【拡大する自然災害】 の記事一覧

2015年09月20日



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もしかすると完全に目覚めたのかもしれない「環太平洋火山帯」:続く南米の異変、サンアンドレアス断層の映画、そして連動する地震



断層帯で巨大な陥没が発生し、非常事態が宣言されたペルー・アンカシュ県の村
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・El Comercio






 


災害映画のCMから呼び起こされた記憶

少し前、テレビで、おそらくはアメリカの災害映画らしきものの CM が流れていました。

例によっての CG の激しい災害シーンがてんこ盛りっぽい映画でしたが、その光景から、「地震モノ」として分類される映画のようでした。

地震モノの大御所としては、1974年に、チャールストン・ヘストンが主演した『大地震』という映画がありますが、ハリウッドで大規模な地震モノが作られるのは久しぶりではないでしょうか。

その CM で主演を努めていると思しき人物から、私は何か強い郷愁を感じました。

そして、数秒見た後、私は、


「・・・これ、ロックじゃないか」


と呟いていました。


ロック・・・。


もう 10年以上見ていないのですが、私は以前、アメリカのプロレス団体 WWF (現 WWE )が大好きで、毎週、日本で放映のある月曜日の午後には、番組の始まる 10分前から正座をして瞑想した後に番組を見る(本当に)というほど好きでした。

その WWF の 1998年頃から 2001年頃まで、この団体のトップの人気を掴んでいたのが、ザ・ロック(本名はドウェイン・ジョンソン)という、つまり私が見た CM で主演をしている人物でした。

ロックは、1999年に、それまで最も人気のあるトップスターだった、ストーンコールド・スティーブ・オースティンというレスラーが怪我の治療のため1年の休養をとっている間に、あっという間にトップ・レスラーとなって、頂点を極めています。

プロレスそのものというより、とにかく自分の人格設定に関する演技とマイク・パフォーマンスがうまかった人でした。


1999年頃のロック
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wikia



当時のロックの人気は異常なほどで、観客席には、よく「ロックをアメリカ大統領に」というようなものが掲げられていたほどで、そんな彼が、プロレスラーを基本的にやめた後に、俳優になったことは知っていました。

しかし、アメリカの芸能史を見れば、プロレスラーから俳優になった人たちは、プロレスラーとしてどれだけ人気があったとしても、どうもB級とかキワモノとか(ハルク・ホーガンのように)、そっち方面にいきやすいものですが、日本のテレビでも CM が流れるほどの映画なら、面白いかどうかはともかく、ロックは大作の主演になるほどの俳優になっていたようです。

興味を持ったので調べてみると、ロックの主演しているこの映画の邦題は『カリフォルニア・ダウン』というもので、ハリウッドの映画情報を載せる DEADLINE によると、制作費は 120億円ほどということで、それなりの大作のようです。

そして、Wikipedia を見てみますと、と、意外なことがわかります。


『カリフォルニア・ダウン』(原題:San Andreas)は2015年にアメリカ合衆国で公開される予定のパニック映画である。


ここで、英語の原題は、「サンアンドレアス断層」であることがわかります。

このサンアンドレアス断層は、これまで何度もブログに出てきた言葉でもあります。




サンアンドレアス断層の315年前の超巨大地震

この「サンアンドレアス断層」は、これまで In Deep で数多く出てきたキーワードのひとつですが、アメリカで懸念、あるいは想定されている自然災害の中で最大級のものとしては、


・イエローストーンの噴火
・サンアンドレアス断層の地震



が双璧となっているほどのものです。

このサンアンドレアス断層は、位置としては大ざっぱですが、下の赤いラインのところにあり、南北に 1300キロメートルに伸びています。日本の本州の長さが約 1500キロメートルですので、それと匹敵するほどの巨大な断層です。


サンアンドレアス断層

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ロック主演の『カリフォルニア・ダウン』という映画は、このサンアンドレアス断層で大地震が起きる、ということを描いたもののようです。

ちなみに、このサンアンドレアス断層で、今以前で最後の地震が起きたのは、今から 315年前の西暦 1700年のことでした。

それは推定マグニチュード9にも達する超巨大地震だったとされています。

しかも、崩壊した断層の幅は「 1100キロメートル」にわたっていたとされていて、つまり、「日本の本州全域が震源」のような状態になっていたとも考えられそうです。

当時はまだアメリカ合衆国はなく、アメリカ側の記録は存在しませんが、その 1700年に、日本の東北に大きな津波が押し寄せていたことを、日本の古文書をもとに調べた国立研究開発法人「産業技術総合研究所」が、 2003年11月21日に、


北米西海岸で西暦1700年に発生した巨大地震の規模を日本の古文書から推定


という文書として発表して、1700年の大地震が明らかになったのです。

先日 9月17日に発生したチリの大地震(マグニチュード 8.3)では、遠く離れた日本に数十センチの津波が押し寄せましたが、この 1700年の時に、日本に押し寄せた津波のレベルはそんなものではありませんでした。



記録から推定される西暦1700年の津波の高さ

・岩手県 宮古市  3メートル
・岩手県 津軽石市 6メートル以上
・岩手県 大槌市  5メートル
・山形県 新庄市  4メートル
・和歌山 県田辺市 3メートル


(産業技術総合研究所の資料より)



と、本州の太平洋側の全域で数メートル以上の津波に見舞われたことがわかったのです。


遠く離れた日本で、それほどの津波に見舞われたのですから、震源地のアメリカの海岸が、当時どのような状態になったのかを想像することは難しいですが、ハリウッド映画になっているということは、アメリカではそれなりに意識されている問題なのかもしれません。

映画はともかく、サンアンドレアス断層も、先日のチリの地震が起きた場所も、共に「環太平洋火山帯」という領域にあるのですが、この環太平洋火山帯は、昨年あたりからとても活動が活溌です。

そして、今年は、特に「南米」を中心に、どうもいろいろと起きています。

環太平洋火山帯は、下のピンクの領域を言います。


環太平洋火山帯(リング・オブ・ファイヤー)

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南米で「目覚めた」かもしれない大地

冒頭に載せました写真は、ペルーのアンカシュ県というところで、大地に亀裂が入り、ペルーの報道によりますと、次々と家や教会、学校、そして農地などを飲み込んでいて、いくつかの地域に非常事態宣言が発令されたとのことです。

下は、テレビでのニュース報道からの抜粋です。


ペルーのアンカシュで多数の家屋、教会、学校を飲み込んだ巨大な地割れ




このペルーでの大規模な陥没は 9月13日までに起きたもので、イキケという場所が震源だったチリの地震は 9月17日。このふたつに関係はないにしても、どちらもありふれた現象とはいえないものですので、日が近いことは、やや気になります。


2つの出来事の位置関係

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この南米ですが、今年はそれ以前にも、南米の「太平洋側の全域」でいろいろなことが起きていました。

今年8月には、「エクアドルの富士山」と言われているコトパクシ山が大噴火して、非常事態宣言が発令された後に、ホンジュラスでは、今回のペルーでの出来事と似た「地盤崩壊で次々と家が飲み込まれる」ということが起きています。


2015年7月〜8月 ホンジュラスの首都テグシガルパ近くの丘が崩壊

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▲ 地球の記録「南米の地殻変動ラインでさらに起きる異変:「エクアドルの富士山」が大噴火し、ホンジュラスで地殻崩壊で住宅が次々となぎ倒される」より。



そして、8月の初めには、メキシコのオアハカに「長い亀裂」が発生します。


2015年8月のメキシコの亀裂

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▲ 地球の記録「南米から北米への地殻変動ライン上で… : メキシコのオアハカに巨大な亀裂が出現」より。


これらの位置関係は下のようになります。

Tegucigalpa-oahaka-cotopaxi.gif


さらに、その少し前には、


南米の「地球の要所」に出現し続ける異変から日本を含む太平洋火山帯の活動の行く末を考える
 2015年05月10日


という記事に、4月からの1ヶ月間で南米で起きたことを下のようにリストアップしたことがあります。


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文字にしますと、


04月14日 ブラジルのリオデジャネイロで 52トンの魚が川に浮かぶ
04月21日 コロンビアのマグダレーナで魚の大量死
04月22日 チリのカルブコ山が 43年ぶりに大噴火
04月25日 ボリビアのチチカカ湖周辺で多数の鳥と動物が死亡しているのが見つかる
04月24日 チリのトーレスデルパイネ国立公園で 400匹の動物が死亡
05月05日 ペルーのソコスバンバで大規模な亀裂が発生
05月08日 ニカラグアのテリカ山で爆発と地震が発生
05月08日 チリのペナス湾の海岸に 20頭のクジラが打ち上げられる



となります。

リオデジャネイロの魚の大量死以外は、すべて太平洋側、つまり、異変は環太平洋火山帯で起きていることがわかります。


なんだか、こういう流れを見ていますと、これはもう確かに(少なくとも南米では)「いろいろと起き始めている」と言って構わないのではないかという気がします。


そして、同じ環太平洋火山帯のアリューシャン列島では、昨年以降、火山噴火が激しくなっていることを、


環太平洋火山帯の目覚め? : アリューシャン列島とアラスカで続く群発地震から2年前に発表された「地球の磁場の反転と巨大火山活動が関係する」という論文を思い出す
 2013年03月08日


という記事で書いたことがありますが、何より、環太平洋火山帯に国の全域が入っている日本自体の火山活動が、どんどんと激しくなっていることは、個別に事例を挙げる必要もないかと思われます。


上にリンクした記事では、そのタイトルを「環太平洋火山帯の目覚め?」としていますが、どうやら、やはり目覚めてきていると言わざるを得ないのかも知れません。


アメリカ大陸のほうにしても、環太平洋火山帯に沿うようにいろいろなことが起きているのですけれど、ちょうど、サンアンドレアス断層があるあたりでは、一昨年、下のようなことが起きていました。


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▲ 過去記事「「リュウグウノツカイ」と「サンアンドレアス断層」と「カリフォルニア沖でのメタンの噴出」が一本のライン上につながった時に一体何が起きるのだろう」より。





環太平洋火山帯では同規模の地震が連動しやすい

この環太平洋火山帯の活動が活発化しているからといって、「では何が起きる?」という具体的なことについては、それは分かることではありません。

ただ、先日、チリでの大地震と、その少し前の東京湾の地震( 9月12日)の報道などを見ていまして、ふと、あることを思い出したのです。

それは、最近だけのことかもしれないですが、


環太平洋地震帯では、同じ規模の地震が連動しやすい


ということです。

何だか地図ばかりが出てきて恐縮ですが、たとえば、下は 2013年の 1月から 2月の2週間ほどの間に環太平洋火山帯で発生した比較的大きな地震の連動を記したものです。


2013年1月-2月
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▲ 2013年2月18日の過去記事「極寒のカザフスタンで2月に咲いた日本の桜の報道を見て思う、新しい地球の時代」より。



翌年 2014年3月にも「 24時間の間に、環太平洋火山帯でマグニチュード 2.5以上の地震が頻発した」ということがありました(日本では起きませんでした)。


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だからといって、いつでもそういうわけでもないですし、こういうことについては、正確な予知や予測ができるものではないですが、これだけ環太平洋火山帯が、全体として地震や火山を含めて活溌な地殻活動をしている中では、環太平洋火山帯のエリア内では「なにが起きても不思議ではない」といえる状況なのかもしれません。

アメリカやイギリスのプレッパーみたくなる必要はないでしょうけれど(参考記事)このようなご時世(と、2015年9月という時期)では、最低限の何らかは準備してもいいのかもしれません。



災害に強い日本人

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shimoda-yamatokan.co.jp


それにしても、日本にしても、チリの人たちにしても、自然災害が多い地域の人たちは、災害に強い人類として、この地球上で生きているとつくづく思います。

先日のチリの地震にしても、マグニチュード 8.3の震源の浅い地震なら、その揺れはすさまじいものだったと思いますが、地震直後のチリの人たちの映像を見ると、比較的落ち着いていました。

2011年の東日本大震災の時に、当時、私は東京の西荻窪に住んでいました。揺れの後、近所の駐車場に多くの人たちが集まっていましたが、やはりみんな冷静で、すでに笑っている人もいたほどでした。

しかし、私の家の近くに住んでいた外国から来た白人女性は、道路の真ん中で、頭を抱えてしゃがみ込み叫び続けていました。

多分、地震のない国からやってきたのだと思います。

何しろ震災直後は、数分おきに強い余震が来ていましたから、その度に叫んで、泣きまくっていました。近所の人々が、その女性に「余震だから大丈夫。ヨ・シ〜ンね」と英語風のアクセントで語っていましたが、通じるわけもなさそうで、体をブルブルと震わせながら、耳を押さえてしゃがみこんだままでした。

その後しばらくして、女性は旦那さんと共に引越ていきましたが、故郷に帰ったのかもしれません。余震がほぼ治まったのは相当あとの話ですし、あの状態では、そのまま日本に住むことは無理だったと思います。


地震は誰でも恐いと考える方も多いでしょうけれど、実は日本人は自分たちが思っているほど、地震を恐がってはいないはずです。歴史的な大地震を繰り返して体験しているチリの人たちもそうだと思います。


