Daily Mail より。
まあ・・・上のライティングがキレイかどうかは個人的には微妙なところで、日野日出志さんの漫画的な雰囲気も漂わしているような気もしないでもありませんが、いずれにしても、アメリカは3月に入ったというのに、またもナイアガラの滝が凍結してしまったのでした。
▲ 巨匠・日野日出志さんの有名な作品『蔵六の奇病』の表紙。こういうのがお嫌いな方も多いと思いますので、小さくしています。
ところで、アメリカで凍っているのはナイアガラの滝だけではありません。
五大湖もすべてが凍結し始めているのです。
五大湖も100%の凍結寸前
▲ 2014年3月4日の Live5News より。
これは、
・米アメリカ大陸の五大湖のすべてが凍結に向かう。観測史上の記録を更新
地球の記録 2014年03月04日
という記事に NOAA が3月2日に発表した凍結状況の図を載せています。
ただ、このような 90パーセント以上の凍結そのものは異常といえるほどのものではないようです。調べてみますと、20年くらいの周期で、90パーセント以上凍結する「サイクル」が存在するようです。
下は NOAA のグラフです。
▲ PolicyMic より。
観測史上では 1979年の 94.7パーセントが最高となっていますが、現在のアメリカの気温の状況を考えると、この記録を上回る可能性があり、「 100パーセントが凍結」という可能性も伝えられています。
ただ、上のデータはアメリカの NOAA のものなのですが、どういうわけか、同じく五大湖の観測をしているカナダでは「違う結果のグラフ」が示されます。
カナダ当局のデータでは五大湖の凍結は過去最高を更新
アメリカの五大湖の凍結の調査データとは別に、カナダ環境局にある「カナダ氷層局( Canadian Ice Service )」という、カナダとその周辺の氷の状況の調査と研究をする部局があり、そこでも五大湖の凍結状況のデータを発表しています。
▲ 2014年3月3日のカナダ氷層局の五大湖の氷のデータより。
ちょっと見づらいのですが、上の写真はオリジナルのグラフにリンクしていますので、そちらをご覧下さるとわかりやすいかと思います。
こちらのデータでは 3月 3日の時点で五大湖の凍結範囲は過去最大となっています。
まあ、いずれにしても、ナイアガラの滝は凍り、五大湖は凍り、アメリカ東部は今も暴風雪が続いています。
1970年代に確定しつつあった「 21世紀の新しい氷河期」の時代
今回の本題は、トップに貼りました「 1971年の NASA の科学者の記事」を知ったことによるもので、そのことをご紹介したいと思って記事にしました。これは、元は米国の科学系ブログ Real Science の作者が見つけたもので、ワシントン・ポストのアーカイブにあったものです。
多分、このアーカイブも、有料会員などは記事の全文を読めると思うのですが、私たちが読めるのは、トップに貼りました冒頭部分だけでした。
それで、その記事に出て来る NASA のS・I・ラスール博士という名前を手がかりに、資料を探してみましたら、1971年 7月 9日の科学誌「サイエンス」に、ラスール博士が発表した論文の内容が書かれてあるものを見つけたのでした。
▲ Science Mag Atmospheric Carbon Dioxide and Aerosols: Effects of Large Increases on Global Climate より。
こちらも概要ですが、ご紹介したいと思います。
ここからです。
1971年7月9日 サイエンスに掲載
大気中の二酸化炭素とエアロゾル:地球気候上への大幅な影響
S・I・ラスール
S・H・シュナイダー
概要
二酸化炭素と大気中のエアロゾルの密度の大きな増加が及ぼす地球全体の気温への影響がコンピュータにより計算されている。
大気中の二酸化炭素の増大は、表面温度をこそ上昇させるが、昇温速度は、大気中の二酸化炭素の増加に伴って減少することがわかった。
しかし、エアロゾルの密度の増加の最終的な効果は地球の表面温度を低下させることにある。なぜなら、後方散乱の指数関数的な依存性はエアロゾルの内容の増加に伴い、気温の低下を増強するのだ。
もし、エアロゾル濃度が数年以上にわたり、3.5 ° K 程度増加するだけでも、地球の表面温度を低下させるのには十分であり得る。
世界全体でこのような気温の低下が起きれば、氷河期を引き起こすのに十分であると考える。
大気中の二酸化炭素とエアロゾル:地球気候上への大幅な影響
S・I・ラスール
S・H・シュナイダー
概要
二酸化炭素と大気中のエアロゾルの密度の大きな増加が及ぼす地球全体の気温への影響がコンピュータにより計算されている。
大気中の二酸化炭素の増大は、表面温度をこそ上昇させるが、昇温速度は、大気中の二酸化炭素の増加に伴って減少することがわかった。
しかし、エアロゾルの密度の増加の最終的な効果は地球の表面温度を低下させることにある。なぜなら、後方散乱の指数関数的な依存性はエアロゾルの内容の増加に伴い、気温の低下を増強するのだ。
もし、エアロゾル濃度が数年以上にわたり、3.5 ° K 程度増加するだけでも、地球の表面温度を低下させるのには十分であり得る。
世界全体でこのような気温の低下が起きれば、氷河期を引き起こすのに十分であると考える。
というものですが、正直いいまして、「後方散乱の指数関数的な依存性は」あたりの意味は自分でも意味がわからなく、直訳でしかありません。
あと、エアロゾルというのは、日本エアロゾル学会の説明では、
気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子
のことですが、エアロゾルの単位は、こちらのページなどを見ますと、
> 常用単位はg/m3, mg/m3, μg/m3である。
とありまして、上の「3.5 ° K. 」というのはエアロゾルの単位のことではないかもしれないですが、いずれにしましても、内容としては、
・二酸化炭素の増大は地表の気温は上げるが、「大気の気温の上昇を妨げる」
・エアロゾルはその二酸化炭素による「大気の気温の低下を増強」する
・この状態が世界中で起きれば氷河期になり得る
・エアロゾルはその二酸化炭素による「大気の気温の低下を増強」する
・この状態が世界中で起きれば氷河期になり得る
ということになるようです。
これが面白いと思ったのは、
・二酸化炭素は地球の気温を低下させる原因となる
としていることです。
二酸化炭素は最近までは「気温上昇の元凶」と呼ばれていたわけですが、少なくとも、その頃の研究ではその逆だったと。
さらに、エアロゾルは、上の日本エアロゾル学会によりますと、
エアロゾル粒子は,重金属粒子やディーゼル黒煙,たばこ煙,アスベスト粒子,放射性粒子など,以前には環境汚染や健康影響など,主として悪玉としてのエアロゾル粒子が議論されてきました
とあり、つまり、「公害でたくさん出るもの」でもあるようで、これなども、気温上昇の元凶とされてきましたが、少なくとも当時のトップ科学者たちの研究では、
「それが気温の低下を加速させる」
という発見がなされていたようです。
もちろん、その後、これらの学説がどうなっていったのかを知るまでの資料は見つけていませんので、ラスール博士たちの発見が間違っていた可能性もあります。
しかしまあ・・・・・いずれにしても・・・・・時代と共にいろいろと変わるものです。
そして、今年の冬はとりあえず終わりつつありますけれど、冬は来年も再来年もやって来ます。
どんな今後の数十年になるのでしょうね。
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宇宙の中の地球
2014年02月05日
▲ 2014年1月27日の英国 Daily Mail より。
リバプール大学という英国の名門国立校の科学者たちが、最近、地球の磁場の反転について言及し、それにより磁場の崩壊や、気象が大きく荒れる可能性があるというようなことについて述べたことを、英国のデイリーメールが報じました。
磁場の反転については、すでに太陽では起きているわけですが、太陽の場合は 11年ごとに起きる定期的イベントであることに比べて、地球の磁場の反転というのは、そう頻繁に起きるものではありません。
実際に最近は磁極の移動が加速していることは数年前から何度か記したことがあります。
▲ 過去記事「加速するポールシフト : この100年間での極の移動の距離はすでに 1100キロに」より。下のグラフを見ると、この後の 2000年頃から、さらに磁極は大きく移動しています。
