- 世界の終わりに向かって本当に必要なもの:プレッパーズの方法だけでは持続的なサバイバルは成し得ないという確信
- 「市場の崩壊の序章」の少し前に出土していたロシア・アルカイム遺跡の「長い頭蓋骨のヒト」の亡霊
- 世界に溢れる「未来への否定的な態度」から肯定的姿勢を学べるか。ギリシャのデフォルト、中国市場の崩壊、戦争の足音、小惑星衝突…etc
- カルバナクの衝撃 : サイバー攻撃での世界の金融システム崩壊が早いか、それともNHKが特集した「預金封鎖」がそれより早いのか
- 久しぶりの雪の中で思う 21世紀の預金封鎖とか、気候の近い未来とかの「厄介で具体的な現実」のこと
- アメリカの政府機関の閉鎖解除後に知り得たフードスタンプやイルカの大量死のデータ。そして3日に1度起きるM6以上のプレート地震
- アメリカ全土で発生したフードスタンプのシステム停止によりインターネット上で巻き起こる「食糧暴動」の空気
- 地球がおひつじ座流星群の残骸の中に突入している今、経験のない嘔吐感で思い出すサルトルやライブドア・ショック
- キプロスでの「突然の預金封鎖の発表」はブラックスワンの誕生となり得るのだろうか
- 日本人が歩んできた歴史の中のテクノロジーの意味
【資本主義の終焉】 の記事一覧
2015年08月27日
TV「プレッパーズ〜世界滅亡に備える人々〜」より
・ナショナルジオグラフィック・チャンネル
私たちの生活の99%がごく最近の文明に支配されている
英国ミラーで、「イギリスでもプレッパーズが増えている」という内容の記事を目にしました。
「プレッパーズ( Preppers )」というのは、「準備する人たち」という意味で、つまりは、「世界の終末のために準備している人々」のことです。辞書的な解説では、コトバンクからお借りしますと、
プレッパー
非常事態に備え、食糧や自衛のための武器・弾薬などを過度に備蓄している人のこと。「備える(prepare)」から生まれた言葉で、2012年現在では米国に最も多く存在し全米で300〜400万人にのぼるとみられている。
彼らは政府やマスメディアを信じず、国際資本家を敵とみなす傾向が強い。支配階級の力が及ばないローカルなラジオやインターネット、身近なコミュニティなどを情報源としている。
状況によっては隣人をも敵とみなす強固に自立したライフスタイルの実践者であり、暴動や経済崩壊、核戦争、世界の終わりなどを想定している。
というような人たちです。
In Deep は、以前はそういう色彩が強いブログで、かつては「物質的サバイバル」的な記事も数多く書いていました。
そして、この「終末」に対しての私の考え方は以前と少しも変わっていません・・・というより、昔以上に、「現世システムの崩壊を強く信じている」わけではあります。
というより、今は「既存社会の崩壊 → 新しい社会の誕生」だけを願って生きているといってもいいかもしれません。
そして、その「準備」も必要かもしれないと思ってもいるのですが、最近はこの「サバイバル」に関して、以前とはまったく違う考え方になっています。それは物質的なものではないところに真実があると考えるようになったからです。
アメリカやイギリスのプレッパーズの人たちは、「物質」だけに傾いています。あるいは、「生き抜くために他人から身を守る方法」などを模索しますが、それは本当の意味での準備ではないように思うし、短絡的な発想とも感じます(永遠に持続する物質的準備というものは存在しないため)。
本当の「準備」とは、最近の In Deep の記事などで書くことのある「自立」と関係したことだと考えていますが、まず、ミラーの記事を先にご紹介しておきます。
アメリカやイギリスの典型的なプレッパーズの考え方が少しわかります。
'If the internet goes down, half the planet will come to a standstill': why 'preppers' will be the last ones standing
Mirror 2015.08.25
「もしインターネットが消滅したら、地球の半分は機能しなくなるだろう」 - そして、プレッパーズが最後の勝者となるのかもしれない
最近は、この世界は暮らすには恐ろしい場所となってきている感がある。
小惑星の接近やテロリストによる謀略がなくても、私たちは、たとえば、大規模なオンラインでのデータのハッキングや、あるいは、経済の完全な崩壊の危険性と共に生きている。
しかし、仮にそのような終末がやってきた時でも、その黙示録に対処することができる人々が少なくはない数でいる。彼らは、積極的に「その時」に向けて準備してきた。
これらの人たちは、自身を「プレッパーズ」、あるいは「サバイバリスト」と名乗っており、巨大なアンダーグラウンド・コミュニティに属している。 ATM が停止したり、インターネットが完全にシャットダウンした時でも、これらの人たちは生き残ることができると彼らは言う。
「これらの人々は、特にアメリカで巨大なコミュニティとなっていますが、今、イギリスでも、次第にその存在感を増しています」と、イギリスのプレッパーズのスティーブ・ハート氏は述べる。
「終末のための準備をすること自体は、保険の別の形と言えるでしょう。多くの人々が、車などの保険に入っていますが、準備は、それらと少し違う視点の保険のようなものなのです」
ハート氏のウェブサイト「UKプレッパーズ・ガイド」
UK Preppers Guide
月間 10万のアクセスがあるプレッパーズのためのウェブサイトを持っているハート氏は、以下のように語る。
「巨大な地震に見舞われたら? 津波や火山噴火、あるいは、バイオテロに遭った時にどうしたらいいですか?」
そのような状況は、イギリスではほとんど考えられないが、しかし、59歳になるハート氏は、かなりストレートに言う。
「では、政府の状態が悪化したらどうします? プレッパーズたちが最も恐れていることが、経済の完全な崩壊です。その場合、どうしますか?」
「そして、次の事実は、全世界は崩壊に瀕していて、そこから、あなたたちが抜け出すことができないことを説明します」
「それは、インターネットです。インターネットが完全にシャットダウンした時、地球の半分の地域が機能不全に陥ります」
ハート氏は、21世紀の銀行と社会システムのオンラインの 99%は、そのテクノロジーに依存していると言う。
とはいえ、ハート氏も、経済の完全崩壊やインターネットのシャットダウンというような黙示録的な事態が実際に起きる可能性は非常に少ないことを認識している。しかし、「後悔するより、安全にしておいたほうがいい」と述べる。
プレッパーズたちは、食料の備蓄の方法や電気の獲得の方法、そして、自然に対処できるサバイバル・スキルを学習する。
ハート氏はまた、人々に過度にテクノロジーに依存しない生活を示し、また、常にガソリンを満タンにし、缶にもガソリンを溜めておくことや、水を濾過して飲料にする方法、あるいは、寒い時に、どのように家を暖めるかなどを示している。
ハート氏は言う。
「料理をしている時に、すべての電気製品を消してみて下さい。それを1時間だけ、あるいは、1週間試してみて下さい。その時に、あなたが電気がなくても、家の中で生きられるか、そうではないかがわかります」
プレッパーズはイギリスでは、アンダーグランド・ソサイエティかもしれないが、インターネット上で誰でもすぐにその方法を学ぶことができる。
世界の終わりはすぐそこに迫ってはいないかもしれないが、ほんの少しの準備をすることには何も害がないことも確かだ。
ここまでです。
このハート氏の言うことには、同意できる面もあります。
たとえば、気づけば、私たちの生活と文明は、あまりにもテクノロジーに依存した文明となってしまっていることなどです。
この世にインターネットが現れてからの年月は、人間の歴史から見れば非常に短いものですが、文明の多くがその「新しいテクノロジー」に依存した生活となっていることに改めて気づきます。
現代の私たちの生活は、
・電気
・インターネット
のどちらかが消えれば、文明そのものが消滅すると言ってもいいほど、それらに依存しています。
そういえば、インターネットといえば、最近、マイクロソフトの「プライバシーに関する声明」というものを読んだ時に、
「今の時代は個人のデータを自動に送信することが当然となっている」
ことに気づいたりしました。
その内容は、
・Windows 10 で自動的に収集される情報とデータの種類を知っておいてもいいのかもしれません
クレアなひととき 2015年08月27日
という記事に書きましたが、名前やメールアドレスから、趣味・嗜好、位置情報、検索した内容、電話の通話内容、音声入力、入力した文字、アプリケーションの使用状況など数多くの個人データが送信されているということのようです。
そして、ユーザーは「すべて承知した上で製品を使っている」ということになっています。
「プライバシーに関する声明」などに関しては読まない方が多いでしょうけれど、読むと、「自分はこんなことを承知したことになっているのか」と、驚くこともありますので、たまに目を通すのも楽しいですよ。
もちろん、他のさまざまな端末やスマートフォンなども同じようなものなのかもしれませんが、「企業のコンピュータと個人のコンピュータや端末が直結した時代になっているのだなあ」と思います。
本当の「準備」とは
話が逸れましたが、アメリカのプレッパーズの考え方をその光景から語りますと、たとえば、ミラーの記事中に動画がありまして、アメリカのプレッパーズの人たちの様子が出ていますが、「アメリカ人にとっての世界の終わりへの準備」というと、下のようなことになるようです。
2番目の人などは、食糧危機などで、しばらく何も食べられない状況のほうが、むしろ健康に良い感じもしますが、いずれにしても、アメリカなどでは「準備」というと、こういうことを言うようです。
こんな人たちが「 300万人から 400万人いる」というのですから、そりゃ、社会が混乱した場合は、アメリカは物騒ではあります。
しかし、実際には、最も大事な「準備」はこういうことではないと思うのですよ。
最も大事な準備は「自立して生きることを学ぶこと」だと思うのです。
この春あたりからのいくつかの記事や、「自立」に関しての記事などで書いたことがありましたが、たとえば、どんなに食料を蓄え、燃料を蓄え、武器を蓄えても、あるいは自給自足できていたとしても、その人が薬を飲み続けなければならなかったり、病院に通い続けなければならないようなままだと、サバイバルには程遠いと思うのです。
社会システムが崩壊すれば、現代の医療制度もなくなると考えるのが普通ですから、それらがなくても生きていけるような「自分」を作ることがまずは最も大事だと思うのです。
そして、いくら物や備蓄に溢れていたとしても、その人が不安と恐怖に駆られている限りは、その世界は不安だらけで恐ろしいものでしかなくなります。
これは、「ストレス=病気の大きな要因」説から見ても、良い状態ではないです。
結局、現行の世界の終わりに向かう私たちが最も「準備」しなければならないことは、具体的には、
・健康
・明るい気持ち
・他人への思いやり
だと思います。
こんなこと書くとバカみたいですが、本当にそう思います。
どれも理想論ではなく、サバイバルのための「武器」であり、「ツール」であると考えています。
健康は書くまでもないですが、明るい気持ちも重要なはずです。
どんな世の中になっても、その社会に絶望ばかりしていては、建設的な考えもでませんし、そもそも生きていてつまらない。生きているのがつまらないなら「生きている必要もない」はずです。
なので、「生きている理由」を見出すためにも、明るく前向きな気持ちを持てるようになれば、どんな世界でもそんなに悪いものではなくなるはずです。
「他人への思いやり」というのは、曖昧なことでなく、具体的にとても重要なことのはずです。
というのも、システムが破綻した時に最も大事なことは、「システムのない中で生きる方法を模索する」ことですが、アメリカの人たちのように武器を持って対立するような図式が長続きするはずがなく、結局は、ある程度の期間の生活を成立させるには、他人同士が助け合って生きるしか持続的な方法はないわけで、その時にはそういう「思いやり的」な気持ちは必要なものです。
いずれにしても、上のような健康であることとか、肯定的な気持ちであるとか、他人との協調ということが大きな前提となって、それから、食べ物はどうするとか、まあ、そういういろいろなことも少しずつなしていけるものなのだとも思います。
あとは、これは「準備」として、私が最も学ばねばならないことですが、「恐怖心の排除」です。
恐怖心の克服も最重要な「準備」
社会混乱の際には、「恐怖」で何かを仕掛けられることがあります。
自然災害とか戦争とかテロとか、何でもいいですが、過去を見てみると、メディアにしても、当局発表にしても、「恐怖する心」は人々の心理を動かす大きな材料となり得ます。
911 の後を思い出してもそうですが、アメリカから遠い日本に住んでいる私たちも得体の知れない恐怖に駆られていた日々でしたが、あれは恐怖を「喧伝」されていたのだと今わかります。
あるいは、今、株式市場が大荒れとなっていることの根底も「恐怖」です。今日のブルームバーグの「日本株と円のボラティリティ、一転高水準」という記事に下のような記述があります。
ブルームバーグの記事より
「朝起きるまで、100万ドル儲かっているか、失っているのか全く分からない。気がおかしくなりそうだ」と英アルタス・キャピタルのファンドマネジャー、リチャード・ウィッタル氏(シンガポール在勤)は語る。