日本とチリが違うのは、日本は、地震に加えて台風の災害もある国だということです。

「台風が来ると何だかワクワクする」

と子どもの時などは思っていましたが、日本人に流れている血は、地震も台風も、「災害」という括りだけではなく、自然の中で起き得る現象として共有して生きてきたのだとさえ感じます。

なので、日本人である私たちは、まだ発生していない自然災害を必要以上に恐がる必要はないし、「あらかじめ持つ恐怖」は不要なもののように思います。



  

2014年12月03日



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連続して次々と起き続ける地質的異変

今、アメリカの西北部あたりで、いろいろなことが起きています。

たとえば、11月27日に、オレゴン州のアルカライ湖( Alkali Lake )という湖の周囲の干潟に「一晩のうちに」巨大な亀裂ができたことが報じられました。

Alkali-Lake-cracks.gif
来たるべき地球のかたち






 

このことを含めて、非常に大ざっぱですが、最近のアメリカでは下の地域あたりの各所で、地質的なさまざまな出来事が起きています。

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亀裂を近くから撮影すると下のような状態です。

cracks-001.jpg
Earthfiles


この、「突如として長さ数十キロメートル」の亀裂が発生したアルカイラ湖から数キロ先のオレゴン州南部では 11月中旬に突如として群発地震が始まり、それから次第に激化していっているようです。

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▲ 2014年11月17日の米国 KOIN6 より。


また、やはりアルカイラ湖に近いカリフォルニア州のセダービルというところでも、11月21日頃から群発地震が続いているようです。

さらに、オレゴン州と隣接するネバダ州のシェルドン国立野生動物保護区という地域では、7月に始まった群発地震が、11月に入り激化しています。

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▲ 2014年11月7日の CBS ニュースより。


このネバダ州の地震は、 CNN によりますと、

米地質調査所(USGS)もこれらの群発地震を定期的に観測している。小さな振動は数千回に達しているという。

今年9月にはカリフォルニア州南東部で約2日の間、約500回の小規模地震を記録。最大ではマグニチュード3.8を観測した。

ネバダ州の群発地震では10月30日以降、活動が強まっており、マグニチュード4以上の揺れは3回あった。今月4日にはマグニチュード4.6を記録した。

というように、次第に勢いを増しています。アメリカ地質調査所は、この兆候は必ずしも大地震の発生の前触れを意味してはいないとしながらも、事前の備えを講じることを勧告しています。

このネバダ州の群発地震は、ネバダ州地震学研究所のデータを見ますと、下の位置で起きていて、現在も続いているようです。

nevada-001.gif


下は地図を拡大したもので、その回数の激しさがよくわかります。

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Nevada Seismological Laboratory


そんなような不安定な地質イベントが続く中、日本時間の 12月2日、アリゾナ州のセドナという町で、マグニチュード4.7の地震が発生しました。

sedona-earthquake.gif

▲ 2014年12月1日 U.S. News より。


マグニチュード4.7程度の地震は、日本では日常的に起きる何ということのない規模の地震ですが、アリゾナ州では珍しく、米国のメディアでは大きく取り上げています。

ここまで挙げたものの位置関係を示しますと、それぞれ大体ですが、下の位置となります。

us-earthquake-201411.gif


さて。

これらが何を意味していて、これから何が起きるのか……というようなことは何もわかることではないことは過去からの体験ではっきりとしていますが、それにしても、アメリカはここ2年ほど、本当にいろいろなことが起きています。




2012年頃から、あまりにもいろいろなことが起きているアメリカ

上のほうに、オレゴン州で「一夜にして巨大な亀裂ができた」ことをについてふれていますが、今年の8月に、メキシコでも「一夜にして数キロメートルにわたる亀裂が出現した」という出来事が起きたことを、

地球を動かしているものは何か : 一夜にして出現したメキシコの断層…
 2014年08月25日

という記事でご紹介しました。

下のような巨大な亀裂です。

mexico-f2.jpg
Expreso

そして、この出来事があった 2014年 8月15日前後から、アメリカの西海岸に沿って、様々な地質的イベントが発生しました。断層やプレートから見ると、それぞれが比較的つながりのある場所です。

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それより少し前の、

「リュウグウノツカイ」と「サンアンドレアス断層」と「カリフォルニア沖でのメタンの噴出」が一本のライン上につながった時に一体何が起きるのだろう
 2014年04月11日

という記事では、2013年から今年 4月までの「アメリカ周辺の海の異変」について書いたことがありました。

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上の図にある中で、ヒトデの大量死に関しては、最近の記事「冬のカオス…」で、2013年から現在にかけて、いまもなおヒトデの大量死が続いていることにふれていますが、とにかく、あらゆる方面で、

「アメリカはいろいろと何だか変」

な感じが続いているのです。

また、地球の磁場がどんどん弱くなっているのですが、中でも「アメリカ周辺の磁場の急速な弱まり方は異常」だということが、欧州宇宙機関( ESA )の地球磁場観測でわかったことを、

急速に消えていく地球の磁場…
 2014年07月15日

という記事などで書いています。

下のように、南北アメリカ大陸の周囲が濃い青になっていますが、これはこの地域の磁場が「急速に弱くなっている」ことを示します。

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さらに、「異常な音や振動」も、最近は規模が大きくなっています。

2014年 11月30日の英国デイリーメールの、

Mystery of the loud boom that shook homes over upstate New York AND the UK at exactly the same time despite being 3,000 miles apart
4800キロメートルも離れているにもかかわらず、全く同時にニューヨーク州北部とイギリスで家庭を揺さぶった震動と轟音の謎)

という記事。

これはそのうち詳しくご紹介するかもしれないですが、下のように遠く離れたアメリカとイギリスで同時に「大きな音と震動」を多くの人が感じた、というものです。

uk-us-boom.gif


これも今のところは何が起きたのかまったく見当がつかないようなのですが、その音(震動)を聞いた人の数があまりにも多く、

「何かはわからないけれど、実際に何か起きていた」

ということは確かなようです。

様々な観測や現象から見て、アメリカはこの2年ほどで様々な異常が集中してきているような「感じ」がしなくはないでしょうか。

もちろん、これらの現象やデータは何の異常でもなく、何の前触れでもないかもしれません。
しかし、何かの未来の現象を予兆しているものかもしれない。

それは実際に未来になってみないと、何もわかるものではないことは確かです。

それでも最近は……何というのか、地球の歪みが次第に表面に見えるようになってきているような気もしています。

もちろん異変が起きているのはアメリカだけではないですが、特にアメリカには、次第に環境的な緊張が高まっている気がします。

今回は起きていることを羅列するだけというような感じとなってしまいましたが、最近のアメリカでは、イエローストーンに絡めたものなど、いろいろな記事が出ていますので、ご紹介できる時にはしたいと思っています。



  

2014年11月09日



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人は自分と関係の薄いことについては、相当大きな出来事でも本当に忘れやすいものだなあと昨日の海外の報道を読んで、つくづく思いました。

その報道は下の 11月 8日のエポックタイムズのトップ記事です。

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Epoch Times






 


この写真は 2013年の台風「ハイヤン」の犠牲者の方々の集団埋葬地で被災1年目の祈りを捧げるカトリックの司祭の姿です。

台風ハイヤン(あるいはハイエン)というのは、日本では、「平成25年 台風第30号」にあたるもので、 2013年 11月初旬に発生した、国際基準でカテゴリー5の「スーパー台風」でした。フィリピンにおいては死者行方不明者が 7,000人を越えた東南アジアでの台風被害としては最大級のものでした。

中心気圧は勢力最大時で 895パストヘクトル、最大瞬間風速は90メートルという、観測史上でも最大クラスの台風でした。

ハイヤンは下のルートを進み、「赤」の色が部分がカテゴリー5の勢力を持っていた時を示しますが、ちょうどそのカテゴリー5の最大勢力の時にフィリピンを通過したため、想像を絶する被害が発生しました。

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日本にはまったく影響がない台風でしたので、日本では当時もそれほど大きく報道された記憶はないですが、1年経った今は、私もこの壊滅的な台風を忘れていたほどでした。

しかし、当時の海外メディアの報道の見出しなどで、その惨状を改めて知ります。

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▲ 2013年11月11日の英国メディアミラーより。


平成25年 台風第30号 - Wikipedia の記述でも、この台風の壮絶な勢力と被害がわかります。

11月10日、レイテ州の警察は台風の進路にあった住宅や構造物の約70〜80%が破壊され、死者が1万人に達するとの推定を発表。また、レイテ島西部のオルモックでも建物の90パーセントが全半壊するなどの被害が出た。被災地を訪れた国連関係者は、2004年スマトラ島沖地震以来の被害と述べた。

最終的な被災者数は、1,600万人以上にのぼった未曾有の大災害でした。

昨日、海外の多くのメディアで、冒頭のような「台風ハイエンから1年後のフィリピン」の特集を組んでいて、20万戸の復興住宅の建設が予定されている中、着工はまだ約2千戸(計画の 100分の 1)にとどまっているなど、かなりの地域でいまだに再建が進まない現状などが記されていました。

下の写真は 11月 6日のアルジャジーラの記事にあったものですが、冒頭の集団墓地の十字架は近くで見ますと、ひとつひとつに、犠牲者の名前と共に「RIP」と書かれています。

Requiescat-in-Pace2.jpg
Aljazeera


RIPは、ラテン文字の「 Requiescat in Pace 」の頭文字で「安らかに眠れ」という意味で、英語圏では Rest in Peace の表記で同じ意味でよく使われます。こんなに多くの「RIP」文字が並んでいるのを見たのは、これが初めてのような気がします。

どんな災害でもそうですけれど、同じ国での災害でも、関係のなかった人たちの頭の中からはわりとすぐに消えていきます。海外での出来事ともなると、さらにその傾向は強いはずです。

そして、災害の種類は関係なく、今後、仮に災害が多くなった場合、その「忘れられた人」の数は多くなり、そのうち、「忘れ去られた人の数のほうが多くなる」という時代が来ないとも限りません。




北極から「黙示録的な寒波」がアメリカにやって来る

ところで、In Deep の記事では上のハイヤンのことは、2013年12月の、

地球は黙示録モードに突入:ヨーロッパに「史上最大級の暴風雪」が近づく中で、各地に出現するVサインは何への勝利の意味か
 2013年12月04日

の中で少しだけふれたのですが、その記事を久しぶりに読んでみましたら、記事の冒頭は、「北極からの嵐によるヨーロッパの寒波」のことにふれていました。

ちょうど昨日の記事、

西暦1750年頃に「何らかの理由」で小氷河期の入口の手前から救われた人類。しかし、今回はどうなる? 太陽と火山噴火の増加が作り出す地球冷却のシステム
 2014年11月08日

でも、ヨーロッパやロシア、アメリカなどの「異常に早い寒さの到来」について記しましたが、今年のこれらの地域の寒さの原因も「北極からの冷たい大気の流れ」なのです。

この現象は、北極や南極の上空にできる大規模な気流の渦のことで、正式な名称は「極渦」(きょくうず、きょくか)などと呼ばれるものらしいですが、あまり一般的な言葉でもないですので、ここでは「北極からの嵐」というような表現にしています。

現在、ロシアや中国北部の多くの地域が、時期としては異常な寒さに見舞われているのも、この北極からの寒気の影響で、このことは、

モスクワで10月に入ってから続く 30 年ぶりの異常な寒波
 来たるべき地球のかたち 2014年10月25日

に書いたことがあります。

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▲ 2014年10月23日のロシアメディア ヴェスチ より。


そして、それらと比較しても「特大の北極からの嵐」が今週、アメリカの多くの地域に影響を与えることが予測されています。

polar-voltex-2.gif

▲ 2014年11月8日の Accu Weather より。


上のようなメカニズムで北極の冷たい空気が北米大陸に流れ込むわけですが、すごいのは、

今週のアメリカ東部の気温の「下がり方」の急激さ

そして、

アメリカの東部と西部でまるで違う気温分布

です。

下の図は、 NOAA (アメリカ海洋大気庁)の天気予報センターが出した来週からのアメリカの気温予測です。紫になればなるほど、平年より低い気温となり、赤は平年より気温が高くなる予測が出されている地域です。

アメリカの2014年11月16日から11月22日の気温の予測

814temp.gif
NOAA

見事にアメリカ東部と西部では、気温の傾向があからさまに違うのがわかりますけれど、東部では大半の地域が濃い紫色となっていて、これは下の分布の色分けから見ますと、「平年より 80パーセント以上気温が下がる」ことを意味しているのだと思われます。

皮肉なことに、歴史的な干ばつが続くカリフォルニア州は相変わらず平年より気温が高いままとなっていて、西海岸の干ばつが解消する気配はなさそうです。

カリフォルニアでは一昨年以来続いている過去数十年で最悪の干ばつの改善の兆しが見えていません。

11月3日のブルームバーグの記事では、いよいよ農作物価格に影響が大きく出始めていることが報じられています。

カリフォルニア州では3年間にわたって降水量が過去最低水準にとどまり、82%が極度の干ばつに見舞われている。このため、米最大規模の農業地帯への給水が制限されている。米農務省によると、かんがいができず一部の農地で農産物が栽培されていないため、干ばつの影響で全米の食料価格が上昇する可能性が高い。

