2012年08月21日



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国際宇宙ステーションで行われている「宇宙空間での生物移送実験シミュレーション」



月くらいに書きました、

宇宙空間に「強烈な匂い」が漂っていることを知った日
 In Deep 2012年07月24日

で「宇宙は焼けたステーキと熱い鉄の匂いがする」ということを知って以来、宇宙空間や「宇宙遊泳」という行動そのものに興味があるのですが、宇宙遊泳の関係のニュースを見かけました。






 



ところで、今回の記事とは関係ない話ですが、上の「宇宙の匂い」の話の中に NASA の宇宙飛行士たちが宇宙の匂いについて地上で再現するための会話のようなエピソードを紹介していますが、そこに挙げられていた宇宙の匂いの「要素」は下のようなものだそうです。


アジア料理の香辛料
ガソリン
汗をかいた足の匂い
体臭
マニキュア取りの薬剤


それに加えて、「焼けたステーキと鉄の匂い」。これらを頭の中で想像しながら足していくと、ふと、「宇宙空間ってバンコクとかクアラルンプールみたいな匂いなのかもなあ」と思ったりいたしました。

バンコクというか、東南アジアの都市部の屋台などが並んでいる場所では、ナンプラー系(魚醤)の焦げた匂いと揚げ物の匂い、それと渋滞の排気ガスと、女性たちのわりと濃いめの香水の匂いと、人々のムンムンとした「人間の匂い」などが入り交じっていますが、それが上の比喩と似ている。

「宇宙の匂いとはアジアの都市の匂いなり」

と悟りつつも、こんなことで横道に話題が逸れている場合ではないので、話を戻します。



国際宇宙ステーション(ISS)のミッション


宇宙関係のニュースは、最近では、NASA の火星無人探査ミッションのことが多いですが、一方で、宇宙空間では常に、「有人のミッション」が行われていることに気づきます。国際宇宙ステーションでの長期滞在クルーによるミッションです。

国際宇宙ステーションでミッションを行うのは、基本的に、アメリカとロシアの宇宙飛行士ですが、現在の国際宇宙ステーションには、日本の JAXA 所属の星出彰彦さんが NASA 認定の宇宙飛行士として搭乗しています。

iss-32.jpg

▲ 現在の国際宇宙ステーションに「第32次/第33次長期滞在クルー」として搭乗している3名の宇宙飛行士。左から、星出彰彦(日本)、ユーリ・マレンチェンコ(ロシア)、サニータ・ウィリアムズ(米国)の各宇宙飛行士。サニータ・ウィリアムズさんは NASA 所属の女性宇宙飛行士。JAXA 広報ページより。


そんな中、それと関連して、ロシアのイタルタスという通信社の報道で、「ロシア人宇宙飛行士による宇宙遊泳ミッションによる実験」についての記事を見かけました。

ロシアのイタルタス通信には、毎日何度も宇宙ステーションでの活動に関しての報道がありますが、「どうしてかな」と思ったら、どうやらイタルタス通信社は、モスクワの ISS 司令部内に記者を常駐させているようです。


今回の記事は、その国際宇宙ステーションでのロシア側の実験に関してのものですが、その実験の中に、「宇宙空間での生物の移送」に関してのものがあり、それに興味を持ちましたので、ご紹介させていただこうと思った次第です。


はじめて知ったんですが、どうやら科学者たちは近い将来、「他の惑星へ地球の生物を送ろう」としている意図があるようです。生物といっても、この場合、バクテリアや真菌(カビなど)などの微生物ということになるのですが、確かにそれなら、かなり簡単に送ることができる。


まあしかし・・・実際には、今まで地球から宇宙へ打ち上げられた、ほぼすべての宇宙飛行マシンは、「地球のバクテリアなどを付着させた状態で宇宙空間へ飛び立っている」はずですので、すでに宇宙のあらゆるところに地球の微生物は降り立っているとも思います。

過去記事の、

宇宙空間で553日生きのびた細菌の研究が英国オープン大学から発表される
 In Deep 2010年08月26日

にありますように、「宇宙空間でも死なない」地球の生命はたくさんいて、あるいは、大腸菌のようなありふれた地球の微生物や、あるいは、他のどんなものでも微生物であるなら、宇宙空間のような超低温状態なら生きのびられると個人的には思っています。

これは、宇宙空間がマイナス270度などの「超低温」ということが理由で、微生物ならフリーズドライ的な状態、つまり「仮死状態」のような形で宇宙空間に存在できるとされています。


いずれにしても、火星探査機などもそうですが、地球から宇宙へ飛び立っていったマシンは数多くの地球の生き物と共に宇宙に行っているはずです。



太陽系を突破しつつあるボイジャー1号


現在、もっとも遠くまで地球の微生物を引き連れていっていると考えられるのは、NASA のボイジャー1号です。35年前に打ち上げられたボイジャーは、現在、地球から約 170億キロメートル<(113天文単位)という途方もない遠い場所にいて、NASA によると、「もうすぐ太陽系を突破する」とされています。

voyager-115.jpg


このことが NASA から発表されたのは今年6月のことですが、その要約を掲載しておきます。


もうすぐ太陽圏脱出? ボイジャーの周りで宇宙線が急増
Astro Arts 2012.06.15

1977年に打ち上げられ、現在は太陽圏の果てを航行しているNASAの探査機「ボイジャー1号」。178億kmの距離から16時間36分かけて届いたそのデータから、探査機の周囲の宇宙線が急激に増えていることがわかった。2009年1月〜2012年1月の間では25%の増加だったが、5月7日以来、1か月に9%というペースで急増しているという。

太陽圏と恒星間空間の境界付近では、太陽風の荷電粒子と、超新星爆発で生成され恒星間空間から飛来する宇宙線とがせめぎ合っている。計測される宇宙線が増加したということは、それだけ「外の世界」に近づいているという証だ。



ボイジャーに付着している微生物なり、「地球の有機物」なりが太陽系の外へと出て行く日が近いのかもしれないですけれど、しかし、それら微生物も、辿れば元々がそちら側(太陽系の外)から来たものだと考えると、輪廻というか虚無というか複雑な感覚が沸いたりします。


それにしても、たった 35年で 178億キロメートルも進むボイジャー1号の速度もすごいですけど、そんな距離からのデータも「16時間36分」で地球に届いちゃうんですね。


個人的な感覚では、火星の生命探査もそうですが、「宇宙の生命」という存在に関して、何となく、そのミッションは筋違いのような気もしつつも、でも、そういう批判的な意味とは別に、宇宙ステーションで生物の惑星感転送のシミュレーションがおこなわれていることと、その実験の結果には興味があります。

まあ、他の惑星に生命を送るということが、倫理的に(何の倫理かよくわからないですが)是か非かは非常に難しいことだとは思いますが。


今回はロシア語の記事なのですが、ロシア語での専門用語をうまく訳せていないところが多いと思いますので、翻訳する際に用語などを参考にした関連リンクを記しておきます。

Wikiepdia から

ピアース(ISSのロシアのモジュール)
ズヴェズダ(ISSのロシアのモジュール)


また、JAXA の「宇宙ステーション・きぼう」のウェブサイトからは、



などを参考にさせていだきました。
機器の名称や、乗組員の方の名前の日本語表記などは JAXA の表記に準じました。

それでは、ここからイタルタス通信の記事です。






 


ISS
イタルタス (ロシア) 2012.08.21


ISS の司令官と乗組員が宇宙遊泳での任務を終え、宇宙ステーションに帰還


tass.JPEG


8月21日、ISS (国際宇宙ステーション)の長期滞在のロシア人クルーであるゲナディ・パダルカとユーリ・マレンチェンコは、ISS のロシア活動ブログラムである宇宙遊泳での実験の基本的なタスクを実施し、宇宙ステーションに帰還した。

モスクワ近郊にあるミッション・コントロール本部内のイタルタス通信支部からの報告では、パダルカとマレンチェンコのふたりの宇宙飛行士は、モスクワ時間の午前1時28分に ISS の宇宙遊泳用モジュール「ピアース」に移動した。ピアース内で5時間以上を過ごした後に、宇宙遊泳ミッションが開始された。

開始時間の遅れにも関わらず、パダルカとマレンチェンコの二名は、予定より30分早くタスクを終えた。

ISS に戻ったパダルカとマレンチェンコを出迎えたのは、米国宇宙航空局 NASA のジョセフ・アカバ宇宙飛行士とサニータ・ウィリアムズ宇宙飛行士。そして、日本の JAXA 所属の ISS フライトエンジニア、星出彰彦宇宙飛行士の三名。

パダルカとマレンチェンコが宇宙遊泳でおこなったミッションは、まず、宇宙遊泳用モジュール「ピアーズ」の移動と分離だった。ピアーズは、将来的に ISS から切り離され、太平洋上に落下させ沈ませるのだという。

次に、二名の宇宙飛行士は、宇宙空間での物質の転送の実験を行った。

その後、バレーボール大の大きさの小型の人工衛星スフィアーズ (SPHERES)を使っての実験を行った。これは、科学者たちが、地球への物質落下をシミュレートするのための実験で、二名の宇宙飛行士が、宇宙空間にこの人工衛星 SPHERES を運搬した。この後、ISS の軌道の旋回中にいつでも、この人工衛星のパラメータを観測できる。

その後、二名の宇宙飛行士は、サービス・モジュールと呼ばれる ISS を構成するモジュールのひとつである「ズヴェズダ」( Zvezda )に移動した。このロシアのモジュールには、乗員の居住空間や生命維持装置などの機能が備えられている。

パダルカとマレンチェンコは、このズヴェズダに、宇宙空間の流星の衝突から機体を保護するパネルを強化する作業をおこなった。

そして、最後にパダルカとマレンチェンコは、「ズヴェズダ」にある3つのコンテナのうちのひとつに入った。このコンテナには、宇宙空間の過酷な条件の中で生き残ったバクテリアや真菌などの容器がある。

これらの宇宙空間での生物の研究は、将来の惑星間ミッションや、惑星での検疫活動の問題のための重要な研究要素となる。

また、近い将来、科学者たちが考えている「他の惑星へ地球の生命を移送させる」という試みにおいて、その惑星の生態系に対して、地球の生命がどのくらいの影響を与えるのかを考える必要があるという。