▲ 過去 420年間の毎年の北極の磁場の移動距離のグラフ。過去記事「アメリカ大気局が発表した驚異的な近年のポールシフトの加速」より。
これは、磁極の移動という意味でのポールシフトなのですが、現在も進行していると思われます。
今回のことをご紹介しようと思ったのは、最近の地球の気候の「半端ではない荒れ方」があります。
リバプール大学の科学者たちは、「気候が荒れる可能性がある」と言っているのですが、もはや、すでに、地球の天候と自然現象は大変に荒れていて、その原因をこれまでの通りの気象科学で考えることは、やや難しくなっている気もするからです。
ところで、その前に、昨日の記事、
・久しぶりの雪の中で思う 21世紀の預金封鎖とか、気候の近い未来とかの「厄介で具体的な現実」のこと
2014年02月04日
の最初に写真を載せました、「太陽観測衛星ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー( SDO )の前で太陽を遮断した月」のことを記しておたきいと思います。
月が太陽フレアから地球を少し守ってくれていた日
今年 1月30日に、 NASA の太陽観測衛星 SDO が、「太陽が月で遮られる」光景を撮影しました。ちょうど、 SDO と太陽の間を月が通過していったことによります。
▲ その時の大体の様子。 Spaceweather よりソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリーが撮影した画像。最大で 90パーセントの太陽の視界を月が遮りました。
上の写真から動画を作成しました。
月が太陽面を通過 Lunar transit of the Sun / 2014-01-30
太陽がいきなり隠れるという現象は、理由がわかっていても、何となくドキドキするもので、「このまま太陽が消えてしまったらどうしよう」などと、いつも思います。
それはともかく、このことをご紹介したのには、もうひとつの理由がありしまて、実は、下の写真のこの時
に、「太陽の隠された部分で何が起きていたか?」ということなんです。
実はこの時、太陽ではMクラスの太陽フレアが発生していたのです。
下は Spaceweather が作成したイメージ図です。
▲ Spaceweather より。
そして、太陽フレアと共に巨大な CME (コロナ質量放出)が地球に向けて放出されたのですが、まさに「その瞬間」に月は太陽の前に入り込み、 CME の直撃から地球を守ってくれたのでした・・・なんてのは実はウソにも近い誇張した話で、すみません。
月は太陽に比べて、あまりにも小さく、実際には CME の直撃に対しての抑止効果の影響などないのですけれど、視覚的には、どうしてもそう見えてしまい、「月も大したものだなあ」と思ってしまった次第です。
太陽と月の位置や大きさの関係については、 2012年の、
・2004年の金星に現れたアークは再び現れるのか。そして、私たちは太陽系システムの奇跡にそろそろ気づかなければならない
2012年06月05日
という記事で下のそれぞれの図を作成したことがあります。
太陽と月の直径の差
▲ 太陽の直径が約140万キロメートル。月の直径は約 3,500キロメートルです。その大きさの差は約 400倍。
地球からの月と太陽の距離
▲ 地球から月までの距離は約 38万キロメートル。地球から太陽までの距離は約 1億5000万キロメートルで、その距離の差は約 400倍。
上のように、月と太陽の大きさは約 400倍違います。
そして、距離もまた 400倍違うという事実があります。
この比率がほぼ同じために、日食などの「食」という現象が起きるのですが、皆既日食などが起きるという事実を考えると、これは「奇跡」としか言い様のない直径と距離の差の「偶然の一致」だと思い、感嘆したものでした。
そのようなこともあって、過去記事のタイトルに「太陽系システムの奇跡」というような文言を入れたのですが、まあしかし、そのような「自分が奇跡と勝手に思っている」ことを人様に強要するような書き方も良くなかったかな、とも思いまして、最近は、これらのこと(惑星同士の大きさや位置関係などの、あまりにも絶妙で奇跡的な配置)については、人に言うことはなくなりました。
いつも「生きている世界そのものが基本的に奇跡の存在」だと、ひとりで頭の中で考えています。
私は今は以前よりさらに口にすることや書くことに対して慎重になっています。
「本当に思っていることをそのまま素直に全部出すと社会から弾かれる」
と肝に銘じて生きています。
そのせいで、「頭の中の世界の存在」と「実際の世界の存在」の間がギクシャクすることもありますけれど(場合によっては、それを発狂とも言うぞ)。
そんなわけで、視覚的には地球を作ってくれた瞬間を見せたくれた月のお話でありました。
ここから本題の記事です。
なお、翻訳した記事の最初に
> 地球の磁場は、過去 200年間で15%で弱くなっている
という部分がありますが、これについては、過去記事「ドイツの科学研究法人が「急速なポールシフトと気候変動と超巨大火山の噴火が同時に発生していた」ことを証明」に、秋田大学地球資源学科の文書に引用されていた「地球の地磁気の強度変化」の図を掲載したことがあります。
地球の地磁気がどんどん弱くなっていることがおわかりかと思います。
これは磁極の移動(ポールシフト)が進む中で、いつかは「ゼロ」になると見込まれていますが、それがいつかはわかりません。地磁気がゼロになった時には、相当、地球上が厄介なことになるということは確かです。
今回ご紹介するデイリーメールの記事には、そのことにもふれられています。
Forget global warming, worry about the MAGNETOSPHERE: Earth's magnetic field is collapsing and it could affect the climate and wipe out power grids
Daily Mail (英国) 2014.01.27
地球温暖化のことはとりあえず忘れて、それより心配すべきは「地球の磁気圏のこと」だということを考えてほしい。現在、地球の磁場は崩壊し続けている。気候が影響を受け、そして、地上の電力網が一掃される可能性さえある
▲ 地球の磁場は、非常に高温に溶融している地球中心核で生成される。科学者たちは、かつての火星は、現在の地球と同様の磁場を持っており、それで火星の大気を保護していた時代があると考えている。
地球の磁場は、過去 200年間で15%で弱くなっている。これは、地球のN極とS極が反転しようとしている兆候かもしれないが、仮にそうだった場合は、太陽風が地球のオゾン層に穴を開けてしまうことにより、電力網に損傷を与、天候に影響を与える。また、ガンの発生率を高める可能性もある。
地球の最深部にある、激しい溶融する地球中心核は、太陽風による地球の壊滅的な被害を守るための磁場を形成している。この地球の磁場の保護領域は、宇宙空間に数千キロに広がっている。この磁気は、全世界的な通信システムから、動物たちの移動の方向、さらには、地球の天候パターンに至るまで影響を与えている。
しかし、このような、地球上の生命にとって非常に重要である磁場は、過去 200年の間に 15%も弱くなっている。これは、科学者たちが主張することもある地球の極が反転しようとしている兆候かもしれない。
専門家たちは、私たちの地球は現在、磁極の反転の機が熟していると考えている。しかし、それがいつ起きるかについては誰にもわからない。
しかし、仮に、これが発生した場合、それは地球の気候を根本的に変えてしまい、ガンの発生率を押し上げる。さらに、地球の電力網を一掃してしまう可能性があり、人類にとって壊滅的な出来事のひとつともいえる。
英国リバプール大学の地球海洋生態科の科学者であるリチャード・ホルム( Richard Holme )教授は、「これは深刻な事態です」と述べる。
「あなたの生活から数ヶ月間、電力が消え去る事態を想像してみるとよいかと思います。今の生活はどんな些細なことでも、電力なしでは成りっていないことに気づかれると思います」。
そして、地球の気候自体が劇的に変わってしまう。最近のデンマークの研究では、地球温暖化も CO2 の排出量と関係しているのではなく、磁場が関係していることが示された。
また、磁場の崩壊は、地上全体としての宇宙放射線への曝露が多くなり、推定される計算では、多くのガンの発生を導き、死亡率が上がる要因となるだろうとしている。
▲ 磁気圏は地球の磁場によって生成される、地球の周りの大きな領域だ。この存在により、太陽風の荷電粒子は磁力線を横切ることができずに、地球の周りに偏向していることを意味する。