アメリカで現在最も北極からの冷たい風と「雪」を欲しているのは西海岸だと思うのですが、NOAA の予測では、11月になっても、カリフォルニアを含めた西海岸の気温は高止まりしたままとなりそうで、干ばつと極度の水不足の解消はまだ先となってしまうのかもしれません。

実際、11月3日には「ロサンゼルスに熱波の予測」なんていうニュースも見かけましたし。
いくら西海岸でも 11月に「熱波」と入るタイトルの記事には驚きました。

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▲ 2014年11月3日の laist.com より。


それにしても、広大な面積を持つとはいえ、アメリカという一国の中だけでも上のように「まったく別の気候」が混在しているわけで、こういう極端な二極化は世界的にも進むのかもしれません。

自然災害もそれに応じて、各所でまるで別のタイプの災害が発生する……というような。




いろいろな方面で異常は進行しているのかもしれません

何だか、前後の脈絡のない記事となってしまいましたが、最近、シベリアで「相次いでフラミンゴが発見された」という報道を、

氷点下30度のシベリア地方で相次いで発見された「フラミンゴ」と地球の磁場の異変の関係
 2014年11月09日

という記事でご紹介しました。

フラミンゴが発見された場所は氷点下 30度という、とてもフラミンゴがまともに生息できる場所ではない上に、最も近いフラミンゴの生息地であるカスピ海周辺からも 1,000キロメートル近くも離れた場所であり、どうしてそんなところまで飛んできてしまったのか……と考えてしまいました。

下が、フラミンゴの生息地と、シベリアでフラミンゴが発見された場所を示した地図です。

flamings-map.gif


考えるうちに、ふと、ほぼ4年ほど前の記事、

鳥と魚の大量死をめぐる報道より(3) 世界に拡大する大量死と磁場変動説
 2011年01月06日

の中で、中国のメディアの記事をご紹介したことがあり、その中にある、

渡り鳥が長い期間の間、磁場を感知できることには2つの主要なポイントがある。1つはくちばしだ。鳥のくちばしの細胞は地球の磁場を感知することができる。くちばしは、脳と神経系を介してメッセージを渡す役割をなす。

もう1つは、光受容体細胞の中にある鳥の目で、この目は磁場を「見る」ことができ、この情報伝達の脳への別ルートは「Nクラスター」の光処理領域と呼ばれている。

渡り鳥の眼の特定のタンパク質「クリプトクロム」は、光の刺激により地球の磁場の特殊な性質を認識することができるのだ。

という記述を思い出しました。

鳥は磁場を「見て」いる

のです。

鳥たちが長距離を飛ぶ際に磁場を頼りにして飛んでいるのだとすると、渡り鳥たちの行動に異常が出るということは、磁場の異常とも繋がっている可能性もあるかもしれません。

磁場の異常は、太陽の影響でも起きるでしょうけれど、地球の磁極が移動していることとも関係しているのかもしれません。

最近、北海道で起きた謎のイワシの大量打ち上げなども含めて、動物たちの行動の異常は、磁場だけではないでしょうけれど、何か地球の大局的な異常をも示しているものなのかもしれません。

この「磁極の移動」については、最近、あらたな興味深い研究発表がされていまして、いつかご紹介したいと思っています。

今年の冬は「寒さだけ」で済むのか、そうではないのか。
そのあたりは、予測するより、時間の流れに身を任せて経験していくしかないのかもしれないです。



  

2014年10月06日



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御嶽山の頂上付近にある首が飛ばされてしまった白川大神の像

ontake-shirakawashin.jpg
Daily Mail






 



この宇宙を作ったとされる神様がそこにいる

噴火した御嶽山は「国之常立神」という神様のいらっしゃる、あるいは祀られている場所であるというようなことを最近、お知り合いから教えていただきました。

まず最大の問題は・・・「読めない……」という悩みでしたが、今の時代はこの「国之常立神」をブラウザにコピーペーストすれば、ウィキペディアという現代神のもとに導かれるわけで、そこにおいて、この神様の「国之常立」の部分の読み方が、

クニノトコタチ

であることを知ります。

国之常立神 - Wikipedia によりますと、

国之常立神は、日本神話に登場する神である。日本神話の根源神として一部神道・新宗教で重要視されている。

神名の「クニノトコタチ」は、日本の国土の床(とこ、土台、大地)の出現を表すとする説や、日本国が永久に立ち続けるの意とする説など、諸説ある。

天地開闢(かいびゃく / 日本神話でこの世ができた時)の際に出現した神である。『日本書紀』本文では、国常立尊を最初に現れた神としており、「純男(陽気のみを受けて生まれた神で、全く陰気を受けない純粋な男性)」の神であると記している。

というようなもので、室町時代に吉田兼倶によって成された吉田神道という一派では、このクニノトコタチの神を「宇宙の根源の神」と位置づけているのだそう。

先ほどの Wikipedia に掲載されています下の図を見ますと、神世七代(日本神話でこの世界ができたとき生成した七代の神)の最初の神様であることがわかると同時に、色分けでグレーとなっていて、男神でも女神でもない「独り神」という存在であったこともわかります。

god-7.gif


上の表などを見ましても、日本神話を今でもほとんど知らない私あたりは、「イザナギ、イザナミ」あたりで、ようやく、「ああ知ってる、知ってる」という感じになるのですけれど、イザナギとイザナミは、日本の天地創造の最後に出現しているわけですね。

クニノトコタチの神は宇宙を作り、イザナギとイザナミは、日本やその他の自然現象を作り出したというような感じのようです。

それはともかく、その最初の神様が、宇宙の根源神ともいわれる国之常立神(クニノトコタチノカミ)であり、御嶽山にはその神様が祀られている。御嶽山が山岳信仰の最高峰に位置するという意味もわかります。

そして、その御嶽山は、噴火の少し後に書きました記事、

ほんの 35 年前に有史以来初めての噴火を見せた「輪廻転生の門」でもある御嶽山の噴火と共に本格化しそうな環太平洋火山帯の活動
 2014年09月29日

のタイトルの通り 1979年の噴火までは、数千年噴火していなかった火山で、当時は「死火山」とされていました。

そして、日本の火山学からこの「死火山」や「休火山」という言葉を消滅させたのもこの御嶽山の噴火によるものでした。

「すべての火山は、たとえ何万年噴火していなくとも、突然噴火する」

という今の火山学では当たり前の概念をその時に教えてくれたのでした。

上の記事を書いた後になってしまったのですが、現在の地質学でわかっている範囲での、現在までの御嶽山の活動の歴史を Wikipedia で見てみますと次のようになっていたことを知ります。

・約 75万年前から 42万年前に活発な地殻活動により火山形成
・約 42万年前から 10万年前まで 30万年間の活動休止
・約 10万年前から 2万年前まで活発な火山活動


そして、最近1万年の間での噴火は、

・約 1万年前
・約 9,000年前
・約 6,000年前
・約 5,200年前
・約 5,000年前


となり、その後活動が停止した後、

・1979年
・2014年


と、近代の噴火に繋がります。

ここから見てわかることは、

御嶽山は 5000年ぶりに目覚めた

ということです。

それに比べれば、富士山 - Wikipedia の以下の記述で、御嶽山などと比べて、富士山がいかに近代で頻繁に噴火しているかということにも気づきます。

2013年 7月 20日、産業技術総合研究所は、15年分の観測データを調査したところ、富士山が過去 2000年間に少なくとも 43回、噴火したという調査結果を発表した。

単純に割り算をすれば、富士山は過去 2000年の間、46年間に 1度は噴火していたという、非常に活発な火山のひとつのようです。

そういう意味では、規模の大小を別にして、信仰の対象として精神的な存在の意味がとても強い御嶽山の 1979年の噴火が「約 5000年ぶり」であり、そして、この山で祀られている神様であるクニノトコタチの神は、日本神話では、

「現在の宇宙の根源神とされている」

ということを考えると、日本あるいは宇宙を創造したかもしれないこのクニノトコタチの神の山の噴火が示唆することは何なのか、ということを思ったりしてもよいのではないかと思った次第です。

いや、私ごときが考えたところで何か答えが出ることもないだろうことはわかっているのですけれど。




5000年という「時代の区切り」で思い出すマヤ暦

今はすっかり話題に出ることもなくなってしまいましたが、2012年 12月が終わるまでは、「マヤ文明」や「マヤカレンダー」というものが多くの場で取り沙汰されていました。

その主旨は、

マヤ暦には 2012年がこの世の終末だと描かれている

というもので、そういった話が世で喧伝されるようになっていました。

その理由については、過去記事の、

2012年以降の暦が描かれた最古のマヤカレンダーが発見される
 2012年05月11日

にも記したことがありますが、マヤカレンダーの下の3つの種類の暦のうちのひとつの暦が関係しています。

・260日を一周期としたツォルキン暦

・365日を一周期とするハアブ暦

長期暦

という3つの暦があり、このうちの「長期暦」は、

「紀元前 3114年に置かれた基準日からの経過日数で表されている」

というものです。

ここに加えて、マヤ文明では「 13 」という数字に特別な意味があるのだそうで、細かい単位は省略しますが、たとえば、現在の私たちの感覚で「1年」とか、そういう「比較的長い期間を示す単位」に、

「バクトゥン」

というマヤ文明の単位があります。

この単位の「1バクトゥン」が 394年となっています。

そして、394年×13(マヤ文明の重要な数字)= 5112年となり、ここから、

「紀元前 3114年から 5112年後は 2012年となり、そこでマヤ暦は終わっている」

という解釈のために 2012年 12月が「この世の終わり」という概念に結びついたようです。正確な月日まで入れれば、「マヤカレンダーは紀元前 3114年 8月 11日に始まり、 2012年 12月 21日に終わる」という、ひとつの解釈でした。

そして、その 2012年 12月 21日に、マヤカレンダーの言う通りに世界は終わったわけですが(終わってたのかよ!)、まあ、世界が終わるとか終わらないとかいうのは個人的な判断基準でしかないわけで、毎日毎日、「今日で私の世界は終わった」と思う人はいくらでもいますし、世界は個人でもあるというような話もあります。

まあ、このような話の逸脱ぶりはともかくとして、いずれにしても、

マヤの長期暦が始まったのは約 5000年前

となっていて、おおまかですけれど、「未来に対しての 5000年」という時代区分を意識したものであった可能性はあります。

実際、マヤ文明もその頃から始まっているようで、それを思うと、マヤ文明というのは紀元前 3000年から始まり、スペイン人に侵略されて滅亡する 17世紀まで続いた、非常に長い文明であったことにも今さらながらに気づきます。



地球の昼の時代

なお、この「世界の終わり」が囁かれ続けた 2012年 12月 21日は、他の点からも「大きな転換点であったかもしれない」ことが、今から6年前の 2008年 11月のウェブボットの、予測のほうではなく、クリフ・ハイの個人的なエッセイとして書かれています。

少しだけ抜粋します。

ウェブボット ALTA レボート 909 パート 1
クリフ・ハイ 2008年 11月 9日配信

2012年12月21日、午前11時11分に太陽系は天の川銀河の黄道平面を通過する。これにより、太陽と地球は銀河中心と一直線で並ぶことになる。このため、地球にはかつてないほどの量のエネルギーが宇宙から降り注ぐことになるはずだ。

最近の太陽の異変は、約26000年周期の歳差運動のサイクルが2012年に終りに来ていることの証左である可能性が大きい。26000年周期を一日に見立てた場合、過去 13000年間は、太陽系にとって歳差運動のサイクルのちょうどよい期間だったといえる。

2012年12月21日午前11時11分、夜の時期が終り、歳差運動の次のサイクルの夜明け、つまり13000年間続くことになる昼の時期に入るのだ。


2012-1221.jpg

ここに書かれている内容の正確性は私にはよくわかりません。

しかし、このような一種の誇大妄想にも近いロマンを堂々と書けるクリフ・ハイという人の書く内容が私は好きでした。

> つまり13000年間続くことになる昼の時期に入るのだ。

なんてことは、仮に私がそのようなことを思っていても、こんな断定口調ではとても恥ずかしくて書けないですよ。書きたくても。

あと、何か「 5000年」に関して、いくつか記憶のどこかにあるような気がしているのですけれど、思い浮かばないので、 In Deep を検索してみましたら、「 5000 年」という数字がタイトルにつく記事がふたつ出てきました。

下のふたつです。

5000年前から「ソルフェジオ周波数」を駆使していたかもしれない古代人:イタリアのハル・サフリエニ地下墳墓で見出された正確な周波数の共鳴が鳴り響く完璧な設計の部屋
 2014年07月03日

hypogeum-solfeggio.jpg

▲ イタリアのマルタ島にある「ハル・サフリエニの地下墳墓」の第二階層にある「神託の部屋」。決まった周波数の音響による強い共鳴周波数が出るように設計されていたことが最近わかりました。


