- アメリカ中央情報局(CIA)が「気候データの公開を停止」した地球では今日も粛々と「1種類ずつの大量死」が続いている
- 陸地では数千万羽のニワトリが死に、海では「デッドゾーン」の中であらゆる海洋生物が死に続けるアメリカで
- 途方もない「大量死の時代」の進行が加速していた : 2015年最初の4ヶ月だけで270件を超える大量死報道があることを知り
- 「病気の時代」は継続している:患者100万人を越えたチクングニア熱、パンデミック状態のRSウイルス、爆発的な患者数の増加を見せるカザフスタンの「眠り病」
- イルカやヒトデに続き、アメリカのウミガメたちの異常な座礁数から思う「6度目の大量絶滅」に向かう現在の世界
- 1918年のパンデミック(スペインかぜの世界的流行)で「日本人の致死率が世界平均と比べて極端に低かった理由」はどこにあったのか
- うつ病だらけの世界の中、アメリカの「現代の十戒」ジョージア・ガイドストーンに突然組み込まれた「 2014 」という数字の意味
- 14世紀前の全世界的な病気の大流行の後に登場したイスラム教。そして、現代の狂気「イスラム国(IS)」と病気の時代の関係
- 韓国・台湾・北朝鮮... 東アジアで続く大量死事故の連続。そして、アメリカ本国がエボラ・ウイルスを迎える日
- 米国オレゴン州のヒトデは「絶滅の方向」へ。そして、その出来事から考える、神や神のようなものが自然の中に創造したものたちの色や形の意味
【疾病と大量死】 の記事一覧
2015年05月28日
[追記] 5月21日から 5月26日の大量死報道を追加しました(5月29日)。
ALLGOV
突然、長く続いた気候の情報公開・共有を停止したCIA
今回は、また、「大量死」関係のことを書こうと思っています。
上の CIA に関してのニュースは、それと直接関係するものではないですが、今のような自然災害が多い時期・時代に、「突然、気候変動に関してのデータ共有(政府機関と科学者たちの間での共有)を停止する」ということには多少不自然な部分を感じる部分もあります。
当事者のアメリカにしても、最近は延々と激しい天候の影響を受け続けているわけで、今が最も気候変動の情報データを科学者たちと共有することが大事な時なのではというときに、「共有を停止した」というのが、やや妙かなと。
アメリカでは、2日ほど前にも、テキサス州で「信じられないような量の豪雨」によって、大きな洪水被害が出ています。
少なくとも15名が死亡し、1000台の車が水没したテキサスの洪水
・ロイター「米テキサス州などで洪水被害拡大、15人死亡 車1000台以上水没」
上の記事の冒頭部分を記しておきます。
CIA Ends Information Sharing with Climate Scientists
ALLGOV 2015.05.26
CIA が気候学者たちとの情報の共有を停止
マザー・ジョーンズ(報道メディア)は、ほぼ四半世紀前に始まった、気候変動を研究する科学者たちと、海洋や大気の収集機密の情報を共有するプログラムを停止することを、アメリカ中央情報局( CIA )が決定したことを伝えた。
今回、終了が決定されたプログラムは「環境分析のための地球データ測定」( MEDEA )プログラムで、約 60人の民間の科学者が、そのデータ情報を共有できるためのセキュリティ・クリアランス(資格)を持っていた。
このプログラムでは、偵察衛星によって収集された海の温度、潮の流れの読み取りや、米海軍の潜水艦による地形データなどの収集も含まれていたという。
この気候変動の脅威に関する多くの情報を、気候の専門家に提供し、共有するプログラムは、 MEDEA 以外のソースからアクセスすることはできない。
CIA は、天候の変化が世界的な競合にどのような影響を与えるかを分析するために、このデータを使用している。CIA など諜報機関は、世界の脅威評価報告書の分析のために科学者たちと提携していると信じられている。
というようなものです。
この CIA などの諜報機関と気象の還啓としましては、以前、
・1975年のジュネーブ軍縮会議で米ソが発表した「人工洪水攻撃、人工地震攻撃、極地の氷の融解攻撃、オゾン層破壊攻撃の禁止」…
2014年02月19日
・ベトナム戦争の気象コントロール「ポパイ作戦」とハリケーン縮小計画「ストームフューリー・プロジェクト」以後、アメリカの気象兵器開発は進んでいるのか、いないのか
2015年02月16日
のような記事で記したことがありますが、アメリカの軍や諜報機関が天候を利用する、あるいは、そのために研究をする、という歴史は長いようで、今ではさらに「進化」しているかもしれません。
さて、このことは今回の本題ではないです。
今回は、
・途方もない「大量死の時代」の進行が加速していた : 2015年最初の4ヶ月だけで270件を超える大量死報道があることを知り
2015年04月30日
に続き、5月に入り、さらに大量死が複雑化していることを含めて、ご紹介したいと思います。先日のアメリカの大量死の記事でも書きましたが、相変わらず「1種類の生き物の大量死」が目立ちます。
「消えていく動物たち」と私たち人間の関係
ところで、昨日の、
・シュタイナーが110年前に述べた「頂点は日本です」の意味
2015年05月27日
という記事は、シュタイナーの地球についての概念を書いたものでしたが、そのシュタイナーは、「その地球で起きるすべての出来事」と「人間の意志」は、
「関係がある」
とする主張を持っていたようです。
たとえば、地震や火山の噴火なども含めて、あらゆることが「人間の意志によって起こりもする」ということのようです。
シュタイナーの 50巻からなる「連続講義録」というものの第一巻を日本語でまとめたものが、『神智学の門前にて』という本なのですが、この中に、
人間の意志は、地上に生起することに関連している。
人間は自分の住む土地を変化させるのである。
という意味の部分が何度か出てきます。
最近とてつもなく増え続けている動物の大量死だとか、ウイルスの蔓延などの出来事も、人間の意志と関係するということになるのでしょうかね。
5月も、4月と並ぶほどの大量死報道が続いています。
拡大する未知のウイルスでの絶滅
なお、今月で印象的な大量死としまして、
・パキスタンで 200頭以上のラクダが未知のウイルスで死亡(5月12日報道)
・Daily Pakistan
・カザフスタンで 8万5000頭のサイガ・アンテロープが死亡(5月22日報道)
・National Post
・オーストラリアで、カメが未知の病気で「絶滅」に向かっている(5月6日報道)
・Scientific American
などです。
共通するのは、ウイルス性の疾患での大量死ということなのですが、どれもが「未知のもの」となっています。
カザフスタンのサイガ・アンテロープの大量死については、現在までに、個体数の3分の1が死亡したというカザフスタン政府の発表もあります。
サイガ・アンテロープというのは下のような動物で、まあ、かわいい感じのものなんですが、これが「たった数日間で、8万頭以上が死亡する」という緊急事態となっています。(追記) 5月28日には、死亡数が 12万 5000頭にまでのぼったことが、カザフスタン政府から発表されています。(報道)
・tumblr
これに関しましては、
・カザフスタンで絶滅危惧種のサイガ・アンテロープが「たった数日間で8万頭以上の謎の大量死」
2015年05月26日
で記事にしています。
オーストラリアの「カメの大量死」についても、この未知のウイルスの致死率は非常に高く、サイエンティフィック・アメリカの記事によりますと、今年3月以来、「感染したカメはすべて死亡」という状況で、これまで大量のカメやウミガメの死亡が確認されていて、しかも、このウイルスが、カメの生息地の 90パーセントの地域で見つかっているのだそうで、このままでは、
「オーストラリアのカメが絶滅してしまう」
という事態が、現実味を帯びてきているようです。
パキスタンのラクダの大量死については、短い報道ですので、翻訳します。
200 camels die of mysterious disease in Noorpur Thal
Daily Pakistan 2015.05.11
ノールプール・タルで、謎の疾患により 200頭のラクダが死亡
地元メディアによると、パキスタン・ノールプール・タル地区で、5月11日までの1週間で、少なくとも 200頭のラクダが、未知のウイルス性疾患で苦しめられた後に死亡している。
地区の畜産当局によれば、ラクダたちは、震えや咳を伴う鼻からの出血に苦しんだ後に、最終的にすべて死亡したという。
また、「村人や貿易商たちは、これまでに 200頭以上のラクダを失ってしまった」と述べた。
これらの地域では、ラクダは、砂漠での走行、水汲み、荷物の運搬、農耕、レジャーなどに幅広く使われているため、ラクダは珍重されており、ラクダは 15万パキスタンルピー( 約17万円)から 20万パキスタンルピー( 約 24万円)という高値で取り引きされている。
地元の長老たちは巨額の損失を回避するために、この謎の病気に対する即時の対処の実行をパンジャブ州政府に求めた。
Daily Pakistan 2015.05.11
ノールプール・タルで、謎の疾患により 200頭のラクダが死亡
地元メディアによると、パキスタン・ノールプール・タル地区で、5月11日までの1週間で、少なくとも 200頭のラクダが、未知のウイルス性疾患で苦しめられた後に死亡している。
地区の畜産当局によれば、ラクダたちは、震えや咳を伴う鼻からの出血に苦しんだ後に、最終的にすべて死亡したという。
また、「村人や貿易商たちは、これまでに 200頭以上のラクダを失ってしまった」と述べた。
これらの地域では、ラクダは、砂漠での走行、水汲み、荷物の運搬、農耕、レジャーなどに幅広く使われているため、ラクダは珍重されており、ラクダは 15万パキスタンルピー( 約17万円)から 20万パキスタンルピー( 約 24万円)という高値で取り引きされている。
地元の長老たちは巨額の損失を回避するために、この謎の病気に対する即時の対処の実行をパンジャブ州政府に求めた。
大型動物たちの未知の病気も蔓延しているようです。
それでは、ここから、5月26日までの世界の主な大量死報道をご紹介します。
すべて報道リンクをつけてあります。
印象的なものには、短い説明を付け加えています。
Mass die-off 2015 May 2015
2015年5月の世界の大量死報道
5月26日 メキシコ - ティファナの海岸に 250 万匹の死んだロブスターが打ち上げられる。(報道)
・来たるべき地球のかたち
05月26日 米国 - 2ヶ月で 12頭の死亡したクジラが、カリフォルニア州ポイントレイズ国立海岸に打ち上げられる。(報道)
05月26日 米国 - 原油流出により数千の海洋生物が死亡。(報道)
・Reverb Press
05月25日 ニュージーランド - ポロンガハウ・ビーチにクジラが打ち上げられる。(報道)
05月25日 カザフスタン - サイガ・アンテロープの死亡数が 125,000頭に。(報道)
05月25日 カザフスタン - キガク川の岸で、70羽のペリカンが死んでいるのが発見される。(報道)
05月24日 ポルトガル - エヴォラのダムで、数千匹の魚が死亡。(報道)
05月24日 メキシコ - イスラ・ムヘーレスで大規模な魚の大量死。(報道)
05月23日 米国 - ソノマ郡で、5週間で7頭の死亡したコククジラが打ち上げられる。(報道)
05月22日 タイ - ナコーンナーヨック県の川で魚の大量死。(報道)
05月21日 米国 - 中西部で鳥インフルエンザにより 40万羽が死ぬ。(報道)
05月21日 カナダ - バラード市の入り江で1万羽の鳥の大量死。(報道)
05月20日 メキシコ - バハ・カリフォルニアの海岸に大量のクラゲ(カツオノカンムリ)が打ち上げられる。(報道)
・Zonalider
05月19日 オーストラリア - マッカイの植物園のラグーンで謎の魚の大量死。(報道)
05月18日 チリ - ワルペンで数千羽の鳥が死亡しているのが見つかる。(報道)
05月18日 米国 - ペンシルバニア州リドリーパークで魚の大量死。(報道)
05月17日 米国 - フランダースベイビーチで何百頭ものウミガメが死体で発見される。(報道)
05月16日 ロシア - シベリアのカティン湖で、数千匹の魚が死んでいるのが発見される。(報道)
05月16日 米国 - オハウで数百匹の魚が死んで発見される。(報道)
05月16日には、米国 - ミネソタ州レンヴィルで 200万羽のニワトリが死亡。(報道)
05月14日 米国 - ハヴァス湖で、「重度の鈍的外傷」を負って死んでいた 30羽の鳥が発見される。(報道)
05月14日 ヨーロッパでは、鳥類の3分の1が絶滅の脅威にさらされているという報道。(報道)
05月14日 ポルトガル - マカオ川が死んだ数百匹の魚で覆われる。(報道)
05月13日 米国 - サウスダコタ州で鳥インフルエンザにより 12万羽以上の鳥が殺処分。(報道)
05月13日 カザフスタン - アルマトイ郊外で、サイガアンテロープが謎の死。(報道)
05月12日 メキシコ - カリフォルニア湾の中で最も重要な保護地域の一つであるロレートで、謎の魚の大量死。(報道)
05月12日 パキスタン - パンジャブで、謎の疾病により数百頭のラクダが死亡。(報道)
05月12日 メキシコ - ウルスロ・ガルヴァンの入り江で大規模な魚の大量死。(報道)
05月12日 中国 - 深センで、魚の大量死。(報道)
05月12日 イタリア - ロナーテポッツォロの海域で3トンの死んだ魚が見つかる。(報道)
05月11日 米国 - ミネソタ州で鳥インフルエンザために 600万羽以上の鳥が殺処分。(報道)
05月11日には、バミューダ諸島 - ハミルトンで魚の大量死。(報道)
05月11日 中国 - 興賓区( Xingbin )の養魚場で魚の大量死。(報道)
05月10日 ノルウェー - ロムスダールのフィヨルドが死んだ魚で覆われる。(報道)
05月09日 ベトナム - ヴァン・コ・ドン川で大規模な魚の大量死。(報道)
05月08日 日本 - 名古屋にある運河が 10万匹の魚の死体で覆われる。(報道)
その後、死亡した魚の数は 47万匹だったことが報じられ、さらに、5月20日には「新たな大量死」が同じ運河で起きています。(報道)
05月07日 チリ - ペーニャ湾で 30頭以上のイワシクジラが海岸に打ち上げられる。(報道)
・Diario Veloz
このチリの海域は、イワシクジラの生息域ではなく、座礁した理由と共に、なぜ、こんなに多数のイワシクジラが、この海域にいたのかということ自体の理由がわかっていないとのことです。
05月07日 ナイジェリア - プラトー州で、鳥インフルエンザにより 40万羽の鳥が殺処分。(報道)
05月07日 オーストラリア - ニューサウスウェールズ州の洪水で 500頭以上の牛が死亡。(報道)
05月06日 オーストラリア - ニューサウスウェールズ州のペリンジャー川で、謎の疾患により数千頭のカメが死亡。(報道)
05月06日 中国 - ショウ州市の川で大量の魚が死亡しているのが見つかる。(報道)
05月05日 米国 - カリフォルニアで多くのクジラが死亡し続けている。(報道)
05月05日 アルゼンチン - サンロケ湖で魚の大量死。(報道)
05月04日 アルゼンチン - トレスアロヨスの海岸に沿って、数百頭のペンギンが、栄養失調で死亡。(報道)
05月03日 中国 - 青島の川で魚の大量死。(報道)
05月03日 トルコ - バルケシルで鳥インフルエンザにより7万羽以上の鳥が死亡。(報道)
05月01日 カーボベルデは - ムルデイラで、座礁した 23頭のクジラのうち 16頭が死亡。(報道)
05月01日 米国 - アイオワ州で 16万羽が鳥インフルエンザの流行のために死亡。(報道)
以上です。
今の地球からは、いろいろな生命が消滅し続けているようで、こういうことにも「肯定的態度」で向きあうにはどうしたらいいですかね。
あるいは、これらを「刷新」とか「再生」というキーワードの側面から考えてみる方法などもあり得るのでしょうか。
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疾病と大量死
2015年05月20日
10万羽規模となった米国西海岸のウミドリの大量死
▲ 2015年1月24日のナショナルジオグラフィックより。
人間は動物の大量死には介入できない
今年5月の始めに、
・米国アイオワ州で1600万羽以上への鳥インフルエンザの感染拡大により非常事態宣言
2015年05月04日
というようなことがありました。
タイトルの通りに、アメリカのアイオワ州で 1600万羽という途方もない数の鶏や七面鳥が鳥インフルエンザに感染し、 5月1日にアイオワ州知事が非常事態を宣言したという出来事でした。
5日2日の米国ニューヨーク・ポストの記事によりますと、
> この非常事態宣言は、当局に予防措置を実施する権限を与える。