科学者たちは「私たちは地球の住民としてこの問題を真剣に考える義務がある」と言う。

また、科学者たちによると、同様に重要な点として、地球の生物が他の惑星に移送された場合、その地で突然変異する可能性があることだという。



  

2012年08月18日



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perfect-sun.jpg

▲ ほぼ「完ぺきな球体」であることが計測された私たちの太陽。






 


私たちは「丸いものは丸い」と単純に思う部分がありますが、実際にはこの世には「完全な球体の物体」というものは、少なくとも自然のものではほとんどないようです。「完全な球体」というのは球体のどこから測っても、直径が均一ということです。

以前、

電子は「宇宙に存在するものの中でもっとも丸い存在」だった
 In Deep 2011年05月27日

という記事を書かせてもらったことがありました。

これは英国テレグラフの「電子がほぼ完全な丸に近いことが突き止められる」という2011年5月26日の記事を翻訳したものですが、この世の中にあるものの中で最も小さなもののひとつである「電子」こそがこの世の中で最も丸いものだったということが判明したというものでした。

それはこのような記事でした。


英国のインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者たちは、電子の形について、これまででもっとも正確な計測を施した。そして、その結果、電子がほぼ完全な球形であることが判明した。

その亜原子粒子が 0.000000000000000000000000001センチメートル未満の、ほぼ完全な丸であることが確認されたのだ。

これは、言い方を変えれば、電子を「太陽のサイズ」にまで拡大したとしても、その円形の誤差の範囲は髪の毛一本の中に収まる程度の誤差となるほどの完ぺきな円であることを意味する。



この判明に英国の研究者たちは 10年の歳月をかけています。

ちなみに、上の記事を書く時、私は電子とか原子とかについての知識が全然なく、そもそも「原子と電子とどちらが大きいのか」さえ知らなかったですので、その際ほんの少し勉強してみましたら、電子というのは要するに「原子核のまわりを回っている存在」だそうで、下の図での「動いている青いもの」です。




そして、上の文章の中に「太陽のサイズにまで拡大したとしても」という表現が出てきますが、この世は本当に面白いと思いますが、その「太陽」もまた、「完ぺきな円」であることがつい最近わかったのです。

ちなみにタイトルに「ショックを受ける科学者たち」という文字がありますが、どうしてかというと、今回の計測までは、「太陽は赤道付近で少し膨らんでいるだろう」と考えられていたのだそうです。それが完全な球体だったということに関しての驚きだそうです。


今回はそのことにふれた記事をご紹介します。

ところで、毎回、記事の一番下に「1年前の In Deep 」というリンクがあります。
今回のを見てみますと、昨年の8月19日に、

[地球の内なる太陽] Vol.1 - その意味

という記事を書いていたのですが、そのほぼ1年前の記事の中に、今回の「太陽の円形」と、何となく関係のある内容のことを書いていたのですが、そこに「写真」を載せていました。

その部分をそのまま転載しておきます。

これは、

宇宙 > 銀河系 > 太陽系 > 地球 > 人間 > 細胞 > 遺伝子 > アミノ酸 > 分子

という流れを図で表したものです。


銀河系

1-mill.jpg



太陽系

2-sun.jpg



太陽

3-sun.jpeg



地球

4-earth.jpg



人間(卵子と精子)

5-human.jpg



細胞


6-meu.jpg Newtonより。



DNA 周辺(細胞核)

7-dna.jpg 遺伝子医学の基礎知識より。



原子


8-g.jpg



あるいは、これらの中にも「完全な円形」という概念と関係しているものが含まれているのかもしれません。

「月」もそんな感じがします。

それでは、ここから今回の本記事です。








 


Our Sun Is Almost A Perfect Sphere And The Most Round Object Known In The Universe!
MessageToEagle.com 2012.08.17


私たちの太陽は宇宙で知られている存在の中で最も丸い完全な球体だった


sun-perfect-shape.jpg


私たちの太陽がほぼ「完ぺきな円」だったということがわかり、その正確な数値を計測した科学者たちの間に少なからぬショックが走っている。

なぜなら、科学者たちは太陽は赤道付近でわずかに膨らんでいると考えていて、今回の「太陽は完全な球体」という測定結果に驚きを隠さない。

太陽は28日周期で回転し、また、堅い表面を持っているわけではないので、正確な測定は難しかったが、今回、ハワイ大学のジェフリー・クーン博士 ( Jeffrey Kuhn )は、 NASA の 太陽観測衛星ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリーに搭載されている太陽観測装置であるヘリオセイスミック・アンド・マグネティック・イメージャー( HMI / Helioseismic and Magnetic Imager )を使うことによって、太陽の円に関してのこの驚くべき発見をした。

HMI は太陽で起きる様々な変動を観測する。


太陽の赤道付近の膨らみの部分の正確な計測値が出た時、科学者たちは、その数値が自分たちの考えていた数値と違うことにすぐに気づいた。

クーン博士は「ショックを受けました」と言う。

太陽の直径は 140万キロメートル(1,400,000 km)だが、赤道付近の幅の違いは、たったの10キロメートル(10km)だったのだ。

これは、太陽を直径1メートルのボールと置き換えて考えると、赤道付近の東西と南北の直径の差が、1700万分の1メートルしかないということになる。


(訳者注)上の 1700万分の 1メートルという数値は、0.0005ミリ程度の差ということになると思いますが、違うかもしれません。


これは、私たちの太陽がこれまで計測されたあらゆるものの中で最も丸い物体だということがわかったことになり、そのことに天文学者たちは驚いている。

同時に、太陽の表面は考えられていた状態より驚くほど均一なものであることもわかった。


クーン博士はこのように言う。

「長い間、私たちは自分たちの変動している計測結果を信じていたが、しかし、今回の新しい結果は、それまでの考えとは違う何かを私たちに語っているのかもしれません」。




  

2012年08月12日



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昨日の米国 CNN に「Mars rover: Is all this really necessary?火星探査計画は本当に必要なのか)」という記事がありました。






 


それは、全体で 2000億円という巨額な資金を使い、たった2年間だけおこなわれる予定の今回の無人火星探査計画(ローバー計画)に対しての嫌疑のような記事でした。しかし、その記事を書いた CNN の記者の人も、過去の火星探査のことをあまり調べずに書いているようで、つまり、「火星探査が必要かどうか」という理由として上げている2点が、


・過去の火星探査で生命が見つかっていないのにどうして続けるのか

・火星の資源が地球の生活に活用できる可能性などあるのか


ということでした。

資源のほうはともかく、「生命」に関しては、 NASA のバイキング計画の研究員自身が、計画後の一連の実験から「バイキング実験より、火星上に有機物の存在を認めざるを得ない結論」を1980年代に出しています。



NASA の研究者が10年の歳月をかけて出したバイキング実験のデータ解析の結論はどこへ?

バイキング計画は NASA が 1970年代に行った火星無人探査計画で、1975年にはバイキング1号が火星に着陸。翌年の1976年にはバイキング2号が火星に着陸して、今回のキュリオシティなどと同じように、地面などからの物質の採取と分析を行いました。

しかし、バイキングの実験のデータから結論を得られたのは 10年後のことです。なので、仮に現在のキュリオシティが送信してきたデータを検証することには、やはり何年もかかるはずです。


しかし、それによって、もしかしたら何か発見される可能性があるにしても、それでも今の私は、 CNN の記者と同様に、でもこの記者とは別の観点から「現在の NASA の火星探査は無駄だ」と思います。

それは、過去記事の、

キュリオシティの悲劇
 In Deep 2012年08月08日

などにあるような、 NASA の科学者たちの体質の問題もありますが、それだけではなく、NASA は「微生物を探すため」にキュリオシティを火星に派遣しているはずですが、キュリオシティを含むローバーの性能はそれに実際に適していると思えないのです。

今のキュリオシティを莫大な予算をかけて、わざわざ火星に送るなら、1976年のバイキングの実験のデータの解析と検証実験をさらに現代の科学で繰り返したほうがいいと思います。

キュリオシティの性能の何が適していないのかというと、それは「地球で極限環境微生物を発見するためにはどのような場所から採取をおこなっているか」ということを考えると何となくわかる気がします。

地球での極限環境微生物の探索の場所は、たいていは、「地表」ではありません。
地下、無酸素の湖、海底、氷床の下、放射性物質の中、などです。

少なくとも、現在の科学や天文学では、火星の地表の環境は厳しいとされています。だとすると、地表そのものからバクテリアが見つけられる可能性より、そうではない場所のほうが遙かに適している可能性があると思うのです。

あるいは、「火星には過去に川などがあったこと」がほぼ確認されています。

このあたりは過去のニュースなどにもあります。
下のニュースは 2003年の NASA のニュースを日本語訳したものです。

火星にかつて川が流れていた証拠が見つかった
 AstroArts 2003.11.14

2003年にそのようなことがわかっていたということは、火星には、現在よりも過去のほうが豊富な生命や有機物が地上にも存在していた可能性を考えるのが普通だと思います。「過去(歴史)が眠っているのは普通は地下」であり、「海底」であり、地表ではないです。


地球上にも様々な厳しい環境の中に「極限環境微生物」と呼ばれる微生物がたくさん存在することがわかっています。極限環境微生物と「宇宙生命」の関係についても過去記事にずいぶんとありますが、それは記事下にリンクしておきます。


いずれにしても、現在は「地表は厳しい環境となっていることが予測されている火星」で、生命を探査したいのなら、地下数十〜数百メートルまで掘削か、土壌を採取できる機能と、あとは火星には氷の存在が確認されていて、その下は氷河等のある可能性もあり、その下は火星の古代の微生物の宝庫である可能性もあります。そのサンプルを採取できる機材。

地球では、南極や北極などで氷の何百メートル下からサンプルを採取して、生命探査をおこなっています。



下の動画は、上の記事に載せた「南極にあるロス氷棚という南極の氷の600メートル下で「エビのような生物」が泳いでいることが NASA のカメラに偶然収められた時のもの」です。2009年に NASA が発表しました。南極の氷の下数百メートルにもこのような大型生物さえいるのです。




まあ、話が逸れましたが、つまり、いくら火星の地表の砂とか土を拾ってもあまり意味がないし、そもそも、それはバイキングも先代のローバーもおこなっていることで、それを繰り返してどうする・・・と。しかも、バイキングの採取した地表の土からでさえ、最終的に「生命の存在を認めざるを得ない」と 1986年に NASA のバイキングチームの研究員は語っています。


