2014年09月16日



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「死の海」と化している地中海に大量死の時代を思いながら、意識は乙女的に転生に飛んだり現実に引き戻されたり


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▲ 2014年8月23日のギリシャ defence net より。



大量死の代名詞となりつつある地中海

今朝、下のような報道がされていました。


地中海で難民700人超死亡か=人身売買業者、船沈める
時事通信 2014.09.15

国際移住機関(IOM)は15日、地中海で難民船2隻が相次いで沈没し、計700人以上が犠牲になった可能性があると明らかにした。船にはパレスチナなどから逃れた難民が乗っており、うち1隻は人身売買業者に意図的に沈められたという。

救出された難民はIOMに、船にはパレスチナやシリア、エジプト、スーダン出身者ら少なくとも500人が乗っていたと証言。救出されたのは9人にとどまり、大半が死亡したもようだ。

また14日にもパレスチナ難民らが乗った船がリビア沖で沈没。約30人が救出されたが、約200人が犠牲になったとみられる。



実は、最近の地中海では、上みたいなことが頻繁に起きていて、8月 28日の朝鮮日報の記事では、「今年だけでボートピープル 1800人死亡。死の海と化した地中海」というタイトルの記事が掲載されていましたが、その後も相次いでいる上に、先に載せましたニュースのように、700人が犠牲になるような事故も起きたりもしていて、また、把握されていない事件事故も多いと思われ、一体今年の地中海でどのくらいの人命が失われているのか想像もつかないほどです。

その記事には、「密航ビジネス」の実態なども含めて、今後も地中海の大量死が収まる気配を見せないかもしれないことを示す内容が多く載せられていますので、ご紹介したいと思います。

そして、冒頭に載せましたように、地中海を渡りヨーロッパに次々とやってくるボートピープルや難民に対して、一般のギリシャ人やイタリア人など、地中海周辺の人びとは、明らかに危機感、あるいは、敵対感を持つ人が多くなっているようです。

それに加えて、今のアフリカには、「エボラ」があり、最近ではこれが「空気感染するウイルスに突然変異する可能性」が囁かれていたりします。

これに関しては、

エボラウイルスが突然変異により空気感染する能力を獲得した場合「 120万人の死者が出る」と予測する計量経済学者
 2014年09月16日

という記事で簡単にふれています。

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Guardian Liberty Voice


さすがに今のところ、そのような突然変異を見せている気配はないようですが、かつて、エボラ・ウイルスの別の株である「エボラ・レストン」というウイルスが、突然変異により空気感染する能力を獲得したことが実証されたことがあるのだそうです。

そういう意味では「ゼロ」ではないと。

仮にエボラウイルスが空気感染可能なものと化した場合、アフリカ内での感染拡大も著しいものとなるでしょうけれど、そのアフリカからヨーロッパへと何十万人もの難民が毎年移動してきているわけで、単なる人種的な問題を越えた「パンデミック的な問題」も発生し得るわけです。

今回は、朝鮮日報の「今年だけでボートピープル 1800人死亡。死の海と化した地中海」という記事を翻訳してご紹介したいと思いますが、最近、こういうような「大量死の報道」を見ていますと、

無意識の精神的な逃避

とでもいうのか、「死後」という概念を考えます。

そういえば、最近の、

火山性ガスを噴き出すアイスランドの火山……美しさ……転生……感覚的世界……人生を体験していること
 2014年09月13日

という記事で、「転生」のことを書いたりしましたが、最近のニュースで、ふと、漫画家の大島弓子さんの 1987年の作品『秋日子かく語りき』を思い出すことがありました。この漫画は「転生」をテーマにしたものです。

異常な横道の逸れ方になるかもしれないですが、少し書きますね。




李香蘭から『秋日子かく語りき』。そして川端康成の「死後の生存」の概念にまで行き着いた一日

先日、下のニュースがありました。


山口淑子さん死去 「李香蘭」の名前で活躍
NHK 2014.09.14

戦時中、日本人であることを伏せて李香蘭の名前で女優として歌や映画で活躍し、戦後はテレビ番組の司会者や参議院議員も務めた山口淑子さんが、今月7日、心不全のため東京都内の自宅で亡くなりました。94歳でした。



このニュースを読んで「李香蘭といえば……」と、彼女の歌で唯一知っていて、お気に入りでもある 1944年の「夜来香 (イエライシャン)」 を、久しぶりに iTunes で聴いたりしていました。

しかし、何でそんな戦時中の曲(後で、テレサ・テンも歌っていましたけれど)を知ったかというと、『秋日子かく語りき』の一コマに、イエライシャンのフレーズを主人公の女の子(の肉体だけを借りている中年女性の霊体)が歌っているシーンがあるのです。

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・『秋日子かく語りき』より


イエライシャンが日本語ではなさそうなことはわかりますが、

「彼女は何語の歌を口ずさんでいる?」

と気になったのがキッカケで、ずいぶん後になり、それが李香蘭の「夜来香」だったことを知ったのでした。

下が「夜來香」です。



この「夜来香」はともかくとして、転生をテーマにした大島弓子さんの『秋日子かく語りき』、ストーリーについては、「秋日子かく語りき」(大島弓子 作)〜輪廻転生について考えました〜という記事から引用させていただきますと、


普通の主婦、というよりおばさん・竜子と、のほほんな女子高生・秋日子。二人はあの世とこの世の境目で出会います。

そこに天使様が会われて、二人は事故に遭い、竜子は死んでしまったこと、秋日子の体は元気で、ここにいるのは間違いだから、帰りなさいと話します。

納得できないのは竜子です。このままじゃ死ねないと、天使様と秋日子に頼みこんで期間限定で秋日子の体に蘇ることになります。


というところから始まる1週間の波瀾万丈を描いた、わりと他愛ないと言えば他愛ない話ですけれど、登場人物たちの現実的な感情の描き方や、何より大島弓子さんの絵が最も素敵な頃で、二十代の頃、好きな作品でした。




アネモネ転生と川端康成の考えていた「死後の人生」

ところで、この『秋日子かく語りき』の中に「アネモネ転生」という言葉が台詞に出てくるのですけれど、今まで気にしたことがなかったですが、

「アネモネ転生って何だ?」

と急に思って、 Google で「アネモネ 転生」と検索してみましたら、1番最初に出てきたのが下の小説でした。

anemone-google.gif


こんな小説知らないですし、読み方も危うい。

どんな作家の小説かと、この抒情歌 - Wikipedia のページを見ますと、

『抒情歌』(じょじょうか)は、川端康成の短編小説。川端が新境地をみせた初期の代表作の一つで、川端の死生観がよく示されている作品である。また、川端自身が最も「愛してゐる」作品の一つでもある

あれれ・・・川端康成さんの作品のようです。
1932年に出版されたものだとか。

そのあらすじは、

ある霊感の強い女人が、恋人に捨てられ、その人の死を知り、その苦悩や失意の中で「輪廻転生の抒情詩」に救いを求める愛と死の物語。

嫉妬や呪詛、悲しみの末、禽獣草木、天地万物のうちに愛する人や自身を見出し、霊の国や冥土、来世で愛する人の恋人になるよりも、一つの花になりたいという汎神論的心境に思い至るまでの詩的な心の軌跡が、霊的モチーフで神秘的に描かれている。


とあり、なかなか難しそうですが、ここのどこに「アネモネ転生」という言葉が出て来るのかというと、下の部分です。

「私」は、「魂」という言葉を、「天地万物を流れる力の一つの形容詞」と感じ、動物を蔑んでいる因果応報の教えを、「ありがたい抒情詩のけがれ」と呼び、エジプトの死者の書や、ギリシャ神話はもっと明るい光に満ち、アネモネの転生はもっと朗らかな喜びであると思った。