というものでした。
感染拡大と予防措置のために「州が全権を掌握する」ことによって、さらなる感染を抑えようという試みだったと思われます。
この頃、このアイオワ州と、周辺の5〜6州では、今年3月から、アメリカの歴史上で最悪の鳥インフルエンザのパンデミックが続いていまして、5月1日の時点で、下の図のように、2100万羽の七面鳥と鶏が鳥インフルエンザに感染するという大災害となっていました。
・TRIB LIVE
しかし、アイオワ州での非常事態宣言によって、この異常な流行は、ひとまず終息に向かうだろう・・・と思われていました。
ところが・・・。
下は、非常事態宣言から 18日後の 5月19日のアイオワ州の状態です。
▲ 2015年05月19日の USA トゥディより。
非常事態の宣言後、感染は終息に向かうどころか、
1600万羽 → 2600万羽
と、1千万羽も感染数が増えている上に、しかも、どうも、非常事態宣言後のほうが、それ以前より感染ペースが早くなっているようにも感じます。
下は、今から1ヶ月前の記事です。
米で鳥インフル530万羽 過去最大、感染拡大阻止急ぐ
日本経済新聞 2015.04.22
米アイオワ州で鳥インフルエンザ(H5N2型)が大量に発生した。米農務省によると、同州オセオラ郡の養鶏場で530万羽が感染した。感染規模は米国内で過去最大。政府は感染拡大の阻止を急いでいる。
米国の鳥インフル発生は2004年にテキサスの養鶏場で7千羽が感染して以来、約10年ぶり。
とありまして、1ヶ月前に 530万羽の感染だったのが、現在その5倍弱あたりの数へと拡大しているという、文字通りの緊急事態となっているようです。
しかも、1ヶ月前の 530万羽の感染も、
> 感染規模は米国内で過去最大
とありますので、現在の感染状況がいかに異常かがよくわかります。
そして、何よりも、この非常事態宣言後に、全力で感染拡大の阻止を試みたであろう状況で、このようなことになってしまっていることを見てみますと、
「人の力で動物の感染症を食い止めることは難しい」
ことがわかります(人間の感染症もですが)。
非常事態宣言の後に、どのような対策が取られてきたのかは具体的にはわかりませんが、常に最大規模でおこなわれるのが「殺処分」ですので、今回もそのようなことになっているのしれません。
世界中で、いろいろな大量死が起き続けているわけですが、アメリカは特に顕著な感じがします。
多くが継続しているアメリカの大量死
冒頭に載せましたのは、アメリカ西海岸で起きていたウミドリの大量死で、以前、
・米国オレゴン州の海岸でウミドリが謎の「餓死」での大量死。推定では「数万羽」が死亡
2015年01月09日
などの記事で記したことがありますが、原因はいまだにわかっていません。
このウミドリも「鳥」ですが、鳥に関しては、他にもいろいろと起きています。
アメリカのアイダホ州では、3月にハクガンという鳥が 2,200羽以上の大量死を起こしていることが発見されました。
しかし、これも原因はわからずに、当局が調査を進めていて、最近、下のような報道がありました。
▲ 2015年05月18日の Ravalli Republic より。
しかし、この調査は曖昧な結果となったようで、
・リン化亜鉛(殺鼠剤に使われる)
・鳥コレラ
のどちらかによるものだろうということのようです。
殺鼠剤は、農家がネズミの被害を防ぐために撒くものらしいですが、仮に殺鼠剤が原因なら、わりと大きな鳥であるハクガンを数千羽単位で殺すという事態が起きるのなら、他の種類の鳥や動物にも同じような大量死が起きていても不思議ではないですが、そういう報道はありません。「ハクガンだけ」が死んでいる、のです。
この「同一の種類だけが大量死する」というのは、たとえば、さきほどの、西海岸のウミドリも、大量死しているのは、アメリカウミスズメ(学名 : Ptychoramphus aleuticus )という海鳥ですが、他の海鳥は死なずに、「これだけが大量死している」のです。
この海鳥の大量死を報じたパーフェクト・サイエンスの記事には以下のような下りがあります。
考えられる大量死の理由としては、原油の流出や、エサの毒性化などがあるとされる。
しかし、生物学者でもあるパリッシュ氏は、疑問を呈する。というのも、アメリカウミスズメは、他の海鳥たちと同じタイプのエビやプランクトンをエサにしているが、アメリカウミスズメ以外の海鳥たちは影響を受けていないのだ。
科学者たちは原因を見出そうとしているが、現在のところは明確な理由はわかっていない。
原油の流出や、エサの毒性化などのわかりやすい原因なら、「いろいろな生物種が死ぬ」はずなのに、1種類だけが大量死するというのは、大量死の原因を普通の理由だけでは探れないかもしれないことをあらわしているかもしれません。
鳥といえば、これはアメリカではなく、チリですが、5月18日に 1000羽以上の鳥が海岸で死んでいるのが発見されました。
こちらも、ミズナギドリ科というものに属する1種類の鳥の大量死のようです。
▲ 2015年05月18日の FRANCE24 より。
このチリの場合も、原因がわかっていない「1種類の大量死」となります。
大量死に関してましては、比較的最近の、
・途方もない「大量死の時代」の進行が加速していた : 2015年最初の4ヶ月だけで270件を超える大量死報道があることを知り
2015年04月30日
という記事に、2015年に報道された、おびただしい数の大量死報道をご紹介したことがありますが、一般的には、大量死は夏を中心として増加しますので(海や湖などの水質が藻の発生などにより悪化しやすいため)、これからの季節も増え続けると思います。
最近では、アメリカの西海岸に、「クジラ」が次々と死亡して打ち上げられています。
・カリフォルニアの海岸に多数のクジラが死んで打ち上げられている
2015年05月17日
・NBC
そのカリフォルニアでは、
・カリフォルニアに打ち上げられたアシカの子どもの数が1800頭に達する
2015年03月25日
など、過去何度か記事にしました「アシカの座礁」も止まっていません。
ガーディアンでは、「海の砂漠の犠牲者」というタイトルで、このアシカの大量死を報じていました。
▲ 2015年05月08日のガーディアンより。
さて、今年のアメリカの大量死、陸地での鳥インフルエンザは別として、「海」においては、圧倒的に「西」が多いわけですが、この理由が次第に明らかになってきています。
上の記事に「海の砂漠」とありますが、その出現を予測していたかのような現象は、昨年から続いていました。
アメリカ西海岸の海域に出現した「デッドゾーン」
昨年 12月の記事、
・太平洋が爆発する? あるいは地球の海がデッドゾーンと化す?: 海水温度の上昇で膨大な量のメタンが太平洋の海底から噴出している
2014年12月15日
の中で、2014年のアメリカ西海岸の海水温度が、平年に比べて異様なほど高いことを示す図を載せました。
・Climate Observations
最近の、海水温度を見てみますと、さらにその「高い海水温度」の状態が激しくなっているようなのです。
下は、2015年 2月から 3月のアメリカ西海岸の海水温度の平年との差です。
・The Conversation
これが、2014年はどうだったかといいますと、下になります。
2015年になって「赤い領域」、つまり、異常に海水温度が高い海域が飛躍的に増えていることがわかります。
しかも、 NOAA (アメリカ海洋大気庁)の、海水温度の偏差グラフは、「最大で差異が2度」となっていて、この図でだけでは「平年より2度以上高くはあるけれど、どのくらい高いかよくわからない」ということも言えそうです。
どうにも、アメリカ西海岸周辺の海域は「未知の領域」に踏み込んでいるともいえるようでもあり、これが直接、海洋生物の大量死と関係あるかどうかはわからないにしても、ここまでの激しさですと、「まったく関係がない」とはいえないと思われます。
現在のアメリカ西海岸沖は、もしかすると、生きものが住みにくくなっている海域、すなわち「デッドゾーン」と化しつつある可能性があります。
そして、このアメリカ西海岸の異常に高い海水温度が、このまま続いた場合、生態系の異常がさらに広がる可能性を指摘するメディアも多くなっています。
アメリカ西海岸は、海も大変ですが、陸地に上がれば、そこはもう激しい干ばつが今でも続いているようでして、打開の目処があるのかどうか・・・。
カリフォルニアなどでは、その干ばつのせいで、ネズミたちの水やエサが不足していて、
「ネズミたちが住宅を襲っている」
というようなことも、少し前に報じられていました。
▲ 2015年04月22日のアメリカ CBS より。
いっぽうでは、海の中で死んでいく動物たちが多数いる中で、たくましく人間たちを襲い続けている動物の一群というものもあるようです。
ほしいものは消えていき、あまり喜ばしくないものは増えていく・・・いやいや、ここはシュタイナーのいう、あるいは、フランス映画『美しき緑の星』で表現される「肯定的な態度の重要性」を思い出すべきかもしれません。
あらゆるものを肯定的な面から見てみる。
「ああ、ネズミさん、何と美しい歯なんでしょう」
「さあ、ネズミさん、どんどん襲ってください」
うーん・・・。
やはり、こう素直には思えないなあ。
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疾病と大量死
2015年04月30日
▲ 2015年04月29日の strange sounds Mass die-off 2015 より。
すさまじいペースで発生していた動物の大量死
昨年、
・海で何が起きているのか : 5月から始まった全世界での数百万匹規模の海洋生物の大量死の理由は誰にも説明できない
2014年06月02日
という記事で、2014年 4月から 5月にかけて、世界各地で、おびただしい海洋生物の大量死が起きていたことをご紹介したことがあります。
その期間(約2ヶ月間)の、大量死に関しての報道数は 40件ちょっとでした。
これはこれで大変な数だと思っていたのですが・・・最近見ました strange sounds というサイトに、今年1月から4月までの4ヵ月間の「大量死報道」について、すべて報道のリンクつきで、載せられていたのですが、その数・・・。
2015年1月 世界で 65 件の大量死報道
2015年2月 世界で 42 件の大量死報道
2015年3月 世界で 93 件の大量死報道
2015年4月 世界で 71 件の大量死報道
となっていまして、総計 270件を超えているのです。
単純に月平均にしますと、「 70件弱」となり、昨年の「異常な大量死報道」の3倍ほどにもなっていることがわかります。そして、これはすべて「報道されたもの」だけですので、世界の状況を見ますと、報道されていない例もかなりあると思います。
それにしても、この件数・・・。
そして、そのすべての報道のリンクを張るという、この記事の作者の執念的な労力も大変なものだと思います。
すべてをご紹介しないと、この迫力は伝わらない、とも思いましたが、271件全部を載せるのは、むしろ読まれる方にもご迷惑かとも思いますので、とりあえずは、4月の報道分はすべてご紹介する、ということにしまして、1月から3月までは、印象的なものをご紹介しておきます。
また、4月分の印象的なものについては、赤文字にして、報道先リンクを載せています。
それでは、ここからです。
Mass die-off 2015
strange sounds 2015.04.28
大量死 2015
2015年 4月
4月26日 カナダ - オンタリオ州で 8,000羽の七面鳥が鳥インフルエンザの流行によって死亡。
4月25日 米国 - フロリダ州のロングフィッシュ湖の湖岸に、大量の死んだ魚が打ち上げられる。
4月25日 ボリビア - チチカカ湖のほとりで数百羽の鳥や動物が死亡しているのが発見される。
4月25日 米国 - ノースダコタ州で 71,000の鳥が鳥インフルエンザにより死亡。
4月25日 中国 - ハルビンの川で魚の大量死。
4月24日 米国 - ミネソタ州で鳥インフルエンザにより 260万羽の鶏が死亡し、州は「非常事態」を宣言。(ロシア RT)
4月24日 米国 - 北カリフォルニアで、原因不明の死因による4頭のクジラの亡骸が打ち上げられる。
4月24日 チリ - トーレスデルパイネ国立公園の洪水の後、400匹の動物が死亡しているのが発見される。
4月23日 イギリス - カンブリアの海岸沿いに数千の死んだヒトデが見つかる。
4月22日 タイ - サラブリー県の川沿いで数千匹の魚が死んでいるのが見つかる。
4月22日 米国 - ニューヨーク州リッジブリー湖で数千匹の魚の大量死。
4月22日 米国 - ウィスコンシン州で 60,000羽の鳥が鳥インフルエンザの新たな流行により死亡。
4月22日 米国 - バーモント州のシャンプレーン湖で魚の大量死。
4月22日 中国 - 湖南省の川岸で、死亡した数百匹の魚が見つかる。
4月21日 米国 - アイオワ州で鳥インフルエンザで、530万羽の鶏が死亡。( USA トゥディ)
4月21日 スペイン - アストゥリアスの海岸沿いに4頭のイルカが死亡して打ち上げられる。
4月21日 コロンビア - マグダレーナの川と湖で魚の大量死。
4月21日 メキシコ - ボボズ川で魚の大量死。当局は「警戒すべき」と。
4月14日 ブラジル - 52トンの死んだ魚がリオ・デ・ジャネイロで発見される。(ブラジル G1 grobe )
4月20日 米国 - フロリダの湖で、数千匹の死んだ魚が打ち上げられる。
4月20日 ベリーズ - ベリーズ南部で、疾患により大量のエビが死滅した。当局は原因を調査中。
4月20日 米国 - ペンシルヴァニアの湖で、数百匹の死んだ魚が浮かぶ。
4月19日 カナダ - オックスフォードで 27,000羽の鶏が鳥インフルエンザで死亡する。
4月18日 ロシア - オムスクの港で「災害級」の魚の大量死。(ロシア Gorod55 )
4月18日 カナダ - ケベック州で、アザラシやクジラなど、何百頭もの海洋哺乳類が死亡。(カナダ msn)
4月18日 米国 - サウスダコタ州で、鳥インフルエンザにより 250,000羽以上の鳥が死亡。
4月18日 ベトナム - ニントゥアン省で 1,000以上の牛が「干ばつ」によって死亡している。
4月17日 カナダ - ケベック州の島で、数百匹の死んだ魚が見つかる。
4月17日 インド - バンガロールの池で、数百匹の死んだ魚が見つかる。
4月17日 フランス - 海岸で、十数匹の死んだイルカやクジラの死体が見つかる。原因は不明。
4月15日 イギリス - ノーフォーク州で、藻類の発生により数千匹の魚が死亡。
4月15日 中国 - 竜岩市の貯水池で大規模な魚の大量死。
4月15日 ベトナム - ホーチミン市の運河に沿って魚の大量死が見つかる。
4月14日 米国 - ペンシルベニア州北部全域の池で、何百匹もの死んだ魚が発見される。
4月14日 インド - テランガーナ州で 20万羽の鳥が鳥インフルエンザで死亡。
4月13日 インド - アーメダバードで雹(ひょう)の嵐で数百羽の鳥が死亡。
4月13日 米国 - ウィスコンシン州で鳥インフルエンザによって 20,000羽の鳥が死亡し、18万羽が殺処分される。
4月13日 米国 - コネチカット州の湖で数百匹の魚の大量死。
4月12日 米国 - オレゴン州ロッカウェービーチで、クラゲの大規模な大量死。
4月12日には、中国 - 広東省で数千匹の魚が突然、池に浮く(鳳凰網)。
4月11日 日本 - 茨城県の海岸に 150匹のイルカが打ち上げられ、その大多数が後に死亡。
4月11日 米国 - 鳥インフルエンザで 120万羽の鳥が死亡。
4月10日 インドネシア - デリ・セルダン・リージェンシー川で、大規模な魚の大量死が発生。
4月9日 ニジェール - マラディの農場で鳥インフルエンザにより 2,440羽が死亡。
4月8日 韓国 - 2014年12月以来、疾病により、139,000頭の牛と、388万羽の鶏が殺処分された。( GrobalMeal )
4月8日 米国 - ニューヨーク州西部の池で魚の大量死。
4月8日 米国 - マサチューセッツ州の池で、何百匹もの魚が死亡。
4月8日 ブラジル - ムリチバとバルゼドで 40,000羽の鶏が死亡。
4月7日 米国 - ノースダコタ州の湖で 600羽以上の水鳥が死んで発見される。
4月7日 カナダ - オンタリオ州で、鳥インフルエンザによって 7,500羽の七面鳥が死亡。
4月7日 タイ - ランパンで 5,000匹の死んだ魚が池に浮かんでいるのが発見される。
4月6日 台湾 - 鳥インフルエンザで 7,600羽のガチョウが死ぬ。
4月6日 インド - コレル湖で魚の大量死。
4月6日 インド - カーリーバインで数百匹の魚が死んで見つかる。
4月6日 オランダ - 北ブラバント州で、鳥インフルエンザが原因で 12,000羽の鳥が死亡。
4月6日 ポルトガル - テージョ川で数千匹の魚が死んで見つかる。