写真を見る限り、季節によって火星の表面にはコケのような緑色のものが発生しているようですので、運がよければ、そういうものを採取できるかもしれないですけど、ローバーは移動距離も少ないので、多分、そういう偶然も難しそうです。

地球でだって、砂漠に着陸して、徒歩で植物を探しにいってもなかなか見つからないと思いますけれど、同じような感じに映ります。




▲ 無人火星探査機のオポチュニティ号が撮影した火星の写真。1970年代のバイキングの定点撮影の写真にもこの「緑色の区画」は撮影されていて、その際には、「季節ごとに緑が消えたり出現したり」していたことがフレッド・ホイル博士の著作に書かれています。


私には「 NASA が本気で火星で微生物を発見しようとはもはや思っていない」ように見えます。1970年代でその試みは消えたようにも見えます。


しかし、実際には最近の私が最も思っていることは「すべての宇宙生命探査プロジェクトは無駄」(SETI も含めて)ということかもしれません。

パンスペルミア説によらなくても、一昨年あたりから、私は、すべての宇宙にある生命構造は「ほぼ同じ」と考えるようになっていて、生命の形は違っても、根幹の DNA というか、アミノ酸などからできている有機物として根本的に違う生き物は存在しないと思っています。

お釈迦様が言っていた通りなら、この宇宙は同じ宇宙が無数に広がっているだけで、宇宙は拡大もしないし、そもそも誕生もしていない。この瞬間に存在しているというだけのものです。


だから、地球を見ればいい。


私たちの周囲に何億も何兆もいつも漂っている微生物や、あるいは大型の生命を見ているだけで、それで宇宙の生物の構造はわかると思っています。


上にふと「パンスペルミア説」という言葉が出てきたのですが、上に記した「バイキング計画」での火星探査のあたりのことが、フレッド・ホイル博士が最晩年のころに記したエッセイ風の軽い内容の著作『生命 (DNA) は宇宙を流れる』の中にも記載があります。

その部分をご紹介しようと思います。

バイキングがおこなった「ラベル放出実験」というものについて記載されています。






 


1976年のバイキングの実験が示したもの


このバイキングの実験は、「無人火星探査機が火星でどのような採取と実験を行うのか」という点で、今のキュリオシティの実験とも関連する部分があり、その意味でも興味はあります。

実際にはどのような実験で生命存在の探査をおこなっているのかよくわからないですし。もちろん、36年前と今では実験の方法は違うかもしれませんが、「生命探査」というのがひとつの目的ならば、同じ概念の実験を行っている可能性が高いです。

Mars_Viking.jpg

▲ 火星で土壌調査をするバイキング1号。1976年7月頃。


ちなみに、フレッド・ホイル博士は2001年に亡くなっていますので、2003年から始まったバイキングの次の火星無人探査計画(マーズ・エクスプロレーション・ローバー/ローバー計画)を知らないまま亡くなったのですが、それでよかったと思います。

それでは、ここから『生命 (DNA) は宇宙を流れる』を抜粋します。

章の途中からですが、内容そのものは省略できないので、やや長くなるかもしれません。改行だけこちらでおこなっています。


(ここから転載)



生命 (DNA) は宇宙を流れる
第6章「太陽系の生命探査」P123-127



この辺で、「NASA のバイキング計画の実験で、バクテリアの存在さえも否定されたことを忘れたのか?」という読者の声が聞こえてきそうだが、ちょうどわれわれもそれについてお話しようと思ったところだ。

バイキング計画とは、1970年代に NASA が行った、一連の無人火星探査プログラムである。 1975年の8月にバイキング1号が打ち上げられ、翌年7月に火星に到着、火星周回軌道に入った後、7月20日に周回機から分離された着陸船が火星大気に突入し、クリュセ平原(北緯22度、西経48度)に軟着陸した。

1号と同じ年の9月に打ち上げられた2号の着陸船も、1976年の 9月3日にユートピア平原(北緯48度、西経226度)に軟着陸した。

両着陸船は、自動シャベルを使って砂を採取し、光合成、代謝および呼吸についての3種類の実験を行った。

なかでも重要だったのが、ラベル放出実験(LR)だ。

この実験では、殺菌されたフラスコの中で、放射性同位元素14Cを含む栄養液と火星の土のサンプルを混ぜるという操作を行った。土に微生物が含まれていたら、栄養素を摂取して、14Cを含む二酸化炭素のガスが放出されるはずである。実際、 C14 を含む二酸化炭素が放出されるのが確認された。

次に、土のサンプルを 75℃まで熱して3時間おいておき、それから栄養液と混ぜるという操作を行った。その結果、ガスの放出量は90パーセントも減ったが、完全に0になったわけではなかった。地球上のある種のバクテリアや菌類が温度 75℃の環境で生きていることを思えば、この実験の結果も生物が活動している証拠だと解釈できた。

何よりも重要なのは、時間が経つにしたがって、もとの高い活動水準が回復されたことだ。これこそ、生物の特徴である。

最後に、土をさらに加熱してから同じ実験を行ったところ、ガスは放出されなくなってしまった。これは、加熱によってバクテリアが完全に死んでしまったことを示唆する。

バイキングのおこなった実験のうち、もう一つ重要なものがあった。

GC・MSと呼ばれるこの実験は、土を加熱した際に放出される気体をガスクロマトグラフと質量分析計で分析することで、微生物そのものではなく、土壌中の有機物を検出しようとするものだった。

この実験の結果は、がっかりするほど否定的なものだった。
有機物は存在しない。
もし存在するとしても、ごくわずかであるという結果が出たのだ。

この実験を担当した有機化学分析チームは、「火星の土壌の中に微生物が存在していれば、その死骸や排泄物が有機物として残されていなければならない。しかし、バイキングの行った実験では有機物は見つからなかった。したがって、この土には微生物は存在していないことが分かった」と発表した。

LR実験が疑う余地もないほど肯定的で、GC・MS実験がきわめて否定的だったという結果は、 NASA のミッションに関わる学者たちを困惑させた。

これらのデータを考え合わせた結果、生物学チームは、「バイキング計画の結果は、火星に生命が存在するかどうかという問題に対して決定的な結論を出すには不十分だった」と発表した。もちろん、このコメントには「バイキングが実験をおこなった地点では」という限定がついていたのだが、 NASA の言い回しは、一般人の耳には、「火星にはバクテリアさえいないことが確認された」と響いた。

けれども、実は、バイキングの実験は、生命を検出していたと考えるほうが適切なのだ。

最も重要なLR実験で肯定的な結果が「出てしまった」ことにつき、 NASA は、「火星の土に、無機物の強力な酸化剤が含まれていたためだと考えられる」と発表した。彼らは続けて、「現在のところ、そんな物質は知られていないが、そのうち見つかるはずだ」と言い切った。しかし、当時の NASA の研究者の一人は、

(LR実験で得られた)肯定的な結果を非生物的に説明するのは、容易ではない。この問題についての研究は、現在も、地球の実験室に場所を移して続行している。火星の土の代用品として、バイキングの着陸船の実験結果をもとに合成された土が利用されている。

LR実験の謎が解ければ、GC・MS実験では火星の表面に有機物を見つけられなかった理由も説明できるだろう。しかし、この謎が解決されるまでは、小さいながらも可能性を持ち続けるだろう

と言っていた。

バイキングの実験から 10年の歳月が流れ、その間も、火星で得られた実験結果を非生物的に再現するために数々の実験が行われた。バイキング計画の研究員だったG・V・レヴィンと、P・A・ストラートは、 1986年に一つの結論に達した。

「バイキングの実験は、火星に生物がいることを示しているとしか考えられない」

というのが、それだった。 10年間におよぶ無数の実験により、LR実験で得られた結果を説明できるような非生物的なモデルはないことが確認されたからだ。

彼らはまた、このことがGC・MSの結果とは必ずしも矛盾しないことも示した。GC・MSは、1グラムの土の中に1億以上の微生物がいなければ検出できないが、LRでは、1グラムの土の中に1万の微生物が存在していれば検出できることがわかったのだ。つまり、LRはGC・MSの1万倍も感度がよかったのだ。

結局のところ、GC・MSは、火星の土に有機分子がごく少量しか存在しないことを明らかにしただけだったのだ。火星のような厳しい環境では、微生物の代謝活動は極めて不活発だろう。それならば、有機物が少なくともおかしくはない。

レヴィンとストラートは、もう一つの驚くべき事実を明らかにした。

それは、バイキングの着陸船に搭載されたカメラが撮影した火星の岩石砂漠のカラー写真だった。この写真は、同じ場所を一定の期間をおいて撮影したものだったが、そこには、緑色を帯びた区画が、季節ごとに消えたり広がったりしている様子が映っていた。

この様子は、地球の岩石の上で、地衣類が生きていく様子に、驚くほどよく似ていた。地衣類は、極端に乾燥した環境でも、空気中のわずかな水蒸気を手に入れて生きてゆくことができる。

この発見の興味深い点は、地衣類は地球の生命体の中で、最も原始的な生命体ではない、という点だ。地衣類は、菌類とソウ類が合体したもので、バクテリアよりもよほど高級な生き物なのだ。




(ここまで)


以上ですが、上に「地衣類」という言葉が出て来ます。バイキングの撮影した写真にあった緑色がそれと似ているという記載なのですが、この地衣類の説明を Wikipedia から記載しておきます。




地衣類

地衣類(ちいるい)は、菌類と藻類(シアノバクテリアあるいは緑藻)からなる共生生物である。地衣類の構造は菌糸からできている。しばしば外見が似るコケ植物と混同されるが、地衣類は菌類であって植物ではない。





これを読んで、「ああ、なるほど!」と思いました。

いや、何がなるほどなのかというと、私は火星の写真を以前集めていて、何百枚も見ているのですが、火星の写真は「とにかく青と緑の色が多い」のです。

これは誰しも火星の写真を見て感じることではないでしょうか。


下のは無人探査機ローバーのオポチュニティ号が撮影した火星の写真です。
特に青が多いもののひとつです。

mars_nasa-op.jpg


地球でたとえば砂漠の写真を撮影しても、そんなに「青い部分」というのは映り込まないと思うのですよ。そりゃあ、地球と火星では環境が違うので、すべてが同じではないとはいえ、青と緑が多すぎると感じるのです。