「うわ、意味がわかんない」と、さらに、意地になって調べてみますと、どうやら、ギリシャ神話に出てくるアドニスという人の「血の転生」のことを示しているようです。

血の転生というか、

「アドニスが死んだ後、その血がアネモネに転生した」

というような話です。

ギリシア神話小事典』という本を参照しているこちらのサイトから抜粋しますと、このアドニスは、軍神であるアレスという神様に殺されてしまうのです。その後、

アドニスは、猪に突き殺された。

アフロディテはアドニスの死を悲しんだ。死と嘆きを忘れないように、毎年思い出すように、アドニスの身体から流れる血に、深紅のアネモネを咲かせた。

アプロディテはゼウスに頼んだ。

「アドニスが暗い冥府で過ごすのはかわいそうだから、せめて夏だけ、私のそばに置いてください」

それで今でも、アネモネは夏になると、可憐な花を咲かすのである。

というものだそう。

「なるほど」と、ここで、私は、『秋日子かく語りき』を最初に読んでから約 25年も経過した後に、『秋日子かく語りき』の最後の台詞、それは、秋日子の友人の言葉ですが、その意味に辿り着くことができたのでした。

下がその台詞です。



それぞれが未来の転生のことを夢みてた
しかし、わたしは、
花や蝶になりたいというのでなければ、
我々はとっても近い今生のうちに
それぞれの夢をかなえることをできるのだと
固くそう思っていた




ギリシャ神話のアドニスのように(死後に)花に生まれ変わるというようなことは、生きているあいだには無理だけれど、それぞれの夢は(死ぬ前に)かなえられるのだ、と作品中の彼女は言っていたのだと。

まあ、私のように年齢的に五十代という冥府の王ハーデスか、あるいは、人生の希望の確率がアナザーゴッドハーデス(1/8192)のレベルまで下がりつつあるところまで年をとりますと、今生に夢がかなう・・・というフレーズは、なかなか受けつけないようになってしまいますが、若い人などには、こんな素敵な言葉はないのかもしれないとも思ったりします。

ところで、「アネモネ転生」を解き明かすキッカケとなりました、川端康成さんの『抒情歌』という小説は、先ほどリンクしました、 Wikipedia をさらに読みますと、川端康成さんは「死後の生存」という概念について考えていたようです。


というわけで、余談どころではない逸脱となってしまいましたが、

大量死

という言葉は、文字通り、「多くの死」のことです。

その「死」の先に何があるのかを最近は考えざるを得ないような世界の趨勢ではあるように思います。

それでは、最近の地中海の現状についての記事です。

なお、下の地図は、国連難民高等弁務官事務所( UNHCR )が 2011年に作成した「他国への難民流出の数」を示したものです。

africa-refugees.gif
Guardian


国によっての差は大きいですが、年間単位での難民発生数がかなりのものになることがおわかりかと思います。

そして、正確な比率はわからないですが、その中のかなりの人びとが、地中海からヨーロッパを目指すルートを試みます。



news.chosun.com

今年だけでボートピープル 1800人が死亡…今や「死の海」と化した地中海

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Independent


アフリカの正常不安により 12万人が EU に密入国

8月22日、リビアの首都トリポリから東へ 60キロメートルの地中海の海上で、北へ向かっていた長さ 16メートルの木造船が突然転覆した。

船には、ヨーロッパに密入国しようとしていたエチオピアやエリトリアなど、アフリカ諸国の難民約 200人が乗っていた。そのうち 180人あまりが死亡した。

次の日、地中海のイタリア・ラムペ二の南の沖でエンジン故障で漂流していた船から18人の遺体が発見された。その翌日には数百人を乗せて密航していた漁船が沈没し、6人が死亡した。

死者はすべて「より良い生活」を夢見てヨーロッパへ船に乗ったアフリカ難民たちだった。

地中海を介して欧州連合( EU )に密入国した件数は今年だけで 12万 4380人(8月時点)に達し、「アラブの春」で、中東情勢が混乱に陥った 2011年の 6万 9000人以来、最大となった。

イギリスのエコノミスト誌は、「昨年、密航船の沈没で 368人が死亡した事件を契機として、イタリア海軍が密航船の遭難者の救助活動に積極的に乗り出したことにより、むしろ流入が急増した」と分析した。

密航が多くなり、船舶の転覆等による死亡件数も急増している。今年(8月まで)の密航による死亡者は 1880人にのぼる。

これは、現時点で、昨年1年間の 600件の3倍を越えた数となっている。
米国 CNN は「地中海が『死の海』に変わった」と述べた。

密航の現実は冷徹だ。 CNNは、「業者が監視レーダーを避けるために小さな船を利用する」こと、そして「収益のためにを船に人びとを最大限まで詰め込む」ことなどの現状を報じた。

20日あまりゴムボートに乗る際に、ライフジャケットを着るためには 200ドル(約2万円)、良い席を確保するためには 300ドル(約3万円)を追加で支払わなければならない。

水と食べ物は 100ドル(約1万円)だ。

業者たちは、密航ビジネスで最大 100万ユーロ(約 1億 3,000万円)を手にしていると、イタリアの日刊紙は伝えている。

これらの「ボートピープル」のほとんどは、アフリカおよび中東出身だ。懸命に働いて、一日2〜3ドル( 200〜 300円)をやっと手にできるかどうかという人ばかりともいえる。

それにも関わらず、彼らが平均で 2,500ドル(約 25万円)にものぼる金額を業者に支払ってまで「死の海」を渡るのは、母国の慢性的な政治的、社会的不安に原因がある。

内戦中の中央アフリカ共和国の難民は、すでに 62万人にも達していることなどが代表的な例だ。

ドイツのシュピーゲル紙は「密航船への搭乗の機会を待ち続けている人がモロッコだけでも4万人いる」とし、「リビアで不法入国を準備している難民は 30万人いると推測される」とした。

難民問題で、欧州域内の対立も激しくなっている。

昨年だけで約 4万 3000人の難民が入国したイタリアは、海上密入国の「関門」と呼ばれるほどだ。

今年、地中海で難民約 10万人を救ったイタリア海軍は、救助作業だけで毎月約 900万ユーロ(約 12億円)を費やしている。イタリア内務長官は最近、「この現状では 10月からは、難民救出の仕事をすることができない」と述べている。

しかし、北欧諸国は、「最初に入国した南欧諸国から難民申請をすることはダブリン条約に準拠している」と意見は真っ向から対立している。

昨年、EU 加盟国 28カ国全体の難民申請 32万件のうち 56%はドイツ、スウェーデン、フランスに集中した。

しかし、実際に難民として認められた割合は、昨年が 15%( EU 28カ国平均)に過ぎない。
フランス国内では、不法移民が 20万〜40万人いると推測されるほどの状態だ。

移民問題は、ヨーロッパ内の極右派の勢力拡大につながる。ドイツのシュピーゲル紙は「これまで人権を強調してきたヨーロッパの難民問題が道徳的ジレンマに直面している」と記した。




  

2014年02月24日



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今年4月5日に世界中の空で目撃されると思われる飛行物体
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MRGYRO より。


2014年2月24日の時点で「4月5日のUFO出現」が確定している場所

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Google スプレッドシートより。







 



凶暴化したチワワの群れにモンティパイソン化した社会を感じて

最近に限ったことではないでしょうが、それでも、最近はさらに奇妙なニュースをよく目にします。何かこう、モンティパイソンの世界がそのまま現実になったかのような出来事がよくあります。

数日前に、米国タイムで見た下の報道などもそういうものです。

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▲ 2014年2月18日のタイム Ragtag Team of Rogue Chihuahuas Terrorizing Arizona Town より。


もともとは米国 abc テレビで報道されたもののようです。

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▲ abc テレビの報道。動画は Daily Mail にあります。


これは、アリゾナ州のフェニックスという場所で、「野良犬と化したチワワたち」が群をなして地元の子どもたちなどを襲撃しているという報道です。

昨年だけでも、チワワの襲撃での緊急電話の数が 6000件を越えたということで、なかなかの非常事態なのだそうですが、「チワワ」という響きと、「凶暴化して人を襲う」という語感が今ひとつマッチしなくて、確かに大変なニュースではあるのですけれど、むしろこの違和感をに妙な気分になったりしています。

写真や動画のチワワたちは確かに、なかなかどう猛な顔と行動をしていて、「オレたちは人間と戦うんだ」という意志が伝わってくるようです。


さて、今回の本題は、タイトルにあります通り、4月5日に世界各地に「偽の UFO 」が出現するという話です。







実は何度も実行されている「偽 UFO 計画」

まず、2月24日の時点で、その日に UFO が出現することが確定している場所についてですが、最初に貼りました表によりますと、アメリカが 17カ所、南アフリカが4カ所、オランダが3カ所、イギリス、フランス、オーストラリアがそれぞれ1カ所ずつとなっています。