日本株の運用に25年間携わるが、例年夏場は休暇期間で市場が変動しないことが多く「これまでにこのような状況は起こったことがない。髪の毛が真っ白になってしまう」という。
個人投資家は、さらに恐怖心の中で取り引きを行っている人が多いかと思われます。このような恐怖が、今のような異常な乱高下を生み出し、場合によっては、この恐怖が「システムを崩壊にまで導く」可能性もあるのかもしれません。
この「恐怖の周波数」を拒絶できる人間になれれば、実は社会崩壊なんて恐くないはずです。
そのような気持ちを獲得するまでには、私を含めて時間はかかるでしょうけれど、それこそが「準備」だと思います。
何にも恐怖を感じないということは、良い言い方をすれば「悟り」でしょうし、あるいは、悪い言い方では「愚鈍」ということになることからもわかる通り、「悟り」も「愚鈍」も実際には同じことであり、その境地には、良い悪いの価値判断をつけることはできないことにも気づきます。
私もなかなかうまくいかないですが、何年計画かで「愚鈍」に少しでも近づければと思います。
あるいは、そのためには、
・「人間によって観測」されるまでは「この世の現実は存在しない」ことを、オーストラリアの量子学研究チームが実験で確認
2015年06月06日
などの記事にありますように、
この世は実際には存在していない
ということを瞑想などで強く想うことも無駄ではないと思います。
そして、自分の心が作り出す世界こそが現実の世界であるという認識に立てば、そして、前向きに考えられる気持ちがあれば、どんな社会に投げ込まれても、誰でも、不安や恐怖の心を持たずにいられるようになれるのではないかと思っています。
多くの人が不安や恐怖を持たなければ、実はシステムが崩壊したところで、社会はさほど混乱しないはずです。
もちろん、多少の物質的な準備が無駄というわけではないかもしれませんので、それについては、各自のご判断だと思います。
ところで、上のミラーの記事に「水の濾過の方法」という文字がありましたが、これについては、過去記事で何度かご紹介したことがあります。
人間は、飲む水さえあれば、食料がなくても、かなり大丈夫です。
濾過と滅菌の具体的な方法としては、
・太陽光線で滅菌する方法
・漂白剤で浄化する方法
などがあり、それぞれ以下の記事に記したことがあります。
・太陽放射の紫外線Aで川や湖の水のバクテリアを滅菌して浄水する方法
2010年10月22日
・非常時に漂白剤で水を浄化する方法
2010年10月26日
あるいは、「大気から水を抽出して濾過する方法」も以前ご紹介したことがあります。
今の社会では、電力のシャットダウンがあると、水道水が止まる場合が多いです。
・薄い大気から水を抽出する方法 : (歴史的干ばつの世界的な拡大を見て)
2013年03月12日
下のような方法で、水を獲得できますが、詳しくは上の記事をお読み下さい。
太陽蒸留器で水を集める方法
手作りの水の濾過器
そんなわけで、これから先、終末的状況が少しずつ目に見えてくる可能性もあるのかもしれないですが、明るく強く健康に進んでいけば、道も出てくるようにも思います。
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資本主義の終焉
2015年08月25日
・Excellzone
パニック突入
今日は、昨日の、
・何が起こっているのかわからない : 「江沢民逮捕」報道やら、関東では「原子炉の500メートル先で大火災」。そして、市場はパニック一歩手前
2015年08月24日
の補足記事のような感じですが、昨日の記事の翌日の本日( 8月25日)はどうだったかといいますと、ついに「パニック一歩手前」から「パニック突入」という感じが少しうかがえるものでした。
そして、それは一種の「崩壊」の雰囲気さえも漂わしていました。
多分、今日一日のようなチャートを見たことのある方はほとんどいないのではないかと思います。
何しろ、下のような激しい動きを一日の間に見せて、結局、大きなマイナスで終わったのです。
取引開始直後から、とんでもなく下げて始まったのですが、午前中、突然、ジェット噴射のように日経平均は急上昇し始め、プラス圏に突入し、なんと「午前だけで1000円ほど上昇」という、これはこれで異常とはいえ、大幅だかで午前を終えました。
「これはパニックは回避されたかな」
と思っていましたら、午後から今度は、再び急落して、「さきほどの 1000円分をそっくり下げて終わり」という、先進国の株式取引では見たことのないようなチャートを作って終わっていました。
1日の動きとしてはリーマンショックを超えていました。
結局、終値は前日比 -733円・・・。
これは、やっぱり「何らかの崩壊」の前兆を感じさせるものではありました。
というのも、たとえば、このような急落で、どの程度の「時価総額」が失われるかというと、たとえば、昨日 8月24日は、-895円で終わったのですが、これで「1日」でどのくらいが吹っ飛んだか。
ブルームバーグの8月25日の記事「プロも個人も見切りか、東証1部時価総額消失が 89 年来最大」によりますと、
ブルームバーグデータ によると、24日の東証1部上場銘柄の時価総額は1日で32兆7670億円減少、1日の金額としてはさかのぼれる1989年以来最大となった。
ということでして、なんと、昨日1日だけで「 33兆円」ほどの時価総額が「消滅」したことになり、今日も同じようなマイナス引けですので、似たような消失が起きていた可能性があります。
しかも、今日 8月25日は、東証一部での売買代金が、今年最大の4兆9240億円と大商いを見せていましたので、減少の規模はさらに大きなものだったのかもしれません。
日本の株式市場だけでも、今日で株価は6日間連続でわりと大きな下落を見せていて、それだけでも、ものすごい時価総額の消失が起きていると思うのですが、問題は「この間、主要国すべての株価が同じように落ちていた」ということです。
世界中で、この1週間ほどで失った時価総額は何百兆円では済まないのではないでしょうか。
おそらくは1千兆円とか、そういうものが「消失してしまった」ということになるのだと思います。
ここまで巨大な消失となると、今後、多少株価が持ち直しても、歪みというのか、軋みというか、遺恨というのか、そういうようなもものは残り、それらが次の崩壊のトリガーになる可能性もあるのかもしれません。
まあ、金融や経済には素人ですので、よくはわかりませんがも、減少、あるいは消失した時価総額はあまりにも巨大です。
数日間で1千兆円の消失では、さすがに強力なダメージを受けている部分がありそうです。
まあ、そして、今のこういう「崩壊局面」を見ていると、つい最近(7月17日)にリリースされていた、年金を運用している「年金積立金管理運用独立行政法人( GPIF )」の、現在の運用振りわけをふと思い出したりしたのでした。
そのリリースからです。
公的年金の売り余力、買い余力
2015年7月17日
公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は 7 月 10 日、昨年度の運用状況を 公表しました。3 月末の運用資産額は、137 兆 4,769 億円。運用益は 15 兆 2,922 億円と過去最高益でした。
GPIFは、昨年 10 月末に基本ポートフォリオ(運用資産の配分方針)を変更し、国内債券の割合(60%→35%) を大幅に引き下げる一方、国内株式(12%→25%)、外国債券(11%→15%)、外国株式(12%→25%)の比率を 引き上げました。
とあり、今の年金機構は、
国内株式 25%
外国株式 25%
国内債券 35%
外国債券 15%
という内訳で運用しているようで、要するに「株式が 50%占めている」と。
日本株と外国株をわけているとはいえ、今のような全世界同時株安の状況下では、その振りわけもほとんど意味がなく、昨日今日の株式市場を見ていて、
「年金が・・・」
と思わず呟きましたが、「株式市場と年金の関係」を見まして、改めて「危うい私たちの現実」を知ります。
まあ、ただ、もともと、年金は 2030年には枯渇するなどといわれている「年金 2030年問題」などが最初からありますので、私たちの多くの世代は、株式市場とは関係なく、年金受給とは無縁の生活となりそうです。
この少し前にロシアで発見された「長い頭蓋骨の骨」
今日書いているのは、市場とか金融とかお金に関係することですが、
地球のお金は誰がコントロールしているのか
ということに関しては、昨年、
・この世界の正体 : 世界銀行元上級職員カレン・ヒューズさんが語る「地球のお金と宗教をコントロールする"人類ではない種族"」
2014年04月03日
という記事で、世界銀行の元上級職員が「ヒト科ではあるが、人類ではない者たちによるグループが地球のお金と宗教をコントロールしている」というような、まあ裏付けの取りようのない発言をしたことなどをご紹介したことがありました。
・RT
その「お金をコントロールしている」ヒト科の生き物たちは、「長い頭蓋骨を持っている」のだそうですが、最近、ロシアで「長い頭蓋骨を持った 2000年前の女性の人骨」が発見されたという報道がありました。
▲ 2015年07月28日の Softpedia Remains of Woman with Alien-like, Elongated Skull Found in Russia より。
・Daily Mail
遺骨ですので、あまり写真を多く載せる気にはならないですが、英国デイリーメールの記事にたくさんの写真があります。
なお、デイリーメールでは、頭蓋骨が長いのは、「当時の伝統的な生活用域で、頭を子どもの頃から縛っていたため」としています。
しかし、写真を見ると「長さだけではなくも頭蓋骨全体の大きさがかなり大きい」ことに気づきます。
どういうことかというと、小さな時から頭を縛れば、頭蓋骨を長くすることは可能でしょうが、その場合「頭は細くはなるけれど、全体の頭部の容量が増えることにはならない」はずです。
しかし、写真の頭蓋骨は、全体の容積が大きいということがあり、伝統的な生活儀式によって作られた頭蓋骨だとは思えません。
ちなみに、この頭蓋骨が見つかったのは、紀元前 3000年まで遡ることのできる、古代ロシアのアルカイム遺跡( Arkaim )という?に満ちた古代遺跡があったところだそうです。
紀元前 3000年前まで遡ることができるというその文明の住居は集合住宅で、下のような不思議な形をした巨大建造物だったそうです。
・ユーラシアビュー
この遺跡に関しては、下のような解説のある日本語のサイトがあります。
紀元前18〜17世紀の円型集合住居遺跡 謎の遺跡「アルカイム」
EURASIA View 2
1987年に発見された円型集合住居遺跡
アルカイムの遺跡は、渦巻き貝を思わせるユニークな二重円型で、 円心を二重に取り巻くよう各住居が並ぶ。しかも各住居の壁は同時に隣家の壁になっており、全体が一種の集合住宅を成している。
周縁は約170m。濠に囲まれ、外壁は高さ5m、厚さ5m。内側の円に入るには、住居が連なった外円の通りを太陽に向かうように一周しないと入れない仕組みになっている。
一説によれば、このような古代の「町」は、大地を巡る特別なエネルギーの 「道」が集約する地点に建設されたとされており、アルカイムにこのエネルギーが集中していると信じて、訪れる人が止まない。
こういう古代の文明の場所で、「長い頭蓋骨の人物」が発見された少し後から、市場の歴史的崩壊にも近いといえるかもしれない局面が出現したというのは、何となく印象的でした。
今の混沌は当然そのうち収まるでしょうけれど、今回できた歪みはいろいろなトリガーの要素となり続けるような気がとてもするのです。
中途半端な記事となってしまいましたが、これから外出するため、ここまでとさせていだきます。
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資本主義の終焉
2015年06月28日
▲ 2015年06月08日の英国 Yahoo! News より。
予測不能の示唆「バタフライ効果」
・Zero Hedge
前回、
・なぜ、アメリカから超富裕層たちは逃げ出しているのか…
2015年06月26日
という記事を書きまして、「今」のこの期間というか時代というのかは、わりと強力な変化の瞬間に近い場所なのかもしれない、というようなことを感じたりしたわけですが、その記事を書いた後に、「ギリシャのデフォルト濃厚」というような報道が出ていました。
ユーロ圏、ギリシャ金融支援打ち切り決定 デフォルトが現実味
FNN 2015.06.28
財政危機に直面するギリシャは、緊縮策受け入れの是非を問う国民投票の実施を議会で承認し、金融支援の延長を求めましたが、EU側はこれを拒否、支援を今月末の期限に終わらせる方針を示し、ギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥る可能性が高まっています。
「ギリシャの現在の状況を考えると、残念ながら金融支援は30日の夜に終わらせると結論づけなければなりません」(ユーロ圏財務相会合 デイセルブルム議長)
これにより、ギリシャがデフォルトに陥る可能性が極めて高くなりました。
一方、ギリシャ議会は7月5日に国民投票を行うことを承認しました。ただ、国民投票を実施する前にデフォルトに陥る可能性が高く、これを回避する手だてはほぼ尽きた感があります。
まあ、事前にこれだけ報道されていれば、実際にデフォルトしても、ショックは少ないかもしれないですが、これまで延々と「デフォルトしそう→大丈夫」を繰り返していたわけで、本当にデフォルトすれば、まったく影響がないとはいえないのかもしれません。