上の写真など何だか植物っぽくも見えるのですが、しかし、火星の(少なくとも地表は)植物のようなものが存在するには厳しい環境であるとも思います。

また、下のは、いっとき有名になった「真ん中に人のようなモノがうつっている」という写真ですが、私は「その人のようなもの」より、岩が青いことがずっと気になっていました。

man-mars.jpg


上の写真のオリジナルはパノラマですので、もっとも広範囲を撮影したものなのですが、どこまでも「岩が青い」のです。上の写真は NASA が色修正をしたものですが、オリジナルの色に修正しても青は残ります。

それ以来、「どうして火星の岩の表面は、青かったり緑ばかりなのだろう」とずっと思っていました。そういう材質の岩もそりゃあるでしょうけれど、どれも表面が青い写真さえあったりする。

上の地衣類の説明を読んで、確信しました。火星にある緑は地衣類、あるいは地球の砂漠にもある菌類の関係の生物の「青」、あるいは「緑」だと。

植物が育つのは無理でも、菌類なら、なるほど極限環境でも繁茂できるかもしれない。


ちなみに、地球の砂漠にある地衣類は下のような感じです。

chi-sampo.jpg

ナミブ沙漠の地衣類・多肉植物。より。


そうかそうかあ・・・菌類の緑というものが、この世には存在しているんだ。
なんでも知るものだなあ。


そして、キュリオシティは火星の地衣類の道の上を散歩中(ちい散歩)。



  

2012年08月10日



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タイトルの「亀裂」というのは物騒な響きですが、最初、ロシアのニュースで見て、そのニュースの見だしからもらったものです。そのタイトルは、「太陽に出現した亀裂に関してわかれる科学者の意見」という下の報道でした。

solar-01.png

▲ ロシアのニュースサイト ヴェスチ より。






 



このロシアのニュースの本文は下のような感じで始まるものです。


太陽の表面に、まるで太陽をふたつに分割するかのような恐ろしい黒い「亀裂」が発見された。この亀裂は、8月5日からの3日間のあいだに急速に発達し、長さ100万キロ近くまでの亀裂となった。

この亀裂は今後数ヶ月の間に、地球上の生命に悪影響を与える可能性があるとロシアの科学者たちは言う。



私は読んで意味がよくわからず、「なんだ? 太陽の亀裂って」と思って、遡って NASA の太陽の画像をたどっていくと、「ああ、このことか」と思い至りました。

下の画像は数日前の 8月5日に撮影された、太陽の画像です。


filament-2012-08-05.jpg


太陽の中央にある黒いラインのことを「亀裂」というような表現で表していたようです。

しかしまあ、「亀裂」というのは、意味としては「穴」のことで、割れていっていることを現しますが、この黒のラインは表面上に「出現」したものですので、亀裂という意味ではないとおもわれます。これは、英語とロシア語の言葉の表現上の問題でもあるのかもしれないですが、そこまでわからないです。

一般的には、これらは「フィラメント」と呼ばれていて、 In Deep の過去記事でも、印象的なフィラメントが現れた時には紹介したことが何度かあります。

フィラメントは珍しいものではないですが、上のものは、長さが約100万キロ(地球の直径の約 80倍)に達する巨大さと、あとは「かなり黒色のフィラメントである」ことは珍しいと思われます。

太陽フィラメントについての In Deep の過去記事を写真と共にいくつかリンクしておきます。




文字のようなフィラメント(2011年11月)



・過去記事「「 SUN 」 と描きそうだった太陽の磁気フィラメント」より。
 In Deep 2011年11月30日



巨大な円形を描いたフィラメント(2010年10月)

strange-filament-ring-on-the-sun.jpg

・過去記事「NASA を狼狽させる太陽の上の巨大な磁気リング」より。
 In Deep 2010年10月17日



顔の形を描いたフィラメント(2010年12月)

solar-smile-faces.jpg

・過去記事「「太陽が笑った」: 目は黒点で口は磁気フィラメント」より。
 In Deep 2010年12月09日





他にも過去記事に数多くあるように、太陽表面のフィラメント自体はそれほど珍しい現象ではないのですが、では、なぜ上記記事で、ロシアの科学者たちが、


> 今後数ヶ月の間に、地球上の生命に悪影響を与える可能性がある。


というようなことを言っているかというと、フィラメントが巨大になった場合、「通常とは違う発生過程による太陽フレア」が発生することがあることが確認されているからだと思います。

これは、「黒点がない状態でも発生する太陽フレア」で、 NASA など米国の天文学会ではこの現象をハイダーフレアと呼んでいますが、一般的な言葉なのかどうかは不明です。かつて、スペースウェザーがこのことを取り上げたときの記事を抜粋します。

翻訳記事で、元記事はSOLAR FILAMENTです。


太陽フレアの原因ともなりうる巨大なフィラメントが地球の方向面で成長中
 In Deep 2010年05月20日

太陽は今日も無黒点でしたが、活動していないわけではありません。現在、非常に長い磁気フィラメントが、太陽の北方面に伸びています。この長さは、端から端まで10万キロメートルもの長さがあります。



このような形のフィラメントは、不規則に成長して爆発することが知られていて、その無黒点での爆発は、ハイダーフレアと呼ばれています。もし、今そのハイダーフレアが起こった場合、フィラメントの向きが地球に向いていることから、地球も多少の影響を受ける可能性があります。



というものです。

そのため、場合によっては、非常に巨大な太陽フレアが地球に向かって放出される可能性があるため、科学者たちはそのようなことに言及するのだと思われます。

しかし、私はこれらの「巨大な太陽フィラメント」に関して、今年になってから、他のことを感じるようになっています。

「龍の年」である2012年の今年のはじめに「龍」と「ヘビ」に関して、かなりの数の記事を書いたのですが、それらを書いている中で、この太陽フィラメントという存在は、もっとも、その龍やヘビといったものの動きと似ている動きをしていることに気づきます。

龍やヘビの関係の過去記事は記事下にリンクしておきます。

今回の 8月5日の太陽フィラメントなんかは格別に「ヘビ」っぽいんですが、その日のスペースウェザーの記事を見てみましたら、まさに「太陽のヘビ」というタイトルで紹介されていました。

しかも、その「ヘビ」の英語はスネークではなく、サーペント( Serpent )とスペースウェザーは表記していました。

これは旧約聖書に出てくる「悪としてのヘビ」の意味の英単語で、今年はじめころの In Deep でも、この「サーペント」の単語には妙にこだわった記憶があります。Serpent の辞書での意味は、


1 蛇 (snake)
2 悪魔;サタン〈《聖書》創世記3:1-5;黙示録20:2〉(Satan)
3 陰険な人, 狡猾な人, 悪意のある人
4 蛇花火
5 セルパン:蛇の形をした木管楽器
6 《天文》へび(蛇)座(Serpens)


というようなことになっています。

この2番目に「《聖書》創世記3:1-5;黙示録20:2〉」とありますが、このあたりについて、過去記事の、

ヘビとウロボロスとケツァルコアトルと月と太陽をめぐる旧約聖書『創世記』への疑問のようなもの
 In Deep 2012年04月08日

という記事で取り上げたのが最初だったと思います。

まあ、このことだけではないですが、一度関心をもったことに関しては何度も何度も関わることになるというような傾向が私のブログにはありますので、今後も「サーペント」、あるいは「旧約聖書への疑問」との関わりは続いていきそうです。


いろいろと「中から出てくる」2012年

全然関係ないですが、数日前、タイ北部の町で、「仏像のお腹の部分が突然崩壊して、その中から別の仏様の顔が出てきた」という出来事があり、そのお寺には今、参拝者の人々が列をなしているそうです。下がその仏様の写真です。


thai-buddah.jpg

▲ タイのローカル紙 カオソッドより。


なんかスゴイですよね。

上の記事はタイ語の記事なんですが、タイのニュースもおもしろいものがいろいと貯まっていますので、そのうちまとめて翻訳してご紹介できるかもしれません。

なんというか・・・こう、「良いものも悪いものも、いろんなものがどんどんと表面に出てくる」というような感じのニュースが最近は多い感じがします。
2012年というのはそういう年なのですかね。


そんなわけで、また次第に内容が混沌としそうですので、8月5日のスペースウェザーの記事をご紹介して今回は括りたいと思います。






 

SUN SERPENT
Space Weather 2012.08.05

太陽のヘビ

世界中の天文家たちが、現在、太陽の表面に出現している巨大な太陽フィラメントに注目している。このフィラメントの長さは、地球から出発して月にまで届くであろうほどの巨大さだ。

このフィラメントはその大きさのため、アマチュア天文家たちの望遠鏡でも十分に観測できる。

下の写真は、アマチュア天文家のリチャード・フリートさんがイングランドのウィルトシャーにある自宅の望遠鏡から撮影した写真だ。


serpent_0805.jpg


このフィラメントは数十億トンのプラズマで満たされており、太陽風と大気の中にある巨大構造のため、安定していいないように見える。

そのため、このフィラメントが崩壊する際に「ハイダーフレア」という巨大な太陽フレアを誘発する可能性がある。




  

2012年08月08日



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NASA の新しい火星探査機が火星に到着したようです。
それに関して短い記事ですが、少し書いておきたいと思います。

私が NASA の火星探査に絶望し続けた歴史というのはこのブログでも過去によく書いていましたが、とりあえず、そのあたりがふれられている過去記事などをリンクしておきます。






 





ところで、今回の火星探査機が送信してきた写真の「最初の1枚」を見て「なんだこれ?」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

モノクロで露出も悪いなんだかよくわからない写真。
こちらの写真です。


火星探査機キュリオシティの送信してきた最初の写真

curiosity-photo-1.jpg


私は苦笑してしまいましたが(苦笑の理由は今回の記事の後半で明らかになると思います)、「火星からの写真なのだから、この程度のものなのでは」と思われる方もいらっしゃるかもしれないですが、今から36年前に火星に着陸した NASA のバイキング2号の写真を比べると、その「質がどんどん落ちている」ことがおわかりと思います。


火星探査機バイキング2号が送信してきた写真(1976年)