これは参加者が増えると場所も増えていきますので、今後さらに増えるものと思われます。あるいは日本でも参加者がいれば、日本の地名も入るかもしれません。



それにしても、これは一体どういうことなのか?・・・と思われる方もいらっしゃると思います。

何の話なのだか今ひとつ理解しにくい部分があると思いますので、その流れをご説明したいと思います。

話は昨年 10月にまで遡ります。





始まりは英国のラジコン愛好家グループのアイディア

私はラジコンのことはよくわからないのですが、FPV と呼ばれる活動があるのだそうです。 FPVについてというページの説明によると、


近年海外で飛行機にカメラを載せて、その映像信号を陸にいるパイロットがリアルタイムに確認しながら飛行機を操縦する技術をFPVと言います。



ということで、ラジコンにカメラをつけて撮影することを FPV と呼ぶらしいのですが、この FPV では、マルチコプターというものを使うことが多いらしいです。

そのマルチコプターというのはいろいろな形状がありますが、要するに「円形のヘリコプター」というような形のものです。下のは本格的なものですが、一般の人でも楽しめるタイプのものも多くあるようです。

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▲ K-STAGE 放送局用大型カメラ搭載仕様 高性能マルチコプターより。


「偽 UFO 騒動」を最初に考えたのは、このマルチコプターでの撮影を趣味としている英国の MRGYRO というグループだったと考えられます。読み方がわからないですが、「MRジャイロ」か「ミスタージャイロ」かどちらかではないかと思います。

ここでは前者の表記にします。

昨年 2013年10月に、この MRジャイロは「実験第1号」をおこないます。

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MRGYRO より。以下の写真も同じ。



MRジャイロが作製した「 UFO 」は、下の写真のもので、LED が搭載されていて、光りながら空に浮かぶ小型のマルチコプターでした。

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そして、2013年10月4日午後7時、英国グロスターシャーにあるストラウドの上空に今回の最初に載せたような「光る物体」が 12分間ほど飛んだのでした。

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▲ 空に飛んでいく MRジャイロ製作のマルチコプター型の物体。


何と、その 12分の間に、地元の新聞社の記者がその光景を目撃し、すぐに写真を撮影。

そして・・・。


2013年10月5日の英国の地方紙ストラウド・ニュースより

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何と、上のように「ニュース」となってしまったのです。

さらに、地元紙では次々とこの「事件」が大きく取り上げられることになったのでした。

下がその時に報じられたメディアの数々です。

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そして、このことを知ったオランダのラジコン愛好家が、今年1月、ラジコン愛好家たちの BBS で、

「全世界でこれをやったらどうだろう」

と言いだしたのでした。

その名も、「巨大なUFO計画」。


このプロジェクトがラジコン愛好家によって発案されたフォーラム

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▲ 2014年1月22日の フォーラムへの投稿 The big UFO project より。


内容は、


我々は 2014年4月5日に飛行を実行することにした。
できれば、午後8時ジャストに。

ライトの色は青が望ましい。
固定翼かマルチローターのいずれかを用いる。

飛行に参加する人たちのために、スプレッドシートを作った。




というようなものです。

そして、この計画に、先にご紹介した「イギリスで UFO 騒動を起こしたマルチコプターを使用する」という流れとなったわけです。

もちろん、製作するのは参加者各自ですので、様々な形状の「 UFO 」が作られるとは思いますけれど、

円形で光るものが飛ぶ

という基本的な条件は多くの参加者が満たしそうです。







警戒する UFO 愛好家たち

そして、一方では、この計画が進行していることを知った UFO 愛好家たちが、「4月5日に騙されないように注意せよ」という警告をおこなっています。

UFO サイトは世界中に山の数ほどありますが(星の数ほどはないです)、そのいくつかのサイトで警告が発せられています。

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▲ 2014年2月22日のアメリカの UFO サイト UFO Sightings Hotspot より。


上のタイトルに false flag とあるのを「偽旗作戦」としましたが、あまり意味がわからないですので、辞書で調べてみましたら、 false flag というのは、


あたかも他の存在によって実施されているように見せかける、政府、法人、あるいはその他の団体が行う秘密作戦である。



という意味だそうですので、このサイトの作者は陰謀系の行動のひとつだと考えているようです。

しかしまあ、成り行きを見ている限りは、「遊び」で始まって、「遊びが拡大した」というような感じかと思います。


いずれにしても、2014年4月5日と、そして、翌日の「報道」に注目したいです。

「○○で光る未確認飛行物体が目撃」

という文字がどれだけ踊るのか。
あるいは、踊らないのか。

もちろん、この情報が拡散し過ぎてしまうと、グループも計画を変更したり、さらに「秘密裏に計画を進める」という可能性もありますけれど。


なお、過去の例として、「○月○日に UFO が出現する」と言われていて、その通りに出現した例としては、米国のニューヨークでの 2010年 10月の事件があります。







ニューヨーク 2010年10月13日

過去記事の、

10.13 ニューヨーク UFO 騒動: 予告通り? マンハッタン上空に続々と UFO が登場
 2010年10月14日

で海外の報道をご紹介したことがありますが、下のような飛行物体が大挙、ニューヨークの上空に現れ、その様子がテレビや各メディアで報道されたものです。

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テレビでは、ニューヨークでその飛行物体を見入る人たちの姿なども報じられていました。

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▲ 当時の abc ニュースより。


飛行物体の正体はわかりませんでした。

この話の場合は、北アメリカの航空や宇宙に関しての観測を目的として設置された組織「北アメリカ航空宇宙防衛司令部」( NORAD )退役士官のスタンリー・フルハム( Stanley Fulham )さんという人が自分の著書の中で、「2010年10月13日にエイリアンが人間と接触する」と記していたということがあり、その日に飛行物体が現れたということが話題となりました。



そんなわけで、いろいろと世界では知らない計画が進んでいたりするもので、他にも国家単位でのような大規模な「計画」から、小規模なものまで、いろいろなことがおこなわれていると思われます。

ですので、何か異常なことが起きた場合でも、とりあえず冷静でいたほうがいいのかもしれません。

特に今年はいろいろとありそうです。



  

2013年06月17日



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最近、個人的に「虚無感」のようなものが長く続いているんですが、周囲にもそういう人が多いとことを知りました。最近、その虚無感と平行宇宙のことなどと絡めた記事を書いているんですが、書けば書くほど何が何やらわからない記事になりまして、そちらはもう一度整理してみます。

今回は虚無感とも平行宇宙とも関係ない、むしろライトな内容ですが、最近、少し気に入っていたふたつのニュースについてです。






 

忘れた頃に蘇る「彼ら」


先日、英国のベルファスト市というところの墓地にある木を切り倒したところ、「木の切断面にキリストのような顔が現れ、参拝者が殺到している」というニュースがありました。

下は YouTube に投稿された動画からのスクリーンショットです。

jesus-tree-1.jpg

Belfast City Cemetery Phenomenon より。


こういうニュースはわりとよくあることでして、これ自体はそんなに驚くようなことでもないとも思うのですが、この YouTube の動画を見た時に私が反応したのは、すぐ下にあった「コメント」だったのでした。

動画自体はイギリスからのもので、全体的に英語のコメントばかりの中に、日本語でのコメントがありまして、そこに下のように書かれてありました。

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これを読んで思わず笑ってしまったのですが、皆さんは昨年の「修復ブーム」を憶えてらっしゃるでしょうか。

In Deep でも二度ほど記事にしています。

2012年にスペインで生まれた「新しいキリスト像」の価値観が瞬く間に世界を席巻
 2012年08月27日

モナリザとマンモンとマタイ(とブラッド・ピッドも含む)に挟まれ、7つの大罪が心にしみる秋の朝
 2012年09月28日


どんな出来事かということに関しては、当時の AFP の記事から部分的に抜粋しておきます。


「世界最悪」の修復キリスト画が大人気、訪問者が急増
AFP 2012.08.26

「世界最悪の修復」でサルさながらに変貌してしまった102年前のキリストの肖像画を見ようと、スペイン北東部ボルハを訪れる人々が数百人規模に急増している。

この肖像画はスペイン人画家エリアス・ガルシア・マルティネスが1910年に描いたもので、ボルハ市内の教会の柱に直接描かれている。傷みが目立ち始めたため、年齢が 80代とされるセシリア・ヒメネスさんが善意で修復を試みたところ、オリジナルと似ても似つかないとして地元住民から苦情が殺到。

