【疾病と大量死】 の記事一覧

2015年05月28日



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アメリカ中央情報局(CIA)が「気候データの公開を停止」した地球では今日も粛々と「1種類ずつの大量死」が続いている


[追記] 5月21日から 5月26日の大量死報道を追加しました(5月29日)。

climate-cia.gif

▲ 2015年05月26日の ALLGOV より。



突然、長く続いた気候の情報公開・共有を停止したCIA

今回は、また、「大量死」関係のことを書こうと思っています。

上の CIA に関してのニュースは、それと直接関係するものではないですが、今のような自然災害が多い時期・時代に、「突然、気候変動に関してのデータ共有(政府機関と科学者たちの間での共有)を停止する」ということには多少不自然な部分を感じる部分もあります。

当事者のアメリカにしても、最近は延々と激しい天候の影響を受け続けているわけで、今が最も気候変動の情報データを科学者たちと共有することが大事な時なのではというときに、「共有を停止した」というのが、やや妙かなと。

アメリカでは、2日ほど前にも、テキサス州で「信じられないような量の豪雨」によって、大きな洪水被害が出ています。

少なくとも15名が死亡し、1000台の車が水没したテキサスの洪水
texas-flood-2015.jpg
ロイター「米テキサス州などで洪水被害拡大、15人死亡 車1000台以上水没」


上の記事の冒頭部分を記しておきます。


CIA Ends Information Sharing with Climate Scientists
ALLGOV 2015.05.26

CIA が気候学者たちとの情報の共有を停止

マザー・ジョーンズ(報道メディア)は、ほぼ四半世紀前に始まった、気候変動を研究する科学者たちと、海洋や大気の収集機密の情報を共有するプログラムを停止することを、アメリカ中央情報局( CIA )が決定したことを伝えた。

今回、終了が決定されたプログラムは「環境分析のための地球データ測定」( MEDEA )プログラムで、約 60人の民間の科学者が、そのデータ情報を共有できるためのセキュリティ・クリアランス(資格)を持っていた。

このプログラムでは、偵察衛星によって収集された海の温度、潮の流れの読み取りや、米海軍の潜水艦による地形データなどの収集も含まれていたという。

この気候変動の脅威に関する多くの情報を、気候の専門家に提供し、共有するプログラムは、 MEDEA 以外のソースからアクセスすることはできない。

CIA は、天候の変化が世界的な競合にどのような影響を与えるかを分析するために、このデータを使用している。CIA など諜報機関は、世界の脅威評価報告書の分析のために科学者たちと提携していると信じられている。



というようなものです。

この CIA などの諜報機関と気象の還啓としましては、以前、

1975年のジュネーブ軍縮会議で米ソが発表した「人工洪水攻撃、人工地震攻撃、極地の氷の融解攻撃、オゾン層破壊攻撃の禁止」…
 2014年02月19日

ベトナム戦争の気象コントロール「ポパイ作戦」とハリケーン縮小計画「ストームフューリー・プロジェクト」以後、アメリカの気象兵器開発は進んでいるのか、いないのか
 2015年02月16日

のような記事で記したことがありますが、アメリカの軍や諜報機関が天候を利用する、あるいは、そのために研究をする、という歴史は長いようで、今ではさらに「進化」しているかもしれません。

さて、このことは今回の本題ではないです。

今回は、

途方もない「大量死の時代」の進行が加速していた : 2015年最初の4ヶ月だけで270件を超える大量死報道があることを知り
 2015年04月30日

に続き、5月に入り、さらに大量死が複雑化していることを含めて、ご紹介したいと思います。先日のアメリカの大量死の記事でも書きましたが、相変わらず「1種類の生き物の大量死」が目立ちます。




「消えていく動物たち」と私たち人間の関係

ところで、昨日の、

シュタイナーが110年前に述べた「頂点は日本です」の意味
 2015年05月27日

という記事は、シュタイナーの地球についての概念を書いたものでしたが、そのシュタイナーは、「その地球で起きるすべての出来事」と「人間の意志」は、

「関係がある」

とする主張を持っていたようです。

たとえば、地震や火山の噴火なども含めて、あらゆることが「人間の意志によって起こりもする」ということのようです。

シュタイナーの 50巻からなる「連続講義録」というものの第一巻を日本語でまとめたものが、『神智学の門前にて』という本なのですが、この中に、

人間の意志は、地上に生起することに関連している。
人間は自分の住む土地を変化させるのである。

という意味の部分が何度か出てきます。

最近とてつもなく増え続けている動物の大量死だとか、ウイルスの蔓延などの出来事も、人間の意志と関係するということになるのでしょうかね。

5月も、4月と並ぶほどの大量死報道が続いています。




拡大する未知のウイルスでの絶滅

なお、今月で印象的な大量死としまして、

パキスタンで 200頭以上のラクダが未知のウイルスで死亡(5月12日報道)

camel-die.gif
Daily Pakistan


カザフスタンで 8万5000頭のサイガ・アンテロープが死亡(5月22日報道)

saiga-antelope-02.gif
National Post


オーストラリアで、カメが未知の病気で「絶滅」に向かっている(5月6日報道)

turtle-extinction.gif
Scientific American

などです。

共通するのは、ウイルス性の疾患での大量死ということなのですが、どれもが「未知のもの」となっています。

カザフスタンのサイガ・アンテロープの大量死については、現在までに、個体数の3分の1が死亡したというカザフスタン政府の発表もあります。

サイガ・アンテロープというのは下のような動物で、まあ、かわいい感じのものなんですが、これが「たった数日間で、8万頭以上が死亡する」という緊急事態となっています。(追記) 5月28日には、死亡数が 12万 5000頭にまでのぼったことが、カザフスタン政府から発表されています。(報道

saiga-antelope.jpg
tumblr

これに関しましては、

カザフスタンで絶滅危惧種のサイガ・アンテロープが「たった数日間で8万頭以上の謎の大量死」
 2015年05月26日

で記事にしています。

オーストラリアの「カメの大量死」についても、この未知のウイルスの致死率は非常に高く、サイエンティフィック・アメリカの記事によりますと、今年3月以来、「感染したカメはすべて死亡」という状況で、これまで大量のカメやウミガメの死亡が確認されていて、しかも、このウイルスが、カメの生息地の 90パーセントの地域で見つかっているのだそうで、このままでは、

「オーストラリアのカメが絶滅してしまう」

という事態が、現実味を帯びてきているようです。

パキスタンのラクダの大量死については、短い報道ですので、翻訳します。



200 camels die of mysterious disease in Noorpur Thal
Daily Pakistan 2015.05.11

ノールプール・タルで、謎の疾患により 200頭のラクダが死亡

地元メディアによると、パキスタン・ノールプール・タル地区で、5月11日までの1週間で、少なくとも 200頭のラクダが、未知のウイルス性疾患で苦しめられた後に死亡している。

地区の畜産当局によれば、ラクダたちは、震えや咳を伴う鼻からの出血に苦しんだ後に、最終的にすべて死亡したという。

また、「村人や貿易商たちは、これまでに 200頭以上のラクダを失ってしまった」と述べた。

これらの地域では、ラクダは、砂漠での走行、水汲み、荷物の運搬、農耕、レジャーなどに幅広く使われているため、ラクダは珍重されており、ラクダは 15万パキスタンルピー( 約17万円)から 20万パキスタンルピー( 約 24万円)という高値で取り引きされている。

地元の長老たちは巨額の損失を回避するために、この謎の病気に対する即時の対処の実行をパンジャブ州政府に求めた。




大型動物たちの未知の病気も蔓延しているようです。

それでは、ここから、5月26日までの世界の主な大量死報道をご紹介します。
すべて報道リンクをつけてあります。

印象的なものには、短い説明を付け加えています。



Mass die-off 2015 May 2015

2015年5月の世界の大量死報道


5月26日 メキシコ - ティファナの海岸に 250 万匹の死んだロブスターが打ち上げられる。報道

million-lobsters-01.jpg
来たるべき地球のかたち


05月26日 米国 - 2ヶ月で 12頭の死亡したクジラが、カリフォルニア州ポイントレイズ国立海岸に打ち上げられる。報道

05月26日 米国 - 原油流出により数千の海洋生物が死亡。報道

california-oil-2.jpg
Reverb Press


05月25日 ニュージーランド - ポロンガハウ・ビーチにクジラが打ち上げられる。報道

05月25日 カザフスタン - サイガ・アンテロープの死亡数が 125,000頭に。報道

05月25日 カザフスタン - キガク川の岸で、70羽のペリカンが死んでいるのが発見される。報道

05月24日 ポルトガル - エヴォラのダムで、数千匹の魚が死亡。報道

05月24日 メキシコ - イスラ・ムヘーレスで大規模な魚の大量死。報道

05月23日 米国 - ソノマ郡で、5週間で7頭の死亡したコククジラが打ち上げられる。報道

05月22日 タイ - ナコーンナーヨック県の川で魚の大量死。報道

05月21日 米国 - 中西部で鳥インフルエンザにより 40万羽が死ぬ。報道

05月21日 カナダ - バラード市の入り江で1万羽の鳥の大量死。報道

05月20日 メキシコ - バハ・カリフォルニアの海岸に大量のクラゲ(カツオノカンムリ)が打ち上げられる。報道

Jellyfish-California-05.gif
Zonalider


05月19日 オーストラリア - マッカイの植物園のラグーンで謎の魚の大量死。報道

05月18日 チリ - ワルペンで数千羽の鳥が死亡しているのが見つかる。報道

05月18日 米国 - ペンシルバニア州リドリーパークで魚の大量死。報道

05月17日 米国 - フランダースベイビーチで何百頭ものウミガメが死体で発見される。報道

05月16日 ロシア - シベリアのカティン湖で、数千匹の魚が死んでいるのが発見される。報道

05月16日 米国 - オハウで数百匹の魚が死んで発見される。報道

05月16日には、米国 - ミネソタ州レンヴィルで 200万羽のニワトリが死亡。報道

05月14日 米国 - ハヴァス湖で、「重度の鈍的外傷」を負って死んでいた 30羽の鳥が発見される。報道

05月14日 ヨーロッパでは、鳥類の3分の1が絶滅の脅威にさらされているという報道。報道

05月14日 ポルトガル - マカオ川が死んだ数百匹の魚で覆われる。報道

05月13日 米国 - サウスダコタ州で鳥インフルエンザにより 12万羽以上の鳥が殺処分。報道

05月13日 カザフスタン - アルマトイ郊外で、サイガアンテロープが謎の死。報道

05月12日 メキシコ - カリフォルニア湾の中で最も重要な保護地域の一つであるロレートで、謎の魚の大量死。報道

05月12日 パキスタン - パンジャブで、謎の疾病により数百頭のラクダが死亡。報道

05月12日 メキシコ - ウルスロ・ガルヴァンの入り江で大規模な魚の大量死。報道

05月12日 中国 - 深センで、魚の大量死。報道

05月12日 イタリア - ロナーテポッツォロの海域で3トンの死んだ魚が見つかる。報道

05月11日 米国 - ミネソタ州で鳥インフルエンザために 600万羽以上の鳥が殺処分。報道

05月11日には、バミューダ諸島 - ハミルトンで魚の大量死。報道

05月11日 中国 - 興賓区( Xingbin )の養魚場で魚の大量死。報道

05月10日 ノルウェー - ロムスダールのフィヨルドが死んだ魚で覆われる。報道

05月09日 ベトナム - ヴァン・コ・ドン川で大規模な魚の大量死。報道

05月08日 日本 - 名古屋にある運河が 10万匹の魚の死体で覆われる。報道

その後、死亡した魚の数は 47万匹だったことが報じられ、さらに、5月20日には「新たな大量死」が同じ運河で起きています。(報道


05月07日 チリ - ペーニャ湾で 30頭以上のイワシクジラが海岸に打ち上げられる。報道

whale-37-chile.gif
Diario Veloz

このチリの海域は、イワシクジラの生息域ではなく、座礁した理由と共に、なぜ、こんなに多数のイワシクジラが、この海域にいたのかということ自体の理由がわかっていないとのことです。


05月07日 ナイジェリア - プラトー州で、鳥インフルエンザにより 40万羽の鳥が殺処分。報道

05月07日 オーストラリア - ニューサウスウェールズ州の洪水で 500頭以上の牛が死亡。報道

05月06日 オーストラリア - ニューサウスウェールズ州のペリンジャー川で、謎の疾患により数千頭のカメが死亡。報道

05月06日 中国 - ショウ州市の川で大量の魚が死亡しているのが見つかる。報道

05月05日 米国 - カリフォルニアで多くのクジラが死亡し続けている。報道

05月05日 アルゼンチン - サンロケ湖で魚の大量死。報道

05月04日 アルゼンチン - トレスアロヨスの海岸に沿って、数百頭のペンギンが、栄養失調で死亡。報道

05月03日 中国 - 青島の川で魚の大量死。報道

05月03日 トルコ - バルケシルで鳥インフルエンザにより7万羽以上の鳥が死亡。報道

05月01日 カーボベルデは - ムルデイラで、座礁した 23頭のクジラのうち 16頭が死亡。報道

05月01日 米国 - アイオワ州で 16万羽が鳥インフルエンザの流行のために死亡。報道




以上です。

今の地球からは、いろいろな生命が消滅し続けているようで、こういうことにも「肯定的態度」で向きあうにはどうしたらいいですかね。

あるいは、これらを「刷新」とか「再生」というキーワードの側面から考えてみる方法などもあり得るのでしょうか。

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2015年05月20日



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10万羽規模となった米国西海岸のウミドリの大量死
us-seabirds-may.gif

▲ 2015年1月24日のナショナルジオグラフィックより。



人間は動物の大量死には介入できない

今年5月の始めに、

米国アイオワ州で1600万羽以上への鳥インフルエンザの感染拡大により非常事態宣言
 2015年05月04日

というようなことがありました。

タイトルの通りに、アメリカのアイオワ州で 1600万羽という途方もない数の鶏や七面鳥が鳥インフルエンザに感染し、 5月1日にアイオワ州知事が非常事態を宣言したという出来事でした。

5日2日の米国ニューヨーク・ポストの記事によりますと、

> この非常事態宣言は、当局に予防措置を実施する権限を与える。

というものでした。

感染拡大と予防措置のために「州が全権を掌握する」ことによって、さらなる感染を抑えようという試みだったと思われます。

この頃、このアイオワ州と、周辺の5〜6州では、今年3月から、アメリカの歴史上で最悪の鳥インフルエンザのパンデミックが続いていまして、5月1日の時点で、下の図のように、2100万羽の七面鳥と鶏が鳥インフルエンザに感染するという大災害となっていました。

iowa-bird-flu.gif
TRIB LIVE


しかし、アイオワ州での非常事態宣言によって、この異常な流行は、ひとまず終息に向かうだろう・・・と思われていました。

ところが・・・。

下は、非常事態宣言から 18日後の 5月19日のアイオワ州の状態です。

iowa-2600m.gif

▲ 2015年05月19日の USA トゥディより。


非常事態の宣言後、感染は終息に向かうどころか、

1600万羽 → 2600万羽

と、1千万羽も感染数が増えている上に、しかも、どうも、非常事態宣言後のほうが、それ以前より感染ペースが早くなっているようにも感じます。

下は、今から1ヶ月前の記事です。


米で鳥インフル530万羽 過去最大、感染拡大阻止急ぐ
日本経済新聞 2015.04.22

米アイオワ州で鳥インフルエンザ(H5N2型)が大量に発生した。米農務省によると、同州オセオラ郡の養鶏場で530万羽が感染した。感染規模は米国内で過去最大。政府は感染拡大の阻止を急いでいる。

米国の鳥インフル発生は2004年にテキサスの養鶏場で7千羽が感染して以来、約10年ぶり。



とありまして、1ヶ月前に 530万羽の感染だったのが、現在その5倍弱あたりの数へと拡大しているという、文字通りの緊急事態となっているようです。

しかも、1ヶ月前の 530万羽の感染も、

> 感染規模は米国内で過去最大

とありますので、現在の感染状況がいかに異常かがよくわかります。

そして、何よりも、この非常事態宣言後に、全力で感染拡大の阻止を試みたであろう状況で、このようなことになってしまっていることを見てみますと、

「人の力で動物の感染症を食い止めることは難しい」

ことがわかります(人間の感染症もですが)。

非常事態宣言の後に、どのような対策が取られてきたのかは具体的にはわかりませんが、常に最大規模でおこなわれるのが「殺処分」ですので、今回もそのようなことになっているのしれません。