もうひとつは下の記事です。

ノアの大洪水は紀元前 5000年に実際に起きていた: 黒海の放射性炭素測定によるひとつの実証
 2012年12月13日

nepal-kaseki.jpg

▲ 1960年代にエベレストの 4,000から 6,000メートルの、つまりエベレストの山頂部に近い場所で発見されたアンモナイトの化石。


上の記事は、英国テレグラフの、そう主張する科学者の報道記事を翻訳したものですが、その翻訳記事よりも、むしろ、資料として抜粋しました 2012年 11月 30日のロシアの声の「世界的大洪水は、まさに世界規模のものだったのか?」という長い記事が興味深いです。

そこには、「数日間から数週間で作られたと考えられる木の化石」のこととか、世界中に残る多くの民族の言い伝えの中の「洪水伝説」が一致する確率などについて述べられています。

そこは下のような部分です。

世界中の多くの民族の言い伝えの中に洪水伝説や神話が残っている事を、どう説明できるだろう。民族学者らは、北米の原住民の中に 59、南米では 46、中東で 17、アジアでは 23、古代ヨーロッパでも 31、さらにはオーストラリアやオセアニアにおいても 37を数える、大洪水に関する伝説を採集している。

最も少なく見積もっても、少なくとも一つの特徴的なディテール(ノイ、ヌウ、ノトといった名前の一致を含めた、いくつかの中にあるものではなく)において、213の言い伝えが偶然に一致する確率は、75万1,065分の一のチャンスである。そうした事が偶然起こるとは思えない。

世界各地の洪水伝説は、その詳細に一致する部分があまりに多く、そのすべてが「偶然に」一致する確率は、75万分の 1程度しかないというようなことが書かれています。

fossil_8.JPG

▲ カナダのノバスコシア州にある「破滅の化石」と呼ばれる木の化石。立ったままの状態で「積した地層を垂直方向に貫通する巨大な木の幹の化石」となっている森の木。常識的には大変に長い時間がかかって形成されるこの状態に疑問を持った科学者たちは、これは「突然の何か」によって木々が立った状態のまま化石となったと判断しました。それは「突然の大地の沈降」か、「突然の大洪水だった」と考えられています。origins.org.ua より。


いろいろと横道に逸れながら書いてきましたが、どうやら、御嶽山の「 5000年ぶりの噴火の意味」を探り出すことは、少なくとも私には無理のようです。

しかし、冒頭に貼りました、噴火で彫像の頭部が飛ばされてしまった「白川大神」という神様の破壊された石像が私たちに示しているものは何なのかを知りたいとも思います。

ちなみに、この御嶽山の山頂にある白川大神の像は、噴火以前は、下のようなお姿だったようです。

shirakawa-shin-2.jpg
ちゃみおかの山歩き


ところで、今回書いてきました 5000年という期間は、おおむね、「有史」と一致します。
歴史時代 - Wikipedia によりますと、

人類史としては、初めて文字が発明されたのは約6,000年前である。

とあり、つまりこの 5000年というのは、「文字文明の時期」だったともいえそうです。マヤ文明やインカ文明、あるいは日本のアイヌなど、文字を持たずとも高度な文明を持つ文明は多くありましたが、文字を持たない高度な文明は、ほぼ滅亡させられています(高度の意味合いは様々ですが)。


未来の地球で……。それはそんなに果てしなく未来でもない未来に、

「むかしの地球には文字とかいうものでコミュニケーションしていた時代があったんだね」

と言われる時代こそ、ウェブボットのクリフ・ハイの言う「地球の昼の時代」なのかも。



  

2014年09月29日



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▲ 英国のデイリーメールの記事に掲載されていた 9月 28日の御嶽山の頂上付近の様子。まるで、ジオラマか何かのように現実感が消失した光景ですが、現実です。写っている人たちは、救助にあたっている警察と自衛隊員の方々。






 



御嶽山噴火が教えてくれる「噴火の前兆」の現実

御嶽山の噴火は、結果として相当数の犠牲者を出してしまいそうな形となっていますが、昨日の産経新聞の記事の下の部分読むだけでも、噴火時の山頂付近の惨状がわかる気がします。

2014年9月28日の産経新聞「御嶽山噴火 「ドカン」巨石の雨 軽トラ大…「もうダメだ」」より

火山灰とともに、周囲に直径1メートルぐらいの大きさの石が飛んできたため、急いで岩陰に隠れた。まもなく、もう一度「ドカン」という音が鳴り、今度は軽トラック大の石が飛んでくるようになった。

巨大な石は地面にぶつかって割れ、破片が四方八方に飛び散った。黒い雨が降り始め、雷のような音も鳴ったという。灰はひざ上まで積もった。「もうダメだ」。そう思った。

> 軽トラック大の石

こういうものが飛び交う状況……。


ところで、今回の御嶽山のニュースは、最近の日本の出来事の中では、海外で最も大きく報じられたニュースのひとつかもしれません。なぜかイギリスのメディアでの報道が特に大きいですが、あらゆる主要国のメディアで大きく報道されています。

下はロシアのテレビニュースですが、どの報道にも

「日本の中央」で火山噴火

というような文字が入るものが多く、たとえば、下のような映像と共に「日本の中央で火山噴火」という文字がクレジットされる報道が始まると、何だか「日本が終末の日を迎えた」かのような構図にも見える物々しさを感じます。

ru-ontake.jpg

▲ 2014年9月28日のロシアのテレビニュース Obozrevatel より。


それにしても、冒頭のデイリーメールも含めて、イギリスのメディアは、下手すると日本の報道より詳細な救出活動の写真を数多く載せていて、「なんだか、日英の報道スピードの順序が逆転しているみたいな感じ」を受けました。

下はそれぞれデイリーメールに掲載されている写真です。

自衛隊の戦車も投入

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▲ 救助活動に戦車2台が投入されていることもデイリーメールで知りました。長野県の王滝村です。


空中からの救助活動

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▲ 生存している登山客2名をヘリコプターで救出した場面。しかし、この後、毒性のある火山ガスなどに覆われ、ヘリコプターによる救出は中止になったようです。


なお、このデイリーメールの記事では、この報道のページの中に「火山による死傷者が発生する様々な理由」というコラムが記されていました。

翻訳します。




MUD, GAS AND ASH: WAYS A VOLCANO CAN KILL YOU

泥流、ガス、火山灰:火山があなたを死に至らしめる理由

私たちが一般的に火山の危険性をイメージする場合、それは溶岩によるものとする考え方が多いが、実際には、噴火によって死傷者の発生する原因は様々にある。

1. 火砕流 火砕流とは、温度 1,000度にも達する熱の流れが時速数百キロで山の下に向かう現象で、火砕流が通過した領域のすべてを燃やし尽くし、また、見舞われた場合、脱出は不可能。

2. 湖水爆発 非常に希な現象だが、火山湖から二酸化炭素が流れ出ることにより、大気が高濃度に汚染され、人間を含めて、周囲の動植物を殺す。

3. ラハール(土石流、火山泥流) 大量の水分を含んだ火山灰などの噴出物の泥流が山の斜面を流れ下る現象。流下スピードが極めて速く、壊滅的な被害が出る場合が多い。

4. 火山灰 非常に大きな噴火が起きた場合、噴煙が下部成層圏にまで達し、これにより太陽光が遮られることにゆり、地球の気温が下がる。このような火山活動による地球寒冷化が恐竜が絶滅した原因と考えられていたこともある。




とあり、初めて「湖水爆発」とか「ラハール」という言葉を知ったのですが、この「ラハール」という現象は、今回噴火した御嶽山で 1984年に起きていたのだそう。これに関しては、長野県西部地震 - Wikipedia というページに詳細が出ています。

つまり、噴火によるラハールではなく、地震によるものだったようですが、下のような被害を出したのだそう。

御嶽山南側で「御嶽崩れ」と呼ばれる山体崩壊が発生し、体積約3450万立方メートルの土砂が伝上川の両岸を削りつつ、濁川温泉旅館を飲み込みながら、標高差約1900〜2500m、距離約10kmを平均時速80km〜100kmという猛スピードで流下し、延長約3kmにわたって最大50mの厚さで堆積した。

氷ヶ瀬の渓谷では厚さ30メートル以上の土砂が堆積し谷が埋まった。

当時、伝上川周辺には名古屋市からきのこ採りなどに来ていた5名と濁川温泉旅館の経営者家族4名の計9名がいたが、いずれも山体崩壊の土石流に巻き込まれ、行方不明となった。

このようなことがあったのだそうです。

ところで、この 1984年の御嶽山の山体崩壊を調べていた時に、長野県理化学会・地学部会のサイトにこのことにふれていたページがあったのですが、以下の記述がありました。写真は、1984年の山体崩壊の際の御嶽山です。


ootaki08.jpg

御嶽山は火山で、この長野県西部地震の5年前の1979年に数千年の沈黙を破って有史以来初めて噴火した。火山の寿命は数万〜数百万年に及ぶので、有史以来噴火の記録がなくても活動が完全に終了したとは見なせない。地球の営みを人間の尺度で測るのは無理がある。

なんと、御嶽山は、ほんの 35年ほど前に、

> 数千年の沈黙を破って有史以来初めて噴火した火山

なのでした。




日本の学問から「死火山」という言葉を消滅させたのは御嶽山の1979年の噴火だった

ところで、上のセクションの見出しに、「噴火の前兆の現実」という言葉を入れたのですけれど、これはどういうことかというと、下の静岡新聞の報道のタイトルに尽きます。

<御嶽山噴火>「前兆なし」、富士山も同様の恐れ
静岡新聞 2014.09.28

長野、岐阜両県にまたがる御嶽山の噴火で、静岡県内では28日未明にも、富士山頂付近などで降灰が予想される。明白な前兆現象がないまま噴火に至った今回のケースについて、火山学者は「富士山でいつ同様の噴火が起きてもおかしくない」と声をそろえる。

火山噴火予知連絡会伊豆部会委員を務める小山真人静岡大教授は、御嶽山の噴火が「マグマの大規模な上昇ではなく、地熱活動の変化による水蒸気爆発だろう。こういう噴火は高精度の観測機器でも前兆を捉えにくい」と話す。富士山火口にも過去の水蒸気爆発の痕跡があり、同様の噴火は起こり得るという。

そうなんですよ。

「前兆がない」という噴火が存在することが現実で、上の記事では富士山の例を挙げていますが、すべての火山にいえることだと思います。突如として噴火するのです。

そして、その上の長野県理化学会のサイトの下の文章。

> 火山の寿命は数万〜数百万年に及ぶので、有史以来噴火の記録がなくても活動が完全に終了したとは見なせない。

と、

> 地球の営みを人間の尺度で測るのは無理がある。

のふたつの文章などを読みますと、

いわゆる「死火山」という火山は存在しないかもしれない

という考えにもいたります。

実際、現在は、地質学用語での「死火山」という言葉は事実上存在しません。

そして、その「死火山」という言葉の定義を変えた火山こそ、今回噴火した御嶽山だったことを知りました。死火山 - Wikipedia には「現在では死火山という言葉は休火山とともに学術的には廃用となっている」という説明の後に、下のように書かれています。

従来、死火山とみなされていた木曽御嶽山が、1979年に水蒸気爆発を起こし、定義を大きく見直すきっかけとなった。

つまり、「すべての火山はいつでも噴火する可能性がある」という考え方に日本の火山学の方向を向けさせたのも御嶽山なのです。




さらに活発化する「環太平洋火山帯」の火山活動

今回、海外の報道やブログを少し見ていて、印象的だったのは、ふだんは経済的なこと(株や為替や経済クラッシュなど)を記事として取り上げる「ゼロヘッジ」というアメリカのブログがありますが、そのゼロヘッジが、今回の御嶽山の噴火について記事にしていたのです。

Japan Declares Level 3 Emergency, At Least One Dead After Volcano Erupts In Central Japan
(日本の中央部での火山噴火で1名が死亡、日本は警戒レベルを3に引き上げる)

という記事でした。

まあ、そのことはともかく、そのゼロヘッジの記事のコメントに、

「環太平洋火山帯の活動が活発になってきている」

というものがあり、そのコメントに添えていたリンクの記事こそ、前回の記事

エスキモーの女性予言者が「アルマゲドンのキッカケ」の噴火として述べていたアメリカのマンモス・マウンテンで起きた1日 1,000 回を越える異常な群発地震
 2014年09月27日

に貼りました、米国 NBC のニュースでした。

mammoth-001.gif
NBC


このコメントを書いた人が、日本の噴火の記事に対してアメリカの群発地震の報道記事をリンクしたということは、遠く離れた日本とアメリカは結局「共に環太平洋火山帯でつながっているために、その活動の根源は同じ」と言いたいのかもしれません。

地図的にいうと下のふたつは同じ要因だと。

ring-of-fire7.gif

▲ ピンクの部分が環太平洋火山帯。英語では、火の輪( Ring of Fire )と呼ばれています。


今年6月の記事で、

環太平洋火山帯の目覚め? : アリューシャン列島とアラスカで続く群発地震から2年前に発表された「地球の磁場の反転と巨大火山活動が関係する」という論文を思い出す
 2014年06月23日

というものがありましたが、環太平洋火山帯に属するアリューシャン列島で、6つの火山に対して同時に高い警報レベルが出されるということがありました。さらに、同じ頃、太平洋火山帯に属しているアラスカのブルックス山脈でも、これまで起きたことのない群発地震が起きています。