世界の宇宙機関もまた深刻な脅威を受ける。 昨年11月に、欧州宇宙機関( ESA )は、地球の磁場の変化の観測するための「 SWARM ミッション」という計画により、磁気観測衛星3機に観測を開始した。
ロンドン大学ムラード宇宙科学研究所のコリン・フォーサイス( Colin Forsyth )博士は以下のように言う。
「私たちは、地球の内部の基本的な理解を持っている一方で、まだ知らない多くのことがあります。私たちは、地球の磁場が生成されるシステムを完全に理解しているわけではないのです」。
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宇宙の中の地球
2014年01月04日
2014年という年を示唆するような出来事が初っぱなから起きていました。
昨年一度もなかった「地球近傍小惑星の地球への直撃」が起きていたのでした。
昨日(1月3日)のスペースウェザーを見ると下の表があり、やや驚きました。
▲ Spaceweather より。
この表の意味するところは、2014年 1月 2日に、2014AA という小惑星が 地球からの距離「 0.001 LD 」まで接近したということになり、また、小惑星の数字は、「発見された年」がつけられますので、この小惑星は 2014年になって初めて発見されたものということになります。
0.001 のあとにある単位の「 LD 」というのは、「月からの距離( Lunar Distance )」として使われる単位で、 1LD は約 39万キロメートル(正確には 388,401キロメートル)となっています。
ということは、上の 0.001 LD は、大体「地球から 39キロ」ということになり、そして、その高さはどのくらいかというと、下で赤く囲んだあたりとなり、「地球の大気圏」ということになりそうです。
▲ 大気の各層の模式図。 Wikipedia- 地球の大気より。
「これって、地球に突っ込んでるんじゃないの?」
と思いましたが、この小惑星に関して、今朝、詳しく報じられていました。
▲ Sky and Telescope より。
上の記事によりますと、この小惑星が初めて発見されたのは 2014年 1月 1日で、「今年最初に発見された」というおめでたい小惑星なのですが、その「2014年の最初に発見された地球近傍小惑星が、そのまま地球に直撃した」のでした。
下が、観測された小惑星の通過位置です。
▲ Sky and Telescope より。
また、記事では、 NASA のジェット推進研究所などの観測装置が、東アフリカ沖から大西洋上にかけて爆発したエネルギー波を捉えたということで、下の位置のクロスしているあたりで爆発して消滅したようです。
▲ Sky and Telescope より。
突如発見される小惑星たち
ちなみに、昨年 2013年は1年間で地球を直撃した地球近傍小惑星は「ゼロ」だったはずです。
昨年最も地球に接近した小惑星が 2012 AD14 というもので、
・2月15日に地球の軌道圏内に突入する小惑星 DA14 が重力の影響でどんどんコースが地球寄りに
2013年01月12日
という記事などで記したことがあります。これは当時、かなり話題となったものですが、それでも、その 2012 AD14 の通過した距離は、地球から約3万キロメートルの位置で、それが昨年1年間で最も地球に接近した既知の小惑星でした。
その時のスペースウェザーの表が下の赤で囲んだものです。
0.09LD は、約3万5千キロですので、今回の 0.001LD の39キロというものとは比較にならないということがおわかりかと思います。
今回の 2014AA は、その大きさが3メートルから5メートルと極めて小さなものだったですので、大気圏突入後に爆発・消滅したようですが、問題としては、大きさではなく、
「その前日まで知られていなかった小惑星が発見された時にはすでに地球へ衝突する軌道を描いていたという事実」
だと思います。
突然現れる。
そんなわけで、 2014年は、
・1月1日に小惑星が発見されて
・その小惑星がそのまま地球の大気圏に突入した
という、わりと劇的な年の幕開けだったとはいえます。
これが仮に、 30メートル以上の小惑星で、爆発や消滅しないまま地球に衝突した場合、陸地でも海の中でも場所によっては大変な事態となっていた可能性があります。
そういう意味では今回は「ツイていた」と考えるべきか、 2014年を象徴する「兆候」というような意味合いとして考えるかは何ともいえないですが、年の初めに発見されて翌日に衝突というのは、個人的になかなか象徴的な出来事でした。
今回のことで思い出したのが、過去記事の、
・太陽系内の「彗星と小惑星の数と配置の状況」に心底驚いた今日は小惑星 DA14 が最接近する日
2013年02月15日
に載せました、太陽系内の彗星と小惑星の数です。
黄色のドットが小惑星で、白い矢印が彗星です。
▲ NASA ジェット推進研究所「 Inner Solar System Orbit Diagrams (内太陽系軌道図)」より。
上の図はちょうど約1年前の 2013年 1月 1日の太陽系内の彗星と小惑星の配置状況です。
火星の軌道から外に夥しい数の彗星と小惑星が点在し、その中から選ばれた(?)彗星や小惑星が地球に向かって突進する軌道を持ちながらやって来ます。そして、上の図は「観測・把握されているものだけ」であり、他にも観測されていない彗星や小惑星が数多くあります。
今回のたった3メートルの小さな小惑星の出来事で改めて思い知らされるのは、
・地球への直撃コースの軌道を持つ小惑星が確かに存在する
という事実でした。
ところで、話は変わりますが、昨年の終わり頃に、
・あと一年くらいの今の世界(2):凍えていく地球の中、アメリカ東海岸のイルカの死亡数は 1200頭を越えて
2013年12月28日
という記事で最初にふれました、南極で立ち往生しているロシア船に関しの最新の状況と「興味深い事実」に関して少し書きたいと思います。
南極からの生還劇の「主人公たち」の正体と目的
少しだけふれますと、実は、この船に乗り込んでいた科学者たちは「地球温暖化支持の科学者たち」だったのでした。
そして、地球温暖化でどのくらい南極の氷が減っているかを調査に向かったところ、「増えすぎていた南極海の氷の中で行き場を失ってしまった」という皮肉な話でもあります。
しかし、「皮肉」というだけではなく、南極で氷に捕らえられた船に乗っている科学者たちが「地球温暖化の支持派」であることが、なぜメディアでは一言も語られないのかということについて考えてしまったので、記事にしてみたいと思います。
日本でも米国でもそのことについては、これまでメジャーメディアでは一言もふれられておらず、私も英国とドイツの報道で初めて知った次第です。
▲ 2013年12月31日の News Busters より。
ちなみに、救出活動のほうは「最終手段」として、中国船のヘリコプターによって全員が救助され、オーストラリア船に移送され、「科学者たち」は全員無事だったようです。しかし、今度はその中国船が氷に阻まれて動けなくなってしまっているというのが 1月 4日の時点での状況です。
▲ 2014年1月3日の英国 BBC より。
今回取り上げました、「天体」と「天候」の問題に関しては、今年も大きくなりそうで、しかもそれが半端な感じではないのは、たとえば、南極と同じ南半球のアルゼンチンでは現在、「猛暑」で非常事態宣言が出されているというようなことも起きていて、今現在もかなり混沌としていますけれど、先も、その状況が変わるとも思えない部分はあります。
そして、「天体」に関しては、かつて書きました、
・良い時代と悪い時代(1): 500年ほど続いた「穏やかだけれど傲慢な時代」は終わろうとしているのかも
2012年10月06日
に記したフレッド・ホイル博士が著書『生命はどこからきたか』のエピローグに記した、
人類は過去五〇〇年以上にわたる記憶喪失の眠りから、そろそろ目覚めた方がよい頃である
という響きを強く思い出します。
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宇宙の中の地球
2013年11月25日
▲ Daily Mail より。
今回は最近のデイリーメールで見かけた上の記事をご紹介しようと思うのですが、翻訳しているうちに気づいたことなのですが、この同じ内容のことをかつて記事にしていたことに気づいたのです。上のデイリーメールの記事は最近のものなのですが、 NASA が観測したのは4月27日のことです。