4月5日 ブラジル - サントスのマングローブ林で魚の大量死。
4月4日 メキシコ - トント川で数百匹の魚の大量死。
4月4日 イスラエル - イスラエル北部地区で 55,000羽の鳥が疾病で死亡。
4月3日 アルゼンチン - ラシエナガダムで魚の大量死。
4月3日 米国 - ペンシルベニア州ベツレヘム・タウンシップの池で死んだ魚が数百匹見つかる。この池では初めてのこと。
4月3日 中国 - ランタオ島で、数千匹の魚が浮かんでいるのが発見される。
4月2日 米国 - アラスカのスワード市沿岸で、海鳥が衰弱での大量死。(米国 Seward City News )
4月2日 ベトナム - ハイズオン池で、何トンにもおよぶ魚が突然浮かび上がる。(ベトナム Lao Dong )
4月2日 カナダ - レジーナのワスカーナ湖で魚の大量死。
4月2日 米国 - サウスダコタ州で 53,000羽の七面鳥が鳥インフルエンザによって死亡。
4月2日 米国 - フロリダ州のペンサコーラビーチで、数千匹のクラゲが打ち上げられる。
4月1日 エクアドル - チンボラソで大雨の後に 75,000羽の鳥が死ぬ。
4月1日 タイ - サラブリ川の魚の養殖場で、何トンもの魚が死亡。
4月1日 アメリカ - ニュージャージー州の湖で、過去数週間にわたり、魚が打ち上げられ続けている。
4月1日 アメリカ - バージニア州のエリザベス川で、数百匹の死んだ魚が打ち上げられる。
4月1日 ジャマイカ - ポートモアの運河で、大規模な魚の大量死。
書き写すだけで、何だか疲れてきますが、4月はここまでです。
ここからは、3月から1月の中で、印象的なものをピックアップしておきます。
2015年 3月
3月31日 インドネシア - クロン・プロゴで数百羽の鶏が「突然」死亡。(インドネシア news.okezone )
3月29日 中国 - 湘潭市の池で4トンの魚が池で死んでいるのが発見される( news.sina )。
3月28日 ルーマニア - ドナウデルタで 100羽のペリカンが鳥インフルエンザによって死んでいるのが発見される。( Reuter )
3月21日 コロンビア - カンポアレグレのダムで 80トンもの魚の死骸が浮かぶ。( La Nacion )
3月17日 米国 - アイダホ州で 2,000羽以上の雪ガチョウが、空から死んで落ちてきた。( Yahoo! News )
3月11日 ベトナムは - ハ・ティンで、何百トンものアサリが大量死。かつて、このようなことが起きたことはない。( Lao Dong )
3月11日 ウルグアイ - 200トン以上の死んだ魚がモンテビデオに打ち上げられる。( El Observador )
3月9日 ミャンマー - モンユワで鳥インフルエンザが原因で 25万羽の鳥が死亡。( Myanmar Times )
3月7日 アメリカ - カリフォルニア州で 1,450頭のアシカの子どもが病気で座礁するか、死亡している。推定では数万頭が死亡していると見られる。( Modesto Bee )
3月6日 シンガポール - シンガポールの東にある養魚場での藻類により、600トンの魚が死亡。( Channel News Asia )
3月4日 台湾 - 今年1月から 417万羽の鳥が、鳥インフルエンザによって殺処分されている。( Focus Taiwan )
2015年 2月
2月28日 オーストラリア - ニューサウスウェールズ州ベリンジャー川で 100匹のカメが死亡。または瀕死で見つかる。(オーストラリア abc )
2月23日 南スーダン - パリアン郡で「未知の病」により、2,500頭の牛が死亡。( Radio Tamazuj )
2月19日 インド -オリッサ州で 800頭以上(おそらく数千頭)の死んだカメが打ち上げられる。(インド Odishasunt Times )
2月19日 ナイジェリア - 鳥インフルエンザが原因で 41万 7041羽の鳥が死亡。( all africa )
2月14日 ニュージーランド - フェアウェル・スピットで 198頭のクジラが座礁し、そのうち 140頭が死亡。( sky news )
2月4日 台湾 - 鳥インフルエンザにより 107万羽のガチョウが殺処分。これは、台湾のガチョウの数の半数以上。
2月4日 インドネシア - マニンジャウ湖で 16.5トンの魚が「突然」死亡。(インドネシア Antara News )
2月3日 イタリア - エミリア・ロマーニャで 12月と1月の間に 135匹のカメが死んでいるのが発見される。( Quotidiano )
2015年 1月
1月31日 メキシコ - バハカリフォルニアのビーチで 150頭のカメが死んでいるのが発見される。( Pulso )
1月26日 ブラジル - 過去2ヶ月の間に、リオ・グランデ・ド・スルの海岸に 350頭のカメが死んで打ち上げられている。( Gaucha )
1月12日 南スーダン - ジョングレイ州で 2,000頭の牛が疾患により死亡。( Radio Tamazuj )
というわけで、1月に到達した頃には疲れてしまって、月を遡るごとに紹介する出来事が少なくなっていますが、最近は、あまり大量死の報道を気にしていなかったですけど、なかなか大変なことになっているようです。
特に、「カメの大量死」が多くなっているというのと、台湾の鳥インフルエンザが大変なことになっていたことを知りました。
今回は羅列で終わってしまいますけれども、今後の流れ次第では、この「大量死」ということに関しても、かなり激しい時代に突入している可能性もあります。
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疾病と大量死
2014年12月26日
・インフルエンザ・ウイルス。Medical News Today
インフルエンザワクチン効果60%の実相
クリスマスイヴの翌日から子ども(小3)の学校の冬休みが始まったのですが、何しろ私の住む埼玉県は以下の状況。
▲ 2014年12月25日の NHK 「全国で初 埼玉県でインフルエンザ警報」より。
子どもに、
「昨日、クラスでどのくらい休んでいる子がいた?」
ときくと、
「3人くらい。助さん(仮名)と角さん(仮名)と、お銀ちゃん(仮名)」
とのこと。
私 「え? お銀ちゃんも?」
子 「そう」
私 「クリスマスの日にインフルエンザだなんてかわいそうに」
お銀ちゃん(仮名)は、近所に住むうちの子どもと同じクラスの女の子で、うちの子が、学校を休む時に連絡や宿題などを伝えてくれるために家に来てくれるため、わりとよく話をする子です。
それで、私が「え?」と言ったのは、1ヶ月くらい前、うちに連絡帳を届けにきた時に下のような会話をしたことがあったからでした。
私 「インフルエンザが流行ってるけど、大丈夫?」
お銀「昨日、予防注射したから大丈夫」
私 「予防注射したんだ」
お銀「私、注射すっごく嫌いなんですよ。でも、頑張ってやってきた」
私 「それじゃ、大丈夫だといいね」
しかし、結局、インフルエンザにかかってしまったようです。
インフルエンザワクチンの効果は、「スタンリー・キューブリックとT氏のふたりの亡霊に…」という記事に「注射タイプのインフルエンザ・ワクチンの有効率」についてのわかりやすい図を載せたことがあります。
・インフルエンザワクチンの発症予防効果について
まあ、その効果云々はともかく、わりといつもうちの子のことを気にかけてくれている女の子が、せっかくのクリスマスの日にインフルエンザとはなあ、と思った次第です。
男の子でも女の子でも、小学3年生くらいだと、クリスマスは楽しみで楽しみで仕方ないはずですし。
そういえば、ワクチンに関して、先日、下のような報道がありました。
インフル:ワクチン、小児に効果大 流行のA香港型で6割
毎日新聞 2014.12.25
この冬に流行中のA香港型インフルエンザについて、15歳以下の小児でワクチンの効果が予想以上に高いことが、慶応大の研究グループの調べで分かった。接種を受けた小児の約60%に発病を抑える効果が見られるという。
グループ代表でけいゆう病院小児科の菅谷憲夫医師は「予想外の結果だ。未接種の人は早めにワクチン接種を受けてほしい」と呼び掛けている。
この記事の中の、
> 接種を受けた小児の約60%に発病を抑える効果が見られるという。
というのは、何だかものすごく効果の高い感じに見えるのですが、グラフで見れば、その「実相」がわかります。
それこそ、製薬会社のグラフを用いたほうが信用性があると思いますので、アステラス製薬の「インフルエンザワクチンの接種」というページからご紹介します。
そこに「インフルエンザワクチンの有効率60%とは」ということについて、グラフで示されています。
・上段の1組が 40人全員がワクチンを「接種しなかった」グループ
・下段の2組が 40人全員がワクチンを「接種した」グループ
となっていて、その差は上のグラフの通りなんですが、これを「ものすごい効果だ」と感じるか、「大した効果ではない」と感じるかは、各自で違うと思いますので、そのことには言及しませんが、いずれにせよ、これが「予防効果 60パーセントの実相」です。
もちろん、統計の取り方はいろいろとあり、実際に効果的なのかもしれないですし、「ほとんど意味のないものかもしれない」ですし(高齢者にはほとんど効果がないことはわかっています)、個人の判断に委ねられているものだと思います。
それにしても、上の毎日新聞の報道で、医師の方が、
「予想外の結果だ」
と言っているのは、ややアレですが。
よほどワクチンは効かないものだと自覚してらっしゃったというような雰囲気が……。
以前、近所の小児科の先生が、
「どうやったって、(インフルエンザに)かかる時にはかかりますよ」
と言っていましたけれど、これが真実に近いのかもしれません。
あと、日本では、RSウイルスというものも5週連続で過去最高の患者数を記録しています。
RSウイルスの患者増続く…4週連続で最悪更新
読売新聞 2014.12.24
乳幼児の重い肺炎や気管支炎の原因となるRSウイルスの流行の拡大が続き、国立感染症研究所は24日、1週間あたりの患者数が4週連続で過去最悪を更新した、と発表した。
小児科のある全国約3000医療機関が報告した患者数は今月8〜14日で8180人に達し、前週の6851人を大きく上回った。2003年の調査開始以降、初めて8000人を超えた。
この RSウイルスは、小さな子どもや、高齢者などでは重症化することもあるものらしいんですが、流行期はまだまだ続きますから、今シーズンは記録的な患者数となり、先月の日刊ゲンダイにあった「インフルより怖い 「RSウイルス」パンデミック秒読み危機」などという派手な表現も、あながち間違いではない状況になりつつあるのかもしれません。
少しも上昇グラフは衰えていないエボラ出血熱患者数
最近はあまりメディアなどでは報道されなくなりましたが、西アフリカのエボラ出血熱の流行は、その主要流行地がリベリアからシエオラレオネに移っただけで、下のグラフように、患者数の発生上昇の曲線はまったく衰えることなく上がり続けています。
・Ebola virus epidemic in West Africa
このグラフは、人数ではなく、「その国の人口に対して、エボラ患者が何パーセントいるか」を示したもので、その国家に与える影響を考える上では、実数よりもわかりやすい面があります。
グラフでは文字が小さくなっていて見えにくいですが、2014年4月1日時点では、エボラ患者の人口に対する比率は、ギニア、リベリア、シエオラレオネで、共に「 0.001%」程度か、それ以下でした。
しかし、12月9日の時点では、
・リベリア 人口比患者数 0.19%
・シエオラレオネ 人口比患者数 0.13%
・ギニア 人口比患者数 0.02%
となっています。
大したことのない比率に見えるかもしれないですけれど、リベリアの 0.19%というのは、日本の人口約 1億2700万人の場合にたとえると、25万人程にのぼる率となるわけですが、たとえばですが、
「日本で致死率 50パーセント以上の感染症が 25万人に感染する」
というようなことになれば、これは「国家レベルの厄災」といえるものとなるわけだと思いますが、リベリアやシエオラレオネはそのような事態に陥っているということになりそうです。
WHO 集計の 12月14日時点の世界(ほとんどが西アフリカの上記3カ国)でのエボラ患者数は 1万 8,590人となっています。10月17日は 9,668人でしたから、2ヶ月間で倍増している計算になります。
死者は 7,288人となっていますが、集計には曖昧な部分があり、患者数、死者数共に、実際の数はこれよりもかなり多いとされることが WHO から公式な声明として出されています。
特に、現在はシエオラレオネがひどい状態で、時には数日で 500人くらいずつ患者が増えていっているという状況になっているようです。
・Ebola virus epidemic in West Africa
もっとも、アフリカは、
・タイムリーな黒点の姿と「 X 100,000 クラス」の超特大スーパーフレアの存在
2014年10月21日
という記事にも書いたことがありますが、さまざまな国で「国家的レベルの厄災」としての感染症が、エイズを筆頭に他に多々あることも事実です。
・Vox
アフリカでの2012年の死亡原因
1位 エイズ 108 万 8000人
2位 呼吸器疾患 104万 9000人
3位 下痢症 60万 3000人
病気といえば、先月の、
・ブルガリア政府が国家機密を解除し公開された「ババ・バンガの2015年の予言」の内容
2014年11月24日
という記事で、ブルガリアで機密指定文書とされている、著名な予言者ババ・バンガの 2015年の予言のうちの一部が公開されたことを記しました。
その中に、
ウイルスの蔓延が収まらない。ワクチンが作り出され、「最悪期は脱した」とする騒がしい声明が出されるだろうが、逆にウイルスはそこから突然変異による新しいウイルスの形態を獲得し、ウイルスが勝利する。
シベリアとオーストラリア以外の全世界がウイルスで汚染される。
という記述があったことを思い出しました。「ウイルス」とあるだけで、それがどんなウイルスなのかはわかりませんが、相変わらず感染症に関しての報道は連日のようにあります。
アメリカでは、「リステリア症」という感染症の患者が発生していることが大きく報道されています。
年間500名が死亡しているアメリカのリステリア症と患者数が100万人を超えたチクングニア熱
▲ 2014年12月25日の Empire State Tribune より。
アイスクリーム会社の製品とありますが、正確には「キャラメルアップル」というもので、リンゴの周囲にキャラメルがかかっている下のようなお菓子ですね。
・Fox News
アメリカ疾病予防管理センター( CDC )の報告によりますと、アメリカ 10州で、29人が発症して入院しているとのこと。
ところで、私はこの、リステリア症という病気がどんなものなのか、よく知りませんでしたが、調べてみると、
妊婦とその胎児を主として狙うバクテリア
という、ちょっとイヤな感じのバクテリアであることを知りました。
下は、横浜衛生研究所の「リステリア症について」というページからです。
アメリカ合衆国では、毎年約2500人が重症のリステリア症となり、そのうち、約500人が死亡していると推定されています。アメリカ合衆国では、毎年約5000人が食物由来の感染症で死亡していると推定されていますので、そのうち約10%がリステリア症によることになります。
ということで、アメリカの食品関連の死者としてはかなりの部分を占めるものであるようです。
横浜衛生研究所のこのページでは、リステリア症にかかりやすい人を挙げていますが、その一部は下のようになります。
リステリア症になりやすいのは、以下に示す人たちです。 リステリア症になりやすい人がリステリア症になった場合の致死率は20-30%と高いです。
・妊娠している女性 : 健康な成人より20倍リステリア症になりやすいです。
・胎児・新生児 : 妊娠中の感染は、妊娠している女性よりもおなかの中のこども(胎児)に深刻な影響を与えます。
・エイズ患者 : 正常な免疫機能の人たちより300倍リステリア症になりやすいです。
などがありまして、エイズ患者など免疫の弱っている人たちや高齢者などを除くと、若い年齢でリステリア症になりやすいのは「妊婦」が主のようです。
日本での患者発生は少ないようですが、食品安全委員会の資料によりますと、日本の重症リステリア症の発症数は「年平均 83例」とあり、少ないながらも、発生はしているようです。
妊娠されている方などで気になる方は、横浜衛生研究所のページや厚生労働省のサイトに、予防のための方法などが記載されていますので、ご覧になっておいてもいいかもしれません。
それにしても、今回のアメリカのリステリア症の流行の源は「キャラメル・アップル」で、とても細菌に汚染されていることを気にして食べるようなものではないです。