静かな町だったボルハに、世界中のメディアの注目が一気に集まった。一部メディアはこれを史上最悪の修復と伝えた。



その上にあるスペインのヒメネスさんによる「史上最悪の修復」と言われた修復キリスト画は下のものです。

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そして、下の写真がイギリスで話題となっている「木の中から現れたキリストの顔」です。

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まあ・・・・・確かに雰囲気は似ています。


ちなみに、スペインの修復キリストは「修復される前のキリスト像」と並べたものがあります。地元スペインの当時のメディアからのものです。



▲ キリスト画の修復前(左)と修復後。


今回の木の切り株に浮かび上がったイエス像がどちらによく似ているかというと・・・やはり修復後のほうに見えなくもないです。




あるいは存在しないリアルなイエス様

ところで、本物のキリストの顔に関係するものといえば、トリノにある聖ヨハネ大聖堂に保管されている「トリノの聖骸布」というものがあります。Wikipedia から説明を抜粋します。


聖骸布(せいがいふ)

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▲ トリノの聖骸布

聖骸布は、キリスト教でいう聖遺物の一つで、イエス・キリストが磔にされて死んだ後、その遺体を包んだとされる布。

聖骸布は、その発見以来、長き言い伝えと共に、キリストの遺骸を包んだ布であると信じられてきた。その真偽については、これまでにも一般公開された機会などに合わせて専門家による科学的調査が進められてきた。

いずれにしても、その真偽については依然として決定的なことは言えず、現在も世界中で様々な研究が行われている。カトリック教会は布の真偽に関係なく、信仰のための重要な道具であるとの立場である。




この聖骸布ですが、年代を測る方法のひとつである放射性炭素年代測定法などでは、西暦 1260〜 1390年の間くらいのものと出たりしていて、信憑性についてはいろいろありますが、真偽はともかく、上の聖骸布の複製から再現された「イエスの顔」というものがあります。

下の写真です。

torino.jpg


聖骸布のイエス様の顔と、修復キリストのお顔ではずいぶんと違った風情となっているわけですが、2013年になってイギリスに出現したそのお顔は、どちらかというと修復系だったということに、いろいろと思うところがありました。


ちなみに、昨年の「修復騒動」は、後日談を書いた記事「モナリザとマンモンとマタイ(とブラッド・ピッドも含む)に挟まれ、7つの大罪が心にしみる秋の朝」に書きましたが、修復した女性が突如「ヒール」となったりした展開などもあり、いろいろと「この世」を考えさせてくれる出来事でした。



ところで、中国では、先週くらいに、「エイリアン捕獲」騒動が中国内外のメディアで大きく報じられていました。そのことにも少しふれておきます。







ゴムの残骸をなすすべなく報道するメディア


これは、日本語でも報道されていましたので、その記事を抜粋しておきます。


山東省浜州の男性が宇宙人捕獲、当局や専門家は結論出さず
newsclip.be 2013.06.11

宇宙人を自ら仕留めたと警察に通報したという話題が山東省浜州市で広がっている。宇宙人か否かを含めた真偽は、まだ明らかにされていないという。政府系ウェブメディアの人民網が6月10日付で伝えた。

本人の李さんが記したブログによると、今年3月9日の午前2時ごろ、黄河周辺を飛行中のUFOを偶然発見。UFO本体は取り逃がしたものの、野兎を狩る電撃ネットを巧みに利用し、乗組員5人のうち1人を死亡させ捕獲した。収穫物は自動車で自宅に運び込み、損傷しないよう冷蔵ケースに入れて保存している。

生き残った宇宙人の報復を恐れて、李さんは速やかに通報して公安を呼んだ。冷蔵ケースの物体は全体が茶色で、ゴムのような材質で形成。目と思われる穴や、手足はついているが、生物とは思えない無機質な姿で収納されていた。



記事はまだ続きもありますが、文字だけで写真がなかったですので、中国のメディアを探してみたのです。

そして・・・。

記事の写真を見た途端に、「これは紹介するのはやめよう」と思い、当時は話題にふれることもありませんでした。

何しろ、その李さんが捕獲して保管しているという宇宙人は下の写真のシロモノです。


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▲ 中国メディア kdnet 他より。


・・・(笑)。

ちなみに、横でポーズを決めている男性が李さんです。


私は若い頃、SF映画が好きで、特殊メイクアップアーティストになりたいと思っていたこともあったのです。そんなこともあり、十代の頃からいろいろな素材でモンスターなどを作っていましたが、上手ではなかったとは思いますけれど、しかし、それでも、李さんの作ったこのエイリアンよりは丁寧に作っていたと思います。


ちなみに、この李さんはその後どうなったかというと、続報があります。


宇宙人の写真をネット公開した中国人 刑務所に
VOR 2013.06.13


冗談でインターネット上に写真を公開し、あたかも宇宙人が存在するかのように信じ込ませた中国人が、刑務所に送られる羽目になった。

山東省のリ・カイさんは、嘘の情報を流布させたとして5日間自由を剥奪された。「Global Times」紙が伝えた。リ・カイさんによれば、3月、黄河で宇宙人の死体を見つけ、それを冷凍保存していたという。その写真は6月9日に公開された。

ブロガーたちの間ではこの写真が瞬く間に広がったが、警察は公式に、これが「偽物」であるとの声明を出した。

警察がリ・カイさんのところを訪れたところ、宇宙人を自作したことを自白した。

「テレグラフ」紙がリ・カイさんの言葉として伝えたところによれば、「私はUFOファンだ。他の人も宇宙人を信じるようになって欲しかっただけだ。」という。



まあ、李さんにとっては残念な結果になってしまいましたが、しかし、まだ方法は残っているかもしれません。

それは「修復すること」です。

李さんの言う「他の人も宇宙人を信じるようになって欲しかっただけだ」という思い入れも、このゴム人形では他の人々に通じませんので、修復を重ねて、さらなる高みを目指してもらいたいと思います。

そうすれば、どこかから自然とその姿が出てくるようになるかもしれません。


イギリスの墓地の木の中に現れた修復されたキリスト様のように。





  

2013年03月12日



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china-d-top.jpg

▲ 中国雲南省では大干ばつが発生しており、500万人が被災しているようです。上の写真は雲南省のメディア雲南網 より。下のほうに文字の記事も載せています。






 


水が気軽に手に入る時代は終わろうとしているかもしれません


今回は久しぶりに「ハウツー記事」です。

前回のハウツー記事はそれぞれずいぶんと以前ですが、



などについて記したことがあります。

今回は水を大気から獲得する方法です。

これは先日、

ペルーの首都で「大気から飲料水を作る装置」が市民に提供される
 2013年03月02日

というペルーの大学で、「大気から飲料水を作り出す装置」がペルーの首都リマに設営された記事をご紹介したのですが、それ以来、大気から水を作る方法というものに興味を持っていました。

peru-water.jpg

▲ 上記事よりペルーの首都リマ市に出現した「大気中の水分から飲料水を作る」という看板。リマ国立工科大学( UTEC )が出したもの。


上の記事で私は下のように書いています。


日本は水が豊富だとはいえ、今でも水は河川、つまり「雨頼り」であるわけで、毎年のように各地で断水や取水制限が起きます。

そして、今後は環境の変動も大きくなる可能性はあるわけで、大雨が続くというような可能性がある一方で、大変な干ばつという可能性はどこの国でも起きる可能性はあると思います。たとえ僅かな量でも(飲料水だけでも)、大気から水を得られる装置には興味があります。




ペルーの国立工科大学で作られた装置は大規模なもので、私たちにどうのこうのできるようなものではないですが、いわゆるサバイバルなどでの飲料水の集め方が書かれてるあるページを最近、偶然見まして、それをご紹介しようと思いました。