それは今年5月の下の米国スミソニアン博物館のニュースをご紹介した時のものです。
・宇宙観測史で最も明るい光を伴った史上最大級のガンマ線バーストが観測される
2013年05月13日
しかし、あれから半年以上経っていて、記憶も曖昧になっていますし、衝撃的な宇宙の出来事であることには変わりませんので、改めてご紹介することにしました。
ところで、3年位前にも、それまでの観測史上もっとも強力な謎のガンマ線バーストにより NASA の探査機が観測不能になったことがありました。過去記事は、
・観測史上もっとも強力な謎のガンマ線バーストにより NASA の探査機が観測不能に
2010年07月17日
にあります。
デイリーメールの記事をご紹介する前に、余談となりですが、ガンマ線バーストは光の話ですので、なかなかご紹介する機会がなかった最近の「光に関係した話題」などを書いたおきたいと思います。
いろいろな場所で報道される様々な光
米国オレゴン州の空から落ちてきたもの
▲ FOX12 Oregon より。
上の記事は、数日前に FOX ニュースのオレゴン州ローカルのニュースとして報道されたニュースです。
この火球のようなものは、地元のいろいろな人たちによって撮影されていて、それが載せられていたのですが、ニュースのタイトルそのものが「今朝の空のあの物体はいったい何?」というもので、ミステリー系の報道として扱われていたようです。
下は別の場所から撮影されたものです。
飛行機雲が夕陽に照らされた場合に、同じような感じで見えることがありますが、その場合でも、飛行機雲の「尾」の部分は上のようにひらひらとはあまりしないもののようですので、確かに何だかよくわからない光の現象ではあるのかもしれません。
次の「ギリシャの光」は、個人的にとても興味深いものです。
「ギリシャの光」と「空飛ぶ棒」の関係
ギリシャの気象サービスで、気象の状況などをリアルタイムの映像でカメラで提供してくれている、日本語でいえば、「ウェザーステーション」という意味のサイトがあります。
Meteoacharnes
下がそのトップページですが、黒い画面がそれぞれリアルタイム映像カメラです。
そこに 11月 23日に、「何かものすごい速さで光のようなものが通過していく様子」が写ったことがギリシャで話題となっています。
上のような風景のところに、下のような「光」が一瞬通り過ぎていったのです。
いろいろな可能性を考えましたけれど、こういう光の形はちょっと何であるかの想像も難しいです。
ただ・・・実はちょっと思い当たるフシがありまして、まあ・・・変な話になるんですけど、ギリシャというわけではなく、世界各地で「ものすごい高速で飛ぶ生き物か何か」のことがずっと話題にはなっていて、何かわからないんですけれど、「肉眼で見えないほどの速さで移動するものがいる」という話で、それと形が似ているなあと感じたんです。
その「高速で飛ぶもの」は海外の一般紙などでも取り上げられています。
下の写真は、昨年 12月にマレーシアの Daily Express というメディアに載せられたもので、マレーシアのサバ州で撮影された、その飛ぶ「何か」の写真です。
▲ Daily Express より。
下は YouTube にある動画です。
途中から表示される時間のコンマ1秒の動きと比較して、この物体の動きの速さがおわかりかと思います。
ほとんどオカルトの領域に感じる話にも聞こえるかもしれないですが、実際に世界各地で撮影されていて、地域によって、「空の魚」とか「太陽の実体」とか「空飛ぶ棒」など、いろいろな呼び方をされているようです。
かつては、トリック撮影とか光の見間違いとされていたこの物体も、撮影技術の向上で姿が捉えられるようになってからは、科学者の中でもこの存在に対しての懐疑的意見は少数派となっているということだそうです。
このことについては、下の記事に書いたことがあります。
・世界中で撮影される「驚異的なスピードで移動する小さな物」は知られていない生物かもしれないという説
地球の記録 2012年12月23日
あと、国際宇宙ステーションの話を。
・国際宇宙ステーションの周囲でたわむれる光
ESA (欧州宇宙機関)に Space In Images という写真のギャラリーサイトがあり、国際宇宙ステーションの写真なども数多くありますが、下の写真は撮影されたのは 2007年のことですが、最近になって、脚光を浴びているものです。
▲ オリジナルの写真はこちらにあります。
国際宇宙ステーションの周囲にいろいろなものが写っているのですね。
すべて何らかの「合理的な説明」はつくものなのでしょうけれど、国際宇宙ステーション関係の写真には不思議なものが写っている写真が非常に多いです。搭乗されている若田さんなども、こういう様々な光や現象を日常的に見てらっしゃるのだろうなあと思ったりいたします。
他にも「光」関係のいろいろなニュースなどを目にするのですけれど、あまり余談が長くなるのもあれですので、このあたりで本題に入ります。
史上最大のガンマ線バースト
この「ガンマ線バースト」というものは、Wikipedia の説明をお借りしますと、
ガンマ線バーストは、天文学の分野で知られている中で最も光度の明るい物理現象である。
ということになるのですけれど、しかし、その原因については諸説が存在しますけれど、
天体物理学界ではガンマ線バーストの詳細な発生機構についての合意は得られていない。
というものであります。
「宇宙で最も明るい光の現象」だけれど、発生原因はよくわからないということになるようです。
また、ガンマ線バーストが「地球の生命の絶滅に関与する」とする考え方もかなり根強く、たとえば、上の Wikipedia には「地球上での大量絶滅」というセクションがあります。
今回のデイリーメールの記事にも、スタンフォード大学の物理学者が 4億 5000万年の地球の大量絶滅とガンマ線の関係に言及していたり、「ガンマ線バーストが地球に近づいた場合、地球を破壊する可能性がある」というような感じの記述がありますが、しかし、私は個人的には、ガンマ線バーストでの地球の生命の絶滅というのは「ない」ことだと思っています。
774年にも地球は強力なガンマ線バーストを浴びていた
たとえば、西暦 774年(あるいは 775年)にも、地球に非常に強力なガンマ線バーストが降り注いでいたことが、名古屋大学の研究者たちの調査によって判明しています。 774年といば、日本では奈良時代ですが、その時代に「地球の人類が絶滅した」という記録はないですし、世界の記録などにも、壊滅的な大量死の記録もないように思います。
この774年のガンマ線バーストに関しては、 AFP の記事が今でもリンクが生きています。
▲ 2013年01月21日の AFP の記事「8世紀の強烈な宇宙線、ブラックホールの衝突が原因か」より。
ガンマ線バーストは「極端に明るい光の現象」ということがわかっているだけで、これが地球の生命に大きな害を与えるというたぐいのものではないという感じが私はいたします。
もちろん、実際には何もわかりません。
何しろ、地球にはガンマ線バーストの真実を知る人はひとりもいないのです。
というわけで、観測史上最大のガンマ線バーストの記事をデイリーメールよりご紹介いたします。
The biggest cosmic explosion EVER seen: 'Monster' gamma ray burst blasts into space 3.7 billion light years away
Daily Mail (英国) 2013.11.22
観測史上最大の宇宙の爆発 : 「モンスター」ガンマ線バーストが 37億光年離れた宇宙から放たれた
▲ ガンマ線バースト観測衛星 スウィフト ( Swift ) のイメージ図。
これまで目撃された中で最大であり、かつ最も明るい宇宙の爆発が 37億光年離れた宇宙で起きた光景が捉えられた。
この爆発は、これまでで最大の宇宙での爆発として知られていたものより5倍以上ものエネルギーを放出している。仮に、このガンマ線バーストが地球に近づいた場合は、我々の惑星が破壊されるような可能性があるため、天文学者たちは、このガンマ線バーストを「モンスター」と呼んでいる。
NASA の天体物理学部門の責任者であるポール・ヘルツ氏( Paul Hertz )は、「このような爆発は、1世紀に1度あるかないかの出来事です」と言う。 NASA の宇宙望遠鏡は過去 20年に渡って、宇宙の様々な規模の爆発を観測し続けてきた。宇宙での爆発は2日に1度は観測される。