今年 2014年は、本当に様々な感染症が拡大した年で、東南アジアや中国などで、過去最大クラスのデング熱の流行があったり、また、中南米を中心として、やはりデング熱と同じ蚊を媒介して起きるチクングニア熱の患者数が 100万人規模のとんでもない大流行となったりしています。
▲ 2014年12月24日の withnews より。
チクングニア熱はデング熱より症状が重く、場合によっては、関節痛などが「1年間以上」も続くことがあるそうですので、海外旅行に行く方で、中南米や、アメリカでも南部のほうに行かれる方は蚊に刺されない注意は必要だと思われます。
現在の中南米のチクングニア熱の流行は、2013年の暮れ頃から始まっていますので、約1年間、拡大し続けているということになるわけですが、日本などの場合では「冬になれば、蚊が生息できなくなり、流行は終わる」という状況があるわけですが、中米のように、年中、蚊が生息でき得る地域では、流行の終結がいつになるのかわからない面があります。
そして、同じように、「この1年間拡大し続けている病気」として、
・病気の時代 : 致死率が 20パーセント台となっている中国の H7N9 の真相の謎。そして、カザフスタンで感染が拡大する謎の眠り病にタラビッチの予言した「未来」を思う
2014年01月30日
という記事で、今年1月のカザフスタンの報道で、
「眠り続ける奇妙な病気」が人々に蔓延している村がある
ということをご紹介したことがあります。
この1年間増加し続けていたカザフスタンの「原因不明の眠り病」の患者数
それは下のような出だしの報道でした。
カザフスタンの小さな村の住民たちは、日中、突然深い眠りに入ってしまう奇妙な病気の流行に直面している。医師たちもこの不思議な現象を説明することができないでいる。
この病気にかかると、文字通り「人々は歩きながら眠りに落ちる」というような状態になることをロシアのタス通信は伝えている。
この疾患は、14歳から70歳までの、少なくとも十数人が、医療センターに赴き、それぞれが同じ症状を訴えたことが昨年から報告されている。それぞれに接触はなかったという。
原因も治療法もわからないこの病気の患者の数が顕著になり、1年経とうしている現在、なお、患者は増加し続けているということを知りました。
・IB Times
その記事をご紹介して締めたいと思います。
1年前は、「十数人」だった、この病気の患者が「 600人」にまで増えています。
病気の原因はわかっていませんが、地元の人は、この村の近くにかつてあった旧ソ連の秘密施設であったウラン採掘場と関係があるのではないかと考えているそうです。
しかし、そのウラン採掘場が閉鎖となったのは今から 20年以上前で、今になって、しかも、この1年間で唐突に患者数が増える理由がわからず、どうも複雑な原因がありそうですが、やはり「謎の奇妙な病気」としか言えない部分があります。
インターナショナル・ビジネス・タイムズの記事となります。
600 in Kazakhstan Village Suffer from Strange 'Brain' Disease that Makes Them Fall Asleep for 'Days'
International Business Times 2014.12.16
カザフスタンの村で、「何日間も眠ってしまう」奇妙な「脳」疾患により人々が苦しめられている
最近、ロシアで放映されたロシア・トゥディのドキュメンタリーによれば、カザフスタンの小さな村で、「眠りに落ちてしまう」奇妙な病気に苦しめられている人たちの数が 600人以上と、予想外に多いことがわかった。
カザフスタンの小さな村カラチ( Kalachi )では、10人に 1人の村民が、予期せぬ白昼の眠りに落ちていることがわかった。その中には何日間も眠り続ける人たちもいる。
ドキュメンタリーによれば、この病気は無差別に村民たちに襲いかかり、現在のところ、いかなる治療法も存在しない。
この「眠り病のパンデミック」が最初に村に現れたのは数年前のことだった。
しかし、現在では、カラチのほぼすべての家庭がこの病気による影響を受け始めている状況になってきている。
9月の始めの新学期の初日には、子どもたちが次々と眠りに落ち始めた。少なくとも、その日の1日だけで、8人の子どもが眠りに落ちた。
別の例では、少なくとも 60名がほぼ同時に眠り、救急隊員により搬送された。
この不可解な疾患の原因を見つけるための試みは長きにわたり続けられているにも関わらず、現時点でも原因はまったくわかっていない。
これまで、ウイルス学者、放射線科医、毒物学者を含む科学者や医療専門家たちのグループが村を訪れ、研究を続けているが、原因の特定には至っていない。
もし、このまま治療法が見つからない場合、二度と目を覚ますことができなくなる日が訪れるのかもしれないと、地元の人たちは恐れている。
この症状に苦しむ少年の父親は、以下のように語る。
「たとえば、彼を起こそうとするとします。すると、目を開けたがっているようなのに、目を開けることができないのです」
眠りにつくだけではなく、記憶喪失、めまい、吐き気などの症状がある人もいる。
中には、幻覚を見る人もいる。
症状をもつある女性は、「まるで、鉄のブーツを履いているかのように足が重く感じて、しかも、足の力が弱まっていて、足を動かすのが難しいのです。それに、めまいがして、酔っている時のように舌がもつれるのです」と言う。
ある患者は1週間以上眠り続けたという。
原因は突き止められていないとはいえ、村人たちは、20年以上前に閉鎖された旧ソ連の極秘施設だったウラン採掘場に関係があると考えている。
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疾病と大量死
2014年12月18日
▲ 2014年12月14日の英国インディペンデントより。
6度目の大量死時代
今年になってからは、「大量絶滅」という言葉が出てくる報道をよく目にします。
上のものは、先日、科学誌ネイチャーに掲載されたもので、
現在、両生類の 41%、哺乳類で 26%、鳥類で 13%が絶滅の危機に瀕しており、今の率で進めば、次の 100年か 200年の間に、全生物種の 75%以上が絶滅するような、いわゆる「大量絶滅」の状態となる可能性がある
ことについて書かれています。
今年7月にも、科学誌サイエンスで、スタンフォード大学による同じような研究論文が発表されていて、それによりますと、
・西暦 1500年から現在までに 320種類の脊椎動物が絶滅している
・その期間に、生物種の個体数も平均して 25%減少している
ということで、こちらではその大きな原因のひとつは人間によるものだと主張されています。
原因は何であるにしても、多くの科学者たちが、現在の地球が6度目の大量絶滅に瀕しているという可能性を述べているわけですが、昨年や今年の記事では、特に海洋生物の大量死について、ずいぶんと書きました。
昨年は、アメリカ東部でイルカの大量死が続いていることを何度か記したことがあります。
下のように、2013年は平年と比較して異常な数のイルカがアメリカ東海岸に打ち上げられました。
▲ 2013年12月02日の記事「東の海ではイルカの大量死、西の海ではザトウクジラの狂乱の渦中にあるアメリカ」より。
このイルカの大量死については、2014年に入ってからは落ち着いています。
・NOAA
あるいは、アメリカ周辺で、ヒトデが地域的には絶滅状態となっていることもご紹介したこともありました。これについては、
・米国オレゴン州のヒトデは「絶滅の方向」へ。そして、その出来事から考える、神や神のようなものが自然の中に創造したものたちの色や形の意味
2014年06月06日
などに書いています。
また、今年は、「海洋生物全体の大量死」というものも、世界中でよく報じられました。
・海で何が起きているのか : 5月から始まった全世界での数百万匹規模の海洋生物の大量死の理由は誰にも説明できない
2014年06月02日
では、ロシアのプラウダの下の記事をご紹介したことがあります。
Emergency: Our planet is dying
ブラウダ 2014.06.01
非常事態:私たちの星は死にかけている
魚が世界中で前例のない数で死んでいる。米国カリフォルニア州では5月に6トン以上の魚が突然水上に浮かび上がった。また、やはり5月、米国では50万匹のコイが、ケンタッキー州のカンバーランド川で死んでいるのが発見された。
ミネソタ州では、35,000匹の魚が死んだ。ニュージャージー州のベルマーでは数千匹の魚の大量死。 カリフォルニア州マニフィーでも数千匹の魚の大量死が起きた。バーモント州のフェルズポイントでは、突然、湖に何百万匹の魚が死んで浮くという驚異的な出来事も起きている。
他の国では、メキシコ湾で、死んで打ち上げられるカメやイルカの数が記録的となっており、シンガポールでは 160トンの魚の死骸が浮いた。
中国ではフヘ川で、40キロメートルに渡り、魚の死体が浮かび上がった。
ギリシャのコモティニでは、10トンの魚の大量死が見つかった。
他にも、この2ヶ月ほどの間に、アルメニア、インド、カナダ、オーストラリア、北イングランド、イギリス、コロンビア、コスタリカ、ブルガリア、ホンジュラス、アルゼンチン、デンマーク、ブラジル、パナマ、イラン、アイルランド、スリランカなどで魚の大量死が発生している。
いったい何が起きているのか?
今年は、通常と比べても、海洋生物の大量死が多い年だったかもしれません。
そんな年の瀬ですが、ニューヨーク・タイムズの記事で、
「アメリカ東部のケープコッド湾という沿岸部に座礁するウミガメの数が驚異的な数に上っている」
という記事を目にしましたので、ご紹介したいと思います。
アメリカの海では、イルカ、ヒトデの大量死があり、今度はウミガメです。
アメリカ東部で増える異常な数のウミガメの座礁
▲ 2014年12月12日の米国ニューヨーク・タイムズより。
この場所は、平年は1年間で数十頭の座礁するカメが保護される程度らしいのですが、今年は現時点で、すでに 1,200頭が座礁しているのだとか。しかも、今も連日、その状態が続いているので、今年の終わりまでに発見されるカメたちの数がどのくらいになるのかわかっていません。
多くは救助されていますが、助からなかったカメたちも多いようです。
しかも、そのほとんどが下のような「子どものカメ」なのです。
このカメたちは救助され、水族館で治療を受けているカメたちです。
どういうわけか、大人のカメはほとんどいないようです。
・New York Times
アメリカのウミガメは秋になると、カニなどのエサを求めて、暖かい南部から東部の北側の海にやってくるのだそうで、海が冷たくなる冬にはまた暖かい南部に戻るのですが、理由は不明ながら、今年は、南部に戻ることができないカメたちが激増しているのだそう。
本来は、カメたちは「本能」として元の海域に戻るわけですが、その本能が欠落した子どものカメが激増しているという言い方でもいいかと思われます。
戻ることができないウミガメたちはこの地域の冬の海の温度には耐えられず、そのため、連日、ボランティアなどによる賢明な救出が続いているとのことです。
しかも、この 1,200頭という数は発見、あるいは救出されたカメの数であり、発見されないまま死亡している数はこれよりはるかに多いことが想像されます。
そういえば、つい先日も、デンマーク、ドイツ、スウェーデンなで、アザラシが合計 4600頭程度が鳥インフルエンザによって死亡するという記事があったりしまして、原因は様々ですが、海洋動物の危機は続いているのかもしれません。
▲ 2014年12月17日の Press TV より。日本語の記事は AFP の「北欧のアザラシ大量死、鳥インフル原因か」で読むことができます。
それでは、ここから、ウミガメに関してのニューヨーク・タイムズの記事です。
Cape Cod Mystery: A Surge of Stranded Turtles
New York Times 2014.12.12
ケープコッド湾のミステリー:座礁するウミガメが急増
若いウミガメたちが、カニなどのエサを獲得するために暖かい海から離れ、アメリカの東海岸におもむくことはよく知られている。しかし、それらの中の一部が、その場に長く居座り続けてしまって、寒い季節になるまで残ってしまうことがある。
そのため、毎年この時期は、ウミガメたちを救うために、ボランティアたちがケープコッド湾を巡廻して監視を行っている。
それは絶滅の危機に瀕している6種類のウミガメで、彼らが、満潮時に海岸に打ち上げられた際に救出し、リハビリして体調を回復させた後、アメリカ南部の暖かい海へと移送する。
ところが、今年は、異常な数のウミガメたちが座礁しているのが見つかっているのだ。
しかも、その理由が誰にもわからない。
11月の中旬以来、パトロールのボランティアたちは、1,200頭に近い数の座礁したウミガメを発見している。ほとんどが子どものケンプヒメウミガメ( Kemp's ridley turtle )で、この種は絶滅が危惧されている。
この 1,200頭という数は、以前に記録的な数のウミガメの座礁があった際の3倍に達していて、毎年の平均数とは比較できないほど多い。
現在も毎日、多くの座礁したカメが発見され続けている。
そのうちの数百頭はボランティアたちに救助され生き残るが、しかし、他の数百頭はそうではない。
座礁したカメは、多くが、ディナープレート程度の大きさの2歳から3歳のカメたちで、救出された後は、遠く離れたテキサス州にある水族館で、獣医やボランティアたちによってリハビリをされた後に、海へ放たれる。
ケープコッド湾で救出されたカメの治療にあたるマサチューセッツ州のニューイングランド水族館( New England Aquarium )の病院では、今年、寒さに打ちのめされた数百頭のウミガメたちが運びこまれた。
野生動物の専門家で、32年間、ウミガメの救出に携わってきた、ボブ・プレスコット( Bob Prescott )氏は、その 32年間のあいだに、このような事態とは遭遇したことがないと語る。
プレスコット氏が毎年発見する座礁したウミガメは、普通だと年間に1頭から2頭だという。
しかし、今年は違った。
プレスコット氏は、すでに 157頭の座礁したウミガメを発見しているのだ。
水族館の海洋生物の保護とリハビリテーションの責任者であるコニー・メリゴ( Connie Merigo )保護監督官は、「私は言葉を失っています」と言う。
「通常の年ですと、救助されるカメの数は年間を通して 70頭から 90頭です。それが、今年は今の時点で 1,200頭という数になっているのです」
水族館の獣医師やボランティアたちは、11月中旬以来、毎日 12時間から 16時間をカメの救助と治療に費やしている。
そして、今年、このような事態が突如として起きたことについて、事前には、何の兆候もなかった。
以前、ウミガメの大量座礁が記録されたのは、1989年に約 100頭、1999年には 163頭、そして、2012年には 413頭のウミガメが救出されたことがある。
この理由についてはよくわかってはいない。
オレゴン州立大学の生物学者、セリーナ・ヘッペル( Selina Heppell )教授は、「これらのカメの冬の座礁の理由について説明することはとても難しいのです」と言う。
「地域の状況の変化、たとえば急激に気温が下がったことなどが関係しているかもしれないですが、カメの行動については十分にはわかっていません」
そして、教授はこのように言う。
「今回のような出来事の長期的な影響について予測することもまた難しいです。なぜなら、救出されているカメは一部であり、実際には、私たちが発見していない数の多くのカメたちが死亡している可能性があるからです」
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疾病と大量死
2014年11月18日
▲ 2014年11月17日の英国 BBC Egyptian woman dies of H5N1 virus より。
1918年のパンデミックと似た傾向が見られる気のする最近のインフルエンザ
昨年と今年は、病気の報道を数多くご紹介した年でした。多くが「ウイルス」によるものであったことが特徴で、アフリカの過去最大のエボラの流行、東南アジアのかつてない規模のデング熱の流行、そして、昨シーズンのアメリカなどを中心にした記録的な数のインフルエンザ患者と死者数が報じられたりもしていました。
この「病気の時代」と言えるような状態については今後も継続していくと、私自身は思っているのですが、気づけば時期も 11月ということで、またインフルエンザの流行する時期がやってきました。
そして、人間のインフルエンザの流行と時期を合わせるように世界各地で鳥インフルエンザが発見されたり、あるいは鳥インフルエンザによるヒトの死者が発生しています。
東京でも江東区で鳥インフルエンザの鳥の死骸が発見されています(報道)。
それらのことと関係あるというわけではないのですが、
「昨年からのインフルエンザの傾向として気になっていること」
があります。
それは、冒頭の BBC の記事にも示されていますので、まずはこの記事をご紹介したいと思います。