まあ、自然界の水滴などから水を集めるというようなごく普通の方法ですが、実際には私などもやったことがないわけで、方法を知っておくのもいいかなと思いまして。


どうして今そんなことをご紹介しようかと思ったかというと、今、干ばつがひどいのです

特に、インド、中国、アメリカではひどい状態の場所が報告されています。
少し紹介しておきます。





かつて経験したことのないような干ばつに突入している各国


まず、最もひどいのがインドのマハラシュトラ州というところで、その中のアウランガーバード地域では、全世界で報道されるほどのひどい干ばつとなっています。私が見た限り、いわゆる主要国でこのインドの干ばつを報道していないの日本(日本語)だけのような気がします。

aurangabad_map.gif

▲ マハラシュトラ州アウランガーバード( Aurangabad )の場所。


下は CNN の記事の概要です。


Drought worsens in Maharashtra; 7,075 villages hit across the state
CNN IBN 2013.03.12

マハラシュトラ州の干ばつが悪化し、州全体で 7075の村が被災

rakshadrough.jpg


マハラシュトラ州の干ばつによる影響が拡大しており、生きるために遠方から水を運ばなければならない村の数は、先週の 2280から 2408の村に増加している。州全体では 11801の村が影響を受けており、過去 40年間で最もひどい干ばつとなっている。

2年連続してモンスーンによる降雨が少なかったことが原因と思われるが、水不足がここまで極端に悪化したことに対して「憂慮すべき事態だ」と州当局は対策を検討している。



地元のメディアには、下のように、果てしなく乾燥した大地を水を運び続ける子どもたちの姿などの写真が数多く見られます。

india-03-03.jpg

▲ インドのメディア Samay より。



そして、中国。

中国の雲南省では、現在、約 500万人が干ばつで被災しており、拡大が予想されています。

下は日本語版の大紀元からです。


雲南省で大干ばつ、497万人被災
大紀元日本 2013.03.12

un-nan.jpg



中国南西部の雲南省が大規模な干ばつに見舞われている。

干ばつの被災者は約497万人で、そのうちの約143万人の人々と、79万頭の家畜に十分な飲用水を供給することができない。

農作物の被災面積は約53万ヘクタールで、そのうち、約25万ヘクタールの農地は深刻な干ばつに見舞われ、収穫不可能な農地面積は約5万ヘクタールに達した。

また、省内の134の河川が枯渇し、138箇所の小型ダムの水がほぼ無くなった。経済損失は約393億円に上る見込みだという。

同省気象庁はこれまでの4年間、高温少雨の天候が続いたことが原因だとみている。さらに、今年1月1日〜2月28日までの各地の平均降水量は前年よりさらに64%減少したことが干ばつに拍車をかけた。




あとアメリカなんですが、アメリカは毎年干ばつがひどいのですけれど、昨年の夏の記事、

2012年6月の全世界の気温は 1880年の観測開始以来もっとも高かったことが判明
 2012年07月19日

に下の表を載せました。




これは2012年の米国の干ばつの予測ですが、今年はさらにひどくなる可能性が指摘されています。リアルタイムの米国の干ばつ状況は U.S. Drought Monitor にあります。

現時点で、フロリダとテキサスはかなりひどい干ばつのようです。
下は「干ばつがテキサスとフロリダに拡大」という内容の記事です。

fl-texas.jpg

▲ A Dry Spring: Drought Expands In Texas And Florida, Pounding State Economies より。



そんなわけで、これから春になり夏になっていくわけですけれど、穏やかな気候が続くというようなイメージはあまりしないのもまた正直な感想なわけで、水が豊富といわれていた日本も先はわかりません。

そして、仮に、経済などが同時に崩壊すれば、水の購入も難しくなったり、あるいは崩壊まで行かなくとも、このまま円安が「仮に制御を失った場合」、海外の水などそのうち買えなくなるという時が来る可能性もあります。

過去の歴史を見ると、通貨安はコワイですよー。
特に制御が利かなくなった時は。


というわけで、ここから飲料水の作り方です。

なお、イラストの中に Transpiration bag とあるのは直訳は「蒸散袋」という感じですが、この「蒸散」というのは、Wikipedia によれば、


蒸散とは、植物の地上部から大気中へ水蒸気が放出される現象である。



ということです。





How To Extract Water From Thin Air
Beforeitsnews 2013.03.08

薄い大気から水を抽出する方法


たとえば、電力が全国規模で停止したとする。
実はそれだけでもう、水は供給されない。

そのようなことを想定して、大気から水を集める方法を考えてみるのも悪くはないと思うのだ。大気から水を集めるいくつかのヒントを載せる。



樹木の蒸散を利用する方法

朝、霞と湿度がある中でなら、緑豊かな緑の中で茂みや低木を利用して、下の図のように水を集めることができる。袋を止めるのにはゴムバンドなどを使う。


get-water-1.gif

重しを入れたビール袋の下には小さな穴を開け、容器に貯める。

この方法で収集した水は基本的には無害で、飲料として使うことができる。ただし、水の味は、植物の味がするのと、採取できる水分の量も決して多くはないが、ないよりはマシだ。


太陽蒸留器( Solar Still )で水を作る方法

水を集める太陽蒸留器を作るには、

・薄いビニール袋(シート)
・土に穴を掘る道具
・水を貯める容器
・器から水を飲むためのチューブ
・重しとして使うきれいな石

が必要となる。

次のような図となる。


get-water-3.gif


説明すると、


1. 穴を掘る場所は草があり、しっとりと柔らかい土のところが良い。幅約1メートル、深さ約 60センチ程度の穴を掘り、上の図のように下に容器を置く。

2. 穴の上に薄いビニールシートを張る。

3. ビニールシートの中央に重しとしての石を乗せる。ビニールシートごと落ちないように、ビニールシートの周囲をしっかりと固定する。


地面からの湿気が、太陽の熱に反応し、ビニールの内側に結露を作り出す。容器に水が貯まったら、容器ごと取り出す、あるいはチューブで飲むが、普通のチューブではダメで、濾過機能のついた特別なものが必要だ。

さすがにこのままでは飲用には適さないので、濾過と消毒が必要となる。

簡単な濾過用のフィルターは以下のように作る。



水の濾過器


get-water-5.gif


1. 持ち手のついているビニール袋かプラスチックの袋を用意する。

2. 袋の下から順番に、木炭、砂、小石、その上にまた砂、石と重ねる。

3. ビニール袋を吊し、水を注ぐ。

4. バッグの底に小さな穴を開ける。

5. 下に濾過された水を受ける容器を置く。


ただし、これでも完全に水が衛生的に浄化されるわけではない。
飲料にするには、沸騰させたり、ヨウ素などの錠剤を使用する必要がある。






(訳者注) 以上ですが、実は、上の下ふたつの方法では、「飲用に適さない」とありますが、過去記事で、アメリカ赤十字社による「緊急時の水の浄化」の方法として、漂白剤を使う方法をご紹介したことがあります。


非常時に漂白剤で水を浄化する方法
  2010年10月26日

あくまで、緊急時用ですが、どこのご家庭にもあるキッチンハイターとかああいうやつですが、実はあれを使う方法が災害や戦争時などでは救助マニュアルとして書かれてあります。

また、一番上のほうにもリンクしましたが、「太陽放射の紫外線Aで川や湖の水のバクテリアを滅菌する」という方法でも、ほとんどの有害な細菌やバクテリアを死滅させることができます。

太陽光線というのはすごいのです。

なので、その水が化学物質にさえ汚染されていなければ、とりあえず飲む水(まずいけれども害はないという意味)を自然の中から獲得することはそれほど難しいことではないかもしれないと思います。



  

2012年05月15日



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(訳者注) 最近、ふと「やけに飛行機の墜落の記事が多いのではないのか」という気がしました。しかし、これが多いものか、ごく普通のことなのか私はその統計を持たないのでよくわからないのです。

なので、これに関しては、まずは、この「5月に入ってからだけ」で発生した世界での墜落事故の記事へのリンクとタイトルを並べておきます。

この10日間ほどで世界で(報道されているだけで)十数台の飛行機やヘリコプターが墜落しており、数十人が死亡しています。




2012年5月(5/5〜5/14)の飛行機墜落事故

5月9日 ロシアの旅客機「スホイ・スーパージェット100」墜落



5月14日 ネパール



5月11日 米国カンザス州



(※)下の3つの米国ペンシルバニア州の記事は、同じような地域で連続して三機の別の飛行機が墜落した事故です。

5月5日 米国ペンシルバニア州



5月9日 米国ペンシルバニア州



5月13日 米国ペンシルバニア州



5月9日 カナダ・サスカチュワン州



5月13日 カナダ・バンクーバー近郊



5月9日 韓国 仁川(インチョン)