4月 27日に観測され、サイエンス誌に発表されたこの爆発は、これまでの観測史上の記録となった。
ガンマ線バーストは、一般的には、宇宙で最も巨大な爆発であり、そして、その中でも今回の爆発は最大の規模のものだった。
▲ 赤い部分が NASA の観測衛星スウィフトがとらえた今回のガンマ線バースト。 NASA より。
ポール・ヘルツ氏はこのガンマ線バーストを「モンスター」と呼んだ。さらに、「ビッグバンそのもの以外では存在する最大の現象かもしれません」と述べる。
NASA のガンマ線バースト観測の主任であり、米国スタンフォード大学の物理学者であるピーター・マイケルソン( Peter Michelson )氏は、以下のように述べた。
「バーストは宇宙の中の生と死と誕生のサイクルの一端を担っています。私も、そしてあなたがたも、すべて超新星爆発で生成されたものから作られているのです。また、4億5000万年前の地球上の大量絶滅は、銀河系近くでのガンマ線バーストによって引き起こされたという主張もあるのです」。
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宇宙の中の地球
2013年11月10日
▲ 今年10月23日から10月31日にかけて連続して発見された3つの巨大な地球近傍小惑星(地球に接近する軌道を持つ小惑星)。共に地球の軌道上にはかなり近づきますが、地球そのものに近づく可能性はないとのこと。NASAジェット推進研究所/地球近傍天体プログラムより。ちなみに、小さなドット(点)はすべて小惑星。ー
終わらない米国のイルカの大量死
なんだかいろいろなニュースがあります。
夏に書きました、
・心地よい「死の園」からの帰還後に気付いたイルカの大量死と人間の大量死をつなぐ曖昧なライン
2013年08月10日
という記事以来、アメリカの、特に東海岸でのイルカの異常な大量死について、たまに書くことがありますが、ここ数日、海外メディアでまたよく取り上げられています。
▲ アルジャジーラ米国版より。
これらの記事では、今年の 7月から 11月までのアメリカ東海岸でのイルカの打ち上げ数が 750頭に達したことが NOAA (アメリカ海洋大気庁)によって発表されたことが書かれていますが、 2013年を通して見ると、下のようにその数は 900頭を越えています。
▲ NOAA より。
ここ数年の平均の4倍から5倍程度の数値となっているのがわかります。
イルカの座礁(死亡)が特に増えたのは7月からですが、現在も増え続けているようです。
ここでいうアメリカの東海岸というのは、具体的には、ニューヨーク州、ニュージャージー州、デラウェア州、メリーランド州、ヴァージニア州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州の7州ですが、特にヴァージニア州の沿岸や海岸でのイルカの死亡数が突出して多いです。
ところで、上のアルジャジーラの記事の見出しに「はしか」とありますが、これは確定した理由、あるいは全体に共通した理由ではありません。可能性のひとつとしてのものです。何らかの病気だろうとは考えられているようですが、確定した発表が NOAA からあったというわけではないはずです。
それにしても、先日、
・米国の海に広がる衝撃的な光景 : まるで絶滅に向かおうとしているような「ヒトデたちの自殺」
2013年11月07日
という記事で、アメリカでヒトデがものすごいペースで「消滅」していっていることを記しましたけれど、イルカにしてもヒトデにしても、実質的な人間の生活への影響はともかくとして、最近は、「人間にとって、海のイメージとして印象深い生物が大量死している」という感じは受けます。
米国のペリカンの大量死なんかもそういう感じがします。
(参考記事「キリストの象徴でもあるペリカンの大量死がペルーに続き米国でも発生している」)
そういや、海で印象深い生き物といえば、クラゲなんかもそうだと思いますけれど、タイ東部のトラート県というカンボジアと近い海岸で、様々な色のクラゲが大量に発生して、観光客たちがそれを見るために数多く訪れていることがタイ紙で報じられていました。
▲ タイの海岸に出現した色とりどりの大量のクラゲと、その海に入る観光客たち。タイの Post Today 他より。
これまで見つからなかった理由が判然としない超巨大な地球の軌道に近づく小惑星
さて、今回の本題は、昨日の記事、
・「6本の光の尾を放つ小惑星」と地球に近づく直径 20キロの超巨大小惑星
2013年11月09日
でも書きました「地球の軌道に接近する超巨大小惑星」についての NASA ジェット推進研究所( JPL )のニュースリリースをご紹介します。
宇宙関連といえば、最近、若田さんの国際宇宙ステーションへの登場の報道などがありましたけれど、国際宇宙ステーションが撮影している映像は、ライブ ISS ステーションというサイトでリアルタイムで見ることができるんですが、11月4日の映像に、ドーナツみたい形のものが ISS から見て地球側に写っていました。
動きがカメラの動きと一致しているので、カメラのレンズに何か映り込んでいるた類の現象だと思いますけれど、なかなか印象的ではありました。
というわけで、宇宙もいろいろですけれど、ここから3つの巨大小惑星の記事をご紹介させていただきます。
なお、記事に「今回発見されたほど巨大な地球近傍小惑星(地球に接近する軌道を持つ小惑星)は他に3つしかない」とありますが、地球近傍小惑星は、11月10日現在で、1438ありますので、今回の小惑星の巨大さが地球に接近するものとしては、いかに珍しいものかおわかりかと思います。
▲ スペースウェザーより。
それでは、ここから NASA ジェット推進研究所の地球近傍天体プログラム事務所( Near-Earth Object Program Office )のニュースです。
なお、記事にもありますが、現状ではこの3つの小惑星とも地球に危害を与える可能性はありません。
まあ・・・直径 20キロの小惑星が仮に地球に衝突した場合、「地球全体の一時的絶滅」ということになり得るものですので、そういう出来事がそうそうあるとも思えないですしね(過去にはあったのですから、絶対ないとも言えないわけですけれど)。
しかし、そのことよりも、今回のように「突然発見された」ということのほうに脅威を感じます。
今後もきっと「突然」見つかると思います。
いろいろなものが。
Surprising Recent Discoveries of Three Large Near-Earth Objects
NASAジェット推進研究所 / 地球近傍天体プログラム 2013.11.05
最近の驚くべき3つの巨大な地球近傍天体の発見
驚くべき巨大な地球近傍小惑星(地球に接近する軌道を持つ小惑星)が、先週にかけて相次ぎ発見された。その時期に、もうひとつの比較的巨大な小惑星が発見されている。
何より驚くべきことは、これらの小惑星は地球に危害を与えるに十分な距離にまで接近する可能性がある小惑星であるにも関わらず、これほどの巨大な小惑星が、これまでまったく検知されていなかったことだ。
地球近傍小惑星で直径 20キロメートルを越えるようなものは、1983年以来発見されていないが、今回発見された3つの小惑星のうちのひとつは、直径が約 20キロメートルあると推測されている。これまで知られている地球近傍小惑星で、それほど巨大な小惑星は、他に3つあるに過ぎない。
重要な点として注記しておきたいが、短期間のスパンでは、これらの小惑星が地球に脅威を与える距離にまで接近する可能性はない。
これらの巨大な地球近傍小惑星は、アリゾナ大学の月惑星研究所が行っている全天捜査プログラム「カタリナ・スカイサーベイ」が、ハワイにある NASA の赤外線望遠鏡施設を使用した捜索によって発見された。
10月23日に直径 19キロメートルの小惑星 2013 UQ4が発見され、10月31日には小惑星 2013 US10が発見された。
小惑星 2013 US10は、スペクトルの反射率がまだ決定されていないため、その正確な直径は不明であるが、その直径は、約 20キロメートルある可能性が高いと見られている。
この規模の大きさの地球近傍小惑星で、これまで知られているものは、
・小惑星ガニュメート( 1036 Ganymed )
・小惑星エロス( 433 Eros )
・小惑星ドン・キホーテ( 3552 Don Quixote )
の3つしかない。
▲ 小惑星エロス( 433 Eros )。
それにしても、なぜ、これほどの大規模な地球近傍小惑星を発見するまでに、これほど時間がかかったのか?