Egyptian woman dies of H5N1 virus
BBC 2014.11.17
鳥インフルエンザ:エジプト人女性が H5N1 ウイルスによって死亡
エジプト人女性が、鳥インフルエンザウイルス H5N1 型に感染した鳥と接触した後に死亡した。女性は 19歳で、エジプト南部の町アシュートの病院で死亡した。
当局の発表によると、今年になってからエジプト国内での鳥インフルエンザの感染者数は7人となり、死亡例は今回が2例目となる。これ以前に、英国、ドイツ、オランダで、エジプトのウイルスとは異なる種の鳥インフルエンザが確認されている。
エジプト保健省は、他の2人が鳥インフルエンザに感染していると発表した。そのうちの1人は3歳の子どもだが、現在順調に回復しているという。もう1人は 30歳の女性。エジプトでの H5N1 での最初の死亡例は今年6月に起きた。
鳥インフルエンザ H5N1 型は、1993年に香港で初めてヒトへの感染が確認されて以来、世界中に広がっている。世界保健機関(WHO)によると、2003年以降、全世界で H5N1 のヒトでの発症例は 667 件にのぼる。
現在までの H5N1 のヒト感染での死亡率は約 60パーセントに達する。
というものです。
上に出てきたエジプト、英国、ドイツ、オランダの他に、韓国、日本などで、鳥インフルエンザに感染した鳥が見つかっていて、世界で「同時多発的」に発生した感じがあります。
しかし、これらの鳥インフルエンザについてはともかく、上の BBC の記事の中で、先ほど書きました「昨年からのインフルエンザの傾向として気になっていること」とは何かというと、症例が1件だけでどうのこうの言うのもあれなんですが、「死亡したのが 19歳の女性」だということです。
今年2月の、
・病気の時代 : 太陽活動での地磁気の乱れが誘発するもの。そして「新種」の病気の出現に震え上がるアメリカ国民
2014年02月27日
という記事の中で、アメリカでの昨シーズンのインフルエンザ流行シーズンの特徴として、
「若い世代のほうが患者数も死亡者数も多かった」
という特徴があったことを書きました。
下はその時の CNN の報道です。
今年の米国のインフルエンザは「若い世代」を直撃
CNN 2014.02.24
米疾病対策センター(CDC)がこのほどまとめた統計で、今シーズンのインフルエンザは前年に比べて65歳未満の患者が大幅に増えていることが分かった。
それによると、今シーズンにインフルエンザ関連の症状で入院した患者は、18〜64歳の層が61%を占め、前年の約35%を大幅に上回った。
65歳未満の死者も例年以上に多く、死者の半数強は25〜64歳だった。昨年の死者に占めるこの世代の割合は25%未満だった。
通常なら、インフルエンザは、
・高齢者や赤ちゃんが重症化することが多い
のですが、昨シーズンのアメリカのインフルエンザは、
・通常だと死亡者の少ない 25〜 64歳での死者が非常に多かった
というものだったのです。
そして、この特徴は、史上最大の鳥インフルエンザのパンデミックである 1918年のスペインかぜの際の特徴とも似ているということが気になったのでした。
死亡者の99パーセントが65歳以下だったスペインかぜ(第二波の流行時)
下は、2006年の日経BPの記事からの抜粋です。
多くの若者を殺した「パンデミック」の真実
日経BP 2006.03.20
インフルエンザウイルスは毎年、慢性疾患や免疫力の低下している患者、小児やお年寄りを中心に数多くの命を奪っている。だが、1918年の「スペイン風邪」のインフルエンザウイルスでは、20歳〜40歳代の若者たちが最も多く亡くなっていたことに大きな特徴があった。
とあります。
東京都健康安全研究センターにある資料「日本におけるスペインかぜの精密分析」という資料にある「日本でのスペインかぜの死亡者年齢のピーク」を見ても、そのことがよくわかります。
死亡者年齢の分布
男子
1917-19年 21-23歳の年齢域で死亡者数のピーク
女子
1917-19年 24-26歳の年齢域で死亡者数のピーク
体力的に最も充実している時、つまり普通に考えれば「最も病気に対しての抵抗力を持っている」といえる二十代が中心として亡くなっていく。
お年寄りや赤ちゃんたちは生きのびる。
特に流行第二波(1918年の秋)では「高齢者はまったくといっていいほど死亡しなかった」のです。国立感染症研究所のページに下のような記述があります。
国立感染症情報センター インフルエンザ・パンデミックに関するQ&Aより
1918年の晩秋から始まった第二波は10倍の致死率となり、しかも15〜35歳の健康な若年者層においてもっとも多くの死がみられ、死亡例の99%が65歳以下の若い年齢層に発生したという、過去にも、またそれ以降にも例のみられない現象が確認されています。
この、
> 死亡例の99%が65歳以下
というのは、現在の通常のインフルエンザと比較しましても、死者の年齢の分布が極めて異質であることを示しています。
さきほど抜粋しました昨年の CNN の報道の中にある、
> 死者の半数強は25〜64歳だった。
という記述からスペインかぜのことを思い出したのは、ここに理由があります。
アメリカのインフルエンザは通常のインフルエンザですが、「何かが少し変化してきている」ように感じたのです。
いずれにしても、スペインかぜとはそのような「若者を中心に殺す」インフルエンザだったのですね。
そして、そのスペインかぜは、上記の日経BP の記述によりますと、
この間、たった6カ月間の間に地球上の人類すべてに当たる20億人が「スペイン風邪」を患ったという。ところが、翌1919年の春頃から、いつの間にか消え去った。何が「スペイン風邪」を引き起こしたのか、まったくわからないままに……。
というように、パンデミックは「自然と」収まっていきました。なお、「20億人がスペイン風邪を患った」とありますが、現在では、感染者は世界で5億人から6億人だったとされています。
> 何が「スペイン風邪」を引き起こしたのか
という部分に関しては、小さな声で「彗星……」と呼応したくなりますが、今回はパンスペルミア説のことを書きたいわけではないので、そこには触れません。
何が日本のパンデミックでの致死率を大幅に低下させた?
全世界で5億人から6億人が感染したとされるスペインかぜですが、日本での流行の全期間(1918年8月から 1921年7月)の間の感染者数は 2380万 4673人で、当時の日本人口約 5,000万人のほぼ半数が鳥インフルエンザに感染したことになります。
そのうち、死者は 38万 8,727人。
非常に多くの方々が亡くなった……とはいえ、ふと気づくのは、この約 2380万人の患者に対して、死亡者が約 39万人というのは、感染者の致死率が 1.6 パーセント程度という計算になることに初めて気づきました。
というのも、たとえば、スペインかぜ - Wikipedia には、全世界の死者に関して、
感染者6億人、死者4,000〜5,000万人。
という記述があります。
スペインかぜの世界的な正確な統計は存在しないですので、上の数字そのものは確かに曖昧でしょうが、それでも、大ざっぱに考えても、上の「 6億人の感染者に対して、4000万人くらいの死者」ということは、感染者の 7パーセントから 8パーセントは死亡していたという計算になります。
国立感染症研究所のページでは、患者数約 5億人としていて、死亡者数に関しては、 WHO の推計で 4,000万人、その後の科学者たちの研究で約 5,000万人となっていますが、どちらの推計にしても、この 「5億人の患者に対して5,000万人の死者」というのは、
「致死率 10パーセント前後にも達する」
というようなことも意味しそうで、日本の 1パーセント台の致死率とは、ずいぶんとかけ離れていることがわかります。
この「日本人の致死率の低さ」は今まで気づいていなかったことですけど、しかし、なぜ……?。
たとえば、現在の普通のインフルエンザの死者数は、大まかなところでは、日本も他の主要国と同程度だと思われます。
現在のインフルエンザでの死亡者数は、直接的な死因としてだけでなく、間接的にインフルエンザの流行によって生じた死亡を推計する「超過死亡概念」という定義に基づいて出されることが多く、こちらの方が実態と近くなりますが、これで日本のインフルエンザでの年間の死亡者を見てみますと以下のようになります。
ちょっと古いものですが、厚生労働省の人口動態統計のグラフを数値化したものです。
2000年 13,845人
2001年 913人
2002年 1,078人
2003年 11,215人
2004年 2,400人
2005年 15,100人
2001年のように非常に死亡者が少ない年もありますが、多い時には「日本では、1年間で普通のインフルエンザが原因で1万人程度の方が亡くなっている」ということが言えます。
ちなみに、全世界のインフルエンザによる死者は、厚生労働省のサイトによりますと、25万人〜50万人という非常に大ざっぱな数が記載されています。変動はあっても、毎年、世界で通常のインフルエンザだけで数十万人が亡くなっているということのようです。
こう見ると、インフルエンザの死亡者というのはかなりのものであることがわかります。
当時の日本人の生活スタイルのどこかに何かのポイントが潜んでいるような気が
それにしても、スペインかぜの日本人の致死率の低さは、どうしてなんでしょうかね。
まあ……これは関係ないことですが、世界で海藻を「常食」しているのは、日本人と韓国人くらいでしょうが、海藻、特にわかめや昆布に含まれる「フコイダン」というのがあって、これがインフルエンザ・ウイルスに対しての抗体の生産を上昇させることが知られています。
下のは「ふえるわかめちゃん」などで知られる理研の2010年のニュースリリース「メカブのねばり成分「フコイダン」のインフルエンザ感染予防作用をヒト試験で実証」から抜粋したものです。
理研ビタミン株式会社は、共同研究で、わかめのメカブから抽出したフコイダンが、ヒトにおいてインフルエンザウイルスに対する抗体の産生を上昇させる働きがあることを確認しました。(略)メカブフコイダンを摂食した人々では対照食を摂取した人々と比較し、全ての インフルエンザウイルス株に対して、抗体の産生が上昇していました。
とあり、フコイダンにはインフルエンザへの抗体を体内に作る働きがあるようですが、「抗体が増える」というのは、インフルエンザの予防とは結びつく可能性はあっても、致死率と関係するものとは思えませんので、致死率の低さとは関係ないでしょうね。
ちなみに、海藻といえば、海藻の中でも海苔に関して、海苔を消化できる酵素を腸内に持っているのは日本人だけで、日本人以外の外国人は海苔を胃腸で消化することができない、ということも思い出します。
「どうして日本人だけが海苔を消化できるのか」ということについては、2010年に、フランスの研究所の調査によって、「日本人だけが腸内に持つ微生物の遺伝子」のためだと明らかになっています。
日本人がノリを消化できる理由を発見、仏研究
AFP 2010.04.08
▲ ノリを分解する酵素を持つ海洋性バクテリア。これと同じ働きを持つ遺伝子を持つ微生物が、日本人の腸内だけに存在しています。
日本人の腸が海草に含まれる多糖類を分解できるのは、分解酵素を作る遺伝子を腸内に住む細菌が海洋性の微生物から取り込んでいるためだとする論文が、英科学誌ネイチャーに発表された。
フランスの海洋生物学と海洋学の研究・教育機関「ロスコフ生物学研究所」の研究チームは、ゾベリア・ガラクタニボランという海洋性バクテリアが、アマノリ属の海草に含まれる多糖類を分解する酵素を持っていることを発見した。公開されているDNAのデータベースを調べたところ、ヒトの腸内に住むバクテロイデス・プレビウスという微生物が、同じ酵素を作る遺伝子を持っていることが分かった。
このバクテリアはこれまで、日本人の排泄物からしか見つかっていない。
ということは、世界の中では、韓国の人たちも頻繁に海苔を食べますけれど、韓国人は海苔を消化できて食べているわけではないということになるみたいですね。
いずれにしても、こういうような、
・海藻(ワカメとかコンブ)をかなり頻繁に食べる民族
・世界で唯一、海苔を消化できる遺伝子を体内に持つ民族
などという「海との関係性において他の国とは違う食習慣や遺伝子を持っている日本人」ですが、こういうことと何らかの関係あるのかどうか。
食べ物(日常的な食生活)はかなり関係しているような気はしますが……。
インフルエンザの療養と食べ物の関係といえば、かなり前の記事ですが、
・1918年の「死のインフルエンザ」へのケロッグ博士の対処法
2011年11月22日
では、スペインかぜの際、ジョン・ハーヴェイ・ケロッグ博士が米国ミシガン州に開いていた富裕層向けのバトルクリーク療養所という非医療機関でおこなった治療のことを書いています。
ケロッグ博士は「医薬品をいっさい使わない治療」によって、この療養所でスペインかぜの死者をひとりも出さなかったことが記録されています。細かい内容は上の記事を読まれていただくと幸いですが、その中に、
ケロッグ博士は、インフルエンザを発病している間に、砂糖、加工食品、ジャンクフードを食べることを避けるように警告している。
としています。
甘いものが悪いのではなく、果物やジュース(果樹だけのもの)以外の「砂糖を使った加工品」はとらない方がいいと記されています。
インフルエンザのシーズンに際して
ところで、今年も大流行するかもしれない通常のインフルエンザですが、日本では病院に行くことが優先されますが、欧米では「安静にしている」ことが最大の治療法だというの常識のようです。
日本で乱れ撃ち気味に処方される抗インフルエンザ薬タミフルは、薬効の基本は「発熱期間を1日短縮する」だけのものの上に、罹患後 48時間後内に服用しないと意味がありません(長く熱が引かないので病院に駆けつけた時にはもう遅いことが多いと思われます)。
大久保医院という病院のサイトでは、「日本で大量のタミフルが処方されているのは、日本の医療環境の特異性と断言せざるを得ません」として、下のように説明しています。
欧米では、「インフルエンザには安静」が常識で、タミフルのような「抗インフルエンザ薬」は、感染症などの合併症の危険性が大きくなる免疫系が弱っている人達、高齢者や慢性の病気などの要因を持つ人達以外には、ほとんど使われていません。
タミフルを服用しなくても、健康な個体では、自己免疫防御力を最大限応用すれば、1峰性または2峰性の発熱で1週間以内にインフルエンザは自然治癒します。
ちなみに、タミフルの製造元のスイス・ロシュ社の数値に基づけば、
過去5年間に日本で約2400万人がタミフルの処方を受け、この処方量は世界の75%を占め、このうち子供は約1200万人で、使用量は米国の約13倍に上ったとのことです。
とのこと。
> この(日本の)処方量は世界の75%を占め
を見ると、インフルエンザでも、抗うつ剤同様、日本は世界の製薬会社の「いいお客さん」とならされてしまっているようです。
このあたりは、過去記事の、
・エボラを世界に拡大させるかもしれない神の伝道者や軍人たち。そして、ふと思い出す「世界を支配する医薬品ビジネス」
2014年10月18日
の最後のほうで、抗うつ剤を例にとって、製薬会社が販売拡大をおこなう具体的な方法を書きました。
しかし実際には、かなり多くの病気に対して、人間は自然の治癒力を持っています。
なので、本来の「医療の方向」というのは、そのような「隠された人間の自己治癒力を高めること」にあると私は思うのですが、現代の医療はなかなかそちらの方向には進んではくれません。
もちろん、そのような試みをされているお医者さんもたくさんいらっしゃると思いますが、製薬会社の存在という「高い壁」を越えるのはなかなか難しいことなのかもしれません。
結局、病気になれば、病院に行き薬をもらうというだけの医療が続いています。
もちろん、適切に投薬しなければならない病気も多くあることは確かですが、過度な薬への依存や、「薬がお守りになっている」状況は、本来の人間の治癒力を落とすだけのような気がします。
まあ、これは自戒の意味もありますが。
それにしても、日本人……少なくとも、1918年当時の日本人の生活スタイルの中に存在していたかもしれない「インフルエンザの致死率を低下させた要素」とは何だったのか。
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疾病と大量死
2014年10月01日
▲ 2014年9月30日の Design&Trend より。
世界中で増加が止まらない拡がる「うつ病」
確かに不安な時代です。
いろいろな事件や出来事が続きます。
しかし、最近の私は、そういう具体的なものではない、近年感じたことのないような「漠然とした不安感」に常に縛られています。
そのうちのいくつかは、自分の家族のことなど個人的なことだとしても、心の中の何割かを占めているものは「何に対して抱いているのかわからない曖昧な不安」なのですね。