ギリシャでは、現金を引き出そうと市民たちが銀行や ATM に長い列を作っている様子が伝えられています。
・BBC
もう少し事態が進むと、ATM の支払い停止とか、取り付け騒ぎとかの話になるのかもしれませんし、ならないのかもしれません。
そして、このギリシャの件とは関係ないのですが、「中国の株式市場がムチャクチャになっている」というのもあります。
特に、上海総合という株式指数が、6月26日には「 7.4パーセント」の急落というのか暴落というのか、そういうことになっています。
・世界の株価指数
この 7.4パーセントの急落という率はかなりもので、最近の日経平均にあてはめますと、1500円くらいの暴落を演じるのと同じことになり、普通の下落とは言い難い面はあります。
しかも、最近、中国の株式市場は、こんなような値動きを繰り返していて、
「なんかヘンなことになってきている」
とは実は誰しも思っているところに、確定したわけではないとはいえ、ギリシャのデフォルトなどで、何だかやっぱりいろいろ荒れるのかもしれないですし、荒れないのかもしれません(それは誰にもわかりません)。
前回の記事には、アメリカの金融ブログ「ゼロヘッジ」の記事をご紹介したのですが、そのゼロヘッジの最新の記事は「ギリシャのバタフライ効果( The Greek Butterfly Effect )」というタイトルのものでした。
その出だしは以下のようなものです。
長い時間、何も起こらない時間が何度も過ぎていった。
そして、突然、一度にすべてが発生する。ダムの決壊のように。
それはゆっくりと築き上げられ、瞬間的に弾ける。
ちなみに、「バタフライ効果」というのは、バタフライ効果 - Wikipedia によりますと、
バタフライ効果とは、力学系の状態にわずかな変化を与えると、そのわずかな変化がなかった場合とは、その後の系の状態が大きく異なってしまうという現象。
気象学者のエドワード・ローレンツによる、蝶がはばたく程度の非常に小さな撹乱でも遠くの場所の気象に影響を与えるか?という問いかけと、もしそれが正しければ、観測誤差をなくすことができない限り、正確な長期予測は根本的に困難になる、という数値予報の研究から出てきた提言に由来する。
というもので、このエドワード・ローレンツという気象学者が、1972年に、
「ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきはテキサスで竜巻を引き起こすか?」
というタイトルの講演をおこなったことが「バタフライ効果」という表現の由来となったのだそう。
ブラジルの蝶とテキサスの竜巻
難しそうですが、要するに「1匹の蝶の羽ばたきが、他の地域の竜巻の発生に関係するかどうか」というようなカオス的な考えの意味は、「予測することができない系統のことを述べている」話だと思われます。
2015年という年がどうなるかはわからないけれど
▲ 2014年10月03日の記事「西暦が始まって以来の「4回連続する皆既月食」(テトラッド)の発生はたった8回。そして、その時に起きていたこと」より。
考えてみれば、この 2014年から 2015年というのは、もともと「荒れそうな気配で進みそう」だということは、過去記事などで書いていたことでした。
昨年4月の、
・赤い月と黒い太陽: 2014年から 2015年まで「4回連続する皆既月食」がすべてユダヤ教の重要宗教祭事の日とシンクロ…
2014年04月06日
という記事から何度か記していますが、今は、「テトラッド」という「皆既月食が4回連続で起きる」という下の時期の中にいます。
それがどうしたといわれれば、確かに何がどうということもないわけですが、過去の同じような時期は、いろいろな混乱が起きていたということも、ある期間に関しては事実でもあります。
また、現在を除けば、過去 1000年で3回ほどしか起きていない現象のうちの2回が、イスラエルの「過越」(すぎこし)という祭事と、「仮庵(かりいお)の祭り」と日にちをシンクロさせていて、また、過去のその時には、中東とイスラエルをめぐる戦争のシンクロが起きています。
第一次中東戦争 (1948-1949年)
(※)イスラエルでの名前は「イスラエル独立戦争」
1949年04月13日 皆既月食 過越
1949年10月07日 皆既月食 仮庵の祭り
1950年04月02日 皆既月食 過越
1950年09月26日 皆既月食 仮庵の祭り
第三次中東戦争(1967年)
(※)イスラエルでの名前は「六日戦争」
1967年04月24日 皆既月食 過越
1967年10月07日 皆既月食 仮庵の祭り
1968年04月13日 皆既月食 過越
1968年10月06日 皆既月食 仮庵の祭り
ちなみに、上の2つのテトラッドの時期は、
・朝鮮戦争(1950 - 1953年)
・ベトナム戦争(1960 - 1975年)
という大きな戦争とも重なっています。
最近のテトラッドの期間は「戦争」とのクロスが大きいです。
そういえば、2014年4月15日から始まった現在のテトラッドの期間が終わるのは、今年 9月28日ですが、その 9月28日が絡む「非常に否定的な噂」に関しての報道を最近読みました。
少し前のイギリスの Yahoo! News に出ていた冒頭に貼りましたニュースです。
非常に適当な感じの噂や予測なんですが、9月28日という日付けがテトラッドの終わりの日とシンクロしたことには興味を引きましたので、ご紹介したいと思います。
信憑性は基本的にない内容で、報道自体もそのようなスタンスではありますが、内容がどうのこうのというよりも、「世界に溢れる未来への否定的な態度」に私たちがどのような態度で望むか、とか、あるいは、
「地球はどういう経過を踏むのであれ、変わらなければならない」
ということについてどう立ち向かうかということに関しては、最近、世界に否定的なストーリーが数多く飛び交っていることは、むしろ「考える」いい機会になるとも思います。
あらゆるタイプのストーリーや事実の中から「自分にとっての真実の出来事」を拾っていく作業をして生きるというのも、それほど無駄なことでもないのかもしれません。
あるいは、それこそすべてが「ホログラフ」なのかもしれないというような話も現代物理学の中には確かにあるのですから。
私たちが、「何を見て」、「何を考えるか」ということを考えるために良い時期に生きられていることは幸いだと思います。
では、ここから Yahoo! News の記事です。
The World Is Going To End In September (Apparently)
Yahoo! News(英国) 2015.06.08
世界は9月に終わるらしい(どうやら)
地球と衝突する軌道を持つ巨大な彗星があると陰謀論者たちは言う
最近、陰謀論者たちは、巨大な彗星が地球に衝突するコースをとっており、今年9月に地球の文明は消滅するという主張を繰り返している。
日付としては 9月22日から 9月28日までの間の任意の時間が予測されているという。となると、あと3ヶ月ということになる。
聖書の預言を信じるプロテスタントにおけるキリスト教終末論(携挙 / Rapture )者たちは、長く、この「世界の終わり」について様々なウェブサイトで説を展開し続けて、それを信じる人々も多い。
また、彼らは、この世界の終わりについて、世界の政治家たちはすでに知っているが、パニックを避けるために一般大衆には公表していないと主張する。
さて、こんな話を聞くと、火星にでも逃げたくなるかもしれないが、NASA の談話はその不安を和らげてくれる。
NASA のスポークスマンこのように述べている:
「私たち NASA は、地球へ衝突する軌道を持ついかなる彗星も小惑星も知らない上に、そもそも、そのような衝突が起きる可能性は極めて小さいのです」
「私たちが言える最良の言葉としては、そのような巨大な天体が地球に衝突する可能性については、少なくとも次の数百年はないということです」
そのような天体の衝突による絶滅を信じない陰謀論者たちもいるが、その中には、CERN の大型ハドロン衝突型加速器( LHC )によって、地球のすべてが吹き飛ばされると確信している人々もいる。
あるブロガーは、「 CERN のロゴは、円の中に獣の印666がある」として、 LHC による地球の滅亡を予測した。
CERNのロゴと666
・deviantart.com
プロテスタントのキリスト教終末論では、主イエス・キリストの再臨において起こると信じられている、地上にあるすべての真のクリスチャンが空中で主と会い、不死の体を与えられ、体のよみがえりを経験するとされる。
キリスト教系放送局のアナウンサー、ハロルド・キャンプ氏は、「審判の日」が、2011年5月21日に起きると宣言したことがあるが、それはまだ起きていない。
ここまでです。
きっと、これからの世の中は、もっともっと否定的なニュースやストーリー、あるいは現実の出来事が増えてきます。
そこからが私たちの心の持ちようの正念場だと思います。
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資本主義の終焉
2015年02月19日
▲ 2015年2月16日のインターナショナル・ビジネス・タイムズより。
最近、冒頭のようなことがロシアのコンピューターセキュリティー会社から公表されましたが、「 1200億円の現金盗難事件」は、多分、特定のグループの犯罪としては、史上最も大きな金額の盗難事件だと思いますが、この凄いのは、その金額より「ターゲット」なんです。
これまで、ハッカーなどが銀行のお金を狙うのは「個人の口座から」だったわけです。
これは、何らかの方法で個人のネットバンキングなどに侵入して、何らかの方法で暗証番号やパスワードを入手して、不正に振込や送金を行うというようなことで、これは現在でも非常に多くおこなわれているはずです。
ところが、今回の犯罪者集団は、
「銀行そのものを相手にしている」
のです。
方法は後ほど書きますが、簡単に書きますと、「銀行員のパソコンを遠隔操作して、そこから ATM の送金手段を入手して、不正口座に送金する」という方法です。
おこなったのは、ロシア、ウクライナ、欧州の一部、中国、などの出身者から構成されていると見られている「カルバナク」( Carbanak )と呼ばれる集団による犯罪ですが、こう簡単に銀行システムからこれだけの大金を盗み出せるという現実がありますと、冒頭にありますように、「金融システム全体をシャットダウンさせる」ということも不可能ではないことなのかもしれないと思い、今回はそのことをご紹介したいと思います。
ところで、その前に、「銀行」というキーワードで、ひとつ最近の時事を書いておきたいと思います。
唐突にNHKが特集した預金封鎖
私はあまりテレビのニュースを見ないですので知らなかったのですが、数日前の NHK のニュースで、「預金封鎖」について特集されていたそうです。
現在は、NHK のウェブサイトにも載せられています。
その冒頭は以下のようなものです。
“預金封鎖”の真実
NHK WEB特集 2015.02.18
終戦後間もない昭和21年2月16日、時の日本政府は預金の引き出しを厳しく制限する「預金封鎖」を突然発表しました。
日本経済を襲った猛烈なインフレを抑えるためだと国民に説明された「預金封鎖」。しかし、その政策決定過程を検証していくと、現代の日本にも通じる深刻な財政問題が底流にあったことが見えてきました。
というように、1946年に行われた「預金封鎖」について、何だか唐突な感じもする特集報道がおこなわれていたようです。
なお、当時突然発表された預金封鎖は、国民に対して、「インフレ抑制のため」と説明されていましたが、NHK の報道では、以下のようにも説明されていました。
財務省に情報公開請求を行い、当時、非公開とされた閣僚や官僚の証言記録を入手しました。すると、インフレ対策とは別に、もう1つのねらいがあったことが見えてきました。
それが如実に記されていたのが、渋沢大臣の証言記録です。
この中で渋沢大臣は大蔵官僚だった福田赳夫氏から
『通貨の封鎖は、大臣のお考えでは、インフレーションが急激に進みつつあるということで、ずっと早くから考えていられたのでございますか』
と問われたのに対し、
『いやそうではない。財産税徴収の必要から来たんだ。まったく財産税を課税する必要からだった』
と答え、預金封鎖に込めたもう1つのねらいを吐露していました。
ということで、国の本当の目的は、預金封鎖以上に「財産税徴収」だったことがわかります。
しかし、69年前のことはともかくとしても、この報道で示されていた、
・69年前の日本の債務状況
と
・現在の日本の債務状況
とを比較したグラフを見ると、「すでに限界を超えている」ことがわかったのでした。
昭和19年の日本の債務残高が GDP に対して 204%だったのに対して、現在は、232%。
要するに、現在の日本の借金状況は、戦後の預金封鎖に至った債務状況の時よりも悪くなっていることがわかります。数年前にすでに、69年前の状況と並んでいたようです。
そして、これが今後、時間が経てば改善するのかどうかと考えますと、毎年 100兆円程度の借金を積み重ねている中では、この比率はさらに上昇すると考えるのが妥当だとも思えまして、なるほど、これは厳しい。
そして、NHK の報道は以下のように締められていました。
「預金封鎖」と「財産税」は、今では考えがたい措置で、経済大国となった現代の日本と当時とを安易に重ね合わせるわけにはいきません。 しかし、日本の財政が今、先進国で最悪の水準まで悪化していることを考えると、歴史上の出来事だと片づけてはならない問題だともいえます。