5月5日 アラブ首長国連邦



5月13日 米国ミシガン州


Plane-crash-14.jpg


5月14日 フィリピン



(※)下のパキスタンのは4月ものですが、大事故でしたので参考までに記しておきます。

4月21日 パキスタン





これが多いものなのか、あるいは「飛行機というのはこのくらいは落ちるよ」というようなものなのか、小型飛行機を含めての墜落統計資料が見当たらず、わからないのですが、少ないとは言えない感じがします。

ちなみに、以前、

米国フロリダのタンパ国際空港が磁極の移動(ポールシフト)の影響で滑走路の閉鎖へ
 In Deep 2011年01月08日

という記事を書いたことがあり、磁場の移動が実際の飛行機の離着陸や運行に影響し始めているということがあったり、あるいは最近のニュースとして、あまり全世界に関係することではない報道ですが、

北朝鮮のGPS妨害電波、16日にわたり続く
 中央日報 2012年05月14日

と、韓国では、北朝鮮による、衛星利用測位システム(GPS)の電波妨害が続いていることが明らかになっています。

しかしまあ、その・・・最近って一体いろいろな意味で何なやっぱりおかしいですね。事故だけではないのですけれど。確かになんだかおかしい


今回は上の一覧にある中で、同じ地域で3機の航空機が墜落した米ペンシルバニアの報道記事をご紹介します。

ちなみに、ペンシルバニア州というのは、アメリカの下の赤い部分です。

penn-map.png



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2012年04月03日



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(訳者注) ロシアのプラウダの英語版に、に上のタイトル通りの「学ぶのが最も難しい外国語は?」というタイトルの記事がありました。

記事にもありますが、学習する人のネイティブ言語によって、難しい言葉というものは違うわけで、そのランキングそのものにはそれほど興味がないのですが、記事の中に、イスラエルのハイファ大学の科学者たちが行った「左脳と右脳」と「言語」の関係の実験がとても興味深かったので、この記事全部をご紹介しようと思いました。

ただ、どうも上手に訳せなかったので、先に書いておきますと、

・文字そのものに象徴的な意味のある言語は「右脳」と「左脳」の両方とも脳の活動として機能していた。

ということがわかったということなんです。

「文字そのものに象徴的な意味のある言語」はいろいろとあるでしょうが、代表的なものとしては、アラビア語、中国語、日本語などです。


逆に、文字そのものに象徴的な意味のない文字、つまり英語とか、まあ、そういう多くの言語では、

・左脳だけで理解する。

ことがわかったと。

ちなみに、米国の「防衛言語研究所」という研究所では、英語を話す人にとっての「世界の言語の難易度ランキング」をつけていて、それは大きく4つのグループにわけられていますが、その「学習するのに最も難しい超難関グループ」の言語が、

アラビア語、中国語、日本語、韓国語


でした。

ただ、この中で、中国語は文法自体は英語などと似ているようで、英語を話す人にとって中国語は「書き文字だけが難関」のようです。

一方、日本語と韓国語は特殊な文法を持っていますが、韓国語は今では表記はほぼハングル文字です。ハングル文字には象徴的な意味はなく、英語のアルファベットなどと同じ記号としての文字ですので、漢字や日本語などともまた違うはずで、そう考えていくと、「アラビア語と日本語の異常な特殊性」というのは突出します。

まあ、ただ、日本語は、アラビア語とは文字の数が比較にならないほど多いですが。

ちなみに、このプラウダの記事では、日本について、


日本では、12年間の間、日本人の子どもたちは日本語を学ぶ。この12年間のうちに日本人学生たちは、約 1,850個にものぼる漢字についての知識を何度もテストされ、それを習得しないと学校を卒業することができないのだ。


のようになっていて(笑)、なんだか日本人が勉学の鬼のようですが、しかし実際の場合、ほとんどの文字、少なくとも、ひらがなは「目で覚えてきた」はずです。

日本人と日本語と右脳の関係というのもまた、面白いものだと思います。



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2011年11月17日



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「むかつく」という感情表現の言語が存在しないマヤ語


(訳者注) なんかちょっとウツ気味で「なんか元気になるのないかなあ」と探していたら、マックス・プランク研究所のニュースに「感情は言語に関係なく人類共通かも」というようなのがありましたので、ご紹介します。

ドイツのマックス・プランク研究所は、心理言語学や進化人類学などで世界トップクラスの研究機関で、 In Deep の記事では、

古代原人は女性のほうが広範囲に移動していた (2011.06.22)
4万年前に異なる系統の人類が共存していた可能性 (2011.03.25)

などがあります。


なお、実は今回の研究そのものの内容はそんなに面白くないです。

それより、この研究では、「マヤ語とドイツ語を比較している」のですが、その理由が、

・マヤ語には、他のほとんどの言語に存在する「むかつく( disgust )」という意味の言語が存在しない



のだそうです。

というか、「怒る」という表現以上の強い言語がない模様。
なので、マヤ語は言語学者たちの研究対象としてよく使われるのだそうです。

マヤ語というのは、マヤ文明のころから使われている言語で、私はマヤ語なんてのは過去の言葉かと思っていたのですが、weblioによりますと、「今もマヤ語を話す人口は約 300万人いる」とのこと。

もっとも、マヤ語に詳しい「カンクン丸福」というブログの、こちらの記事にはこうありました。2009年11月の記事からの抜粋です。

マヤ語しか話さない人口は、近年激減し、800,000人となっています。彼らは、特にお年寄りですが、昔ながらの自給自足の生活をしております。若い人たちは、やはり現代の文明にあこがれ、現金収入を求めてジャングルから出ます。

仕事をしたい人はまずメキシコの公用語であるスペイン語を少しでも話す必要があります。

そのマヤ人の子供たちはほとんどマヤ語を話さない子供が多いです。学校でも、マヤ語を話す子供は低く見られますので、なるべく話さないようにするため、親も強くは勧めないのが現状です。


ということなんだそうです。
マヤ語は基本的には絶滅に向かっているようです。

言語は実際に生活で話す人がいてのものですから、研究対象として残っても意味ないですしね。

maya-fami.jpg

上の写真は現在のマヤ人の家族。
かわいい服ですね。
この服のデザインもマヤの伝統なのかなあ。


ついでにマヤ語でも勉強しようかな

maua-0-10.jpg

▲ マヤの数字。20進法のよう。やっぱり、「4」で一区切り終わっている。


実は上のブログ「カンクン丸福」には、マヤ語の文法が少しだけですが、書かれてあります。

その「マヤ語の文法と母音」を見て、いろいろと思うところがあったのですが、言語と世界とか母音のことは今では個人的な趣味として、コツコツ自分でメモとかしてはいるものの、最近あんまり書いていません。

まあ・・・母音とか誰も喜ばないような地味な話ですからね(苦笑)。

何しろ、「母音での天地創造」は、神様も宇宙人も天使も、大いなる理性とか魂とかも、とにかく何も派手なものが出てこない。確かになんか夢がないのでしばらく書くのをヤメています。

「神様も出てこない言葉だけによる創世記」はあまりにも地味な世界で、人に主張したりするこっちゃないのかなあと最近気づいた次第です。今までクレアなどでも書いたりして申し訳なかったです(つまらない話だったと思います)。

もう少し頭の中で整理してから、どうしようかを考えます。
まあ、どう書いても地味な話に変わりはないのですけど。


それでは、マックスプランク研究所のリリースです。

なお、ここでの研究のポイントは最初、何度読んでもよくわからなかったのですが、こういうことのようです。

「Disgust」というのは(英語やドイツ語などでは)非常に「強い否定語」だということのようで、


・マヤ語には「怒る( anger )」という感情を表す言葉はあっても、「むかつく、うんざりする( disgust )」という感情を表す言葉はないので、その区別が言語上ではない人たちに、区別はつくのだろうか、と。



マヤ人同様に、日本人にも実は anger と disgust の違いはわかりにくいかも。
この違いは簡単な日本語の表現では、

・腹立つ( anger )
・クソ腹立つ( disgust )