ところで、冒頭の報道は、サンディエゴ州立大学が、アメリカ全土の 690万人を対象にした、大規模な調査の結果、
アメリカのうつ病の症例は過去数十年で最大の率に達した
ことがわかった、ということを紹介している報道記事です。
1980年代と比較すると、現在のアメリカでは非常に多くの若者たちがうつ病の治療を受けていること。また、若者の 74%が睡眠障害を持っていること、アメリカの大学生の 50%が、精神的抑うつ状態にあることなどがわかったというものです。
これの重要な部分は、高齢者ではなく、「若者」であるという点です。
特に「大学生の2人に1人」がうつ病か、あるいは何らかの精神的葛藤を持つという調査結果に、研究者たちが大変に驚いたことなどが書かれています。
ところで、この「うつ病の急速な増加」はアメリカだけなのでしょうか。
ヨーロッパの場合
▲ 2014年9月29日の Parliament Magazine より。
上の記事はタイトル通り、EU 諸国全体で、3000万人もの人びとが、うつ病を患っていることが調査によりわかったというものです。
日本の周囲の国も同じです。
韓国の場合
▲ 2014年9月15日の Ajunews より。
中国の場合
人口が多いだけにさらに規模が激しくなります。
新唐人テレビの報道です。
中国のうつ病患者は 9000万人
新唐人テレビ 2014.03.31
カナダ大学の学者、マイケル・フィリップス氏は2009年、医学雑誌「ランセット」で、中国でうつ病の発生率は6.1パーセント、つまり患者は9000万人に達すると指摘しました。
「北京心理危機研究と関与センター」によると、中国では毎年、28万7千人が自殺で亡くなっており、そのうち63パーセントが精神障害があり、40パーセントがうつ病でした。
WHOによると、うつ病はすでに中国の2大病の1つになっています。
ちなみに、 WHO の報告では、全世界で 3.5 億人がうつ病を患っているとされています。「全世界」という規模で、その数が正確に出るというものでもないでしょうが、目安としては、
現代の地球は「数億人のうつ病」の人びとの存在がある
ということになり、こういう数値にあや取られた惑星というのは、確かに、「パラダイス」というような概念とはほど遠い場所ではありそうです。
ところで、「日本」。
日本のうつ病発生率はどのようなものかというと、少なくとも公的な発表では、アメリカやヨーロッパ、あるいは中国などと比べると格段に「低い」のでした。
厚生労働省の特集ページには下のように書かれてあります。
厚生労働省 みんなのメンタルヘルス「うつ病」より
厚生労働省が実施している患者調査によれば、日本の気分障害患者数は1996年には43.3万人、1999年には44.1万人とほぼ横ばいでしたが、2002年には71.1万人、2005年には92.4万人、2008年には104.1万人と、著しく増加しています。
少しデータが古い点はありますが、それはともかくとしても、うつ病患者数は増えてはいますけれど、人口比を考慮しても、欧米や中国などから見ると格段に低いです。
ちなみに、2012年のデータですが、米国ワシントンポストに掲載されたオーストラリアのクィーンズランド大学による調査による「うつ病の発生比率の比較」では、下のようになっています。
・Washington Post
これは、赤くなればなるほど、うつ病の罹患率が「高い国」となり、青くなればなるほど「低い国」ということを示します。
ということは……なんと、ここまであげたすべての国々、つまり、アメリカや EU 諸国や中国などは、
「こんなにうつ病患者が多いのに、比率としては世界で少ないレベル」
であることを知ります。
そして、上のワシントンポストの記事には以下のような下りがあります。
想像もしていなかったですが、日本は世界で最もうつ病が少ない国なのだそうです。
多いのは、アフガニスタン、ホンジュラス、そして、パレスチナ自治区、中東諸国、北アフリカ諸国などとなっています。これらの国の臨床データの信頼性は今ひとつわからないですが、アフガニスタンでは、成人の「 20%」がうつ病と診断されているそう。
しかし、後述しますが、日本では、そして、アメリカでもヨーロッパでも、「 1999年」からうつ病患者が急増しています。
もうひとつの地図での日本の数値
ところで、上の地図を見ると、日本は精神疾患的に良好な様子を反映している地図のように見えますが、もうひとつの地図を見ると、「日本人の複雑な状況」がうかがえます。
・THP
この地図は、「赤で塗られた国」は人口 10万人に対して 15人以上の自殺者のいる国を示していまして、日本はその中に見事に含まれています。日本は、10万人中の自殺数が 18.5人で、高所得国の人口 10万人当たりの人数ではワースト4位だそう。
なお、この 2012年の時点で、 WHO の報告では、世界全体での自殺での死亡者は、80万人に達するとのことで、主な国の実数は以下の通りとなっています。
・インド 25万 8075人
・中国 12万 730人
・アメリカ 4万 3361人
・ロシア 3万 1997人
・日本 2万 9442人
インドの 25万人はすごいですが、人口比で考えると、実際にはどの国もさほど差はないようにも見えます。
まあ、この問題はともかくとして、うつ病の話に戻ります。
うつ病が増えた本当の原因は「うつ病を治す薬」かもしれないという現実
先日、
・抗うつ剤に頼る米国、いまや服用者が3000万人
JBPress 2014.09.16
という記事を目にしました。その内容はともかく、上の記事のタイトルそのものが、「うつ病と抗うつ剤の関係の現実」を現しているかもしれません。
つまり、
うつ病の薬が本当によく効くものであるならば、本来なら、うつ病の患者はどんどん減っていくのが正しいはずなのに、実際には薬の普及と共に、うつ病患者がどんどん増えている
という「現実」です。
上では「抗うつ剤」としていますが、アメリカでは今では抗うつ剤といえば、多くの場合は、 SSRI (選択的セロトニン再取り込み阻害薬)というカテゴリーの薬を指します。
15年以上前のことですが、長くアメリカで住んでいて、帰国したばかりの女性と知り合ったことがあります。
彼女は、アメリカの Yahoo! の創設期のメンバーという、なかなか華々しい方なのですが、アメリカでうつ病とパニック障害を同時に起こしてしまい、日本に帰国した時に出会いました。
彼女はアメリカで SSRI の「プロザック」(日本では未承認薬)を処方され、それは確かに劇的な作用を彼女にもたらしたわけで、つまり、パニック障害やうつ病に非常によく効いたのだそうですが、
「劇的な副作用」
も同時に体験したそうです。
プロザックを含む SSRI は、アメリカでは非常にポピュラーで、テレビで CM もやっているそうで、成人なら誰でも手に入れることができるはずです。ただし、薬効はあるとしても SSRI には「それ以上の問題」が存在する可能性があります。
副作用というだけではなく、もう少し厄介な話です。
この SSRI は、こちらのページによりますと、日本では 100万人以上の人が服用しているそうです。
この 100万人という数が正確なものかどうかということはともかく、「非常に多くの日本人が SSRI を服用している」ということを意識しながら、次の文をお読みいただくと、そこに存在するものが少し想像できるかと思います。
これは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬 - Wikipedia の中にある精神科医の冨高辰一郎さんという方の著作『なぜうつ病の人が増えたのか』にある記載を記したものです。
うつ病が 20 世紀になって増加しているが SSRI の普及と軌を一にする。SSRI という薬価が高いうつ病の薬が販売されると世界各国で軒並みうつ病患者が増える。 SSRI の導入後、6 年間でうつ病の患者が 2 倍に増えるという経験則がある。
> SSRI の導入後、6 年間でうつ病の患者が 2 倍に増えるという経験則
とありますが、それだと「うつ病の治療薬などではない」ということになってしまいかねないですが、いくつかの関係したグラフを見てみようと思います。
なお、私は SSRI を非難したり糾弾したりする意志はありません。
なぜなら、この SSRI で助かっている人がたくさんいるのもまた事実だからです。
ただし、これらのグラフのような現実があることもまた事実です。
・うつ病薬害と自殺のグラフ最新2013年
SSRI は薬価が従来の抗うつ剤より高いために、 SSRI が発売された 1999年以来、製薬会社の売り上げは上のグラフのように、急速に伸びました。
そして、ここが大事なのですが、
「 SSRI がうつ病に効果があるのなら」
「その 1999年から、うつ病患者は減っていったはず」
と誰でも思います。
しかし、そのあたりの現実は下のグラフにあらわれています。
・抗うつ剤とうつ病患者
このグラフから、
抗うつ剤 SSRI の売り上げが増えれば増えるほど、うつ病が「増えた」
という事実がわかります。
これは日本だけではなく、世界中の、特に先進国で同じような状態だと思います。
そして、その結果かどうかはわからないですが、自殺者も増え続ける。
2012年の1年間の世界での自殺者数を示す 80万人という数は、決して少ない数ではないですが、これが今後さらに増える可能性もあるのかもしれません。
もちろん、上のグラフの因果関係には、他の要因もあるかもしれないですが、仮に、他の要因があるにしても、
「うつ病を治す薬としての意味」は抗うつ剤 SSRI には見当たらないかもしれない
ということは私にもわかります。
ちなみに、 SSRI だけではなく、他の種類の抗うつ剤も含めてですが、かつては、うつ病の知り合いが結構いましたけれど、薬で完治したという人に会ったことは1度もありません。
なお、「完治」というのは、「もう薬を飲まなくてもいい状態となる」ことです。
これは他のどんな病気にも当てはまる概念だと思います。
つまり、薬を飲み続けているうちは、それは完治とはいいません。しかし、うつ病を含む、あらゆるメンタルヘルス系の病気では「場合によっては一生、薬と付き合う羽目になる」という人は決して少なくありません。
私もそういう1人かもしれません。
なお、上で少しふれました精神科医の方の書かれた『なぜうつ病の人が増えたのか』のAmazon のページの書評に下のような投稿がありました。
うつを発症し、11年になる知人がいます。
「うつは心の風邪で、最近はSSRIといういい薬もできた。早く治療すれば、すぐによくなる」
著名な精神科医の本にはそう書いてありました。
知人は友人のつてで紹介状を書いてもらい、その医師にかかるようになりました。
あれから11年。いまだに治らず、現在、休職中です。
上の人は「 11年間、一種の薬漬けになっている」ということが言えます。
この薬漬けの人口が増えれば増えるほど、特にうつ病の場合は自殺にも結びつきやすく、まさに「若年層や壮年期の人口減」へとつながっていくことでもあり、最近よくテーマとする「大量死の時代」という概念にも多少重なる部分があります。
現代の十戒ジョージア・ガイドストーンに加えられた「2014」と「人口5億人」の関係
アメリカのジョージア州に「ジョージア・ガイドストーン」と呼ばれる「碑」があります。
これに関しては、Google でジョージア・ガイドストーンと検索すると、いろいろなページが出ると思いますが、陰謀論的な話と絡めて語られることの多いものです。
上のような石碑で、現代の十戒とも呼ばれる「 10のメッセージ」が、
・アラビア語
・ヘブライ語
・ヒンディー語
・スペイン語
・英語
・ロシア語
・中国語
・スワヒリ語
・サンスクリット語
・古代ギリシャ語
・エジプトのヒエログリフ
・バビロニアの楔形文字
で書かれているものです。
ちなみに、日本語はありません。
これが、陰謀論的な話と絡めて語られることの多い理由は、10のメッセージの最初が、
1. 自然界の永久の調和として、人口5億人を維持しよう。
で始まるものだからのようです。
他は、
2. 優性と多様性を賢く用いて、人口の再産を導こう。
3. 生ける新たな言語で、人々を統合しよう。
4. 情熱・信頼・伝統と調律された理性による全てを支配しよう。
5. 公正な法律及び正しい法廷で、人々と国家を保護しよう。
6. 全ての国家は世界法廷において、国家間の紛争を内面的に解決しよう。
7. 取るに足らない法律、及び無駄な公務員を減らそう。
8. 個性の調和は、社会的な義務によって正す。
9. 真実・美・愛情・無限の神に基づく、調和を求め続けることを称えよう。
10. 地球の癌にはならないで、自然のための場を残そう。
(訳はジョージア・ガイドストーン 〜現代の十戒?〜より)
と続きます。
今から 34年前の 1980年に完成したこの石碑の存在の意味はよくわからないのですけれど、最近この石碑に、下のブロックが加えられました。
・Beforeitsnews
意味としては「 2014 年」と解釈するのが最も理解しやすい数字です。
この部分は以前は下のようになっていた部分のようです。
そして、巷では、
「 2014年にこの十戒の1番目が始まるのではないか」
というようなことを囁く人もいるようです。
つまり、1番目というのは「人口5億人を維持しよう」というやつですね。
とはいっても、石碑に「2014年」という数字が入れられたことに意味があるかどうかはわかりません。意味があるのかもしれないし、単なるイタズラかもしれないし、それはどうにもわかりません。
まあしかし。
陰謀論的な話を持ち出さなくとも、起きる時は何でも起きるでしょうし、上の数のような人口となる可能性は今の地球には溢れています。
人間の策略がなくとも。
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疾病と大量死
2014年08月13日
▲ 2014年8月10日の英国インターナショナル・ビジネス・タイムズより。
削除されつつある「Wikipedia - パンスペルミア説」を偲ぶ余談
上の「エボラ・ウイルスは宇宙からやってきた」という記事は、今回のテーマとは関係ないのですが、この「生命が宇宙からやってきた」とするパンスペルミア学説は、 In Deep の最も書記の頃からの重大なテーマでもあり、かつてはよく書いていたのですが、もう書き尽くしちゃって、最近は新しく書くことがあまりないんですよ。
それがエボラと絡んだ上の記事を見まして、つい表紙を載せた次第です。
内容は通常のパンスペルミア説と同じものです。
パンスペルミア説の過去記事は、カテゴリー「パンスペルミア」などにありますが、私の場合は、単に宇宙から生命がやって来たという考えと共に、たとえば、2年くらい前の過去記事の、
・ウイルスの流入の繰り返しでDNAの進化をなし得てきた人類をサポートする「宇宙と火山」
2012年09月23日
などでも書きましたように、
・宇宙からの生命(細菌、アミノ酸、あるいは DNA)の流入
・生物の「生と死」
・地球(地底)からの火山の噴出
が「地球上の生命の永遠の循環状態を作っている」というように考えています。
生命は死んでも DNA も有機物も残します。
ところで、現在(2014年8月12日現在)、 Wikipedia のパンスペルミアのページが「削除審議」となっています。
削除理由は著作権の問題らしく、その削除依頼の過程などは、こちらにありますが、 Wikipedia 内の他のページ(生命の起源)の中にあるセクションの「パンスペルミア仮説」からの転載が問題となっているようで、「 Wikipedia 内の闘争」のようですが、まあ、記しているのは科学的な立場にある人だと思われ、科学の論争の世界もなかかなか大変なようです。
さて、ここまでは余談でしたが、しかし、あながちまったく関係ないとも言えない部分もある話でもあります。
実は同時多発的に発生していた今回のエボラ出血熱
過去記事の、
・西暦 541年の東ローマ帝国でのペスト襲来に関してのヨーアンネースの記録
2012年09月20日
という記事は、デイヴィッド・キーズというイギリス人ジャーナリストが 2001年に出版した『西暦535年の大噴火』(原題は「カタストロフィー」)の内容からせ記したものでした。
それは、535年頃からほぼ6世紀全体にかけて、しかも「世界全体の規模」で広がっていた異常気象と、それに続く世界的な「病気の拡大」について書いたものでした。
西暦 535年以降の6世紀の全世界では、たとえば、ヨーロッパでは人口が半減し、他の多くの国でも似たような膨大な死者を出した感染症が繰り返し流行しました。その病気は主にヨーロッパや中東などでは腺ペスト、日本を含むアジアでは天然痘だったとされています。
そして今は、エボラ出血熱の拡大が大きなニュースとなっていますが、エボラ・ウイルスそのものは、(今のところ)空気感染しないもので、(今のところ)感染力が強いものとはいえないですので、今後、さらに世界的な問題となっていく可能性はさほどないとは思う・・・のですが、そればかりは、やはり「実際に拡大を続けている途中の病気」のことですので、何ともいえないことです。