ちなみに、昭和21年に公布された預金封鎖令は正式には『金融緊急措置令等』というもので、それは以下のようなものでした。
金融緊急措置令等(昭和21年2月16日)
・現在流通している紙幣の通用は三月二日限りとする。
・新紙幣と旧紙幣の交換期間は二月二五日から三月七日までとし、交換限度は一人につき一〇〇円。それ以上の旧紙幣は預金として封鎖。
・封鎖預金からの現金引き出しは、一ヶ月につき世帯主三〇〇円、家族一人につき一〇〇円とする。給料の支払いは一人につき五〇〇円まで、それ以上は預金として強制的に預け入れ。
・臨時財産調査令により、三月三日午前零時現在で財産調査を行い、財産税算定の基礎とする。
本吉正雄著『元日銀マンが教える預金封鎖』より
というものでした。
当時の詳細な貨幣価値はわからないですが、1ヶ月の預金引き下ろし限度額が世帯主で 300円ということは、その 300円というあたりが(多分かろうじて)生きていくことはできたというくらいの貨幣価値だったと思われます。
ちなみに、上の資料を抜粋しました『元日銀マンが教える預金封鎖』によりますと、大事だったのは上のうちの最後の「財産税」の徴収だったようで、つまり、預金封鎖そのものより、その間に徹底的な財産の没収を行って、国の借金に充てるということが目的だったようです。
『日本銀行職場百年史』に、この時の大藏大臣だった澁澤敬三氏の言葉が収められていますが、下みたいなことも言っていたようです。
「戦争中はみんな真面目な気持ちで一億玉砕だと言っておったではないか。まだそういう気分が残っている頃です。だからもう一度みんな死んだと思って、相続税をいっぺん納めることにしたって悪くないじゃないか。そうすれば、あとがすっきりする」
何度も何度も「死んだと思って生きる」のも大変ですが、それにしても、なぜ今こんな感じのことを、公共放送的な意味合いを持つ NHK が特集を組んだのか、ということは気になるといえば気になりますが、まあ、いずれにしても、現在の日本の債務状態から見ますと、そういうようなことがいつ起きても「不思議ではない」ということは言えるのかもしれません。
どうも、いろいろと金融システムそのものが危うく感じる最近ですが、冒頭の記事についてご紹介したいと思います。
史上最高金額のハッカー犯罪はどのようにしておこなわれたか
これは、全体としては以下のような出来事です。
ロシアの銀行もハッカーの標的 被害総額は1200億円か
ウォール・ストリート・ジャーナル 2015.02.16
ロシアのコンピューターセキュリティー会社カスペルスキー研究所はこのほど、ロシアのコンピューター犯罪組織が2013年終盤以降ロシアや東欧、さらに米国の銀行から多額の資金を窃取したとの報告書を公表した。被害にあったのは、大部分がロシアの銀行のもようで、被害総額は10億ドル(約1190億円)に上るという。
被害を受けた銀行の数や名前は明らかになっていないが、関係者によれば、米金融サービス会社の幹部数人が報告書について説明を受けたという。米政府当局者も、同報告書については知っているとしながらも、一部当局者は米銀に被害が出たかどうかには懐疑的だと述べた。
さきほども書きましたけれど、これの今までのサイバー犯罪と異なる点は、「銀行そのものをターゲットにしている」という点です。
この犯罪者グループであるカルバナクは、個人の銀行口座に侵入したり、そんなことはせずに、あっさりと 1200億円に上ると見られる金額を銀行から引き出しました(その意味では、個人は誰も被害に遭っていないというのも事実です)。
ターゲットになった国は、カペルスキー研究所が突き止めた分で約 30カ国で、それらの国の約 100の銀行がターゲットとなりました。
・Kaspersky
ロシアが最も被害が大きかったようですが、アメリカやヨーロッパ諸国も被害に遭っていて、アジアでも中国、台湾、インド、香港、パキスタンなどが地図で示されています。
日本がターゲットにならなかったのは、推定ですが、「日本語の特異性」のためだと思われます。
彼らのやり方は、最初に、
「銀行員へ偽りのメール(悪質なプログラム添付のメール)を送信する」
ことから始まり(さらにはそのメールを銀行員が不振がらずに読む必要があります)、その後は、
「銀行員のパソコン操作の内容を遠隔操作などで読み取る」
という作業の繰り返しのようですので、ターゲットの言葉(文字)と文法を、ほぼ完全に表現できないとならないという特徴があります。
その方法は、ニューヨーク・タイムズの記事に記されていますが、おおまかに言いますと、次のようなものだったようです。
カルバナクの攻撃方法
・ターゲットの銀行の銀行員に、同僚からのメッセージを偽ったメールを送信する。
↓
・その銀行員がメール読もうと開いた場合、悪質なプログラム(マルウェア)が、銀行員のパソコンにダウンロードされる。
↓
・これを起点として、ハッカー集団は銀行のネットワーク内に侵入。
↓
・銀行員のパソコンから、送金システムや ATM 処理を行う担当者を探しだす。
↓
・ATM の処理担当者が判明した後、ハッカーはその担当者のパソコンに侵入し、遠隔操作できるソフトを不正にインストール。
↓
・ATM 担当者がパソコンでどのような操作をしたか、あるいは、どんな文字列を打ち込んだかが、すべてハッカー集団に筒抜け状態に。
↓
・送金の手順をハッカー集団が把握。
↓
・アメリカや中国の銀行に偽の口座を用意し、その口座へターゲットの銀行から送金。
↓
・待機していた人物が、ATM からお金を下ろす。
・NY Times
という手段が書かれてありました。
文字にしてみると、ハイテクと、日本の特殊詐欺がダブッたような方法ですが、この方法で、2013年の暮れからの1年間で 1200億円を盗んでいるのですから、何とも壮絶な犯罪だといえます。
しかし、問題は、この犯罪そのものというより、今回ご紹介するインターナショナル・ビジネス・タイムズにありますように、
「こんなに簡単に銀行のシステムに侵入できてしまうという現実」
のほうです。
今回のことでは、どの銀行がどの程度の被害を受けたのか具体的な発表も、あるいは被害届けさえも、どの銀行からもありませんが、理由は簡単なことで、IROIRO の記事の説明がわかりやすいですので抜粋しますと、
その原因は、多くの銀行がハッキングされても、自ら進んで情報公開をしておらず、被害を受けたことすら報告したがらないからだ。
ということです。
たとえば、「私の銀行はハッカーに数十億円盗まれてしまいました」と発表してしまうと、その銀行の信用は非常にダメージを受けると思われます(方法次第では、その銀行を破綻させるようなこともできていたわけですから)。なので、被害を受けても発表しないと思われます。
しかし、そのことはともかくとして、現実として、「銀行のもろさ」というものを今回の件で目の当たりにした感があります。
そして、インターナショナル・ビジネス・タイムズの記事は、このような規模と、これまでにない攻撃方法は、
このようなことがお金目的だけではなく、金融システム全体を麻痺させることに使われる可能性は否定できない
としています。
今は銀行のお金も株式市場もすべて、コンピュータの上で数字だけが動いている「仮想の市場」ですが、それが麻痺する可能性についてふれられています。そして、すでにその兆しとなるような出来事も、今のところ事前に食い止められていますが、いろいろと起きているようです。
ご紹介したいと思います。
Hackers Steal $1 Billion In Biggest Bank Heist In History: Could They Take Down The Whole System Next Time?
IB Times 2015.02.16
ハッカー集団が 1200億円という史上最大の銀行強盗を行っていたことが判明。次に彼らは銀行システム全体をシャットダウンさせる?
国際ハッカー集団が世界中の銀行から 10億ドル(約 1,200億円)の金額を盗み出していたことが今週明らかになったが、この出来事は金融セクターにおけるサイバー犯罪の構造的なリスクについての懸念を新たにした。
ロシアのセキュリティ会社、カペルスキー研究所が発表した報告書によれば、このサイバー犯罪は、現代の歴史の中で最大の盗難事件となる。
世界 30カ国の 100以上の銀行が影響を受けたと見られている。
証券監督者国際機構( IOSCO )のエコノミストのロヒニ・テンデュルカー( Rohini Tendulkar )氏は、この攻撃について、「方法の洗練性と規模の巨大さでは前例のないものでした」と述べた。
今回のことは、金融システムは、全体としてサイバー攻撃に脆弱であることを示しているのだろうか?
サイバーリスクに関してのコンサルタント会社代表のヴィクラム・バート( Vikram Bhat )氏は、「金融犯罪であることに焦点をあてるのも良いでしょうが、時間と共に、私たちはシステミックな挑戦からの混乱を注視する必要があります」と語っている。
金融機関のサイバーセキュリティは、相変わらず、顧客の個人の情報と口座を保護することにのみ動いている。
しかし、今回の例でわかるように、銀行への攻撃は、より洗練されてきている上に、攻撃者のタイプも独立した個人の犯罪者から、「デジタル・マフィア」へと、あるいは、国家ぐるみでの攻撃もある時代となっている。
このようなこともあり、金融システムへのリスクは指数関数的に増大している。
バート氏は、セキュリティの脆弱性からのシステム災害だけを懸念しているのではない。2013年、証券監督者国際機構と国際取引所連合は、世界の金融取引所の 89パーセントにハッキングに対しての「システミック・リスク」が存在することを発見したことについて報告書を出した。
銀行システムは相互に接続しているインフラだが、テンデュルカー氏によれば、「人はしはしば、彼らが誰と接続しているかに気づいていない」と述べる。
複数の銀行への攻撃は、金融システム全体に小さくても波及する。
過去1年間、ウォール・ストリートでは、何度もサイバー攻撃によって身震いをさせられている。JPモルガンは、8000万にも及ぶ顧客口座に侵入されていたことを昨年の秋に発表した。
そして、それは2ヶ月間も見過ごされたままだったのだ。
今年1月、 FBI は、複数のロシア人を刑事告発した。
伝えられるところでは、クレムリンで働いていたその人物は、「市場を不安定化するために使用するメカニズム」としての高周波の自動取引ユニットについて議論していたとされる。
2013年には、ブリート・バーララ( Preet Bharara )連邦検察官は、東欧のハッキング・グループを摘発した。彼らはニュージャージー州の隠れ家から、ナスダックのシステムに侵入しようとしていた。
バーララ検察官は、以下のように述べた。
「サイバー犯罪者たちは、銀行の個人口座に侵入しようと試みるだけではなく、金融システムそのものをターゲットにしようとしているのです」
テンデュルカー氏は、サイバー攻撃が、たとえば、ニューヨーク証券取引所などから銀行間の通信ネットワークに接続されている上位金融システムインフラの基盤そのものを脅かすことを懸念している。
敵対する国家や不正なハッキング・グループなどが、サイバー攻撃によって仮想市場を麻痺させることができる可能性があるのだ。
今回、カペルスキー研究所が発見した 1200億円の盗難をおこなったハッカー集団の目当ては現金だけのように見え、それ以上のことを行う意志はないようだ。
しかし、今回の攻撃の規模と洗練された方法は、金融システム全体がサイバー攻撃から防御することができるのかどうかということに対しての疑念を抱かせる。
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資本主義の終焉
2014年02月04日
本当は今日はまるで違う方向の記事を書いていたのですが、途中からどんどん話が逸れてしまい、修正できないまで逸れてしまいましたので、今回はそのまま記します。
雑談に近くてすみません。
▲ 本当はこの「太陽観測衛星ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー( SDO )の前で太陽を遮断した月と、その裏で起きた太陽フレア」のことを書こうとしていたのですが、明日書きます。2014年1月31日の Spaceweather より。
気候も経済も歯車がズレてきていることを感じながら
今日の午後、外で子どもたちの叫び声のようなものが聞こえてきたので、何かと思って、ベランダに出てみると、雪が降っていました。その雪で雪合戦をやってみたり、あるいは雪を見て興奮した学校帰りの子どもたちが叫んだりしながら、道を歩いていたのでした。
最近のこのあたりでは珍しいほどのまとまった雪でした。
それにしても、一昨日などは宮崎県では下のニュースでしたからね。
▲ 2014年2月2日のテレビ朝日より。
ニュースの内容は、
宮崎では、2月としては観測史上初めて25度を記録しました。九州では記録的に気温が上がり、宮崎空港では2月としては観測史上初の夏日、鹿児島は23.5度と64年ぶりの暖かさです。
というものでした。これが一昨日のことでしたが、今日は、全国各地に「今季最強レベルの寒波が襲来」ということだそうで、めまぐるしいことです。
大雪といえば、イランなどでも雪で大変なことになっています。 50年間で最も激しい大雪に見舞われていて、テヘランなどでも大混乱しているようです。
何しろ、2メートルも積もっているところもあるそうですから。
下の写真は、雪国の光景そのものですけれど、昨日のイラン北部の光景なのでした。