Wikipedia - バイキング2号より。


40年近く前にこれだけ鮮明に撮影して地球に送信することができた火星の写真が、どうして、NASA は最新テクノロジーを搭載したキュリオシティの「1発目の写真」で公開しなかったのか・・・というあたりに今回のタイトルの「キュリオシティの悲劇」というような概念が結びつきます。



ちなみに、冒頭で私は「NASA の火星探査に絶望し続けた歴史」と書きましたが、何に絶望していたのかというと、そのあまりにも慎重な「科学的姿勢」に対してでした。

実際には1976年、つまり40年近くも前に火星に着陸した NASA のバイキング2号の上の写真を見れば、そこに有機物(生命)が存在しないこと自体がおかしいことに気づきます。ちなみに、「霜」というのも有機物が存在しないと、ほぼ存在するのが無理なことは現在の科学でなら説明できるはずです。

下のような過去記事も書いたことがあります。

NASA のバイキング2号の写真再分析で「火星の生命存在が証明された」という米国報道
2012年04月14日

まあ、いずれにしても、米国政府は NASA の火星探査をやめる決定をしています。

米国政府の火星探査の今後の予算計上に関しては、上のリンクの下の記事中のAP 通信の内容にありますように、





・ホワイトハウスは 2016年と2018年に予定されていた NASA の火星計画への予算計上を中止

・今年(2012年)の無人探査機キュリオシティの打ち上げは行われる。

・火星への有人飛行計画は、白紙(多分消滅)。






となっていて、つまり、今回のキュリオシティが最後の火星探査ということになり、そして、次の予算編成時には、火星探査そのものが中止される可能性が高く、キュリオシティは、先代の火星探査機と同様に「火星に捨てられる」ということになると思います。


それにしても、今回の火星着陸の際の NASA のスタッフたちの喜びの顔はあまり見たことのないほどのものでした。火星の写真なんて、これまで何度も何度も探査機から送られてきていて、それを見ている人たちのはずなのに、それはどうしてだろうと考えてみました。







 


火星探査が終了したことを察知している NASA のスタッフたち


キュリオシティは着陸に成功しましたが、仮に、もし今回のキュリオシティの着陸が「失敗」していた場合、米国政府が再打ち上げの予算を出したかどうかはとても微妙だったと思われます。

というより、失敗した場合は「追加の予算は出なかった」と思います。

さらに最近は米国政府による NASA の人員削減も進んでいて、この着陸が失敗した場合、NASA にいられなくなる人たちも必ずいたはずです。

そういう意味では、NASA の今回のスタッフたちの中には、「自分たちの明日の生活のために絶対に失敗できない」という人たちもいたかもしれません。キュリオシティの着陸が成功すれば、少なくとも 2016年度の米国政府の予算成立(この際には火星探査の予算は計上されない可能性が高い)まで火星探査を続けられる可能性があるのですから。


それが、下の写真の「着陸成功の時の喜びの顔」に現れているような気もいたします。

nasa-mars-2012.jpg

NASA ニュースリリースより。


皮肉ではなく、「ああ・・・よかった・・・これで今年のクリスマスも何とか・・・」という感じがみんなに溢れていて、とてもいい写真だと思いました。

アメリカは、今、特に科学関係者たちは仕事につくのがなかなか大変なのです。もちろん、アメリカだけの問題ではないですが、不況は真面目な科学者たちの生活にも影響を与えています。

なので、何はともあれ私はこれでよかったと思います。

これでこの人たちは少なくとも数年間はキュリオシティと共に仕事をできる可能性があるわけで、とてもよかったと本当に思います。


私もそうですが、もはや「もともと火星に興味のあった人たち」は、今では誰も NASA の火星探査なんかに興味は持っていませんが、しかし、誰であろうと、喜ぶ姿を見ているのはいいものです。



今後、火星の写真をどのように管理していくかだけが焦点


私は数日前、ニュースを見て以来、「不安」を感じていました。

NASA は「火星着陸を中継する」と発表(リンクは AFP通信)したのです。もっともこの報道でも


着陸をリアルタイムに捉えた映像はニューヨークの視聴者を含め誰も見る事はできないが、米カリフォルニア州にあるNASAのジェット推進研究所で着地成功の信号を待つ職員らの姿がタイムズスクエアの大型スクリーンに生中継される。



と、つまり中継は中継でも「スタッフたちの姿の中継」だったわけで(笑)、その中継が上の喜ぶスタッフたちの姿であります。

それでも、「火星の映像もリアルタイムで映す気なのかなあ?」ということに私は不安を抱いていました。

何しろ、上にリンクした In Deep の過去記事「ありがとう、スピリット」にもあるとおり、丁寧に写真の本当の色を再現していくと、火星の実際の風景の色は下のような色となってしまいます


mar-color.jpg


「赤い惑星」どころではなく、普通の青い空の砂漠みたないもんなんですが、これは陰謀論としての話ではなく、 NASA のローバーの写真をどう解析しても、火星というのは上のような色以外では考えられないのです。

なので、まあ・・・今も火星は同じような色だと思うんですけれど、「そんな光景を中継していいのだろうか」と不安に思った次第でした。理由はともかくとして NASA が懸命にフォトショップで作り続けてきた「火星の光景」がバレてしまうのではないのかなあ・・・と。


そこで、私がふと思ったのは、

「最初に送ってくる映像をモノクロにすれば何とかなるのかなあ」

ということでした。

しかし、いくら何でも、キュリオシティ搭載の映像システムも以前よりはるかに高性能になっているわけで、モノクロの写真を最初に公開したのでは、人々に理解されないのでは・・・とそれはないだろうと思っていました。


しかし、キュリオシティが送ってきた写真の1枚目は冒頭のようにモノクロでした(笑)。

ちなみに、キュリオシティからは2枚目の写真も送られてきました。

今度はカラーでした。


火星探査機キュリオシティの送信してきた2枚目の写真(2012年)

mars-2012-02.jpg

(苦笑)。

ほとんど前衛写真の世界ですが、「砂嵐のため」と NASA は説明しています。
突然、砂嵐になったようです。


いずれにしても、これで決定的に火星探査は人々の興味から「消えた」ように思います。

キュリオシティは先代の火星探査機と比較しても優れた性能が多いような気もするのですが、それでも先代ほど注目を浴びるということはあまりなさそうです。

もちろん、火星で何か起きるのかもしれないですし、先はわかりませんけれど、ただ、今となっては「微生物発見」くらいでは人々の注目も、そして、「米国政府の新たな予算」も獲得することは難しいのかもしれません。

それでも、私は先代の火星探査機同様にキュリオシティに敬意を払います。

少なくとも探査機キュリオシティは、火星にいることは間違いないのですから。
私たちが決して行くことはできない火星に。




  

2012年07月29日



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そして、やはり「惑星や銀河は瞬間的にできるものなのかもしれない」と思った朝


Protoplanetary-disk.jpg

▲ 最近、「星の形成」について根本的な考えの見直しが求められる発見が相次いでいます。






 



上に「そして、やはり」と入れました通りに、以前、同じタイトルの記事を書いたことがあります。

惑星や銀河は「瞬間的にできるものなのかもしれない」と思った朝
 In Deep 2012年03月23日

という記事で、その中に、下のようなことを私は書いていました。


宇宙は、基本的に、磁力と宇宙線などの動き以外の物理的な動きはあまりない空間がえんえんと広がっているように思います。

でも、一方で、宇宙空間は、宇宙塵や各種の有機物などをはじめとした物質(あるいは放射線や宇宙線自体も物質)で満たされていることもまた事実で、それらが何かの物理的刺激によって化学的反応を起こすと、「瞬時にして」何かができるかもしれないと。

つまり、たとえば、地球なんかも「瞬間的にできる」。

もっといえば、銀河なんかも瞬時にできる。

今回ご紹介する「新たに観測された20万個の銀河」というニュースを読んで、観測技術の向上だけでは表せないすさまじさも感じ、あるいは、宇宙はどんどんと瞬時にできているのかもしれないと思ったりした次第です。




この時には、今年の3月に、欧州天文台が「 20万個の銀河」を新たに観測した際のニューリリースを見てそう思ったわけですが、今回は、 NASA が「太陽系にあるのと同じような天体が突然消えた」ことを確認したという極めて興味深いニュースが複数の米国メディアで報じられています。

これは、たとえば、私たちの太陽系の惑星などが「ある日突然消えてしまう」という可能性にも結びつくということ以上に、この衝撃的な発見は、従来の「惑星や恒星系や銀河系の形成への疑問」というものに結びついています。


私は「自分自身で」考えたことについては、そのまま自分の思想として簡単に染みついてしまう単純な人なので、上の「惑星は瞬間的にできるのかも」という記事を書いて以来、宇宙とは瞬間的に作られるものだと思っています。つまり、何億年とかかって作られるものではないのかもと。


まあ、「瞬間的に」とはいっても、物質の固体が伝播していく物理的な時間は必要かとも思われて、そのあたりは上の記事にも書きましたが、旧約聖書の「天地創造」のあたりを参考にするとわかりやすいのかなとも思っています。

すなわち、

1日目 暗闇がある中、神は光を作り、昼と夜が出来た。
2日目 神は空(天)を作った。
3日目 神は大地を作り、海が生まれ、植物が出来た。
4日目 神は太陽と月と星を作った。
5日目 神は魚と鳥を作った。
6日目 神は獣と家畜と、神に似せた人を作った。
7日目 神は休んだ。


というものです。

7日間ですが、しかし7日間とはいっても、7日目は神様が休んでいるだけで、人ができるまで6日間。

そして、「空と大地」は3日目で完成しているので、まあ、大体、「3日で地球はできた」と感じらしいです。


上のを読んで改めて「おもしろい」と思ったのは、

 > 4日目 神は太陽と月と星を作った。

の部分です。

地球が先行して作られ、太陽と月は同時にあとから作られている」というあたりは、今年の日食あたりからずっと感じていた「月も太陽もどちらも地球の衛星としての役割を持っている」ということを後押ししてくれる概念っぽいです。

そのあたりのことは、過去記事の、

消えていく私の中の「宇宙人」と、消えていく「母なる太陽」
 In Deep 2012年03月23日


という記事の後半部分の「月と太陽を見ているうちに到達した疑問」という見だしのあたりから書かれています。

そこで書いたことは一言で書きますと、


太陽も、月と同じような地球の衛星なのでは?