ところで、先日、
・エボラ患者がアメリカへ搬送された理由。あるいは、生物兵器として有効化し始めたかもしれないこと
2014年08月07日
という「生物兵器」などという単語の入っているタイトルの記事を書きましたが、このような、
「人為的」な部分
で考えてみても、あるいは、先に書きました、
「すべてのウイルスはもともと宇宙から来ている」というパンスペルミア説
のどちらの点から考えてみても、今回のエボラ出血熱の初期段階での流行には、大変に重要な事実があります。
それは、
人的な接触のない複数箇所で同時に発生した
ことです。
▲ 2014年4月4日のアルジャジーラより。
このことについては、
・アフリカのエボラ・ウイルスはギニアからの感染拡大ではなく「同時多発」で発生していた可能性
来たるべき地球のかたち 2014年04月05日
という記事に書きまして、
・ギニアで発生したエボラ出血熱患者
・リベリアで発生したエボラ出血熱患者
の間には、少なくとも人的な接点はまったくないことが確認されています。
そもそもが、エボラ・ウイルスは、患者とかなり接点が強い人でなければ感染しにくい病気ですので、最初の頃に発生したギニア、リベリア、シエオラレオネの同時多発的な病気の発生はとても興味深いものがあります。
先にも書きましたように、その理由が、
・人為が絡むもの
であろうと、
・宇宙から流入したもの
であろうと、どちらの理由であってもです。
しかし、どちらかというと恐いのは「宇宙から流入したもの」の方で、その理由は、大気の循環等により、全世界的な同時発生をおこさないともいえないようにも思うからです。
1400年前の病気の時代
全世界は6世紀にも「世界規模での感染症の大流行」を経験しています。
以下は、ほんの少しの地域の話となりますが、『西暦535年の大噴火』より 東ローマ帝国と、日本の当時の状況の抜粋です。
西暦541年 東ローマ帝国首都コンスタンティノーブル(ヨーアンネースの記録)
天罰がこの都に重くのしかかった。まず襲われたのは路上に横たわっていた貧者たちだった。一日のうちにこの世を去っていった人数は、五千人から七千人、さらには一万二千人、そして、ついには一万六千人にのぼった。
だがこれはまだほんの序の口だった。役人たちは各港や十字路、そして市門の入口に立って、死人の数を数えていた。コンスタンティノーブル市民で生き残っている人はごく少数になった。
すぐさま埋葬所が足りなくなった。町には死臭が立ちこめた、担架も墓堀り人もいなくなった。遺体は路上に積まれていった
日本 530年代(日本書紀などより)
異常事態が起こった。ひどい伝染病(おそらく天然痘)が日本で発生したのである。多くの人びとが亡くなった。日本では何世代も前から天然痘が流行したことはなかったので、免疫もほとんどなかったに違いない。
「国に疫病がはやり、人民に若死にする者が多かった。それが長く続いて、手だてがなかった」と『日本書記』には書いてある。とくに被害に大きかった地域では、住民の九割が罹患し、生き残れたのは三割だけだったと思われる。
この日本での6世紀の病気について、『西暦535年の大噴火』では、天然痘と推測していますが、日本書紀に書かれている具体的な症状を現代語で記述すると、以下のようなものです。
「体が焼かれる……ように苦しい」その後、発疹に変化が現れる。そして発疹は顔面を中心に始まって、体の下のほうへ広がっていく。とくに多く出現するのは手足だ。そして皮膚に無数の水疱があらわれ、最後には、直径7〜8ミリという大きめの膿疱になる。
患者の5パーセントは内出血のため数日で死亡した。もっとも、患者の大半は天然痘で死ぬことはなく、結局は肺炎と敗血症でおのおの三割が亡くなったものと思われる。
ちなみに、この「天然痘」。 Wikipedia によりますと、「初期の細菌兵器」として、300年くらい前にすでに、アメリカ大陸に侵攻した白人たちによって使われていた実例が記述されています。
フレンチ・インディアン戦争やポンティアック戦争では、イギリス軍が天然痘患者が使用し汚染された毛布等の物品をインディアンに贈って発病を誘発・殲滅しようとした。19世紀に入ってもなおこの民族浄化の手法は続けられた。
どんな国でも、病気の大流行は、その後の政治や宗教(6世紀の日本なら仏教との関連)の状況を大きく変えていくことになりますが、中東でイスラム教が台頭するキッカケとなったのも、実はこの「病気の流行」と関係があります。
上に書きましたように、東ローマ帝国がペストだと考えられる病気により極端に衰退したため、六世紀にイスラム勢力は一気にその支配領域を拡大することを可能にしたのでした。ちなみに、イスラム教の始祖ムハンマドが、アラビア半島のメッカで、アッラーの啓示を受けたのは、西暦 610年です。
狂気の「イスラム国(IS)」も「病気の時代」に出現した
ところで、このことを詳しく書きと、少し長くなりすぎるかもしれないですので、別の記事として書くかもしれないですが、最近の記事、
・イスラム国(ISIS)がイスラエルへの戦闘開始を誓った日。そして、ユダヤ人とクコの木の関係から知る「すでにイスラム教徒でさえない」かもしれない彼ら
2014年08月04日
という記事の最後のほうに、私は、
ムハンマドの言葉さえ無視するかのような書き込み
とか、
もう、この「イスラム国」という集団は、イスラム教の集団でさえなくなっているのかもしれない
などと書きましたけれど、改めてコーランの部分部分を見てみると「イスラム国」が現在おこなっているような、狂気ともいえる殺戮は、コーランの教えに背いているわけではないかもしれないことも伺えます。
ところで、最近の下のニュースをご存じでしょうか。
豪首相、同国出身のIS戦闘員による残虐写真を非難
AFP 2014.08.11
オーストラリアのトニー・アボット首相は11日、イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国( IS )」に所属するオーストラリア人の男が、シリアで切断された頭部を持ち上げる7歳の息子の写真を公表したことを受け、「テロリストたちの野蛮さ」を非難した。
この写真は、昨年シリアへと渡り、現在はISの戦闘員として活動する「カレド・シャローフ」と名乗る男がシリア北部の都市ラッカで撮影し、ツイッターに投稿したものだという。
写真では、シドニーで育ったシャローフの7歳の息子が、極めて普通の子どもらしい青いシャツとチェック柄のズボン、野球帽といういでたちで、殺害されたシリア兵の頭部の髪をつかんで持ち上げている。写真には「これぞわが息子」との一言が添えられている。
同紙が掲載したもう1枚の写真には、迷彩服姿のシャローフが、息子たちとされる3人の男児と写っており、全員がISの旗の前で銃を手にしている。
要するに、切断したシリア兵の頭部を自分の7歳の息子に持たせて、しかも、「これぞ私の息子だ」と自慢げにツイッターに投稿したという出来事です。
下はその写真と共にツイッターに投稿された「家族の写真」で、右の男性が父親で、左の3人が息子です。
・RYOT
上のリンクには AFP の記事にある「子どもが首を持つ」写真(修正されています)もあります。
通常に考えると、さすがに「狂気」を感じざるを得ない光景ですが、イスラム教の聖典コーランの下の部分などを読みますと、そこには「敵は殺すことが掟」という姿勢が鮮明に書かれていることに気づきます。
コーラン 第8章第12節
主は天使たちに向かって、そっとこんなふうに言いたもうた。
「汝らにはわしがついておる。信者たちをしっかり立たせよ。無信仰な者どもの心の中には、わしが臆病風を吹き込んでやるゆえ、汝らは彼らの頸(くび)の上を打ちのめしてやるがよい。彼らの指の先まで一本一本叩きのめしてやるがよい」
そして、相手を殺しても、それは自分がやったことではな神(アッラー)がおこなったことなのだから、罪の意識を持つ必要はないというニュアンスのことも書かれています。
第8章第17節
彼らを殺したのは汝ら(イスラム教徒)ではない。アッラーが殺したもうたのだ。射殺したのはおまえでも、実はアッラーが射殺したもうたのだ。
さらには、「捕虜にしないで殺すべき」というようなことも書かれています。
第8章第67節
およそ預言者たる者は、地上の敵を思う存分殺戮したあとでなければ、捕虜など作るべきではない。
何となくひたすら非道にも思える響きに思えるかもしれないですが、しかし、これと似たようなニュアンスは、他の宗教聖典にも見られることで、たとえば、旧約聖書のヨシュア記の第 6章 18-24節には、
・生き物は男も女も子どもも動物もすべて殺さなければならない
・儀式の一環として、建物と所有物はすべて焼かなければならない
という意味の記述がされています。
ヨシュア記/ 6章 17節
町とその中にあるものは、ことごとく滅ぼし尽くして主にささげよ。
6章 21節
彼らは、男も女も、若者も老人も、また牛、羊、ろばに至るまで町にあるものはことごとく剣にかけて滅ぼし尽くした。
6章 24節
彼らはその後、町とその中のすべてのものを焼き払い、金、銀、銅器、鉄器だけを主の宝物倉に納めた。
こういう「全滅」や「殲滅」という思想は、宗教だけではなく、政治的な思想なども含めて、「この数千年間の人間の歴史」ではよく見られたことですけれども、そのような「狂気」の台頭は、
・異常気象
・自然災害
・それらによる飢饉
・疫病の大流行
・太陽活動
というものと連動して起きてきていたことが、冷静に歴史を見てみるとわかります。
さて・・・そして、「現代」はそれらの過去の教訓を生かせるのかどうかといえば・・・多分あまり生かすことはできないのではないのかと思えてしまう自分がいます。
現時点で生かされていないですから。
いずれにしても、世界はあらゆる面から正念場に差し掛かっている可能性を感じないではいられない部分が大きくなってきているようです。
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疾病と大量死
2014年08月01日
昨日、台湾の高雄で大きな「爆発」があって、報道には「ガス」というような文字が見えていたので、ガス爆発と勝手に思い込み、それほど関心を持たなかったのですが、今朝「爆発後の現場の写真」を見て驚きました。
・Daily Mail
上の写真の道路で陥没している部分がありますが、 NHK「台湾の爆発 気体状の化学物質が爆発か」などの報道によれば、「爆発は周囲3平方キロメートルの各所で複数回にわたって何度も発生した」とのことで、その爆発が起きた道路の下には石油会社やガス会社などが使っているパイプが通っていたそうで、それが爆発を起こした可能性が書かれてあります。
少なくとも 23名が死亡し、270名以上が負傷していますが、今後、死者は増える可能性があるとのことです。
なお、台湾では、7月 23日に 48名が亡くなる旅客機事故が起きています。
今回の爆発事故は、インフラ等に関しての問題がなさそうな台湾の高雄で普通に起きるような事故とも考えられない感じもするのですけれど、こういう大きな「事故」が起きると、下の図を瞬間的に思い出します。
▲ 過去記事「赤い月と黒い太陽: 2014年から 2015年まで「4回連続する皆既月食」がすべてユダヤ教の重要宗教祭事の日とシンクロ。そして、過去の同じ現象の時に「イスラエルの建国」があった」(2014年04月06日)の図に加筆。
上の図は、何のことだかおわかりにならない方もいらっしゃると思いますが、上の記事では、今後1年間に渡って続く「4回連続する皆既月食」と「聖書の記述」と「ユダヤ教の祭事」についてのシンクロについて書かれた報道や資料などをご紹介して、過去の同じような時期は「血なまぐさい時期だった」ことを書きました。
最近はあまりにもいろいろなことが起きていますが、記憶に残るものとしては、
・マレーシア機の失踪(乗員乗客 239名 / 全員行方不明)
・韓国フェリーの沈没(乗員の死者 293名)
・マレーシア機が墜落される(原因は不明 / 乗員乗客 298名 / 全員死亡)
などがあり、そして、
・イスラエル軍がガザに侵攻
・ウクライナの事実上の内戦
・シリアの内戦
・イラクの内戦
・リビアの内戦(の危機)
など、「大量死の連続」といっていいような出来事が続いています。
ところで、日本では報道される機会がないですが、 4月 16日の韓国フェリー沈没事故の後、北朝鮮でも「若い人や女性たちの大量死事故」が続いています。
北朝鮮でも続く「子どもと女性たちの大量死」
5月 13日には北朝鮮の平壌で 23階建ての高層マンションが崩壊して、400人以上の人びとが亡くなった(正確な数は不明)事故が起きたことを過去記事に書いたことがあります。昼間の時間帯だったせいか、亡くなったのは、多くが幼子、女性、そしてご老人たちだったそう。
▲ 過去記事「 500名が死亡した北朝鮮の倒壊事故後の金正恩さんの表情と、最近のユダヤを巡る混沌とした出来事の数々にこの先の世界のカオスを思う」(2014年05月26日)より。
そして、その少し後の 5月24日、北朝鮮の江原道(カンウォンド)の青少年向けリゾートに向かう高速道路で、北朝鮮のエリート中学の生徒 50人がバス墜落事故で全員死亡したという出来事もありました。
北朝鮮でバス墜落、中学生約50人全員死亡…北朝鮮最高の名門中
中央日報 2014.07.29
今年5月24日、北朝鮮で中学生約50人が乗った観光バスが墜落し、全員死亡したという事故情報が遅れて確認された。この事故で犠牲になった生徒たちは「金正日の母校」である平壌第1中学校3年生だ。
平壌第1中学校は北朝鮮の最高名門校とされ、事故で亡くなった生徒たちのうち北朝鮮高位級幹部の子供が多数含まれているという。
事故が発生した平壌元山高速道路の迂迴路である馬息嶺旧道路区間の道幅は、車2台がすれ違うこともできないほど狭く道路の外側にはガードレールもない。
「虹の洞窟」などトンネル3本があけられているが頻繁な崩壊事故で詰まってしまい、この迂迴路を利用するケースが少なくなったという。
その上、バスが道路の下の馬息嶺の谷間に落ちて生徒たちが安全ベルトも締めずに全員死亡したものと見られる。
この場合は、犠牲者は韓国フェリーと同様、若者ばかりでした。
ところで、この事故の起きた道なんですけれど、中央日報の記事にある、
> 車2台がすれ違うこともできないほど狭く道路の外側にはガードレールもない
という元山高速道路というのは、下のような無理矢理作られたような道路です。
白く曲がりくねっているのが元山高速道路です。
・donga
こんな道で、しかもガードレールのない道を「高速で走る」・・・。
このかなり厳しいつくりの高速道路の先には、金正恩第1書記が総力をかけて建設した「子どもたちのための高級リゾート地」(ソンドウォン国際少年団キャンプ場)があるのでした。
▲ 5月3日に当局によって公開された「ソンドウォン国際少年団キャンプ場」の写真。
写真を見ても、施設に関しては、ウォーターパークから水族館まであり、冬はスキー場にもなります。海あり、緑あり、遊戯施設あり、という素晴らしい施設なんですが、そこに行くのに、
> 道路の外側にはガードレールもない
という厳しい道、しかも落ちた場合、今回の事故のように誰も助からないような道を通っていかなければならないわけで、もともとが命がけで行かなければならない高級リゾート地でもあったようです。
また、北朝鮮では 7月27日に「女性ばかり 50人が橋の崩落事故で死亡する」という出来事があったようです。
▲ 2014年7月31日のラジオ・フリーアジア 韓国より。
内容の概要を記します。
北朝鮮で橋の崩壊での車両落下で川に落ちた女性50名が死亡
平壌のマンション崩壊や、名門中学校の生徒を乗せた車の転落事故に続いて、今度は、橋が崩れて通りかかった車の乗客たちが川に落ちて死亡する事故が起きた。
北朝鮮では最近、大規模な事故が相次いで発生している。
7月27日、北朝鮮北部の両江道で橋が崩壊する事故が発生し、これによって 50人が死亡した。北朝鮮の朝鮮戦争の勝利を記念して「伝承節」として、イベントに動員された女性同盟員 50人を乗せた車が橋を渡る瞬間、橋が崩壊して全員が死亡したとされる。
梅雨時で川の水が増水しており、遺体は見つかっていないという。
死亡者数については、車に乗っていた人たち以外にも、橋を渡っていた人なども落下していることが目撃されており、「党幹部が死者は 100人に達すると述べた」とする情報もある。
まあ・・・これらはすべて・・・多分・・・「偶然」・・・なんでしょうけれど、この3ヶ月くらいの間に続いている偶然は何だかすごい偶然で。
大量死といえば、「エボラ出血熱」を取り囲む状況にも「新しい展開(あるいは崩壊)」が生じてきているようです。
悪化し続けるエボラ出血熱をめぐる状況
今年2月からゆっくりと拡大を続けてきた西アフリカのエボラ出血熱ですが、ここにきて患者数の増え方が急速になっています。
死者も 7月 27日の時点で 729人となり、700人を突破しています。
・AFP
現地での状況は、
・状況は悪化の一途をたどるエボラ出血熱。アメリカ人2名が死亡した他、「香港」でも疑いのある患者が発見される