くらいの違いかと思いますが、 disgust のニュアンスはさらに強いようです。

では、ここからです。



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2011年07月25日



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先日記しました、

ノルウェーの狙撃事件での異常な致死命中率 (2011年07月23日)

の追記です。

いくつかの訂正と、あとは補足の資料などです。



「ある異常体験者の偏見」から、致死命中率6パーセントについて

まず、私が「致死命中率」という言葉を知ったのが中学生の時に読んだ山本七平さんの「私の中の日本軍」という本でだと書いたのですが、確かめるために探し出してみましたところ、致死命中率の記述は「私の中の日本軍」ではなく、同じ山本七平さんの「ある異常体験者の偏見」という、やはり第二次大戦従軍の時の記憶などを書かれた著作でした。

その「致死命中率」が書かれている部分を抜粋します。

書かれたのは、1973年ですので、すでに 40年近く前です。

これは、南京大虐殺に関してのことにふれている後にある記述です。
当時の雑誌に「日本軍は、十挺の機関銃で十万人の中国人を射殺した」と書かれてあることがあったそうで、そのことに対しての一種の検証的な話です。

山本七平さんは、日本軍で使われていた銃器、日本刀などに関して、「私の中の日本軍」などでも夥しい記録を残しており、それらの知識の前提があった上で読んだほうがいい部分ではあるのですが、この抜粋部分だけでも「銃の性能」というものはわかりやすいかと思います。

「そもそも銃というのは、発射によって加熱されるために長時間の連続射撃には耐えられない」ということがあります。

この問題をクリアできる武器としては、いわゆる「フルオート(撃ちっ放しにできる)」の銃の存在があり、たとえば、米国では一般の人でも所有できる「ガトリングガン」というものなどがあります。今後、米国などで革命的な騒動が起きると(一般人が軍人に対抗する手段として)使われそうな感じがありますが、今回はガトリングガンのことにはふれません。


では、ここから山本七平さんの「ある異常体験者の偏見」からの抜粋です。

(ここから)



(注)著作では数字はすべて漢数字で書かれてあります。文中の輜重車(しちょうしゃ)とは「弾丸・食糧などの物資を運搬するために使用する馬でひく荷馬車」のこと。下の写真のものです。

Type38_Japanese_Traveling_Forge_1.jpg


「ある異常体験者の偏見」(1973年)より

銃弾には「致死命中率」というものがある。たとえば、「テルアビブの乱射事件」のような、戦場では考えられぬような至近距離で、まったく無抵抗、無防備、しかも、全然予期しない人びとに向かって一方的に発射しても、その致死命中率は、私の計算では6パーセントである。

確かにこれは異常に高い。しかし、この率で逆算しても、十万人を虐殺したというなら、その発射弾数は約170万発。輜重車約200台分、一挺あたり17万発ということになる。機関銃は銃身が熱してくるので、モリブデン鋼という特殊鋼を使うそうだが、日本製はこの材質も悪くすぐ加熱したらしい。

いずれにしても、銃身が加熱するから、長時間連続発射はできない。従って平均一秒一発などは到底不可能だが、それができたと仮定し、朝から晩まで約十時間撃ちつづけ得たとして ----- これも不可能だが、それでも3万6千発であり、17万発の五分の一である。 ----- だが、この3万6千発すら、実際は、たとえチェコのシュコダ製を用いても、不可能である。第一、日本の銃器では撃針で撃茎発条(ばね)ももつまい。




(抜粋ここまで)



張桃芳とシモ・ヘイヘ

なお、致死命中率というものとは違う話ですが、昨年、 In Deep に韓国の人の書いたブログを翻訳して、資料記事として紹介したことがあったのですが、それは、朝鮮戦争の時に北朝鮮を援軍するために派遣された中国の軍人の張桃芳(日本語読み:ちょう とうほう / 韓国語:チャン・タオファン)という中国人狙撃手の話でした。

その記事では、


彼が公式に打ち立てた記録では、32日間で214人の連合軍の軍人を射殺したということになっています。 より驚くべき点は、彼が使った銃は銃身にスコープがない一般的な小銃であったという点。



とあり、致死命中率という一般論では語れない「人間の素質や能力」といったものも、確かに射撃には関係します。

朝鮮戦争での最高の狙撃手 (2010年05月05日)



▲ 張桃芳。


また、近代戦争の歴史の中で、もっとも大量の敵を射殺したことが記録として残っている人物としては、史上最多の確認戦果505名射殺の記録を残しているフィンランド人のシモ・ヘイヘという人がいます。

シモ・ヘイヘ (Wikipedia)


上記 Wikipedia によれば、


・ヘイヘを含むフィンランド軍32人が4000人の赤軍を迎撃



そして、ヘイヘは、戦争開始から負傷するまでの約100日間のうちに 505人を殺害。上記には、



・2006年にアメリカで製作されたドキュメンタリー番組"Fire and Ice: The Winter War of Finland and Russia"では合計800人以上を狙撃で殺害していると推定されている。




という記述があります。

その相手(敵)の数は「 4000人」であり、その5分の1から6分の1の人数を一人で倒しているわけです。

これは確かに「殺人の記録」ではあるわけで、眉をひそめる方は多いかと思いますが、どの方向での能力でも「驚くべき人間の能力の存在」というのはあると、私はこれを知った時に思いました。

多分、張桃芳も、シモ・ヘイヘもすでに視覚などの能力での射撃ではないと思われます(共に、近代的なスコープ等の使用を拒否していたため)、仮に、シモ・ヘイヘの、


 > 150mの距離から1分間に16発の射的に成功した


というのが事実なら、これは人間にできることではないです。「異常な空間認識」という言葉が合うと思います。

皮肉なことに見えるかもしれなくとも、宇宙や(あるいは神のようなもの)は、いろいろな人たちに均等に奇跡を与えてきたことは否めません。


ちなみに、シモ・ヘイヘは戦場で敵軍兵士の銃撃によって「頭を半分吹き飛ばされた」重傷を負いましたが、死にませんでした。

戦後はフィンランドの森で狩人として平和な余生を送り、96歳という長寿で人生を終えています。



simo.jpg

▲ シモ・ヘイヘ。身長 152センチと、身長の低い男性でした。銃の長さは 120センチあります。表情はどの写真を見ても非常に穏やかです。



私は彼ら(だけではないですが)の人生などを見ていると、社会で言われる様々な善悪の観念や人生とは一体何なのだろうかと昔から思うことがあります。まあ、それはわからないまま死んでいくのでしょうが。


話が逸れましたが、これらの話を挙げたのも、「乱射」と一言にカテゴライズしても、実行者(犯)によって、その結果は違うということです。


なお、昨日、米国でプライベート絡みの乱射事件が発生しましたが、一般的な乱射事件はこのような感じのものが多いですので、参考までに要約しておきます。

「家庭的でフレンドリーな父親」と評判だった男性が、自分の子どもの誕生パーティで、妻と親族6名を射殺したニュースです。




続きを読む



  

2011年07月23日



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今回は、ノルウェーのウトヤ島という場所で起きた乱射事件について、これは日本でも詳しく報道されるでしょうが、さきほどの英国 BBC の報道で、位置関係など比較的詳しく乗っていたので、ご紹介します。

また、アルジャジーラでは事件直後の現場の写真を掲載しています。
YouTube にあります。

al.jpg


その前に、私は子どもの頃から乱射事件に興味を持ち続けていますが、その理由のひとつに「致死命中率」というものがあります。このことについて書いておきます。



戦闘での致死命中率は 0.1パーセントにも満たない

30年以上前だと思いますが、中学生か高校生の時に、山本七平さんの「私の中の日本軍」という本を読んだことがあり、その中に「致死命中率」という数値が出て来ます。これを読んで以来、いわゆる「乱射事件」というものが起きると、致死命中率を計算するクセがあります。

「致死命中率」というのは、戦闘行為の中で、銃で人を狙って撃って、「どのくらい殺せるか」という率をあらわしたものなのですが、このことに関して「私の中の日本軍」に詳しく書かれていました。記憶だけですが、そのくだりが好きで何度も読んだので、多分それほど数値に大きな差はないと思います。


今回のノルウェーの「乱射」と呼ばれているものは(これを乱射という言葉で現していいのかどうか私にはわかりません)、まだ全貌がわからないながらも、「とんでもない致死命中率」を記録しているという気配があります。