▲ 2014年2月3日のイラン北部の様子。地球の記録「過去 50年間で最悪の豪雪に見舞われているイランで数十万世帯が停電」より。
その一方で、雪国として名高い山形などでは下の状況。
▲ 2014年2月4日の河北新報社「山形市、現在積雪ゼロ」より。
山形だけではなく、新潟や釧路など雪が少なくて困っているところも多いようです。
雪国は「冬には雪が降る」ことが前提となっている、いろいろな行事やイベント、観光事業が組まれているものですので、雪が降らないと困るところも日本には多くあるはずです
そういう意味では、今年はいろいろとうまくは回ってくれていないようです。
いろいろとうまく回ってくれないといえば、下のは今見ました Google ニュースのトップニュースふたつですが、そのふたつの見出しも、どうも歯車が合っていない。
▲ 2014年2月4日17時06分の Google ニュースより。
「日経平均、610円安」
というのと、
「トヨタ、過去最高益へ」
というような記事の並びは、やはりぎくしゃくした並びではあります。
ちなみに、その「6年ぶりの過去最高利益」のトヨタの今日の株価は、見事な奈落の底に。
▲ 2014年2月4日のトヨタ株の終値。
昨年の大晦日に書きました記事、
・汚れた血も悪くはないと考えていた 2013年の終わりに「太陽の磁場のポールシフトはすでに完了していた」ことを知る
2013年12月31日
の中で、雑談として、「 2013年のアメリカの株価のチャートは、 1929年の大暴落時と同じチャートを描き始めているという話もあるとかないとか」というようなことを記したことがありましたけれど、実際どうなんですかね。
▲ 上の記事より。
機械などはあまりにも歯車が合わないと、それは結局壊れますけれど、最近の「合わない歯車」というのは、そういうような軋みと関係しているものなのかどうかは何ともわかりません。
預金封鎖の本当の意味とは
そういえば、先日、昔からの知り合いからの電話で、相手と話していた時に下のように話してきました。
相手 「なんか雑誌で読んだんだけどさー、預金封鎖って何? 対抗する手段ってあるの? 金(きん)とかどうなの?」
わたし「素人のオレに聞いてどうする。・・・しかし、オレの意見ではなく、元プロの意見では・・・」
わたし「素人のオレに聞いてどうする。・・・しかし、オレの意見ではなく、元プロの意見では・・・」
ということで、いつだったか忘れましたけれど、買って放置してある「元日銀マンが教える預金封鎖」という本に書かれてあった中でウロ覚えしていたことを少し説明したのでした。
この本は元日銀の調査統計局というところに勤務されていて、日銀に怒りを覚えて辞めた本吉正雄さんという方が書かれたものです。
この本には、預金封鎖の歴史やメカニズムを含めて、長くいろいろと書かれてあるのですが、それらはともかく、ところで、「預金封鎖」とは何かということについて、私もこの本を読むまで「根本的な意味で勘違いしていた」のですが、皆さんは預金封鎖とはどのようなものかご存じでしょうか。
何となく「預金をおろせなくなる」ということのように思われるかと思います。
違うのです。
いや、違うわけではないのですが、預金封鎖の根幹は次の一点にあります。
「強制的に銀行に現金を預金させること」。
これが預金封鎖なのです。
つまり、タンス預金だとか、他の貯蓄方法を一切認めず、すべて銀行に預けさせるのが預金封鎖で、そして、その後は決められた額しか下ろせない。
参考までに戦後の昭和 21年 2月 16日に発令された「預金封鎖令」の内容について、上記の「元日銀マンが教える預金封鎖」から掲載します。
実際の法令の名称は「金融緊急措置令」です。
昭和21年2月16日に発令された「金融緊急措置令」(預金封鎖令)の内容
△ 現在流通している紙幣の通用は三月二日限りとする。
△ 新紙幣と旧紙幣の交換期間は二月二五日から三月七日までとし、交換限度は一人につき一〇〇円。それ以上の旧紙幣は預金として封鎖。
△ 封鎖預金からの現金引き出しは、一ヶ月につき世帯主三〇〇円、家族一人につき一〇〇円とする。給料の支払いは一人につき五〇〇円まで、それ以上は預金として強制的に預け入れ。
△ 臨時財産調査令によって、三月三日午前0時現在で財産調査を行い、財産税算定の基礎とする。
というようなものだったようで、あまり抜け道の作ることのできないものだったようです。
▲ 当時の新聞。
というようなことを電話の知り合いに簡単に話しました。
相手 「ふーん。じゃあ、結局どうすればいいわけ?」
わたし「オレやそっちみたいに財産も貯金もない人間は何もしなくていいよ」
相手 「ちょっとはあるよ。家とか」
わたし「あ、それは財産税の対象だ。当時の最高税率は90パーセント」
相手 「そんなもん払えるわけないじゃん」
わたし「財産税を収められないと物納。つまり家を差し出す」
相手 「大変だったんだなあ」
わたし「日本で一番払ったのは天皇家。当時のお金で30億円以上払ったとか」
わたし「オレやそっちみたいに財産も貯金もない人間は何もしなくていいよ」
相手 「ちょっとはあるよ。家とか」
わたし「あ、それは財産税の対象だ。当時の最高税率は90パーセント」
相手 「そんなもん払えるわけないじゃん」
わたし「財産税を収められないと物納。つまり家を差し出す」
相手 「大変だったんだなあ」
わたし「日本で一番払ったのは天皇家。当時のお金で30億円以上払ったとか」
預金封鎖の対処
ちなみに、その本には対処法などの是非もいろいろと書かれてありますが、対処として、私たちのような一般人が出来ることで、もっとも効果的なものを一点挙げるとすれば、
・小銭を貯める
ということになるようです
こう書くと馬鹿みたいですので、少し抜粋します。
過去の預金封鎖の事例をみても、生活に密着した少額の通貨については預金封鎖・財産税の徴収から免れている。
戦後の預金封鎖のときには一〇円以上(後に五円以上)の通貨が預金封鎖の対象となった。それ以下の少額貨幣は交換する手間が莫大になることもあって、預金封鎖の対象からは外されたのだ。ここに預金封鎖の穴を見つけることができる。
預金封鎖に対抗するために、明日から五百円玉貯金を始めよう。
とあります。
なお、知り合いが質問した「金(ゴールド)を持つこと」については下のようにあります。
預金封鎖・財産税を免れるために、実物資産としてゴールドを持つという方法をすすめる人もいる。
これはおすすめすることができない。なぜならば、ゴールドでもっていたとしても、いずれは通貨に換えなければ役に立たない。まさか金塊を持って買い物に行き、金貨で支払いをするわけにもいくまい。
そこで金の地金を通貨に換える必要が出てくる。しかし、預金封鎖・財産税が実施されているような状況で、金が自由市場で簡単に売買できるはずはない。
当然のことながら、そうした貴金属の売買は国家管理となるであろう。実際、戦時中はそうした方策で金を自由に売買することができなかった。
とあり、つまり、「金というのは経済や国家が安定している時には価値になるが、経済的な非常事態下では価値にならない」ということのようです。
さらに恐ろしいのは、戦後の場合は「財産供出」といって、そのまま単に没収されるだけといったことがあったのだそうで。没収に応じない場合は刑事罰が適用されたそうです。
それはともかく・・・・・なんで、ここまで話が脱線してしまったか・・・・・。
まあしかし。
人生のうちで1度くらい預金封鎖を経験するというのも、ダイナミックな資本主義のもとで生きている私たちとしては、いい経験かもしれません。
その現実味は日々増していますしね。
資産のある方と、私のように「ない人」の対処は違うでしょうけれど、結局は、
・衣
・食
・住
というものが人間の生きる三原則だとすれば、それをどうするかということだけの話ではないかとも思います。
というわけで、今回は変な方向の話となってしまいましたけれど、経済や金融もまた私たちの生きる現実ではありまして、そして、なければないに越したことはないとはいえ、今や「預金封鎖」という言葉は比較的一般的な言葉にさえなっているわけで、先はやはりわかりません。
これも昨日の記事のタイトルにしました「霧の中」のような先行きのわからないひとつなのかもしれません。
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資本主義の終焉
2013年10月20日
▲ フードスタンプを含む米栄養補助プログラムの担当省庁であるアメリカ農務省の発行する「栄養補助プログラムの監査報告書」の表紙。 2013年6月に発行された最新のものだと思います。政府機関の閉鎖が解除され、やっと見ることができました。
アメリカの政府機関の閉鎖が解除されまして、とりあえず少なくとも今後数ヶ月間はアメリカという国は機能し続けるようです。
閉鎖されていた政府機関のウェブサイトにある資料でいくつか確かめたいものがありました。
それは、
・フードスタンプ受給の実数
・その後のアメリカ東海岸のイルカの死亡数
・南極の氷の状況
などです。
政府の閉鎖の解除でやっといくつかを見ることができました。
米国の「食糧援助プログラム」の実数
まずは、「フードスタンプの実際のところ」についてです。
10月のアメリカ政府機関の閉鎖以来、
・アメリカ全土で発生したフードスタンプのシステム停止によりインターネット上で巻き起こる「食糧暴動」の空気
2013年10月14日
という記事と、
・「瞬間的に略奪が発生するアメリカの現実」を目の当たりにしながら、グアム海底の構造物を眺めていた日
2013年10月16日
に、アメリカのフードスタンプの関係のことを記しました。
▲ フードスタンプのシステムが停止した後、支払い延期措置としたウォルマートがあっという間に、フードスタンプ受給者たちの一種の「略奪」状態になった光景。米国の abc ニュースより。
それらの記事の中に私は、一部の海外の記事を引用して、
「アメリカでは 2013年にフードスタンプの受給者が1億人を越えている」
というようなニュアンスのことを書いたのですが、自分で書いていても、どうも納得できていませんでした。
なぜなら、 Wikipedia などで、公式な統計では、昨年 2012年のフードスタンプ受給者は約 4600万人とされていたからです。いくらなんでも、1年で倍になるというのはあり得ないだろうとは思っていたのでした。
アメリカや世界が本格的な「大恐慌」に突入したのならともかく、今はまだ形式的には本格的な大恐慌は来ていないわけで。
アメリカで栄養補助プログラムを受けている人々の数などについてのデータは、その管轄省庁であるアメリカ農務省( USDA )の報告書を見ればわかるのですが、 10月 1日からアメリカ政府の閉鎖が続いていて見ることができませんでした。
閉鎖が解除され、ウェブサイトが再開された一昨日、やっと見ることができのです。アメリカ農務省 栄養補助プログラムに関しての監査報告書 2013年6月という書類です。
それによりますと、「フードスタンプの受給者が1億人」というのは正確ではありませんでした。が、しかし、ある意味では意味としては正しいというようなんじです。
書類の中に下の表記があります。
2013年 6月の時点で、フードスタンプの受給者は 4700万人を越えていて、そのフードスタンプ受給者を含めた「何らかの栄養補助プログラムをアメリカ政府から受けている人たちが 1億 100万人いる」ということのようです。
なので、「アメリカ人のうちの1億人が、政府から何らかの食糧援助を受けている」ということに関してはある程度の事実といえるようです。
フードスタンプの受給者そのものにしても、昨年より 100万人以上増えているようで、予想以上にアメリカ経済は混迷しているというような気がします。「混迷」という表現をせざるを得ないのは、「景気のいい人や企業も多く存在している」からです。
いずれにしても、多くの人々がアメリカンドリームを夢見るアメリカという時代は、本当にはるか遠くに行ってしまったのだなあと感じます。
それにしても、先日のウォルマートでの「小さな食糧暴動」を見ていましても、食糧供給に何らかのトラブルが生じた時に起きる混乱は想像を絶するものになってしまうのかもしれません。何しろ、先日のウォルマートでの騒動は数十人によるものであの騒動だったのですが、アメリカ全土には、数千万人のその予備軍がいるわけですから。
そして、それと共に気になっていたのは、同じアメリカの「東海岸の異常」のことでした。
その後も減る気配のないアメリカ東海岸のイルカの大量死
今年8月の、
・心地よい「死の園」からの帰還後に気付いたイルカの大量死と人間の大量死をつなぐ曖昧なライン
2013年08月10日
という記事や、他にも載せたことがありますが、 2013年 7月前後から、アメリカの東海岸、具体的には、ニューヨーク州、ニュージャージー州、デラウェア州、メリーランド州、ヴァージニア州の海岸や浅瀬で、イルカの座礁(死亡ということ)の数が異常に増えているという出来事が続いていました。
それらの州の場所は地図では、大まかですが下のあたりの大西洋側5州です。
下のグラフは 2007年から 2013年までの 7月のアメリカ東海岸でのイルカの死亡数の推移ですが、一目瞭然で、その異常性が見てとれます。
これがその後どうなっているのかわからなかったのですが、政府機関閉鎖の解除後に、アメリカ海洋大気庁( NOAA )の該当するサイトを見てみますと、 9月 23日までの、イルカの座礁数に関しての詳細なデータが出ていました。
その中から、最もわかりやすい表は下の「 2007年から 2013年までの 9月 23日までのイルカの座礁数」のグラフです。