来たるべき地球のかたち 2014年07月31日
という記事に書きましたが、、
・感染国が拡大
・アメリカ人で初の死亡例
・治療医師たちの死亡例が続く
・医療ボランティアたちが退避を開始
・人道団体も次々と出国
という状況になっていまして、加えて、
・シエオラレオネ政府は非常事態を宣言(ソース)
・リベリアは学校閉鎖と特定地域の隔離を検討(ソース)
・アメリカ政府は、ギニア、リベリア、シエラレオネへの渡航自粛を勧告(ソース)
などとなっています。
ただ、一見すると、明確な数値が WHO などから発表されているとはいえ、7月31日の CNN の報道の中で「国境なき医師団」の代表が語っていた、
「感染者が出ていながら、我々がまだ把握できていない場所が多数ある」
というあたりの問題などもあり、最近の患者数の急激な拡大の様相を見ると、しばらくは収まりを見せることはなさそうです。
なお、その国境なき医師団の代表は、他にも、
「制御できないまま、状況が悪化し続けている。すぐにも状況が改善しなければ新たな国々が真の危険にさらされる恐れがある」
とも述べています。
幸い・・というのか、唯一の救いは、この予防法も治療法のないエボラ出血熱は、「感染力は決して強くない」ということです。血液と排泄物を介して感染を広げる以外の感染は(今のところ)ないですし、発症していない保菌者から感染することも(今のところ)ないとされています。
7月31日の AFP の記事の中で、エボラ・ウイルスを発見した医学者であるピーター・ピオット( Peter Piot )博士は、
「もしエボラウイルスの感染者が航空機で欧州か米国、もしくはアフリカの別の地域に移動したとしても、これがエボラ出血熱の大流行につながるとは思わない」
と述べています。
とはいえ、下の図を見ると 2014年は今までとは比較にならない状況であることがわかります。
図は 1976年から現在までのエボラ・ウイルスの発見された国のリストです。
■(ピンク)が、感染が疑われた人が出た国や地域で、
■(赤)は、エボラ出血熱での死亡例が報告された国や地域を表しています。
・Daily Mail
今年 2014年があまりにも飛び抜けた数であることがわかると共に、「まだ流行は拡大し続けている」わけで、このグラフも今後とんでもない状態となることは、現段階でも確実といえそうです。
ところで、上の地図の中に「香港」にピンクがついていますが、これは、ケニアを訪問した香港の女性が帰国後にエボラ出血熱と同様の症状を呈したことを示していると思いますが、その後の報道によれば、「陰性」、つまり、エボラ出血熱ではないことが確認されたそうです。
アメリカ合衆国へ入り込んだエボラ・ウイルス
現在、アメリカ人のエボラ出血熱患者が、「アメリカに移送」されています。
▲ 2014年7月31日の米国ビジネス・インサイダーより。
つまり、エボラ・ウイルスがアメリカの大地に入ることになります。
患者が運ばれるのは、アトランタのエモリー病院という病院で、「今後数日以内に患者が搬送され、厳重隔離された上で治療が開始される」と発表されています。
このエモリー病院というのは、「特定の深刻な感染症の治療のため」に、アメリカ疾病予防管理センター( CDC )と共同で設営した、独自の隔離病棟を持っているとされていて、今回のエボラ出血熱の患者の治療も、その非常に高いレベルの隔離と検疫の中でおこなわれると発表しています。
しかし、そもそも「治療法がない」とされているエボラ出血熱の患者を、ほんのわずかな確率であるとはいえ、アメリカ本土を感染のリスクに晒すかもしれない危険を冒してまで、本土に移送するのかについての理由は述べられていません。
一方で、たとえば、陰謀論的な疑念を持つアメリカ人たちは「アメリカ疾病予防管理センター」自体が、様々なウイルスを作成しているとする疑惑や懸念の声も多く存在していたりもして、そのあたりについても、また、いろいろな意見などがあるようです。
今はみんな疑い深くなっているような感じですし。
これに関しては、最近、ザック・テイラーというアメリカ国境警備隊関係の NAFBPO という部署にかつて在籍していた人が最近、新たなる内部告発者のひとりとして、「アメリカ疾病予防管理センターが米国民の大量死に関わっている」というようなことを言ったりしているようです。
下がザック・テイラーさんです。
人は良さそうですけどね。
・YouTube
他にも「人口削減計画」のことだとか、アメリカの国境の真相などいろいろと語っているんですが、元の肩書きが何であれ、 スノーデンさんみたいな「資料としての証拠」を持っていないと、単なる「談話」となってしまうのですよね。
それにしても、今日は暑いですね。
疲れやすい時でもありますので、皆様もご自愛下さい。
今日はここまでにしておきます。
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疾病と大量死
2014年06月06日
「これは前例のない出来事です。私たちはこれまで、このような大規模で壊滅的な消耗性疾患の拡大を見たことがありません。」
− ブルース・メンゲ教授(オレゴン州立大学総合生物学科)
▲ 2014年6月4日の米国オレゴン州立大学ニュースリリースより。
アメリカ西海岸のヒトデの大量死は重大局面に
数日前に、
・海で何が起きているのか : 5月から始まった全世界での数百万匹規模の海洋生物の大量死の理由は誰にも説明できない
2014年06月02日
という記事を書いて以来、その翌日、またその翌日というように、連続して、大学の研究機関から「海の崩壊」に関しての研究発表が続いています。
上の記事の翌日には、米国コロンビア大学の地球研究所から「海が急速に酸性化している」という研究発表のリリースがありました。
そのことは、
・「地球の海が急速に酸性化している」という論文を6度目の大量絶滅の中にいるかもしれない今の時代に読む
2014年06月03日
という記事に書きましたが、その中のコロンビア大学の論文には下のような記述がありました。
ワシントン州とオレゴン州、そして、カリフォルニア沖で、小さな浮遊性の巻き貝やプテロポッド(クリオネのような生き物)の半分以上が、極度に殻が溶解する症状を示していることを突き止めた。
また、海洋の酸性化は、ワシントン州とオレゴン州で 2005年から起きている広範囲でのカキの大量死と関係していると考えられている。
そして、昨日は、そのオレゴン州にあるオレゴン州立大学から、冒頭に貼りましたように、「オレゴン州では地域に一部の種類のヒトデが全滅されると予測される」というショッキングなニュース・リリースがありました。この2週間ほどで急速に事態が悪化したのだそうです。
このアメリカ西海岸のヒトデの「消滅」は、消耗性疾患というようにつけられていますけれど、要するに、
・自切して溶けて消えていく
という、見た目もその状況も悲劇的なものです。
アメリカの海岸でのヒトデのことを最初に記事にしたのは、昨年 11月でした。
・米国の海に広がる衝撃的な光景 : まるで絶滅に向かおうとしているような「ヒトデたちの自殺」
2013年11月07日
というもので、この時には「溶ける」という概念は報道にはまだ登場していませんでした。
「自切」(じせつ)という生物用語がありますが、これは簡単に書くと、
節足動物やトカゲなどに見られる、足や尾を自ら切り捨てる行動
ということになりまして、自らの体の器官を切り捨てる理由については、一般論としては、たとえば、「トカゲのしっぽ切り」で知られるように、本来は、生き物が自分自身を守るために、重要ではない自分の器官を自ら切り落とす機能を言います。
・トカゲのしっぽより。
しかし、アメリカのヒトデの場合は、そのような一般的な意味での自切ではなく、「自殺のための自切」という駄洒落にもできないような悲惨な行為をおこなっていたのです。
▲ 上の記事に載せたカリフォルニア州のロングマリン海洋研究所員のブログより。
この写真が添えられていたブログの文章は次のようなものでした。
研究室にいるすべてのマヒトデが死ぬまで、すなわち、最後のマヒトデが自分自身の体をバラバラにしていくまで、私は丸3日間、そこにいた。そしてこの写真が、今朝、私の飼育する生き物に起きた光景だった。
ヒトデの本体はまだ残っているのだが、彼らは気まぐれに自切していくので、私は切断された触手を検査しながら、さらに時間を過ごした。彼らは、自分が死んでいることを知らない。
私は、この、もともと美しく複雑な「海の星」の切断された腕を解剖スコープの下のボウルに入れて写真を撮った。この数週間で海で起きている様々なことは、もしかすると、何か本当に悪いことの始まりなのかもしれないとも思う。
この研究員の人が、上の時期、つまり、 2013年 9月 13日に書いた、
もしかすると、何か本当に悪いことの始まりなのかもしれない。
という予感は不幸にして的中したのでした。
それが冒頭にある「オレゴン州での全滅」であり、原因がわからずに、爆発的な拡大を続けているということは、これは次第に「アメリカ西海岸全域での(ある種の)ヒトデの全滅」という方向性に進む可能性はかなりあると思われます。
そして、今回のオレゴン州のヒトデの全滅は、この時のカリフォルニアの海洋研究所の研究員が見続けていた「自切」ではなく、もっと悲惨な状態、つまり、「溶けていく」というものでした。
この「ヒトデが溶けて消えていく」ということに関しては、昨年12月の記事、
・「星が消えて海が壊れる」:アメリカ周辺のヒトデの大量死の状態は「分解して溶けて消えていく」という未知の奇妙なものだった
2013年12月05日
の頃から明らかになってきたことでした。
そして、直接的に報道されるきっかけとなったのは 20年間のダイバー歴をもつローラ・ジェームス( Laura James )さんというシアトル在住の女性ダイバーが、「1年間のシアトルの海底の変化」を追っていた際に、
「ヒトデたちがドロドロに溶けていく光景」
を目撃し、長期間にわたり、シアトル沿岸の様子を米国の動画サイト Vimeo にアップし、それが各メディアで一斉に報じられたのでした。
▲ 2013年11月26日の米国 KUOW より。動画はこちらにあります。
この状態に陥ったヒトデが最終的にどのようになっていくかということに関しては、下の写真をご覧になれば、おわかりになるかもしれません。
溶けて海底に落ちたヒトデは上の写真のように粘質の「物質」となり、海の底や岩に付着します。
その白い粘体がシアトルの海底中に広がっているのです。
上の記事では、オーストラリアのシドニー・モーニング・ヘラルドの「奇妙な病気がヒトデを粘体の物質にしてしまっている」というタイトルの記事を翻訳してご紹介したのですが、記事の中で、米国コーネル大学の生態学者のドリュー・ハーヴェル( Drew Harvell )教授は、以下のように語っていました。
「現在起きていることが極めて極端な出来事だということは科学者全員が考えていると思いますが、さらに重要なことは、これらの出来事が『変化の前哨であるにすぎないかもしれない』ということなのです」
そして、ハーヴェル教授は、
「最も恐ろしいことは、原因が何なのかまったく見当がつかないことです」
とも言っています。
今もなお原因がわからないままに、オレゴン州のヒトデたちは「溶けて消えて」いこうとしています。
ヒトデがこの世に存在する意味
ちょっと話がずれますけれど、ヒトデというのは、少なくとも積極的に食用にするものでも、何か人間の生活に盛んに使われるというものではないですけれど、海の生き物として、とてもメジャーな印象があると思います。
生態系の観点からいえば、ヒトデは食物連鎖上で重要な意味を持っているだろうことはあるのでしょうけれど、それ以上に、「印象が強い」というのは、やはり「形」だと思います。
星の形。
英語で「海の星( sea star )」と呼ばれ、種類によっては死ぬほど美しい。
▲ drugata-v-men より。
唐突な展開に思われるかもしれないですが、シュタイナーは、神秘学の訓練のひとつとして、美しい花や植物を「はっきり認識できるまで」魂を込めて観察し、あるいは、その植物の「種」を目の前に置き、その種が、成長していき、美しい話を咲かせるまでの具体的なイメージを抱くというようなことを記しています。
これはつまり、「自分の想像力の中で美しい花の咲く植物を作り上げる」という「自然(あるいは、生命)と人工物」の違いを自分の内面に刻んでいくことによって、生物に含まれている「目にみえない何か」を感じていく・・・というような修行(?)をおこなうそうです。
そのような「目に見えない何か」の中から自然の外界世界に出現する色や形に対しての想像力を養っていく。
自己の内面と外面の結びつきを強化し、「自分はすべての生命の一部である」と認識していく・・・というあたりが重要なことらしいのですが、それにしても・・・・・いったい私が何を言いたいのだかよくわからないかもしれないですが、つまり、自然学や生態学から離れて見てみれば、美しい花や、美しい色や形のヒトデなども、(事実関係は別として)「私たち人間を楽しませてくれるためにある」という側面があって存在しているのではないかと思うことは昔からあるということなのです。
これらは自然科学的には当然のように否定される概念ですけれど、あくまで、信仰や神秘学の観点からの話として見れば、「神は人間に必要なものはすべて造った(そして必要のないものは一切造らなかった)」という概念と似たような話です。
このように「神」というような言葉も入ってきますと、16世紀のデンマークの天文学者であるティコ・ブラーエという人などは、「星」について、下のように言っています。スヴァンテ・アレニウスの『宇宙の始まり』という著作に掲載されているものです。
星の影響を否定する者は、神の全知と摂理と、そして最も明白な経験を否認する者である。神がこの燦然たる星々に飾られた驚嘆すべき天界の精巧な仕掛けを全く何の役にも立てる目的もなしに造ったと考えるのは実に不条理なことである。
▲ ティコ・ブラーエ( 1546年 - 1601年)。
このティコ・ブラーエという人は、Wikipedia によりますと、
膨大な天体観測記録を残し、ケプラーの法則を生む基礎を作った。
という科学者なんですが、その彼さえも、「神がこの美しい星たちの精巧なシステムを何の目的もなしに造ったと考えるのは不条理だ」と言っていたようです。
さらには、もっと極端なことを言っていた人もいます。
18世紀のスウェーデンの科学者であり神秘主義思想家のエマヌエル・スヴェーデンボリなどは、著作『宇宙間の諸地球』の中で、
「すべての地球にとっては、人間が目的物であって、それぞれの地球はそのために存在する」
というようなことを記していたり。
要するに、月も太陽も火星も、そして地球自体も、
> 人間のために存在する(あるいは人間のために創造された)
と言っているのです。
ということは、そこに存在する自然、生物、鉱物など、つまり、花もヒトデも、
> 人間のために存在する(あるいは人間のために創造された)
ものかもしれません。くどいようですが、これは自然科学の面から考える話ではなく、宗教的、神秘学的な視点から見た話です。
いずれにしても、
・きれいなヒトデが全滅していく
という出来事は、単なる自然科学的な側面以上に個人的には考えるところの多い出来事でした。
話が脱線しましたが、オレゴン州立大学のニュースリリースの概要を記しておきます。
Sea star disease epidemic surges in Oregon, local extinctions expected
米国オレゴン州立大学 ニュースリリース 2014.06.04
オレゴン州のヒトデの疾病の爆発的拡大に関して地域的には全滅が予想される
このほんの2週間ほどの間に、オレゴン州沿岸のヒトデの消耗性疾患は、歴史的な範囲に拡大しており、ヒトデの種類の中には、全滅するものもあると予測されるという事態となっている。
消耗性疾患の発生を監視してきたオレゴン州立大学の研究者によると、オレゴン州沿岸では、局所的に一部の種類のヒトデが絶滅するかもしれないという。
この消耗性疾患は、アメリカ西海岸で広く知られていたが、今回のオレゴン州のように、急速に広範囲に拡大するのは異常としか言えないと研究者たちは語る。
推定では、現在、地域的に最高で 60パーセントのヒトデが消耗性疾患で死んだと考えられるが、じきに 100パーセントが死に絶える海域が出るだろうと予測されている。
オレゴン州立大学総合生物学科のブルース・メンゲ( Bruce Menge )教授は以下のように言う。
「これは前例のない出来事です。私たちはこれまで、このような大規模で壊滅的な消耗性疾患の拡大を見たことがありません。原因もまったくわからないのです。そして、これにより、どのような深刻なダメージがあるのか、あるいは、今後もこんな状態が持続していくのか、それもわからないのです」。
決定的な原因はまだ同定されていない。
細菌やウイルスなどの病原体などの可能性も含め、研究者たちはこの問題に取り組み続けている。
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