そして、昨日の記事「エスキモーの女性予言者が……」でふれましたカリフォルニアの群発地震。

usgs-2014-0927.gif


それぞれが密接につながっているというものではないにしても「曖昧につながっているかもしれない」ということは言えるのかもしれません。

上にアリューシャン列島の火山活動の活発化のことを書きましたが、環太平洋火山帯に属するカムチャッカ半島での火山活動も活発なようで、現在噴火が続いているカムチャッカのシベルチ火山は、 9月 24日には「高さ 11キロメートルの噴煙」を噴き上げるまでの大噴火となっています。

2014年9月24日のシベルチ火山の様子

shiveluch-eruption.jpg
Watchers Copyright: Y. Demyanchuk


この高さのすごさを比較するとすれば、たとえば、今年5月に「史上2番目の高さ」の噴煙を上げる噴火をした桜島のその時の噴煙の高さでも 4.5キロメートルでした(最高は 2013年 8月の 5キロメートル)。

ここから考えても、このシベルチ火山の噴煙の高さはかなりのものだと思われます。




多少の個人的な御嶽山との縁

ところで、突然話が別の方向になりますが、私自身、今回噴火した御嶽山とは、やや縁というのか何というのか、そういうものがあります。

北海道に住んでいる私の母親の友人の女性がいます。
その方は、今は年齢を考えると、そろそろ定年されたかもしれないですが、市内の大きな病院の婦長さんをやっていた方です。

その方が、かなり昔の話だそうですが、ある日、唐突に、「神がかり」のような状態となりました。そして、その際に、「声」から「御嶽山へ行け」と告げられたことがあったのだそうです。

そして、言われた通りに御嶽山に行き、最初のうち、そこでどのようなことをしていたのかは私が知るわけもないですが、その御嶽山でなにか悟った(?)らしいんですね。

それ以来、特に何かの宗教に入るということもなく、自分自信で御嶽山の神様(?)を自宅に祀るようになり、少しずつお金を使って祭壇のようなものを作り、そして毎年、休暇をとって御嶽山に通い、その度に修行(?)のようなことをしてくるということなのでした。

そして、病院の婦長さんも務めつつ、自宅で、御嶽山の何らかの神様と共に精進をし、また「悪霊などを払う」ようなこともやっていたりするようです。

この方とは、実家に帰る際には、たまに会うこともあるのですけれど、まったく普通のおばさんというか、 NHK の地方の「ほのぼの家庭のご紹介」的な番組に出てくるような気さくな人です。

ただし、体重がすごい。
100キロ近くあるのではないですかね。
しかし、骨格を含めた体格そのものが大きく、太っているという感じはないです。

そのおばさんが言うには、彼女の言うところの、霊(悪霊のたぐい)と対峙するには、体重がないと負けちゃう、とのこと。

まあ、その人の話はともかくとして、私自身の御嶽山との「」というのは、その人が御嶽山に修行に行くたびに、御嶽山でお守り的なものを手にして、毎年、私に送ってくれるのです。

私が結婚してから毎年のように送ってくださっているので、つまり、10年以上になるのですが、信仰心のない私とはいえ、そういうものを無下にするということもできず、送られてきた何枚かのお守りの紙のようなものを部屋の目立たないところに貼っています。

これがどういうところにより出ているものなのかわからないのですが、御嶽山のどこかのものではありまして、つまり、この 10年以上、「私の住む部屋にはずっと御嶽山のお守りが貼られている」というのが、縁というか……まあ、それだけの話なのですが、正直、今回の噴火まで、御嶽山そのものに興味を持ったことがなく、今回初めて少しだけ知った次第です。

ちなみに、御嶽山 - Wikipedia の「歴史・信仰」というセクションには以下のようにあります。

御嶽山は山岳信仰の山である。日本の山岳信仰史において、富士山と並び講社として庶民の信仰を集めた霊山である。

また、御嶽山信仰の特徴として、

「死後我が御霊はお山にかえる」という信仰に基づく霊神碑が御嶽山信仰の特徴のひとつである。

というような面もあるようで、死後の霊の帰る場所としての信仰に基づいているようです。

仮に、人間が輪廻や転生をするものだとすると、御嶽山は「霊が帰る場」というより、「死から生への門」のような場所といえるのかもしれません。

もっとも、輪廻転生というものがあったら、としての話ですが。


いずれにしましても、御嶽山は先に書きましたように、

日本の火山の学問から「死火山」という言葉を消滅させた(どんな火山でも噴火しうることを人びとに認識させた)

日本の山岳信仰の最高クラスの山のひとつ

という側面を持つ山であり、もうひとつ、

日本列島の中央部に位置している

という「御嶽山のある場所の示唆的な意味合い」にも何かを感じる部分はあります。


ところで、上のほうにリンクしました過去記事「環太平洋火山帯の目覚め? ……」では、英国の大学の発表した、「地球の磁気の逆転は大規模な火山活動と関係している」という論文の内容を紹介した記事を翻訳したものを載せています。

これは「地球の磁場の反転と、過去の大噴火の頻発した時代には相関した関係があった」ことがわかったというものです。

・噴火
・磁極ポールシフト


は常にセットになって、その時代を見舞うという過去の地球だったようです。

地球の磁極が急速に移動していることは、これまでかなり書いたことがありますけれど、たとえば、最近では、

ポールシフトに関する最近の緊迫 : 北の「磁極」がシベリアにまで移動しつつあるという情報の真偽。そして、ロシア空軍から報告された「アメリカの磁場異常がカタストロフを引き起こす」という情報の真偽
 2014年06月18日

という記事で、基本的には、磁場の異変が感知された場所と群発地震の関係などを記していますが、2011年の日本の大震災の時に、高層大気圏での電子数などに異常が起きていたことがわかったことなども書いています。

地殻の異変と関係することがらは、あまりにもいろいろな要素がこれまで出されてきていて、そのような状況の中で、「環太平洋火山帯での地質活動を刺激しているトリガーが何か」というのは想像もできないですが、

・地球の地殻自体
・磁場や磁気の問題
・宇宙との関係


というものが複合して関係しているであろうことは想像がつきますし、今回の御嶽山を考えていると、そこに加えて、

・信仰
・神という問題


ということも、あるいは加えて考えなければならないのかなと思ったりします。

いずれにしても、太平洋火山帯の活発な地質活動はそうそう簡単に収まるものではないと私は考えています。

とはいえ、まだ起きてもいないことに対して脅えても仕方ないわけで、そのような気分になった時には、私はシュタイナーの『いかにして高次の世界を認識するか』にある下の言葉を思い出すようにしています。

「あらゆる観点から見て、私が不安を抱いても、何の役にも立たない。私は一切不安を抱いてはいけない。私は、自分は何をするべきなのか、ということだけを考えなくてはならない」

完全にこのような気持ちを抱くことは不可能ですが、できる限りそうしたいと思っています。



  

2014年09月08日



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▲ 2014年9月7日のパキスタン Daily Times より。






 



世界各地で雪が降りまくる晩夏

昨年あたりから、気候や現象の報道を見るたびに思い出すフレーズがあります。


日月神示 第12巻夜明けの巻

天の異変気付と申してあろが 冬の次が春とは限らんと申してあろが。
夏雪降ることもあるのざぞ。
人民の邪気が凝りて、天にも地にも、わけの判らん虫わくぞ。

訳の判らん病ひどくなって来るのざから、書かしてある御神名分けて取らせよ。
旧九月八日までに何もかも始末しておけよ。



それでまあ、「夏の雪」がいろいろなところで降っておりまして、上の記事のように、パキスタンのギルギット・バルチスタン州というパキスタン北部の地域で、「大雪のために、動物の放牧をしていた農家の人たちなど 174人の方々が行方不明になっている」というニュースを目にしました。

「大雪で多数の人が行方不明」というのは一見奇妙な響きですけれど、つまり、安否の確認をするための捜索隊が現場に向かうことさえできないほどの暴風雪に見舞われているということのようです。

短い記事ですので、記します。


ギルギット・バルチスタン地方を激しい気候が襲い、174名が行方不明

174人の人びとが、ギルギット・バルチスタンのデオサイ平野とカラパニにおいての秋の大雪とブリザードの嵐の中で行方不明になっている。

詳細な情報によれば、452人が彼らが飼育している動物と共にに雪のブリザードに見舞われて、身動きが取れなくなってしまった。親族による情報で、当局は 280人を保護し、安全な場所へと移動させることができたが、まだ 174人が動物共々、行方がわかっていない。

現在、同地区では非常に過酷な気象条件となっており、捜索活動を開始する目処が立っていない。当局は、天候が回復次第、行方不明者の捜索と救出活動を速やかに開始すると述べた。


それにしても、いくら北部とはいえ、パキスタン。

9月の初旬に捜索活動もできないほどの暴風雪(猛吹雪)などが降るような場所なのだろうか・・・とは素直に思いました。

ギルギット・バルチスタン州というのは、下の位置で、アフガニスタンと中国とインドとも国境が隣接している州です。

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このギルギット・バルチスタン州の州都である「ギルギット」の平均気温は以下のようなものです。

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ZenTech


「これって、最高気温に関しては東京より暑いのでは?」

と思いまして、東京の平均気温を見てみますと、下の通りでした。

tokyo-t1.gif


ただ、ギルギットは、9月の平均気温が、

・最高気温 31.6 度
・最低気温 12.7 度


と、気温の差が激しい場所のようです。

冬はかなり寒いようで、夏と冬の気温の差もかなりあります。

としても、9月の平均最高気温が 30度を越える土地の周辺で「9月の暴風雪」というのは、まあ、一応は「普通のことではない」とは言えそうです。

ところで、パキスタンでは、他の地域では「記録的な大雨による大洪水」が発生していて、これも過去数十年で最大の洪水被害を出しています。

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NHK


インド・パキスタンの洪水被害 死者360人超
NHK 2014.09.08

インドとパキスタンでは、大雨による洪水の被害が広がっており、死者はこれまでに両国で360人を超え、現地を視察したインドのモディ首相は、国家レベルの災害だとして地元州政府への支援を表明しました。

洪水が起きている川は、パキスタンを南北に縦断するインダス川と合流するため、今後、インダス川の流域でも被害が拡大するおそれがでており、パキスタン政府は、地元州政府に対策を強化するよう呼びかけています。



インドもパキスタンも近年は大規模な洪水が多いですが、近年の大きな洪水をはるかに上回る規模のようで、被害は今後さらに拡大するおそれがあります。

パキスタンは、一方で暴風雪、そして一方では、熱帯性暴風雨による洪水というふたつの両極端な災害の渦中にあります。

雪といえば、カナダのカルガリーでも「今週、雪が降るかもしれません」という天気予報が出されています。




3日間で「最高気温が22度も下がる予測」のカルガリーの9月

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▲ 2014年9月7日の Weather Network より。


このカルガリーの気温のすごいところは、その気温の下がり方の急激さなんですね。

上の天気予報が報じられた 9月 7日の午後の最高気温は下の通り。

calgary-25.gif

昨日の日曜日は、最高気温 25度だったんですね。

それが、

・月曜には最高気温 10度
・火曜には最高気温 4度
・水曜には最高気温 3度


と、雪崩を打つかのように気温が下がる予測となっていて、その日の前後に「雪が降るかもしれません」という予測になっています。

ただ、カルガリー - Wikipedia によりますと、ここは気候の荒い場所のようで、

冬のカルガリーは、フェーン現象の一種でチヌークと呼ばれる太平洋から吹く季節風の影響で、暖かく乾燥した風が吹くため、数時間で気温が最高15℃上がり、冬の半分は一日の最高気温が0℃を超え、場合によっては15℃まで届くこともある。一方、北極からの強力な寒気団に覆われると、マイナス40℃近い気温が観測されることも珍しくなく、同じ冬の間でも寒暖の差が非常に激しい。

また、夏は、

標高が高く乾燥しているため、夏でも夜になると気温が下がりやすく、最低気温が8℃まで下がることもある。このため、年間を通して冬でも夏でも霜がおりる可能性がある。また一般的ではないが、夏の7月と8月でも雪を経験したことがある。

ということで、かつて、「夏の雪」を経験したことがある場所のようです。

calgary-map.gif
・カルガリーの位置


ちなみに、カルガリーの過去の最高気温と最低気温の記録は、

・最高気温 1919年の 36度
・最低気温 1893年のマイナス 45度

という非常に上下の幅が大きい場所であるようです。

都市の名前は知っていましたけれど、こんな気候だとは知りませんでした。

そして、アメリカでは、各地で「8月の雪」も報告されています。




カオスな気候分布がひとつの国家に収まっているアメリカ

下の写真は、ワイオミング州のアルタというリゾート地で、8月31日に撮影されたものです。

 Alta-Wyoming.jpg
Daily Mail


英国のデイリーメールは、下のようなタイトルで、9月のアメリカの7州に大寒波がやってくることを報じています。

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Daily Mail

北極からの大気の渦は極循環( polar vortex )と呼ばれている現象だそうで、要するに、今回の場合は、「北極から冷たい空気がアメリカ大陸にやってくる」ということになるようです。