世界中で、いろいろな大量死が起き続けているわけですが、アメリカは特に顕著な感じがします。




多くが継続しているアメリカの大量死

冒頭に載せましたのは、アメリカ西海岸で起きていたウミドリの大量死で、以前、

米国オレゴン州の海岸でウミドリが謎の「餓死」での大量死。推定では「数万羽」が死亡
 2015年01月09日

などの記事で記したことがありますが、原因はいまだにわかっていません。

このウミドリも「鳥」ですが、鳥に関しては、他にもいろいろと起きています。

アメリカのアイダホ州では、3月にハクガンという鳥が 2,200羽以上の大量死を起こしていることが発見されました。

しかし、これも原因はわからずに、当局が調査を進めていて、最近、下のような報道がありました。

idaho-snow-geese.gif

▲ 2015年05月18日の Ravalli Republic より。


しかし、この調査は曖昧な結果となったようで、

・リン化亜鉛(殺鼠剤に使われる)
・鳥コレラ


のどちらかによるものだろうということのようです。

殺鼠剤は、農家がネズミの被害を防ぐために撒くものらしいですが、仮に殺鼠剤が原因なら、わりと大きな鳥であるハクガンを数千羽単位で殺すという事態が起きるのなら、他の種類の鳥や動物にも同じような大量死が起きていても不思議ではないですが、そういう報道はありません。「ハクガンだけ」が死んでいる、のです。

この「同一の種類だけが大量死する」というのは、たとえば、さきほどの、西海岸のウミドリも、大量死しているのは、アメリカウミスズメ(学名 : Ptychoramphus aleuticus )という海鳥ですが、他の海鳥は死なずに、「これだけが大量死している」のです。

この海鳥の大量死を報じたパーフェクト・サイエンスの記事には以下のような下りがあります。


考えられる大量死の理由としては、原油の流出や、エサの毒性化などがあるとされる。

しかし、生物学者でもあるパリッシュ氏は、疑問を呈する。というのも、アメリカウミスズメは、他の海鳥たちと同じタイプのエビやプランクトンをエサにしているが、アメリカウミスズメ以外の海鳥たちは影響を受けていないのだ。

科学者たちは原因を見出そうとしているが、現在のところは明確な理由はわかっていない。



原油の流出や、エサの毒性化などのわかりやすい原因なら、「いろいろな生物種が死ぬ」はずなのに、1種類だけが大量死するというのは、大量死の原因を普通の理由だけでは探れないかもしれないことをあらわしているかもしれません。

鳥といえば、これはアメリカではなく、チリですが、5月18日に 1000羽以上の鳥が海岸で死んでいるのが発見されました。

こちらも、ミズナギドリ科というものに属する1種類の鳥の大量死のようです。

1300-dead-birds.gif

▲ 2015年05月18日の FRANCE24 より。


このチリの場合も、原因がわかっていない「1種類の大量死」となります。

大量死に関してましては、比較的最近の、

途方もない「大量死の時代」の進行が加速していた : 2015年最初の4ヶ月だけで270件を超える大量死報道があることを知り
 2015年04月30日

という記事に、2015年に報道された、おびただしい数の大量死報道をご紹介したことがありますが、一般的には、大量死は夏を中心として増加しますので(海や湖などの水質が藻の発生などにより悪化しやすいため)、これからの季節も増え続けると思います。

最近では、アメリカの西海岸に、「クジラ」が次々と死亡して打ち上げられています。

カリフォルニアの海岸に多数のクジラが死んで打ち上げられている
 2015年05月17日

nbc-whale.jpg
・NBC


そのカリフォルニアでは、

カリフォルニアに打ち上げられたアシカの子どもの数が1800頭に達する
 2015年03月25日

など、過去何度か記事にしました「アシカの座礁」も止まっていません。

ガーディアンでは、「海の砂漠の犠牲者」というタイトルで、このアシカの大量死を報じていました。

pup-sealion.gif

▲ 2015年05月08日のガーディアンより。


さて、今年のアメリカの大量死、陸地での鳥インフルエンザは別として、「海」においては、圧倒的に「西」が多いわけですが、この理由が次第に明らかになってきています。

上の記事に「海の砂漠」とありますが、その出現を予測していたかのような現象は、昨年から続いていました。




アメリカ西海岸の海域に出現した「デッドゾーン」

昨年 12月の記事、

太平洋が爆発する? あるいは地球の海がデッドゾーンと化す?: 海水温度の上昇で膨大な量のメタンが太平洋の海底から噴出している
 2014年12月15日

の中で、2014年のアメリカ西海岸の海水温度が、平年に比べて異様なほど高いことを示す図を載せました。

sea-3c.gif
Climate Observations


最近の、海水温度を見てみますと、さらにその「高い海水温度」の状態が激しくなっているようなのです。

下は、2015年 2月から 3月のアメリカ西海岸の海水温度の平年との差です。

sea-temperature-2015.gif
The Conversation


これが、2014年はどうだったかといいますと、下になります。

sea-temperature-2014.gif


2015年になって「赤い領域」、つまり、異常に海水温度が高い海域が飛躍的に増えていることがわかります。

しかも、 NOAA (アメリカ海洋大気庁)の、海水温度の偏差グラフは、「最大で差異が2度」となっていて、この図でだけでは「平年より2度以上高くはあるけれど、どのくらい高いかよくわからない」ということも言えそうです。

どうにも、アメリカ西海岸周辺の海域は「未知の領域」に踏み込んでいるともいえるようでもあり、これが直接、海洋生物の大量死と関係あるかどうかはわからないにしても、ここまでの激しさですと、「まったく関係がない」とはいえないと思われます。

現在のアメリカ西海岸沖は、もしかすると、生きものが住みにくくなっている海域、すなわち「デッドゾーン」と化しつつある可能性があります。

そして、このアメリカ西海岸の異常に高い海水温度が、このまま続いた場合、生態系の異常がさらに広がる可能性を指摘するメディアも多くなっています。

アメリカ西海岸は、海も大変ですが、陸地に上がれば、そこはもう激しい干ばつが今でも続いているようでして、打開の目処があるのかどうか・・・。

カリフォルニアなどでは、その干ばつのせいで、ネズミたちの水やエサが不足していて、

「ネズミたちが住宅を襲っている」

というようなことも、少し前に報じられていました。

rodents-001.gif

▲ 2015年04月22日のアメリカ CBS より。


いっぽうでは、海の中で死んでいく動物たちが多数いる中で、たくましく人間たちを襲い続けている動物の一群というものもあるようです。

ほしいものは消えていき、あまり喜ばしくないものは増えていく・・・いやいや、ここはシュタイナーのいう、あるいは、フランス映画『美しき緑の星』で表現される「肯定的な態度の重要性」を思い出すべきかもしれません。

あらゆるものを肯定的な面から見てみる。

「ああ、ネズミさん、何と美しい歯なんでしょう」

「さあ、ネズミさん、どんどん襲ってください」


うーん・・・。

やはり、こう素直には思えないなあ。

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2015年04月30日



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mass-dieoff-2015.gif

▲ 2015年04月29日の strange sounds Mass die-off 2015 より。


すさまじいペースで発生していた動物の大量死

昨年、

海で何が起きているのか : 5月から始まった全世界での数百万匹規模の海洋生物の大量死の理由は誰にも説明できない
 2014年06月02日

という記事で、2014年 4月から 5月にかけて、世界各地で、おびただしい海洋生物の大量死が起きていたことをご紹介したことがあります。

その期間(約2ヶ月間)の、大量死に関しての報道数は 40件ちょっとでした。

これはこれで大変な数だと思っていたのですが・・・最近見ました strange sounds というサイトに、今年1月から4月までの4ヵ月間の「大量死報道」について、すべて報道のリンクつきで、載せられていたのですが、その数・・・。

2015年1月 世界で 65 件の大量死報道
2015年2月 世界で 42 件の大量死報道
2015年3月 世界で 93 件の大量死報道
2015年4月 世界で 71 件の大量死報道


となっていまして、総計 270件を超えているのです。

単純に月平均にしますと、「 70件弱」となり、昨年の「異常な大量死報道」の3倍ほどにもなっていることがわかります。そして、これはすべて「報道されたもの」だけですので、世界の状況を見ますと、報道されていない例もかなりあると思います。

それにしても、この件数・・・。

そして、そのすべての報道のリンクを張るという、この記事の作者の執念的な労力も大変なものだと思います。

すべてをご紹介しないと、この迫力は伝わらない、とも思いましたが、271件全部を載せるのは、むしろ読まれる方にもご迷惑かとも思いますので、とりあえずは、4月の報道分はすべてご紹介する、ということにしまして、1月から3月までは、印象的なものをご紹介しておきます。

また、4月分の印象的なものについては、赤文字にして、報道先リンクを載せています。

それでは、ここからです。



Mass die-off 2015
strange sounds 2015.04.28

大量死 2015

2015年 4月

4月26日 カナダ - オンタリオ州で 8,000羽の七面鳥が鳥インフルエンザの流行によって死亡。

4月25日 米国 - フロリダ州のロングフィッシュ湖の湖岸に、大量の死んだ魚が打ち上げられる。

4月25日 ボリビア - チチカカ湖のほとりで数百羽の鳥や動物が死亡しているのが発見される。

4月25日 米国 - ノースダコタ州で 71,000の鳥が鳥インフルエンザにより死亡。

4月25日 中国 - ハルビンの川で魚の大量死。


4月24日 米国 - ミネソタ州で鳥インフルエンザにより 260万羽の鶏が死亡し、州は「非常事態」を宣言。(ロシア RT

minnesota-emg.gif


4月24日 米国 - 北カリフォルニアで、原因不明の死因による4頭のクジラの亡骸が打ち上げられる。

4月24日 チリ - トーレスデルパイネ国立公園の洪水の後、400匹の動物が死亡しているのが発見される。

4月23日 イギリス - カンブリアの海岸沿いに数千の死んだヒトデが見つかる。

4月22日 タイ - サラブリー県の川沿いで数千匹の魚が死んでいるのが見つかる。

4月22日 米国 - ニューヨーク州リッジブリー湖で数千匹の魚の大量死。

4月22日 米国 - ウィスコンシン州で 60,000羽の鳥が鳥インフルエンザの新たな流行により死亡。

4月22日 米国 - バーモント州のシャンプレーン湖で魚の大量死。

4月22日 中国 - 湖南省の川岸で、死亡した数百匹の魚が見つかる。


4月21日 米国 - アイオワ州で鳥インフルエンザで、530万羽の鶏が死亡。( USA トゥディ

530m-hen.gif


4月21日 スペイン - アストゥリアスの海岸沿いに4頭のイルカが死亡して打ち上げられる。

4月21日 コロンビア - マグダレーナの川と湖で魚の大量死。

4月21日 メキシコ - ボボズ川で魚の大量死。当局は「警戒すべき」と。


4月14日 ブラジル - 52トンの死んだ魚がリオ・デ・ジャネイロで発見される。(ブラジル G1 grobe

rio-dieoff.gif


4月20日 米国 - フロリダの湖で、数千匹の死んだ魚が打ち上げられる。

4月20日 ベリーズ - ベリーズ南部で、疾患により大量のエビが死滅した。当局は原因を調査中。

4月20日 米国 - ペンシルヴァニアの湖で、数百匹の死んだ魚が浮かぶ。

4月19日 カナダ - オックスフォードで 27,000羽の鶏が鳥インフルエンザで死亡する。


4月18日 ロシア - オムスクの港で「災害級」の魚の大量死。(ロシア Gorod55

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4月18日 カナダ - ケベック州で、アザラシやクジラなど、何百頭もの海洋哺乳類が死亡。(カナダ msn

4月18日 米国 - サウスダコタ州で、鳥インフルエンザにより 250,000羽以上の鳥が死亡。

4月18日 ベトナム - ニントゥアン省で 1,000以上の牛が「干ばつ」によって死亡している。

4月17日 カナダ - ケベック州の島で、数百匹の死んだ魚が見つかる。

4月17日 インド - バンガロールの池で、数百匹の死んだ魚が見つかる。

4月17日 フランス - 海岸で、十数匹の死んだイルカやクジラの死体が見つかる。原因は不明。

4月15日 イギリス - ノーフォーク州で、藻類の発生により数千匹の魚が死亡。

4月15日 中国 - 竜岩市の貯水池で大規模な魚の大量死。

4月15日 ベトナム - ホーチミン市の運河に沿って魚の大量死が見つかる。

4月14日 米国 - ペンシルベニア州北部全域の池で、何百匹もの死んだ魚が発見される。

4月14日 インド - テランガーナ州で 20万羽の鳥が鳥インフルエンザで死亡。

4月13日 インド - アーメダバードで雹(ひょう)の嵐で数百羽の鳥が死亡。

4月13日 米国 - ウィスコンシン州で鳥インフルエンザによって 20,000羽の鳥が死亡し、18万羽が殺処分される。

4月13日 米国 - コネチカット州の湖で数百匹の魚の大量死。

4月12日 米国 - オレゴン州ロッカウェービーチで、クラゲの大規模な大量死。


4月12日には、中国 - 広東省で数千匹の魚が突然、池に浮く(鳳凰網)。

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4月11日 日本 - 茨城県の海岸に 150匹のイルカが打ち上げられ、その大多数が後に死亡。

4月11日 米国 - 鳥インフルエンザで 120万羽の鳥が死亡。

4月10日 インドネシア - デリ・セルダン・リージェンシー川で、大規模な魚の大量死が発生。

4月9日 ニジェール - マラディの農場で鳥インフルエンザにより 2,440羽が死亡。


4月8日 韓国 - 2014年12月以来、疾病により、139,000頭の牛と、388万羽の鶏が殺処分された。( GrobalMeal

4月8日 米国 - ニューヨーク州西部の池で魚の大量死。

4月8日 米国 - マサチューセッツ州の池で、何百匹もの魚が死亡。

4月8日 ブラジル - ムリチバとバルゼドで 40,000羽の鶏が死亡。

4月7日 米国 - ノースダコタ州の湖で 600羽以上の水鳥が死んで発見される。

4月7日 カナダ - オンタリオ州で、鳥インフルエンザによって 7,500羽の七面鳥が死亡。

4月7日 タイ - ランパンで 5,000匹の死んだ魚が池に浮かんでいるのが発見される。

4月6日 台湾 - 鳥インフルエンザで 7,600羽のガチョウが死ぬ。

4月6日 インド - コレル湖で魚の大量死。

4月6日 インド - カーリーバインで数百匹の魚が死んで見つかる。

4月6日 オランダ - 北ブラバント州で、鳥インフルエンザが原因で 12,000羽の鳥が死亡。

4月6日 ポルトガル - テージョ川で数千匹の魚が死んで見つかる。

4月5日 ブラジル - サントスのマングローブ林で魚の大量死。

4月4日 メキシコ - トント川で数百匹の魚の大量死。

4月4日 イスラエル - イスラエル北部地区で 55,000羽の鳥が疾病で死亡。

4月3日 アルゼンチン - ラシエナガダムで魚の大量死。

4月3日 米国 - ペンシルベニア州ベツレヘム・タウンシップの池で死んだ魚が数百匹見つかる。この池では初めてのこと。

4月3日 中国 - ランタオ島で、数千匹の魚が浮かんでいるのが発見される。


4月2日 米国 - アラスカのスワード市沿岸で、海鳥が衰弱での大量死。(米国 Seward City News

4月2日 ベトナム - ハイズオン池で、何トンにもおよぶ魚が突然浮かび上がる。(ベトナム Lao Dong

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4月2日 カナダ - レジーナのワスカーナ湖で魚の大量死。

4月2日 米国 - サウスダコタ州で 53,000羽の七面鳥が鳥インフルエンザによって死亡。

4月2日 米国 - フロリダ州のペンサコーラビーチで、数千匹のクラゲが打ち上げられる。

4月1日 エクアドル - チンボラソで大雨の後に 75,000羽の鳥が死ぬ。

4月1日 タイ - サラブリ川の魚の養殖場で、何トンもの魚が死亡。

4月1日 アメリカ - ニュージャージー州の湖で、過去数週間にわたり、魚が打ち上げられ続けている。

4月1日 アメリカ - バージニア州のエリザベス川で、数百匹の死んだ魚が打ち上げられる。

4月1日 ジャマイカ - ポートモアの運河で、大規模な魚の大量死。




はあはあ・・・書き写すだけで、何だか疲れてきます。
4月はここまでです。

ここからは、3月から1月の中で、印象的なものをピックアップしておきます。



2015年 3月

3月31日 インドネシア - クロン・プロゴで数百羽の鶏が「突然」死亡。(インドネシア news.okezone

3月29日 中国 - 湘潭市の池で4トンの魚が池で死んでいるのが発見される( news.sina )。

3月28日 ルーマニア - ドナウデルタで 100羽のペリカンが鳥インフルエンザによって死んでいるのが発見される。( Reuter


3月21日 コロンビア - カンポアレグレのダムで 80トンもの魚の死骸が浮かぶ。( La Nacion

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3月17日 米国 - アイダホ州で 2,000羽以上の雪ガチョウが、空から死んで落ちてきた。( Yahoo! News

3月11日 ベトナムは - ハ・ティンで、何百ト​​ンものアサリが大量死。かつて、このようなことが起きたことはない。( Lao Dong

3月11日 ウルグアイ - 200トン以上の死んだ魚がモンテビデオに打ち上げられる。( El Observador

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3月9日 ミャンマー - モンユワで鳥インフルエンザが原因で 25万羽の鳥が死亡。( Myanmar Times