という疑問です(というか、私自身は今は確信していますけれど)。


ただ、以前も書いていますけれど、私はこういうことを含めたすべての「私の書いていること」を他の方々に「そう考えてほしい」と思っているわけではないのです。

なぜかというと、「宇宙論は各自ひとりひとりが自分の内から出てくるものだけを信じるべき」だと私は強く思っているからです。

ちょっと前振りが長くなりますが、そのことについて書かせていただきます。



▲ 1900年くらい前(2世紀)の宇宙観。



誰でも「自分の宇宙観」を持つ日を願って


今の世の中の人たちは、わりと多くの人々が「同じような宇宙観、生命観」などを持っていると思います。その具体的なところはともかく、そう思っている根幹は「人から教わったもの」という自分で考えたこととはほど遠いこ考え方が基本となっています。

つまり、今のように、みんな同じように宇宙や生命のことを考えるようになってしまった背景には、多くの人々が「学校で言われたことをあまりにも素直に聞いて、それを疑うことなく信じていたから」に他なりません。


少年エジソンが、

「先生は、1+1=2って言いますけど、ふたつの粘土を合わせたらひとつになるじゃないですか。だから、1は何度足しても1じゃないっスか?」


というようことを先生に聞き続けて、結局、エジソン少年は「キミの頭の中は腐っている」と言われ、小学校を退学になりますが、しかし、私は今に至るまでずっと、このエジソンの「ふたつの粘土」の話はひっかかっていて、つまり、

「場合によって、1+1=1でもある」

というように「例外を認める」ということがあれば、別にそれで丸く済んだのではないかと。

しかし、教育はそれを許さないわけで、全員が「2」と書くことを要求されます。

私自身は子どもの頃(幼稚園の頃)から、教育なんてクソみたいなものだと自覚していました。いや、「クソはみたいな」ではなく「クソそのもの」だと自覚してしました。残念ながら、幼稚園の頃は fuck という単語をしらなかったですが、当時知っていたら、ずっとつぶやいていたと思います(今は、毎日ずっとつぶやいています←やめとけって)。


なので、結局、私は幼稚園の頃から大学を除籍になるまで、一度も先生の話は聞いたことがありませんでしたので、ずっとほとんどいわゆる「白痴」の状態でした。

しかし、だからこそわりと楽しく穏やかに人生を過ごすことができて、それに関してはとても感謝しています。


まあ、話が逸れましたが、人間が気持ちよく生きていく上で(少なくともこれからの時代では)もっとも大事なことは、

「自分は「自分で考えた宇宙」に住んでいる」

と確信して生きられることだと思います。

宇宙について、生命について、あるいは、他のいろいろなことについて、人から教わった宇宙ではなく、「自分が考えた宇宙」。

それはどんなものでもいいと思うのです。
「自分で考えたものなら」どんなものでもいいと思うのです。

人から教えられた宇宙に住んでいる限りは、独自の新しい宇宙は生まれない気がします。


なので、私の書いていることも「私の考えているひとつの宇宙」であるというだけであり、読まれている方がそれを信じる必要などまったくありません。それが正常だと思うのです。


少年エジソンのにように「1+1=2ではない」という人がいたり、「1+1=2で正しい」という人もいたり、あるいは「いや、1+1=梅干しのおにぎり」という変な人がいたり、というのがもっとも「多様性に富んだ人間社会」として楽しい世界ではないかと思っています。


では、ここから「突然、消滅した天体」についての記事です。

これはとても簡単にいうと、たとえば「土星の輪の巨大なもの」が突然消えたというような話です。現在、天文学者たちは大変に驚き、困惑しています。

米国ロサンゼルス・タイムスの記事からです。






 


Planet-forming dust disc surrounding distant star disappears
Los Angeles Times (米国) 2012.07.05


惑星を取り囲んでいた「塵のディスク(星の輪)」が突然消滅した

disappearing-disc.jpeg

▲ ジェミニ望遠鏡の観測結果から作成された惑星「TYC 8241 2652」を取り囲む塵のディスク。中心の光っている星が惑星「TYC 8241 2652」で、それを取り囲んでいる巨大な塵のディスクが「あっという間に」消えた。


遠距離の星を囲むように惑星の形成をしていた塵のディスク(円盤状の塵)が「消滅」するという予想外のできごとが観測された。

この現象は、天文学者たちを非常に困惑させている。そして、同時に今回の現象は、現在の宇宙論での惑星の形成についての理論に疑問を提起するものとなりうる可能性がある。

米国カリフォルニア大学サンディエゴ校の天文学者カール・メリス博士は、以下のように述べた。メリス博士は、今回の現象を発見したチームを率いた科学者だ。

「まるで、古典的なマジックを見ているみたいです。昔の手品師は、帽子に何か入れた後に 『ほーら、消えました』と言ったでしょう? あんな感じです」。

そして、博士はこう続けた。

「今回のケースで言えば、たとえば、私のいる太陽系に満ちている塵と同じほどだと言えるのです。・・・それが本当に消えた・・・のです。この現象について、いくつかの合理的な説明を試みましたが、今のところどれも十分ではありません」。


このディスクの中心にある惑星は「 TYC 8241 2652 」と名付けられていて、周囲を巨大な塵のディスクで囲まれている。

この TYC 8241 2652 の年齢は 1,100万歳とかなり若く、たとえば私たちの太陽系の年齢は 45億歳なので、比較すると、若い星だ。場所は、ケンタウルス座の中の、地球から4億5千万光年の位置にある。

この星が最初に観測されたのは、1983年のことで、NASA の赤外線天文人工衛星 IRAS によって発見された。

この塵のディスクは、その星から吸収する光から加熱され、赤外線でエネルギーほ再度発する。そのため、特徴的な外観となると考えられている。

IRAS は他にも同じような星を数多く発見している。


研究チームは、チリにあるジェミニ南望遠鏡で 2008年にこの惑星を観測した時には、1983年に最初に発見された時と同じ赤外線の徴候を観測することができた。


ジェミニ南望遠鏡

▲ ジェミニ南望遠鏡。アメリカ、イギリス、カナダ、チリ、オーストラリア、アルゼンチン、ブラジルの国際共同プロジェクトで運営されている。


しかし、翌年の 2009年にNASA が広域赤外線探査衛星(WISE)を使って、それを観測した時には、その塵の約3分の2は「消えていた」のだ。さらに他の望遠鏡で観測したところ、2010年には実質的に「塵のすべて」が消えたことがわかった。

共同研究者のベン・ザッカーマン博士は以下のように言う。

「これは、たとえば、土星の輪が、2年後にはすべて消えてしまっていたというほどの意味なのですよ」。


科学者たちはこの衝撃的な現象についてのメカニズムを検討し、いくつかの説明が出された。

しかし、共同研究者の米国ジョージア大学のインソク・ソン博士は以下のように述べている。

「これらの現象には(宇宙論の中で)正統的とはいえない現象が含まれています。なので、多くの天文学者たちは、今回の塵の消失に対して出された推論には不快感を示しています」。


さらにソン博士は次のように続けた。

「しかし、私の望みは、惑星というものがどのように形成されるのか、ということについて本当の理解の近くまで、私たち科学者を導いてくれることなのです。今回の発見にそのような感じをおぼえます」。




  

2012年07月24日



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Astronaut-EVA.jpg

▲ 宇宙遊泳をして宇宙ステーションなどに戻った時、宇宙服、ヘルメット、機材のすべてに強烈な匂いが染みついていることはよく知られていることだそう。 NASA ではその「匂い」のための研究と訓練もあることを今回知りました。






 



宇宙はどんな匂い?

昨日、米国メディア「クリスチャン・サイエンスモニター」に極めて興味深い記事が載っていました。

それは、「宇宙の匂い」に関してのものです。

宇宙については光などの視覚のことしか気にしていなかったわけで、「宇宙の匂い」というものを考えたことはまったくありませんでした。何となく「宇宙に匂いなど存在しないような気がする」と勝手に思いこんでいたところがあります。

しかし、「宇宙には匂い」があるのだそうです。しかも、それは強烈な匂いで、地上にはない、例えようのない匂いなのだそうで、それがタイトルに書いた「焼けたステーキや、金属などの匂い」に例えられています。

なお、お気づきかと思いますが、この「匂い」の話はあまり深く入り込むと、「ほぼ真空であるはずの宇宙空間」という問題にまで発展するので、適度に止めておいたほうが無難な話なのかもしれません。真空に近い空間が広がる(とされている)宇宙に「服に付着するほどの量の匂いの粒子が広がっている」ということには「強い矛盾」が生じる可能性があります。

また、それは「宇宙は真空ではない」という概念にもつながってくことになりかねないですので、そのあたりは今回はふれないで、事実だけをご紹介します。


そのクリスチャン・サイエンスモニターの記事では、過去の宇宙飛行士のインタビューや、あるいは動画などのリンクも交えてそのことを紹介しています。

ところで、この「クリスチャン・サイエンスモニター」は米国の一般紙なんですが、「クリスチャン」という名前がついているせいで、宗教的な感じを受けることが多いようです。

どう読んでも一般紙なのに、どうしてこんな新聞のタイトルなのか調べてみましたら、この新聞はもともとが、「クリスチャン・サイエンス」というキリスト教系の新宗教の創始者が創刊(1908年)したためにこのタイトルとなっているようです。

Wikipedia にこうありました。


クリスチャン・サイエンス・モニターはアメリカ・ボストンを本拠とする国際的なオンライン新聞。日刊紙であり、月曜日から金曜日まで発行されている。(中略)

クリスチャン・サイエンス・モニターという紙名にもかかわらず、この新聞は宗教紙として創刊されたものではなく、またクリスチャン・サイエンスの教義を直接宣伝しようとしているわけでもないが、創始者の要請により、日常的な宗教関係の記事を毎号載せる。



とのこと。

クリスチャン・サイエンスモニターは、他のメディアにはないようないい記事が多いんですが、なんだか紙名で損している気がする。


さて、それはともかく、記事のご紹介をいたしますが、記事中などで紹介されているインタビュービデオは長いですので、その中のひとつの該当部分をピックアップして字幕をつけて先に置いておきます。オリジナルのリンクも併記しておきます。