そして、そのアメリカの気候分布予測ががすごいのです。

下は Accu Weather という天候サイトの今年のアメリカの秋の天気状況の予測です。

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Daily Mail

東海岸周辺にある「熱帯の衝撃のリスクが極めて高い」という直訳は、自分で書いていても意味がよくわからないのですが、熱帯ストームのリスクというようなことなのかもしれません。正確なところがわかりません。

いずれにしても、広い面積のアメリカとはいえ、あまりにも傾向の違う気候分布予測は、まさに「カオス」といった気配を感じます。

ちなみに、北極からのアメリカにやってくるこの寒波は「暴風を伴っている」ことも特徴で、9月 6日には、下のように、大木が倒されるほどの強風がミシガン州などで吹き荒れました。

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・場所はミシガン州カラマズーという場所


そういえば、少し前の、

アイスランドの火山の状況のその後と、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星。そしてジミヘンの「417Hz周波数」の曲を発見などを少しずつ
 2014年08月29日

という記事のラスト1行は、

9月頃には雪もありですかね(おいおい)。

と締めていますが、北半球のかなりの地域で上のように、すでに降るところでは降っていますので、日本も降っても不思議ではないかもしれません。


あとは、最初に載せました「日月神示」の

天にも地にも、わけの判らん虫わくぞ



訳の判らん病ひどくなって来るのざから

のことにもふれようと思いましたが、ちょっと気候の記事で長くなりすぎましたので、昨年からの過去記事で、「わけのわからん虫」のことにふれた記事をリンクしておきます。




虫の大量発生関係の過去記事

京都:アメリカ人の観光地ナンバー1になって以来「わけのわからん虫が湧く」やら、オオサンショウウオも地面を歩き出したり
 2014年07月09日

奇妙な虫にモスクワが侵略されている
 2013年05月22日

・聖書に記載されているユダヤ教の祭の直前にイスラエルへ向かった3000万のイナゴの大群
http://oka-jp.seesaa.net/article/342697919.html
 2013年03月05日

昆虫アルマゲドンの渦中のアメリカ : 南東部では前代未聞のシロアリの大群に見舞われる
 2013年05月25日

地球上での共生の崩壊 : 動物のエサになる人間。そして世界の町々は昆虫に占領されて
 2013年05月12日



▲ 2013年5月にサラエボの首都を占拠したハエ(またはカゲロウ)の大群。


訳の判らん病ひどくなって来るのざから

の「訳の判らん病」という部分は、最近の状況をリアルに思い起こすことができます。

そして、

旧九月八日までに何もかも始末しておけよ

と書かれています。

この旧暦 9月 8日というのが、今年なのか 100年後なのか、あるいはもっと先なのかはわからないですけれど、2014年の旧暦 9月 8日は、計算サイトで計算しますと、2014年 10月 1日となるようです。
ちなみに、この日は仏滅(苦笑)。

私自身は始末するものがあるのかないのかもわからない状態ですが、「日月神示」の記述はともかくとしても、世界のカオスは、気候から生き物、紛争、戦争、そして、人間の感情の乱れ(のようなもの)など広範囲にわたっているように私には思えます。

昨日の記事でも書きましたけれど、こうなってくると、

「カオスを恐れてはいけない。混沌に身を預けよ。混沌に加われ」

というフレーズの解釈を今一度考えてみたいところです。



  

2014年08月21日



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▲ 2014年8月20日の 3news より。






 



海底火山で「スーパー津波」が起きる理由

上のような報道を昨日見ました。小笠原諸島の西之島は昨年 11月に新島が噴火をはじめて以来、どんどん大きくなり、新しい島が元の西之島を覆い尽くす形で、今でもさらに拡大を続けています。

これについては、日本語の報道もありましたので、そちらの冒頭を抜粋させていただきます。

西之島噴火、斜面崩落し津波の恐れ 父島に最大1メートル
朝日新聞デジタル 2014.08.21

噴火が続く小笠原諸島の西之島が活発に溶岩を噴出し続けると、斜面の一部が海に崩落して津波が発生する可能性があることが、東京大地震研究所の前野深・助教(火山地質学)の研究で分かった。シミュレーションによると、約130キロ東の父島に高さ最大約1メートルの津波が到達するおそれがあるという。


というもので、つまり、

・西之島は今でも毎日大量の溶岩を噴出している
・このまま続くと、斜面が崩壊して、それによる津波が起きる
・その津波の高さは最大で約1メートル


ということのようです。

ま、1メートル。

もちろん1メートルの津波は侮れませんが、しかし、いずれにしても、西之島のほうはまだ起きてはいないことです。

ところが、同じような現象により「起きたことがある津波」については、下のようなものがあります。

el-hierro-tsunami.gif

▲ 2013年2月28日の Modern Survival Blog より。


もちろん、「すでに起きたこと」は、アメリカ東海岸の破壊のほうではなく、

高さ 90メートルの津波がかつて起きことがある

のほうです。

これは、カナリア諸島の南西端にあるエル・イエロ島という海中にある火山で起きたことで、ただし、それが起きたのは今から 13万年前とされています。

13万年前というと、現世人類がすでに地球上にいたと考えられている頃です(現世人類の地球への登場は、約16万年前とされています。誤差は前後約4万年)が、それにしても、「高さ 90メートルの津波」となると、どの程度の内陸までの影響があるのか想像もつかないですが、現代だと下みたいな感じで描かれるようなものとなるのでしょうか。

90-tsunami.jpg


現代でなくて幸いでしたが、そのような比較的遠い時代に、このエル・イエロ島の噴火により、そのような津波が起きていた可能性が高いことが地質学で示されています。

これは、地上の噴火でいう、いわゆる「山体崩壊」のような現象が、「海に向けてなだれ落ちる」事によって発生する津波のようです。

ところで、上の記事のタイトルで「(もし仮に同じようなことが今の社会で起きれば)アメリカ東海岸が破壊される」とある理由なんですが、このエル・イエロ島の位置は広範囲の地図で示しますと、下の位置となります。

el-hierro-map2.gif


この位置で、現代の社会に高さ 90メートルの津波などが起きてしまったら、アメリカの東海岸へは距離があるとはいえ、それでもかなり高さの津波が押し寄せる可能性があるという意味のようです。それ以上に、大西洋に面した非常に多くの国々が影響を受ける可能性があることもわかります。




津波と距離の関係

独立行政法人 産業技術総合研究所が 2003年にリリースした、

北米西海岸で西暦1700年に発生した巨大地震の規模を日本の古文書から推定

という資料を見ると、津波というのは、かなり遠方にまで被害を出すことがわかります。

この文書は、西暦 1700年(まだアメリカの文字の記録が残っていない時代)に、今のアメリカ西海岸を震源とするマグニチュード9クラスのきわめて巨大な地震が発生したことを、当時、日本に到達した「津波」から推計したものです。

西暦1700年の地震の震源と日本の位置関係

1700-tsinami-1.gif

震源と日本の距離関係は上のようなものでした。

これほど離れた場所の地震によって、日本の太平洋沿岸の各地にどの程度の津波の被害が出たか。それらは当時の古文書に記されています。

1700-tsunami-2.gif


東北から、関西に至るまで、1メートルから最大で6メートル程度の津波が到達していたことがわかります。

そして、これは、あくまで「古文書に記録が残されていた場所のみ」ですので、実際には日本のすべての太平洋側に、数メートル規模の津波がくまなく押し寄せていたと考えていいと思います。

6メートルの津波ともなると、かなりの災害レベルだと思うのですが、通常の津波とは違うのは、地震が起きたのが遠く離れた現在のアメリカ大陸であり、日本の人々は地震を感じることもなく、人々にとってみれば、

「地震もないのに突然津波がやってきた」

と感じたことだと思います。

そして、今回ご紹介していますような「海中の火山の地滑りなどで発生する津波」も同じように、

前兆を感じることが難しい


という特徴があります。

もっとも・・・ 13万年前のエル・イエロ島の噴火で起きたような「高さ 90メートルの津波」ともなると、前兆を知ったところで、場所によっては逃げ場もなさそうですが、まあ、そこまで極端ではない「前兆のない津波」は、わりといつでも起きる可能性はあると言われています。

ところで、2011年の出来事ですが、このエル・イエロ島の沿岸近くに「巨大な泡が噴き出ている」ことが報じられたことがありました。

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▲ 2011年10月17日の来たるべき地球の形「カナリア諸島に『新しい島』が誕生しようとしている?」より。

結局は何もなく終わりましたが、様々な活動が続いているエル・イエロ島ではあります。





自然現象の周期はどんなものにも存在し得るので

ところで、上のエル・イエロ島が過去の噴火を起こした 13万年前という、この「13万」という数字は非常に遠い昔のように感じますが、それはあまり関係のないことで、「過去に起きた事実がある以上、また起きる可能性はある」ということについては、巨大天体の地球への衝突や、あるいは、いわゆるカルデラ破局噴火と同じです。

破局噴火については、何度か記事にしたことがありますが、

世界の6つの異なる地域で7つの火山が同時に噴火を開始した2013年の11月に考える地球の未来
 2013年11月23日

という記事に書いていますように、

破局噴火は「破局災害」といわれるカテゴリーに属しているようで、人類が経験する自然災害の中で最も威力が大きく、そして、その影響が長く続く災害のひとつ

とされているものです。
小惑星などの天体衝突と匹敵するほどの災害とも言えるかもしれません。

そのような大災害である「破局噴火」ですが、静岡大学の小山真人教授の書かれた

現代社会は破局災害とどう向き合えばよいのか

によりますと、日本だけでも、

・7300年前の鹿児島県南方沖の海底火山の破局噴火
・2万8000年前に姶良カルデラ(鹿児島湾北部)の破局噴火
・5万2000年前に箱根カルデラの破局噴火


など、万年単位の中でもずいぶんと起きていることが地質学的な研究からわかってきています。

次の「破局噴火」がいつかというのはわかりようがないですが、同じように、

海中火山の崩壊による高さ 100メートルクラスの津波も起きる可能性はいつでもあるけれど、それはいつかはわからない

ということは言えるはずです。

さらに、2003年にはさらに「想像を絶する」研究発表がなされています。




500メートル級の津波を引き起こす可能性のあるハワイのキラウエア火山

今年5月の、

アメリカで沈みゆく大地と増え続ける地震。そして「500メートルの高さの津波」の可能性
 2014年05月15日

という記事で、米国スタンフォード大学の研究とシミュレーションにより、

「キラウエア火山の山腹にある塊が噴火などにより海に崩落することで 500メートル以上の高さの津波が発生する可能性」

についての研究結果が発表されていたことについて、概要だけ記したことがあります。

そして、キラウエア火山の噴火での崩壊や地滑りによる津波は実際に比較的頻繁におきているもののようです。

今回は、その超巨大洪水を起こす可能性のあるハワイ島の南にあるヒリナ・スランプ( Hilina Slump )について記されている英語版 Wikipedia とアメリカ地質調査所( USGS )の文書から抜粋して締めたいと思います。

文中の地図に出てくる火山などについては、ロイヒというのは、ハワイ島近くの海面下 975メートルにある海底火山で、活発な活動を続けています。火山自体の高さは 3000メートルあり、成長を続けているのだそうです。

マウナ・ロア火山は、ハワイの活火山のひとつですが、「地球で最も体積の大きい山」なのだそう。

また、キラウエア火山での津波の発生要因となる主要な名称である Hilina Slump というのは日本語にはなっていないようで、「スランプ」を地質的にどのように呼ぶのかわかりませんので、「ヒリナ・スランプ」と、そのままカタカナで表記させていただきます。


ヒリナ・スランプ( Hilina Slump ) - Wikipedia

hilina-slump.gif

ヒリナ・スランプは、ハワイ島のキラウエア火山の南側山腹にある 20,000立方キロメートルもの膨大な塊である。 GPS での測定によれば、1990年から 1993年の間に年間およそ 10センチメートルの南方変位を示した。

ヒリナ・スランプは、崩壊し、極めて早い速度で水中に突入する可能性を秘めており、仮に、ヒリナ・スランプのすべての量の塊が一気に海になだれ込んだ場合、それはマグニチュード9を超える地震を引き起こす可能性がある。

今から 11万年前に、同じ地質的現象によりハワイで起きた超巨大津波の高さは 500メートルに達した。もし仮に、このような地質的現象が現代の世の中に発生した場合は、環太平洋のすべての地域の大きな脅威となるだろう。




ヒリナ・スランプ( Hilina Slump ) - USGS

1868年と 1975年に、ヒリナ・スランプ領域において高さ数十メートルの壊滅的な津波を伴う大地震(それぞれ、マグニチュード 7.9と、マグニチュード 7.2)が発生した。

これらの 1868年と 1975年の両方の地震で発生した津波は、ハワイに大きな被害と死者をもたらした。1975年の津波は、カリフォルニア州にも軽い被害をもたらした。

そして、問題は、このタイプの広範囲で破壊的な塊の海中への崩壊が、将来的にまたいつか発生するであろうということだ。



というものです。

そして、これに関しては、まったく予測も前兆もとらえることはできません。「ある日、突然、太平洋のすべての沿岸が数十メートルから最大で 500メートルの津波に襲われる」という可能性はそれなりの未来の現実として存在するようです。