その理由は、 2013 UQ4(10月23日に発見された直径 19キロの小惑星)に関しては、地球へと近づく軌道が何世紀にもわたる非常に長い期間での軌道周期を持っているために、発見が遅れたものだと理解される。
しかし、直径20キロの巨大小惑星 2013 US10の発見がこれほどまで遅れた理由の説明は難しい。
現在の小惑星探査から考えると、この大きさと軌道のほぼすべての地球近傍小惑星は、すでに発見されていなければならないことが示されている。それにも関わらず、直径20キロメートルの 2013 US10はこれまで発見されなかったのだ。
考えられる理由としては、この小惑星が地球の軌道へと最大に近づく場合でも、その距離は地球から約 8000万キロメートルと非常に遠いことが関している可能性がある。
また、やはり、ハワイの全天捜査観測グループの「パンスターズ」 ( Pan-STARRS )の観測チームが 10月25日に直径約2キロの地球近傍小惑星 2013 UP8 を発見した。
この小惑星は「地球に潜在的に危険な小惑星」 に分類され、地球の軌道から 550万キロより内側にまで接近する可能性がある。
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宇宙の中の地球
2013年11月09日
▲ NASA のハッブル宇宙望遠鏡が撮影した「6本の光の尾」を持つ小惑星 P/2013 P5。小惑星帯にあるので小惑星だとしたようです。しかし、この光の尾は彗星と同じように塵など光が反射して見えているにしても、「なぜ6本なのか」はまったく謎の模様。
本格的な強風の時代
本題とは関係ないのですけれど、先月の終わりくらいから「風」が世界中でスゴイのですよ。10月28日には、イギリスから欧州各国を暴風が吹き荒れて、これは台風などではないのですけれど、「暴風セント・ジュード(St. Jude) 」という名前がつけられました。
▲ セント・ジュードで破壊されたロンドンのレイトン商店街の路上。「英国を襲ったハリケーン並みの暴風雨セント・ジュードの破壊力」より。
ちなみに、この「 Jude 」という単語、辞書 http://ejje.weblio.jp/content/Jude で調べてみますと、
1 ジュード 《男性名》
2 【聖書】 aユダ. bユダの手紙,ユダ書 《新約聖書中の一書》
2 【聖書】 aユダ. bユダの手紙,ユダ書 《新約聖書中の一書》
ということのようで、十数名が亡くなった暴風ですが、つまりこれに「聖ユダ」というような語感の名前をつけたということなんでしょうかね。
他にも、カナダやロシアで、文字通り「かつてない」強風被害が続いていて、日本でも先日、東北などで強風の被害があったことが報じられていました。秋田などでは「電柱が風で倒される」という、ちょっと見たことのない光景の報道を目にしたりもしました。
また、現在、フィリピンを通過している台風ハイエン(台風30号)は、気象観測の歴史の中で「上陸したもので最大勢力」の台風だそうで、AFP の記事によると、
気象情報を提供している米国のジェフ・マスターズ氏によると、風力で見ると台風30号の強さは観測史上4位に入り、上陸したものとしては史上最強だという。
マスターズ氏はサマール島にある人口約4万人の漁業の街、ギワンが「壊滅的な」被害を受ける恐れがあると指摘した。台風の上陸直後にギワンとの通信は途絶えたが、民間防衛当局は被害の規模を推定するには早すぎるとしている。
とのこと。
その後の AFP の記事では、下のように、多くの地域が連絡不能となっていて、被害状況がよくわからない状況に陥っているようです。
2年くらい前、
・かつてない異常な強風が吹き荒れる世界
2011年12月05日
という記事を書いたことがあり、その 2011年の今頃の季節も「かつてなかった強風」が世界の多くの地域で吹き荒れましたが、今年は風速にしても被害にしても、その時を確実に上回っています。
ちなみに、気象の報道 などによれば、11月10日は、日本の多くの地域で非常に強い風や、あるいは暴風雪などに見舞われるということです。明日は日曜日ですが、最近の気象の荒れ方は場合によって半端ではないですので、いろいろと気をつけたい局面だと思います。
まあ・・・今後ずっとだとも思いますけれど・・・。
突如現れた地球崩壊クラスの超巨大小惑星
さて、そんなわけで、今回のタイトルの記事ですけれど、まず、「直径 20キロの超巨大小惑星」なんですが、これは NASA が突然発見したもので、オリジナルの記事は次回あたりにご紹介したいと思いますが、 NASA ジェット推進研究所の「地球近傍天体プログラム」という部局のニュースにあります。
また、このニュースは数日前の日本語版ロシアの声にも短く掲載されていました。
▲ 3つの巨大小惑星が地球へ(ロシアの声) より。
これらは 10月の末に連続して3つの巨大小惑星が発見されたという報道なのですが、その大きさ! ひとつが直径 2キロ、残るふたつが、何と直径 19キロと直径 20キロという、地球の近くにやって来る小惑星の大きさとしてはあまり聞いたことのない規模のものなのです。
この大きさをどう考えるといいかというと、たとえば、下の表は、過去記事「良い時代と悪い時代(1)」に載せたフレッド・ホイル博士の著作にある表です。
これは小惑星ではなく彗星ですが、かつてこの地球に衝突したことのある最大の大きさとして見積もっている大きさが直径7キロですので、上の 20キロ級の天体というものは、地球近辺の存在としては相当なものだと思います。
あるいは、今年の3月、
・火星が消える日: 広島型原爆の1兆倍の衝突エネルギーを持つ彗星 C/2013 A1 が火星に近づく 2014年 10月
2013年02月27日
という記事を記したことがありますが、この「衝突すれば火星が消える」というような表現が使われたこの彗星の大きさが「直径50キロ」程度。そして、直径50キロの天体が惑星に衝突した場合、どのような威力となるかというと、
仮に衝突すれば、衝突エネルギーは、リトルボーイ(広島型原爆)の1兆倍、ツァーリ・ボンバ(ソビエト連邦が開発した人類史上最大の水素爆弾)の4億倍のエネルギーが放たれ、直径500キロメートル、深さ2キロメートルのクレーターが生ずると考えられている。
ということだそうです。
今回見つかった直径 19キロと直径 20キロの小惑星は、共に地球に衝突するような軌道ではないそうですので、そういう可能性はないようですが、地球の近くにそんな巨大な小惑星があるということと、そして、さらに驚くことは、「これまでまったく発見されていなかった」ということです。
現在では、数メートル単位の小惑星も数多く把握されていて、たとえば、下の表は今年、地球の近くを通過していくことが把握されている小惑星です。
▲ Spaceweather より。
直径 15メートルなどの非常に小さな小惑星も把握されていることがわかりますが、それなのに、「直径 20キロ」の超巨大小惑星は、つい先週まで察知されていなかったことに驚きます。
「突然現れたんじゃないだろうな、おい」
と、やや凶暴な気分になったりもした次第でした。
遠い空で「六芒星」を描く小惑星
しかし、今回の本題は、「6本の尾を持つ小惑星」なのです。
というのも、この小惑星自体も非常に興味深いものなのですが、先日、
・米国の海に広がる衝撃的な光景 : まるで絶滅に向かおうとしているような「ヒトデたちの自殺」
2013年11月07日
というヒトデの大量死の記事を書きましたが、その晩、夢の中で、声だけなんですけれど、
「6のことを考えろ」
と言われ続けていました。
ヒトデはまあ、6本足などのものもいるようですけれど、大体は5本足のイメージなので、いろいろと考えていたのですが、 In Deep では、過去に「五芒星」とか、「六芒星」などの記事を書いたりしていたこともあって、個人的に、5と6の違いなどを考えていた時期もありました。
そういう時に NASA から飛び込んできたニュースが、今回の「6本の光の尾を持つ小惑星が発見された」という出来事でした。ちなみに、このようなものが観測されるのは宇宙観測史上で初めてのことだそうで、それだけに科学者たちの驚きも大きなものだったようです。
そんなわけで、ここまで長くなりましたが、その記事です。
Bizarre Six-Tailed Asteroid Surprises Astronomers
IIAI 213.11.07
6つの「尾」を持つ奇妙な小惑星に驚く天文学者たち
NASA と ESA (欧州宇宙機関)が運営するハッブル宇宙望遠鏡での観測で、天文学者たちは小惑星帯に奇妙な物体を観測した。それは、芝生で回転する散水機や、バドミントンの羽根のように見える光の尾を放つユニークで不可解なものだ。
この物体は小惑星帯のような軌道上にあるが、彗星のように宇宙空間に塵の尾を送り出している。
通常の小惑星は、光の小さな点として示される。しかし、この P/2013 P5 と名付けられたこの小惑星は、その円の中心から彗星が塵を放射する際のような尾を持っている。そして、この尾が6方向に放射しているのだ。
この物体が最初に発見されたのは今年8月で、ハワイのマウナケアにあるパンスターズ1望遠鏡を使った天文学者たちにより、非常に曖昧な形状で発見された。
これまで、このような形状のいかなる物体も発見されたことがなかったために、天文学者たちは、このミステリアスな外観をどう説明していいものか、頭を悩ませている。
この物体が複数の尾を持っていることは、 2013年9月10日にハッブル宇宙望遠鏡が撮影した画像によりわかったことなのだが、ところが、 13日後の 9月23日にハップルが再びこの小惑星を撮影した時には、その外観はまったく変わっていたのだ。