これは ISS (国際宇宙ステーション)での6ヶ月のミッションから最近、地球に帰還した NASA のドン・ペティット( Don Pettit )宇宙飛行士のインタビューより。

pettit.jpg

▲ ドン・ペティット宇宙飛行士。NASA のプロフィールページより。


宇宙ステーションの匂い/ 宇宙飛行士ドン・ペティット



▲ オリジナルは What Does Space Station Smell Like? - Astronaut Explains(宇宙ステーションはどんな匂い? 宇宙飛行士が説明した) にあります。


上の動画では、インタビュアーの女性はこの答えに笑っていて、ジョークだと思ったようですが、ドン・ペティット宇宙飛行士は NASA のブログにも同じことを書いています。

しかし、最初、私はこれは宇宙ステーションの「内部」に限った話だと思っていました。宇宙ステーションの内部には空気もありますし、それがどんな匂いであれ、匂いの粒子が存在することは可能です。

しかし、その外の、つまり完全な宇宙空間には匂いはないはずです。

・・・ところが。

どうやら、「宇宙空間そのものにも匂いがある」ようなのです。

それは「NASA の記録」の中にも記載があります。



匂いが存在する宇宙空間


nasa-smell.jpg

上の「ディスカバリー・スペースの記事」に、NASA が「宇宙空間の匂いを再現した」際の記録が掲載されています。

いろいろ書かれてありますが、ここに出てくる言葉としては、

アジア料理の香辛料、
ガソリン、
汗をかいた足の匂い
(苦笑)、
体臭、
マニキュア取りの薬剤


などの名前が出ています。

どうも・・・宇宙はそんなにいい匂いじゃないみたいですね(笑)。

汗をかいた足の匂いとパクチーとステーキとシチューとガソリンの匂いが同時に。


また、今回紹介するクリスチャン・サイエンス・モニターの記事にもありますが、「宇宙空間に宇宙遊泳に行き戻ってきた場合、宇宙服と機材にはそれらの匂いが染みついている」のだそうです。

なので、宇宙空間の匂い(あるいは匂いの元となる粒子)はかなり強烈なものだと推測できます。地上でも歩いているだけで服に染み付くほどの匂いは強烈なものだけですので、そういう意味でも、宇宙の匂いは「強い匂い」だと感じます。

まあ、「匂いの源は何か」などの問題もあるんですが、それは別としてと、「なんとなく無味無臭のイメージだった宇宙空間に匂いの概念が導入された」という、私にとっては、印象的な日であります。

それでは、ここからクリスチャン・サイエンス・モニターの記事です。






 

Space smells like seared steak, hot metal, astronauts report
Christian Science Monitor 2012.07.23

宇宙は焼けたステーキと熱い鉄の匂いがするという宇宙飛行士たちの報告

space-smell_380.jpg

▲ 宇宙遊泳から戻った宇宙飛行士の宇宙服には匂いがつく。


宇宙遊泳から戻ってきた時に宇宙服と機材に強い匂いが染みつくことは、宇宙ステーションで任務についている飛行士たちからよく報告されていた。

そして、宇宙空間を宇宙遊泳した宇宙飛行士たちは、一貫してその「宇宙の独特な匂い」について語る。


宇宙服を着ている間は、宇宙服内のプラスティックの匂いにより外部の匂いを感じることはないが、宇宙ステーションに戻った後に宇宙服を脱ぎ、ヘルメットを取ると、彼らは強烈な匂いを嗅ぐことになる。

その宇宙の匂いは、宇宙服のスーツ、ヘルメット、手袋、そして機材すべてに染みつく。

これらの匂いは、真空の近い宇宙空間の中の原子酸素であると考えられる。原子酸素は粘着性の粒子で、それは、焼いたステーキや、あるいは熱せられた金属や、溶接の際に出る煙のような強烈な香りを持つ。

NASA での宇宙飛行士の訓練のために、地球上で「宇宙の匂いを再現する」という作業をおこなっているスティーブン・ピアース氏によると、宇宙の強烈な匂いのうちの金属的な匂いに関しては、イオンの高エネルギーの振動から出るものかもしれないと述べる。



地球では嗅いだことはなく、また、忘れることもできない宇宙の匂い

NASA の宇宙飛行士であるケビン・フォード氏は、2009年に宇宙ステーションから以下のように述べた。

「この匂いは今まで嗅いだことのない匂いです。しかし、この匂いを忘れることは決してないと思える匂いです」。


しかし、この宇宙の匂いはとても強烈なものだが、必ずしも宇宙飛行士たちは、それを嫌っているわけではない。

2003年に宇宙ステーションでの任務をおこなった宇宙飛行士のドン・ペティット氏は、 NASA のブログ上で以下ように書いている。(訳者注:上のインタビューの動画の人です)


「宇宙空間の匂いを説明することは難しい。これと同じ匂いを持つものの比喩ができないのです。強いていえば、『チキンの料理の味がする金属の匂い』というような感じでしょうか。甘い金属のような感覚の匂い。溶接とデザートの甘さが混じったような匂い。それが宇宙の匂いです」。


また、ペティット飛行士は、任務から帰還した後、メディアの取材に対して、宇宙ステーション内部の匂いを次のように説明している。


「宇宙ステーションの中は、宇宙空間よりも日常的な匂いがします。半分は、機械工場のエンジンの研究所のような匂いで、もう半分は料理の際のシチューやローストビーフのような匂いを感じることができます」。






(訳者注) 私は、むかし、「地球も宇宙も大量の微生物(宇宙塵)の死骸から成り立っているのでは?」というようなことを、以前のブログの記事に書いたことがあるんですが、上の宇宙の匂いの記事を読むと、金属の匂いのほうは NASA の人が言っているイオンの原理で理解できるものなのかもしれないですが、料理にたとえられる「動物性の匂い」は、結局、「カラカラに乾燥した生き物の死体の匂い」ではないですかね。

バクテリアなどは真空中では細胞内の水分はすべてなくなるはずですが、組織そのものが消えるわけではないので、死骸としては残る。

宇宙空間が真空に近いのならそこでは死骸の匂いは出ないでしょうが、空気のある宇宙ステーション内に戻ると、突然、「微生物の死体の匂い」が漂うということのように感じたりします。

カンカン照りの海岸の「なんとなく漂う海洋生物の死臭」とかスルメ(苦笑)とか、そういうものを想像していただくといいのではないかと思ったりいたします。

宇宙塵が微生物であって、そして、宇宙空間が大量の微生物の死骸で成り立っているとしたら、それはあり得るかも。


スルメの匂いで満ちた宇宙かあ・・・。ロマンないなあ(苦笑)。




  

2012年07月15日



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今日、海外で「光」についてのニュースをふたつ見ました。






 


ひとつは、英国のデイリーメールで報道された「カリフォルニアの海の上の青い光」。

こちらです。

blue-01.jpg

これは、報道の説明では「プランクトンが光っている」のだそうです。

要するに「生物の放つ自然現象」ということなんですが、生き物から出る光という範疇を越えている感じがして、見入っていました。ちなみに昼間は「赤く見える」のだそう。

さて、もうひとつのほうが本題なのですが、NASA の観測衛星が、地球上空で捕らえた「光」の話題です。

下の写真です。

sprite-light.jpg


この写真の中央右よりに明るい光があり、その横に「赤い光」が写っているのがおわかりでしょうか。

拡大したものがこちらです。

sprite-02.jpg


この赤い光は In Deep の過去記事に出てきた「スプライト」(「空の妖精」の意味)と呼ばれる高層大気の珍しい光の現象なんです。

空の赤い妖精「スプライト」
 In Deep 2011年08月29日



▲ 2011年8月27日にチェコで撮影されたスプライト。光る時間が0コンマ数秒以下なので、このようにきれいに撮影されることは大変に珍しいものだそう。高さは 20キロから 30キロくらいある巨大な光の現象です。


これは「1000分の1秒から0.1秒ほどの短い時間だけ赤く光る」現象で、上の過去記事に下のようにあります。


面白いのは、このスプライトは、1989年までは「存在自体が科学界では信じられていなかった」ものなのだそうで、それが信じられるようになったのはほんの 20年ほど前のことでした。そして、今では「存在する現象」ということになっています。



ということで、これは原因も発生理由も解明されておらず、「存在だけ確認されている光の現象」で、少し前までは「伝説」だと思われていたものです。

上空の 30キロか ら100キロくらいの高層大気には「まだ解明されていないけれど、見える光」の現象は数多くあり、下の表がその一部です。



▲ 東北大学・福西研究室によるスプライト、ジェット、エルブスの想像図。東北電力・電気と科学の広場より。


そして、私は今回の NASA が発表した動画を見て、初めて「地球の表面は光でフラッシュし続けている」ということを知りました。


光の多くは雷などなのかもしれないですが、多くの光が瞬間的に明るくなり、また消えていることの連続が存在していることがわかります。

その NASA が YouTube にアップした動画をぜひ見ていただきたいと思います。
時間も30秒ほどですので、それほど負担にならないと思います。


宇宙ステーションから撮影した東南アジア上空の光




上の動画も置かれている NASA のThe Gateway to Astronaut Photography of Earth (地球上空からの写真)というページには、他のいろいろな地域の動画があります。

そのうちの3枚を貼っておきます。

・中央アフリカ上空

africa.jpg



・カザフスタン上空

kaz.jpg



・日本海からフィリピンにかけて

japan.jpg


地球の上空は、いつでも「光だらけ」であることがわかります。

そして、私たちはこれらの光の下に生きています。


というわけで、その NASA の記事をご紹介します。






 


Elusive Sprite Captured from the International Space Station
NASA 地球観測ニュース 2012.07.10


撮影の難しい「スプライト」の光を国際宇宙ステーションから撮影


スプライト(妖精)という神秘的な名称を与えられた現象は、以前はその光景をとらえることが大変だった。この「赤い妖精」は、上空80キロメートル程度の場所で発生する赤い色のフラッシュ現象だ。

垂直の、長いひげのように見えるこの放電は、その地点からさらに 上空 20キロから 30キロ程度、上に広がっていると思われる。そして、この現象は雷雨と稲妻と関係している。