  

2014年08月05日



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新約聖書『ヨハネの黙示録/ 08章 11節』

水の三分の一が苦よもぎのように苦くなって、そのために多くの人が死んだ。




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▲ 2014年8月4日のロサンゼルス・タイムズより。






 



トレド、というと、ローマのトレビの泉の別名として思い出したりもしますが、今回のトレドは、米国オハイオ州にあるトレド市の話です。そして、結構な深刻な話です。

オハイオ州トレド市の場所は下の位置で、五大湖のひとつであるエリー湖に面しています。この地域の水源はそのエリー湖となっています。

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冒頭のロサンゼルス・タイムズの記事は「飲用禁止が解除された」とありますが、つまり、「水道の水を飲むことが禁じられていた」のです。

理由は水源となっているエリー湖の「藻」の繁殖により、水道水に大量の毒素が入り込んでいることが判明したためでした。

AFP の記事から飲用します。

米都市で水道水が飲用禁止に、40万人以上に影響
AFP 2014.08.04

米オハイオ州トレドの当局は2日、同市と郊外の住民少なくとも40万人に対し、藻の繁殖によって発生したとみられる毒素「ミクロシスチン」が水道水から検出されたため、飲料用として水道水を利用しないよう警告した。また、水道水を沸騰させることで毒素の濃度が増すとして、お湯を使わないよう呼び掛けている。

警告はトレド市の水道水の全利用者を対象としており、当局は警告が解除されるまで水を使わないよう求めている。地元の赤十字社によると、ミクロシスチンは吐き気や下痢を引き起こしたり、肝機能に悪影響を及ぼす恐れがあるという。

市の水道水の水源となっているエリー湖では、流入した農業用肥料に含まれるリンやチッソによって藻が大繁殖した。



ということで、実際には 50万人以上が影響を受けることになりました。

さて、水道水の使用の禁止が発表されたトレド市では・・・。

発表から 50分で、ほとんどのお店からペットボトルの水が消滅

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BreakingNews


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・書かれてあるのは「ペットボトルの水はありません」。 Colombus Dispatch


その後、オハイオ州は非常事態を宣言するに至りましたが、翌日、「水道水に含まれる毒素が飲用許容量にまで低下したので、水道水を飲める」と発表したのが最初のロサンゼルスタイムスの記事です。

写真でマイクに囲まれているのは、トレド市の市長ですが、テレビカメラの前で、わざわざ「このように飲んでも安全です」と、自ら水道水を飲んでアピールするなどしていました。

Toledo-mayor-01.JPEG

▲ 水道水を飲んで、安全性を強調するトレド市のマイケル・コリンズ( Michael Collins )市長。 Kansas City Star より。




改めて全米国民が認識した「湖の現状」のひどさ

しかし、「飲んでも大丈夫」となったことはいいとして、今回のことが詳細に報道されていく中で、アメリカの人々は「水源のエリー湖の実態」というものを「視覚的に見てしまった」のですね。いや、エリー湖だけではなく、「アメリカ全体の水源の実態」をも。

エリー湖の 8月 3日の状態

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Colombus Dispatch


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Toledo Blade


これは・・・青汁の領域ですね。
下の写真の人も調査チームの一人ですが、この人なんかだとグッと一気に飲み干しそうな。

CTY-algae04p-Shane-Gaghen.jpg
Toledo Blade


こういうような「自分たちが飲んでいる水の水源の状況」の写真や映像をメディアで見てしまうと、いくら「安全」と言われても、水道水の使用を躊躇してしまう人もいるのではないかと思います。

もっとも、これは今に始まったことではないようで、下の写真は 2011年に衛星から撮影されたエリー湖の写真ですが、この時にもすでに緑だらけとなっています。

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Accuweather


しかし、実は最大の問題は、このエリー湖やトレド市などのような単体のことではないのです。

下の記事のタイトルにあらわされている問題なのです。

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▲ 2014年8月4日の Quartz より。





全米の多くの水源で藻の大発生による毒素の問題をかかえている

今回は上の記事をご紹介したいと思っていますが、ちなみに、もともと、アメリカの水は、特に都市部の水道水は「そのままは飲めない」ということにはなっているようです。

平成 16年(2004年)に、国土交通省の水資源部がリリースした「日本の水資源」という資料には、「水道の水がそのまま飲める国と飲めない国」という項目があります。

us-water.gif
国土交通省水資源部資料「日本の水資源」


この図を見ると、水道の水が直接飲める国は、2004年の時点で、日本、ニュージーランド、ヨーロッパの一部、南アフリカなど、非常に少ないことがわかります。

もちろん、これは「日本人が飲める」という意味が強いとは思います。旅行などに行きましても、多くの国で普通に水道の水を飲んでいますし、実際には、日本人の旅行者なども、たとえば、アジアやアフリカなどへの旅行の場合は、「どこかしらで(気づかずに)飲んでいる」はずです(特に氷)。

しかし、今回のような「藻」による毒素は、単にお腹を壊すとか、そういうものだけではなく、 AFP の記事にもありますように、吐き気や下痢を引き起こしたり、肝機能に悪影響を及ぼすという意味での、「本当にどうやっても飲めない水」ということになり、何しろ「沸騰させるとさらに毒性が高まる」のですから、どのようにしても飲めない水ということになります。

それでは、ここから上の Quarrtz の記事をご紹介します。

この問題が「昨年あたりから急激に悪化している」ことがわかります。
また、たとえば、過去記事の、

海で何が起きているのか : 5月から始まった全世界での数百万匹規模の海洋生物の大量死の理由は誰にも説明できない
 2014年06月02日

などの最近の魚の大量死とも関係している部分があるかもしれません。

関係しているとすれば、川や湖での魚の大量死の原因の多くは藻の大発生による酸素不足ですので、同様の魚の大量死は、今年のアメリカの夏にも数多く起きるはずです。




It’s not just Ohio−poisonous algae blooms now plague 20 US states
Quartz 2014.08.05


オハイオ州だけではない。今や全米 20州で毒素を持つ藻類が大発生している


北部オハイオ州の希少な水の供給源であるエリー湖は緑で覆われている。

見た目は、単に青いスムージーのように見えるだけかもしれないが、これら藻類、あるいはシアノバクテリアの大繁殖から発生する毒素は、人間の肝臓や他の臓器にダメージを与える可能性があり、また、時にはペットを死に至らしめるほど強い毒性を持つ。

エリー湖を水源としているトレド市に対し、オハイオ州政府は、水道水から検出された毒素の量は、飲用に適さないと宣言した。

このエリー湖は、藻類で悪名高い。 しかし、昨年 2013年に関していえば、この生態学的に壊滅的な事態は、エリー湖だけの話ではない。下のグラフがそれを示している。


us-algae-2013.gif


例えば、オレゴン州のブルー湖では有毒な藻が大発生し、オレゴン州は水を確保するために苦労しなければならない羽目になった。

ケンタッキー州では、2013年に初めてこの有害な藻の問題が報告された。これは、旅行者が州内の4つの湖を訪問した後、発疹や胃の痛みを訴えたことから調査して判明したものだ。

ケンタッキー州では今年もまた藻が大発生している。

フロリダ州では、2013年に、インディアン・リバー・ラグーンで有毒な藻類が発生し、120頭以上のマナティーが死亡した原因になったと一部の科学者は言う。


habs-around-us-2013.gif


なぜこのようなことが起きているのか?
藻類が根本的に悪いわけではない。
実際、彼らは水生の食物連鎖の重要な位置にいる。

しかし、湖に流出する肥料や動物の飼料に含まれるリンと窒素などにより、藻たちは狂ったかのように大繁殖をはじめる。

また、米国の産業廃棄物は、藻類を食べる魚を殺し続けてきた。さらに悪いことには、生き残った魚たちさえ、藻の大繁殖そのものにより大量死に至る。

人間の健康を脅かすだけではなく、藻の大繁殖は、全体の生態系を破壊する可能性をもっている。米国政府は最近、藻類の発生の研究のために、毎年 2050万ドル( 約20億円)を投資する法案を可決した。




  

2014年07月08日



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▲ 2014年7月1日の米国 Yahoo! News より。






 


あくまで感覚的なものですけれど、「なんだか今年は地震が多い感じはするなあ」というようなことは思っていました。

そうしましたら、今回ご紹介するアメリカ Yahoo! News の出だしはこのようなものでした。


今年2014年はいつもより地震が多い感じがすると思われている方。あなたの考えは正しい。 最新の研究では、2014年の最初の四半期に発生した規模の大きな地震の数は 1979年以降の平均と比較して、「倍以上」であることがわかったのだ。



実際に今年は地震が(今のところまでは)多いのでした。
しかも、「通常の2倍より多い」という尋常な率ではない今年の地震の数が浮かび上がります。

それだけではなく、この統計はマグニチュード7以上の「大地震」に関してのものですのです。この約 35年くらいの間に、発生件数は徐々に増え始め、ついに 2014年には「2倍」ということになったということのようです。

今年は、たとえば、過去記事の、

2014年 3月 15日に環太平洋火山帯で「同時多発的な連鎖発生」を起こした中規模地震群
 2014年03月16日

という出来事などのように、どうしても目立ってしまうような「世界全体で遠い距離のあいだで同時に起きるような群発地震」が多かったように思います。

ring-of-fire.gif

▲ 上の記事より。


あるいは、もっと長い周期で見てみても、マグニチュード5から7くらいの間の地震については、過去記事、

太陽活動と地震・噴火の活動に関しての2つの考え方
 2011年02月17日

の中に、1900年から 2010年までのそれぞれの平均値を並べたグラフを載せたことがあります。

西暦1900年からのマグニチュード5〜5.9の地震の統計

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西暦1900年からのマグニチュード6〜6.9の地震の統計

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どちらも、1,000年間くらいの間に増加しているのですが、しかし、上のグラフは 2010年までのもので、今回、翻訳した記事などを見てみますと、

その後また急激に増えている

という感覚を受けます。

なお、今回の翻訳記事は比較的長いですので、あまり余談を書かずに入りたいと思いますが、研究者のテーマとしては、


地球の遠く離れた場所同士で連動して起きる地震は単なる偶然なのか、それとも、何らかの「関連性」があるのか。



ということについて、「関連性」を探す試みをしている科学者たちの話であり、地震が増えたということそのものがメインの話ではないです。

個人的な考えとすれば、自然現象に「偶然」という概念が入り込む余地はないと考えますけれど、このあたりを書き出すと、余分に長くなってしまいますので、今年3月に書きました記事、

虚実が混合する「地震」の話
 2014年03月30日

の中の「地震予測に対しての私見」というセクションに書きました以下の部分が、私の地震予測に関心のある部分の大部分となると思います。


地震予測に対しての私見

私は現在の巷で言われているタイプの地震予測には関心を持ちませんが、地震予測の可能性が含まれているものがあるとすれば、次の2点だと思っています。

1. 大気中の赤外線量の測定と電離層中の電子数の変化

2. 銀雲


です。




というようなことを書いていますが、それぞれについてご興味のある方は過去記事などもお読みくだされば幸いです。なお、上の「1」の「大気中の赤外線量の測定と電離層中の電子数」というものについては、2011年3月11日の東北の大地震の際に、NASA が震災直前に東北の震源の上空で赤外線量の強烈な変化を観測し、同時に、上空の電離層の「電子数」というものが強烈に上昇していたことをデータで確認した、ということが発表されたことがありました。

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▲ NASA の観測艇が収集した 2011年 3月 10日から 3月 12日までの赤外線のエネルギー量の変化。過去記事「衝撃のデータ: 3月11日の地震の前に観測された日本上空の赤外線と電子量の急激な変化」より。


そのように、私は、

「地震は下(地球)だけではなく上(宇宙)からとの関係性を持つ」

とは今でも思っています。

しかしまあ、「地震のトリガー」ということに対しての考え方というものは、人それぞれ非常に多彩でして、確定していない意見をごり押しする必要もないとも思いますので、とにかく、今回は、

2014年は今までのところ記録的に地震が多い年


という事実を念頭に置かれていただければ幸いです。
これはある意味では、「2014年はこれからも地震が多く起きる可能性も高い」という意味に捉えていただいても結構です。

記事は、そのような「地震の連動」の可能性を探る科学者たちの話です。
ここからその記事です。




Big Earthquakes Double in 2014, But They're Not Linked
Yahoo! News (アメリカ) 2014.07.01

2014年の大地震は通常の倍の発生数となっている。しかし、それらに関連性はない

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▲ 2014年4月4日に、南米チリでマグニチュード8.2の地震が発生。


今年2014年はいつもより地震が多い感じがする、と思われている方。あなたの考えは正しい。 最新の研究では、2014年の最初の四半期に発生した規模の大きな地震の数は 1979年以降の平均と比較して、「倍以上」であることがわかったのだ。