今回のノルウェーでの乱射では、現時点(7月23日午後4時)の時点で最も新しい読売新聞の記事によれば、


・700人のうち、80人以上を射殺した




と読めます。

怪我をさせたのではなく、「射殺した」とありますので、死亡したのが80人以上だと思われます。

さて、一般の戦闘での致死命中率。


私たちは、特に戦後の私たちは戦争に従事した経験のある人があまりおらず、また、日本では戦闘訓練を受けたことのある人も少ないので、なんとなく「銃を撃てば人をどんどん殺せる」というようなイメージがありますが、「戦闘の中での致死命中率」というものは、実はかなり低いもので、第二次大戦の資料では、0.1〜0.03パーセントの間という数字があります。

当時の場合は、どこの国の軍隊でも大体共通の数値です。

この数値に誤差があっても、「数百発から数千発の弾丸を撃って1人死ぬ」という感じで、実際には戦場ではほとんどの弾が「人を殺傷させることなく」撃ち続けられています。



異常に高かったテルアビブ空港乱射事件の致死命中率


上記の山本七平さんの「私の中の日本軍」の中で、どうしてそんな「致死命中率」などという言葉が出てきたのかたというと、それを書いている時に、ちょうど日本赤軍による 1972年のイスラエルのテルアビブ空港乱射事件が起きた時で、その際の実行犯は、奥平剛士、安田安之、岡本公三の日本人3人でした。

「日本人がイスラエルで乱射事件を起こした」というショッキングな出来事で、当時まだ小学生だった私でも、ニュースの記憶があります。この乱射は、Wikipedia によると、

3人は、スーツケースから取り出したチェコスロバキア製のVz 58自動小銃を旅客ターミナル内の乗降客や空港内の警備隊に向けて無差別乱射し、さらに、ターミナル外で駐機していたエル・アル航空の旅客機に向けて手榴弾を2発投げつけた。この無差別乱射により、乗降客を中心に26人が殺害され、73人が重軽傷を負った。


とあります。

事件後の現場検証で、3人が撃った「すべての銃弾の数」が確定されています。

その数は、合計約 400発(ネットで見ると、435発ということのようです)。
そして、死亡者が 26名。

これは、約 6パーセントから 7パーセントだという驚異的な高い致死命中率を示しています。
20発以下の弾で1人射殺している。


このニュースを見た元日本軍の砲兵隊長だった山本七兵さんが「非常に不思議」に思った気持ちが書かれてあります。それは、「戦争での実戦では7パーセントの致死命中率など絶対にありえない」からです。


「実戦」と「これらの乱射テロ」の違いは、


・無防備であること
・無抵抗であることが多いこと
・突然であることが多く、心身共に準備していない




ということがあります。
戦闘ではない場合に致死命中率が驚異的に高く跳ねあがる理由はこれでなのですが、それにしても、今回のノルウェーの事件の


・700人のうち、80人以上を射殺した



というのは「どういうことが起きていたのか」ということを不思議に思います。

というのも、ニュースを読むと、被害者たちは「逃げている」からです。

普通、このような単独での銃による大量殺戮というのは、考えられるのは、「並べて不動の状態などにしてから射殺する」という方法くらいしか思い浮かばないのです。

たとえば、 2007年に米国のバージニア工科大学で、韓国人学生による銃乱射事件があって、この時は米国乱射事件史上最悪の 33名の死者を出していますが、この時も、私は犯人のチョ・スンヒの驚異的な致死命中率に驚いたものでした。

何しろチョ・スンヒの武器は「拳銃二丁」。

事件をニュースで見た時、流される報道は「拳銃」だという。
「そんなバカな」と私は思いました。
そんな致死命中率を銃の素人が達成できるわけがない!と。



たとえば、米国の乱射事件史上で最も有名なもののひとつが、1966年の「テキサスタワー乱射事件」で、この犯人チャールズ・ホイットマンは海兵隊で射撃の訓練を積んだ一種のプロでした。

しかし、チョ・スンヒの致死命中率はそれをはるかに越えていた。


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▲ 映画「フルメタルジャケット」(1987年)でも、教官が「奴は海兵隊で訓練を積んだからこそ、あの距離で多数射殺できたのだ。海兵隊はすごい」と言うシーンがあります。


これを達成できるのが、上に挙げた、


・無防備であること
・無抵抗であることが多いこと
・突然であることが多く、心身共に準備していない



であるように思います。

チョ・スンヒ事件は、その経緯( Wikipedia による)が、


9時20分〜30分、容疑者が学生寮より800メートル離れた講義棟の教室に乗り込み、まずは教授を射殺。次に教室の鍵を閉めて学生を外に出さないようにした上で銃を乱射。



この短時間の間に多数が射殺されている。
10分間くらいで数十人が撃たれている。

これは実は、犯人はチョ・スンヒひとりだったので、誰かが抵抗して押さえつければ、これほどの被害にならなかった可能性もあります。アメリカ人の学生は韓国人のチョ・スンヒより体格の大きな男性も多かったはずですし。

しかし、実際には無抵抗で、射殺されていっている。


ノルウェーの今回の乱射では、武器自体が違うようで、報道では「拳銃、自動小銃、ショットガン」となっています。しかし、それでも狙撃者が一人なら、同時にその3つの銃を使えるわけでもないし、どうにも単独犯とすると、壮絶な致死数に思います。



海外や日本で乱射事件に巻き込まれたら


私は子どもの頃から「致死命中率」を計算していたせいか、いつも「ここで乱射されたらこうする」とか、「この場合はこうする」と考えることが多いです。

そのことを細かく書くと何のブログだかわからなくなるので書かないですが、「銃に対抗する」手段はないですが、乱射事件そのものに対応する方法は多少はあると思います。

仮に、乱射に巻き込まれた場合は、ケースバイケースで何ともいえないですが、「相手の視線から外れる」ことが第一条件だとはいえ、今回やチョ・スンヒの時のように、「殺すために相手が追ってくる場合」は、別の対応となるように思います。この場合、犯人がひとりなら、「基本的には、同時にはひとり程度(一方向)しか撃てない」ということを覚えておいてもいいかと思います。


乱射事件はどこでも起こり得ます。
もちろん日本でも。

ノルウェーのように平和な国で起きたことがひとつの象徴ではないでしょうか。

そして、チョ・スンヒ事件の時同様、「やられる側の無意味な無抵抗」が事態もいくつか悪化させることもあるということは覚えていてもいいように思います。なお、乱射事件では最後に「犯人が自殺する」ことがとても多いです。



それでは、BBC の報道より。




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タグ:致死命中率



  

2011年07月18日



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ヨーロッパのニュース専門チャンネルの最大手ユーロニュースで、7月14日に「古代マヤ文明の新しい遺跡が発見された」ことに関しての報道がありました。

見つかったのは、メキシコにある2つの別の遺跡からで、


マヤ文明の戦士の彫像(メキシコ・チアパス州)

アステカの神が描かれている8世紀頃のモノリス(メキシコ・モレロス州)



の2つです。

「モノリス」というのは石碑系の遺跡全般のことですが、一般的には「2001年宇宙の旅」での人工的な遺跡を思い浮かべることが多いかも知れません。ニュースで「モノリス」とアナウンスされていますので、報道のまま表記しました。

2001-monolith.png

▲ 映画「2001年宇宙の旅」のモノリス。地球の古代人類に知識の示唆を与えた人工物という感じで存在。


今回メキシコで見つかった石碑に描かれたアステカの神様なんですが、報道では名前は出てこないですが、考古学者の人が「水の神様と農耕の神様ではないか」というようなことを言っていたので、アステカ神名辞典を見ますと、推定ですが、

・水の女神「チャルチウィトリクエ」

azteca-chalchiutlicue.jpg


・農耕の女神「イツパパロトル」

azteca-its-1.jpg


などかもしれません。
下の神様の名前は「いつパパはロートルになるの?」と私は覚えました。


それでは、ここからです。

基本的にテレビニュースチャンネルですので、遺跡等の映像を写真として抜粋しておきます。また、ニュース映像も最後に貼っておきます。なお、ニュースでは、チアパス州の遺跡を「古代マヤの戦士」の遺跡と断定していますが、その根拠があるのかどうかは不明です。






 


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タグ:アステカ