その変化は、まるで全体の構造が揺さぶられたと思わせるほどのものだった。
観測主任者である米国サンフランシスコ・カリフォルニア大学のデビッド・ジュウィット( David Jewitt )博士は、以下のように述べる。
「それを見た時には、私たちは文字通りに唖然とするばかりでした。さらに驚くべきことに、この尾の構造は、たった 13日間で劇的に変化したのです。これが小惑星だとは信じがたい光景です」。
▲ P/2013 P5と名付けられた小惑星の周囲の構造を示す図。 ホイールのように回転している。
この奇妙な外観を説明できる可能性のひとつとしては、小惑星の自転速度の増加がポイントかもしれない。小惑星の崩壊の始まりとしての表面の分割が始まり、そのために、このような形で塵を噴出しているという考え方だ。
ジュウィット博士の解釈では、このように回転して崩壊していくことが、あるいは小惑星帯では共通の現象なのかもしれないという。つまり、これは小さな小惑星の「死」であるという可能性だ。
博士はこう言う。
「これは私たちにとってまったく驚くべき物体です。そして、ほぼ確実にこれはより多くの中の最初のひとつだと考えます」。
ジュウィット博士が率いる研究チームの論文は、天文学の専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ ( The Astrophysical Journal Letters )の 11月 7日号に掲載される。
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宇宙の中の地球
2013年10月03日
▲ 米国オハイオ州クライドという場所で 10月 2日に撮影されたオーロラ。 Spaceweather Auroras より。
米国本土では見られたことのないようなオーロラが夜空に広がり
昨日の記事、
・数百年来の弱い太陽活動の中で突然起きた「太陽の大爆発」の余韻と共に NASA のサイトも NOAA のサイトもシャットダウンした朝
2013年10月02日
では、9月29日前後に太陽で大きな爆発が起きたことを書きました。
▲ 9月20日の太陽の爆発。 NASA はアメリカ政府機関の閉鎖により多くのウェブサイトが停止されていますが、太陽のリアルタイム画像などの提供は続いているようです。
その太陽のフィラメント爆発による CME (コロナ質量放出)などの影響で、昨日くらいから地球は地磁気に覆われています。
そのため、現在、アメリカなどではかつて見たことのないような色彩のオーロラに包まれています。
スペースウェザーには、「オーロラ写真ギャラリー」という投稿ページがあるのですが、ここ2日ほどのオーロラの色彩は、常軌を逸しているという表現でいいのかどうかわからないですが、上にも載せましたように、各地でものすごい色彩のオーロラが出ています。
下の写真も、オーロラ写真ギャラリーからのものです。
▲ カナダのサスカチュワン州ショーナボンで撮影。Spaceweather Auroras より。
▲ ウィスコンシン州ハートフォードで撮影。Spaceweather Auroras より。
これは、現地で相次いでニュースとして報じられています。
このような美しい・・・か、あるいは見方によっては異常な空を見せていたミネソタなんですが、その2日前、アメリカのモンタナ州では「昼」にすごい光景が起きていました。
人々はそのとき、「空が落ちてきた!」と口々に叫んだ
とりあえず、写真です。
モンタナ州のボーズマンという場所だそう。
これは別の場所から動画でも撮影されていて、写真だけだとこの白いものが何なのかがわかりづらいのですが、動画を見てみますと、これは砂や土煙などのたぐいではなくて、「雲」のように見えます。
上のは短くしたもので、オリジナルの投稿はこちらにあります。
この「奇妙な雲」というのも、ここ2〜3年の現象として顕著なもののひとつで、私自身も空をよく見るのですけれど、「不思議な気がする」というような雲をよく見ます。
もちろん「気がする」というだけで、科学的には不思議でもなんでもないのかもしれないですが、気流の動きと雲の動きがバラバラだったり、最近では、中心から四方に向かってそれぞれがバラバラに動いていくという雲を見たこともあります。
まあ、それだけ気流が荒れているということなのかもしれないですが。
過去記事でも、奇妙な雲については数回記事にしたことがあります。
2年ほど前には米国アラバマ州で撮影された「津波のような雲」をご紹介したことがあります。
▲ 過去記事「米国で観測された津波の形をした巨大雲に驚く市民たち」より。
上の雲なども科学的には、ケルビン・ヘルムホルツ不安定性だとかいう流体力学で説明できるそうですけれど・・・まあ、理屈では説明できるにしても、そうそう目にするものではないような気もします。
あるいは、こちらは3年くらい前の記事に載せたものですけれど、下の写真の雲。
▲ 過去記事「光線の自然現象の原則に反して見える不思議な飛行機雲の影」より。
飛行機雲が出来ているのですが、「その飛行機雲の上にある雲に、飛行機雲の影が写っている」というものです。太陽の光は上から来ているのに影が光源のほうに写っているというもので、大変不思議な感じはするのですが、これも光学的には月からの光線などとの関係で説明できるものだとか。
▲ 大気工学の専門家レス・カウリー博士のサイト(英語)より。
そんなわけで、上でご紹介しましたモンタナの「地上に落ちてきたような雲」も、ごく普通のことなのかもしれないですが・・・。
ところで、あまり意味はないことかもしれないですが、オーロラが撮影されたミネソタ州のセント・クラウドという場所と、モンタナ州のボーズマンという場所は、それぞれ下の場所です。
オーロラが撮影された町の名前のセント・クラウドというのは、英語では St.Cloud となるようで、つまり、「聖なる雲」というあたりも、いろいろとオチとなっているような(あるいは、なっていないような)。
さらに、米国の政府機関のウェブサイトの更新停止は加速
ところで、10月1日から始まったアメリカの政府機関の閉鎖の影響ですが、昨日の記事に載せました読売新聞などの報道によると、
> NASAは職員約1万8000人のうち97%が自宅待機
と書かれてありましたが、スペースウェザーに宇宙天気の予測を提供しているアメリカ海洋大気庁( NOAA )も政府機関で、ウェブサイトは停止されています。しかし、スペースウェザー上での太陽活動の状況報告と、宇宙天気の予測は続いているのですが、しかし、
「ああ、やっぱりいろいろと大変なのかも」
と思うことがありました。
下の写真は、スペースウェザーで毎日更新される太陽のコロナホールの様子を報告している写真です。
おわかりでしょうか。
写真がブレている上にレイアウト(中心線)もズレているのです。
何年も見ていますけれど、こんなに杜撰なのは見たことがないです。
ちなみに、これは拡大写真でも見られます。
写真自体は NASA の太陽観測衛星ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー( SDO )というものが写しているものなのですが、なんとオリジナルの太陽写真自体がこうなっているのでした。
▲ 太陽観測衛星 SDO のオリジナル写真。
まあ、 NASA は 97パーセントの職員が自宅待機ということになっているようで、残りの3パーセントの職員でいろいろとやらなければならないということなんでしょうけれど、その多くは人命に関わる国際宇宙ステーションだとか、有人のミッションなどに集中していると思いますので、他は「適当」になっているという可能性もあります。
上の写真の太陽の顔そのものも、なんとなく困惑しているような表情に見えたりします。
それと、最近書いていました「氷のデータ」に関しても滞りそうです。
9月に観測史上最大の氷面積を更新した南極のデータも 10月 2日から停止
最近の過去記事の、
・ついに地球が本格的な「寒冷化時代」に突入した可能性
2013年09月09日
などをはじめとして、最近は定期的に北極や南極などの氷のデータを掲載したりしていました。
そして、2013年9月の末までに、南極の海氷の面積が史上最大をさらに更新しているということがわかっていました。
下は海氷の面積と、南半球の氷の面積の推移のグラフです。
▲ アメリカ国立雪氷データセンターより。
上の図と共にある数値のデータでは、今年9月の南極の海氷面積は 1,980万平方キロメートルとなり、これまでの記録だった 2005年の 1,950万 5,000キロ平方メートルを 293,000平方キロメートル上回ることになったことが書かれています。
つまり、この2013年9月は、南極の氷面積は観測史上で最大だったようです。
ところが・・・。
このアメリカ雪氷データセンターも今日(アメリカ時間の10月2日)からは下のように「データソースは利用できない」と書いてありました。
これは、更新もされないということだとすると、政府機関の閉鎖が続く限り、北極や南極の氷の面積のリアルタイムのデータもわからないということになるのかもしれません。
そんなわけで、世間的には、アメリカ政府機関の閉鎖はそれほど話題になっていないようなんですけれど、私にとっては結構な影響で、 NASA のデータ、 NOAA のデータ、アメリカ国立雪氷データセンターのデータの多くを入手しづらくなっているということになりつあります。
NASA は現時点では STEREO などの太陽観測データの提供は続いていますが、この先、政府機関閉鎖が続くようだと、どうなるかわからない面もあります。
なぜかというと、データを稼働させる機器はそれが自動であっても、「費用」はかかっているはずだからです。
その費用が出ないような状態が続くとなると・・・。
あれ?