調査を率いたカリフォルニアにあるアメリカ地質調査所( USGS )の地球物理化学者のトム・パーソンズ( Tom Parsons )博士は、このように言う。

「私たちは今、これまでの歴史で最大級の高い大地震の発生率の時代を経験しているのです」

しかし、世界的な地震の数が増加しているにも関わらず、これらの地震の増加は、依然として「偶然」によって説明することができると、トム・パーソンズ博士と論文を共著したアメリカ地質調査所のエリック・ガイスト( Eric Geist )氏は語る。

彼らの調査結果は、地球物理学専門誌ジオフィジカル・リサーチ・レターズ( Geophysical Research Letters )のオンライン版に掲載された。


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▲ 2000年から世界で発生したマグニチュード7以上の地震。


2014年に非常に多くの地震によって地球が揺さぶられている中、パーソンズ博士は、実際には彼が「多くの地震」というポイントから「逆」を見出すことができるかもしれないと期待している。

つまり、それは、現在の 2014年の大地震の増加は「別の巨大な1つの地震」から生まれている揺れなのではないかということだ。

以前の研究では、ひとつの地震が、世界全体を駆け巡っていくことを示していて、それは小さな地震のトリガー(引き金)となっていることも示した。

パーソンズ博士は、ライヴサイエンスのインタビューに対して、以下のように語っている。

「私たちの研究チームは、1つの地震が、世界的な規模で他の地震に対して与える影響について関心を持ち続けています。そして、私たちがそれが起きている示唆を見た時には驚いたものでした。私たちは、『偶然性では説明できない何か』の証拠を見つけることを本当に期待しているのです」。

このような研究、つまり、地震が時間と距離を越えて、その発生に関連性を持つということについての研究への試みや、その失敗は今回が初めてではない。

以前の研究では、地球上で最大規模であるマグニチュード8やマグニチュード9といった大きな地震が、マグニチュード2とかマグニチュード3などの小さな揺れ(いわゆる余震)のトリガーとなることは典型的によく見られることだ。

しかし、1つの大きな地震が他の大きな地震を誘発することについては、誰も証明してはいない。彼らは、このような地震と地震の関連の証明を統計的に見出さそうとしている。

しかし、最近の地震の嵐にも関わらず、世界の大地震はランダムに発生しているとする新しい研究が見出されてしまってもいる。

大地震と呼ばれる範囲であるマグニチュード7以上の規模の地震が発生する平均値は、1979年から1年間に 10回だったと以前の研究では報告されている。そのレートは、1992年までには 1年間に 12.5回に上昇し、2010年までには、16.7回にまで上がった。

そして、2014年の最初の3ヶ月では、マグニチュード7以上の規模の地震が発生した数は 1979年からの平均値の倍以上となっている。

地震の増加は、コイン投げの結果と統計学的には似ているが、パーソンズ博士は、「コイン投げのプロセスはランダムであっても、まれに表ばかり出ることや、あるいは、裏ばかりが繰り返し出ることがあります」と言う。

そして、以下のように続けた。

「基本的に、私たちは、2014年の最初の四半期に見たもの(異常に多い地震)の理屈を証明することはできません。これは、コイン投げのような単純な話ではないのです」。

しかし、パーソンズ博士は、巨大な地震が非常に遠い距離を越えた場所で起きる大地震のトリガーとなるという可能性について、統計学的な発見での排除はしていないと言う。

研究者たちには、単にこのような地球規模での『地震のコミュニケーション』に関するデータが欠如していると博士は言う。

しかし、マグニチュード5.6より小さな規模の地震に関して、これが全世界的スケールで連動することを研究者たちは発見している。これらの研究は、より小さな地震が他の大きな地震の発生から影響を受けていることを強く示唆している。

例えば、日本とスマトラで発生したマグニチュード9の壊滅的な大地震の後、マグニチュード5クラスの地震数が震源から最大で 1,000キロメートルを超える場所でも急増したことが見出されている。




  

2014年06月23日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。





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▲ NASA の国際宇宙ステーション ISS によって撮影されたパブロフ火山。2014年6月23日の MINING より。






 


最近、ポールシフトに関しての記事を久しぶりに続けて書いたりしました。

ポールシフトに関する最近の緊迫(1) : 磁場の反転時には「地球から大量の酸素が消滅する」とする科学論文の発表…

ポールシフトに関する最近の緊迫(2) : 北の「磁極」がシベリアにまで移動しつつあるという情報の真偽…

などです。

そして、今回は報道としては少し古いものですが、2012年に、英国の名門国立大学であるリバプール大学から発表された論文について書かれたサイト記事をご紹介したいと思います。

その内容は、

過去の地球の磁極の反転(磁場のポールシフト)は、巨大火山活動と連動した

というものです。

このことを思い出したのは、最近の「環太平洋火山帯」の動きの活発化と関連します。

今、ロシアのアリューシャン列島からアメリカのアラスカにかけて、大変に活発な火山の噴火、そして地震活動が続いています。





アリューシャン列島とアラスカで増加し続ける地震と噴火

先日、アラスカにあるブルックス山脈というところで、謎ともいえる群発地震が続いていることを記したことがありました。

全世界の地震の連動:アラスカのブルックス山脈で極めて珍しい群発地震
 2014年06月15日

そして、ロシアからそのアラスカまで続く「アリューシャン列島」の地震の回数と、火山噴火の数が記録的なものになっていて、噴火に関しては過去 26年間で最大になっていることが、アラスカ火山観測所の発表で明らかになりました。

米国アラスカのブルックス山脈の位置は下です。

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そして、北米からロシアまで続くアリューシャン列島の位置は下の地図で白く囲んだあたりです。

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アラスカ火山観測所によりますと、現在、アリューシャン列島では、噴火の可能性のある黄色(コード・イエロー)の警告が出されている火山が3つあり、噴火が差し迫っていることを示す警告(コード・オレンジ)の火山も3つあることを発表しています。

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▲ 左上から、クリーブランド火山(コード・イエロー)、シシャルディン火山(コード・オレンジ)、パブロフ山(コード・オレンジ)、ベニアホフ火山(コード・イエロー)、セミスポチノイ火山(コード・イエロー)。MINING より。


特に、冒頭の写真に写っているパブロフ山という火山の噴火は、すでに火山灰の高さが、9,144メートル、つまり上空9キロメートルにまで達しており、これでさらなる大噴火を起こした場合は、想像を絶する大噴火になりそうです。

しかし、科学者たちがこの活動が今後どうなっていくのかということについての情報と推測を持っていないということも明らかになっています。

ある科学者は、アリューシャン列島の噴火の連続について、「これは火山の噴火が偶然集中したものに過ぎない」と言っていることが MINING の記事に書かれてありますが、同じ環太平洋帯でのアラスカのブルックス山脈の地震は、4月18日から始まり、今なお続いています。

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▲ 2014年6月16日の The News Tribune Swarm of earthquakes in Alaska puzzles scientists より。


そして、後述しますが、今年の環太平洋の地震活動の活発化を見ても、これらは「偶然」ではないと私は思います。


下の図は、アメリカ地質調査所( USGS )の、6月23日の時点の「アラスカ地域においての過去30日間のマグニチュード 2.5 以上の地震」の発生状況です。

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30 Days, Magnitude 2.5+ Worldwide より。


ブルックス山脈は火山ではないので、この地震は地元の科学者たちからも、大変に「不気味」というようなとらえ方をされています。

ちなみに、アリューシャン列島の同時期の地震回数は下のような状況で、大体、1ヶ月間で、マグニチュード 2.5以上の地震が 270回前後発生しています。

アリューシャン列島の5月26日からの30日間のM2.5以上の地震

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USGS より。


アリューシャン列島に関しては、通常での地震の回数の基準を知りませんので、これが特別多いのかどうかはわからないですが、アラスカ火山観測所が、火山噴火と共に、「地震も顕著に増えている」と述べていますので、通常より多いのだと思います。






全体として活動が活発になっている環太平洋火山帯

環太平洋火山帯は、英語では「火の輪」(Ring of Fire)と呼ばれていて、その名のとおり、地震のほうではなく、「火山の集中している場所」という意味ではあるのですけれど、結局、この地帯はくまなく地震が多いのも事実です。

今年は特に活発です。

大きな人的被害の出た地震が少ないため、今年あまり地震が頻発しているイメージはないかもしれないですが、たとえば、今年3月には、

2014年 3月 15日に環太平洋火山帯で「同時多発的な連鎖発生」を起こした中規模地震群
 2014年03月16日

というようなこともありました。

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▲ 2014年3月15日の USGS より。この日、インドネシア、フィリピン、日本、イースター島、コロンビア、チリ、西アフリカ、ギリシャ、アゼルバイジャン、インドなどでマグニチュード5程度の地震が連続して発生しました。


そして、最初のほうにも書きましたけれど、最近は「ポールシフトが加速している可能性」を感じてもいまして、それと関係のある 2012年の記事を翻訳してご紹介したいと思います。

磁場の反転と火山活動に関係があるというものです。

ここで言われる「地球内部の構造」の理論そのものは、私はあまり信用できない面もあるのですけれど、それはそれとして、ご紹介します。この記事の作者自身も、リバプール大学の調査そのものには大きな興味をいだきつつも、「火山活動と磁極の反転の関係」について、研究発表と「逆の因果関係」を述べていますが、私も、このサイト記事の作者と同じような考え方です。

いずれにしても、ここからその記事をご紹介します。




Magnetic Reversals Linked to Massive Volcanism
Magnetic Reversals and Evolutionary Leaps 2014.08.12


磁気の逆転は大規模な火山活動と関係している


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リバプール大学の科学者たちは、大規模な火山活動が磁極の反転のトリガーとなる可能性を示唆する研究を発表した。この科学者たちは、地球の磁場の長期反転率の変動が地球の核からの熱流の変化によって引き起こされ得ることを発見した。

約 2億年前から 8000万年前の間の磁極反転の「発生の間隔」に焦点を当ててみると、この期間には磁場の反転が非常に多く起きていたことがわかった。この時期はまだ恐竜が生きていた時代だが、磁場の反転は、10万年に 10回ほどの頻度で起きていた。

ところが、それから 5000万年後に磁場の反転が発生しなくなり、それから約 4000万年もの間、磁場の反転は起きなかったことを述べている。

ただし、磁場には 11,500年周期のサイクルの「周遊」が存在しており、このことに関して、リヴァプール大学の科学者たちは考慮しなかったようだ。

いずれにしても、これらの「磁極の反転の間隔」にバラツキが生じる理由として、何百万年にもわたって発生する地球の核とマントルの境界を越えての熱損失の変化のパターンと関係している可能性が発見された。

そして、磁場の反転が少なくなった時には、巨大火成岩岩石区(Large igneous provinces / 広大な範囲に渡り火成岩が分布している地域およびそれを生成した火山活動)も少なくなっていたこともわかったことで、磁場の反転とマントル活動に関係があることを見出した。

しかし、全体としてみると、リバプール大学の科学者たちは、「マントルの活動が磁場の反転を引き起こした」としているが、私(サイトの作者)自身は、同時期にその現象が起きていたことは事実だとしても、相関関係はその「逆」だと思う。

つまり、磁場の反転が巨大な火山の噴火のキッカケとなったと考えられる。

なお、2011年のネイチャーに、巨大火成岩岩石区が急激に作られた時代と、過去のペルム紀の大絶滅( 2億5200万年前の大量絶滅)と、恐竜の絶滅(約 6500万年前)の時代がリンクしていることについての論文が掲載されたことがある。


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▲ 2011年9月14日の Nature より。




(訳者注) 記事の後半にはネイチャーに掲載された「大量絶滅と巨大火山活動の関係」についての論文が紹介されていますが、この、過去の「大量絶滅」については、現在でも、それぞれについて確固たる原因は確立されていないわけですけれど、「原因のすべてではなく、ひとつだけ」ではあるにしても、大量絶滅の原因のひとつに「広大な地域で火山活動が活発になる」ということはあったのかもしれません。

それでも、結局は、「大量絶滅の理由」とは複合的なものではあるとは思われます

今月のはじめ頃に書きました、

「地球の海が急速に酸性化している」という論文を6度目の大量絶滅の中にいるかもしれない今の時代に読む
 2014年06月03日

などのように、「海の水」そのものが大きく変化していけば、多くの海洋生物は生き残れないわけですし、先日の「ポールシフトと酸素の消失の関係の記事」のように、地上から酸素が大幅に少なくなれば、地上の生物もかなりの種類がダメージを受けることになります。

酸素の減少量によっては、哺乳類から昆虫などに至る、あらゆる大型生物が生き残れない可能性はあります。

しかし、その一方で、酸素がなくても生きられる微生物も多くいるわけで、それらはまた「次の進化の主役」となっていくのかもしれません。2010年には「単細胞生物」ではなく、「多細胞生物」で、酸素を必要としない生物がギリシャで発見されました。

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▲ ギリシャのクレタ島近くの海底の堆積から発見された「酸素を必要としない生物」の姿。2010年04月14日の過去記事「酸素なしで生きる多細胞生物が発見される」より。酸素を必要としない多細胞生物が発見されたのは、これが初めてのことでした。


いずれにしても、現在の地球に生物が定着して以来、「微生物(ウイルスのような非生物も含めて)が存在しかったことは一度もない」ということだけは事実で、地球の生命の歴史はそれらが見続けてきています。