ニューヨーク州、ニュージャージー州、デラウェア州、メリーランド州、ヴァージニア州の 1月 1日から 9月 23日までのイルカの座礁数 / 2007年 - 2013年
▲ アメリカ海洋大気庁より。
平年の4倍から5倍の数でイルカが大量死をしているということが確定的となってきている感じです。
アメリカの海では「ヒトデ」も消滅しようとしている
ちなみに、このアメリカの東海岸では「ヒトデが崩壊して海から姿を消してしまっている」という現象も起きていて、いろいろと報道されています。
▲ Earthfiles より。
上の写真は、左の紫色のものが通常のヒトデの姿で、右が「崩壊」してしまったヒトデの写真です。このように体がバラバラに崩壊して、そして、結果としてそれは大量死となっているようです。
これが、カナダのバンクーバー周辺(太平洋側)から、アメリカのニュージャージー州とメイン州(大西洋側)で起きていて、場所によって、ヒトデが海から完全に姿を消してしまったという状況になっているのだそう。
原因は今のところまったくわかっていません。
ヒトデそのものは、食糧というわけでもないし、何かの実際的な影響があるものでもなさそうですけれど、「星の形をしている」というところから、英語では「海の星 / Sea Star 」とも言われているわけですが、それが消えた。
つまり、まずは海から星が消えたということが起きているようです。
次に消えるのは「空の星」ですかね(こわいわ)。
南極の氷も過去最大記録を更新し続けて
北極や南極の氷の状況をリアルタイムで掲載しているアメリカの政府機関であるアメリカ雪氷データセンターのウェブサイトも正式に再開しています。
それによると、南極の海氷の面積が、過去最大を更新していることが示されていました。
▲ アメリカ雪氷データセンター( NSDIC )より。
日本の今年の冬がどうなるかはよくわからないですが、アメリカやヨーロッパなどに関しては、かなり厳しい冬の寒さが予測されています。
それにしても、ここ数日で気温は急に下がりました。私の住んでいるところなどは 10日くらい前まで「暑い」などと言っていたのに、このところの朝晩などは「コタツをつけても構わない」というようなことになってきています。
地震については、昨日、メキシコでマグニチュード6.5の地震が起きまして、これも、プレートの結び目と近い場所でしたので、一応、記録として記しておきます。
2013年10月19日 メキシコ M6.5
昨日のメキシコの地震の震源とプレートの位置の関係は大体ですが、下のような感じとなります。
9月 24日のパキスタンの地震以来のマグニチュード6以上の地震は下のようになりました。
2013年9月24日から10月19日までのマグニチュード6以上の地震
09月24日 パキスタン M7.7
09月25日 ペルー南東 M7.1
09月28日 パキスタン M6.8
09月30日 ニュージーランド M6.8
10月01日 オホーツク海 M6.7
10月04日 中央インド洋海嶺 M6.4
10月11日 ニュージーランド M6.4
10月12日 ギリシャ M6.4
10月15日 フィリピン M7.1
10月16日 パプアニューギニア M6.8
10月19日 メキシコ M6.5
まだ少し先とはいえ、台風がまたも近づいています。
この台風27号の英語名は「フランシスコ」で、スペイン語表記での現在のローマ法王と同じ綴りの台風だということに気付きました。命名した国がアメリカだというところは気になりますが。
▲ 気象庁 - 台風の番号と名前より。
いずれにしても、今では自然災害による被害の予測や予防は難しい時代にもなっていますけれど、気をつけられる部分では私もそうですが、皆さんもお気をつけてください。
最近、地震のことを書いていますけれど、地震は起きるとも起きないとも誰にもわからないものとはいえ、現実に、世界中で「プレートの境目の大きめな地震」が続いている現状では、「プレートの境目でまだ地震が発生していない地域のひとつである日本」もその可能性の中に含まれるような気もします。
起きていない地震を必要以上に心配する必要はないと思いますが、通常の準備はいつでもしていて、よろしいのではないかとも思います。
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資本主義の終焉
2013年10月14日
▲ THE BLAZE より。写真の張り紙の「 EBT down 」というのは、「フードスタンプカードは故障中で使用できません」というような意味です。
ほんの数時間のフードスタンプのシステム停止でも人々の怒りは爆発した
今から3年以上前の記事になりますが、
・世界的な飢餓暴動を予測する専門家たち
2010年08月15日
というタイトルで、ロシアのプラウダの記事をご紹介したことがあります。
上の記事の中には専門家の予測として、下のような言葉がありました。
西側の専門家は、このような状況が、主に第三世界での飢餓による人々の暴動を誘発すると予測した。
つまり、食糧不足が原因の暴動が、第三世界といわれる、いわゆる東アジアからアフリカなどにかけてのいくつかの国や地域で起きるだろうと「西側の専門家」は予測していました。
しかし、上の報道のタイトルにある「食糧暴動に向かう人々」は、第三世界の人たちではなく、西側諸国の「親分」といえるアメリカの人々なのです。
これは日本時間の 10月 13日に起きたことで、アメリカの 17州で、突然、フードスタンプカードのシステムが使えなくなったのでした。現在は解消しています。
▲ wlox より。
フードスタンプの正式名は「補助的栄養支援プログラム」というものだそうで、スタンプとありますが、実際には磁気カードで、州によってデザインなどは違うのでしょうけれど、大体下のようなもののようで、EBT という名称だそうです。
▲ Wood TV より。
現状(日本時間 10月 14日)では多くのシステムが復帰したそうですが、たった数時間から最大でも1日程度のフードスタンプシステムの停止でしたが、最初に載せた記事によれば、そのことによりツイッターには下のような書き込みが夥しく書き込まれてたとのこと。
そして、今でもインターネット上ではこのことに関しての書き込みが続いているようです。復旧したとはいえ、原因がはっきりしていない上に、政府の閉鎖も続いていて、疑心暗鬼や、あるいは暴力的な心理状態というものは尾を引いたままの可能性もあります。
政府機関閉鎖の中でのフードスタンプの懸念については、先日の、
・アメリカの空で悪魔が笑っている
2013年10月07日
という記事の中でも少しふれたのですが、今回のフードスタンプ・システムのシャットダウンについては、現地メディア(WLOX)によれば、管轄省庁のアメリカ農務省は、「今回のこのトラブルは政府機関の閉鎖とは関係ない」と述べたとのこと。
しかし、現在のアメリカという国は 2013年で1億人前後の人々がフードスタンプ、つまり政府から食糧を与えられて生きている国であるということも事実でもあります。
CSN ニュースより。
アメリカ農務省の報告によると、連邦政府からの補助食糧援助(フードスタンプ)を受けたアメリカ人の数は米国の人口の約三分の一にあたる 1億 100万人に上昇している。農務省は昨年1年間で食糧援助に 1140億ドル(約 11兆円)の財政支出をおこなっている。
連邦政府からの補助食糧援助で生活している米国人の数は、民間企業で働いている労働者人口を上回っている。労働統計局の発表によると、2012年の時点でのフルタイム労働者人口は 9,718万人だった。
上からわかる問題は、「フードスタンプシステムの停止によって全米の人口の3分の1から4分の1の数千万人が飢えてしまう可能性がある」という事実で、そして、歴史の中では、「飢え」は必ず人々の心を蝕み、そしてそれは高い確率で「暴力」につながっていくと思うのです。
サバイバル好きな人々で溢れ、無数の銃に溢れているアメリカという国。
そのアメリカという国が他の国へ及ぼす影響は今でも多分世界一でもあります。
飢えが人にもたらすもの
作家の山本七平さんは、第二次世界大戦についての自らの戦地での経験等を記した『ある異常体験者の偏見』という 1974年の著作の中で、次のように書いています。
山本七平 『ある異常体験者の偏見』(1974年) 「アパリの地獄船」の章より
飢えは人を狂わす。前に『文藝春秋』三月号の随筆欄で川島四郎氏が赤軍派のリンチを栄養学の面、すなわち一種の飢えから解説しておられた。学問的なことは私にはわからないが、「空腹(アングリー)は怒り(ハングリー)」の言葉通り、単なる一時的空腹さえ、人間の冷静な判断をさまたげる。
これが「飢え」となり、さらにそのとき、このままでは「飢餓必至」という状態に陥るか、陥ったと誤認すると、人間は完全に狂う。飢えは確かに戦争の大きな要素で、これは戦争を勃発させもすれば、やめさせもする。自分の意志を無視して穀倉地帯に「手が動く」、それが破滅とわかっていても手が動く。
しかしひとたび飽食すると、あの時なぜ手が動いたか理解できなくなる。これは戦場の小衝突や虐殺、収容所の突発事件やリンチ、また捕虜虐殺等における、非常に解明しにくい事件の、真の原因のひとつとなっている場合が多い。以下に述べる私の体験は、「飢えの力」が、危機一髪、まさに恐ろしい虐殺事件を起こすかに見えたときの実情である。
この後、山本七平さんたち敗残兵たちが戦地から米軍に輸送された船の中で「飢餓のため」に起きそうになった事件のことを書いていますが、それはともかく、今の文明国の多くの人たちは本当の飢餓をほとんど経験していません。
私も経験がありません。
それだけに、もし飢餓状態がこの世の中に現れた時にどのようなことになるのかは予測もできないのですが、「飢餓は人を変えてしまう」ということは多くの人々の証言による事実ではあるようです。
そういえぱ、「アメリカの食糧配給制度」というのは、 1929年から始まった大恐慌の中でも行われていたことを数年前に知ったことがあります。
1934年の大恐慌下の連邦緊急救済局による「フードスタンプ」システム
数年前に古本屋の 100円コーナーで買った『史料が語るアメリカ』という本がありまして、その中に、アン・リヴィングストンさんという米国人女性が 1934年に記した「救済を受ける身」というタイトルの文章が載せられています。
アンさんは、 1931年まではピアノ教師として旦那共々、裕福な生活をしていたのですが、 1933年頃から生活が厳しくなり、食糧配給制で生きのびることになりました。
その時の日記のようなものが「資料」として残されているのでした。当時のアメリカには「緊急救済局」という部局があったようで、そこがおこなっていたプログラムの中には現在のフードスタンプと似た「食料小切手」の配布のシステムがあったようです。
これはずいぶんと昔のクレアなひとときの「大恐慌下の生活」という記事に載せことがあるのですが、一部抜粋しておきます。
『史料が語るアメリカ』 179ページ「救済を受ける身」より
1933年初夏、私は8ヶ月の身重であったが、アパートの月額家賃 12ドルを支払うと、もう一銭も残らなかった。そのアパートたるや、こんなものが本当にあるのかと思うほどひどかった。最低の条件ともいえる暖房、バスタブ、採光、給湯さえも欠いていた。鼠や南京虫も横行した。
だが、有り金の最後を家賃に払い、食費はどうなるのであろう。貸してくれない金を求め奔走した。夫は、職が得られないのに職を求めては歩き、仕事が得られないといっては、自分を責めた。
連邦緊急救済局への願い出は、絶望の中で最後の方法であった。
(中略)
私は空腹を抱え、小さな店のなかを見廻した。妊娠中の女性の食欲は、毎日の半飢餓状態で、繊細さがいやましてもいた。私は新鮮な果物がどうしても欲しかった。「ぶどうはいくら」と私は聞いた。「ぶどうはだめだ。売れないよ」とピートは答えた。「どうして」「ぶどうは贅沢だ。豆か、じゃが芋か、玉葱だ。貧乏人はぶどうなんか食べないんだ」
私は当惑した。しかしピートは本気だった。彼は救済局から渡された掲示文で、失業者が食料小切手で買える品目表を見せてくれた。そこには、塩漬豚肉とスライスしていないハム、豚肉のレバーや内臓、それ以外の肉はなかった。米、豆、芋、パン、玉葱が主な品物であった。新鮮な野菜など、どこにもなかった。私は無性に腹が立ってきた。
話がやや逸れてきましたけれど、アメリカといえば、今日の朝日新聞に下のような記事がありました。
「州分離運動」じわり拡大、米政治対立が地方でも激化
朝日新聞 2013.10.14
米メリーランド州のスコット・ストゼルジック氏(49)は同州の政治状況に嫌気がさし、自らそう呼ぶ「政治的奴隷制度」から抜け出そうと、ある計画を目論んでいる。それは、南北戦争以降の米国では例がない、新たな州の創設だ。(中略)
コロラド州の10数郡では11月に行われる投票に、州分離の是非を問う拘束力のない住民投票が盛り込まれた。また、フロリダ州でも分離についての提案が出されている。
さらに、カリフォルニア州北部では、一部住民がオレゴン州南部の郡と共に新州を創設しようとしている。アリゾナ州トゥーソンでも、保守派の知事と議員に我慢できなくなったリベラル派の住民が、同様の計画を練っている。
こうした試みは米国史上何度も繰り返されているが、南北戦争時の1863年にウェストバージニア州が誕生してからは、州の分離は実現していない。
しかし、分離を求める動きが増加している要因として、今回の政府機関閉鎖を引き起こした議会の行き詰まりなど、行政運営への不満が大きくなっていることを指摘する専門家もいる。