3月7日 アメリカ - カリフォルニア州で 1,450頭のアシカの子どもが病気で座礁するか、死亡している。推定では数万頭が死亡していると見られる。( Modesto Bee

3月6日 シンガポール - シンガポールの東にある養魚場での藻類により、600トンの魚が死亡。( Channel News Asia


3月4日 台湾 - 今年1月から 417万羽の鳥が、鳥インフルエンザによって殺処分されている。( Focus Taiwan



2015年 2月

2月28日 オーストラリア - ニューサウスウェールズ州ベリンジャー川で 100匹のカメが死亡。または瀕死で見つかる。(オーストラリア abc

2月23日 南スーダン - パリアン郡で「未知の病」により、2,500頭の牛が死亡。( Radio Tamazuj

2月19日 インド -オリッサ州で 800頭以上(おそらく数千頭)の死んだカメが打ち上げられる。(インド Odishasunt Times

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2月19日 ナイジェリア - 鳥インフルエンザが原因で 41万 7041羽の鳥が死亡。( all africa

2月14日 ニュージーランド - フェアウェル・スピットで 198頭のクジラが座礁し、そのうち 140頭が死亡。( sky news

2月4日 台湾 - 鳥インフルエンザにより 107万羽のガチョウが殺処分。これは、台湾のガチョウの数の半数以上。


2月4日 インドネシア - マニンジャウ湖で 16.5トンの魚が「突然」死亡。(インドネシア Antara News

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2月3日 イタリア - エミリア・ロマーニャで 12月と1月の間に 135匹のカメが死んでいるのが発見される。( Quotidiano



2015年 1月

1月31日 メキシコ - バハカリフォルニアのビーチで 150頭のカメが死んでいるのが発見される。( Pulso

1月26日 ブラジル - 過去2ヶ月の間に、リオ・グランデ・ド・スルの海岸に 350頭のカメが死んで打ち上げられている。( Gaucha

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1月12日 南スーダン - ジョングレイ州で 2,000頭の牛が疾患により死亡。( Radio Tamazuj




というわけで、1月に到達した頃には疲れてしまって、月を遡るごとに紹介する出来事が少なくなっていますが、最近は、あまり大量死の報道を気にしていなかったですけど、なかなか大変なことになっているようです。

特に、「カメの大量死」が多くなっているというのと、台湾の鳥インフルエンザが大変なことになっていたことを知りました。

今回は羅列で終わってしまいますけれども、今後の流れ次第では、この「大量死」ということに関しても、かなり激しい時代に突入している可能性もあります。

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2014年12月26日



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・インフルエンザ・ウイルス。Medical News Today




インフルエンザワクチン効果60%の実相

クリスマスイヴの翌日から子ども(小3)の学校の冬休みが始まったのですが、何しろ私の住む埼玉県は以下の状況。

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▲ 2014年12月25日の NHK 「全国で初 埼玉県でインフルエンザ警報」より。


子どもに、

「昨日、クラスでどのくらい休んでいる子がいた?」

ときくと、

「3人くらい。助さん(仮名)と角さん(仮名)と、お銀ちゃん(仮名)」

とのこと。

 「え? お銀ちゃんも?」
 「そう」
 「クリスマスの日にインフルエンザだなんてかわいそうに」


お銀ちゃん(仮名)は、近所に住むうちの子どもと同じクラスの女の子で、うちの子が、学校を休む時に連絡や宿題などを伝えてくれるために家に来てくれるため、わりとよく話をする子です。

それで、私が「え?」と言ったのは、1ヶ月くらい前、うちに連絡帳を届けにきた時に下のような会話をしたことがあったからでした。

 「インフルエンザが流行ってるけど、大丈夫?」
お銀「昨日、予防注射したから大丈夫」
 「予防注射したんだ」
お銀「私、注射すっごく嫌いなんですよ。でも、頑張ってやってきた」
 「それじゃ、大丈夫だといいね」


しかし、結局、インフルエンザにかかってしまったようです。

インフルエンザワクチンの効果は、「スタンリー・キューブリックとT氏のふたりの亡霊に…」という記事に「注射タイプのインフルエンザ・ワクチンの有効率」についてのわかりやすい図を載せたことがあります。

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インフルエンザワクチンの発症予防効果について


まあ、その効果云々はともかく、わりといつもうちの子のことを気にかけてくれている女の子が、せっかくのクリスマスの日にインフルエンザとはなあ、と思った次第です。

男の子でも女の子でも、小学3年生くらいだと、クリスマスは楽しみで楽しみで仕方ないはずですし。

そういえば、ワクチンに関して、先日、下のような報道がありました。

インフル:ワクチン、小児に効果大 流行のA香港型で6割
毎日新聞 2014.12.25

この冬に流行中のA香港型インフルエンザについて、15歳以下の小児でワクチンの効果が予想以上に高いことが、慶応大の研究グループの調べで分かった。接種を受けた小児の約60%に発病を抑える効果が見られるという。

グループ代表でけいゆう病院小児科の菅谷憲夫医師は「予想外の結果だ。未接種の人は早めにワクチン接種を受けてほしい」と呼び掛けている。

この記事の中の、

> 接種を受けた小児の約60%に発病を抑える効果が見られるという。

というのは、何だかものすごく効果の高い感じに見えるのですが、グラフで見れば、その「実相」がわかります。

それこそ、製薬会社のグラフを用いたほうが信用性があると思いますので、アステラス製薬の「インフルエンザワクチンの接種」というページからご紹介します。

そこに「インフルエンザワクチンの有効率60%とは」ということについて、グラフで示されています。

flu-astral.gif

・上段の1組が 40人全員がワクチンを「接種しなかった」グループ
・下段の2組が 40人全員がワクチンを「接種した」グループ


となっていて、その差は上のグラフの通りなんですが、これを「ものすごい効果だ」と感じるか、「大した効果ではない」と感じるかは、各自で違うと思いますので、そのことには言及しませんが、いずれにせよ、これが「予防効果 60パーセントの実相」です。

もちろん、統計の取り方はいろいろとあり、実際に効果的なのかもしれないですし、「ほとんど意味のないものかもしれない」ですし(高齢者にはほとんど効果がないことはわかっています)、個人の判断に委ねられているものだと思います。

それにしても、上の毎日新聞の報道で、医師の方が、

「予想外の結果だ」

と言っているのは、ややアレですが。
よほどワクチンは効かないものだと自覚してらっしゃったというような雰囲気が……。

以前、近所の小児科の先生が、

「どうやったって、(インフルエンザに)かかる時にはかかりますよ」

と言っていましたけれど、これが真実に近いのかもしれません。

あと、日本では、RSウイルスというものも5週連続で過去最高の患者数を記録しています。

RSウイルスの患者増続く…4週連続で最悪更新
読売新聞 2014.12.24

乳幼児の重い肺炎や気管支炎の原因となるRSウイルスの流行の拡大が続き、国立感染症研究所は24日、1週間あたりの患者数が4週連続で過去最悪を更新した、と発表した。

小児科のある全国約3000医療機関が報告した患者数は今月8〜14日で8180人に達し、前週の6851人を大きく上回った。2003年の調査開始以降、初めて8000人を超えた。

この RSウイルスは、小さな子どもや、高齢者などでは重症化することもあるものらしいんですが、流行期はまだまだ続きますから、今シーズンは記録的な患者数となり、先月の日刊ゲンダイにあった「インフルより怖い 「RSウイルス」パンデミック秒読み危機」などという派手な表現も、あながち間違いではない状況になりつつあるのかもしれません。




少しも上昇グラフは衰えていないエボラ出血熱患者数

最近はあまりメディアなどでは報道されなくなりましたが、西アフリカのエボラ出血熱の流行は、その主要流行地がリベリアからシエオラレオネに移っただけで、下のグラフように、患者数の発生上昇の曲線はまったく衰えることなく上がり続けています。

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Ebola virus epidemic in West Africa


このグラフは、人数ではなく、「その国の人口に対して、エボラ患者が何パーセントいるか」を示したもので、その国家に与える影響を考える上では、実数よりもわかりやすい面があります。

グラフでは文字が小さくなっていて見えにくいですが、2014年4月1日時点では、エボラ患者の人口に対する比率は、ギニア、リベリア、シエオラレオネで、共に「 0.001%」程度か、それ以下でした。

しかし、12月9日の時点では、

・リベリア 人口比患者数 0.19%
・シエオラレオネ 人口比患者数 0.13%
・ギニア 人口比患者数 0.02%


となっています。

大したことのない比率に見えるかもしれないですけれど、リベリアの 0.19%というのは、日本の人口約 1億2700万人の場合にたとえると、25万人程にのぼる率となるわけですが、たとえばですが、

「日本で致死率 50パーセント以上の感染症が 25万人に感染する」

というようなことになれば、これは「国家レベルの厄災」といえるものとなるわけだと思いますが、リベリアやシエオラレオネはそのような事態に陥っているということになりそうです。

WHO 集計の 12月14日時点の世界(ほとんどが西アフリカの上記3カ国)でのエボラ患者数は 1万 8,590人となっています。10月17日は 9,668人でしたから、2ヶ月間で倍増している計算になります。

死者は 7,288人となっていますが、集計には曖昧な部分があり、患者数、死者数共に、実際の数はこれよりもかなり多いとされることが WHO から公式な声明として出されています。

特に、現在はシエオラレオネがひどい状態で、時には数日で 500人くらいずつ患者が増えていっているという状況になっているようです。

sierra-leone-12.gif
Ebola virus epidemic in West Africa

もっとも、アフリカは、

タイムリーな黒点の姿と「 X 100,000 クラス」の超特大スーパーフレアの存在
 2014年10月21日

という記事にも書いたことがありますが、さまざまな国で「国家的レベルの厄災」としての感染症が、エイズを筆頭に他に多々あることも事実です。

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Vox

アフリカでの2012年の死亡原因

1位 エイズ 108 万 8000人
2位 呼吸器疾患 104万 9000人
3位 下痢症 60万 3000人


病気といえば、先月の、

ブルガリア政府が国家機密を解除し公開された「ババ・バンガの2015年の予言」の内容
 2014年11月24日

という記事で、ブルガリアで機密指定文書とされている、著名な予言者ババ・バンガの 2015年の予言のうちの一部が公開されたことを記しました。

その中に、

ウイルスの蔓延が収まらない。ワクチンが作り出され、「最悪期は脱した」とする騒がしい声明が出されるだろうが、逆にウイルスはそこから突然変異による新しいウイルスの形態を獲得し、ウイルスが勝利する。

シベリアとオーストラリア以外の全世界がウイルスで汚染される。

という記述があったことを思い出しました。「ウイルス」とあるだけで、それがどんなウイルスなのかはわかりませんが、相変わらず感染症に関しての報道は連日のようにあります。

アメリカでは、「リステリア症」という感染症の患者が発生していることが大きく報道されています。




年間500名が死亡しているアメリカのリステリア症と患者数が100万人を超えたチクングニア熱

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▲ 2014年12月25日の Empire State Tribune より。


アイスクリーム会社の製品とありますが、正確には「キャラメルアップル」というもので、リンゴの周囲にキャラメルがかかっている下のようなお菓子ですね。

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Fox News

アメリカ疾病予防管理センター( CDC )の報告によりますと、アメリカ 10州で、29人が発症して入院しているとのこと。

ところで、私はこの、リステリア症という病気がどんなものなのか、よく知りませんでしたが、調べてみると、

妊婦とその胎児を主として狙うバクテリア

という、ちょっとイヤな感じのバクテリアであることを知りました。

下は、横浜衛生研究所の「リステリア症について」というページからです。

アメリカ合衆国では、毎年約2500人が重症のリステリア症となり、そのうち、約500人が死亡していると推定されています。アメリカ合衆国では、毎年約5000人が食物由来の感染症で死亡していると推定されていますので、そのうち約10%がリステリア症によることになります。

ということで、アメリカの食品関連の死者としてはかなりの部分を占めるものであるようです。

横浜衛生研究所のこのページでは、リステリア症にかかりやすい人を挙げていますが、その一部は下のようになります。

リステリア症になりやすいのは、以下に示す人たちです。 リステリア症になりやすい人がリステリア症になった場合の致死率は20-30%と高いです。

・妊娠している女性 : 健康な成人より20倍リステリア症になりやすいです。

・胎児・新生児 : 妊娠中の感染は、妊娠している女性よりもおなかの中のこども(胎児)に深刻な影響を与えます。

・エイズ患者 : 正常な免疫機能の人たちより300倍リステリア症になりやすいです。

などがありまして、エイズ患者など免疫の弱っている人たちや高齢者などを除くと、若い年齢でリステリア症になりやすいのは「妊婦」が主のようです。

日本での患者発生は少ないようですが、食品安全委員会の資料によりますと、日本の重症リステリア症の発症数は「年平均 83例」とあり、少ないながらも、発生はしているようです。

妊娠されている方などで気になる方は、横浜衛生研究所のページや厚生労働省のサイトに、予防のための方法などが記載されていますので、ご覧になっておいてもいいかもしれません。

それにしても、今回のアメリカのリステリア症の流行の源は「キャラメル・アップル」で、とても細菌に汚染されていることを気にして食べるようなものではないです。

今年 2014年は、本当に様々な感染症が拡大した年で、東南アジアや中国などで、過去最大クラスのデング熱の流行があったり、また、中南米を中心として、やはりデング熱と同じ蚊を媒介して起きるチクングニア熱の患者数が 100万人規模のとんでもない大流行となったりしています。

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▲ 2014年12月24日の withnews より。


チクングニア熱はデング熱より症状が重く、場合によっては、関節痛などが「1年間以上」も続くことがあるそうですので、海外旅行に行く方で、中南米や、アメリカでも南部のほうに行かれる方は蚊に刺されない注意は必要だと思われます。

現在の中南米のチクングニア熱の流行は、2013年の暮れ頃から始まっていますので、約1年間、拡大し続けているということになるわけですが、日本などの場合では「冬になれば、蚊が生息できなくなり、流行は終わる」という状況があるわけですが、中米のように、年中、蚊が生息でき得る地域では、流行の終結がいつになるのかわからない面があります。

そして、同じように、「この1年間拡大し続けている病気」として、

病気の時代 : 致死率が 20パーセント台となっている中国の H7N9 の真相の謎。そして、カザフスタンで感染が拡大する謎の眠り病にタラビッチの予言した「未来」を思う
 2014年01月30日

という記事で、今年1月のカザフスタンの報道で、

「眠り続ける奇妙な病気」が人々に蔓延している村がある

ということをご紹介したことがあります。




この1年間増加し続けていたカザフスタンの「原因不明の眠り病」の患者数

それは下のような出だしの報道でした。

カザフスタンの小さな村の住民たちは、日中、突然深い眠りに入ってしまう奇妙な病気の流行に直面している。医師たちもこの不思議な現象を説明することができないでいる。

この病気にかかると、文字通り「人々は歩きながら眠りに落ちる」というような状態になることをロシアのタス通信は伝えている。

この疾患は、14歳から70歳までの、少なくとも十数人が、医療センターに赴き、それぞれが同じ症状を訴えたことが昨年から報告されている。それぞれに接触はなかったという。


原因も治療法もわからないこの病気の患者の数が顕著になり、1年経とうしている現在、なお、患者は増加し続けているということを知りました。

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IB Times


その記事をご紹介して締めたいと思います。

1年前は、「十数人」だった、この病気の患者が「 600人」にまで増えています。

病気の原因はわかっていませんが、地元の人は、この村の近くにかつてあった旧ソ連の秘密施設であったウラン採掘場と関係があるのではないかと考えているそうです。

しかし、そのウラン採掘場が閉鎖となったのは今から 20年以上前で、今になって、しかも、この1年間で唐突に患者数が増える理由がわからず、どうも複雑な原因がありそうですが、やはり「謎の奇妙な病気」としか言えない部分があります。

インターナショナル・ビジネス・タイムズの記事となります。



600 in Kazakhstan Village Suffer from Strange 'Brain' Disease that Makes Them Fall Asleep for 'Days'
International Business Times 2014.12.16

カザフスタンの村で、「何日間も眠ってしまう」奇妙な「脳」疾患により人々が苦しめられている

最近、ロシアで放映されたロシア・トゥディのドキュメンタリーによれば、カザフスタンの小さな村で、「眠りに落ちてしまう」奇妙な病気に苦しめられている人たちの数が 600人以上と、予想外に多いことがわかった。

カザフスタンの小さな村カラチ( Kalachi )では、10人に 1人の村民が、予期せぬ白昼の眠りに落ちていることがわかった。その中には何日間も眠り続ける人たちもいる。