下の写真は、ミャンマー中央部からマレーシアに渡る上空を、国際宇宙ステーションから撮影した際に写ったスプライトだ。

2012年4月30日13時41秒から13時47秒までの間の静止画像に写った。


ISS.jpg


スプライトの存在が確認される以前は、パイロットたちからの口頭での報告だけがあり、科学者たちはその存在を認めなかった。科学者たちがスプライトの存在を正式に認めたのは 1990年代になってからのことだった。

スプライトが最初に写真に撮影されたのは 1989年のことで、飛行機から偶然に撮影された。その後 1990年に、スペースシャトルの搭乗員がスプライトの写真の撮影に成功した。

スプライトは地上からでも雷雨の際などに撮影できる可能性がある。




  

2012年06月26日



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blue-clouds.jpg

▲ 昨日のスペースウェザーの記事「ELECTRIC-BLUE CLOUDS」より6月24日にスコットランドで観測された夜光雲。以前なら高緯度でしか見られなかった夜光雲が、今では各地で見られていて、米国でも、コロラド州、ヴァージニア州、カンザス州、それと南部であるユタ州でも観測されていることが説明されています。






 


(訳者注) タイトルでは「謎の」としたのですが、これまでも通常に観測されていて、名称もある「夜光雲」(やこううん)というものに関しての記事です。

夜光雲は Wikipedia では、


夜光雲

中間圏にできる特殊な雲で、日の出前や日没後に観測される気象現象である。通常の雲が地上〜10km付近にできるのに対し、夜光雲は地上約75〜85 kmの中間圏界面付近にできる。高度の高い位置に発生するため、太陽が地平線付近にあるとき下から日が当たり、青白く輝いて見える。



と説明されます。

「中間圏」というのは下の図で黄色で囲んだあたり。

chuucan.jpg


普通の雲は、そのずーっと下の高度10キロメートル以下で発生するものがほとんどです。夜光雲の発生する場所はほとんど空気もなく、どちらかというと、宇宙空間ですので、「雲」というよりは宇宙現象に近いものかもしれません。

以前、

『日曜日にパパと宇宙を目指しました』: 手作りオモチャで宇宙から地球を撮影した親子の記録
 In Deep 2011年11月24日

という、風船にカメラをつけて宇宙に飛ばして宇宙から地球を撮影することに成功した親子の話をご紹介したことがありますが、その時はその風船は最大で 30キロメートル付近の上空にまでのぼったのですが、その写真が下のものです。

19feet.jpg


上空 30キロでこの状態ですので、高層 70キロとか80キロとかは「ほぼ完全な宇宙空間」だということがおわかりだと思います。

夜光雲というのはそういう場所で発生する現象なんです。

上の Wikipedia では夜光雲の発生原因などについてもふれていますが、実際には、今でも確実な発生原因は特定されていないです。

しかし、タイトルの「謎」とはその発生原因のことではないのです。

現在の最大の謎は、

・以前に比べて異常に頻繁に、かつ広範囲で発生している。

・高度が下がってきている。

・輝きが増してきている。


の3点です。

つまり「状態が変化してきている」ということが謎といえるようです。

今回の記事は、米国のユニバース・トゥディに「国際宇宙ステーションから撮影された夜光雲」の記事があり、それをご紹介します。


ところで、この夜光雲とは違うのかもしれないですが、「高層大気圏でのみ観測される雲」として有名なものに「銀雲」というものがあります。高層大気圏というより、「宇宙空間からのみ観測できる雲」ということなんですが、この銀雲は、昔から宇宙飛行士たちの間では「地上の自然災害と関係あるのでは」と言われてきていたものです。



ロシアの宇宙飛行士たちが確信した「銀雲」と地球上の災害の関連


かつてロシア(旧ソ連)には、宇宙ステーション「ミール」というものがありましたが、その宇宙ステーション・ミールで 1994年から 1995年にかけて、実に 438日におよぶ長期のスペース・ミッションをおこなったロシアのワレリー・ポリャコフという宇宙飛行士がいます。

このポリャコフさんには 1999年に記した『地球を離れた2年間』という名著の誉れの高い著作があるのですが、そこに「銀雲」についての記述があります。

ipolleri.jpg

▲ 宇宙ステーション・ミールで長期のミッションをおこなったワレリー・ポリャコフ飛行士。


銀雲(silvery clouds)というページに、その部分が書き出されていますので、一部抜粋します。



ワレリー・ポリャコフ『地球を離れた2年間』より。

それからもうひとつ忘れられない現象がある。それは"銀色の雲"のことで、地上で起きる災害と関連があると言われている。

それは不思議な雲だ。銀色の雲という、まことにロマンチックの名前は、地表が円形になる地平線上の60キロメートルから70キロメートルの上空にしか現れないところからきている。(中略)

その後、仕事の忙しさもあってこのエピソードは忘れられていた。ところがその晩、地上との定期無線交信のときに、アルメニアで大地震があり、膨大な数の犠牲者が出て、街は壊滅状態だという連絡があった。(中略)

2回目のフライトの際には、ロケットが打ち上げられ、安定飛行状態にはいるやいなや、巨大な銀色の雲を目にし、不吉な感情に襲われた。(中略)

管制センターとの無線交信によって、アメリカ合衆国のロサンジェルス市か、あるいはその近郊地域に大型の地震が発生し、大きな被害が出ているというニュースが伝えられた。



そして、地上に戻った後に、他の飛行士や、ロシアの学者たちとの話の中で、この銀色の雲が災害と結びついているのではないかという考えを強くしたというようなことなのですが、まあ、どうしてこのことを書いたかというと、夜光雲の出る高度と大体同じなんです。高層 70キロ程度の場所にできる。

silver.jpg

▲ 宇宙空間で撮影された「銀雲」の映像。



銀雲と夜光雲が同じものかどうかはわからないですが、宇宙空間からのみ観測できたような雲が今では地上からどこでも観測できるようになっているという変化が現在存在しているということは確かなことかもしれません。

そういう変化が「謎」だというのが今回のタイトルの「謎」の由来です。

ところで、上の『地球を離れた2年間』は新書としては見当たらないようで、Amazon では下の通り、古本として何冊かあっただけでした。




この本、レビューを読まれるとおわかりかと思いますが、宇宙飛行士が「好き放題に喋る」という意味ではこの世で唯一のものかもしれません。宇宙飛行士の数では現在ではアメリカのほうが多いですが、語る内容に規制がかかるせいか「立派な話ばかり」で、アメリカの宇宙飛行士からはあまり面白い話は出ないです。


たとえば、過去記事ですが、ロシアの宇宙飛行から出た話として、

ロシアの宇宙飛行士たちが見た「地球の軌道上の7人の巨大な天使」
 In Deep 2011年06月22日

みたいなエピソードもあります。

これは 1982年に旧ソ連が打ち上げた宇宙ステーション「サリュート7号」に乗っていた6人の乗組員たちが、天使のような形のシルエットの光を宇宙空間で目撃したという話です。

ふと見ると上の記事はほぼ1年前ですね。

そんなわけで、ここから夜光雲の記事です。
米国の「ユニヴァース・トゥディ」より。






 


Mysterious Noctilucent Clouds as Seen from the International Space Station
Universe Today 2012.06.25


ミステリアスな夜光雲が国際宇宙ステーションから観測される


noctilucent-clouds-iss.jpg


ナイト・シャイニングと呼ばれたり、あるいは、夜光雲と呼ばれるミステリアスな現象は見るぶんにはとても美しい自然現象だ。この夜光雲は、国際宇宙ステーションの宇宙飛行士たちからは地上から見るものとは違った見応えのある光景となる。

古来から夜光雲はその存在自体、珍しいものといわれていたが、最近になって、それらの光る雲の輝きは明るさを増していて、また、以前よりも頻繁に観測されるようになっている。

その高度も以前より低くなってきており、その明るさのため、今では日中でさえ観測できることもあるほどだ。

下の写真は 2012年 6月 5日に、国際宇宙ステーションから撮影されたものだ。
白い円弧のような輝きが夜光雲だ。

nasa-clouds.jpg


西アジアの上空で撮影された。

夜光雲の発生の原因については、これまでいろいろな議論がされてきた。

流星の塵、地球の温暖化、ロケットの排気などが原因としてあげられたこともあるが、最近の研究では、大気の気体組成や温度の変化が、夜光雲が明るくなってきている原因であることを示唆している。






  

2012年04月11日



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jupiter-01.jpg


(訳者注) 今日は宇宙関係の話題を2つ、別の記事としてアップしたいと思います。最近、どうもダラダラと長くなる傾向にありますので、今回のはどちらも大変に興味深い記事ですので、短めですが、2つにわけることにしました。

まずは、「木星」の話題です。

木星は太陽系で最も大きな惑星で、また、最近は観測上での大規模な変化が多く、よく記事になる惑星です。過去記事翻訳記事の下にリンクしておきます。



▲ 木星と太陽系の他の惑星の大きさの比較。


ところで、この「木星」には非常に奇妙な特徴があることをご存じでしょうか。

Wikipedia の木星から、その部分をピックアップいたします。「木星電波」という項目です。



木星電波

1955年、バーナード・バーグとケネス・フランクリンは、木星から発せられた断続的な22.2メガヘルツの電波信号(電波バースト)を検出した。(中略)研究によって、木星は3種類の電波を発していると判明した。

2010年には、木星磁場とほぼ一致する領域から強いX線が放射されていることが日本のX線天文衛星すざくの観測で判明した。




つまり、木星からは「3種類の電波」が常に放出されているのです。

そして、さらに「木星からはX線(エックス線)が放出されている」ことを日本の観測衛星が突き止めています。

なお、上にある 1955年に最初に木星から電波が発せられていることを発見したふたりの科学者のデータは、現在 NASA のデータライブラリーに収められています。
英語ですが、下にあります。

The Discovery of Jupiter's Radio Emissions
木星からの電波の放出の発見


この「木星から電波が出ている」という前提でご紹介するのが本日の記事となります。

この「X線」が出ている「場所」が判明したのです。

それは、これまで科学者たちが推定した場所とはまったく違う場所で、なんと木星の「北極」と「南極」の両極からでした。地球でいえば、「北極と南極から同時に強力なX線が宇宙に放出されている」というような話で、これは確かに不思議な現象といえそうです。

これは NASA のチャンドラ人工衛星のX線撮影により判明しました。


では、早速記事をご紹介します。





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