現在起きているアメリカでのゴタゴタが解決してもしなくても、アメリカと、そしてそのアメリカに引きずられる多くの国(もちろん日本も)は、やはり、昨日の記事で引用した「前人未踏の領域」に立ち入ろうとしているのかもしれません。
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資本主義の終焉
2013年06月07日
▲ 5月の終わりから地球はおひつじ座流星群の破片の中に突入していているのだそうで、地球の大気への衝突は 6月 9日前後がそのピークとなります。Daylight Meteors: The Arietidsより。
おひつじ座流星群の地球の大気圏への衝突がピークとなる 6月 9日
タイトルにある「おひつじ座流星群」というのは、代表的な昼間の大流星群で、今、地球はこのおひつじ座流星群の破片の中に突入していて、明日あたりがそのピークとなるということがスペースシャワーの短い記事に書かれていました。
秒速 39キロメートルという、かなりのスピードで流星の破片が次々と地球の大気に激突するそうです。
上の写真はスペースウェザーの解説ページにあった写真ですが、もし流星群が見えるならこのように見えるという想像図のようです。昼間なので光は見えないと思われます。
流星の衝突の状態が激しければ、何らかの目に見える出来事もあるかもしれませんけれど。
全然関係ないですけれど、なんか市場というのか、金融市場の方面が私のような素人目にも危うい動きをしていているのを見て、数年前のことなどを思い出しました。しかし、今回のは規模が違いそうですけれど。
金融市場というモンスター広場に見える「小さな亀裂と異常」
昨晩、「吐き気」に見舞われまして、強いものではないんですが、お酒を飲んでいたわけでもないし、夕飯でも食べ過ぎたのかなと思っていたのですが、結局、真夜中まで嘔吐感で起こされたりしていました。
そういう中で、真夜中に、なんとなく市場の様子などを見ていましたら、為替が下のようにとんでもないチャートを描いていました。
いわゆる FX という一般の人でもできる外国為替取引がありますが、この「瞬間的に3円近く変化する」というのは、人によっては「卒倒するレベル」の値幅の動きで、しかも瞬殺レベルのあっという間の変化。
これが夜中に起きていたので、今朝目覚めて呆然とした投資家の人たちも多かったのではないでしょうか。
FX は自分の元金の何倍もの取り引きができ、それが魅力でもあるのですが、「自分の想定している方向(売買した方向)と逆に向かった場合、元金の何倍ものマイナスとなる」という危険が常にあり、取引の方法次第では、資産が何千万あろうと何億円あろうと、「あっという間に」すべてを失う可能性があります(株ではそこまでの急激な資産の消失はないです)。そのような可能性のある結構危険な取引なのですが FX は今も人気があるようです。
2006年を思い出す
少し前の記事(精神的なカオスにやや考え込んでしまう昨今)で、それまで株に手を出したことのない知り合いが、「株を買ってみようかな」と言っていたところを「今はやめたほうがいい」と阻止したことを書きましたが、その後、株価はどんどん下がっています。
その知り合いがそれまで興味のなかった「株」に興味を持ったキッカケはテレビだったと言っていましたが、このあたりも7年前の株価暴落、いわゆる「ライブドアショック」の少し前の雰囲気を思い出します。
2006年のライブドアショックは、私がまだ株取引をやっていた時に起きましたので、その頃の雰囲気をよく憶えています。
その直前、世の中はどんな雰囲気だったか、ライブドア・ショック - Wikipedia にはこのようにあります。
事件前の背景
2005年7月以降、日経平均は7月の1万2000円台から1万6000円台にまで回復するなど、日本経済の復活を象徴するかのような、株価上昇が注目されていた。
株式市場は新規の個人投資家を大量に引き入れ活況を呈しており、通常、株式情報を大々的に扱うことのないスポーツ新聞に「バブル再来か?」の見出しが踊り、TV番組では株を買ったことのない芸能人が「株でいくら儲けられるか?」などの特集が組まれるなど、バブル景気時代を彷彿させる状態であった。
そして、今・・・というか、少し前までがまさに「株式市場は新規の個人投資家を大量に引き入れ活況を呈しており」という状態だったようです。
私はテレビの情報は知らないですが、ネットや紙媒体でも、「株価はどこまで上がる?」みたいな書き方はよくされていて、それに加え、今の政権の何とかミクスという経済政策で株も給料も景気も何もかも上がるという夢のような話が語られていたのが最近だったようです。
7年前のライブドア・ショックのメインのショック市場は、東証にあるうちの「東証マザーズ」という新興会社の多い市場で、ライブドア・ショックの当日は、実に「11.76パーセント」という1日の下落幅としては驚異的な下落をしました。ところが・・・昨日、それを上回る驚異が起きていました。
実は、昨日( 6月 7日)、そのマザーズ市場の下落率はライブドアショックの際の1日の下落率を超えた「 13.07パーセント」という前代未聞の下落率だったことを知りました。
「市場に何が起きようとしているんだ?」
と、さすがに素人の私でも思います。
上のドル円相場の急落(というか、急騰)も、何か事件や重要な経済指標の発表があってのことならともかく、昨日は「何にもなかった」はずです。何もないのに荒れるという状態。
確かに、市場というか、金融というか、何か起きようとしている感じはします。
人為的なものというより、あるいは、現在の金融市場はあまりにも肥大し過ぎていて、動き始めると制御することはできない「怪物」になっている可能性もあるのかもしれません。
ライブドアショックの時、数ヶ月後には、マザーズ市場の株価は全体の平均としてはそれ以前の 10分の 1程度の水準にまで落ちたはずです。
もし、近い未来に「国を問わず、職種を問わず、全面的な金融崩壊」というような事態が「仮に」訪れた場合、あの時に新興企業を襲った「株価 10分の 1」や、あるいは消える(上場廃止など)という状況が、今度はどんな規模と状況で出現するのか、あるいはしないのか。
リーマンショック後の 2008年頃には「資本主義の崩壊」というようなことがさかんに言われていましたが、 2013年の今でも資本主義も市場取引も存在し、むしろ金額的には以前より大変な活況を呈しています。
この資本主義と金融市場の活況が永遠に続くのかどうかは私にはわかりませんが、でも、やはり「永遠のわけはない」とは思うのです。
上の金融の話のキッカケとなったのは、昨晩の「吐き気」だったのですが、昨日の吐き気の感じは、なんともイヤな感じのつきまとうもので、ふと、高校時代に地元にあったジャズ喫茶に置いてあった永島慎二さんという漫画家の 1960年代の作品『漫画家残酷物語』というシリーズの中にあった「嘔吐」という作品を思い出しました。
余談めいた話となりますが、少し書かせていただきます。
サルトルの『嘔吐』を今にしてはじめて知り
▲ 晩年のサルトル(1905年 - 1980年)。
永島慎二さんの『漫画家残酷物語』は 1961年から 1964年まで連載された作品だったそうですが、私がはじめて読んだのは高校生の頃でしたので、 1970年代の後半だったと思います。
その「嘔吐」というタイトルは、サルトルの「嘔吐」から拝借しているものだということが書かれてあったと記憶しているのですが、サルトルのほうは私はぜんぜん知らないで生きてきました。
昨日の吐き気でそのことを思い出し、Wikipedia のサルトルと嘔吐を読んでみたのでした。
「嘔吐」は、概要としては、
『嘔吐』は実存主義者の小説家サルトルが1938年に著した小説である。大学教授であった頃の作品で、彼の著作の中で最も良く知られるものの1つである。
ある絶望した研究者が事物や境遇によって彼自身の自我を定義する能力や理性的・精神的な自由が侵されているという確信に至り、吐き気を感じさせられる様子が描かれている。
というものです。
読んでいて、軽くショックを受けたのは、私が過去経験してきたようなと心象(?)風景とやや似ている感じが描かれていたことでした。
それは Wikipedia では下のように説明されています。
主人公は、ありふれた物から流れ込んでくる嘔気の気配を感じる。この気配は排水溝の中の丸められた紙切れから砂浜で拾った石まで、不規則に現れるように感じられた。
彼が受けた感覚は純粋な嫌悪感であり、激しく高まった侮蔑感はそれが喚び起こされるたびにほとんど彼の精神を破壊しそうになるほどであった。嘔気が起こる頻度はそれが何を意味するのか彼には分からないまま徐々に高くなっていく。
しかし、公園の栗の木の根元で、彼は嘔気が本当は何を意味するかに関する鋭く鮮明な洞察を得る。存在そのもの、実存する物が無ではなく何者かであるという性質自体が、彼をゆっくりと狂気に追いやる物の正体であった。彼はもはや物体を色や形といった性質も持っているとは捉えなくなった。
今はこんなひどいことはないですが、パニック障害のひどかった時のパニック中は、上のように、
> 存在そのものが無ではなく何者かであるという性質自体が、彼をゆっくりと狂気に追いやる
ということに日々苛まれていたのです。
パニック障害とはいっても、様々な症状があるわけで、私の場合ですが、私がパニックに陥ると、まず、
・頭で定義している物事の「定義が頭から消える」
のです。
上の書き方では何だかわからない表現ですけれど、たとえば、「コップ」が目に入れば「これはコップ」だと別に特別な判断をしなくてもわかるのが通常ですよね。
それがわからなくなるわけです。
「これはコップ」と改めて判断するための手がかりが必要になる。
しかし、この世には物も色も音も無数にあるわけで、それが情報として一気に目や耳から入ってきたものを処理できなくなってきます。当然、混乱する。目を閉じ、耳を閉じ、心の中で解決策を探る。
そして同時に吐き気にも襲われ、何が何やら・・・というのが二十代によくあった症状でした。
昨晩の吐き気は、そのようなことを思い出させてくれたと同時に、はじめて、サルトルの「嘔吐」を知るキッカケになりました。
「嘔吐」読んでみようかなあ。でも難しい内容なんだろうなあ。
ちなみに、サルトルは、この小説『嘔吐』でノーベル賞を与えられることになりますが、
サルトルはノーベル賞を辞退した数少ない人々の1人であり、ノーベル賞を「資産家層によって作られた儀式に過ぎない」と評した。
と、ノーベル賞の受賞を拒否したのでした。
その際、「いかなる人間でも生きながら神格化されるには値しない」と述べたそう。
やっぱりカッコイイ人はとことんカッコイイと改めて思います。
難しい言葉を使わなくても、いつかはきっと「存在の意味」かわかる日は来るのだと
しかし、サルトルのような哲学者の人々が論争を続けてきた「存在」だとか、そういうものの答えも、難しい言葉を使わなくても、実は単純に人々の中には「その答え」があるように思います。その答えが出る時代に向かって、私たちは歩いているのだと信じたいところであります。
まあ、いろいろと不安や懸念は確かにあります。自然災害だとか、経済の崩壊だとか、天体の衝突だとか、ポールシフトだとか、太陽活動の低下だとか、あるいは、想像もつかない様々な不安はあります。
でも、まあ・・・進むしかないのだと思います。
気づくと、ダラダラと自分のことなど長々と書いてしまいました。
すみません。
明日はひさしぶりに「パンスペルミア」関係の記事を書くかもしれません。
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資本主義の終焉
2013年03月17日
▲ 1946年(昭和21年)2月17日の朝日新聞。戦後の日本であった預金封鎖の時の記事です。「今日から預金封鎖」とあり、上には「経済危機突破へ非常措置」という文字が躍ります。見だしでは、「世帯主は月額300円、扶養家族は月額100円の引き出しが可能」と書かれています。こちらによりますと、当時の 100円は今の5万円くらいに相当するみたいですので、世帯主の引き出し可能額である月 300円というのは、生活できない額ではなかったようです。
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ニュージャージーの悪夢
本題とは関係ないですが、昨日のアメリカのニュースで、久しぶりに「ひいい!」と小さく叫んだニュースがありました。
それは「虫」のニュースで、記事の中に出てくる具体的なその固有名詞を書くつもりはないですが、いわゆる夏になると、家の中などにも出現するものの中で、多分最も人間に嫌われている生き物のひとつについてのニュースで、頭文字はゴルゴ13と同じように「G」で始まる昆虫に関係する話です。
そのニュースもその部分をGで表記させていただくと下のように始まるものです。
「米ニュージャージー州アトランティックシティからニューヨークへ向かっていた長距離バスの車内に無数のGが現れ、乗客がパニックになる騒ぎがあった」
というものでした。
突然、1000匹以上出てきたのだそうです。
いちおう、こちらが日本語のニュースのリンクですけど、写真もありますのでご注意を。
いずれにしても、こんなこと日本では起こるなよ・・・と願わずにはいられないのでありました。
さて、話は変わって、今日は軽い話題で。
キプロスという国で突然、政府が預金封鎖を事前の通告なしに実施し、人々の銀行口座から強制的にお金を徴収して、怒った人々がブルドーザーで銀行に突入したりと、大変な騒ぎとなっているというものです(重い話題じゃん)。
なぜ ATM での引き出し額には限度があるのか?