ドキュメンタリーによれば、この病気は無差別に村民たちに襲いかかり、現在のところ、いかなる治療法も存在しない。

この「眠り病のパンデミック」が最初に村に現れたのは数年前のことだった。

しかし、現在では、カラチのほぼすべての家庭がこの病気による影響を受け始めている状況になってきている。

9月の始めの新学期の初日には、子どもたちが次々と眠りに落ち始めた。少なくとも、その日の1日だけで、8人の子どもが眠りに落ちた。

別の例では、少なくとも 60名がほぼ同時に眠り、救急隊員により搬送された。

この不可解な疾患の原因を見つけるための試みは長きにわたり続けられているにも関わらず、現時点でも原因はまったくわかっていない。

これまで、ウイルス学者、放射線科医、毒物学者を含む科学者や医療専門家たちのグループが村を訪れ、研究を続けているが、原因の特定には至っていない。

もし、このまま治療法が見つからない場合、二度と目を覚ますことができなくなる日が訪れるのかもしれないと、地元の人たちは恐れている。

この症状に苦しむ少年の父親は、以下のように語る。

「たとえば、彼を起こそうとするとします。すると、目を開けたがっているようなのに、目を開けることができないのです」

眠りにつくだけではなく、記憶喪失、めまい、吐き気などの症状がある人もいる。
中には、幻覚を見る人もいる。

症状をもつある女性は、「まるで、鉄のブーツを履いているかのように足が重く感じて、しかも、足の力が弱まっていて、足を動かすのが難しいのです。それに、めまいがして、酔っている時のように舌がもつれるのです」と言う。

ある患者は1週間以上眠り続けたという。

原因は突き止められていないとはいえ、村人たちは、20年以上前に閉鎖された旧ソ連の極秘施設だったウラン採掘場に関係があると考えている。

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2014年12月18日



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▲ 2014年12月14日の英国インディペンデントより。




6度目の大量死時代

今年になってからは、「大量絶滅」という言葉が出てくる報道をよく目にします。
上のものは、先日、科学誌ネイチャーに掲載されたもので、

現在、両生類の 41%、哺乳類で 26%、鳥類で 13%が絶滅の危機に瀕しており、今の率で進めば、次の 100年か 200年の間に、全生物種の 75%以上が絶滅するような、いわゆる「大量絶滅」の状態となる可能性がある

ことについて書かれています。

今年7月にも、科学誌サイエンスで、スタンフォード大学による同じような研究論文が発表されていて、それによりますと、

・西暦 1500年から現在までに 320種類の脊椎動物が絶滅している
・その期間に、生物種の個体数も平均して 25%減少している


ということで、こちらではその大きな原因のひとつは人間によるものだと主張されています。

原因は何であるにしても、多くの科学者たちが、現在の地球が6度目の大量絶滅に瀕しているという可能性を述べているわけですが、昨年や今年の記事では、特に海洋生物の大量死について、ずいぶんと書きました。

昨年は、アメリカ東部でイルカの大量死が続いていることを何度か記したことがあります。

下のように、2013年は平年と比較して異常な数のイルカがアメリカ東海岸に打ち上げられました。

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▲ 2013年12月02日の記事「東の海ではイルカの大量死、西の海ではザトウクジラの狂乱の渦中にあるアメリカ」より。


このイルカの大量死については、2014年に入ってからは落ち着いています。

dolphine-noaa-2014.gif
NOAA

あるいは、アメリカ周辺で、ヒトデが地域的には絶滅状態となっていることもご紹介したこともありました。これについては、

米国オレゴン州のヒトデは「絶滅の方向」へ。そして、その出来事から考える、神や神のようなものが自然の中に創造したものたちの色や形の意味
 2014年06月06日

などに書いています。

また、今年は、「海洋生物全体の大量死」というものも、世界中でよく報じられました。

海で何が起きているのか : 5月から始まった全世界での数百万匹規模の海洋生物の大量死の理由は誰にも説明できない
 2014年06月02日

では、ロシアのプラウダの下の記事をご紹介したことがあります。

Emergency: Our planet is dying
ブラウダ 2014.06.01

非常事態:私たちの星は死にかけている

魚が世界中で前例のない数で死んでいる。米国カリフォルニア州では5月に6トン以上の魚が突然水上に浮かび上がった。また、やはり5月、米国では50万匹のコイが、ケンタッキー州のカンバーランド川で死んでいるのが発見された。

ミネソタ州では、35,000匹の魚が死んだ。ニュージャージー州のベルマーでは数千匹の魚の大量死。 カリフォルニア州マニフィーでも数千匹の魚の大量死が起きた。バーモント州のフェルズポイントでは、突然、湖に何百万匹の魚が死んで浮くという驚異的な出来事も起きている。

他の国では、メキシコ湾で、死んで打ち上げられるカメやイルカの数が記録的となっており、シンガポールでは 160トンの魚の死骸が浮いた。

中国ではフヘ川で、40キロメートルに渡り、魚の死体が浮かび上がった。
ギリシャのコモティニでは、10トンの魚の大量死が見つかった。

他にも、この2ヶ月ほどの間に、アルメニア、インド、カナダ、オーストラリア、北イングランド、イギリス、コロンビア、コスタリカ、ブルガリア、ホンジュラス、アルゼンチン、デンマーク、ブラジル、パナマ、イラン、アイルランド、スリランカなどで魚の大量死が発生している。

いったい何が起きているのか?

今年は、通常と比べても、海洋生物の大量死が多い年だったかもしれません。

そんな年の瀬ですが、ニューヨーク・タイムズの記事で、

「アメリカ東部のケープコッド湾という沿岸部に座礁するウミガメの数が驚異的な数に上っている」

という記事を目にしましたので、ご紹介したいと思います。
アメリカの海では、イルカ、ヒトデの大量死があり、今度はウミガメです。




アメリカ東部で増える異常な数のウミガメの座礁

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▲ 2014年12月12日の米国ニューヨーク・タイムズより。


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この場所は、平年は1年間で数十頭の座礁するカメが保護される程度らしいのですが、今年は現時点で、すでに 1,200頭が座礁しているのだとか。しかも、今も連日、その状態が続いているので、今年の終わりまでに発見されるカメたちの数がどのくらいになるのかわかっていません。

多くは救助されていますが、助からなかったカメたちも多いようです。

しかも、そのほとんどが下のような「子どものカメ」なのです。
このカメたちは救助され、水族館で治療を受けているカメたちです。
どういうわけか、大人のカメはほとんどいないようです。

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New York Times


アメリカのウミガメは秋になると、カニなどのエサを求めて、暖かい南部から東部の北側の海にやってくるのだそうで、海が冷たくなる冬にはまた暖かい南部に戻るのですが、理由は不明ながら、今年は、南部に戻ることができないカメたちが激増しているのだそう。

本来は、カメたちは「本能」として元の海域に戻るわけですが、その本能が欠落した子どものカメが激増しているという言い方でもいいかと思われます。

戻ることができないウミガメたちはこの地域の冬の海の温度には耐えられず、そのため、連日、ボランティアなどによる賢明な救出が続いているとのことです。

しかも、この 1,200頭という数は発見、あるいは救出されたカメの数であり、発見されないまま死亡している数はこれよりはるかに多いことが想像されます。

そういえば、つい先日も、デンマーク、ドイツ、スウェーデンなで、アザラシが合計 4600頭程度が鳥インフルエンザによって死亡するという記事があったりしまして、原因は様々ですが、海洋動物の危機は続いているのかもしれません。

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▲ 2014年12月17日の Press TV より。日本語の記事は AFP の「北欧のアザラシ大量死、鳥インフル原因か」で読むことができます。


それでは、ここから、ウミガメに関してのニューヨーク・タイムズの記事です。



Cape Cod Mystery: A Surge of Stranded Turtles
New York Times 2014.12.12


ケープコッド湾のミステリー:座礁するウミガメが急増


若いウミガメたちが、カニなどのエサを獲得するために暖かい海から離れ、アメリカの東海岸におもむくことはよく知られている。しかし、それらの中の一部が、その場に長く居座り続けてしまって、寒い季節になるまで残ってしまうことがある。

そのため、毎年この時期は、ウミガメたちを救うために、ボランティアたちがケープコッド湾を巡廻して監視を行っている。

それは絶滅の危機に瀕している6種類のウミガメで、彼らが、満潮時に海岸に打ち上げられた際に救出し、リハビリして体調を回復させた後、アメリカ南部の暖かい海へと移送する。

ところが、今年は、異常な数のウミガメたちが座礁しているのが見つかっているのだ。
しかも、その理由が誰にもわからない。

11月の中旬以来、パトロールのボランティアたちは、1,200頭に近い数の座礁したウミガメを発見している。ほとんどが子どものケンプヒメウミガメ( Kemp's ridley turtle )で、この種は絶滅が危惧されている。


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この 1,200頭という数は、以前に記録的な数のウミガメの座礁があった際の3倍に達していて、毎年の平均数とは比較できないほど多い。

現在も毎日、多くの座礁したカメが発見され続けている。

そのうちの数百頭はボランティアたちに救助され生き残るが、しかし、他の数百頭はそうではない。

座礁したカメは、多くが、ディナープレート程度の大きさの2歳から3歳のカメたちで、救出された後は、遠く離れたテキサス州にある水族館で、獣医やボランティアたちによってリハビリをされた後に、海へ放たれる。

ケープコッド湾で救出されたカメの治療にあたるマサチューセッツ州のニューイングランド水族館( New England Aquarium )の病院では、今年、寒さに打ちのめされた数百頭のウミガメたちが運びこまれた。

野生動物の専門家で、32年間、ウミガメの救出に携わってきた、ボブ・プレスコット( Bob Prescott )氏は、その 32年間のあいだに、このような事態とは遭遇したことがないと語る。

プレスコット氏が毎年発見する座礁したウミガメは、普通だと年間に1頭から2頭だという。

しかし、今年は違った。

プレスコット氏は、すでに 157頭の座礁したウミガメを発見しているのだ。

水族館の海洋生物の保護とリハビリテーションの責任者であるコニー・メリゴ( Connie Merigo )保護監督官は、「私は言葉を失っています」と言う。

「通常の年ですと、救助されるカメの数は年間を通して 70頭から 90頭です。それが、今年は今の時点で 1,200頭という数になっているのです」

水族館の獣医師やボランティアたちは、11月中旬以来、毎日 12時間から 16時間をカメの救助と治療に費やしている。

そして、今年、このような事態が突如として起きたことについて、事前には、何の兆候もなかった。

以前、ウミガメの大量座礁が記録されたのは、1989年に約 100頭、1999年には 163頭、そして、2012年には 413頭のウミガメが救出されたことがある。

この理由についてはよくわかってはいない。

オレゴン州立大学の生物学者、セリーナ・ヘッペル( Selina Heppell )教授は、「これらのカメの冬の座礁の理由について説明することはとても難しいのです」と言う。

「地域の状況の変化、たとえば急激に気温が下がったことなどが関係しているかもしれないですが、カメの行動については十分にはわかっていません」

そして、教授はこのように言う。

「今回のような出来事の長期的な影響について予測することもまた難しいです。なぜなら、救出されているカメは一部であり、実際には、私たちが発見していない数の多くのカメたちが死亡している可能性があるからです」

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2014年11月18日



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▲ 2014年11月17日の英国 BBC Egyptian woman dies of H5N1 virus より。



1918年のパンデミックと似た傾向が見られる気のする最近のインフルエンザ

昨年と今年は、病気の報道を数多くご紹介した年でした。多くが「ウイルス」によるものであったことが特徴で、アフリカの過去最大のエボラの流行、東南アジアのかつてない規模のデング熱の流行、そして、昨シーズンのアメリカなどを中心にした記録的な数のインフルエンザ患者と死者数が報じられたりもしていました。

この「病気の時代」と言えるような状態については今後も継続していくと、私自身は思っているのですが、気づけば時期も 11月ということで、またインフルエンザの流行する時期がやってきました。

そして、人間のインフルエンザの流行と時期を合わせるように世界各地で鳥インフルエンザが発見されたり、あるいは鳥インフルエンザによるヒトの死者が発生しています。

東京でも江東区で鳥インフルエンザの鳥の死骸が発見されています(報道)。

それらのことと関係あるというわけではないのですが、

「昨年からのインフルエンザの傾向として気になっていること」

があります。

それは、冒頭の BBC の記事にも示されていますので、まずはこの記事をご紹介したいと思います。



Egyptian woman dies of H5N1 virus
BBC 2014.11.17

鳥インフルエンザ:エジプト人女性が H5N1 ウイルスによって死亡

エジプト人女性が、鳥インフルエンザウイルス H5N1 型に感染した鳥と接触した後に死亡した。女性は 19歳で、エジプト南部の町アシュートの病院で死亡した。

当局の発表によると、今年になってからエジプト国内での鳥インフルエンザの感染者数は7人となり、死亡例は今回が2例目となる。これ以前に、英国、ドイツ、オランダで、エジプトのウイルスとは異なる種の鳥インフルエンザが確認されている。

エジプト保健省は、他の2人が鳥インフルエンザに感染していると発表した。そのうちの1人は3歳の子どもだが、現在順調に回復しているという。もう1人は 30歳の女性。エジプトでの H5N1 での最初の死亡例は今年6月に起きた。

鳥インフルエンザ H5N1 型は、1993年に香港で初めてヒトへの感染が確認されて以来、世界中に広がっている。世界保健機関(WHO)によると、2003年以降、全世界で H5N1 のヒトでの発症例は 667 件にのぼる。

現在までの H5N1 のヒト感染での死亡率は約 60パーセントに達する。




というものです。

上に出てきたエジプト、英国、ドイツ、オランダの他に、韓国、日本などで、鳥インフルエンザに感染した鳥が見つかっていて、世界で「同時多発的」に発生した感じがあります。

しかし、これらの鳥インフルエンザについてはともかく、上の BBC の記事の中で、先ほど書きました「昨年からのインフルエンザの傾向として気になっていること」とは何かというと、症例が1件だけでどうのこうの言うのもあれなんですが、「死亡したのが 19歳の女性」だということです。

今年2月の、

病気の時代 : 太陽活動での地磁気の乱れが誘発するもの。そして「新種」の病気の出現に震え上がるアメリカ国民
 2014年02月27日

という記事の中で、アメリカでの昨シーズンのインフルエンザ流行シーズンの特徴として、

「若い世代のほうが患者数も死亡者数も多かった」

という特徴があったことを書きました。
下はその時の CNN の報道です。

今年の米国のインフルエンザは「若い世代」を直撃
CNN 2014.02.24

米疾病対策センター(CDC)がこのほどまとめた統計で、今シーズンのインフルエンザは前年に比べて65歳未満の患者が大幅に増えていることが分かった。

それによると、今シーズンにインフルエンザ関連の症状で入院した患者は、18〜64歳の層が61%を占め、前年の約35%を大幅に上回った。

65歳未満の死者も例年以上に多く、死者の半数強は25〜64歳だった。昨年の死者に占めるこの世代の割合は25%未満だった。

通常なら、インフルエンザは、

高齢者や赤ちゃんが重症化することが多い

のですが、昨シーズンのアメリカのインフルエンザは、

通常だと死亡者の少ない 25〜 64歳での死者が非常に多かった

というものだったのです。

そして、この特徴は、史上最大の鳥インフルエンザのパンデミックである 1918年のスペインかぜの際の特徴とも似ているということが気になったのでした。




死亡者の99パーセントが65歳以下だったスペインかぜ(第二波の流行時)

下は、2006年の日経BPの記事からの抜粋です。

多くの若者を殺した「パンデミック」の真実
日経BP 2006.03.20

インフルエンザウイルスは毎年、慢性疾患や免疫力の低下している患者、小児やお年寄りを中心に数多くの命を奪っている。だが、1918年の「スペイン風邪」のインフルエンザウイルスでは、20歳〜40歳代の若者たちが最も多く亡くなっていたことに大きな特徴があった。

とあります。

東京都健康安全研究センターにある資料「日本におけるスペインかぜの精密分析」という資料にある「日本でのスペインかぜの死亡者年齢のピーク」を見ても、そのことがよくわかります。

死亡者年齢の分布

男子
1917-19年 21-23歳の年齢域で死亡者数のピーク

女子
1917-19年 24-26歳の年齢域で死亡者数のピーク

体力的に最も充実している時、つまり普通に考えれば「最も病気に対しての抵抗力を持っている」といえる二十代が中心として亡くなっていく。

お年寄りや赤ちゃんたちは生きのびる。

特に流行第二波(1918年の秋)では「高齢者はまったくといっていいほど死亡しなかった」のです。国立感染症研究所のページに下のような記述があります。

国立感染症情報センター インフルエンザ・パンデミックに関するQ&Aより

1918年の晩秋から始まった第二波は10倍の致死率となり、しかも15〜35歳の健康な若年者層においてもっとも多くの死がみられ、死亡例の99%が65歳以下の若い年齢層に発生したという、過去にも、またそれ以降にも例のみられない現象が確認されています。

この、

> 死亡例の99%が65歳以下

というのは、現在の通常のインフルエンザと比較しましても、死者の年齢の分布が極めて異質であることを示しています。

さきほど抜粋しました昨年の CNN の報道の中にある、

> 死者の半数強は25〜64歳だった。

という記述からスペインかぜのことを思い出したのは、ここに理由があります。

アメリカのインフルエンザは通常のインフルエンザですが、「何かが少し変化してきている」ように感じたのです。

いずれにしても、スペインかぜとはそのような「若者を中心に殺す」インフルエンザだったのですね。
そして、そのスペインかぜは、上記の日経BP の記述によりますと、

この間、たった6カ月間の間に地球上の人類すべてに当たる20億人が「スペイン風邪」を患ったという。ところが、翌1919年の春頃から、いつの間にか消え去った。何が「スペイン風邪」を引き起こしたのか、まったくわからないままに……。

というように、パンデミックは「自然と」収まっていきました。なお、「20億人がスペイン風邪を患った」とありますが、現在では、感染者は世界で5億人から6億人だったとされています。

> 何が「スペイン風邪」を引き起こしたのか

という部分に関しては、小さな声で「彗星……」と呼応したくなりますが、今回はパンスペルミア説のことを書きたいわけではないので、そこには触れません。




何が日本のパンデミックでの致死率を大幅に低下させた?