ところで、どうしてタイトルに「彗星アイソンが消滅しようとしている」としたのでしたっけ・・・。
ああ、そうだ。
いろいろ書いて忘れていました。
今日のスペースウェザーにあった短い記事なんです。
「彗星アイソンが崩壊しそうになっているのではないか」という科学者の言葉が引用されていたのです。
内容は短いのですけれど、今年の大きなイベントのひとつであることは間違いないアイソン彗星がこのまま消えてしまうとしたら、それは何かアレですので、その雉子をご紹介して締めたいと思います。
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宇宙の中の地球
2013年09月12日
▲ 9月9月に観測された「9月ペルセウス座イプシロン流星群」。ヨーロッパ上空では爆発の様子が見えたらしいです。 NASA 全天カメラより。
タイトルの「ふたたび」というのは、何だか唐突な感じかもしれないですが、過去記事で同じようなことを取り上げたことがありました。
見てみますと、2年前の 2011年の記事でした。
・地球上空は狂乱状態: 7つの流星体が上空で衝突
2011年12月10日
この頃、複数の隕石が「地球の上空でピッタリと衝突して爆発する」という現象が連日、 NASA の 全天火球ネットワークなどで観測されていました。
これは、流星群ではなく、「それぞれの隕石や流星がまったく違う方向から飛んできて、ピッタリ地球上空で同時に衝突して爆発した」という(多分珍しい)出来事といえるものでした。
下の軌道がその時のものです。
線の色は、その天体の飛行速度を示します。
青いほど高速です。
2011年 12月 9日の地球上空
そして、またこの 2011年 12月と同じように「連日、地球上空で複数の天体が衝突するという出来事」が起きています。
2013年にも地球上空での天体の衝突がさらに派手になって登場
9月 10日と 9月 11日の連日のスペースウェザーの記事を続けてご紹介します。
なお、記事での「9月ペルセウス座イプシロン流星群」というのは直訳で、調べてみますと、日本では「9月ペルセウス座ε流星群」というように記すものがこれに該当するようです。
BUSY INTERSECTION
Spaceweather 2013.09.10
忙しい交差点
9月9日、 NASA 全天火球ネットワークは米国南部全域の空で 20以上の火球を記録した。
それらの軌道はすべて一点で交差した。
下の青い点で示される地球の上空だ。
図では、軌道は速度によって色分けされている。
速度は秒速 16キロ〜71キロの範囲だった。
これらの動きの速い流星のほとんどは、「散発的なもの」であり、群として動く流星ではなく、ランダムな宇宙塵の小さな点といっていい。
太陽系の内側にはこのような隕石が数多くあり、それらは毎日のように地球に衝突している。
しかし、今回の流星の中のいくつかはランダムなものではなかった。 NASA のカメラは5つの 「9月ペルセウス座イプシロン流星群」( the September epsilon Perseid meteor shower )を捕らえた。
この流星群は、その母体となる星を含めて、あまり詳しく知られていない流星群で、毎年9月中旬に観測することができる。しかし、この9月ペルセウス座イプシロン流星群に関しては群としての流星の流れが存在するのかどうかということについて、やや疑問がある。
いずれにしても、 2013年は 2008年に続き、この流星群を観測するにはいい年とであると思われる。
続けまして、その翌日の9月10日のスペースウェザーの記事。
METEOR OUTBURST?
Spaceweather 2013.09.11
隕石の大爆発?
ヨーロッパの観測者たちが、「9月ペルセウス座イプシロン流星群」の爆発を報告している。
「爆発は 9月 9日から10日( 世界時間 )の真夜中を中心に発生した」と、NASAの流星環境事務所( Meteoroid Environment Office )のビル・クック所長は語った。「約2時間のあいだに、流星が時速 50キロと同等の速度で現れた。ただし、北米はその時間は昼だったので、私たちはその爆発の様子を見ていない」。
NASAの全天監視カメラは、ヨーロッパの観測者たちが見たものよりも低い割合でだが、イプシロン・ペルセウスの火球を記録した。流星環境事務所のチームは、イプシロン・ペルセウス座の流星の軌道を十数個計算することができた。
9月ペルセウス座イプシロン流星群はあまり知られていない流星群で、毎年9月前半から中旬にかけ観測されるが、通常、観測される流星の数は多くても1時間に5個を越えることはない。
しかし、 2008年には平年の5倍の数の流星群が観測され、観測者たちを驚かせせた。今年も、平年の倍の数が観測されるかもしれない。
というわけで、スペースウェザーの説明によりますと、 9月 9日には、ランダムな隕石や流星と「9月ペルセウス座イプシロン流星群」という流星群の一部が、すべて地球上空で交差したということのようです。
そして、 9月 10日には、その「9月ペルセウス座イプシロン流星群」が、地球上空で大爆発を起こした模様。
それと関係あるのかどうかわからないですが、その 9月 10日、アメリカのアラバマ州で、「野球ボールサイズの隕石が上空で爆発した」というニュースが、米国で報じられていました。
▲ ニューヨーク・デイリー・ニュースより。
上の写真は米国 NBC テレビに目撃者から寄せられたその様子です。多くの目撃者がいて、また、様々なイベントがおこなわれていたので、カメラなどで多く撮影されたようです。
まあ、そんなわけで、空のほうもまたざわついてきたのかもしれないですし、一時的なものなのかもしれないですが、実は、9月に入った途端、奇妙だったということもあるのです。
9月に入ってから毎日発見されていた地球近くを通る小惑星
NASA では、地球の近くを通る天体で軌道がわかっている分についてはその都度、公表しています。
これを「潜在的に危険な小惑星」( Potentially Hazardous Asteroid )と呼んでいますが、上記の Wikipedia によりますと、
2012年9月20日現在、地球近傍天体(地球に接近する軌道を持つ天体) 9192個のうち、潜在的に危険な小惑星は 1331個登録されている。
ということで、 1000以上わかっています。
ところで、上では、 2012年 9月 20日時点で「 1331個」となっていますが、現在の 2013年 9月 12日の時点では、これは 1423となっています。
つまり、1年で 90個ほど増えていることになります。
このように結構なペースで発見され続けているものなのですけれど、それにしても、この9月に入ってからはスゴかったのです。
下のは、 9月 5日時点のものですが、このうち、赤で囲んだものは、すべて「直前」かあ、あるいは「通過後」に記載されたものです。
▲ Spaceweather より。
しかも、日に日に増えていく。
私は毎日この「潜在的に危険な小惑星」を見ているんですが、下のは 9月 9日のもので、よく見ると、赤で囲んだ小惑星が「追加」されていたりしていました。
どれも小さな小惑星ですが、通っていく距離は比較的近くて、この頃の状況を見ていると、「いろいろと地球に近づいていそうな感じはする」というような思いもあったのですが、上記に上げた狂乱状態を見ていますと、しばらく、地球上空は騒がしいことになるのかもしれないです。
もっとも、この程度の「空の狂乱」は、地上に被害を与えるようなものではないですので、気にするようなことでもないかもしれません。いわゆる「地球への天体衝突の本番」は多分、何の予兆もなく、まったく予測されることなく発生すると私は思っています。
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宇宙の中の地球