▲ キプロスの突然の「銀行口座からの税金の強制徴収」に腹を立てた市民がブルトーザーで銀行前に乗り付けて抗議した光景。3月15日。 BBC より。
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キプロスで3月15日に「突然の預金封鎖」がありました。
このキプロスの件に関しては、多くの日本語の記事にもなっていますので、まず、昨日の産経新聞の記事を抜粋しておきます。
キプロス、預金を封鎖 口座引き出し凍結
msn 産経ニュース 2013.03.16
欧州連合(EU)ユーロ圏財務相会合がキプロスへの財政支援と引き換えに全ての銀行預金への課税を決めたことを受け、キプロス政府は16日、全銀行口座からの引き出しを制限する預金封鎖を開始した。
通常は土曜日も開店している小口金融機関が閉店しているほか、現金自動預払機(ATM)からの引き出しやインターネット上での資金移動も制限されている。一部銀行店舗では、早朝から預金を引き出すため預金者が列をつくる騒ぎもあった。
18日はキプロスの休日で、同国議会は銀行が営業を再開する19日までに必要な法律を可決し、課税を完了する。
預金封鎖は全預金のうち、課税対象となる10%弱の部分が対象。預金への課税はこれまでギリシャなどでも行われなかった異例の措置だ。
上の報道にある「早朝から預金を引き出すため預金者が列をつくる騒ぎ」については、下のような感じだったようです。
▲ カタールのアルジャジーラのテレビ報道より。
ところで、「キプロス」と言われてもどこにあるのだかよくわからない場合もあるかと思いますので、地図を載せておきます。私も「地中海のあたり」というようなイメージしかなく、よくわかりませんでした。
トルコ、レバノン、イスラエルなど最近、話題が多い場所に囲まれた海の中にある小さな国のようです。
今回のキプロスの記事を読みながら、「日本で ATM の引き出し限度額が下げられていったのはいつくらいからのことだったかなあ」と私は思っていました。
私は大金を下ろす機会がないのでよくわからないのですが、下の住友銀行のサイトを見ると、「平成18年より」と書かれていましたので、6年くらい前からのことですかね。
引き出し限度額が下げられた理由というのは、私にはよくわからなかったのですが、「大きな金額を一気に ATM でおろすことができない理由のひとつ」を、今回のキプロスの出来事を見て納得できました。もちろん、理由は他にもいろいろとあるのでしょうけれど、そのうちの「推定される」ひとつの理由という意味です。
それは「何かの時に全額引き下ろされることがないように」だと。
なぜかというと、今回のキプロスの預金封鎖では、
政府は金曜の夜に、銀行の預金者から一斉に課徴金を徴収する措置を発表し、それを月曜日までに実施すると発表したので、土曜と日曜は銀行は開いておらず、つまり、預金者は ATM でしか現金を下ろすことができない。
という事態になったのです。
「お金をおろせない時に強制的に徴収する」ということですね。
上の写真のように、ブルドーザーまで使うように怒った人々が多い理由はここにあります。
「どうやっても、勝手にお金が政府に引き抜かれる」と。
しかもその率は高額預金者は約 10パーセント。
たとえば、1億円預金している人は、月曜の朝にそこから 1000万円勝手に徴収されているということになるわけです。
同じことが、もし現在の日本で起きた場合(起きないでしょうけれど・・・多分)、たとえ、貯金が1億円あっても、1000億円あっても、土日で下ろせるのは 100万円程度ということになるのかもしれません。
まあそれでですね。
このキプロスの報道を見て、一般的な人々がどう思うか、あるいは明日からどういう行動に出るかということに興味を持った次第です。
特にキプロスと同じような環境下にあるかもしれないと思われるようなヨーロッパなどの国々の人たちはどう考えるだろうかと考えるのです。
普通に考えると、
「よくわかんないけど、危なそうだからお金下ろしておこうか」
と思う人がヨーロッパの各国でドドドッ、と出現するのではないかと。
今回はタイトルに「ブラックスワン」などと書いたのですけれど、そういうような方向を誘発する出来事だったりしないのかな、と思った次第なのでした。
もともと、欧州各国は預金の流出は問題となっていて、過去記事でも、
・「銀行崩壊の不安」に駆られた人々による大規模な預金の引き上げが続くギリシャ銀行
2011年12月07日
のようなものをご紹介したことがあります。
明日月曜にキプロスがどのような状態になるのかはまだわからないですが、当事国のキプロスだけではなく、周辺国の状態も含めて、少なくとも一時的には混乱すると思われます。
上に「ブルドーザーで銀行に乗り付けた」という写真を英国の BBC からご紹介しましたが、このブルドーザーを運転していた人はアルジャジーラのインタビューにも答えていまして、下の人です。
このブルドーザーを運転していた中央の人はかつての英国のバンド「ザ・フー」のピート・タウンゼントという人とそっくりだし、後ろに立っている人は映画監督のクエンティン・タランティーノそっくりで、あまりにもふたりとも似ているので、何かの映画の撮影かとも思いましたが、映画ではなく現実の事件だったようです。
▲ ピート・タウンゼント。
▲ クエンティン・タランティーノ。
さて、こんなことが現実として起きる時代ですが、世界の他の国は・・・いや、将来的にも日本だってどうなるでしょうね。
私は経済のことは詳しくないので、予測はできないですが、しかし今回のキプロスのような方法で実施されたら、「ひとたまりもない」ということはわかります。
海外の報道もご紹介しようと思いましたが、報道内容は日本で報道されているものとほぼ同じですので、むしろ、明日以降に注目したいと思います。
それより、長らく自分でも使っていなかった「ブラックスワン」という言葉が今回出てきましたので、お忘れの方もあるかと思いますし「ブラックスワンとは何かということを記しておきます。
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資本主義の終焉
2011年04月06日
私がいわゆる携帯電話というものを初めて持ったのは、多分、1998年くらいのことだったと思います。まだ PHS というものがあり、アステルという会社の PHS 携帯が自分で持った最初の携帯でした。そのアステルの PHS 携帯は今でもデザインが気に入っていて、本体は今でも持っており、子どものオモチャになっています。
こういう形のものでした。
これの何が気に入ったかというと、とにかく小さい、とにかく軽い。大きさも薄さも今の最も小さいタイプのものよりはるかに小さく、重さなどは比較にならないほど軽い携帯電話でした。
機能的には、電話の機能以外はほとんどありませんでした。メール機能も一応はありましたが、使用できるのは、「カタカナのみ」で、しかも、十文字だったか二十文字だったかの文字制限がありました。
「キノウハドウモアリ」
(昨日はどうもありがとうと書こうとして切れたところ。面倒くさいのでそのまま送ってました。笑)
こんなメール機能を使うわけもなく、携帯は「単に電話をするもの」でした。
私は今でも携帯のメール機能が苦手で、日常生活ではほとんど使いませんが、それよりも、私はふだん「物を持って外出することがほとんどない」ので小さいほうがありがたかったのです。持ち物というのはバックなどのことですが、持つことが基本的にありません。 100回外出するうちの 99回は手ぶらだと言っていいくらいなのですが、そういうこともあり、携帯も上着やジーンズのポケットに入れるので、大きいのは困るということもあります。
なので、小さい携帯は助かったのですが、この 1999年あたりというのは「携帯でのメールブーム」が一気に起きた頃で、次第に携帯のサイズは大きくなっていきました。
そして、数年前だったか、携帯のメーカーを換えた時には、「携帯にカメラ機能がつく」のが普通になっていることを知りました。
その携帯電話のサイズの大きいこと、そして、重さも重いこと。
携帯ショップで、「なんじゃ、こりゃあああああ!」と(心の中で)叫びながらも、ほとんど選択肢はない状態といってよく、結局、それからは「携帯にカメラがついている」ことは普通のこととなり、ついには動画撮影の機能まで普通に搭載されるようになった。
長い間、ひたすら「携帯にこんな機能全部いらねーよ」と思っていました。
そして、メーカーの価格競争や様々な価格設定により、若い人からお年寄りまでの非常に多くが携帯を持つようになり、そして、今現在では「ある程度の年齢のほとんどすべての日本人がカメラつきの携帯を持っている」のではないかというようなほど普及しました。
デジカメと違って、携帯はいつでも持ち歩くタイプの端末で、つまり、多くの、ごく普通の一般的な日本人の誰もがが「いつでもどこでも記録を残せる状態」という、歴史上でも稀に見る状態になっていました。
そして、そういう時に今回の震災が起こったのです。
震災後何日か経ち、携帯の基地局やインターネットが少しずつ復旧してくる中で、YouTube などにアップされ続ける「おびただしい災害の映像」。
ニュース通信社が写したものではなく、「被災者本人たちが撮影した災害の映像と画像」が何十も何百も何千も何万もインターネット上に次々とアップされる。
日本にいようが、外国にいようが、仮に震災のことを知らない人でも、 YouTube にアクセスした途端、目にせざるを得ない「信じられない自然災害の姿」。
人類の近代の歴史上でもっとも被害の大きな災害のひとつである今回の震災ですが、これはまた同時に「世界中の人が災害の現場を映像で共有した」という、歴史上、はじめて人類が体験した驚異的な出来事になったのです。
今でも、あまりニュースは見ないとはいえ、海外のニュースの見だし等を見ても、いまだに世界中で原発に対して、そして地震に対してのニュースが収まらず、むしろヒートアップしている原因のひとつが、「世界のあまりにも多くの人々が映像による決定的な同時体験をしてしまった」という、史上初めてのショックが発生したからです。
この「携帯のこと」については、震災後数日後に私は薄々とは感じていましたが、「映像の世界中の共有」は、何週間経っても、さらにどんどんとインターネット上で肥大し続けていき、それにつれて世界中のショックが拡大していく光景を見て、「携帯テクノロー児の意味」を私なりに確信したのです。
つまり、私があれだけ「携帯にカメラなんて無駄だろ!」と感じていたこと、すなわち、携帯端末の進歩と普及のうちの「映像と画像とメール機能」がどうして日本で突出して進んでいったのかがわかった気がしました。これは世界マーケットを考えると、あまり意味のないことで、そのせいで、今でも日本製の携帯端末は世界では売り上げ順位がとても低いです。
私たちの地球の歴史の中で、「必然性のない歴史は何もなかった」と考えると、全世界へ伝わった今回のショックと、日本人のカメラ付き携帯の普及率の異常ともいえる高さの関係はあると思います。
また、戦後の電気製品やカメラや映像テクノロジーの日本での特殊な発展の仕方にも敬服いたします。
以前、
・日本人研究者が獲得した「暗闇での視覚」: 人類と光と植物 2011年02月28日
という記事で書かせていただきましたように、ここ数年の日本人の発見や研究は、いわゆる「覚醒レベル」の驚異的なものでした。
そこで挙げた3つのニュースはこれでした。
・生命の起源が宇宙から飛来したことを裏付ける根拠を観測
国立天文台(日英豪米の共同研究グループ) 2010年04月06日発表
・古代銀河ヒミコの発見
大内正己(米国カーネギー研究所) 2009年5月10日発表
・植物や藻類の中で葉緑素が緑色になる反応のしくみを解明
栗栖源嗣(大阪大学・蛋白質研究所と名古屋大学・生命農学研究科などの共同研究) 2010年04月18日発表
金銭や名誉に絡みにくいので、報道は小さかったですが、何年後か何百年後かにはも必ず上の日本人研究者たちの発見は「これが世界の意識が変わるキーポイントのひとつだった」と言われることになると思います。
そして、「携帯にカメラ機能をつけ、そして、それが異常な率で日本人の間に普及した」ことも。
これまでの災害での「被害の多さ」、あるいは「人命被害の多さ」という意味では、過去にもっと悲惨な自然災害はたくさんありました。この10年だけでもかなりの数に上ります。昨年のハイチの地震も(日本の震災より規模が小さかったのにも関わらず)、現在までの死者は 31万人を数えています。
しかし、そういう「被害の大きさ」ともまた違う、それまでのどんな災害と違う「異常」が前述した日本にはすでに背景としてあったという点が他の様々な災害とは違う点だと思います。
「すでに日本人全員が歩くカメラだった」
という状況。
現状、人類は遠くのものを「見る」ことはできないし、現実的には「文字だけでの情報でのショック」には限界があります。
それだけに、視覚として瞬時に伝わる、「携帯とインターネット」の絡みという今の(じきに終わるのかもしれないけれど)文明を思います。
地上で起きるすべてのことを記録して、そして、「世界全体にすぐに広がる」。
テクノロジーの意味は、未来永劫に進化していくテクノロジーという意味とは別に、今回のように人々にショックと、そして覚醒を与えるために「その時代にだけ存在した」テクノロジーというものもあるのだと思います。
未来の生活には、こういうもの(携帯とかカメラとか、あるいはインターネットなどまでも)は多分不要になるかもしれないですけれど、「今は必要」だったと。
携帯カメラテクノロジーと、それを開発した方、そして、企業努力でそれを大勢に広めたくれた方々に感謝したいと思います。
超余談: 恋のフーガの英語バージョン
唐突なんですが、わたしは子どものころから「ザ・ピーナッツ」という存在に非常に不思議なものを感じていのだですが、そのザ・ピーナッツの1967年の大ヒット曲の「恋のフーガ」に英語バージョンがあったっていうのはご存じでした? 昨日初めて知ったんです。
この「恋のフーガ」は、小さな頃からものすごく好きな歌なんですが、昨晩、なんだかザ・ピーナッツの歌が聴きたくなって、 YouTube でいろいろと聴いていたら、「恋のフーガの英語版」というものが。字幕だけ入ってるんだよなと思って見てみたら、本当に英語で歌っとるがな・・・。
「マジかよ・・・」と思いましたが、何度聴いてもご本人たちとしか思えない声ですので、本物のようです。オリジナルの日本語版ほどの迫力はないにしても、この奇跡のハーモニーがたくさんの人々にも届くのはいいことですね。
ちなみに、映像そのものはこちらの日本語版のオリジナルプロモのものです。
ザ・ピーナッツというのは、子どもの頃から「不思議感」を強く感じさせた人で、その気持ちは今でもあまり変わりません。どんな不思議感かというと・・・難しいですが、「本当にこの世に存在している現実の人なんだろうか」というような感慨というのか、なんというか。
歌のうまさとかハーモニーとかは一種異常な領域に達していて、歌の訓練とかでどうにかなる世界ではないものだったと思います。
「宇宙人っていうのがいるとしたら、こういう人たちのことかもしれないね」などと、学校の友達と話していたことがあります。引退の時も、「帰るんだ、帰るんだ、きっと星に帰るんだ」と大騒ぎしていました(うるせー!)。
ちなみに、昨日は記事が開いてしまったのですが、忙しいというより、以前少し書いたかもしれないですが、「自分の過去に好きだった音楽や映像などをまとめたりしている」という一種の遺書的作業(苦笑)で時間をとられているということがあります。
いろいろと面白い話はたくさんあるのですが、おいおい書きたいと思います。
タグ:アステル
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