全世界で5億人から6億人が感染したとされるスペインかぜですが、日本での流行の全期間(1918年8月から 1921年7月)の間の感染者数は 2380万 4673人で、当時の日本人口約 5,000万人のほぼ半数が鳥インフルエンザに感染したことになります。

そのうち、死者は 38万 8,727人

非常に多くの方々が亡くなった……とはいえ、ふと気づくのは、この約 2380万人の患者に対して、死亡者が約 39万人というのは、感染者の致死率が 1.6 パーセント程度という計算になることに初めて気づきました。

というのも、たとえば、スペインかぜ - Wikipedia には、全世界の死者に関して、

感染者6億人、死者4,000〜5,000万人。

という記述があります。

スペインかぜの世界的な正確な統計は存在しないですので、上の数字そのものは確かに曖昧でしょうが、それでも、大ざっぱに考えても、上の「 6億人の感染者に対して、4000万人くらいの死者」ということは、感染者の 7パーセントから 8パーセントは死亡していたという計算になります。

国立感染症研究所のページでは、患者数約 5億人としていて、死亡者数に関しては、 WHO の推計で 4,000万人、その後の科学者たちの研究で約 5,000万人となっていますが、どちらの推計にしても、この 「5億人の患者に対して5,000万人の死者」というのは、

致死率 10パーセント前後にも達する

というようなことも意味しそうで、日本の 1パーセント台の致死率とは、ずいぶんとかけ離れていることがわかります。

この「日本人の致死率の低さ」は今まで気づいていなかったことですけど、しかし、なぜ……?。

たとえば、現在の普通のインフルエンザの死者数は、大まかなところでは、日本も他の主要国と同程度だと思われます。

現在のインフルエンザでの死亡者数は、直接的な死因としてだけでなく、間接的にインフルエンザの流行によって生じた死亡を推計する「超過死亡概念」という定義に基づいて出されることが多く、こちらの方が実態と近くなりますが、これで日本のインフルエンザでの年間の死亡者を見てみますと以下のようになります。

ちょっと古いものですが、厚生労働省の人口動態統計のグラフを数値化したものです。

2000年 13,845人
2001年   913人
2002年  1,078人
2003年 11,215人
2004年  2,400人
2005年 15,100人


2001年のように非常に死亡者が少ない年もありますが、多い時には「日本では、1年間で普通のインフルエンザが原因で1万人程度の方が亡くなっている」ということが言えます。

ちなみに、全世界のインフルエンザによる死者は、厚生労働省のサイトによりますと、25万人〜50万人という非常に大ざっぱな数が記載されています。変動はあっても、毎年、世界で通常のインフルエンザだけで数十万人が亡くなっているということのようです。

こう見ると、インフルエンザの死亡者というのはかなりのものであることがわかります。




当時の日本人の生活スタイルのどこかに何かのポイントが潜んでいるような気が

それにしても、スペインかぜの日本人の致死率の低さは、どうしてなんでしょうかね。

まあ……これは関係ないことですが、世界で海藻を「常食」しているのは、日本人と韓国人くらいでしょうが、海藻、特にわかめや昆布に含まれる「フコイダン」というのがあって、これがインフルエンザ・ウイルスに対しての抗体の生産を上昇させることが知られています。

下のは「ふえるわかめちゃん」などで知られる理研の2010年のニュースリリース「メカブのねばり成分「フコイダン」のインフルエンザ感染予防作用をヒト試験で実証」から抜粋したものです。

理研ビタミン株式会社は、共同研究で、わかめのメカブから抽出したフコイダンが、ヒトにおいてインフルエンザウイルスに対する抗体の産生を上昇させる働きがあることを確認しました。(略)メカブフコイダンを摂食した人々では対照食を摂取した人々と比較し、全ての インフルエンザウイルス株に対して、抗体の産生が上昇していました。

とあり、フコイダンにはインフルエンザへの抗体を体内に作る働きがあるようですが、「抗体が増える」というのは、インフルエンザの予防とは結びつく可能性はあっても、致死率と関係するものとは思えませんので、致死率の低さとは関係ないでしょうね。

ちなみに、海藻といえば、海藻の中でも海苔に関して、海苔を消化できる酵素を腸内に持っているのは日本人だけで、日本人以外の外国人は海苔を胃腸で消化することができない、ということも思い出します。

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「どうして日本人だけが海苔を消化できるのか」ということについては、2010年に、フランスの研究所の調査によって、「日本人だけが腸内に持つ微生物の遺伝子」のためだと明らかになっています。

日本人がノリを消化できる理由を発見、仏研究
AFP 2010.04.08

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▲ ノリを分解する酵素を持つ海洋性バクテリア。これと同じ働きを持つ遺伝子を持つ微生物が、日本人の腸内だけに存在しています。

日本人の腸が海草に含まれる多糖類を分解できるのは、分解酵素を作る遺伝子を腸内に住む細菌が海洋性の微生物から取り込んでいるためだとする論文が、英科学誌ネイチャーに発表された。

フランスの海洋生物学と海洋学の研究・教育機関「ロスコフ生物学研究所」の研究チームは、ゾベリア・ガラクタニボランという海洋性バクテリアが、アマノリ属の海草に含まれる多糖類を分解する酵素を持っていることを発見した。公開されているDNAのデータベースを調べたところ、ヒトの腸内に住むバクテロイデス・プレビウスという微生物が、同じ酵素を作る遺伝子を持っていることが分かった。

このバクテリアはこれまで、日本人の排泄物からしか見つかっていない。

ということは、世界の中では、韓国の人たちも頻繁に海苔を食べますけれど、韓国人は海苔を消化できて食べているわけではないということになるみたいですね。

いずれにしても、こういうような、

・海藻(ワカメとかコンブ)をかなり頻繁に食べる民族
・世界で唯一、海苔を消化できる遺伝子を体内に持つ民族


などという「海との関係性において他の国とは違う食習慣や遺伝子を持っている日本人」ですが、こういうことと何らかの関係あるのかどうか。

食べ物(日常的な食生活)はかなり関係しているような気はしますが……。

インフルエンザの療養と食べ物の関係といえば、かなり前の記事ですが、

1918年の「死のインフルエンザ」へのケロッグ博士の対処法
 2011年11月22日

では、スペインかぜの際、ジョン・ハーヴェイ・ケロッグ博士が米国ミシガン州に開いていた富裕層向けのバトルクリーク療養所という非医療機関でおこなった治療のことを書いています。

ケロッグ博士は「医薬品をいっさい使わない治療」によって、この療養所でスペインかぜの死者をひとりも出さなかったことが記録されています。細かい内容は上の記事を読まれていただくと幸いですが、その中に、

ケロッグ博士は、インフルエンザを発病している間に、砂糖、加工食品、ジャンクフードを食べることを避けるように警告している。

としています。

甘いものが悪いのではなく、果物やジュース(果樹だけのもの)以外の「砂糖を使った加工品」はとらない方がいいと記されています。



インフルエンザのシーズンに際して

ところで、今年も大流行するかもしれない通常のインフルエンザですが、日本では病院に行くことが優先されますが、欧米では「安静にしている」ことが最大の治療法だというの常識のようです。

日本で乱れ撃ち気味に処方される抗インフルエンザ薬タミフルは、薬効の基本は「発熱期間を1日短縮する」だけのものの上に、罹患後 48時間後内に服用しないと意味がありません(長く熱が引かないので病院に駆けつけた時にはもう遅いことが多いと思われます)。

大久保医院という病院のサイトでは、「日本で大量のタミフルが処方されているのは、日本の医療環境の特異性と断言せざるを得ません」として、下のように説明しています。

欧米では、「インフルエンザには安静」が常識で、タミフルのような「抗インフルエンザ薬」は、感染症などの合併症の危険性が大きくなる免疫系が弱っている人達、高齢者や慢性の病気などの要因を持つ人達以外には、ほとんど使われていません。

タミフルを服用しなくても、健康な個体では、自己免疫防御力を最大限応用すれば、1峰性または2峰性の発熱で1週間以内にインフルエンザは自然治癒します。

ちなみに、タミフルの製造元のスイス・ロシュ社の数値に基づけば、

過去5年間に日本で約2400万人がタミフルの処方を受け、この処方量は世界の75%を占め、このうち子供は約1200万人で、使用量は米国の約13倍に上ったとのことです。

とのこと。

> この(日本の)処方量は世界の75%を占め

を見ると、インフルエンザでも、抗うつ剤同様、日本は世界の製薬会社の「いいお客さん」とならされてしまっているようです。

このあたりは、過去記事の、

エボラを世界に拡大させるかもしれない神の伝道者や軍人たち。そして、ふと思い出す「世界を支配する医薬品ビジネス」
 2014年10月18日

の最後のほうで、抗うつ剤を例にとって、製薬会社が販売拡大をおこなう具体的な方法を書きました。

しかし実際には、かなり多くの病気に対して、人間は自然の治癒力を持っています。

なので、本来の「医療の方向」というのは、そのような「隠された人間の自己治癒力を高めること」にあると私は思うのですが、現代の医療はなかなかそちらの方向には進んではくれません。

もちろん、そのような試みをされているお医者さんもたくさんいらっしゃると思いますが、製薬会社の存在という「高い壁」を越えるのはなかなか難しいことなのかもしれません。

結局、病気になれば、病院に行き薬をもらうというだけの医療が続いています。

もちろん、適切に投薬しなければならない病気も多くあることは確かですが、過度な薬への依存や、「薬がお守りになっている」状況は、本来の人間の治癒力を落とすだけのような気がします。

まあ、これは自戒の意味もありますが。

それにしても、日本人……少なくとも、1918年当時の日本人の生活スタイルの中に存在していたかもしれない「インフルエンザの致死率を低下させた要素」とは何だったのか。

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2014年10月18日



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▲ エボラ最大感染国のリベリアの首都モンロビアの海岸で、海に向かって「リベリアをエボラからお救い下さい」と神に祈るキリスト教系のアラドゥラ教会の信者。数は多くないですが、西アフリカにもキリスト教系のいくつかの新宗教団体が存在するようです。Daily Mail より。



もしかすると起こ(させ)るべくして起きた3次感染

エボラもいろいろな国でいろいろな話が出ています。

中米のベリーズでは、

「カリブ海を遊覧中のクルーズ船の船内でエボラ疑いの患者が発生し、クルーズ船はベリーズ沖に停泊したが、ベリーズ政府から、患者の受け入れとその他の乗客の上陸も拒否され、沖合に停泊したままとなっている」

というニュースが報じられていました。

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▲ 2014年10月17日のベリーズのメディア Belizean より。


ベリーズというのはカリブ海に面している中米の人口 30万人の小さな国で、客船は多分、カリブ海をクルーズしている時だったのだと思います。客層は多分、ある程度の富裕層かと思われます。

belize-map.gif
・ベリーズの位置


記事の概要を箇条書きにしますと、

・エボラの症状を呈しているのは2人のアメリカ人観光客
・2人はベリーズシティにボートで運ばれたが、ベリーズ当局から上陸を拒否され、クルーズ船に戻ることもできず、現在はアメリカの空中救護隊の到着を待っている
・クルーズ船には乗員乗客 4633人が乗っていて、当局は彼らのベリーズへの上陸も拒否


というような感じとなっています。

ベリーズ政府が彼らの上陸に異常なほど神経質になるのも無理はなく、この国には「高度な医療施設がほとんどない」のです。たとえば、ベリーズ最大の都市のベリーズシティでも集中治療室を持つ病院はひとつで、しかも一室だけ。何より、観光が資源の国に、観光客が避けるような要素が生じた場合、経済的に大打撃を受けるからのようです。

アメリカ政府からのベリーズ政府への連絡によれば、根拠はよくわからないながらも、

「他の乗客乗員への感染リスクは非常に低い」

と述べたことが記事に書かれています。

しかし、その一方で、スペインやアメリカなどで、エボラは、2次感染、3次感染の次元に突入しています。

エボラ熱、3次感染の疑い 2次感染の女性を搬送
朝日新聞デジタル 2014.10.17

アフリカ以外で初のエボラ出血熱感染が起きたスペインで16日、新たに4人に「疑い」が持ち上がった。「3次感染」が起きた可能性があるほか、リベリアから帰国して5日たった神父も含まれており、市民に不安が広がりつつある。

スペインでは9月までに、西アフリカで感染した神父2人が帰国してマドリードで治療を受けたものの死亡し、看護に携わった女性(44)が二次感染して入院している。地元メディアによると、10月初め、この女性の搬送にかかわった男性が「3次感染」した可能性がある。

また、神父は、死亡した2人と同じ団体で活動しており、11日にリベリアから帰国していた。

この「神父」という響きで思い出すのは、8月の始めに、リベリアでエボラ出血熱に感染した「アメリカ人医師」ケント・ブラントリーさんのことで、過去記事の、

「3000人のアメリカ人」を新たにエボラウイルスの最前線に向かわせるという行為の中で再び思い出す「生物兵器」というキーワード
 2014年09月17日

の最後の方の

なぜか曖昧にされていたブラントリー医師の本職

というセクションで記していますが、ブラントリーさんは「キリスト教の宣教師」でした。

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▲ 退院後に米国 NBC で放映された特別インタビュー番組。WRCB TV より。


ブラントリーさんが所属していたのは、キリスト教系の「サマリタンズ・パース」という慈善団体で、金銭的に豊富な慈善団体としても知られています。

このブラントリーさんのように「治療によってエボラからの生還」を果たした人がいることは事実なのですが、その裏には別の大きな問題があります。

下の問題です。

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これは、

もしエボラが米国に蔓延した場合、治療費は? 米国ダラスで死亡したエボラ患者の治療費は「1時間に約 10万円」で、総額では5千万円を越えていた
 来たるべき地球のかたち 2014年10月09日

という記事で米国の報道を取り上げたものですが、上の「 5000万円」というのは、あくまで推定の最も高い額ですが、シカゴ・トリビューン紙の記事には下のようなことが書かれてあります。

ダラスの病院でエボラの治療を受けているトーマス・エリック・ダンカンさんに対してのこれまでの治療費が、総額で最大 50万ドル(約 5300万円)に達している可能性がある。

ダンカンさんは、深刻な容体になった 9月 28日以来、ダラスのテキサス・ヘルス・プレスビテリアン病院で、隔離治療を受けている。

人工呼吸器をつけ、試験的な薬を投与されている他、腎臓透析を受けている。また、治療には流体交換、輸血、そして、血圧を維持する薬が使われる。

さらに、エボラに汚染された廃棄物の処理の費用や、看護師を保護するための機器のセキュリティ費用もかかる。

こうしたことから、ワシントンの保健コンサルティング会社の最高経営責任者は、ダンカンさんの治療には、おそらく、1日に 18,000ドル(約 190万円)から 24,000ドル(約 250万円)以上の費用がかかっているだろうと述べた。

ダンカンさんは、これまで9日間、隔離入院しているが、観光ビザでリベリアからアメリカにやって来ており、いかなる健康保健も所持していない。

問題とは、この「アメリカのあまりにも高額な治療費」です。

上のダンカンさんはその後死亡しましたが、最低でも 2,000万円から 最高で 5,000万円程度になると考えられる治療費が「たった 10日で生じた」という事実があるわけで、これはアメリカで治療を受ける誰もが例外ではないはずです。

ダンカンさんの数千万円の治療費を家族が支払える可能性はなさそうで、請求は、多分、リベリア大使館かリベリア本国に回されるのでしょうが(リベリアが支払うかどうかは何ともいえないですが)、しかしこれから先は? という問題はありそうな気がします。



アメリカの医療水準の実態

ところで、これだけ高額な医療費がかかるアメリカですが、その理由は「アメリカが医療水準で世界1だから」と思われるかもしれないですが、10月16日のインターナショナル・ビジネス・タイムズの「エボラ感染の看護師:なぜ病院はエボラを封じ込められなかったのか」という記事に以下のような記述があります。

米国の医療水準と、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、英国を含めた欧州諸国とは十分な比較対象によってランク付けされていない。6月に連邦基金は、米国の医療水準は質の問題では同様の先進国と比較して最下位であると判断した。

その理由は、公的な品質データの不足も含む技術革新が不十分であること、医師および患者双方に対する管理、緊急治療室の使用、慢性疾患へのチームアプローチの減少などに因るとしている。

判断基準は曖昧ながら、欧州の先進国と比較すると「アメリカの医療レベルは最低の水準」であるという判断も存在します。

どうやら、「医療費が異常に高額」であることと「医療水準が非常に高い」ことはリンクすることではないようです。

直接関係する話ではないですけれど、アメリカ暮らしのファイナンシャル・プラニングというサイトによれば、アメリカで暮らす場合の老後の医療費の問題として、

米国の投資会社フィデリティは、過去十年間収集してきたリタイヤメント後の健康維持/医療費のデータに基づき、2013年にリタイヤする65歳の夫婦を想定したとき、老後の医療費として$240,000(約 2,500万円)が必要になると試算しました。

とあり、これじゃ、たとえばですが、日本のサラリーマンで 2,500万円の退職金をもらった人が老後、アメリカで暮らした場合、すべてが医療費と健康維持に使われるということになってしまいます。

いずれにしましても、アメリカにいる限りは、この「高額の医療費」という問題から逃れられる人はいないわけで、民間の健康保険に入っている人はそれで払えるとしても、保健に入っていない人も多いです。

2012年のデータではアメリカの健康保健の未加入率は 16%ですので、 5,000万人くらいの人が健康保健に入っていないことになります。

また、日本でもそうですけれど、治療費のすべてが保健で支払われるわけではないようです。

ちなみに、上に記しましたケント・ブラントリー医師は、所属していた「サマリタンズ・パース」からの出費と健康保険で全額払われたと考えられています。

しかし、今後、2次感染、3次感染の患者が次々と発生したら?

どれだけ高度な対症療法を持つアメリカであろうと、その代償が数千万円だとすると、相当な数の人々が治療を受けることができないか、あるいは、病院が治療を受けつければ受けつけるほど、病院が損害を被り、病院自体が疲弊していく。

そうなると、病院側がエボラ患者の受け入れを全面的に中止するか、あるいは、それこそ、 FEMA (アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)などの国の緊急事態機関による「特別な状況下としての無償治療」などを行うしかなくなるようにも思うのですけれど、ただまあ、今でも私は、

「アメリカ政府は本当にアメリカ国内へのエボラの流入、あるいは感染拡大を止めようとする意志があるのだろうか」

ということは感じます。

さきほどのインターナショナル・ビジネス・タイムズには、ダラスの病院で死亡したダンカンさんの治療に関わっていて2次感染した女性看護師について、病院の責任者は、

「当病院のスタッフ全員が米国疾病予防管理センター( CDC )が推奨する予防措置に従って、ガウン、手袋、マスク、シールドを身につけていた」

と述べる一方で、

しかし、病院の記録によるとダンカンさんの治療にあたっていた医療関係者は、ダンカンさんが入院してから2日間は、有害物対応のスーツを着用していなかったと記録されていると AP 通信は報じた。

テキサスの病院の失策が、単なる失敗なのか、あるいは米国の医療システムの大きなトラブルを示唆するものなのかは不明である。

というようにテキサスの病院の「失策」と明確に記しています。

そもそも、「エボラ患者かもしれない人」を、なぜダラスのあの病院に搬送したのかということも疑問ではあります。

エボラ患者のダンカンさんが搬送されたダラスのテキサス・ヘルス・プレスビテリアン病院というのは「レベル4の治療施設を持たない病院」なのです。まるで、「病気よ、拡散して下さい」といわんばかりの行動だったようにさえ見えます。

この「レベル4」というものについて多少記しておきます。




バイオセーフティレベル4

このエボラ・ウイルスは、バイオセーフティーレベルという格付けで最高レベルの「4」にあたるのですが、バイオセーフティーレベルというのは、細菌やウイルスなどの病原体を取り扱う病院や施設の格付けです。

・レベル1
・レベル2
・レベル3
・レベル4


とあり、数字が高いほど危険性が高い病原体となります。

最高のレベル4は、その時点で治療法が存在しなく、致死率が非常に高い危険な病原体ということになり、それを扱うことのできる施設を「レベル4の実験室」(略称で、BSL-4 とか P4 など)と呼んでいます。List of BSL-4 facilities (レベル4の施設のリスト)で調べますと、この施設を持つ病院や実験室は、全世界に 60ほどあることがわかります。

日本では、国立感染症研究所と理化学研究所筑波研究所の2カ所に、レベル4の実験室が設置されていますが、 Wikipedia によりますと、

> 近隣住民の反対によってレベル3での運用のみ行なわれている。

ということで、つまり、日本には事実上、エボラウイルスのレベルに対処できる施設は存在しないことになり、近い場所では、台湾の疾病管制局という感染症コントロールセンターにある昆陽実験室という施設がレベル4の実験室ですので、そこが距離的に最も近いですかね。

この台湾の感染症コントロールセンターの建物がまた近未来的で。

biolab-lead.jpg

▲ 台湾疾病管制局( Centers for Disease Control )。Inhabitat より。


まあ、日本のことはともかく(日本にエボラが上陸した場合は冒頭のように海に向かって神に祈るくらいしか方法はないと思いますので考えても仕方ないです)、アメリカには「レベル4に対応できる実験室」を持つ施設が、14カ所あり、この中で、医療機関に絞れば、10月 15日の THP の「【エボラ出血熱】アメリカの看護師たちが悲痛な訴え「訓練も説明も受けていない」」という記事によりますと、

伝染病患者ならびにバイオテロの被害者受け入れを目的とした生物学的封じ込め施設を備える医療機関はアメリカに4つある。

とのことです。

その中でも最大規模の医療施設が、ネブラスカ医療センターという場所で、ここには「生物学的封じ込め施設」という施設があり、これも THP から抜粋しますと、ここは、

リベリアでエボラ出血熱に感染した3人目のアメリカ人支援者であるリチャード・サクラ医師と、米国人としては5人目の感染者となったNBCニュースのカメラマン、アショカ・ムクボ氏が帰国して治療を受けた医療機関だ。

とのことですが、ダンカンさんの運ばれた病院には、このような設備はなく、それどころか、看護師たちは「レベル4のウイルス」に対しての基本的な治療訓練もなされていなかったことが明らかになりつつあります。

そして、10月17日現在、リベリアやシエラレオネを中心として、

「医療関係者だけでも、計423人が感染し、239人が死亡」

となっているわけですが(時事通信)、基本的な治療訓練ができていないのならば、そこがアメリカの病院であろうと、医療関係者の感染リスクは西アフリカと変わらないことになりそうです。

libelia-hospital.jpg

▲ リベリアの治療施設。


そして、医療従事者でさえこのような状況である中、アメリカは、感染最大流行地の西アフリカに 4000人の若者(兵士)を送ろうとしている。普通に考えれば、治療法の確立していない感染症の流行地域に軍を派遣することに何かの意味があるとは思えません。

治療薬が出来てからの派兵なら何の問題もないのでしょうけれど、公式にはいまだにエボラの治療薬は存在しません。



エボラの治療薬の存在の可能性。そして、世界を支配する「医薬品ビジネス」

zmapp.jpg


エボラから回復した宣教師兼医師のケント・ブラントリーさんは、ZMapp(ジーマップ)という未承認薬を投与されていて、当時は一部で、ケントさんはその薬によって助かったのかもしれないという報道もありました。

しかし、同じ薬を投与されたスペイン人宣教師は死亡していて、他にもアフリカ人医師など複数にジーマップが投与されていますが、それらを見ても、おおよそ、

> ジーマップを投与されて助かった人と死亡した人の比率は「半数」程度

だということがわかります。

そして、 WHO の発表では、 10月 17日現在のエボラの患者数と死亡者数は、

感染者が 9216人、このうち死者は 4555人

となっていて、現時点での死亡率は「ほぼ 50%」となっています。

この WHO の数値を見るだけでは、患者の半分は試験薬を使わずとも回復していることになり、そこに加えて、徹底的な対症療法をおこなえば、致死率はさらに低くなると思われます。

また、アメリカの医学誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」は 8月 20日に「ケント氏は、薬とは関係なく回復した可能性がある」と指摘する専門家の見解を掲載していて、このジーマップという薬がエボラの回復とは無関係である可能性が出てきていますが、しかし、上の CNN の、「エボラ感染の米医師、未承認薬で「奇跡的に」容体改善か」という「報道の見出し」まるで奇跡の薬が誕生したかのような響きを与えていることに気づきます。

これに関しては、

医薬品ビジネスとメディアの関係の歴史

というものを考える必要があるかとも思います。

わりと最近の記事、

うつ病だらけの世界の中、アメリカの「現代の十戒」ジョージア・ガイドストーンに突然組み込まれた 2014 という数字の意味
 2014年10月01日

で、「薬と病気の関係」についての話として、1999年に、「うつ病が劇的に改善する」として発売された SSRI という種類の薬が登場したことを書きました。

そして、「うつ病が劇的に改善する」ということで発売されたその後、うつ病の患者数の推移は下のようなことになりました。

ssri-03.gif
抗うつ剤とうつ病患者


つまり、

「うつ病が劇的に改善する薬」が登場した年から「うつ病患者も劇的に増えた」

のです。

上のグラフは日本のものですが、先進国すべてで同じグラフの推移が見られます。

特に上のような「うつ病薬(パキシルという名称)の爆発的なヒット」を記録した日本では、それにゆり、世界第4位の製薬会社グラクソ・スミスクラインが膨大な利益を得ることになりますが、売り上げ向上のために使用したのが「啓蒙」と「メディア戦略」でした。

つまり、簡単に書くと、

「あなたはうつ病かもしれません。それは病院で薬を投与されれば治ります」

というような「啓蒙」を延々と続けたのです。

それは、病院などに置かれるチラシやパンフレットから、雑誌や新聞の広告、そして、「メディアの記事そのもの」、さらには、テレビやラジオでの CM などで、「あなたはうつ病かもしれない」という広告を打ち続けるのです。

精神科医の冨高辰一郎さんが記した『なぜうつ病の人が増えたのか 』には以下のようにあります。

うつ病の啓発活動に携わる関係者は、医療者、患者団体、官公庁、市民団体、マスメディア、と多岐にわたる。


ちなみに、この「うつ病の啓蒙実験」が最初に行われたのは人口 30万人の国、アイスランドでした。

そして、現在、

「アイスランドは世界で最も抗うつ剤が普及している国」

となっています。

普通、「抗うつ剤が最も普及しているのなら、うつ病患者はどんどん治癒していくはずなので患者は少ないのでは?」と思われるかもしれないですが、アイスランドで、抗うつ剤としての SSRI が発売された 1988年からのグラフは下のようになります。

ssri-1988-iceland.gif

抗うつ剤 SSRI が発売されて以来、アイスランドで抗うつ剤を処方されている人の数(つまり、うつ病と診断された人の数)は、数倍になっています。

このあたりに関しては、今回の本題とは離れますので、ここまでとしますが、さきほどふれました『なぜうつ病の人が増えたのか』という本に詳しく載っています。上の表もその中にある資料です。

この本には、うつ病だけではなく、

「いかにして、製薬会社が《存在しない病気》を作り出していったか」

についても正確なデータと共に詳しく記されています。

ご自身が精神科医という立場で、よくこのような本(場合によって、うつ病に投薬は必要ないことにまでふれています)を書けたものだと思いますが、このような誠実な人の存在によって、私たちは真実を少しだけ知ることができます。

まあ、「本当の真実」のほうは多分あまりにも闇の世界で誰にもわからなそうですが。

いずれにしましても、表現は良くないかもしれないですが、製薬会社や衛生関係の企業は、病気の存在と拡大によって企業成長します。

エボラは存在している病気ですが、この「治療薬戦争」は、実際にそれができたかどうかという以前に、激しいプロパガンダ合戦となる可能性もあります。

そして、これはあくまで私的な考えですが、エボラが遺伝子の激しい突然変異を繰り返していることなどを考えますと、現時点では、そしてごく近い未来でも、エボラの完全な治療薬は誕生しづらい気がします。

次の1年間くらいの状況では、私たちも海にお祈りに行くことを考える時が来るかもしれません。


[追記] 記事を書いた後に下のニュースを目にしました。

政府、西アフリカへの自衛隊派遣の検討着手
産経ニュース 2014.10.18

政府は17日、エボラ出血熱の感染が広がる西アフリカに自衛隊を派遣する方向で検討に入った。複数の政府関係者が明らかにした。

だから、治療法の確立していない感染症の流行地域に軍を派遣しても意味がないと……。

やっぱり海行きですかね。

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2014年10月12日



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▲ 2014年10月11日の Extinction Protocol より。



爆発的な増加が止まらないエボラの患者数と死亡者数

エボラ出血熱は、WHO によると、10月 8日の時点で、死者が 4000人に達したと発表されています。

下は、WHO の発表値で、一部を日本語と置き換えたもので、患者数、死亡者数ともに「これまでの1ヶ月間で倍増」していることがわかります。

ebola-0903-1008.gif
Ebola virus epidemic in West Africa


増加した分の多くはリベリアとシェラレオネに集中していて、リベリアに至っては、上の表に「」という不等号の記号がつけられていることがおわかりかと思います。

liberia-1010.gif


これは、「ここに記載されている数よりも多いけれど、具体的にはわからない」というような意味ともとれ、リベリアでは事実上、エボラの制御を失いつつある状況が見えます。

このように、基本的には西アフリカの2カ国での増加が顕著なわけですが、しかし、ここにきて、「アフリカとは関係ない国」での症例、あるいは「疑い症例」の報道が相次ぐという事態となっています。

いずれにしても、この「倍増」というのは結構おそろしめの概念で、

「倍 → 倍 → 倍」

の方向性というのは、いわゆる「指数関数的な増加」への道のりを意味しています。

指数関数的などというと、何だかややこしい表現ですが、要するに「何らかの数値が急激に増加する場合」に使う言葉で、たとえば、

「1→2→3→4→5」

と増えていくのではなく、あくまでたとえばですけれど、

「1→3→7→20→70」

というような、果てしなく拡大していくような意味で、こういうものは、グラフなどで見ると、「どこかの地点から唐突に巨大になっていく」というような感じを持ちます。

これは今回のエボラの発生が明らかになった今年初めから現在に至るグラフなどでもわかるように思います。

ebola-increase-10.gif
Ebola virus epidemic in West Africa


8月の中旬から、上昇の勢いがそれまでとはまったく違ったものとなっていることがおわかりだと思います。

逆にいえば、今回のエボラの発生が明らかになった今年の初め頃から6月くらいまでの間は、増加の勢いはほぼ横ばいだったこともわかります。

また、この「指数関数的な増大」というのは「生きているものの増え方の特性」でもあるわけで、ずいぶん昔の、

生物の偉大さ: 「生」と「生きていないもの」の違い
 クレアなひととき 2010年05月11日

という記事の中で下のようなことを記しています。

そもそも無機物と生物ではまるで話にならないほどの存在の質の違いがあるということで、特にそれは「増え方」に関して言えます。

宇宙の膨張はなぜすごいスピードなのかということに関して、まあ、直接関係のある話じゃないでしょうが、「人工的な増産」と「生き物的な増産」の違いというのがあります。

たとえば、車でもテレビでもいいですが、工場で、「設備を増強して生産量を2倍にしよう」ということになって、それが達成された、その後の話と、「生き物の量が2倍になったその後」というのを比較してみます。

工場 → 2倍の生産力になった後もずっと2倍の生産力(直線的な増加)。

生き物 → 2倍になったものがさらに2倍、あるいはそれ以上という「ネズミ算式」な増え方(指数関数的な増加)をするので、基本計算ではいきなり天文学的になる。

ということになるようです。

いずれにしても、爆発的な増加になる前に食い止めることができていれば、ここまでのことにはなっていなかったのですが、事実としてはグラフのような状態となっています。

ここには、リベリアとシェラレオネなどの保健政策の問題はもちろんあるでしょうけれど、もうひとつの問題としては、

エボラウイルスは、人間の体内で急速に突然変異を繰り返す

という性質があることも関係しているかもしれません。

これは、

エボラウイルスのゲノムが判明。その遺伝子数は「たった7個」。そして現在、エボラウイルスは急速に「突然変異」を続けている
 来たるべき地球のかたち 2014年08月30日

という記事で、エボラウイルスの遺伝子解析に成功したと共に、

「エボラウイルスは、ヒトを介して感染していく中で、他の動物に感染している時より2倍の速度で突然変異している」

ことがわかったという記事をご紹介したものです。

解析にあたった1人、ハーバード大学の計算生物学者パラディス・サベティ( Pardis Sabeti )さんは、「私たちは、250以上の突然変異を発見しています。それらは、私たちが見ている目の前で、リアルタイムで突然変異を起こしたのです」と言っています。

比較的短い間にこれだけの突然変異を繰り返しているという事実と、感染した人間の数が多くなればなるほど、エボラウイルスの突然変異の多様化も促進されて、「様々なタイプのエボラウイルス」が生まれてくるということを合わせて考えてみると、現在までの感染者数と時間の経過を考えると、その中に「とんでもないモンスターエボラが誕生している可能性」もないとは言えないかもしれません。


というのも、何となく以前より「感染しやすくなっている」感じがするのです。




エボラウイルスは「強力化」しているのか

西アフリカでエボラに感染したスペイン人宣教師の治療を「スペインの病院」で担当していた女性看護師のテレサ・ロメロさんという方がエボラに感染したことが報じられていますが、これは、かなり些細なことで感染していた感じがあります。

スペイン女性看護師、医療手袋で顔に触れエボラに感染か
AFP 2014.10.09

アフリカ大陸以外で初のエボラウイルス感染者となったスペイン人の女性看護師は、エボラ出血熱の患者に対応した際の手袋をしたまま自分の顔に触れて感染したとみられる。

エボラ患者の治療にあたっているマドリードのカルロス3世病院の医師が明らかにした。

この看護師は決して、そのエボラに感染した宣教師につききっきりで看病していたわけではなく、宣教師の病室に入ったのは「2回だけ」でした。

その後、英国の 10月 9日のテレグラフの記事によりますと、このテレサ看護師のエボラ感染が判明が起きてから、彼女のいたカルロス3世病院では、

「病院の看護師たちがエボラ患者の治療を拒否する」

という動きが出ていることが記されています。

テレグラフの記事から抜粋して翻訳しますと下のような状況のようです。

エボラウイルスに感染したスペイン人の女性看護師の容体がさらに悪化している中、カルロス3世病院の看護師たちは、自分たちへの感染の怖れを訴え、エボラ患者の治療にあたることを拒否している。

現在、疑い症例を含めて7人が隔離されている同病院では、看護師たちの治療拒否を受けて、他のスタッフを用意しなければならなくなった。


spanish-ebola.jpg
Extinction Protocol


看護師たちの中には、エボラ患者の病室に入る必要をなくするために契約をキャンセルしている看護師たちもいるという。

正式には、看護師や保健技術者の辞職について発表されていないが、それなりの数のが辞職している。エボラの隔離病棟で働くことに同意している看護師やスタッフたちは、心理カウンセリングを受けながら働いている。

というようなことになっているのです。

医療スタッフの「職場放棄」は、リベリアやシエオラレオネでも数多く起きています。何しろ、9月までの時点で、西アフリカでは、医者と看護師を含めた医療関係者の感染者だけで 240人以上に上り、そのうち、120人が死亡しています。

そんなこともあり、この医療スタッフたちの行動の是非はともかく、上に書きました「もしかすると感染しやすくなっているかも」というのは、次の報道でも思います。

おそらく万全の体制で現場に臨んでいるであろう、最大感染国のリベリアに派遣されている国連職員のうち「 41人がエボラ疑いで隔離状態にある」ことが報じられています。

un-ebola.gif

▲ 2014年10月11日の AP より。


この 41人のうち、20人は軍人だそうです。

場所が最大感染国であるリベリアだけに、かなり厳重な注意を払っていたであろう、このような人々も感染疑いが持たれてしまうという状況は、「突然変異の繰り返しの中でウイルスが進化してきている」という可能性を捨てきれないものがあります。

感染疑いで監視下にあるうちの 20人は軍人だそうですが、「軍人」ときくと、アメリカが 4,000人の軍隊を西アフリカに派兵することを思い出します。




各国で唐突に発生するエボラ疑い症例

ヨーロッパでは、イギリスも現在、エボラの報道が非常に多いです。

というのも、

「英国人がエボラで死亡した」

可能性が出ているからです。

british-ebola.gif

▲ 2014年10月9日の英国テレグラフより。


あくまで「疑い」ですが、エボラである可能性が濃厚です。

そのため、イギリスでは空港などでの検疫体制を強化しています。

英国のテレビ報道では、「イギリス国内にもエボラが侵入する(した)かもしれない」ということがいろいろと報じられているようです。

ebola-uk-front.jpg
Telegraph


その他にも以下のような国でエボラ感染疑い症例が報じられています。


カナダ
西アフリカの旅行から戻ったカナダ人が、エボラのような症状となり、患者がカナダのアビティビで治療されている。

[ソース/2014年10月10日のカナダ CBC ニュース]
Ebola-like symptoms emerge in patient being treated in Abitibi


ブラジル
西アフリカのギニアで布教活動をしていたブラジル人宣教師がエボラのテストを受けている。

[ソース/2014年10月10日の英国デイリーメール]
Has Ebola hit a new continent? Authorities in Brazil test missionary who had travelled from Guinea for the deadly virus


チェコ共和国
リベリアから戻ってきた 56歳の男性がチェコで初めてエボラ疑いで検査中。

[ソース/2014年10月10日の The Health Site ]
Latest Ebola News: First suspected Ebola case in Czech Republic


フランス
リベリアから帰国したフランス人女性がエボラの疑い症例で隔離中。

[ソース/2014年10月10日のビジネス・スタンダード]
France reports suspected Ebola case


そして、米国内初めてのエボラ感染患者のリベリア籍のトーマス・エリック・ダンカンさんが死亡したアメリカでは、

患者の家に行った保安官がエボラの症状…米国パニック
 中央日報 2014.10.10

という記事がありました。

抜粋しますと、

ダンカンさんのアパートに入ったマイケル・モニング副保安官にエボラ症状が見られ、テキサス健康長老病院に運ばれた。

モニング副保安官は今月1日、保健当局公務員らと共にダンカンさんのアパートに留まっていた人たちに隔離命令書を伝達するために入ったが、肝心の本人は無防備状態だったと現地メディアが伝えた。

とのことですが……上のほうにも書いたのですけれど、もし、副保安官がエボラに感染していたとした場合、あまりにも感染しやすいのじゃないかと。

この保安官は、

「隔離命令書を伝達するためにダンカンさんの部屋に入った」

だけで、まさか抱擁したり、無用な握手をしたり、ベッドシーツにふれたりするようなことはしていないはずで、口頭か文書で隔離命令を伝えただけだったと思います。

ドアノブくらいにはふれたと思いますが、それだけで感染するのでは、これまでのエボラの感染力を考えると、あまりにも感染力が強いように感じます。

ですので、この保安官の病気は多分、エボラではないとは思いますけれど……。

アメリカ疾病管理予防センター( CDC )も「副保安官がダンカン氏と体液接触した事実はなく、エボラ感染である可能性は低い」と発表しています。

しかし、もし仮に、副保安官がエボラだった場合、体液接触した事実がなく感染したというようなことにもなりかねず、

「空気感染化……」

などという概念も少しだけよぎってしまいます。

あるいは、空気感染化までいかなくとも、感染力が強化していることはあり得るかもしれません。

今回のエボラは最初に発生が確認されてから、もうそろそろ1年になろうとしていますが、過去の様々なパンデミックの歴史を見ますと、たとえば、1918年に始まった鳥インフルエンザのパンデミック(スペインかぜ)は、終息したのが 1923年と、流行が終わるまでに約6年間近くもかかりました。

もっと遡れば、1829年に発生した世界的なコレラの流行は、終息したのが 22年後の 1851年でした。

1829-1851.gif
Daily Mail


現代はその頃より治療技術は進んでいますが、しかし、エボラはその頃のコレラと同じように確立した治療法がないという意味では、高額な対症療法が増えたという以外は、その対応は実は 19世紀とさほど変わらないかもしれません。

そして、昔と大きく違うのは、「人は他の国へ短時間で移動できる」ということです。

エボラの潜伏期間は最大 20日程度ありますが、アフリカからヨーロッパまでは数時間で到着します。


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2014年10月01日



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depression-top.gif

▲ 2014年9月30日の Design&Trend より。



世界中で増加が止まらない拡がる「うつ病」

確かに不安な時代です。
いろいろな事件や出来事が続きます。

しかし、最近の私は、そういう具体的なものではない、近年感じたことのないような「漠然とした不安感」に常に縛られています。

そのうちのいくつかは、自分の家族のことなど個人的なことだとしても、心の中の何割かを占めているものは「何に対して抱いているのかわからない曖昧な不安」なのですね。


ところで、冒頭の報道は、サンディエゴ州立大学が、アメリカ全土の 690万人を対象にした、大規模な調査の結果、

アメリカのうつ病の症例は過去数十年で最大の率に達した

ことがわかった、ということを紹介している報道記事です。

1980年代と比較すると、現在のアメリカでは非常に多くの若者たちがうつ病の治療を受けていること。また、若者の 74%が睡眠障害を持っていること、アメリカの大学生の 50%が、精神的抑うつ状態にあることなどがわかったというものです。

これの重要な部分は、高齢者ではなく、「若者」であるという点です。

特に「大学生の2人に1人」がうつ病か、あるいは何らかの精神的葛藤を持つという調査結果に、研究者たちが大変に驚いたことなどが書かれています。

ところで、この「うつ病の急速な増加」はアメリカだけなのでしょうか。

ヨーロッパの場合

eu-depression.gif

▲ 2014年9月29日の Parliament Magazine より。


上の記事はタイトル通り、EU 諸国全体で、3000万人もの人びとが、うつ病を患っていることが調査によりわかったというものです。

日本の周囲の国も同じです。

韓国の場合

korea-de.gif

▲ 2014年9月15日の Ajunews より。


中国の場合

人口が多いだけにさらに規模が激しくなります。
新唐人テレビの報道です。

中国のうつ病患者は 9000万人
新唐人テレビ 2014.03.31

ch-se-02.jpg

カナダ大学の学者、マイケル・フィリップス氏は2009年、医学雑誌「ランセット」で、中国でうつ病の発生率は6.1パーセント、つまり患者は9000万人に達すると指摘しました。

「北京心理危機研究と関与センター」によると、中国では毎年、28万7千人が自殺で亡くなっており、そのうち63パーセントが精神障害があり、40パーセントがうつ病でした。

WHOによると、うつ病はすでに中国の2大病の1つになっています。


ちなみに、 WHO の報告では、全世界で 3.5 億人がうつ病を患っているとされています。「全世界」という規模で、その数が正確に出るというものでもないでしょうが、目安としては、

現代の地球は「数億人のうつ病」の人びとの存在がある

ということになり、こういう数値にあや取られた惑星というのは、確かに、「パラダイス」というような概念とはほど遠い場所ではありそうです。


ところで、「日本」。

日本のうつ病発生率はどのようなものかというと、少なくとも公的な発表では、アメリカやヨーロッパ、あるいは中国などと比べると格段に「低い」のでした。

厚生労働省の特集ページには下のように書かれてあります。

厚生労働省 みんなのメンタルヘルス「うつ病」より

厚生労働省が実施している患者調査によれば、日本の気分障害患者数は1996年には43.3万人、1999年には44.1万人とほぼ横ばいでしたが、2002年には71.1万人、2005年には92.4万人、2008年には104.1万人と、著しく増加しています。

少しデータが古い点はありますが、それはともかくとしても、うつ病患者数は増えてはいますけれど、人口比を考慮しても、欧米や中国などから見ると格段に低いです。

ちなみに、2012年のデータですが、米国ワシントンポストに掲載されたオーストラリアのクィーンズランド大学による調査による「うつ病の発生比率の比較」では、下のようになっています。

dep-map.gif
Washington Post

これは、赤くなればなるほど、うつ病の罹患率が「高い国」となり、青くなればなるほど「低い国」ということを示します。

ということは……なんと、ここまであげたすべての国々、つまり、アメリカや EU 諸国や中国などは、

「こんなにうつ病患者が多いのに、比率としては世界で少ないレベル」

であることを知ります。

そして、上のワシントンポストの記事には以下のような下りがあります。

japan-less-depression.gif


想像もしていなかったですが、日本は世界で最もうつ病が少ない国なのだそうです。

多いのは、アフガニスタン、ホンジュラス、そして、パレスチナ自治区、中東諸国、北アフリカ諸国などとなっています。これらの国の臨床データの信頼性は今ひとつわからないですが、アフガニスタンでは、成人の「 20%」がうつ病と診断されているそう。

しかし、後述しますが、日本では、そして、アメリカでもヨーロッパでも、「 1999年」からうつ病患者が急増しています。




もうひとつの地図での日本の数値

ところで、上の地図を見ると、日本は精神疾患的に良好な様子を反映している地図のように見えますが、もうひとつの地図を見ると、「日本人の複雑な状況」がうかがえます。

sui-2012.gif
THP


この地図は、「赤で塗られた国」は人口 10万人に対して 15人以上の自殺者のいる国を示していまして、日本はその中に見事に含まれています。日本は、10万人中の自殺数が 18.5人で、高所得国の人口 10万人当たりの人数ではワースト4位だそう。

なお、この 2012年の時点で、 WHO の報告では、世界全体での自殺での死亡者は、80万人に達するとのことで、主な国の実数は以下の通りとなっています。

・インド  25万 8075人
・中国   12万 730人
・アメリカ  4万 3361人
・ロシア   3万 1997人
・日本    2万 9442人


インドの 25万人はすごいですが、人口比で考えると、実際にはどの国もさほど差はないようにも見えます。

まあ、この問題はともかくとして、うつ病の話に戻ります。




うつ病が増えた本当の原因は「うつ病を治す薬」かもしれないという現実

先日、

抗うつ剤に頼る米国、いまや服用者が3000万人
 JBPress 2014.09.16

という記事を目にしました。その内容はともかく、上の記事のタイトルそのものが、「うつ病と抗うつ剤の関係の現実」を現しているかもしれません。

つまり、

うつ病の薬が本当によく効くものであるならば、本来なら、うつ病の患者はどんどん減っていくのが正しいはずなのに、実際には薬の普及と共に、うつ病患者がどんどん増えている

という「現実」です。

上では「抗うつ剤」としていますが、アメリカでは今では抗うつ剤といえば、多くの場合は、 SSRI (選択的セロトニン再取り込み阻害薬)というカテゴリーの薬を指します。

15年以上前のことですが、長くアメリカで住んでいて、帰国したばかりの女性と知り合ったことがあります。

彼女は、アメリカの Yahoo! の創設期のメンバーという、なかなか華々しい方なのですが、アメリカでうつ病とパニック障害を同時に起こしてしまい、日本に帰国した時に出会いました。

彼女はアメリカで SSRI の「プロザック」(日本では未承認薬)を処方され、それは確かに劇的な作用を彼女にもたらしたわけで、つまり、パニック障害やうつ病に非常によく効いたのだそうですが、

「劇的な副作用」

も同時に体験したそうです。

プロザックを含む SSRI は、アメリカでは非常にポピュラーで、テレビで CM もやっているそうで、成人なら誰でも手に入れることができるはずです。ただし、薬効はあるとしても SSRI には「それ以上の問題」が存在する可能性があります。

副作用というだけではなく、もう少し厄介な話です。

この SSRI は、こちらのページによりますと、日本では 100万人以上の人が服用しているそうです。

この 100万人という数が正確なものかどうかということはともかく、「非常に多くの日本人が SSRI を服用している」ということを意識しながら、次の文をお読みいただくと、そこに存在するものが少し想像できるかと思います。

これは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬 - Wikipedia の中にある精神科医の冨高辰一郎さんという方の著作『なぜうつ病の人が増えたのか』にある記載を記したものです。

うつ病が 20 世紀になって増加しているが SSRI の普及と軌を一にする。SSRI という薬価が高いうつ病の薬が販売されると世界各国で軒並みうつ病患者が増える。 SSRI の導入後、6 年間でうつ病の患者が 2 倍に増えるという経験則がある。


> SSRI の導入後、6 年間でうつ病の患者が 2 倍に増えるという経験則

とありますが、それだと「うつ病の治療薬などではない」ということになってしまいかねないですが、いくつかの関係したグラフを見てみようと思います。

なお、私は SSRI を非難したり糾弾したりする意志はありません。
なぜなら、この SSRI で助かっている人がたくさんいるのもまた事実だからです。

ただし、これらのグラフのような現実があることもまた事実です。

ssri-01.gif
うつ病薬害と自殺のグラフ最新2013年


SSRI は薬価が従来の抗うつ剤より高いために、 SSRI が発売された 1999年以来、製薬会社の売り上げは上のグラフのように、急速に伸びました。

そして、ここが大事なのですが、

「 SSRI がうつ病に効果があるのなら」

「その 1999年から、うつ病患者は減っていったはず」


と誰でも思います。

しかし、そのあたりの現実は下のグラフにあらわれています。

ssri-02.gif
抗うつ剤とうつ病患者

このグラフから、

抗うつ剤 SSRI の売り上げが増えれば増えるほど、うつ病が「増えた」

という事実がわかります。

これは日本だけではなく、世界中の、特に先進国で同じような状態だと思います。

そして、その結果かどうかはわからないですが、自殺者も増え続ける。

2012年の1年間の世界での自殺者数を示す 80万人という数は、決して少ない数ではないですが、これが今後さらに増える可能性もあるのかもしれません。

もちろん、上のグラフの因果関係には、他の要因もあるかもしれないですが、仮に、他の要因があるにしても、

「うつ病を治す薬としての意味」は抗うつ剤 SSRI には見当たらないかもしれない

ということは私にもわかります。


ちなみに、 SSRI だけではなく、他の種類の抗うつ剤も含めてですが、かつては、うつ病の知り合いが結構いましたけれど、薬で完治したという人に会ったことは1度もありません

なお、「完治」というのは、「もう薬を飲まなくてもいい状態となる」ことです。

これは他のどんな病気にも当てはまる概念だと思います。

つまり、薬を飲み続けているうちは、それは完治とはいいません。しかし、うつ病を含む、あらゆるメンタルヘルス系の病気では「場合によっては一生、薬と付き合う羽目になる」という人は決して少なくありません。

私もそういう1人かもしれません。

なお、上で少しふれました精神科医の方の書かれた『なぜうつ病の人が増えたのか』のAmazon のページの書評に下のような投稿がありました。

うつを発症し、11年になる知人がいます。
「うつは心の風邪で、最近はSSRIといういい薬もできた。早く治療すれば、すぐによくなる」
著名な精神科医の本にはそう書いてありました。
知人は友人のつてで紹介状を書いてもらい、その医師にかかるようになりました。
あれから11年。いまだに治らず、現在、休職中です。

上の人は「 11年間、一種の薬漬けになっている」ということが言えます。

この薬漬けの人口が増えれば増えるほど、特にうつ病の場合は自殺にも結びつきやすく、まさに「若年層や壮年期の人口減」へとつながっていくことでもあり、最近よくテーマとする「大量死の時代」という概念にも多少重なる部分があります。




現代の十戒ジョージア・ガイドストーンに加えられた「2014」と「人口5億人」の関係

アメリカのジョージア州に「ジョージア・ガイドストーン」と呼ばれる「碑」があります。

これに関しては、Google でジョージア・ガイドストーンと検索すると、いろいろなページが出ると思いますが、陰謀論的な話と絡めて語られることの多いものです。

g-g-stone.jpg


上のような石碑で、現代の十戒とも呼ばれる「 10のメッセージ」が、

・アラビア語
・ヘブライ語
・ヒンディー語
・スペイン語
・英語
・ロシア語
・中国語
・スワヒリ語
・サンスクリット語
・古代ギリシャ語
・エジプトのヒエログリフ
・バビロニアの楔形文字


で書かれているものです。

ちなみに、日本語はありません

これが、陰謀論的な話と絡めて語られることの多い理由は、10のメッセージの最初が、

1. 自然界の永久の調和として、人口5億人を維持しよう。

で始まるものだからのようです。

他は、

2. 優性と多様性を賢く用いて、人口の再産を導こう。
3. 生ける新たな言語で、人々を統合しよう。
4. 情熱・信頼・伝統と調律された理性による全てを支配しよう。
5. 公正な法律及び正しい法廷で、人々と国家を保護しよう。
6. 全ての国家は世界法廷において、国家間の紛争を内面的に解決しよう。
7. 取るに足らない法律、及び無駄な公務員を減らそう。
8. 個性の調和は、社会的な義務によって正す。
9. 真実・美・愛情・無限の神に基づく、調和を求め続けることを称えよう。
10. 地球の癌にはならないで、自然のための場を残そう。


(訳はジョージア・ガイドストーン 〜現代の十戒?〜より)

と続きます。

今から 34年前の 1980年に完成したこの石碑の存在の意味はよくわからないのですけれど、最近この石碑に、下のブロックが加えられました。

2014-GG.jpg
Beforeitsnews


意味としては「 2014 年」と解釈するのが最も理解しやすい数字です。
この部分は以前は下のようになっていた部分のようです。

before-gg.jpg


そして、巷では、

「 2014年にこの十戒の1番目が始まるのではないか」

というようなことを囁く人もいるようです。

つまり、1番目というのは「人口5億人を維持しよう」というやつですね。

とはいっても、石碑に「2014年」という数字が入れられたことに意味があるかどうかはわかりません。意味があるのかもしれないし、単なるイタズラかもしれないし、それはどうにもわかりません。

まあしかし。

陰謀論的な話を持ち出さなくとも、起きる時は何でも起きるでしょうし、上の数のような人口となる可能性は今の地球には溢れています。

人間の策略がなくとも。

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2014年09月03日



2015年10月7日に In Deep は http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。




ebola-losing-war.gif

▲ 2014年9月2日のアルジャジーラより。



エボラの患者数と死亡者数のカウントが止まった理由

少し前の、

エボラ・パニック : アメリカでは 30州において「エボラ検査」が依頼され、WHO が「死亡者の実数が過小評価されている」と語る中、コンゴ民主共和国では「エボラと似た別の感染症」で多数の死亡が進行中
 2014年08月23日

という記事の中で、8月の中旬から急速にエボラによる患者数と死亡者数が増えていることを書きました。

2014年4月から8月20日までのエボラ患者と死亡者数の推移

Deseased_per_day_Ebola_2014-08.gif


2014 West Africa Ebola virus outbreak
(2014年の西アフリカでのエボラの流行)

などのページで、数日おきに WHO 発表の感染者数と死亡者数が、ほぼリアルタイムで更新されていました。なお、日本語版 Wikipedia 「2014年の西アフリカエボラ大流行」にも、同様の表が載せられています。

ところが、現在、9月3日なんですけれど「8日間」データが更新されていません。

who-826-data.gif


それで、こう、いろいろと報道なんかを見ていますと、どうも、冒頭に貼りました報道の「世界はエボラとの戦いに敗れつつある」というような感じの悲観的な報道を数多く目にしまして、中には、下のように「治療の努力の窓はすべて閉められた」と、 アメリカ疾病予防管理センター( CDC )の職員が述べたというような報道を引用した記事なども目にしました。

cdc-windows-close.gif
Extinction Protocol


思っている以上に現地は混乱しているようなのです。

そして、さきほどリンクしました過去記事「エボラ・パニック……」にも書きましたけれど、

・リベリアなどで医療崩壊が起きている
・雨期のため遠隔地の情報がまったくわからない地域が多い
・死亡した家族を密かに埋葬する人々が多い


などの事情を含む多くの理由により、すでに「実際の患者数」や「実際の死亡者数」は、把握したくても、しようのない状況になりつつある、あるいは、すでになっているのかもしれません。

ウォールストリート・ジャーナルでは下のような記事も目にしました。

true-death-toll.gif

▲ 2014年9月1日のウォールストリート・ジャーナルより。


リベリアの埋葬の習慣がエボラとの戦いを妨げている」というタイトルですが、記事では、リベリアという国全体ではなく「隔離地域」とされた首都モンロビアのスラム街「ウエストポイント」で起きていることなどが書いています。

このウエストポイントには、75,000人ほどの人たちによりスラム街が形成されているのですが、ここにエボラ患者の隔離施設が作られています。

しかし、現在のリベリアでは「医療システムが事実上崩壊」していることもあり、「隔離」というのは、本当に「隔離」というだけの意味で、医療も予防方法もない形で数万人が詰め込まれている状態のようです。

そこでは、死亡した患者は報告されずにひそかに埋葬されているケースが多いとのことですけれど、素手などで埋葬している例も多いそうで、リベリアで医療活動に当たっている市の一人は、

「その場所そのものが壊滅的(カタストロフィック)なのだ」

と述べています。

当然、もはや正確な死亡者数はわからないはずです。

そして、この「隔離」というのも、その方法は、警察とリベリア軍を使って「防疫線」という非常線内に住民を威圧的に封じ込めるものです。

cordon-sanitaire.jpg

▲ 8月20日にモンロビアの「ウエストポイント」で撮影された写真。軍が住民たちを防疫線の中に追い立てています。2014年8月22日の THP より。


このような現実の下で、「状況が改善する」というのは、神様などの登場でもない限り、無理かもしれません。

そんな中で、アメリカの国立衛生研究所( NIH )が今週、エボラ出血熱を予防するワクチンのヒトへの臨床実験を開始することが発表されました。これが「神様」となるかどうかは微妙ですが、そのことを少し書いておきたいと思います。



「突然変異」を繰り返すウイルスの治療薬とワクチンの効果

ebola-human-test.gif

▲ 2014年9月1日の abc news より。


今回の臨床試験は、健康なボランティアを対象に人体への安全性を確認するのだそうで、 CNN によれば、


このワクチンは、英製薬大手グラクソ・スミスクラインと米国立衛生研究所内のアレルギー感染症研究所が共同で開発し、チンパンジーを使った実験で非常に大きな効果が確認されている。

エボラ出血熱ワクチンの臨床試験が実施されるのはこれが初めて。食品医薬品局(FDA)は臨床試験の開始前に必要とされる審査を一部簡略化し、通常より早く許可を出した。

まず副作用の有無を調べるため、成人3人に投与する。安全と判断されたら次は18歳から50歳までの少人数のグループを対象に、ウイルスへの強い免疫反応が生じるかどうかを確認する。副作用の有無についても詳しく観察を続ける。


ということだそうで「臨床試験の開始前に必要とされる審査を一部簡略化」してまでの、かなり強引なヒトへの臨床試験の開始となるようです。

まあ、ワクチンといえば、つい最近も、

コロンビアの少女たちの「謎の病気」の裏に見える、世界を覆う「システム」
 2014年09月01日

というような記事を書いたばかりで、たとえ「全体のほんの一部」でも、その副作用の重大性というのは、「数の比率としてだけで片付けられる問題ではない」と、つくづく思います。

しかし、実際には、ワクチンの安全性というのは、結局、何十万人、何百万人に摂取されてから初めてわかるものが多いです。

とはいえ、病気によっては、ワクチンの有用性が非常に高いものも多くあるわけで、実際にエボラ出血熱のワクチンが完成するのなら、それはそれでめでたいことだと思いますが、そこに立ちはだかる「問題」が、最近わかった、

エボラウイルスが繰り返す激しい突然変異

なんです。

このことは、

エボラウイルスのゲノムが判明。その遺伝子数は「たった7個」。そして現在、エボラウイルスは急速に「突然変異」を続けている
 2014年08月30日

という記事にも書きましたけれど、日本語の報道でも多く記事となっています。
下はニューズウィーク日本語版からの抜粋です。


エボラウイルスに急速な遺伝子変化、シエラレオネの研究が指摘
ニューズウィーク 2014.08.29

シエラレオネでエボラ出血熱に感染した患者からサンプルを採取して行われた遺伝子研究によると、ウイルスがヒトからヒトへと感染する過程で300回以上の遺伝子変化が起きていたことが明らかになった。

同研究を主導したハーバード大学のパルディス・サベティ氏は「ウイルスが突然変異していることが分かった」と述べた。

研究結果は、ウイルスが急速に突然変異し、現在の診断法や開発中のワクチン・治療薬の有効性に影響を及ぼす可能性を示唆している。



ということで、しかも、エボラウイルスは、「オオコウモリなど動物の場合と比べ、人間では、その2倍のペースで突然変異している」ということらしいのですね。

つまり、

エボラウイルスは非常に早いペースで、何百回もの突然変異を起こし続けている

ということのようなのです。

これが意味するところは、仮に、今回、アメリカで臨床試験が開始されるワクチンが、その時には効果があったとしても、すぐに効果がなくなる可能性があるというような懸念を表明している専門家も多くいるようです。

ebola-mutation.gif
Extinction Protocol




ヒトの4000分の1の遺伝子のみのエボラウイルスのゲノム

これだけすさまじい症状と致死率をもたらすエボラウイルスですが、その構造は非常に単純というか、シンプルな作りのウイルスで、遺伝子の数(推定遺伝子領域)が「7個」だけであることも解析で判明しています。

推定遺伝子領域というのは、まあ、私もよくわからないですが、独立行政法人製品評価技術基盤機構のこちらのページによりますと、

塩基配列のうち、タンパク質として機能していると予想される領域を推定遺伝子領域と呼びます。

とのことで、この「遺伝子の数」は、例えとしては(数は Wikipedia によります)、

ヒト  26000
マウス 29000
イネ  37000


などと、哺乳類だとか植物などでは大変に多いのですが、

大腸菌  4149

などのように、細菌類になると少なくなっていき、ウイルスではずっと少なくなります。ウイルスの中で最大のゲノムを持つ「パンドラウイルス・サリヌス」でも 2566 の遺伝子の数だそう。

いずれにしても、エボラウイルスのように「7つだけの遺伝子」の生物(ウイルスは生物ではないですけれど)に、26000の遺伝子を持つ人間が、好き放題に殺されてしまうという図式には、他の多くの病気を含めて、何だかいろいろと思うところもあります。


そんなわけで、エボラ出血熱については、 WHO や CDC などからは、現地の状況についての報告は何となく止まっている感じもあり、また、スーダン政府のように、

患者が発生した可能性が出た途端、報道を禁じた

という例もあります。

sudan-ban-ebola.gif

▲ 2014年8月31日のスター・アフリカより。


これは、8月 30日に、スーダン西部のダルフール州でエボラ出血熱の疑いのある患者が発見されたことを地元メディアが報じた後、スーダン政府はメディアに対して、「エボラ出血熱に関してのすべての報道を禁じた」というものです。

このように、

・流行地の封鎖
・医療システムの崩壊
・患者の強制隔離
・患者の隠蔽
・報道の禁止


ということになってきている現状では、感染状況の実態はさらに曖昧になっていくようにも思います。

しかし、それでも、近現代の医療は、天然痘などを含めた脅威的な病気の多くを根絶してきたという歴史もあるわけで、未来的にそれほど悲観的になることもないのかもしれないですが、ただ、「現状は悲観的」ではあります。


ところで、「東京の代々木を媒介とするデング熱」が発生して、日本で 70年ぶりに患者が発生したことが報道されていますが、今年の2月に書いた、

病気の時代 : 太陽活動での地磁気の乱れが誘発するもの。そして「新種」の病気の出現に震え上がるアメリカ国民
 2014年02月27日

という記事の後半に「マレーシアで爆発的に増えているデング熱」のことをご紹介したことがありましたが、最近の数年は、デング熱の流行地域が爆発的に拡大していて、記事でも、

地図を見ている限りは、朝鮮半島や日本に上陸するのも時間の問題のようにも見えます。

と記していますが、それは、下のふたつの地図を見ると、おわかりかと思います。

2004年のデング熱の発生地域

den-2004.gif
感染症情報センター「デング熱」


2010年版 デング熱のリスクのある国

dengu-map-02.gif
厚生労働省


そして、2014年に上の地図で日本も、「デング熱の発生がある地域」を示す黄色を塗られてしまうことになってしまったようです。デング熱が日本に定着していくのかどうかはわからないですが、何しろ、今は日本は「過去最高の外国人旅行者数記録を更新」し続けているわけで、人と共に、いろいろな病気もやってくるのは仕方ないことだと思います。


なお、デング熱は、軽い症状の人から重い症状の人まで様々ですが、上の「病気の時代 ……」では、インドを旅行していて、デング熱になり、出血を伴う重症化を経験した日本人の方のブログのページ「デング熱の恐怖6 緊急処置」をリンクしていますが、デング熱の症状が悪化した場合の恐ろしさがよくわかります。

> 痛みはだんだん増してきた。歯が痛み、頭が痛み、肘、膝、骨、背中、皮膚の腫れぼったい痛みと痒み。全てが同時に襲いかかってくる。

> 右腕がだんだん真紫に変色していき、そのエリアがどんどんひろがっていく。

> 膝の激痛で満足に立ち上がるどころか、背中の激痛で起き上がる事もできない。

などのような記述が並びます。

日本のデング熱の最新の報道では、


デング熱 感染者36人に
テレビ東京 2014.09.03

国内でデング熱に感染したことが確認された人の数は、きのうまでに36人となりました。いずれも東京の代々木公園やその周辺を訪れていて、東京都は蚊を採集して調査する方針です。

重症例はないということです。


ということで、今回、日本で罹患された方々は上のインドで感染した方のように重い症状の方はいなかったようです。

ところで、タイトルに、

「治療に関してはそのエボラと同じタイプであるデング熱」

と記しましたが、何が同じかというと、 デング熱 - Wikipedia の以下の記載がそれをあらわしている部分です。

予防

デングウイルスには、認可されたワクチンがない。

治療法

デング熱に対する特別な治療法はない。

という、ワクチンも治療法もないという点においては、エボラ出血熱と同じタイプの感染症です。予防法は「蚊に刺されないようにすることだけ」のようです。

さらに、 この Wikipedia には、「デング熱の発生率は、1960年 - 2010年の間で30倍に増加した」という記述もあります。

最近は、何度か「病気の時代」という言葉をタイトルに入れた記事を書きましたけれど、それはまさに進行中なのかもしれないなあと、昨年あたりから特に思います。

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